以下、本発明の実施形態を図1ないし図4を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るキースイッチ装置を示す平面図、図2は図1の分解斜視図、図3は図1の個々のキースイッチ構造を示すA−A断面図、図4は図1の個々のキースイッチの基板接点形状を示す平面図である。
図1に示すキースイッチ装置は、キー複数個分一体型タイプであって、機器筐体の表面に配列される10キー分10個のキースイッチSW1を、キー配列に応じて、一体的に配列構成するもので、図2に示すように、回路基板10、免震シート20、スナッププレート40、及びカバーテープ50とで構成されている。
図2に示すように、回路基板10は、上下方向に長い矩形状をした柔軟性のあるフレキシブルプリント基板(FPC)から構成されている。回路基板10の上部には矩形状の突出部11が形成され、回路基板10の右外側には回路基板10の右側縁下部から延出し、先端が上方に向くようにL形に屈曲する帯状のテール部12が形成されている。回路基板10には銅箔等の導電体からなる基板接点である固定接点13が、1キースイッチSW1当たり1個で10キースイッチSW1分10個、キー配列に応じて、配列形成されている。10個の固定接点13のうち、9個が、回路基板10の突出部11とテール部12以外の主部に配列形成され、残りの1個が、突起部12の中央部に配列形成されている。また、回路基板10には回路素子や電子部品等の7個の実装部品16が、表面実装されている。7個の実装部品16のうち、1個が、回路基板10の主部左端上部の実装領域に実装され、残りの6個が、突起部11の下部に横に倒れたT字状の実装領域に上下方向と左右方向に3つずつ並べられて実装されている。また、回路基板10には10キースイッチSW1分10個の固定接点13と共に、個々のキースイッチSW1の出力用と個々の実装部品16の入出力用の端子17が、テール部12の上端に、横一列に並べられて形成され、併せて回路基板10には全体的に、個々のキースイッチSW1とその端子17、及び個々の電子部品17とその端子17を接続する回路引き回し用の配線18が形成されている。この回路基板10は片面プリント基板であり、各固定接点13、各端子17、各配線18は回路基板10の上面10aに形成され、実装部品16も回路基板10の上面10aに実装されている。なお、回路基板10は、フレキシブル基板に限らず、リジット基板であってもよい。
図4に示すように、各固定接点13は、それぞれが対向する一対の固定接点である第1固定接点14と第2固定接点15から構成されている。第1固定接点14と第2固定接点15は、櫛歯状のパターンを有し、それぞれが所定のギャップ(間隔)L3をもって噛合するように形成されて、1つの略円形な固定接点13を構成している。具体的には、第1固定接点14と第2固定接点15は、円弧形状(弓形)に彎曲した1本の基部ライン14a,15aと、その基部ライン14a,15aの内縁からその円弧形状の弦となる直線と直角な方向に並行して突出する複数本の歯部ライン14b,15bと、各歯部ライン14b,15bの相互間に形成されるギャップ14c,15cを有している。各歯部ライン14b,15bは一定なライン幅L1を有し、等ピッチ間隔で配列されている。各ギャップ14c,15cは歯部ライン14b,15bのライン幅L1よりも大きい一定なギャップ幅L2を有し、等ピッチ間隔で配列されている。第1固定接点14と第2固定接点15は、それぞれの基部ライン14a,15aが略同一円周上に位置するように、対向して配置され、それぞれの歯部ライン14b,15bを周囲にギャップL3をもって相手側のギャップ14c,15c内に挿入配置して、1つの略円形な固定接点13を構成している。1つの固定接点13内では第1固定接点14の歯部ライン14bと第2固定接点15の歯部ライン15bが、交互に、かつ等ピッチ間隔で並行して配列されている。
図2に示すように、免震シート20は、片面粘着テープ(シート)を、回路基板10のテール部12以外の主部と突出部11に重なり合う外形に、打ち抜き加工したものである。片面粘着テープは、柔軟性や絶縁性をもつポリエステル等の樹脂フィルムからなるテープ基材の下面に粘着剤を塗布等によって設けたものである。免震シート20には、回路基板10に形成された各固定接点13と対向する10箇所に、円形の抜き孔である貫通孔21が形成されている。貫通孔21は、固定接点13よりも僅かに大きい直径(大きさ)を有している。また、回路基板10の主部左端上部の実装領域と対向する1箇所を切り欠く切り欠き22と、回路基板10の突起部11の下部の実装領域と対向する1箇所を打ち抜く横に倒れたT字形の抜き孔23が形成されている。また、回路基板10の突起部12の中央部に形成された1個の固定接点13と対向する1個の貫通孔21以外の9個の貫通孔21は、貫通孔21同士の間で空気を流通できるように、細幅な線状の抜き孔である溝孔24によって、相互に繋がれている。回路基板10の突起部12の中央部に形成された1個の固定接点13と対向する貫通孔21は、比較的大きな抜き孔23との間で空気を流通できるように、その抜き孔23と別の溝孔24によって、繋がれている。
