以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は一実施の形態におけるパチンコ機1の正面図である。なお、図1では便宜上パチンコ機1の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機1は、当該パチンコ機1の外殻を形成する外枠2と、この外枠2に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部3とを有する。外枠2は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機1は、外枠2を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
遊技機主部3は、ベース体としての内枠4と、その内枠4の前方に配置される前扉枠5とを備えている。遊技機主部3のうち内枠4が外枠2に対して回動可能に支持されている。詳細には、パチンコ機1の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側として内枠4が前方へ回動可能とされている。
前扉枠5は、内枠4における前面側のほぼ全域を覆うようにして設けられている。前扉枠5には、遊技盤に形成された遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部6が形成されておりガラス7が嵌め込まれている。
前扉枠5は、下方に手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル8が設けられている。遊技球発射ハンドル8が操作されることにより、遊技領域(ガラス7の背後)に遊技球が発射される。遊技領域に発射された遊技球が入賞口(図示せず)に入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として払い出される。
パチンコ機1の前面には、払い出された賞球を受けるための上皿9及び下皿10(受皿)が設けられている。上皿9及び下皿10は上下に並設されており、上皿9が遊技球で満杯になると、それ以上の遊技球は連絡通路(図示せず)を通って流入口11から下皿10に流入する。下皿10の前面には、水平方向(図1左右方向)に横長のスライド孔12が形成されており、そのスライド孔12から、第1開閉部材17及び第2開閉部材18(図2参照)を駆動するための操作部13が露呈されている。操作部13は、スライド孔12に沿って左右にスライド可能に構成されており、操作部13が操作されることにより第1開閉部材17及び第2開閉部材18が駆動され、下皿10から遊技球を落下させることができる。パチンコ機1では、下皿10が満杯になったときや遊技を終了するときには、下皿10の下方に収容箱(図示せず)を載置した後に操作部13を操作して、下皿10に貯留された遊技球を収容箱に移すことができる。
次に図2を参照して、下皿10(受皿10)について説明する。図2(a)は第1実施の形態における受皿10の平面図であり、図2(b)は図2(a)の矢印IIb−IIb線における受皿10の断面図である。
図2(a)に示すように受皿10は、前扉枠5の前面に突設される底部14と、その底部14の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部15とを備えている。受皿10の背面に形成された流入口11には、後方に向けて突出する流入筒11aが接続されており、受皿10は流入筒11aを通って流入口11から流入する遊技球を貯留できる。受皿10の底部14の略中央には底部14を貫通する円形の開口部14aが形成されている。開口部14aの中心に軸部16が鉛直方向に配設されており、軸部16は、開口部14aの内側に重装された円板状の第1開閉部材17及び第2開閉部材18(図2(b)参照)の中心に嵌挿されている。
第1開閉部材17は、開口部14aの内径よりわずかに小さい直径を有する円板状に形成される部材であり、開口部14aに軸部16を中心にして円運動(回転)可能に配設されている。第1開閉部材17は、回転中心(軸部16)からずれた位置に略円形状の第1開口17aが厚さ方向に貫通形成されている。第1開口17aは、遊技球を抜き出すための開口であり、遊技球の外径より大きい内径を有している。これにより第1開口17aが開放されることにより、第1開口17aから遊技球を抜き出すことができ、第1開口17aが閉鎖されることにより、第1開口17aからの遊技球の落下が阻止され受皿10への遊技球の貯留が可能となる。
第1開閉部材17は、第1開口17aの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部17bを備えている。上昇傾斜部17bは、軸部16を中心に回転する第1開閉部材17の抵抗(受皿10に貯留された遊技球の中を回転することによる抵抗)を低減するための部位であり、第1開口17aの移動方向(図2(a)上下方向)に向かって第1開口17aの縁端から上昇傾斜している。
図2(b)に示すように、軸部16は、前扉枠5の前面で且つ底部14の下方に突設される突設部5aに下端部が回動可能に支持されている。また、第1開閉部材17の上面17cは、底部14の上面14bと同一面に設定されているので、底部14を転動して第1開口17aから流下する遊技球の移動(底部14から第1開閉部材17への移動)が妨げられることが防止される。
第1開閉部材17の下方に第2開閉部材18が配設されている。第2開閉部材18は、開口部14aの内径よりわずかに小さい直径を有する円板状に形成される部材であり、開口部14aに軸部16を中心にして第1開閉部材17とは別個に円運動(回転)可能に配設されている。第2開閉部材18は、回転中心(軸部16)からずれた位置に略円形状の第2開口18aが厚さ方向に貫通形成されており、第2開口18aは、軸部16を中心に第1開口17aから180°ずれた位置(点対称位置)に配置されている。第2開口18aは、遊技球を抜き出すための開口であり、遊技球の外径より大きい内径を有している。これにより第1開口17a及び第2開口18aの位置が合致してそれらが連通することにより、第1開口17a及び第2開口18aから遊技球を抜き出すことができ、第1開口17aと第2開口18aとの位置がずれ、第1開口17aと第2開口18aとが閉鎖されることにより、底部14からの遊技球の落下が阻止され受皿10への遊技球の貯留が可能となる。
第1ピニオン19及び第2ピニオン20は、後述する第3ピニオン21と係合する部材であり、第2開閉部材18の下方に位置する軸部16の上下に並設されている。第1ピニオン19及び第2ピニオン20の各々の内側に第1の一方向クラッチ19a及び第2の一方向クラッチ20aの外輪がそれぞれ一体に形成されている。第1の一方向クラッチ19a及び第2の一方向クラッチ20aは、外輪から入力される一方向の回転を内輪に伝達する一方、外輪から入力される他方向の回転の内輪への伝達を遮断する部材であり、各々の一方向クラッチ19a,20aの内輪に軸部16が嵌挿されている。
ここで、図2(c)を参照して、軸部16について詳しく説明する。図2(c)は軸部16の先端側の要部断面図である。図2(c)に示すように、軸部16は、突設部5aに支持された第1軸部16aと、その第1軸部16aが挿通される第2軸部16bとを備えて構成されている。第2軸部16bは、環状に形成される部材であり、第1軸部16aに段差状に形成された段差部16a1に載置され、段差部16a1により外径が小さく形成された先端部16a2が挿通されている。これにより第1軸部16aは第2軸部16bと相対回転可能に構成されている。第1開閉部材17は第1軸部16aの先端部16a2が嵌挿され、第1ピニオン19(第1の一方向クラッチ19a)は段差部16a1より下側の第1軸部16aが嵌挿されている。第2開閉部材18及び第2ピニオン20(第2の一方向クラッチ20a)は第2軸部16bが嵌挿されている。以上のように構成されているので、第1開閉部材17及び第2開閉部材18は、軸部16を中心にして別個に回転することが可能である。
第1の一方向クラッチ19a及び第2の一方向クラッチ20aは、外輪から内輪へ伝達される回転が反対方向となるように逆向きに配置されている。本実施の形態では、平面視して(図2(a)参照)時計回りの第1ピニオン19及び第2ピニオン20の回動は、第2の一方向クラッチ20aにより軸部16(第2軸部16b)に伝達され第2開閉部材18が時計回りに回動するように構成されている。また、平面視して反時計回りの第1ピニオン19及び第2ピニオン20の回動は、第1の一方向クラッチ19aにより軸部16(第1軸部16a)に伝達され第1開閉部材17が反時計回りに回動するように構成されている。
なお、第1の一方向クラッチ19a及び第2の一方向クラッチ20aは、第1開閉部材17及び第2開閉部材18から入力される回転、即ち軸部16から入力される回転を規制する爪付きラッチ(図示せず)が内蔵されている。これにより、受皿10内に貯留された遊技球を遊技者が掴む等の動作によって第1開閉部材17及び第2開閉部材18が意図せずに回転してしまうことを防止できる。
図2(a)に戻って説明する。第3ピニオン21は、第1ピニオン19及び第2ピニオン20と係合する部材であり、軸部16の上下に並設された第1ピニオン19及び第2ピニオン20と係合可能な軸方向厚さに設定されている。ラック22は、第3ピニオン21と係合する水平方向に配置された部材であり、スライド孔12に貫設された連結部23を介して操作部13と連結されている。これによりスライド孔12に沿って操作部13を左右にスライドさせることにより、ラック22を左右に往復動(直線運動)させることができる。なお、第1〜第3ピニオン19,20,21、ラック22は、歯数が、操作部13の1回の往動および復動により第1開閉部材17及び第2開閉部材18が軸部16を中心に180°回転できるように設定されている。
ラック22は、一端部に係止部24が突設されると共に、付勢手段25(コイルばね)が連結されている。付勢手段25の一端は受皿10に固定された被係止部26に固着されているので、ラック22は一方向(図2(a)右側)に付勢される。本実施の形態ではこの状態が初期状態であり、平面視して第1開口17a及び第2開口18aが軸部16を挟んで反対方向に位置し、遊技球が受皿10に貯留される。
また、付勢手段25の付勢力に抗して遊技者が操作部13を指で摘んで操作(図2(a)左側にスライド)し、被係止部26に係止部24を係止することで、遊技者が操作部13から指を離しても、ラック22の右方向への移動が阻止される(その状態が維持される)。遊技者が操作部13を操作して(外力を加えて)係止部24を被係止部26から離脱させると、付勢手段25の付勢力によりラック22は右方向に移動する。
受皿10は以上のように構成されているので、操作部13を操作してラック22を左方向(図2(a)左側)にスライドさせると、第3ピニオン21は平面視して時計回りに回動し、第1ピニオン19及び第2ピニオン20は反時計回りに回動する。その回動は第1の一方向クラッチ19aにより軸部16(第1軸部16a)に伝達され、第1開閉部材17が反時計回りに回動する。一方、操作部13を操作してラック22を右方向にスライドさせると、第3ピニオン21は平面視して反時計回りに回動し、第1ピニオン19及び第2ピニオン20は時計回りに回動する。その回動は第2の一方向クラッチ20aにより軸部16(第2軸部16b)に伝達され、第2開閉部材18が反時計回りに回動する。
次に図3を参照して、第1開閉部材17及び第2開閉部材18の動作について説明する。図3(a)は閉じ位置(第1開口17aが第2開閉部材18により閉鎖される位置)にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(b)は開き位置(第1開口17aと第2開口18aとが連通する位置)にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(c)は開き位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(d)は閉じ位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(e)は閉じ位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(f)は開き位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(g)は開き位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図であり、図3(h)は閉じ位置にある第1開閉部材17及び第2開閉部材18の模式平面図である。なお、図3では、操作部13(図2(a)参照)の移動方向を矢印Sで示し、第1開閉部材17及び第2開閉部材18の回転方向を矢印Rで示している。
まず、図3(a)に示す第1開閉部材17及び第2開閉部材18の初期位置では、第1開口17aは軸部16の右側に位置し、第2開口18aは軸部16の左側に位置している。その結果、第1開口17a及び第2開口18aは平面視して180°ずれた位置にあり、第1開口17aは第2開閉部材18の閉鎖部18b(第2開口18a以外の部位)により閉鎖されている。これにより、第1開口17aからの遊技球の落下は阻止され、受皿10に遊技球が貯留される。
次に、操作部13を矢印S方向に移動させると、操作部13と直結されたラック22(図2(a)参照)と係合する第1〜第3ピニオン19,20,21及び第1の一方向クラッチ19aにより第1開閉部材17は矢印R方向に回転する。第1開閉部材17が軸部16を中心にして180°回転すると、図3(b)に示すように、第1開口17a及び第2開口18aが軸部16の左側で連通する。これにより、受皿10に貯留された遊技球は、軸部16の左側から落下する。また、この状態では被係止部26(図2(a)参照)に係止部24が係止されるので、被係止部26から係止部24を離脱させるまで、遊技球の落下が持続する。
このように、被係止部26に係止部24が係止される位置で遊技球を落下させることができるように設定されているので、遊技球が落下される間、遊技者が操作部13を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
