以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
パチンコ遊技機の遊技盤1は、図1および図2に示すように、合板やプラスチックなどからなる矩形状の遊技盤本体2を備え、該遊技盤本体2の前面に区画部材3を遊技盤本体2の各辺に沿う状態で止着して遊技領域5を略円形状に区画形成し、該遊技領域5の前方には透明部材(ガラス板)8が保持された透明部材保持枠9を配置して、透明部材保持枠9により遊技盤1を前方から被覆するとともに、透明部材8を通して遊技領域5を遊技盤1の前方から視認できるように構成されている。
また、遊技領域5内には複数の遊技役物を配置している。具体的には、遊技領域5内の略中央には包囲枠体(センターケース)12を配置し、包囲枠体12の後方には、複数の識別情報を変動表示して変動表示ゲームを行う変動表示装置13を備えている。そして、遊技領域5のうち包囲枠体12の下方には、変動表示ゲーム始動用の始動入賞口14を配置し、包囲枠体12の側方(左側方)には普図始動ゲート15を配置し、包囲枠体12の左下方および右下方には、発光により各種の装飾表示を行うサイドランプ16を配置し、該サイドランプ16に一般入賞口17を備えている。さらに、始動入賞口14の下方には大入賞口18を配置し、該大入賞口18の下方であって遊技領域5の下縁部には、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口19を開設している。そして、包囲枠体12、普図始動ゲート15、始動入賞口14、サイドランプ16、大入賞口18等の遊技役物の外縁部にはフランジ状の取付ベース21を設け、該取付ベース21により各遊技役物を遊技盤本体2の前面(表面)へ止着している。また、普図始動ゲート15の下方且つ包囲枠体12の取付ベース21の側方の位置には、遊技領域5を流下する遊技球の流下方向を変換可能な風車23を配置し、遊技領域5のうち包囲枠体12、普図始動ゲート15、始動入賞口14、サイドランプ16、大入賞口18等の取付部分を除いた箇所には複数の遊技釘24を植設し、該遊技釘24に衝突した遊技球を遊技領域5の下方へ流下可能としている。そして、遊技領域5のうち風車23と始動入賞口14との間には、複数の遊技釘24を始動入賞口14側に向けて下り傾斜する直線状を形成するように並べて植設して誘導釘列25を形成し、該誘導釘列25上に遊技球を転動させて始動入賞口14側へ誘導できるように構成されている。なお、風車23については、後で詳細に説明する。
次に、区画部材3について説明する。
遊技盤1の周縁に沿って枠状に形成された区画部材3は、遊技領域5の一側(図2中、左側)を区画し、遊技盤1の下方に配置された発射装置(図示せず)から発射された遊技球を遊技領域5へ案内する発射球案内ユニット31と、遊技領域5の他側の上部(図2中、右上側)を区画する上側区画部材32と、遊技領域5の他側の下部(図2中、右下側)を区画する下側区画部材33とに3分割して構成されている。
発射球案内ユニット31は、遊技領域5の遊技球進入側を区画する部材であり、図2に示すように、遊技盤本体2の前面に止着される略C字状の案内ベース部35を備え、該案内ベース部35から遊技盤1の前方(透明部材8側)へ向けて外レール部材(発射球案内壁部)36を起立するとともに、遊技盤1の前面の下端側から上端側に亘って円弧状に形成している。また、外レール部材36の円弧内壁面(遊技領域5側の側面)には、縦長帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)により形成されたガイドレール37を添設し、該ガイドレール37の上端を上端止着部材38により発射球案内ユニット31の上部に止着するとともに、ガイドレール37の下端を下端止着部材39により発射球案内ユニット31の下部に止着している。さらに、外レール部材36から内側(遊技領域5側)へ離間した位置には、外レール部材36と略平行な状態となる円弧状の内レール部材(領域区画壁部)40を形成し、ガイドレール37と内レール部材40との間に挟まれた縦長円弧状の空間を発射流路42として遊技領域5の一側縁(図2中、左側縁)に沿うように設け、発射流路42の上端部(出口側)の幅寸法を遊技球の直径よりも広く、且つ遊技球の直径の2倍よりも狭い寸法とし(図6参照)、発射流路42を移動する遊技球がガイドレール37または内レール部材40に接触して遊技領域5の一側上部まで案内されるように構成されている。言い換えると、内側区画壁部となる内レール部材40と、外側区画壁部となる外レール部材36とを対向させて備えることにより発射流路42を形成している。