図2に示すように、スナッププレート40は、1キースイッチSW1当たり1個で10キースイッチSW1分10個、設けられている。各スナッププレート40は、それぞれがばね用ステンレス鋼(例えば、SUS301等)のプレス加工によって形成された円盤状のドーム状金属板である。スナッププレート40は、バネ性を有し、頂部からの押圧力に対しクリック感触を伴なって変形(反転)するものである。図3に示すように、スナッププレート40は、免震シート20の貫通孔21を覆うように跨いで、その貫通孔21の周囲にある免震シート20の上面に外縁部を当接載置することができるように、その貫通孔21よりもやや大きい直径(大きさ)を有している。また、スナッププレート40の中央部には、スナッププレート40の中央部下面41を回路基板10と並行させるため、底部が平坦な逆円錐台形の凹部42が形成されている。図4に示すように、凹部42の底部は、スナッププレート40の中央部下面41の大きさを少なくとも第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接する第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る直径(大きさ)に形成する直径(大きさ)に形成されている。すなわち凹部42の底部の直径は、スナッププレート40の中央部下面41の直径が、L1×2+L3以上になるように設定され、また、図示するように、L1×3+L3×2以上に設定することがより好ましい。
図2に示すように、カバーテープ50は、片面粘着テープ(シート)を、回路基板10のテール部12以外の主部と突出部11に重なり合う外形に、打ち抜き加工したものである。片面粘着テープは柔軟性や絶縁性をもつポリエステル等の樹脂フィルムからなるテープ基材の下面に粘着剤を塗布等によって設けたものである。ここで、カバーテープ50は、回路基板10の突出部11とテール部12以外の主部に重なり合う外形を有する大判テープ50aと、回路基板10の突出部11に重なり合う外形を有する小判テープ50bの2つに分割形成されている。大判テープ50a側には、免震シート20の切り欠き22と重なり合うよう、それと同じ形状の切り欠き51が形成されている。大判テープ50aの上縁52と小判テープ50bの下縁53は、免震シート20の抜き孔23と重なり合う大判テープ50aの上部と小判テープ50bの下部を、それぞれカットするカットラインに沿って形成されている。
図2に示すように、回路基板10、免震シート20、カバーテープ50には、キースイッチ装置を組み立てる際のその構成部品同士の位置決め、及び組み立てたキースイッチ装置を機器筐体に組み付ける際のそのキースイッチ装置の位置決めに使用する位置決め孔60が、複数ずつ形成されている。位置決め孔60は表裏貫通の円形な小孔である。
次に、図1に示すキースイッチ装置の組み立てについて説明する。
図3に示すように、回路基板10を除く、免震シート20とスナッププレート40、及びカバーテープ50は、1枚のシート状のスイッチユニット70を構成しており、そのスイッチユニット70を回路基板10の上面10aに重合固定することによって、キースイッチ装置の組み立てが、完了する。
スイッチユニット70を組み立る際は、9キースイッチSW1分9個のスナッププレート40の上面を、カーバーテープ50の大判テープ50a側の下面に、そこに設けられた粘着剤を介して、キー配列に応じて、配列固定し、また、残りの1キースイッチSW1分1個のスナッププレート40の上面を、カバーテープ50の小判テープ50b側の中央部下面に、そこに設けられた粘着剤を介して、キー配列に応じて、配列固定し、カバーテープ50の下面に10キースイッチSW1分10個のスナッププレート40を、キー配列に応じて、配列固定(搭載:マウント)する。この際、スナッププレート40のマウンタに対してカバーテープ50を、そこに形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、個々のスナッププレート40を各キー配置に、正確に配列固定する。