遊技者が操作部13を操作して被係止部26から係止部24を離脱させると、付勢手段25の付勢力によりラック22及び操作部13が矢印S方向に移動する(図3(c)参照)。そうするとラック22と係合する第1〜第3ピニオン19,20,21及び第2の一方向クラッチ20aにより第2開閉部材18は矢印R方向に回転する。第2開口18aの位置が変化し第1開口17a及び第2開口18aの連通が解除されるので、第1開口17aは第2開閉部材18の閉鎖部18b(第2開口18a以外の部位)により閉鎖され、第1開口17aからの遊技球の落下は阻止される。ラック22の移動により第2開閉部材18が軸部16を中心にして180°回転し、図3(d)に示すように、第2開口18aが軸部16の右側に移動する。
このように、遊技者が被係止部26から係止部24を離脱させるだけで、付勢手段25によりラック22が右方向に移動されるので、遊技者は操作部13を摘んで右方向に移動させる必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
次に、図3(e)に示すように、操作部13を矢印S方向に移動させると、操作部13と直結されたラック22と係合する第1〜第3ピニオン19,20,21及び第1の一方向クラッチ19aにより第1開閉部材17は矢印R方向に回転する。第1開閉部材17が軸部16を中心にして180°回転すると、図3(f)に示すように、第1開口17a及び第2開口18aが軸部16の右側で連通する。これにより、受皿10に貯留された遊技球は、軸部16の右側から落下する。また、この状態では、被係止部26(図2(a)参照)に係止部24が係止されるので、係止部24を離脱させるまで、遊技球の落下が持続する。
遊技者が操作部13を操作して被係止部26から係止部24を離脱させると、付勢手段25の付勢力によりラック22及び操作部13が矢印S方向に移動する(図3(g)参照)。そうするとラック22と係合する第1〜第3ピニオン19,20,21及び第2の一方向クラッチ20aにより第2開閉部材18は矢印R方向に回転する。第2開口18aの位置が変化し第1開口17a及び第2開口18aの連通が解除されるので、第1開口17aは第2開閉部材18の閉鎖部18b(第2開口18a以外の部位)により閉鎖され、第1開口17aからの遊技球の落下は阻止される。ラック22の移動により第2開閉部材18が軸部16を中心にして180°回転し、図3(h)に示すように、第2開口18aが軸部16の右側に移動する。これにより第1開閉部材17及び第2開閉部材18の初期位置に戻る(図3(a)参照)。
以上のように構成される受皿10によれば、操作部13が遊技者に操作されることにより、操作部13に連係して第1開閉部材17及び第2開閉部材18が受皿10の底部14を円運動する。第1開閉部材17の円運動の初期位置では(図3(a)参照)、第1開閉部材17に形成された第1開口17aは、第2開閉部材18に形成された閉鎖部18bにより閉鎖される。これにより第1開閉部材17の初期位置では、閉鎖部18bにより遊技球の第1開口17aからの落下が阻止されるので、受皿10内に遊技球が貯留された状態が維持される。
一方、第1開閉部材17に対する第2開閉部材18の相対移動により、第1開閉部材17の第1開口17aが第2開閉部材18の第2開口18aにより複数位置で開放される(図3(b)、図3(f)参照)。これにより受皿10内の遊技球は、第1開口17a及び第2開口18aを通過して複数位置から落下する。その結果、受皿10に貯留された遊技球を複数位置に散らして落下させることができるので、簡易な機構で、受皿10の下方に載置した収容箱(図示せず)の一箇所に遊技球が高く積もらないようにできる。
また、上述したように操作部13が往復動(直線運動)可能に構成され、第1開閉部材17は、操作部13が一方向に移動される操作力を伝達すると共に他方向に移動される操作力を遮断する第1の一方向クラッチ19aを介して操作部13に連係されている。一方、第2開閉部材18は、操作部13が一方向に移動される操作力を遮断すると共に他方向に移動される操作力を伝達する第2の一方向クラッチ20aを介して操作部13に連係されている。
これにより、往復動可能に構成される操作部13が一方向(図2(a)左方向)に移動される操作力は、第1の一方向クラッチ19aにより第1開閉部材17に伝達される一方、第2の一方向クラッチ20aにより第2開閉部材18への伝達が遮断される。また、操作部13が他方向(図2(a)右方向)に移動される操作力は、第1の一方向クラッチ19aにより第1開閉部材17への伝達が遮断される一方、第2の一方向クラッチ20aにより第2開閉部材18に伝達される。以上のように、簡易な操作部13の往復動により第1開閉部材17及び第2開閉部材18を交互に移動させ、遊技球を複数位置から落下させることができる。
また、第1開口17a及び第2開口18aは回転中心(軸部16)に対して180°ずれた点対称位置に形成されているので、第1開口17a及び第2開口18aが連通することによる遊技球の落下位置を、最大に離間させることができる。これにより底部14の下方に収容箱(図示せず)を載置して遊技球を受皿10から抜き出すときに、遊技球の落下位置の水平距離を大きくすることができる。その結果、収容箱に収容される遊技球を分散させて均すことができる。
次に図4を参照して、受皿10に貯留された遊技球Bと第1開閉部材17との関係について説明する。図4(a)は図2(a)の矢印IV−IV線における受皿10の断面図であり、図4(b)は従来の受皿の断面図である。なお、図4(a)では、第1開閉部材17の移動方向を矢印で図示している。
図4(b)を説明する前に、まず、一般的なパチンコ機1の動作について、図1を参照しながら説明する。パチンコ機1は、上皿9に貯留した遊技球を球送り機構(図示せず)により一球ずつ発射位置に自動的に供給し、遊技者による遊技球発射ハンドル8の回動操作によって、発射位置にある遊技球が発射装置により打圧され遊技領域に打ち出される。なお、上皿9が遊技球で満杯になると、遊技球は自動的に流出口11から受皿10(下皿)に流出され貯留される。受皿10も満杯となり遊技球が溢れそうになると、満杯状態が改善されるまで発射装置の遊技球遊技球発射作動を停止させ、新たな入賞が生じて受皿10に更なる遊技球(賞球)が払い出されるのを防止する。即ち、受皿10が満杯になると遊技者は遊技球を発射できなくなる。
ここで、受皿10が満杯となるのは、大抵、大量の遊技球が払い出される大当たり遊技中である。大当たり遊技は、所定時間内に遊技球を大入賞口に入賞させて賞球を獲得するものがほとんどであり、中には所定時間内に遊技球を大入賞口の特定領域に規定数の入賞がないと大当たり遊技が途中終了してしまうものもある。従って、大当たり遊技中に受皿10が満杯となり遊技球を発射できなくなると、大当たり遊技で獲得可能な利益を十分に享受できなくなる。そこで、遊技者は受皿10が満杯となる前に、球抜き孔H(図4(b)参照)を開閉する開閉部材Pをスライドさせ球抜き孔Hを開放して、遊技球Bを球抜き孔Hから抜き出して収容箱(図示せず)に移し替える必要がある。
しかし、大当たり遊技中は、遊技者は興奮状態にありがちなため、受皿10が満杯となるまで気づかずに、発射装置が停止されてから慌てて球抜き作業を行い、遊技球Bを排出することが多々ある。ところが、遊技球Bが満杯となった状態で球抜き孔Hを開放しても遊技球Bが排出されず、発射停止が長引いて遊技者の損失が大きくなることがある。
図4(b)に示すように、球抜き孔Hから遊技球Bが排出されない原因は、貯留された遊技球Bがドーム状になって均衡する「ブリッジ配列」(図4(b)の矢印Aで示す部分)が球抜き孔Hの上方に形成されて球抜き孔Hの上方の遊技球Bが重力に抗するためである。このような場合には、遊技者が手ずから遊技球Bをかき混ぜれば、遊技球Bの配列が崩れてブリッジ配列Aが解消され、球抜き孔Hから遊技球Bが排出されるようになる。しかし、大当たり遊技中の時間ロスは避けられず、遊技者に損失を与え遊技の興趣を損ねていた。
これに対し、図4(a)に示す受皿10によれば、第1開閉部材17は、上面17cが底部14に露呈されており受皿10に貯留される遊技球Bに接触しているので、第1開口17aと第2開口18aとを連通させるために第1開閉部材17が円運動されることにより、受皿10に貯留された遊技球Bのうち第1開閉部材17に接触するもの(特に第1開口17a付近の遊技球B)が転動される。これにより、遊技球Bの配列を崩しブリッジ配列Aを解消できる。その結果、連通させた第1開口17a及び第2開口18aから遊技球Bを落下させることができる。即ち、遊技者が球抜き作業を行うために操作部13(図2(a)参照)を操作することにより、受皿10に貯留された遊技球Bが第1開口17aの上方で均衡するブリッジ配列Aを崩すことができると共に、第1開口17aと第2開口18aとを複数位置で連通させ、遊技球Bを分散させて落下させることができる。
従って、遊技者が手ずから受皿10内の遊技球Bをかき混ぜるようなことをしなくても、操作部13を操作することにより、遊技球Bの配列が崩れてブリッジ配列Aが解消され、遊技球Bが排出される。その結果、大当たり遊技中の時間ロスが生じることはなく、遊技の興趣を損ねることを防止できる。
また、上面17cが遊技球Bに接触する第1開閉部材17は、第1開閉部材17の移動方向の後方(図4(a)反矢印方向)に向かって第1開口17aの縁端17a1から上昇傾斜する上昇傾斜部17bを備えているので、操作部13を操作すると、受皿10に貯留された遊技球Bの下側を擦るように上昇傾斜部17bを移動させ、第1開閉部材17を円運動させるときの抵抗を小さくできる。その結果、第1開閉部材17を円運動させるときの操作部13の操作力を低く抑えることができる。
次に図5を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、受皿10の底部14に重装された第1開閉部材17及び第2開閉部材18を備え、第1開閉部材17及び第2開閉部材18が相対回転することにより第1開口17aを異なる位置で開閉し遊技球を排出する場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、受皿30の底部31に移動可能に配設された開閉部材33を備え、底部31に形成された球抜き孔31bを開閉部材33で開閉する場合について説明する。なお、以下の各実施の形態においては、第1実施の形態で説明したパチンコ機1に配設された受皿10に代えて、各受皿が配設されるものとして説明する。また、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図5(a)は第2実施の形態における受皿30の平面図であり、図5(b)は図5(a)の矢印Vb−Vb線における受皿30の断面図である。
図5(a)に示すように受皿30は、前扉枠5の前面に突設される底部31と、その底部31の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部32とを備えている。受皿30の背面に形成された流入口11には、後方に向けて突出する流入筒11aが接続されており、受皿30は流入筒11aを通って流入口11から流入する遊技球を貯留できる。受皿30の底部31の略中央には平面視して円形状の凹部31aが形成されている。
凹部31aは、後述する開閉部材33が収装される部位であり、凹部31aの深さ(底部31の上面31cと凹部31aの底面との距離)は開閉部材33の厚さより少し大きめに形成されている(図5(b)参照)。これにより凹部31aに収装された開閉部材33の上面33dと、底部31の上面31cとを同一面に位置させることができる。凹部31aに収装された開閉部材33の上面33dが底部31の上面31cより高い位置にあると、受皿30に貯留された遊技球の円滑な移動(底部31から開閉部材33への移動)が妨げられるからである。
凹部31aは、底部31を貫通する球抜き孔31bが2箇所に形成されている。球抜き孔31bは遊技球を抜き出すための孔であり、遊技球の外径より大きい内径を有する円形状に形成されている。2つの球抜き孔31bは、平面視して凹部31aの中心を挟んで対称状に配置されている。これにより、凹部31aに対して2つの球抜き孔31b間の距離を最大にできる。その結果、2つの球抜き孔31bから落下する遊技球の落下点間の水平距離を大きくすることができ、遊技球を広く散らして球抜き孔31bから落下させることができる。
開閉部材33は、凹部31aの内径よりわずかに小さい直径を有する円板状に形成される部材であり、凹部31aに軸部34を中心にして円運動(回転)可能に配設されている。開閉部材33は、回転中心(軸部34)からずれた位置に略半円形状の開口33aが厚さ方向に貫通形成(外周から切欠き形成)されている。開口33aは、遊技球を抜き出すための部位であり、遊技球の外径より大きい内径を有している。これにより球抜き孔31bと開口33aとが連通し球抜き孔31bが開放されることにより、球抜き孔31bから遊技球を抜き出すことができ、球抜き孔31bの上方に開口33a以外の部位(閉鎖部33b)が位置して球抜き孔31bが閉鎖されることにより、球抜き孔31bからの遊技球の落下が阻止され受皿30への遊技球の貯留が可能となる。
開閉部材33は、開口33aの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部33cを備えている。上昇傾斜部33cは、軸部34を中心に回転する開閉部材33の抵抗(受皿30に貯留された遊技球の中を回転することによる抵抗)を低減するための部位であり、開口33aの移動方向(図5(a)左右方向)に向かって開口33aの縁端から上昇傾斜している。
図5(b)に示すように、凹部31aの中心に軸部34が鉛直方向に貫設されており、軸部34は、前扉枠5の前面で且つ底部31の下方に突設される突設部5aに下端部が回動可能に支持されている。第1ピニオン35は、後述する第2ピニオン36と係合する部材であり、底部31と突設部5aとの間の軸部34に配設されている。第1ピニオン35は軸部34が中心に嵌挿されており、軸部34と一体に回転可能に構成されている。