さらに、内レール部材40の上端部を外レール部材36の上端部およびガイドレール37の上端部よりも低い位置(言い換えると遊技盤1の側部寄り)に設定し、ガイドレール37の上端部を発射流路42の先端出口部分(上端)42aよりも遊技領域5の上寄りに配置している。そして、発射流路42の後側(すなわち遊技盤本体2側)には、案内ベース部35とともに合成樹脂で一体成形した流路底部43を備え、該流路底部43と外レール部材36と内レール部材40とにより発射流路42を前方が開放された状態で区画形成している。さらに、発射流路42の入口部分(下端)を下方へ開放して発射装置へ連通し、発射装置から発射された遊技球を発射流路42へ通して遊技領域5内に案内できるように構成されている。
上側区画部材32は、図1に示すように、遊技盤1の正面から見て右上隅部に配置される部材であり、発射球案内ユニット31の上端に隣接した状態で止着されている。また、当該上側区画部材32のうち遊技領域5側に位置する縁部を円弧状に形成するとともに、遊技盤1の側方(右側方)へ向けて下り傾斜させている。さらに、当該上側区画部材32の遊技領域5側の縁部の途中には、ゴムなどの弾性体で形成された緩衝部材45を備え、発射流路42から上側区画部材32の縁部に沿って飛翔してきた遊技球がこの緩衝部材45に衝突して下方の遊技領域5へ流下するように構成されている。
下側区画部材33は、遊技盤1の正面から見て右下隅部に配置される部材であり、発射球案内ユニット31の下端にアウト口19を挟んで隣り合う状態であって、且つ上側区画部材32の下端に隣接した状態で止着されている。また、当該下側区画部材33のうち遊技領域5側の縁部(上縁部)を円弧状に形成するとともに、上側区画部材32の下端(右下端)から遊技盤1の下側中央部分へ向けて下り傾斜させている。
そして、遊技盤1は、図2および図3に示すように、発射流路42の先端出口部分(上端)42aに戻り球防止部材50を備え、該戻り球防止部材50により遊技球が発射流路42から遊技領域5へ進入することを許容する一方、遊技領域5から発射流路42へ戻ることを防止している。戻り球防止部材50は、第1戻り球防止片51aが形成された第1防止構成部材51を内レール部材40側に取り付けるとともに、第2戻り球防止片52aが形成された第2防止構成部材52を外レール部材36側に取り付けて構成されている。
第1防止構成部材51は、図4に示すように、ステンレス鋼板等の弾性体で短冊状に形成された縦向きの板部材であり、当該第1防止構成部材51の下部を内レール部材40の上端部の湾曲に沿う方向へ屈曲して第1係止部51bとし、該第1係止部51bよりも上方の部分を第1戻り球防止片51aとして構成されている。そして、内レール部材40の上端部を遊技領域5側へ膨出して形成された第1係止受部55に第1係止部51bを発射球案内ユニット31の後側(遊技盤本体2側)から差し込んで係止し、この状態で第1戻り球防止片51aを第1係止受部55の側部、言い換えると内レール部材40のうち発射流路42の先端出口部分42a(詳しくは先端出口部分42aの開口縁)から遊技領域5内(詳しくは遊技領域5の上縁部)に向けて上方へ延設して起立させ、発射流路42の先端出口部分42aの下部を閉成するように構成されている。なお、図3に示すように、第1係止受部55には第1ストッパー56をビス等の第1止着部材57で発射球案内ユニット31の後方から止着し、第1係止部51bが第1係止受部55から脱落する不都合、ひいては第1戻り球防止片51aが発射流路42の先端出口部分42aから外れる不都合を第1ストッパー56により阻止している。
第2防止構成部材52は、図2および図5に示すように、ステンレス鋼板等の弾性体で短冊状に形成され、遊技盤1の左右方向に沿って延在する横向きの板部材であり、当該第2防止構成部材52の一側部(図2中、左側部)を第2係止部52bとし、他側部(図2中、右側部)を下方へ向けて湾曲させて第2戻り球防止片52aとして構成されている。そして、外レール部材36のうち内レール部材40の上端部に対向する箇所を外側(発射流路42を挟んで内レール部材40とは反対側)へ膨出して第2係止受部58を形成し、該第2係止受部58に第2係止部52bを発射球案内ユニット31の後側(遊技盤本体2側)から差し込んで係止している。さらに、この状態で第2戻り球防止片52aを第2係止受部58の側部、言い換えると外レール部材36のうち発射流路42の先端出口部分42a(先端出口部分42aの開口縁)から遊技領域5内(詳しくは遊技領域5の中央部)に向けて延設して下り傾斜させ、発射流路42の先端出口部分42aの上部を閉成するように構成されている。なお、図3に示すように、第2係止受部58には第2ストッパー59をビス等の第2止着部材60で発射球案内ユニット31の後方から止着し、第2係止部52bが第2係止受部58から脱落する不都合、ひいては第2戻り球防止片52aが発射流路42の先端出口部分42aから外れる不都合を第2ストッパー59により阻止している。さらに、ガイドレール37のうち発射流路42の先端出口部分42aに位置する箇所には挿通開口37aを切り欠いて開設し、該挿通開口37aに第2戻り球防止片52a(第2防止構成部材52)を挿通している。