続いて、免震シート20の上面に、カーバーテープ50の下面を、そこに設けられた接着剤を介して、重合固定する。この際、免震シート20に対してカーバーテープ50を、その両者に形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、カーバーテープ50を免震シート20の上面に、正確に重合固定すると共に、個々のスナッププレート40の位置と免震シート20の個々の貫通孔21の位置を、それらの中心が平面視で一致するように、正確に合わせる。これで、スイッチユニット70の組み立てが、完了する。
スイッチユニット70は、免震シート20の上面に10キースイッチSW1分10個のスナッププレート40が設けられ、その10キースイッチSW1分10個のスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、免震シート20の上面に固定されている。また、個々のスナッププレート40、免震シート20の個々の貫通孔21は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。
このようなスイッチユニット70は、例えば、上面に剥離剤等が塗布等によって設けられた離間紙等のベースシートの上面に、重合固定しておくことにより、スイッチユニット70製品(スナッププレート付きスイッチシート)として市場に提供できる。ベースシートの上面には、スイッチユニット70の下面(免震シート20の下面)を、そこに設けられた接着剤を介して、重合固定する。
そして、キースイッチ装置を組み立てる際は、ベースシートを剥がし、スイッチユニット70の下面を露出し、スイッチユニット70の下面を、そこに設けられた接着剤を介して、回路基板10の上面10aに重合固定する。この際、回路基板10に対してスイッチユニット70を、その両者に形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、スイッチユニット70を回路基板10の上面10aに、正確に重合固定すると共に、免震シート20の個々の貫通孔21の位置と回路基板10の個々の固定接点13の位置を、それらの中心が平面視で一致するように、正確に合わせる。これで、キースイッチ装置の組み立てが、完了する。
キースイッチ装置は、回路基板10の上面にスイッチユニット70が重合固定されて、回路基板10の上面に免震シート20が重合固定され、その免震シート20の上面に10キースイッチSW1分10個のスナッププレート40が設けられ、その10キースイッチSW1分10個のスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、免震シート20の上面に固定されている。また、個々のスナッププレート40、免震シート20の個々の貫通孔21、回路基板10の個々の固定接点13は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。また、個々のスナッププレート40と回路基板10の個々の固定接点13は、免震シート20をスペーサとして形成された個々のギャップ(免震シート20の厚み)の上下に配置されて、対向している。また、その免震シート20の個々の貫通孔21と回路基板10の個々の固定接点13を覆い跨るように、個々のスナッププレート40が、免震シート20の上面に設けられている。個々のスナッププレート40の外縁部と回路基板10の間には、免震シート20が介在している。また、個々のスナッププレート40の中央部下面41と回路基板10の個々の固定接点13の間には、個々のスナッププレート40の中央部下面41と免震シート20の個々の貫通孔21の上部開口の間にあるギャップと、免震シート20をスペーサとして形成された個々のギャップ(免震シート20の厚み)が介在している。
キースイッチ装置の個々のキースイッチSW1は、図3に示すように、回路基板10の上面にスイッチユニット70が重合固定されて、回路基板10の上面に免震シート20が重合固定され、その免震シート20の上面にスナッププレート40が設けられ、そのスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、免震シート20の上面に固定されている。また、スナッププレート40、免震シート20の貫通孔21、回路基板10の固定接点13は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。また、スナッププレート40と回路基板10の固定接点13は、免震シート20をスペーサとして形成されたギャップ(免震シート20の厚み)の上下に配置されて、対向している。また、その免震シート20の貫通孔21と回路基板10の固定接点13を覆い跨るように、スナッププレート40が、免震シート20の上面に設けられている。スナッププレート40の外縁部と回路基板10の間には、免震シート20が介在している。また、スナッププレート40の中央部下面41と回路基板10の固定接点13の間には、スナッププレート40の中央部下面41と免震シート20の貫通孔21の上部開口の間にあるギャップと、免震シート20をスペーサとして形成されたギャップ(免震シート20の厚み)が介在している。