図5(a)に戻って説明する。第2ピニオン36は、第1ピニオン35と係合する部材であり、底部31の下方に軸支されている。ラック37は、第2ピニオン36と係合する水平方向に配置された部材であり、下皿30の前面の水平方向(図5(a)左右方向)に形成されたスライド孔32aに貫設された連結部40を介して操作部41と連結されている。これによりスライド孔32aに沿って操作部41を左右にスライドさせることにより、ラック37を左右に往復動(直線運動)させることができる。なお、第1、第2ピニオン35,36、ラック37は、歯数が、操作部41の1回の往動および復動により開閉部材33が軸部34を中心に90°回動できるように設定されている。
ラック37は、両端部に係止部37が突設されると共に、各端部に付勢手段38(コイルばね)が連結されている。付勢手段38の一端は受皿30に固定された被係止部39に固着されているので、ラック37は付勢手段38a,38bにより被係止部39a,39bの中間位置(初期位置)で均衡状態となる。
受皿30は以上のように構成されているので、操作部41を操作してラック37を左方向(図5(a)左側)にスライドさせると、第2ピニオン36は平面視して時計回りに回動し、第1ピニオン35は反時計回りに回動する。その回動により開閉部材33が反時計回りに回動する。開閉部材33が反時計回りに90°回動すると、開口33aと球抜き孔31bとが軸部34の左側で連通する。これにより、開口33a及び球抜き孔31bを通過して遊技球が軸部34の左側に落下する。このときは被係止部39aに係止部37aが係止され、付勢手段38の付勢力によるラック37の移動が阻止されるので、遊技球が落下される間、遊技者が操作部41を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
次に、操作部41を操作して、被係止部39aから係止部37aを離脱させつつラック37を右方向(図5(a)右側)にスライドさせると、第2ピニオン36は平面視して反時計回りに回動し、第1ピニオン35は時計回りに回動する。その回動により開閉部材33が時計回りに回動する。開閉部材33の回動により開口33aと球抜き孔31bとの連通が解除されると、球抜き孔31bからの遊技球の落下が停止する。
さらに操作部41が右方向にスライドされると、開口33aと球抜き孔31bとが軸部34の右側で連通する。これにより、開口33a及び球抜き孔31bを通過して遊技球が軸部34の右側に落下する。このときは被係止部39bに係止部37bが係止され、付勢手段38の付勢力によるラック37の移動が阻止されるので、遊技球が落下される間、遊技者が操作部41を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
球抜き孔31bからの遊技球の落下を停止するには、操作部41を操作して、被係止部39bから係止部37bを離脱させる。そうすると付勢手段38の付勢力によりラック37は左方向に移動され、その結果、開閉部材33の回動により開口33aと球抜き孔31bとの連通が解除される。ラック37は付勢手段38により被係止部39a,39bの中間位置(初期位置)で均衡状態となるので、遊技者により操作部41が操作されない限り、球抜き孔31bは開閉部材33の閉鎖部33b(開口33a以外の部位)で閉鎖される。これにより遊技球は受皿30に貯留される。
なお、上面33dが遊技球に接触する開閉部材33は、開閉部材33(開口33a)の移動方向の後方(図5(a)左右方向)に向かって開口33aの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部33cを備えている。これにより操作部41を操作すると、受皿30に貯留された遊技球の下側を擦るように上昇傾斜部33cを移動させることができ、開閉部材33を円運動させるときの抵抗を小さくできる。その結果、開閉部材33を円運動させるときの操作部41の操作力を低く抑えることができる。
また、受皿30の開閉部材33は、上面33dが底部31に露呈されており(図5(b)参照)、受皿30に貯留される遊技球に接触するので、開口33aと球抜き孔31bとを連通させるために開閉部材33が円運動されることにより、受皿30に貯留された遊技球のうち開閉部材33に接触するもの(特に開口33a付近の遊技球)が転動される。これにより、貯留された遊技球の配列を崩しブリッジ配列を解消できる。その結果、連通させた開口33a及び球抜き孔31bから遊技球を落下させることができる。即ち、遊技者が球抜き作業を行うために操作部41(図5(a)参照)を操作することにより、受皿30に貯留された遊技球が開口33aの上方で均衡するブリッジ配列を崩すことができると共に、開口33aと球抜き孔31bとを複数位置(本実施の形態では2箇所)で連通させ、遊技球を分散させて落下させることができる。
次に図6を参照して、第3実施の形態について説明する。第2実施の形態では、底部31(凹部31a)に円形の球抜き孔31bが2箇所に形成される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、球抜き孔51cが底部51(凹部51a)の略中央の一箇所に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態および第2実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6(a)は第3実施の形態における受皿50の平面図であり、図6(b)は図6(a)の矢印VIb−VIb線における受皿50の断面図である。
図6(a)に示すように受皿50は、前扉枠5の前面に突設される底部51と、その底部51の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部52とを備えている。受皿50の背面に形成された流入口11には、後方に向けて突出する流入筒11aが接続されており、受皿50は流入筒11aを通って流入口11から流入する遊技球を貯留できる。受皿50の底部51の略中央には平面視して円形状の凹部51aが形成されている。
凹部51aは、開閉部材33が収装される部位であり、凹部51aの周縁の一部(図6(a)上側)から凹部51aの中心(軸部34)に向かって平面視して略半円状に突出される突縁部51bと、その突縁部51b以外の部位であって底部51の厚さ方向に貫通形成された球抜き孔51cとを備えている。
突縁部51bは、開閉部材33の開口33aと重なり合う場合に開口33aを閉鎖するための部位であり、受皿50の奥側(前扉枠5側)の凹部51aの周縁から凹部51aの中心に向かって突設されており、突縁部51bの大きさは開口33aの大きさよりわずかに大きめに形成されている。球抜き孔51cは遊技球を抜き出すための孔であり、凹部51aの突縁部51bを除く部位に形成されている。球抜き孔51cは、開閉部材33の閉鎖部33b(開口33a以外の部位)と重なり合うことで閉鎖される。また、軸部34を中心に開閉部材33が回動されて開口33aと球抜き孔51cとが連通して、その連通部分が遊技球の通過可能な大きさになると、遊技球を落下させることができる。
セクターギヤ53(扇型ギヤ)はラック37と係合する部材であり、図6(b)に示すように、底部51と突設部5aとの間の軸部34に配設されている。セクターギヤ53は軸部34が回動中心に嵌挿されており、軸部34と一体に回動可能に構成されている。これにより、スライド孔32a(図6(a)参照)に沿って操作部41を左右にスライドさせることにより、ラック37を左右に往復動(直線運動)させ、ラック37に係合するセクターギヤ53により軸部34を回動させることができる。なお、セクターギヤ53、ラック37は、歯数が、操作部41の1回の往動および復動により開閉部材33が軸部34を中心にそれぞれ90°回動できるように設定されている。
また、セクターギヤ53は扇型に形成されているので、セクターギヤ53を球抜き孔51cの内側に配置した場合であっても、セクターギヤ53が球抜き孔51cからの球抜き作業の障害となることを防止できる。
受皿50は以上のように構成されているので、図6(a)に示す初期位置において、操作部41を操作してラック37を左方向(図6(a)左側)にスライドさせると、セクターギヤ53は平面視して時計回りに回動する。その回動により開閉部材33が時計回りに回動する。開閉部材33が時計回りに回動し、開口33aと球抜き孔51cとが連通する連通部分が遊技球の通過可能な大きさになると、遊技球が球抜き孔51cの右側から落下する。遊技球の落下位置は、開閉部材33が回動して開口33aの位置が時計回りに変化するのに伴い変化する。ラック37が水平移動され被係止部39aに係止部37aが係止されると、付勢手段38の付勢力によるラック37の移動が阻止されるので、遊技球が落下される間、遊技者が操作部41を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
次に、操作部41を操作して、被係止部39aから係止部37aを離脱させつつラック37を右方向(図6(a)右側)にスライドさせると、セクターギヤ53は平面視して反時計回りに回動する。その回動により開閉部材33が反時計回りに回動する。開閉部材33の回動により開口33aが突縁部51bに到達して、開口33aと球抜き孔31bとの連通部分が、遊技球が通過できない程度の大きさになると、球抜き孔31bからの遊技球の落下が停止する。
さらに操作部41が右方向にスライドされると、開閉部材33が反時計回りに回動し、開口33aが突縁部51bを通過する。開口33aと球抜き孔51cとが連通する連通部分が遊技球の通過可能な大きさになると、遊技球が球抜き孔51cの左側から落下する。遊技球の落下位置は、開閉部材33が回動して開口33aの位置が反時計回りに変化するのに伴い変化する。ラック37が水平方向に移動され被係止部39bに係止部37bが係止されると、付勢手段38の付勢力によるラック37の移動が阻止されるので、遊技球が落下される間、遊技者が操作部41を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
球抜き孔31bからの遊技球の落下を停止するには、操作部41を操作して、被係止部39bから係止部37bを離脱させる。そうすると付勢手段38の付勢力によりラック37は左方向に移動され、その結果、開閉部材33の回動により開口33aと突縁部51bとが重なり合い、開口33aと球抜き孔51cとの連通が解除される。ラック37は付勢手段38により被係止部39a,39bの中間位置(初期位置)で均衡状態となるので、遊技者により操作部41が操作されない限り、球抜き孔51cは開閉部材33の閉鎖部33b(開口33a以外の部位)で閉鎖される。これにより遊技球は受皿30に貯留される。
また、受皿30の開閉部材33は、上面33dが底部31に露呈されており(図6(b)参照)、受皿30に貯留される遊技球に接触するので、開口33aと球抜き孔51cとを連通させるために開閉部材33が円運動されることにより、受皿50に貯留された遊技球のうち開閉部材33に接触するもの(特に開口33a付近の遊技球)が転動される。これにより、貯留された遊技球の配列を崩しブリッジ配列を解消できる。その結果、連通させた開口33a及び球抜き孔51cから遊技球を落下させることができる。即ち、遊技者が球抜き作業を行うために操作部41(図6(a)参照)を操作することにより、受皿50に貯留された遊技球が開口33aの上方で均衡するブリッジ配列を崩すことができると共に、開口33aと球抜き孔51cとを複数位置(本実施の形態では突縁部31bとセクターギヤ53との間の広範囲)で連通させ、遊技球を球抜き孔51cの左右に分散させて落下させることができる。
次に図7を参照して、第4実施の形態について説明する。第1実施の形態から第3実施の形態では、第1開閉部材17や開閉部材33が円運動される場合について説明した。これに対し第4実施の形態では、受皿60の底部61に配設された開閉部材63が直線運動可能に構成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図7(a)は第4実施の形態における受皿60の平面図であり、図7(b)は図7(a)の矢印VIIb−VIIb線における受皿60の断面図であり、図7(c)は図7(a)の矢印VIIc−VIIc線における受皿60の断面図である。
図7(a)に示すように受皿60は、前扉枠5の前面に突設される底部61と、その底部61の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部62とを備えている。受皿60の底部61の前後方向(図7(a)上下方向)の略中央には平面視して矩形状の横長の凹部61aが形成されている。
凹部61aは、開閉部材63が収装される部位であり、凹部61aの深さ(底部61の上面61cと凹部61aの底面との距離)は開閉部材63の厚さより少し大きめに形成されている(図7(b)参照)。これにより凹部61aに収装された開閉部材63の上面63dと、底部61の上面61cとを同一面に位置させることができる。凹部61aに収装された開閉部材63の上面63dが底部61の上面61cより高い位置にあると、受皿60に貯留された遊技球の円滑な移動(底部61から開閉部材63への移動)が妨げられるからである。
凹部61aは、底部61を貫通する球抜き孔61bが間隔をあけて左右の2箇所に形成されている。球抜き孔61bは遊技球を抜き出すための孔であり、遊技球の外径より大きい内径を有する円形状に形成されている。2つの球抜き孔61bは、平面視して凹部61aの左右方向(図7(a)左右方向)の中心を挟んで対称状に配置されている。これにより、2つの球抜き孔61bから落下される遊技球を、受皿の左右に散らすことができる。
開閉部材63は、凹部61aの幅(図7(a)上下方向)よりわずかに小さい幅を有すると共に、左右の球抜き孔61bを閉鎖可能な長さに設定された横長の矩形状の部材であり、凹部61aに直線(往復)運動可能に配設されている。開閉部材63は、長手方向(図7(a)左右方向)の略中央に円形状の開口63aが厚さ方向に貫通形成されている。開口63aは、遊技球を抜き出すための部位であり、遊技球の外径より大きい内径を有している。これにより球抜き孔61bと開口63aとが連通し球抜き孔61bが開放されることにより、球抜き孔61bから遊技球を抜き出すことができ、球抜き孔61bの上方に開口63a以外の部位(開閉部材61の閉鎖部)が位置して球抜き孔61bが閉鎖されることにより、球抜き孔61bからの遊技球の落下が阻止され受皿60への遊技球の貯留が可能となる。