このような第1防止構成部材51と第2防止構成部材52とから構成された戻り球防止部材50は、第1戻り球防止片51a(第1防止構成部材51)と第2戻り球防止片52a(第2防止構成部材52)を同じ材質の弾性体で構成するとともに同じ横幅寸法(遊技盤1の前後方向に沿った幅寸法)に形成している(図4および図5参照)。また、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも長い延設長さ(遊技領域5内に向かう方向の長さ)且つ薄い板厚に形成して、第1戻り球防止片51aのばね定数を第2戻り球防止片52aのばね定数よりも小さく設定している。したがって、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも撓み易くしている。
さらに、図6に示すように、第1戻り球防止片51aの延設先端部分と第2戻り球防止片52aの延設先端部分とを近接させている。詳しくは、第2戻り球防止片52aの延設先端部分を第1戻り球防止片51aの延設先端部分よりも発射流路42の入口側に寄せて配置し、第1戻り球防止片51aの延設先端部分と第2戻り球防止片52aの延設先端部分とを、発射流路42の幅方向の中央部よりも外レール部材36側の位置で近接させるとともに、遊技球の半径よりも狭い距離で離間させている。また、第1戻り球防止片51aと外レール部材36(ガイドレール37)とを遊技球の直径よりも狭い距離で離間させ、第2戻り球防止片52aと内レール部材40とを遊技球の直径よりも狭い距離で離間させている。なお、戻り球防止部材50の作用については、後で詳細に説明する。
次に、遊技領域5内に配置された風車23について説明する。
風車23は、図7および図8に示すように、遊技領域5(遊技盤本体2)に植設される支持軸63と、該支持軸63を中心にして回動する回動部64とから構成されている。また、回動部64には、支持軸63に回動自在な状態で嵌合される軸受部65と、該軸受部65と共回りする装飾部66および球誘導部67とを備えている。具体的には、支持軸63を遊技盤1の前後方向(板厚方向)に沿って延在する状態で植設し、該支持軸63のうち遊技盤本体2の前方に突出した前半部分には、回動部64の基部となる円筒状の軸受部65を嵌合し、該軸受部65の前端部には、風車23の前面側を装飾する円板状の装飾部66を遊技盤1の前面に沿って延在した状態、且つ当該装飾部66の中心が支持軸63上に位置する姿勢で備え、該装飾部66の前面に支持軸63の頭部を係合して回動部64が支持軸63から脱落することを阻止している。また、軸受部65の外周面のうち装飾部66よりも遊技盤1側(遊技盤本体2側)の位置から羽根状の球誘導部67を放射状、言い換えると軸受部65から離隔する外方へ複数枚(本実施形態では3枚)延設するとともに、軸受部65の周りに同位相ずつずれた位置(本実施形態では120度ずつ位相がずれた位置)に配置し(図8(a)参照)、遊技領域5を流下してきた遊技球が球誘導部67に当接して遊技球の流下方向を誘導できるように構成されている。さらに、球誘導部67のうち遊技盤本体2側に位置する後縁部を軸受部65側から外方へ向かうにつれて次第に装飾部66側に位置する状態で傾斜させ、隣り合う球誘導部67と装飾部66とで囲まれた空間を球保持部68とし、該球保持部68に遊技球(球誘導部67に当接してきた遊技球)を一時的に保持可能としている。
そして、回動部64の後部、言い換えると回動部64のうち球誘導部67よりも遊技盤本体2側の位置には、装飾部66よりもひと回り小さい円板状の誘導補助部70を備え、該誘導補助部70により球保持部68の後側を閉成している。誘導補助部70は、装飾部66、球誘導部67、軸受部65と共回り可能であり、遊技盤本体2の前面に沿って延在して装飾部66に平行となる姿勢に設定されており、当該誘導補助部70の中心を支持軸63上に位置させている。また、図8(c)および図9(b)に示すように、遊技盤本体2の前面(表面)から前方へ離間し、当該誘導補助部70と遊技盤1の前面との間に当接逃げ空間部71を形成して誘導補助部70と遊技盤本体2との当接を回避し、当該誘導補助部70の前面(装飾部66側に向いた面)を取付ベース21よりも前方に位置させている。さらに、図8(b)に示すように、当該誘導補助部70と装飾部66との離間距離Dを遊技球の直径よりも広く設定している。