こうしてキースイッチ装置の個々のキースイッチSW1は、回路基板10の接点である固定接点13上に変形可能なバネ性を有するドーム状金属板であるスナッププレート40が搭載されて、構成されている。具体的には、回路基板10とスナッププレート40の間に免震シート20が設けられ、その免震シート20の固定接点13部分に貫通孔21が設けられ、その貫通孔21を跨るようにスナッププレート40が免震シート40上に設けられている。また、回路基板10の上面10aには2つの接点である第1固定接点14と第2固定接点15がそれぞれ櫛歯状のパターンを有しそれらが所定のギャップL3をもって噛合するように形成されている。また、スナッププレート40中央部には底部が平坦な凹部42が設けられ、その凹部42の底部を少なくとも一方の接点パターンの1ラインである第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接するもう一方の接点パターンの1ラインである第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る直径(大きさ)に形成してある。さらに、スナッププレート40を固定するカバーテープ50を設けている。
次に、キースイッチ装置の個々のキースイッチSW1の動作について説明する。
図3はキースイッチSW1がOFFのときの状態を示しており、このOFF状態からスナッププレート40の中心部を図示しないキーを介して押し下げすると、スナッププレート40の凹部42の周囲にある中央部が、凸状から凹状に反転変形し、スナッププレート40の中央部下面41が、下方の回路基板10の固定接点13に接触する。それにより、固定接点13の第1固定接点14と第2固定接点15はスナッププレート40を介して導通する。すなわちキースイッチSW1はスナッププレート40を可動接点としてキースイッチSW1をONにする。
このON状態で図示しないキーから手指を離し、スナッププレート40の押し下げを解除すると、スナッププレート40の凹部42の周囲にある中央部は、元の凸状に戻る。それにより、可動接点としてのスナッププレート40の中央部下面41が、回路基板10の固定接点13から離反し、固定接点13の第1固定接点14と第2固定接点15の間の導通は断たれる。すなわちキースイッチSW1がOFFになる。
以上、キースイッチ装置の個々のキースイッチSW1は、ドーム状金属板であるスナッププレート40の反転時の動作力の変化によって、クリック感触を付与するので、ドーム状金属板特有のシャープで明瞭なクリック感触を得ることができる。
また、回路基板10とスナッププレート40の間に免震シート20を設け、免震シート20によって、スナッププレート40の動作時の振動が回路基板10に伝わるのを軽減するので、操作音を低減することができる。
また、スナッププレート40の中央部には底部が平坦な凹部42を設け、スナッププレート40の中央部下面41を回路基板10と並行させ、スナッププレート40の中央部下面41を面当たりで回路基板10に当接させ、スナッププレート40による回路基板10の打鍵音を軽減するので、さらに操作音を低減することができる。
また、スナッププレート40の中央部には底部が平坦な凹部42を設け、スナッププレート40の中央部下面41を回路基板10と並行させ、その凹部42の底部を少なくとも第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接する第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る大きさに形成し、スナッププレート40の中央部下面41を面当たりで櫛歯状の第1固定接点14と第2固定接点15に接触させるので、免震シート40の採用で櫛歯状のパターンを有することになった回路基板10の第1固定接点14と第2固定接点15と、スナッププレート40との安定した接触を得ることができ、高い接触信頼性を確保することができる。
また、スナッププレート40を固定するカバーテープ50を設け、スナッププレート40と免震シート20(スペーサ)とカバーテープ50を、1枚のシート状のスイッチユニット70として取り扱うので、キースイッチSW1の製造が容易に行え、コストも安くなる。
次に、本発明の他の実施形態を図5、図6を参照して説明する。