図7(b)に示すように、開閉部材63は、開口63aの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部63bを備えている。上昇傾斜部63bは、開閉部材63の直線運動時の抵抗(受皿60に貯留された遊技球の中を移動することによる抵抗)を低減するための部位であり、開口63aの移動方向(図7(a)左右方向)に向かって開口63aの縁端から上昇傾斜している。
また、開閉部材63は、長手方向の両端部にも縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部63cが形成されている。上昇傾斜部63cは、開閉部材63の直線運動時の抵抗(受皿60に貯留された遊技球の中を移動することによる抵抗)を低減するための部位であり、開閉部材63の移動方向(図7(a)左右方向)に向かって縁端から上昇傾斜している。
なお、図7(c)に示すように、凹部61aは、幅方向(図7(c)左右方向)において、内壁61a1が上端に向かうにつれて内側(開閉部材63側)に向かってテーパー状に迫り出しているので、開閉部材63が凹部61aから離脱することが防止される。
図7(a)に戻って説明する。開閉部材63は、前方に延設された連結部64を介して、遊技者により操作される操作部65に直結されている。連結部64は、下皿60の前面の水平方向(図7(a)左右方向)に形成されたスライド孔62aに貫設される部材であり、その連結部64に連結された操作部65がスライド孔62aから露呈している。これによりスライド孔62aに沿って操作部65を左右にスライドさせることにより、連結部65を介して開閉部材63を左右に往復動(直線運動)させることができる。
連結部64は、左右に付勢手段66(コイルばね)が連結されている。付勢手段66の一端は受皿60に固定された被係止部67に固着されているので、連結部64は付勢手段66により被係止部67の中間位置(初期位置)で均衡状態となる。このときは図7(b)に示すように、開閉部材63に形成された開口63aは底部61で閉鎖され、底部61に形成された球抜き孔61bは開閉部材63で閉鎖される。これにより受皿60に遊技球が貯留される。
一方、操作部65を操作して連結部64を左右方向(図7(a)左右方向)にスライドさせると、操作部65に直結された開閉部材63は左右に往復動(直線運動)される。その結果、開口63aと球抜き孔61bとが連通すると、開口63a及び球抜き孔61bを通過して遊技球が底部61の左右から落下する。開閉部材63が左または右にスライドされ開口63aと球抜き孔61bとが連通するときは、連結部64に突設された係止部(図示せず)が被係止部67に係止され、付勢手段66の付勢力による連結部64の移動が阻止される。これにより、遊技球が落下される間、遊技者が操作部65を押さえ続ける必要がなく、遊技者の負担を軽減することができる。
球抜き孔61bからの遊技球の落下を停止するには、操作部65を操作して、被係止部67から係止部(図示せず)を離脱させる。そうすると付勢手段66の付勢力により連結部64及び開閉部材63は初期位置(均衡状態)に移動され(図7(a)参照)、その結果、開口63aと球抜き孔61bとの連通が解除される。受皿60は、以上のような簡易な機構で、遊技球を左右に振り分けて収容箱(図示せず)に排出することが可能となる。
なお、上面63dが底部61に露呈し遊技球に接触する開閉部材63は、開閉部材63(開口63a)の移動方向の後方(図7(a)左右方向)に向かって開口63aの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部63bを備えている。これにより操作部65を操作すると、受皿60に貯留された遊技球の下側を擦るように上昇傾斜部63bを移動させることができ、開閉部材63を直線運動させるときの抵抗を小さくできる。その結果、開閉部材63を直線運動させるときの操作部65の操作力を低く抑えることができる。
また、開閉部材63は、開閉部材63(開口63a)の移動方向の後方(図7(a)左右方向)に向かって長手方向両端部の縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部63cを備えている。これにより操作部65を操作すると、受皿60に貯留された遊技球の下側を擦るように上昇傾斜部63cを移動させることができ、開閉部材63を直線運動させるときの抵抗を小さくできる。その結果、開閉部材63を直線運動させるときの操作部65の操作力をさらに低く抑えることができる。
また、開閉部材63は、上面63dが底部61に露呈されており(図7(b)参照)、受皿60に貯留される遊技球に接触するので、開口63aと球抜き孔61bとを連通させるために開閉部材63が直線運動されることにより、受皿60に貯留された遊技球のうち開閉部材63に接触するもの(特に開口63a付近の遊技球)が転動される。これにより、貯留された遊技球の配列を崩しブリッジ配列を解消できる。その結果、連通させた開口63a及び球抜き孔61bから遊技球を落下させることができる。即ち、遊技者が球抜き作業を行うために操作部65(図7(a)参照)を操作することにより、受皿60に貯留された遊技球が開口63aの上方で均衡するブリッジ配列を崩すことができると共に、開口63aと球抜き孔61bとを複数位置(本実施の形態では2箇所)で連通させ、遊技球を分散させて落下させることができる。
次に図8を参照して、第5実施の形態について説明する。第4実施の形態では開閉部材63が直線運動される場合について説明した。第5実施の形態では、第4実施の形態と比較して小さな操作力で開閉部材63を直線運動できる受皿70について説明する。なお、第4実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8(a)は第5実施の形態における受皿70の平面図であり、図8(b)は図8(a)の矢印VIIIb−VIIIb線における受皿70の断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、受皿70は底部61に形成された凹部61aの左右方向両端部の上方に覆設された薄板状のカバー部71を備えている。カバー部71は、開閉部材63と凹部61aとの間に遊技球が侵入することを防止するための部材であり、凹部61aが形成された底部61の前後に跨って配置されている。これにより、開閉部材63の直線運動時の抵抗(受皿70に貯留された遊技球の中を移動することによる抵抗)を低減することができ、遊技者による操作部65の操作力を小さくできる。また、凹部61aの左右方向両端部の上方にカバー部71が覆設されることにより、第4実施の形態で説明した上昇傾斜部63c(図7(a)及び図7(b)参照)を不要にできる。
なお、カバー部71は、内側端部71aが初期位置(均衡状態)にある開閉部材63の両端部の上方に位置する(カバー部71と開閉部材63とが一部重なり合う)ので、ゴミや埃等を凹部61a内に侵入し難くできる。これにより、侵入したゴミや埃等により開閉部材63がスムーズに直線運動できなくなることを防止できる。
付勢手段72は、開閉部材63を初期位置(均衡状態)に定置させるための手段であり、板ばねにより形成されている。付勢手段72は、開閉部材63の移動方向端部に一端が連結され他端が凹部61aの長手方向内側端部に固定されている。カバー部71で覆われた凹部61a内の空間に付勢手段72が配設されているので、空間を有効活用することができ、開閉部材63の移動機構を小型化できる。
次に図9を参照して、第6実施の形態について説明する。第4実施の形態および第5実施の形態では、複数の球抜き孔61bが左右方向の同一直線上に位置する場合について説明した。これに対し第6実施の形態では、球抜き孔81a,81bと前扉枠5の前面との水平距離を異ならせた場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図9(a)は第6実施の形態における受皿80の平面図であり、図9(b)は図9(a)の矢印IXb−IXb線における受皿80の断面図である。
図9(a)に示すように受皿80は、前扉枠5の前面に突設される底部81(図9(b)参照)と、その底部81の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部82とを備えている。受皿80の底部81には、遊技者側(手前側)及び前扉枠5側(奥側)に球抜き孔81a,81bが厚さ方向に貫通形成されている。遊技者側(手前側)の球抜き孔81aは、前扉枠5側(奥側)の球抜き孔81bに比べて開口面積が大きくなるように設定されている。また、球抜き孔81a,81bは底部81の左右方向の中心に対して左右両側に位置するように形成されている。
開閉部材83は、底部81の幅(図9(a)上下方向)よりわずかに大きい幅を有すると共に、左右の球抜き孔81a,81bを閉鎖可能な長さに設定された横長の矩形状の部材であり、底部81の上に配設される。開閉部材83は、幅方向端部83eが、側壁部82の内面および前扉枠5の前面にそれぞれ形成された案内溝(図示せず)に遊嵌されている。これにより、案内溝に沿って底部81の上を直線(往復)運動することができる。
開閉部材83は、長手方向(図9(a)左右方向)の略中央に円形状の開口83a,83cが厚さ方向に貫通形成されている。開口83a,83cは、遊技球を抜き出すための部位であり、遊技球の外径より大きい内径を有している。また、遊技者側(手前側)の開口83aは、前扉枠5側(奥側)の開口83cに比べて開口面積が大きくなるように設定されている。球抜き孔81a,81bと開口83a,83cとが交互に連通し球抜き孔81a,81bが開放されることにより、球抜き孔81a,81bから遊技球を抜き出すことができる。また、球抜き孔81a,81bの上方に開口83a,83c以外の部位(開閉部材83の閉鎖部)が位置して球抜き孔81a,81bが閉鎖されることにより、球抜き孔81a,81bからの遊技球の落下が阻止され受皿80への遊技球の貯留が可能となる。
また、遊技者側(手前側)の開口83a及び球抜き孔81aは、前扉枠5側(奥側)の開口83c及び球抜き孔81bに比べて開口面積が大きくなるように設定されているので、2つの球抜き孔81a,81bが開放される時間が同一であれば、遊技者側(手前側)の開口83a及び球抜き孔81aからの遊技球の抜出量を多くすることができる。一般に、受皿80(底部81)の奥行きに対して遊技球の収容箱の奥行き(幅)は大きく設定されているので、受皿80の下方に収容箱を載置すると、受皿80から収容箱が遊技者側(手前側)に突出する。受皿80によれば、遊技者側(手前側)の開口83a及び球抜き孔81aからの遊技球の抜出量を多くすることができるので、収容箱の奥行き(幅)を利用して遊技球を均すことができる。
図9(b)に示すように、開閉部材83は、開口83a,83cの縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部83b,83dを備えている。上昇傾斜部83b,83dは、開閉部材83の直線運動時の抵抗(受皿80に貯留された遊技球の中を移動することによる抵抗)を低減するための部位であり、開口83a,83cの移動方向(図9(a)左右方向)に向かって開口83a,83cの縁端から上昇傾斜している。
図9(a)に戻って説明する。開閉部材83は、前方に延設された連結部84を介して、遊技者により操作される操作部85に直結されている。連結部84は、パチンコ機1(図1参照)の前面に形成されるスライド孔(図示せず)に貫設される部材であり、その連結部84に連結された操作部85がスライド孔から露呈している。これによりスライド孔に沿って操作部84を左右にスライドさせることにより、連結部84を介して開閉部材83を左右に往復動(直線運動)させることができる。
受皿80は、開閉部材83の直線運動を妨げない位置であって底部81の左右方向端部に覆設された薄板状のカバー部86を備えている。カバー部86は、開閉部材63の左右方向端面83fと側壁部82との間に遊技球が侵入することを防止するための部材であり、底部81の前後の前扉枠5と側壁部82との間に跨って配置されている。これにより、開閉部材83の左右方向端面83fと側壁部82との間に遊技球が侵入して開閉部材83が移動不能になることを防止することができる。
付勢手段87は、開閉部材83を初期位置(均衡状態)(図9(a)参照)に定置させるための手段であり、板ばねにより形成されている。付勢手段87は、開閉部材73の左右方向端面83fに一端が連結され他端が側壁部82に固定されている。カバー部86と底部81との間に付勢手段87が配設されているので、空間を有効活用することができ、開閉部材83の移動機構を小型化できる。
次に図10を参照して、第7実施の形態について説明する。第1実施の形態から第6実施の形態では、底部14,31,51,61,81に複数若しくは大径の球抜き孔31b,51c,61b,81a,81b(開口17a,18a)が形成され、その複数の球抜き孔(開口)を交互に開閉したり開口の位置を変えたりすることにより遊技球を分散して落下させる場合について説明した。これに対し第7実施の形態では、球抜き孔91aが複数の閉鎖部材93,94で閉鎖され、その複数の閉鎖部材93,94を交互に移動させることにより球抜き孔91aを部分的に開閉する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図10(a)は第7実施の形態における受皿90の平面図であり、図10(b)は図10(a)の矢印Xb−Xb線における受皿90の断面図である。
図10(a)に示すように受皿90は、前扉枠5の前面に突設される底部91と、その底部91の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部92とを備えている。受皿90の底部91の略中央には、前後方向(図10(a)上下方向)の内径に比べて左右方向の内径が大きな平面視して長円状の球抜き孔91aが貫通形成されている。球抜き孔91aは周縁がテーパー状に縮径し下降傾斜する縮径部91bを備えている。縮径部91bにより、球抜き孔91aからの遊技球の抜き出しをスムーズに行うことができる。