また、図8(c)に示すように、誘導補助部70の外周面を前方の装飾部66側へ近づくにつれて次第に縮径して、誘導補助部70の外周縁の上端部分を装飾部66側へ向けて下り傾斜させ、誘導補助部70の上方から流下してきた遊技球が誘導補助部70の外周縁に当接すると、この外周面に沿って遊技球を流下させて球保持部68へ誘導できるように構成されている。そして、誘導補助部70の軸受部65からの突出寸法Xを遊技球の半径よりも小さく設定して、支持軸63が遊技球の衝突により僅かに曲がって誘導補助部70が傾いたとしてもこの誘導補助部70が直ちに遊技盤本体2に当接すること、ひいては装飾部66、球誘導部67、軸受部65の回動が直ちに阻止されてしまう不都合を避けるように構成されている。また、誘導補助部70の板厚tを厚肉に設定して、誘導補助部70の軸受部65からの突出寸法Xが遊技球の半径よりも小さくても、装飾部66と誘導補助部70との間に配置(保持)された遊技球が誘導補助部70よりも遊技盤本体2側に突出することを阻止している。
次に、遊技盤1の作用、特に、戻り球防止部材50および風車23の作用について説明する。
発射装置から遊技球を発射すると、遊技球が発射流路42に入口(下端)から進入して上方へ飛翔する。ここで、発射勢が弱い場合には、この遊技球は、発射流路42の途中で内レール部材40に接触し、この状態で内レール部材40に沿って上方へ移動する。そして、図6(a)に示すように、発射流路42の先端出口部分42aに到達すると、戻り球防止部材50の下側部分を構成する第1戻り球防止片51aを飛翔勢により押圧して遊技領域5側へ撓ませ、第1戻り球防止片51aの延設先端部分をガイドレール37および第2戻り球防止片52aから遠ざける。この結果、発射流路42の先端出口部分42aが開放されて遊技領域5と発射流路42とが連通し、この連通状態で遊技球がさらに上昇して発射流路42の先端出口部分42aを通過し、遊技領域5へ飛入する。そして、遊技球が発射流路42の先端出口部分42aを通過した後には、第1戻り球防止片51aがその復元力により延設先端部分を第2戻り球防止片52aに近づけて常態に戻り、発射流路42の先端出口部分42aを閉成する。
一方、遊技球の発射勢が強い場合には、この遊技球は、発射流路42の途中でガイドレール37に接触し、遠心力でこの接触状態を維持しながらガイドレール37に沿って上方へ移動する。そして、図6(b)に示すように、発射流路42の先端出口部分42aに到達すると、戻り球防止部材50の下側部分を構成する第1戻り球防止片51aを飛翔勢により押圧して遊技領域5側へ撓ませ、第2戻り球防止片52aの延設先端部分を第1戻り球防止片51aから遠ざける。さらには、第1戻り球防止片51aの延設先端部分を押圧して遊技領域5側へ撓ませる。この結果、発射流路42の先端出口部分42aが開放されて遊技領域5と発射流路42とが連通し、この連通状態で遊技球がさらに上昇して発射流路42の先端出口部分42aを通過し、遊技領域5へ飛入する。そして、遊技球が発射流路42の先端出口部分42aを通過した後には、第1戻り球防止片51aおよび第2戻り球防止片52aがそれぞれの復元力により延設先端部分同士を近づけて常態に戻り、発射流路42の先端出口部分42aを閉成する。
このようにして、遊技球の発射勢が弱い場合には、遊技球が内レール部材40に沿って移動して第1戻り球防止片51aを押圧しながら遊技領域5に進入し、遊技球の発射勢が強い場合には、遊技球が外レール部材36に沿って移動して第2戻り球防止片52aを押圧しながら遊技領域5に進入するように構成することができる。しかも、第1戻り球防止片51aのばね定数を第2戻り球防止片52aのばね定数よりも小さく設定しているので、発射勢の強い遊技球が戻り球防止部材50(第2戻り球防止片52a)から受ける反発力を、発射勢の弱い遊技球が戻り球防止部材50(第1戻り球防止片51a)から受ける反発力よりも強くすることができる。したがって、発射流路42から遊技領域5へ進入してきた遊技球の勢いのばらつきを小さく抑えることができ、遊技領域5内における遊技球の飛翔を安定させることができる。また、遊技球が発射勢の強い状態で遊技領域5に進入してしまう不都合、ひいては遊技領域5内に配置された遊技役物や遊技釘24などに衝突して損傷させてしまう不都合を抑えることができる。そして、発射勢が弱い状態であったとしても、遊技球が戻り球防止部材50を押し開いて遊技領域5に進入し易い。