図5は本発明の他の実施形態に係るキースイッチ装置の分解斜視図、図6は図5の個々のキースイッチ構造を示す断面図である。なお、本発明の他の実施形態に係るキースイッチ装置の平面図は図1と同一であり、本発明の他の実施形態に係るキースイッチ装置の個々の基板接点形状を示す平面図は図4と同一であり、それぞれ、省略する。また、図5に示すキースイッチ装置において、図1に示すキースイッチ装置と同一構造には、同一符号を付して、その説明は省略する。
図5に示すキースイッチ装置は、キー複数個分一体型タイプであって、機器筐体の表面に配列される10キー分10個のキースイッチSW2を、キー配列に応じて、一体的に配列構成するもので、回路基板10、免震シート20、絶縁シート30、スナッププレート40、及びカバーテープ50とで構成されている。すなわち図5に示すキースイッチ装置は、絶縁シート30を設けた点のみが図1に示すキースイッチ装置と異なり、それ以外の構造は図1に示すキースイッチ装置と略同一である。
図5に示すように、絶縁シート30は、柔軟性や絶縁性をもつポリエステル等の樹脂フィルム(シート)を、回路基板10のテール部12以外の主部と突出部11に重なり合う外形に、打ち抜き加工したものである。また、絶縁シート30の下面30aには、回路基板10に形成された各固定接点13と対向する10箇所に、銀箔やカーボン箔等からなる円形の導電体31が、印刷によって、形成されている。図4に示すように、各導電体31は、それぞれが少なくとも第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接する第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る直径(大きさ)に形成されている。すなわち導電体31の直径は、L1×2+L3以上になるように設定され、L1×3+L3×2以上に設定することがより好ましい。図4に示す導電体31はL1×11+L3×10の直径を有する。図5に戻って、絶縁シート30には、免震シート20の切り欠き22と重なり合うよう、それと同じ形状の切り欠き32と、免震シート20の抜き孔23と重なり合うよう、それと同じ形状の抜き孔33が形成されている。このような絶縁シート30にも、複数の位置決め孔60が形成されている。
なお、本実施形態において、免震シート20は、両面粘着テープ(シート)を、回路基板10のテール部12以外の主部と突出部11に重なり合う外形に、打ち抜き加工したものである。両面粘着テープは、柔軟性や絶縁性をもつポリエステル等の樹脂フィルムからなるテープ基材の上下面に粘着剤を塗布等によって設けたものである。
次に、図5に示すキースイッチ装置の組み立てについて説明する。
図5に示すように、回路基板10を除く、免震シート20と絶縁シート30とスナッププレート40、及びカバーテープ50は、1枚のシート状のスイッチユニット71を構成しており、そのスイッチユニット71を回路基板10の上面10aに重合固定することによって、キースイッチ装置の組み立てが、完了する。
スイッチユニット71を組み立る際は、9キースイッチSW2分9個のスナッププレート40の上面を、カーバーテープ50の大判テープ50a側の下面に、そこに設けられた粘着剤を介して、キー配列に応じて、配列固定し、また、残りの1キースイッチSW2分1個のスナッププレート40の上面を、カバーテープ50の小判テープ50b側の中央部下面に、そこに設けられた粘着剤を介して、キー配列に応じて、配列固定し、カバーテープ50の下面に10キースイッチSW2分10個のスナッププレート40を、キー配列に応じて、配列固定(搭載:マウント)する。この際、スナッププレート40のマウンタに対してカバーテープ50を、そこに形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、個々のスナッププレート40を各キー配置に、正確に配列固定する。
続いて、カバーテープ50の大判テープ50aの下面を、そこに設けられた粘着剤を介して、絶縁シート30の主部上面に重合固定し、また、カバーテープ50の小判テープ50bの下面を、そこに設けられた粘着剤を介して、絶縁シート30の突出部上面に重合固定し、絶縁シート30の上面にカバーテープ50を重合固定する。この際、絶縁シート30に対してカバーテープ50を、その両者に形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、カバーテープ50を絶縁シート30の上面に、正確に重合固定すると共に、個々のスナッププレート40の位置と絶縁シート30の個々の導電体31の位置を、それらの中心が平面視で一致するように、正確に合わせる。