閉鎖部材93,94は、球抜き孔91aを開閉するための部材であり、球抜き孔91aを閉鎖するときに互いに突き合わされる2つの部材により構成されている。閉鎖部材93,94は、それぞれが平面視して矩形の板状に形成されており、球抜き孔91aの短径(図10(a)上下方向)より大きい幅に形成されると共に、2つを互いに突き合わせたときに球抜き孔91aの長径(図10(a)左右方向)より大きい長さになるように大きさが設定されている。閉鎖部材93,94は、底部91の下面(球抜き孔91aの下方)に密着して配設されており、閉鎖部材93,94を互いに突き合わせた初期位置では(図10(a)参照)、球抜き孔91aが閉鎖される(閉鎖状態)。閉鎖部材93,94は、付勢手段95により、初期位置を維持し球抜き孔91aを閉鎖する向きに付勢されている。
図10(b)に示すように、閉鎖部材93,94は、底部91の下方にレール96が水平に配設されており、そのレール96に閉鎖部材93,94の前後方向端部が案内されることにより底部91の下方を左右に直線(往復)運動できるように構成されている。なお、レール96の左右方向の中心には、閉鎖部材93,94の移動を規制するストッパ(図示せず)が配設されている。ストッパは、各閉鎖部材93,94が、付勢手段95の付勢力によって初期位置を越えて移動しないようにするための部材である。
これにより、閉鎖部材93,94は底部91に対する傾斜角度を略一定に維持した状態でスライドされる。その結果、水平方向に配置された軸を中心に閉鎖部材が回動される場合と比較して、収容箱が載置される閉鎖部材93,94の下方空間を小さくできる。
また、水平方向に配置された軸を中心に閉鎖部材が回動される場合は、収容箱に遊技球が高く積もってしまうと、遊技球に妨げられて閉鎖部材を開閉できなくなるおそれがある。これに対し、底部91に対する傾斜角度を略一定に維持した状態で閉鎖部材93,94がスライドされる構成とすることで、収容箱に収容された遊技球の量(盛り上がって収容箱に積まれた遊技球の高さ)に関わらず、閉鎖部材93,94を開閉し球抜き孔91aから遊技球を落下できる。
ここで、受皿90の前面には、遊技者が操作することにより閉鎖部材93,94を左右に移動させることのできる操作部97(図10(a)参照)が、左右にスライド可能に配設されている。操作部97から棒状の連結部98が前扉枠5方向に延設されており、その連結部98の前扉枠5側の端部もレール96に案内されている。これにより、操作部97及び連結部98を安定して左右にスライドさせることが可能である。
閉鎖部材93,94は、突合せ部93a,94a寄りの下面から下方に向けて前後方向(図10(b)紙面垂直方向)に亘って突条状に形成された突起93b,94bが突設されている。閉鎖部材93,94が突き合わされた状態で、左右の突起93b,94bの間に連結部98が位置するように構成されている。これにより、操作部97が左方向にスライドされると、連結部98が突起93bを押動し閉鎖部材93が左方向に移動される。その結果、球抜き孔91aの左半分が開放された状態となる。一方、突起94bは連結部98に押動されないので、閉鎖部材94は付勢手段95により付勢されるもののストッパ(図示せず)により初期位置が維持される。これにより受皿90に貯留された遊技球は、球抜き孔91aの左半分から落下する(第1開放状態)。
一方、操作部97が右方向にスライドされると、連結部98が突起94bを押動し閉鎖部材94が右方向に移動される。その結果、球抜き孔91aの右半分が開放された状態となる。一方、突起93bは連結部98に押動されないので、閉鎖部材93は付勢手段95により付勢されるもののストッパ(図示せず)により初期位置が維持される。これにより受皿90に貯留された遊技球は、球抜き孔91aの右半分から落下する(第2開放状態)。
以上のように操作部97を左右にスライドさせることにより各閉鎖部材93,94を押動し、球抜き孔91aの異なる部分を開放させ、遊技球を異なるところに落下させることができる。このような簡易な機構で受皿90の下方に載置した収容箱の一箇所に遊技球が高く積もらないようにできる。
また、底部91(球抜き孔91a)の下方には、前扉枠5の前面から手前側(遊技者側)に向かって板状の誘導部材99が突設されている。誘導部材99は、球抜き孔91aから落下した遊技球を分散するように誘導するための部材であり、平面視して球抜き孔91aと重なり合うように配置されている。誘導部材99は、上面99aが遊技者側に下降傾斜するように形成されている。これにより、球抜き孔91aから落下した遊技球は誘導部材99の上面99aに衝突し、上面99aの傾斜に沿って遊技者側に誘導される。その結果、遊技球の抜き出し作業のときには、球抜き孔91aの下方に載置された収容箱(図示せず)の手前側にも広範囲に遊技球を散布することができる。これにより収容箱の一箇所(特に収容箱の奥側)に遊技球が高く積もることが防止される。
次に図11を参照して、第8実施の形態について説明する。第7実施の形態では、球抜き孔91aが底部91の略中央に形成される場合について説明した。これに対し第8実施の形態では、球抜き孔101aが底部101の遊技者寄り(側壁部102近傍)に形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図11(a)は第8実施の形態における受皿100の平面図であり、図11(b)は図11(a)の矢印XIb−XIb線における受皿100の断面図であり、図11(c)は図11(a)の矢印XIc−XIc線における受皿100の断面図である。
図11(a)に示すように受皿100は、前扉枠5の前面に突設される底部101と、その底部101の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部102とを備えている。受皿100の底部101の遊技者寄り(側壁部近傍)であって左右方向の略中心には、前後方向(図11(a)上下方向)の内径に比べて左右方向の内径が大きな平面視して長円状の球抜き孔101aが貫通形成されている。球抜き孔101aは周縁がテーパー状に縮径し下降傾斜する縮径部101bを備えている。縮径部101bにより、球抜き孔101aからの遊技球の抜き出しをスムーズに行うことができる。
図11(b)に示すように、底部101は、左右の側壁部102から左右方向の中心に向かって上面が下降傾斜して形成されている。これにより球抜き孔101aへの遊技球の流下をスムーズに行うことができる。また、底部101を転動する遊技球の移動速度を傾斜によって大きくすることができ、球抜き孔101aが開放された場合には、球抜き孔10aから放り出される遊技球の初速の水平方向(左右方向)成分を大きくすることができる。
図11(c)に示すように、底部101は、前扉枠5から遊技者側(図11(c)左側)に向かって上面が下降傾斜して形成されている。これにより球抜き孔101aへの遊技球の流下をスムーズに行うことができる。また、底部101を転動する遊技球の移動速度を傾斜によって大きくすることができ、球抜き孔101aが開放された場合には、球抜き孔101aから放り出される遊技球の初速の水平方向(前後方向)成分を大きくすることができる。
図11(a)に戻って説明する。閉鎖部材103,104は、球抜き孔101aを開閉するための部材であり、球抜き孔101aを閉鎖するときに互いに突き合わされる2つの部材により構成されている。閉鎖部材103,104は、それぞれが平面視して矩形の板状に形成されており、球抜き孔101aの短径(図11(a)上下方向)より大きい幅に形成されると共に、2つを互いに突き合わせたときに球抜き孔101aの長径(図11(a)左右方向)より大きい長さになるように大きさが設定されている。閉鎖部材103,104は、底部101の下面(球抜き孔101aの下方)に密着して配設されており、閉鎖部材103,104を互いに突き合わせた初期位置では(図11(a)参照)、球抜き孔101aが閉鎖される(閉鎖状態)。閉鎖部材103,104は、付勢手段105により、初期位置を維持し球抜き孔101aを閉鎖する向きに付勢されている。
図11(b)に示すように、閉鎖部材103,104は、底部101の傾斜に合わせて中央から外側に向かって漸次厚くなるように形成されている。これにより各閉鎖部材103,104は、底部101と同様に、左右の外側から中央に向かって上面が下降傾斜する。また、閉鎖部材103,104は、底部101の下方にレール106が水平に配設されており、そのレール106に閉鎖部材103,104の前後方向端部が案内されることにより底部101の下方を左右に直線(往復)運動できるように構成されている。なお、レール106の左右方向の中心には、閉鎖部材103,104の移動を規制するストッパ(図示せず)が配設されている。ストッパは、各閉鎖部材103,104が、付勢手段105の付勢力によって初期位置を越えて移動しないようにするための部材である。
受皿100の前面には、遊技者が操作することにより閉鎖部材103,104を左右に移動させることのできる操作部107(図11(a)参照)が、左右にスライド可能に配設されている。操作部107から棒状の連結部108が前扉枠5方向に延設されており、その連結部108の前扉枠5側の端部もレール106に案内されている。これにより、操作部107及び連結部108を安定して左右にスライドさせることが可能である。
閉鎖部材103,104は、突合せ部103a,104a寄りの下面から下方に向けて前後方向(図11(b)紙面垂直方向)に亘って突条状に形成された突起103b,104bが突設されている。閉鎖部材103,104が突き合わされた状態で、左右の突起103b,104bの間に連結部108が位置するように構成されている。これにより、操作部107が左方向にスライドされると、連結部108が突起103bを押動し閉鎖部材103が左方向に移動される。その結果、球抜き孔101aの左半分が開放された状態となる。一方、突起104bは連結部108に押動されないので、閉鎖部材104は付勢手段105により付勢されるもののストッパ(図示せず)により初期位置が維持される。これにより受皿100に貯留された遊技球は、球抜き孔101aの左半分から落下する(第1開放状態)。
この第1開放状態では閉鎖部材103が移動する結果、図11(b)に示すように、底部101(図11(b)右側)及び閉鎖部材104から球抜き孔101aに流下する遊技球の量を、底部101(図11(b)左側)から球抜き孔101aに流下する遊技球の量より多くできる。また、底部101(図11(b)右側)及び閉鎖部材104は球抜き孔101aに向かって下降傾斜しているので、底部101(図11(b)右側)及び閉鎖部材104を移動して球抜き孔101aに到達する遊技球の速度(水平方向成分)を、底部101(図11(b)左側)を移動して球抜き孔101aに到達する遊技球の速度(水平方向成分)より大きくできる。
即ち、閉鎖部材104を通って球抜き孔101aから落下する遊技球(遊技球群)のエネルギーを、閉鎖部材104を通らずに球抜き孔101aから落下する遊技球(遊技球群)のエネルギーより大きくできる。これにより、球抜き孔101aから図11(b)左側に落下する遊技球の落下点の水平距離(落下点と球抜き孔101aとの水平距離)を大きくできる(遊技球の軌跡を変えることができる)。その結果、遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
一方、操作部107が右方向にスライドされると、連結部108が突起104bを押動し閉鎖部材104が右方向に移動される。その結果、球抜き孔101aの右半分が開放された状態となる。一方、突起103bは連結部108に押動されないので、閉鎖部材103は付勢手段105により付勢されるもののストッパ(図示せず)により初期位置が維持される。これにより受皿100に貯留された遊技球は、球抜き孔101aの右半分から落下する(第2開放状態)。
この第2開放状態では閉鎖部材104が移動する結果、図11(b)に示すように、底部101(図11(b)左側)及び閉鎖部材103から球抜き孔101aに流下する遊技球の量を、底部101(図11(b)右側)から球抜き孔101aに流下する遊技球の量より多くできる。また、底部101(図11(b)左側)及び閉鎖部材103は球抜き孔101aに向かって下降傾斜しているので、底部101(図11(b)左側)及び閉鎖部材103を移動して球抜き孔101aに到達する遊技球の速度(水平方向成分)を、底部101(図11(b)右側)を移動して球抜き孔101aに到達する遊技球の速度(水平方向成分)より大きくできる。
即ち、閉鎖部材103を通って球抜き孔101aから落下する遊技球(遊技球群)のエネルギーを、閉鎖部材103を通らずに球抜き孔101aから落下する遊技球(遊技球群)のエネルギーより大きくできる。これにより、球抜き孔101aから図11(b)右側に落下する遊技球の落下点の水平距離(落下点と球抜き孔101aとの水平距離)を大きくできる。その結果、遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
また、第1開放状態および第2開放状態では、図11(c)に示すように球抜き孔101aが側壁部(移動規制手段)102に近接されているので、底部101(図11(c)右側)から閉鎖部材103,104を通って球抜き孔101aに流下する遊技球の量を、底部101(図11(b)左側)から球抜き孔101aに流下する遊技球の量より多くできる。また、底部101及び閉鎖部材103,104は球抜き孔101aに向かって側壁部102側(遊技者側)に下降傾斜しているので、底部101及び閉鎖部材103,104を移動して球抜き孔101aに到達する遊技球の速度(前後方向成分)を大きくできる。
即ち、底部101及び閉鎖部材103,104を通って球抜き孔101aから落下する遊技球(遊技球群)のエネルギーを大きくできる。これにより、球抜き孔101aから図11(c)左側(遊技者側)に落下する遊技球の落下点の水平距離(落下点と球抜き孔101aとの水平距離)を大きくできる(遊技球の軌跡を変えることができる)。その結果、収容箱の手前側に遊技球を誘導しつつ遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