また、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも長い延設長さに設定したので、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも撓み易くすることができ、発射勢の弱い遊技球であったとしても押し開き易い第1戻り球防止片51aを簡単な構成で実現することができる。さらに、第1戻り球防止片51aの延設先端部分と第2戻り球防止片52aの延設先端部分とを発射流路42の幅方向の中央部よりも外レール部材36側の位置で近接させたので、第2戻り球防止片52aが発射流路42の先端出口部分42aを閉成する範囲を、第1戻り球防止片51aが発射流路42の先端出口部分42aを閉成する範囲よりも狭く設定することができる。したがって、遊技領域5内から発射流路42に戻ろうとする遊技球(戻り球)が第1戻り球防止片51aよりも第2戻り球防止片52aに当たり難くなり、第2戻り球防止片52aが発射勢の強い遊技球からの衝撃だけではなく戻り球からの衝撃をも受け易くなる不都合、ひいては第2戻り球防止片52aが損傷し易くなる不都合を抑制することができる。そして、第2戻り球防止片52aの延設先端部分を第1戻り球防止片51aの延設先端部分よりも発射流路42の入口側に寄せたので、図6(c)に示すように、遊技領域5内に進入した遊技球が第1戻り球防止片51aに衝突して発射流路42に戻ろうとしたとしても、第1戻り球防止片51aの延設先端部分を発射流路42の入口側に向けて移動して第2戻り球防止片52aの延設先端部分に引っ掛けることができる。したがって、第1戻り球防止片51aが発射流路42の入口側に向けて撓むこと、さらには発射流路42の先端出口部分42aが開放されることを第2戻り球防止片52aにより規制することができ、遊技球が発射流路42に逆流することを十分に防ぐことができる。
戻り球防止部材50を発射流路42側から押し開いて遊技領域5に飛入した遊技球が流下して風車23に向かい、回動部64の球保持部68へ上方から進入すると、風車23は、この遊技球を球保持部68に保持するとともに球誘導部67に当接し、遊技球により球誘導部67を押圧されて回動部64を回動する。そして、回動部64の回動動作により遊技球に押圧された球誘導部67が回動部64の回動動作により下り傾斜した姿勢になると、球保持部68内の遊技球を下り傾斜姿勢の球誘導部67に沿って流下させて球保持部68から放出する。この結果、遊技球を誘導して、遊技球の流下方向を下方向から横方向(風車23の側方に位置する誘導釘列25に近づく方向や、風車23を挟んで誘導釘列25とは反対側へ遠ざかる方向)へ変換する。
このとき、図9(a)に示すように、仮に誘導補助部70を風車23に備えていないとすると、球保持部68内の遊技球が遊技盤本体2側に移動することを許容してしまう。このため、遊技球が遊技盤本体2側に位置している状態で球保持部68から誘導釘列25側に放出されると、この放出された遊技球は、誘導釘列25の上方に位置する取付ベース21(包囲枠体12の取付ベース21)の側縁や遊技盤本体2の前面に衝突して前方に弾かれ易く、さらには透明部材8に衝突して跳ね返った後に再び取付ベース21に衝突し易い。これにより、遊技領域5内での流下、詳しくは誘導釘列25上における転動をスムーズに行うことができない。
しかしながら、風車23には誘導補助部70を備えているので、風車23は、図9(b)に示すように、球保持部68内の遊技球を誘導補助部70に当接して遊技球が遊技盤本体2側(遊技盤1側)に移動することを規制する。この状態で球保持部68が遊技球を誘導釘列25側に放出すると、放出された遊技球(風車23により誘導された遊技球)は、取付ベース21の側縁や遊技盤本体2の前面に衝突し難く、さらには取付ベース21や遊技盤本体2に弾かれて透明部材8に衝突することも発生し難い。したがって、遊技球が遊技領域5内(詳しくは誘導釘列25上)をスムーズに流下し易くなり、遊技を滞りなく進行させることができる。また、装飾部66および誘導補助部70を遊技盤1の前面に沿った板状体(円板)としたので、装飾部66および誘導補助部70に遊技球を沿わせて移動させて遊技球の流下方向(誘導方向)を安定させることができる。しかも、誘導補助部70を回動部64と一体に構成しているので、遊技球の衝突に起因して支持軸63が曲がって風車23が常態から傾いた状態に調整されたとしても、装飾部66と誘導補助部70との間隔が常態とは異なってしまうことがない。このことから、球保持部68内の遊技球を支障なく誘導して放出することができる。