続いて、絶縁シート30の下面を、免震シート20の上面に、そこに設けられた接着剤を介して、重合固定する。この際、免震シート20に対して絶縁シート30を、その両者に形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、絶縁シート30を免震シート20の上面に、正確に重合固定すると共に、絶縁シート30の個々の導電体31の位置と免震シート20の個々の貫通孔21の位置を、それらの中心が平面視で一致するように、正確に合わせる。これで、スイッチユニット71の組み立てが、完了する。
スイッチユニット71は、免震シート20の上面に絶縁シート30が重合固定され、その絶縁シート30の上面に10キースイッチSW2分10個のスナッププレート40が設けられ、その10キースイッチSW2分10個のスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、絶縁シート30の上面に固定されている。また、個々のスナッププレート40、絶縁シート30の個々の導電体31、免震シート20の個々の貫通孔21は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。
このようなスイッチユニット71は、例えば、上面に剥離剤等が塗布等によって設けられた離間紙等のベースシートの上面に、重合固定しておくことにより、スイッチユニット71製品(スナッププレート付きスイッチシート)として市場に提供できる。ベースシートの上面には、スイッチユニット71の下面(免震シート20の下面)を、そこに設けられた接着剤を介して、重合固定する。
そして、キースイッチ装置を組み立てる際は、ベースシートを剥がし、スイッチユニット71の下面を露出し、スイッチユニット71の下面を、そこに設けられた接着剤を介して、回路基板10の上面10aに重合固定する。この際、回路基板10に対してスイッチユニット71を、その両者に形成された位置決め孔60を使用して位置決めし、スイッチユニット71を回路基板10の上面10aに、正確に重合固定すると共に、免震シート20の個々の貫通孔21の位置と回路基板10の個々の固定接点13の位置を、それらの中心が平面視で一致するように、正確に合わせる。これで、キースイッチ装置の組み立てが、完了する。
キースイッチ装置は、回路基板10の上面にスイッチユニット71が重合固定されて、回路基板10の上面に免震シート20が重合固定され、その免震シート20の上面に絶縁シート30が重合固定され、その絶縁シート30の上面に10キースイッチSW2分10個のスナッププレート40が設けられ、その10キースイッチSW2分10個のスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、絶縁シート30の上面に固定されている。また、個々のスナッププレート40、絶縁シート30の個々の導電体31、免震シート20の個々の貫通孔21、回路基板10の個々の固定接点13は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。また、絶縁シート30の個々の導電体31と回路基板10の個々の固定接点13は、免震シート20をスペーサとして形成された個々のギャップ(免震シート20の厚み)L4の上下に配置されて、対向している。また、その絶縁シート30の個々の導電体31と回路基板10の個々の固定接点13を覆い跨るように、個々のスナッププレート40が、絶縁シート30の上面に設けられている。個々のスナッププレート40の外縁部と回路基板10の間には、絶縁シート30と免震シート20が介在している。また、個々のスナッププレート40の凹部42と回路基板10の個々の固定接点13の間には、個々のスナッププレート40の中央部下面41と絶縁シート30の上面の間にある個々のギャップ、絶縁シート30、絶縁シート30の個々の導電体31、絶縁シート30の個々の導電体31と回路基板10の個々の固定接点13の間にあるギャップL4が介在している。
キースイッチ装置の個々のキースイッチSW2は、図6に示すように、回路基板10の上面にスイッチユニット71が重合固定されて、回路基板10の上面に免震シート20が重合固定され、その免震シート20の上面に絶縁シート30が重合固定され、その絶縁シート30の上面にスナッププレート40が設けられ、そのスナッププレート40が、カバーテープ50によって上から押さえられて、絶縁シート30の上面に固定されている。また、スナッププレート40、絶縁シート30の導電体31、免震シート20の貫通孔21、回路基板10の固定接点13は、平面視で同心状に配置されて、各キー配置に、正確に配列されている。また、絶縁シート30の導電体31と回路基板10の固定接点13は、免震シート20をスペーサとして形成されたギャップ(免震シート20の厚み)L4の上下に配置されて、対向している。また、その絶縁シート30の導電体31と回路基板10の固定接点13を覆い跨るように、スナッププレート40が、絶縁シート30の上面に設けられている。スナッププレート40の外縁部と回路基板10の間には、絶縁シート30と免震シート20が介在している。また、スナッププレート40の凹部42と回路基板10の固定接点13の間には、スナッププレート40の中央部下面41と絶縁シート30の上面の間にあるギャップ、絶縁シート30、絶縁シート30の導電体31、絶縁シート30の導電体31と回路基板10の固定接点13の間にあるギャップL4が介在している。