次に図12を参照して、第9実施の形態について説明する。第8実施の形態では、球抜き孔101aが底部101の遊技者寄り(側壁部102近傍)に形成される場合(側壁部102を利用して遊技球の移動を規制する場合)について説明した。これに対し第9実施の形態では、底部101に突条112を立設して遊技球の移動を規制する場合について説明する。なお、第8実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図12(a)は第9実施の形態における受皿110の平面図であり、図12(b)は図12(a)の矢印XIIb−XIIb線における受皿110の断面図である。
図12(a)に示すように受皿110は、底部101の略中央に前後方向(図12(a)上下方向)の内径に比べて左右方向の内径が大きな平面視して長円状の球抜き孔111aが貫通形成されている。球抜き孔111aは周縁がテーパー状に縮径し下降傾斜する縮径部111bを備えている。縮径部111bにより、球抜き孔111aからの遊技球の抜き出しをスムーズに行うことができる。
底部101には、側壁部102(遊技者側、図12(a)下側)と球抜き孔111aとの間に平面視して略円弧状に形成された突条112が立設されている。突条112は、遊技球の移動を規制するための部材(移動規制手段)であり、突条112により、突条112の背部である球抜き孔111aの前部111a1から遊技球を流下し難くできる。さらに、突条112により、突条112と側壁部102との間にある遊技球を突条112に沿って底部101の左右に誘導することができる。突条112は、図12(b)に示すように、遊技球の転動(移動)を妨げることができると共に、突条112と側壁部102との間に遊技球が詰まらない程度の高さに設定されている。
これにより、突条112と側壁部102との間にある遊技球は、突条112に沿って球抜き孔111aを迂回して底部101の左右方向に移動される。底部101の左右方向に移動した遊技球は、閉鎖部材103,104の開閉に伴い、球抜き孔111aの左右に大きく放出され落下する。
また、遊技球は、球抜き孔111aの前部111a1からは突条112により流下し難くなるので、突条112に沿って迂回する。突条112を迂回して球抜き孔111aに流下した遊技球は、底部101の前扉枠5から側壁部102への下降傾斜(手前側への下降傾斜)によって、球抜き孔111aの手前側に大きく放出される。その結果、遊技球を収容箱の手前側に落下させることができ、遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
次に図13を参照して、第10実施の形態について説明する。第7実施の形態から第9実施の形態では、球抜き孔91a,101a,111aが複数の閉鎖部材93,94,103,104によって左右に分割して開閉される場合について説明した。これに対し第10実施の形態では、球抜き孔121aが複数の閉鎖部材123,124により前後に分割して開閉される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図13(a)は第10実施の形態における受皿120の平面図であり、図13(b)は図13(a)の矢印XIIIb−XIIIb線における受皿120の断面図であり、図13(c)は図13(a)の矢印XIIIc−XIIIc線における受皿120の断面図である。
図13(a)に示すように受皿120は、前扉枠5の前面に突設される底部121と、その底部121の周囲(前扉枠5の前面を除く)に立設される側壁部122とを備えている。受皿120の底部121の略中央には前後方向(図13(a)上下方向)の内径に比べて左右方向の内径が小さな平面視して長円状の球抜き孔121aが貫通形成されている。
図13(b)に示すように、底部121は、左右の側壁部122から左右方向の中心に向かって上面がわずかに下降傾斜乃至は略水平に形成されている。球抜き孔121aへ向かって底部121を下降傾斜させることにより球抜き孔121aへの遊技球の流下をスムーズに行うことができる。また、図13(c)に示すように、底部121は、前扉枠5から底部121の略中心に向かって上面が下降傾斜する傾斜領域121bと、底部121の略中心から手前側に向かって略水平に形成される水平領域121cとを備えている。これにより底部121の傾斜領域121bからの球抜き孔121aへの遊技球の流下をスムーズに行うことができる。
図13(a)に戻って説明する。閉鎖部材123,124は、球抜き孔121aを開閉するための部材であり、前扉枠5の前面に沿って平行方向に移動可能に形成される2つの部材により構成されている。閉鎖部材123,124は、それぞれが平面視して矩形の板状に形成されており、平面視して球抜き孔121aの短径(図13(a)左右方向)より大きい幅に形成されると共に、2つを密接させて並べたときに球抜き孔121aの長径(図13(a)上下方向)より大きい長さになるように大きさが設定されている。閉鎖部材123,124は、底部121の下面(球抜き孔121aの下方)に密着して配設されており、閉鎖部材123,124を密接させて並べた初期位置では(図13(a)参照)、球抜き孔121aが閉鎖される(閉鎖状態)。
閉鎖部材123,124は、付勢手段125により、底部121の中心に向かって初期位置を維持するように付勢されている。閉鎖部材123,124はガイド部126により位置が規制されている。ガイド部126は、閉鎖部材123,124を左右方向に移動できるように案内し、閉鎖部材123,124により球抜き孔121aを開閉できるようにすると共に、球抜き孔121aを超えて付勢手段125の反対側に移動できないように閉鎖部材123,124の位置を規制するための部材である。
図13(c)に示すように、閉鎖部材123,124は、底部121の傾斜に沿って配置されている。これにより底部121の傾斜領域121bに配設された閉鎖部材123は、底部121と同様に前方(図13(c)左側)に向かって上面が下降傾斜する。
図13(a)に示すように、受皿120の前面には、遊技者が操作することにより閉鎖部材123,124を左右に移動させることのできる操作部127が、左右にスライド可能に配設されている。操作部127から棒状の連結部128が前扉枠5方向に延設されている。連結部128は、閉鎖部材123,124の下面に沿うように後部側(傾斜領域121b側)が上向きに屈曲形成されている。連結部128の前扉枠5側の後端部は、前扉枠5の前面に形成されたガイド部(図示せず)に移動可能に支持されている。これにより、操作部127及び連結部128を安定して左右にスライドさせることが可能である。
閉鎖部材123,124は、底部121の中心側の下面から下方に向けて前後方向(図13(a)上下方向)に亘って突条状に形成された突起123a,124aが突設されている。閉鎖部材123a,124aを並べた状態で、左右の突起123a,124aの間に連結部128が位置するように構成されている。これにより、操作部127が左方向にスライドされると、連結部128が突起123aを押動し閉鎖部材123がガイド部126に沿って左方向に移動される。その結果、球抜き孔121aの傾斜領域121b側が開放された状態となる。一方、突起124aは連結部128に押動されないので、閉鎖部材124は付勢手段125により付勢されるもののガイド部126により初期位置が維持される。これにより受皿120に貯留された遊技球は、球抜き孔121aの奥側(傾斜領域121b)から落下する(第1開放状態)。
この第1開放状態では、底部121の水平領域121c側から球抜き孔121aに流下する遊技球の量を、底部121の傾斜領域121b側から球抜き孔121aに流下する遊技球の量より多くできる。これにより、球抜き孔121aから落下する遊技球の落下点を、主に傾斜領域121bに位置する球抜き孔121aの下方にすることができる。
一方、操作部127が右方向にスライドされると、連結部128が突起124aを押動し閉鎖部材124がガイド部126に沿って右方向に移動される。その結果、球抜き孔121aの水平領域121c側が開放された状態となる。一方、突起123aは連結部128に押動されないので、閉鎖部材123は付勢手段125により付勢されるもののガイド部126により初期位置が維持される。これにより受皿120に貯留された遊技球は、球抜き孔111aの手前側(水平領域121c)から落下する(第2開放状態)。
この第2開放状態では、底部121の傾斜領域121b側から球抜き孔121aに流下する遊技球の量を、底部121の水平領域121c側から球抜き孔121aに流下する遊技球の量より多くできる。さらに、底部121の傾斜領域121b側から球抜き孔121aに流下する遊技球は、傾斜領域121b側の上面が下降傾斜する閉鎖部材123に沿って流下するので、球抜き孔121aから放出される遊技球の速度(前後方向の水平速度成分)を大きくできる。これにより、球抜き孔121aから落下する遊技球の落下点を、水平領域121cに位置する球抜き孔121aの下方より手前側にすることができる(球抜き孔121aと遊技球の落下点との水平距離を大きくできる)。その結果、収容箱の手前側に遊技球を誘導しつつ遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、遊技球が収容箱の一箇所に高く積もることを防止できる。
次に図14を参照して、第11実施の形態について説明する。第1実施の形態から第10実施の形態では、受皿10,30,50,60,70,80,90,100,110,120の底部14,31,51,61,71,81,91,101,111,121の傾斜が予め設定されている場合について説明した。これに対し第11実施の形態では、受皿の底部の傾斜を遊技者が変更できる場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図14(a)は第11実施の形態における受皿130の平面図であり、図14(b)は図14(a)の矢印XIVb方向から見た受皿130の正面図である。
図14(a)に示すように受皿130は、前扉枠5の前面に突設される底部131と、その底部131の周囲に立設される側壁部132とを備えている。受皿130の背面(側壁部132)に形成された流入口11には、後方に向けて流入筒11aが接続されており、受皿130は流入筒11aを通って流入口11から流入する遊技球を貯留できる。流入口11と流入筒11aとの間にはフレキシブルチューブ(図示せず)が接続されている。
受皿130の底部131の略中央には平面視して略円形状の球抜き孔131aが厚さ方向に貫通形成されている。球抜き孔131aは、下方に向かって拡径形成されている(図14(b)参照)。閉鎖部材133は球抜き孔131aを開閉するための部材であり、板状に形成され球抜き孔131aの下方に配設されている。連結部134は、閉鎖部材133から前方に向かって延設される部位であり、遊技者が操作するための操作部135が先端に固定されている。
図14(b)に示すように、受皿130の前面には左右方向に横長のスライド孔132aが形成されている。スライド孔132aは連結部134が貫設される部位であり、操作部135はスライド孔132aに露呈されている。これにより、遊技者は操作部135を摘んでスライド孔132aに沿って操作部135を移動させることにより、閉鎖部材133を水平移動させて球抜き孔131aを開閉できる。なお、閉鎖部材133は付勢手段136(板ばね等)により球抜き孔131aを閉鎖する方向に付勢されている。
受皿130は、底部131の複数箇所(本実施の形態では5箇所)から下方に向けて支脚137及び補助脚138が突設されている。支脚137及び補助脚138は受皿130を支持するための部位であり、前扉枠5の前面から前方に向かって突設される主支持部139及び補助支持部140によって支持される。支脚137は、底部131の略中心から突設される脚であり、主支持部139によって揺動可能に支持される。補助脚138は、底部131の周部(本実施の形態では4つの角部近傍)から突設される脚であり、補助支持部140に当接することによって支持される。
ここで、主支持部139は、補助支持部140よりも高い位置に配置され、それら補助支持部140は同一の高さに配置されている。そのため、左右(又は前後)の補助脚部138を左右(又は前後)の補助支持部140に交互に当接させることにより、主支持部137を中心にして受皿130を左右(又は前後)に揺動させ、その結果、底部131の左右(又は前後)の傾きを変化させることができる。
遊技者は、操作部135を摘んでスライドさせて球抜き孔131aを開放した後、受皿130を揺動させて底部131の左右(又は前後)の傾きを変えることにより、球抜き孔131aから抜き出される遊技球の排出方向(放出方向)を、底部131を傾ける向きに応じて変えることができる。これにより、球抜き孔131aから遊技球を広範囲に散らして落下させることができ、遊技球が収容箱(図示せず)の一箇所に高く積もることを防止できる。さらに、球抜き孔131aの内面が下方に向かって拡径形成(拡開)されているので、遊技球の排出(放出)が球抜き孔131aの内周に遮られることを抑制して、遊技球を広範囲に撒き散らすことができる。なお、受皿130の前面には、正面視して右側に摘み部141が突設されているので、操作部135だけでなく摘み部141も掴んで受皿130を揺動させることが可能である。
次に図15を参照して、第12実施の形態について説明する。第8実施の形態では、球抜き孔101aを開閉する閉鎖部材103,104及び底面101に傾斜が設けられ、その傾斜によって球抜き孔101aから抜き出される遊技球の放出距離(球抜き孔101aと落下点との水平距離)を大きくする場合について説明した。第12実施の形態では、さらに底部101における遊技球の移動を規制する移動規制手段が配置される場合について説明する。なお、第8実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図15(a)は第12実施の形態における受皿150の平面図であり、図15(b)は図15(a)の矢印XVb−XVb線における受皿150の断面図である。
図15(a)に示すように受皿150は、球抜き孔101aの両側(図15(a)左右方向)に、受皿150に貯留された遊技球を吸着する電磁石151,152(移動規制手段)が配置されている。電磁石151,152は閉鎖部材103,104の移動、即ち球抜き孔101aの開閉に基づいて磁力を発生するように構成されている。各閉鎖部材103,104の移動可能な範囲から少しはずれた位置に、各閉鎖部材103,104の移動を検出する閉鎖部材検出センサ153,154が配置されている。閉鎖部材検出センサ153,154は、例えば磁気センサのような近接センサであり、その検出信号を制御装置(図示せず)に出力し、制御装置は電磁石151,152を駆動制御する。閉鎖部材検出センサ153の出力に基づいて電磁石151が駆動制御され、閉鎖部材検出センサ154の出力に基づいて電磁石152が駆動制御される。