ところで、上記実施形態においては、戻り球防止部材50には遊技球を誘導する機能を備えていないが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示す第2実施形態における第1戻り球防止片51aは、弱い発射勢で発射流路42を上昇してきた遊技球を遊技盤本体2の前面側に誘導しながら遊技領域5へ進入させる機能を備えている。具体的には、第1戻り球防止片51aの延設先端部分のうち前後方向の中央部分よりも前寄り(透明部材8寄り)の位置から後縁(遊技盤本体2側の縁)までの部分を遊技領域5側に折り曲げて遊技球が当接可能な誘導傾斜部51cを形成し、該誘導傾斜部51cと遊技盤本体2の前面との離間距離Lが発射流路42の先端出口部分42aから遠ざかるにつれて次第に短くなる状態に設定している。また、誘導傾斜部51cの下縁(第1係止部51b側の縁)と第1戻り球防止片51aの本体との間を三角形状の誘導支持部51dで閉塞し、誘導傾斜部51cに発射流路42側から当接した遊技球が誘導支持部51dにも当接し得るように構成されている。
このような構成の第1戻り球防止片51aを備えた遊技盤1において、発射装置から遊技球を弱い発射勢で発射して発射流路42内を上昇させると、この遊技球は、発射流路42の途中で内レール部材40に接触し、この状態で内レール部材40に沿って上方へ移動して発射流路42の先端出口部分42aに到達する。さらに、第1戻り球防止片51aの誘導傾斜部51cを飛翔勢により押圧して遊技領域5側へ撓ませ、第1戻り球防止片51aの延設先端部分をガイドレール37および第2戻り球防止片52aから遠ざける。このとき、誘導傾斜部51cは、遊技球を当該誘導傾斜部51cの傾斜方向に沿って遊技盤本体2側に誘導して遊技盤本体2の前面に押し付け、遊技球が遊技盤1の前後方向にブレることを規制する。この状態でさらに第1戻り球防止片51aが遊技領域5側へ撓むと、発射流路42の先端出口部分42aが開放され、遊技球が遊技盤本体2の前面に当接した状態で遊技領域5に飛入する。したがって、遊技球のムラ飛び、詳しくは発射された遊技球毎に飛翔方向が乱れた状態で遊技領域5へ飛入してしまう不都合を戻り球防止部材50の構成要素(第1戻り球防止片51a)により十分に抑えることができる。また、発射流路42から飛び出した遊技球が透明部材8にぶつかることを阻止することができ、遊技球が透明部材8に衝突して騒音が生じたり透明部材8が損傷したりする不都合を抑えることができる。
また、極めて弱い発射勢であるにも拘らず遊技球が発射流路42の先端出口部分42aまで到達した場合には、遊技球が第1戻り球防止片51aから反力を受けて飛翔勢が無くなる虞、ひいては誘導傾斜部51cに沿って下方へ滑り落ちて発射流路42を逆流する虞がある。しかしながら、誘導傾斜部51cの下端には誘導支持部51dを備えているので、遊技球が誘導傾斜部51cに沿って下方へ滑り落ちたとしてもこの遊技球を誘導支持部51dで支持することができる。それだけではなく、誘導支持部51dが支持する遊技球の自重で第1戻り球防止片51aを撓ませて発射流路42の先端出口部分42aを開放することができ、第1戻り球防止片51aで停留した遊技球を遊技領域5へ放出することができる。したがって、発射流路42の先端出口部分42aまで到達した遊技球が遊技領域5へ飛入せずにファール球となって発射流路42を逆流してしまう不都合を抑制することができ、遊技をスムーズに進行することができる。
ところで、上記第2実施形態では、発射流路42から飛び出す遊技球を誘導する機能を戻り球防止部材50(第1戻り球防止片51a)に備えたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図11に示す第3実施形態の戻り球防止部材50は、第1実施形態のものと基本的には同じであるが、第2戻り球防止片52aの形状が異なり、第2戻り球防止片52aの延設先端部分に第1戻り球防止片51aが当接すると、第1戻り球防止片51aが捻れるように構成した点で異なる。具体的に説明すると、第3実施形態においては、図11(a)に示すように、第2戻り球防止片52aの前縁部(透明部材8側の縁部)を後縁部(遊技盤本体2側の縁部)よりもきつく下方へ湾曲させており、第2戻り球防止片52aの延設先端部分を透明部材8側から遊技盤本体2側に向かうにつれて次第に常態の第1戻り球防止片51aに近づく傾斜姿勢にしている。
このような構成の第2戻り球防止片52aを備えた戻り球防止部材50において、遊技領域5内に進入した遊技球が第1戻り球防止片51aに衝突して発射流路42に戻ろうとすると、図11(b)に示すように、第1戻り球防止片51aの延設先端部分が発射流路42の入口側に向けて移動して第2戻り球防止片52aの延設先端部分に引っ掛かり、遊技球の発射流路42への逆流を阻止する。このとき、第1戻り球防止片51aは、遊技球により第2戻り球防止片52aの延設先端部分に押し付けられ、第2戻り球防止片52aの延設先端部分に倣って当該第1戻り球防止片51aの延設先端部分の前縁部を後縁部よりも発射流路42の入口側(図11(b)中、右側)に移動して捻れる。そして、遊技球の勢いが第1戻り球防止片51aの捻れ変形(弾性変形)により減衰して遊技球の押圧力が弱まると、第1戻り球防止片51aがその復元力により捻れ状態から復帰しながら遊技球を押し戻し、この遊技球を第1戻り球防止片51aの捻れ復帰方向、詳しくは第1戻り球防止片51aから離れるにつれて次第に遊技盤本体2に近づく方向(図11(b)中、円弧状の矢印Pで示す方向)へ放出する。したがって、発射流路42への逆流を第1戻り球防止片51aにより阻止された遊技球が透明部材8に向かって跳ね返されて透明部材8に衝突する不都合、ひいては透明部材8が損傷する不都合をなくすことができる。
なお、上記各実施形態の戻り球防止部材50においては、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも長い延設長さ、且つ薄い板厚に形成して、第1戻り球防止片51aのばね定数を第2戻り球防止片52aのばね定数よりも小さく設定したが、本発明はこれに限定されない。要は、第1戻り球防止片51aを第2戻り球防止片52aよりも撓み易くすることができれば、第1戻り球防止片51aおよび第2戻り球防止片52aの板厚や延設長さや幅をどのように設定してもよい。また、撓み易さが異なる材質で第1戻り球防止片51aと第2戻り球防止片52aとを形成して第1戻り球防止片51aのばね定数を第2戻り球防止片52aのばね定数よりも小さく設定してもよい。
ところで、上記実施形態における風車23においては、装飾部66および誘導補助部70を平たい円板状に形成したが、本発明はこれに限定されない。要は、装飾部および誘導補助部を遊技盤本体の前面に沿って延在する板状体であれば、誘導補助部70をどのような形状に形成してもよい。また、誘導補助部70と遊技盤本体2の前面との間に形成される当接逃げ空間部71を均一の前後幅に設定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図12に示す第4実施形態のように、誘導補助部70のうち遊技盤本体2側に向いた後面を軸受部65側から外方へ向かうにつれて次第に装飾部66側に位置する傘状の面に形成して、当接逃げ空間部71の前後幅を軸受部65側から外方へ向かうにつれて次第に広く設定してもよい。このような構成の誘導補助部70および当接逃げ空間部71を遊技盤1に備えれば、遊技球の衝突に起因して支持軸63が曲がって風車23が常態から傾いた状態に調整されたとしても、誘導補助部70の外縁と遊技盤本体2の前面とが干渉する不都合、ひいては風車23が回動できなくなる不都合を避けることができる。また、誘導補助部70の後面を傘状の面にすれば、遊技盤本体2の前面と干渉し難い誘導補助部70を簡単な構成で実現することができる。なお、誘導補助部70の後面を傘状の面にするか否かに拘らず、遊技盤本体2の前面のうち誘導補助部70に対向する部分を支持軸63に向かうにつれて次第に誘導補助部70側へ隆起させて、当接逃げ空間部71の前後幅を軸受部65側から外方へ向かうにつれて次第に広く設定してもよい。
ところで、上記各実施形態における風車23には、装飾部66または誘導補助部70に遊技球を係合し易くなる構成を備えてもよい。例えば、図13に示す第5実施形態における風車23は、基本的には第1実施形態と同じ構成であるが、回動部64に遊技球を係合可能な球係合溝を備えた点で異なる。具体的に説明すると、第5実施形態における風車23の装飾部66には、複数条(本実施形態では3条)の球係合溝を軸受部65側から外方へ向かって放射状に延在させるとともに支持軸63の方向(前後方向)に貫通させ、各球係合溝が支持軸63の方向から見て隣り合う球誘導部67の間に位置するように構成されている(図13(b)参照)。また、各球係合溝の外側端部(装飾部66の外周側に位置する端部)を装飾部66の円周方向、詳しくは装飾部66の前方からみて反時計方向へ向けて屈曲し、球係合溝が誘導釘列25側に向けて下り傾斜姿勢となった場合には、球係合溝の外側端部が上方に向けて屈曲した状態となるように構成されている。