図15(b)に示すように、電磁石151,152は底部101の下方であって、水平方向にスライドされる閉鎖部材103,104の軌道(レール106)の上方に配置されている。これにより電磁石151,152が閉鎖部材103,104の移動の妨げになることが防止される。
以上のように構成された受皿150は、閉鎖部材103を閉鎖部材検出センサ153側に移動させて球抜き孔101aの一部(平面視して左側)を開放すると、制御装置は、閉鎖部材検出センサ153からの検出信号を受けて電磁石151を磁化する。そうすると、底部101(図15(a)左側)から球抜き孔101aに流下する遊技球の移動が規制される。その結果、底部101(図15(a)右側)及び閉鎖部材104から球抜き孔101aに移動し流下する遊技球が支配的となるため、底部101及び閉鎖部材104を移動して球抜き孔101aから落下する遊技球の速度(水平方向成分)を大きくできる。これにより、球抜き孔101aから図15(a)左側に落下する遊技球の落下点の水平距離(落下点と球抜き孔101aとの水平距離)を大きくでき(遊技球の軌跡を変えることができ)、遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
また、閉鎖部材104を閉鎖部材検出センサ154側に移動させて球抜き孔101aの一部(平面視して右側)を開放すると、制御装置は、閉鎖部材検出センサ154からの検出信号を受けて電磁石152を磁化する。一方、閉鎖部材103は付勢手段105により閉鎖部材検出センサ153から離れる方向に移動されるので、制御装置は、閉鎖部材検出センサ153からの検出信号を受けて電磁石151の吸着力を失わせる。これにより、底部101(図15(a)右側)から球抜き孔101aに流下する遊技球の移動が規制される一方、底部101(図15(a)左側)及び閉鎖部材103から球抜き孔101aに流下する遊技球をスムーズに移動させる。
その結果、底部101(図15(a)左側)及び閉鎖部材103から球抜き孔101aに移動し流下する遊技球が支配的となるため、底部101及び閉鎖部材103を移動して球抜き孔101aから落下する遊技球の速度(水平方向成分)を大きくできる。これにより、球抜き孔101aから図15(a)右側に落下する遊技球の落下点の水平距離(落下点と球抜き孔101aとの水平距離)を大きくでき(遊技球の軌跡を変えることができ)、遊技球が落下して到達できる範囲を広くし、収容箱に遊技球が一箇所に高く積もることを防止できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。また、上記実施形態で挙げた数値や形状は一例であり、他の数値や形状を採用することは当然可能である。例えば、球抜き孔や開口の数、球抜き孔や開口の形状、底部の傾斜の角度等は適宜設定することが可能である。
上記各実施の形態では、上皿9及び下皿10が上下に並設されるパチンコ機1(遊技機)について説明したが(図1参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、上皿と下皿とが一体に形成されたパチンコ機(上皿が省略されたパチンコ機)に適用することは当然可能である。
第1実施の形態では、第1開閉部材17及び第2開閉部材18が相対的に円運動をする機構について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1開閉部材および第2開閉部材が相対的に直線運動する機構にすることは当然可能である。この場合は、第1開閉部材および第2開閉部材を平面視して矩形の板状に形成し、それぞれにラックを配置する。そして、第3ピニオン21を除去し、軸部16、第1ピニオン19及び第2ピニオン20を第3ピニオン21の位置に配設する。次いで、第3ピニオン21の位置に配設した第1ピニオン19及び第2ピニオン20とラック22及び第1開閉部材および第2開閉部材のラックとを係合する。これにより、操作部13を操作することによって第1開閉部材および第2開閉部材を直線運動させ第1開口17a及び第2開口18aの連通および連通解除を切り替えることができる。
第1実施の形態では、第1開閉部材17及び第2開閉部材18に第1開口17a及び第2開口18aが一つずつ形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1開口17a及び第2開口18aを複数設けることは当然可能である。
第1実施の形態では、第1開閉部材17の上面17cが底部14に完全に露呈される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1開口17aが位置する範囲を除いて、第1開閉部材17の一部を覆うカバーを設けることは当然可能である。第1開閉部材17の一部をカバーで覆うことで、第1開閉部材17に傷等を付き難くできる。
第1実施の形態では、第1開口17a及び第2開口18aが受皿10の左右で連通する(左右に遊技球を振り分ける)場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1開口17a及び第2開口18aが受皿10の前後で連通する(前後に遊技球を振り分ける)ように設定することは当然可能である。
第7実施の形態では(図10参照)、前方に向けて上面99aが下降傾斜する誘導部材99を設けることで遊技球を前方に誘導する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、誘導部材99の上面99aを中心から左方または右方に下降傾斜するように設けることは当然可能である。誘導部材99の上面99aの向きを左方または右方に設定することにより、遊技球を左右に広く散らすことが可能となる。
また、第7実施の形態で説明した誘導部材99を反発係数の大きな部材で形成したり、誘導部材の上面99aに反発係数の大きな部材を固定したりすることにより、誘導部材に衝突した遊技球が、受皿90の下に載置した収容箱に入らずに大きく跳ね返ってしまうことを防止できる。
第4実施の形態から第6実施の形態では説明を省略したが、球抜き孔61b,81a,81bの下方に、第7実施の形態で説明した誘導部材99を設けることは当然可能である。これにより、球抜き孔61b,81a,81bの下方からさらに遊技球を広く散らすことが可能となる。
第11実施の形態では(図14参照)、受皿130の底部131から突設された支脚137及び補助脚138の長さと、主支持部139及び補助支持部140の高さとを利用して受皿130を揺動可能にする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の手段により受皿130を揺動可能にすることは当然可能である。他の手段としては、例えば、コイルばねのような可撓性を有する部材により前扉枠5に対して受皿130を支持するものが挙げられる。この場合、可撓性を有する部材を曲げ変形させることによって、受皿130を揺動させることが可能となる。
第12実施の形態では(図15参照)、移動規制手段として電磁石151,152を配置する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、閉鎖部材103,104の開閉に連動する他の移動規制手段を設けることは当然可能である。他の移動規制手段としては、閉鎖部材103,104の開閉に連動して球抜き孔101aの周りの一部に底部101から突出するように設けられた突起や突条等を挙げることができる。球抜き孔101aの周りの一部に底部101から突起や突条等が突出することによって、遊技球のスムーズな移動を妨げることができる。これにより、第12実施の形態と同様の効果を実現できる。
なお、上記の各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。
以下に、本発明の遊技機に加えて、上記実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
遊技球が落下する球抜き孔が底部に形成された受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に係合される部材を介して又は前記操作部に直結され前記受皿の底部に円運動または直線運動可能に配設されると共に前記球抜き孔の上方に位置し前記球抜き孔と連通する開口が形成された開閉部材とを備え、前記底部は、前記開閉部材の円運動または直線運動の初期位置で前記開口を閉鎖する閉鎖部を備え、前記球抜き孔は、前記開閉部材の円運動または直線運動の初期位置とは異なる複数位置で前記開口と連通することを特徴とする遊技機1。
遊技機1によれば、操作部が遊技者に操作されることにより、操作部に直結または係合される開閉部材が受皿の底部を円運動または直線運動する。開閉部材の円運動または直線運動の初期位置では、開閉部材に形成された開口は、底部に形成された閉鎖部により閉鎖される。これにより開閉部材の初期位置では、閉鎖部により遊技球の開口からの落下が阻止されるので、受皿内に遊技球が貯留された状態が維持される。
一方、開閉部材が円運動または直線運動されると、底部に形成された球抜き孔が、開閉部材の初期位置とは異なる複数位置で開口と連通される。これにより受皿内の遊技球は、開口を通過して球抜き孔の複数位置から落下する。その結果、受皿に貯留された遊技球を複数位置に散らして落下させることができるので、受皿の下方に載置した収容箱の一箇所に遊技球が高く積もらないようにできる。開閉部材は、操作部に係合される部材を介して又は操作部に直結されているので、操作部の操作により開閉部材が円運動または直線運動される機構を簡易にできる効果がある。
また、受皿の底部に配設された開閉部材は球抜き孔の上方に位置するので、開閉部材の上面が受皿に貯留された遊技球と接触する。その結果、開閉部材が円運動または直線運動されることにより、受皿の底部付近に位置し開閉部材に接触する遊技球(特に開口付近の遊技球)が転動される。これにより、受皿に貯留された遊技球がドーム状になって開口の上方で均衡し(所謂「ブリッジ配列」が形成され)、重力に抗して落下できない状態になっても、遊技球の配列を崩しブリッジ配列を解消できる。その結果、遊技球を球抜き孔から落下させることができる効果がある。
以上のように遊技機1によれば、遊技者が操作部を操作することにより、簡易な機構で、受皿に貯留された遊技球が開口の上方で均衡する配列を崩し、球抜き孔から遊技球を散らして落下させることができる効果がある。
遊技機1において、前記開閉部材は、前記開閉部材の移動方向の後方に向かって前記開口の縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部を備えていることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、遊技機1の奏する効果に加え、上昇傾斜部は開閉部材の移動方向の後方に向かって開口の縁端から上昇傾斜しているので、操作部を操作すると、受皿に貯留された遊技球の下側を擦るように上昇傾斜部を移動させ、開閉部材を円運動または直線運動させることができる。その結果、開閉部材を円運動または直線運動させるときの操作部の操作力を低く抑えることができる効果がある。
遊技機1又は2において、前記開閉部材は、前後方向または左右方向に往復動可能に構成されるものであり、前記開口は、遊技者からの距離を異ならせて前記開閉部材の複数箇所に形成されており、遊技者に近い位置に形成された開口の面積は、遊技者から離れた位置に形成された開口の面積より大きく設定されていることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、遊技機1又は2の奏する効果に加え、前後方向または左右方向に往復動可能に構成される開閉部材に複数の開口が形成されているので、開閉部材が往復動した場合の各開口と遊技者との相対距離を変えないようにできる。遊技者に近い位置に形成された開口の面積は、遊技者から離れた位置に形成された開口の面積より大きく設定されているので、遊技者に近い位置に形成された開口から遊技球を落下させることができる。これにより、受皿の下方に載置された収容箱の手前側に多くの遊技球を落下させることができ、受皿の下方に載置した収容箱の奥側に遊技球が高く積もらないようにできる効果がある。
遊技機1から3のいずれかにおいて、前記球抜き孔の下方に配設されると共に落下する前記遊技球が衝突する誘導部材を備え、その誘導部材は、前方または側方に向かって下降傾斜する下降傾斜部を備えていることを特徴とする遊技機4。
遊技球4によれば、遊技球1から3のいずれかの奏する効果に加え、球抜き孔から落下する遊技球を、誘導部材の下降傾斜部により前方または側方に向かって分散させることができる。その結果、受皿の下方に載置した収容箱に、より均等に遊技球を収容できる効果がある。
遊技球が貯留される受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に連係して前記受皿の底部に円運動または直線運動可能に配設される第1開閉部材と、その第1開閉部材の下方に配設されると共に、前記操作部または前記第1開閉部材に連係して円運動または直線運動可能に配設される第2開閉部材とを備え、前記第1開閉部材は、前記遊技球が落下して通過する第1開口を備え、前記第2開閉部材は、前記第1開閉部材の円運動または直線運動の初期位置で前記第1開口を閉鎖する閉鎖部と、前記第1開閉部材に対する相対移動により前記第1開口を複数位置で開放する第2開口とを備えていることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、操作部が遊技者に操作されることにより、操作部に連係して第1開閉部材および第2開閉部材が受皿の底部を円運動または直線運動する。第1開閉部材の円運動または直線運動の初期位置では、第1開閉部材に形成された第1開口は、第2開閉部材に形成された閉鎖部により閉鎖される。これにより第1開閉部材の初期位置では、閉鎖部により遊技球の第1開口からの落下が阻止されるので、受皿内に遊技球が貯留された状態が維持される。