このような球係合溝75を装飾部66に備えた風車23においては、図13(b)に示すように、回動部64が回動して1つの球保持部68が支持軸63の上方に位置すると、この球保持部68に連通する球係合溝75が支持軸63側から上方に向けて延在して縦向き姿勢となる。この状態で遊技球が遊技領域5を流下して球保持部68に進入すると、この遊技球が縦向きの球係合溝75に係合し易い。そして、遊技球が球係合溝75に係合した場合には、遊技球を球係合溝75に沿って案内して球保持部68へ迅速に保持することができる。また、球保持部68に保持された遊技球が左右いずれかの球誘導部67を押圧すると、回動部64は、遊技球が押圧した球誘導部67側へ向けて回動する。そして、遊技球に押圧された球誘導部67が風車23の側方へ向けて下り傾斜した姿勢になると、遊技球が球誘導部67に沿って外方へ向けて転動し始める。さらに風車23が回動して球係合溝75が風車23の側方へ向けて下り傾斜した姿勢になると、遊技球が球保持部68内で装飾部66側に位置していた場合には、この遊技球を球係合溝75に沿って誘導して流下させることができる。これにより、遊技球の流下方向を変換することができる。それだけではなく、球保持部68内で球係合溝75に係合した遊技球の動きを利用して装飾部66を回動することができ、装飾部66の回動による演出動作を行い易くすることができる。また、遊技球が流下して球係合溝75の外側端部に到達すれば、装飾部66の半径方向に沿って動いていた遊技球が装飾部66の円周方向に沿って動くので、遊技球の動き(流下方向)を顕著に変化させることができる。
そして、遊技球が係合可能な球係合溝は、装飾部66にだけ備えることに限定されず、装飾部66または誘導補助部70の少なくとも一方に備えていればよい。例えば、図14に示すように、誘導補助部70に複数条(本実施形態では3条)の球係合溝76を軸受部65側から外方へ向かって放射状に切り欠いて形成し、各球係合溝76が支持軸63の方向から見て隣り合う球誘導部67の間に位置するように構成してもよい。誘導補助部70に球係合溝76を形成した風車23においては、球保持部68内で遊技球が誘導補助部70側に位置すれば、この遊技球を球係合溝76に沿って誘導して流下させることができる。また、図15に示すように、装飾部66と誘導補助部70とに球係合溝75,76を形成し、装飾部66の球係合溝75と誘導補助部70の球係合溝76とが支持軸63の方向から見て前後に並んで位置するように構成してもよい。装飾部66および誘導補助部70に球係合溝75,76を形成した風車23においては、球保持部68内で遊技球が装飾部66側または誘導補助部70側に位置すれば、この遊技球を球係合溝75,76に沿って誘導して流下させることができる。
なお、球係合溝76が形成される誘導補助部70は、図13および図14に示す円板状であることに限定されない。例えば、図12に示す誘導補助部70、すなわち、遊技盤1側に向いた後面が軸受部65側から外方へ向かうにつれて次第に装飾部66側に位置する傘状の面となっている誘導補助部70に球係合溝76を形成してもよい。
そして、上記各実施形態では、遊技球の流下方向を変換可能な部材として風車23を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技領域5に植設され、遊技盤1の前後方向に沿って延在する支持軸と、該支持軸に回動自在な状態で嵌合される軸受部と、該軸受部の前端部に設けられ、当該流下方向変換部材の前面側を装飾する装飾部と、軸受部の外周面のうち装飾部よりも遊技盤1側の位置から外方へ延設され、遊技領域5を流下してきた遊技球と当接してその流下方向を誘導可能な球誘導部とを備えていれば、どのような構成の部材で遊技球の流下方向を変換してもよい。
また、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、発射装置により弾発された遊技球を遊技領域内に案内する発射流路を有し、該発射流路の先端出口部分には、遊技球の前記発射流路から前記遊技領域への進入を許容する一方、前記遊技領域から前記発射流路への戻りを防止する戻り球防止部材を備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。