一方、第1開閉部材に対する第2開閉部材の相対移動により、第1開閉部材の第1開口が第2開閉部材の第2開口により複数位置で開放される。これにより受皿内の遊技球は、第1開口および第2開口を通過して複数位置から落下する。その結果、受皿に貯留された遊技球を複数位置に散らして落下させることができるので、簡易な機構で、受皿の下方に載置した収容箱の一箇所に遊技球が高く積もらないようにできる効果がある。
遊技機5において、前記操作部は往復動可能に構成され、前記第1開閉部材は、前記操作部が一方向に移動される操作力を伝達すると共に他方向に移動される操作力を遮断する第1の一方向クラッチを介して前記操作部に連係されており、前記第2開閉部材は、前記操作部が一方向に移動される操作力を遮断すると共に他方向に移動される操作力を伝達する第2の一方向クラッチを介して前記操作部に連係されていることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、遊技機5の奏する効果に加え、往復動可能に構成される操作部が一方向に移動される操作力は、第1の一方向クラッチにより第1開閉部材に伝達される一方、第2の一方向クラッチにより第2開閉部材への伝達が遮断される。また、操作部が他方向に移動される操作力は、第1の一方向クラッチにより第1開閉部材への伝達が遮断される一方、第2の一方向クラッチにより第2開閉部材に伝達される。以上のように、簡易な操作部の往復動により第1開閉部材および第2開閉部材を交互に移動させ、遊技球を複数位置から落下させることができる効果がある。
遊技機5又は6において、前記第1開閉部材は、上面が、前記受皿に貯留される遊技球に接触していることを特徴とする遊技機7。
遊技機7によれば、遊技機5又は6の奏する効果に加え、第1開閉部材の上面が受皿に貯留された遊技球と接触しているので、第1開閉部材が円運動または直線運動されることにより、受皿の底部付近に位置し第1開閉部材に接触する遊技球(特に第1開口付近の遊技球)が転動される。これにより、受皿に貯留された遊技球がドーム状になって第1開口の上方で均衡し(所謂「ブリッジ配列」が形成され)、重力に抗して落下できない状態になっても、遊技球の配列を崩しブリッジ配列を解消できる。その結果、連通させた第1開口および第2開口から遊技球を落下させることができる。即ち、遊技者が操作部を操作することにより、受皿に貯留された遊技球が第1開口の上方で均衡する配列を崩し、遊技球を散らして落下させることができる効果がある。
遊技機7において、前記遊技球に接触する前記第1開閉部材は、前記第1開閉部材の移動方向の後方に向かって前記第1開口の縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部を備えていることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、遊技機7の奏する効果に加え、上昇傾斜部は第1開閉部材の移動方向の後方に向かって第1開口の縁端から上昇傾斜しているので、操作部を操作すると、受皿に貯留された遊技球の下側を擦るように上昇傾斜部を移動させ、第1開閉部材を円運動または直線運動させることができる。その結果、第1開閉部材を円運動または直線運動させるときの操作部の操作力を低く抑えることができる効果がある。
遊技球が落下する球抜き孔が底部に形成された受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に連係して前記球抜き孔を開閉する複数の閉鎖部材と、その閉鎖部材により前記球抜き孔の閉鎖の状態を切り換える切換手段とを備え、その切換手段により前記球抜き孔の閉鎖の状態は、前記閉鎖部材により前記遊技球を落下不能に前記球抜き孔が閉鎖される閉鎖状態と、その閉鎖状態に対し前記遊技球を落下可能に前記球抜き孔の一部が開放される第1開放状態と、その第1開放状態により開放される前記球抜き孔の一部とは異なる部分が前記遊技球を落下可能に開放される第2開放状態とに少なくとも切り換えられることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、遊技者に操作部が操作されることにより、複数の閉鎖部材により球抜き孔が開閉され、切換手段により、閉鎖部材による球抜き孔の閉鎖の状態が切り換えられる。球抜き孔の閉鎖の状態が、閉鎖部材により遊技球を落下不能に球抜き孔が閉鎖される閉鎖状態にあるときは、球抜き孔からの遊技球の落下が阻止され、受皿に遊技球が貯留された状態が維持される。また、閉鎖状態に対し遊技球を落下可能に球抜き孔の一部が開放される第1開放状態にあるときは、受皿内に貯留された遊技球は、開放された球抜き孔の一部から落下する。
一方、第1開放状態により開放される球抜き孔の一部とは異なる部分が開放される第2開放状態にあるときは、受皿内に貯留された遊技球は、第1開放状態とは異なる部分から落下する。その結果、切換手段により第1開放状態と第2開放状態とを切り換えることによって、球抜き孔の異なる部分から遊技球を落下させることができる。受皿に貯留された遊技球を球抜き孔の異なる部分から落下させることで、簡易な機構で、受皿の下方に載置した収容箱の一箇所に遊技球が高く積もらないようにできる効果がある。
遊技機9において、前記閉鎖部材は、上面が、前記球抜き孔の開放された一部に向かって前記球抜き孔の縁部から下降傾斜していることを特徴とする遊技機10。
遊技機10によれば、遊技機9の奏する効果に加え、閉鎖部材により球抜き孔の一部が開放されると、閉鎖部材の上面に沿って遊技球が流下する。閉鎖部材は、球抜き孔の縁部から球抜き孔の開放された一部に向かって上面が下降傾斜しているので、閉鎖部材の下降傾斜する方向に遊技球が放り出される。これにより、遊技球の落下点と球抜き孔との水平距離を大きくできるので、受皿の下方に載置した収容箱の広範囲に遊技球を散らすことができる効果がある。
遊技機9又は10において、前記底部は、上面が、前記球抜き孔の縁部に向かって下降傾斜していることを特徴とする遊技機11。
遊技機11によれば、遊技機9又は10の奏する効果に加え、閉鎖部材により球抜き孔の一部が開放されると、底部の上面に沿って遊技球が流下する。底部は、球抜き孔の縁部に向かって上面が下降傾斜しているので、底部の上面が水平に形成されている場合と比較して、球抜き孔を通過する遊技球の速度を大きくできる。これにより、遊技球の落下点と球抜き孔との水平距離を大きくできるので、受皿の下方に載置した収容箱の広範囲に遊技球を散らすことができる効果がある。
遊技機11において、前記底部は、前記球抜き孔に至るまで奥から手前に向かって下降傾斜していることを特徴とする遊技機12。
遊技機12によれば、遊技機11の奏する効果に加え、球抜き孔に至るまで奥から手前に向かって下降傾斜する底部により、球抜き孔から手前に遊技球が放り出されるようにできる。これにより、受皿の下方に載置された収容箱の手前側に多くの遊技球を落下させることができ、受皿の下方に載置した収容箱の奥側に遊技球が高く積もらないようにできる効果がある。
遊技機9から12のいずれかにおいて、前記閉鎖部材は、前記底部に対する傾斜角度を略一定に維持した状態でスライドされ前記球抜き孔を開閉することを特徴とする遊技機13。
遊技機13によれば、遊技機9から12のいずれかの奏する効果に加え、閉鎖部材は底部に対する傾斜角度を略一定に維持した状態でスライドされるので、水平方向に配置された軸を中心に閉鎖部材が回動される場合と比較して、収容箱が載置される閉鎖部材の下方空間を小さくできる効果がある。
また、水平方向に配置された軸を中心に閉鎖部材が回動される場合は、収容箱に遊技球が高く積もってしまうと、遊技球に妨げられて閉鎖部材を開閉できなくなるおそれがある。これに対し、底部に対する傾斜角度を略一定に維持した状態で閉鎖部材がスライドされる構成とすることで、収容箱に収容された遊技球の量(盛り上がって収容箱に積まれた遊技球の高さ)に関わらず、閉鎖部材を開閉し球抜き孔から遊技球を落下できる効果がある。
遊技機9から13のいずれかにおいて、前記閉鎖部材または前記底部は、前記遊技球の所定方向への移動を規制し所定方向から前記球抜き孔へ流下される前記遊技球の移動を規制する移動規制手段を備えていることを特徴とする遊技機14。
遊技機14によれば、遊技機9から13のいずれかの奏する効果に加え、移動規制手段により遊技球の所定方向への移動が規制され、所定方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量が調整される。これにより、所定方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量と、その他の方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量とを異ならせることができる。その結果、切換手段により第1開放状態と第2開放状態とを切り換えることによって、球抜き孔の異なる部分から放り出される遊技球の軌跡の差異を大きくすることができる。これにより、第1開放状態と第2開放状態とを切り換えることにより、遊技球の落下点の差異を大きくすることができる。その結果、受皿の下方に載置した収容箱の広範囲に遊技球を散らすことができる効果がある。
遊技球が落下する球抜き孔が底部に形成された受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に連係して前記球抜き孔を開閉する閉鎖部材と、前記受皿の底部の水平面に対する傾斜角度が変化するように前記受皿を揺動可能に支持する支持部とを備えていることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、遊技者に操作される操作部に閉鎖部材が連係して球抜き孔が開閉される。球抜き孔が開放された状態で受皿が揺動されることにより、支持部により揺動可能に支持された受皿の底部の水平面に対する傾斜角度が変化する。これにより、球抜き孔から放り出される遊技球の方向を変化させ、受皿の下方に載置した収容箱の広範囲に遊技球を散らすことができる効果がある。
遊技機15において、前記球抜き孔は、前記受皿の底部から下方に向かうにつれて内面が拡開されていることを特徴とする遊技機16。
遊技機16によれば、遊技機15の奏する効果に加え、球抜き孔の内面が下方に向かうにつれて拡開されているので、遊技球の排出(放出)が球抜き孔の内周に遮られることを抑制して、拡開した球抜き孔から遊技球を広範囲に撒き散らすことができる効果がある。
遊技球が落下する球抜き孔が底部に形成された受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に連係して前記球抜き孔を開閉する閉鎖部材と、前記底部に形成され前記操作部の動作に連動して前記遊技球の所定方向の移動を規制し所定方向から前記球抜き孔に流下される前記遊技球の移動を規制する移動規制手段とを備えていることを特徴とする遊技機17。
遊技機17によれば、操作部の動作に連動する移動規制手段により遊技球の所定方向への移動が規制され、所定方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量が調整される。これにより、操作部の動作に連動して、所定方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量と、その他の方向から球抜き孔へ流下される遊技球の量とを異ならせることができる。その結果、受皿の下方に載置した収容箱に落下する遊技球の落下点を、所定方向から球抜き孔へ流下する場合と、その他の方向から球抜き孔へ流下する場合とで操作部の動作に連動して異ならせることができる。これにより、収容箱の広範囲に遊技球を散らすことができる。
遊技機17において、前記底部は、前記球抜き孔に向かって下降傾斜する傾斜領域を備え、前記移動規制手段は、その傾斜領域に形成されていることを特徴とする遊技機18。
遊技機18によれば、球抜き孔に向かって下降傾斜する底部の傾斜領域により、遊技球は球抜き孔に向かって転がっていく。移動規制手段が傾斜領域に形成されることにより、球抜き孔に向かって転がる遊技球の速度を、操作部の動作に連動して異ならせることができる。移動規制手段の有無に連動して球抜き孔に流下する遊技球の速度を異ならせることで、球抜き孔から収容箱に落下する遊技球の落下点と球抜き孔との水平距離を異ならせることができる。これにより遊技機17の奏する効果に加え、遊技球が収容箱に落下して到達できる範囲を広くし、遊技球が収容箱の一箇所に高く積もることを防止できる効果がある。
<その他>
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1記載の遊技機は、遊技球が貯留される受皿が前面に配設された遊技機において、遊技者に操作される操作部と、その操作部に連係して前記受皿の底部に円運動または直線運動可能に配設される第1開閉部材と、その第1開閉部材の下方に配設されると共に、前記操作部または前記第1開閉部材に連係して円運動または直線運動可能に配設される第2開閉部材とを備え、前記第1開閉部材は、前記遊技球が落下して通過する第1開口を備え、前記第2開閉部材は、前記第1開閉部材の円運動または直線運動の初期位置で前記第1開口を閉鎖する閉鎖部と、前記第1開閉部材に対する相対移動により前記第1開口を複数位置で開放する第2開口とを備えている。
技術的思想2記載の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記操作部は往復動可能に構成され、前記第1開閉部材は、前記操作部が一方向に移動される操作力を伝達すると共に他方向に移動される操作力を遮断する第1の一方向クラッチを介して前記操作部に連係されており、前記第2開閉部材は、前記操作部が一方向に移動される操作力を遮断すると共に他方向に移動される操作力を伝達する第2の一方向クラッチを介して前記操作部に連係されている。
技術的思想3記載の遊技機は、技術的思想1又は2に記載の遊技機において、前記第1開閉部材は、上面が、前記受皿に貯留される遊技球に接触している。
技術的思想4記載の遊技機は、技術的思想3記載の遊技機において、前記遊技球に接触する前記第1開閉部材は、前記第1開閉部材の移動方向の後方に向かって前記第1開口の縁端から上昇傾斜する上昇傾斜部を備えている。