こうしてキースイッチ装置の個々のキースイッチSW2は、回路基板10の接点である固定接点13上に変形可能なバネ性を有するドーム状金属板であるスナッププレート40が搭載されて、構成されている。具体的には、回路基板10とスナッププレート40の間に免震シート20が設けられ、その免震シート20の固定接点13部分に貫通孔21が設けられ、その貫通孔21を跨るようにスナッププレート40が免震シート40上に設けられている。また、回路基板10の上面10aには2つの接点である第1固定接点14と第2固定接点15がそれぞれ櫛歯状のパターンを有しそれらが所定のギャップL3をもって噛合するように形成されている。また、スナッププレート40中央部には底部が平坦な凹部42が設けられ、その凹部42の底部を少なくとも一方の接点パターンの1ラインである第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接するもう一方の接点パターンの1ラインである第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る直径(大きさ)に形成してある。また、免震シート20とスナッププレート40の間に絶縁シート30が設けられ、その絶縁シート30上にスナッププレート40が設けられ、絶縁シート30下面には下方の2つの接点パターンである第1固定接点14と第2固定接点15に免震シート20をスペーサとして形成したギャップL4をもって対向する導電体31が設けられ、その導電体31を少なくとも一方の接点パターンの1ラインである第1固定接点14の歯部ライン14bの1ラインとそれに隣接するもう一方の接点パターンの1ラインである第2固定接点15の歯部ライン15bの1ラインに跨る直径(大きさ)に形成してある。さらに、スナッププレート40を固定するカバーテープ50を設けている。
次に、キースイッチ装置の個々のキースイッチSW2の動作について説明する。
図6はキースイッチSW2がOFFのときの状態を示しており、このOFF状態からスナッププレート40の中心部を図示しないキーを介して押し下げすると、スナッププレート40の凹部42の周囲にある中央部が、凸状から凹状に反転変形し、スナッププレート40の中央部下面41が、下方の絶縁シート30を押し下げる。それにより、絶縁シート30の下面に設けられた導電体31を、下方の回路基板10の固定接点13に当接させ、固定接点13の第1固定接点14と第2固定接点15を導電体31を介して導通させ、スナッププレート40ではなく絶縁シート30の下面に設けられた導電体31を可動接点としてキースイッチSW2をONにする。
このON状態で図示しないキーから手指を離し、スナッププレート40の押し下げを解除すると、スナッププレート40の凹部42の周囲にある中央部は、元の凸状に戻り、それに伴い絶縁シート30も、元の平らな状態に戻る。それにより、絶縁シート30の下面に設けられた可動接点としての導電体31が、回路基板10の固定接点13から離反し、固定接点13の第1固定接点14と第2固定接点15の間の導通は断たれる。すなわちキースイッチSW2がOFFになる。
以上、キースイッチ装置の個々のキースイッチSW2は、ドーム状金属板であるスナッププレート40の反転時の動作力の変化によって、クリック感触を付与するので、ドーム状金属板特有のシャープで明瞭なクリック感触を得ることができる。
また、回路基板10とスナッププレート40の間に免震シート20を設け、免震シート20によって、スナッププレート40の動作時の振動が回路基板10に伝わるのを軽減するので、操作音を低減することができる。ここで、回路基板10とスナッププレート40の間には、免震シート20と併せて、絶縁シート30も介在するので、スナッププレート40の動作時の振動が回路基板10に伝わるのをさらに軽減し、操作音をさらに低減することができる。
また、スナッププレート40が直接回路基板10に当接しないようにし、スナッププレート40による回路基板40の打鍵音を無くしているので、操作音をさらに低減することができる。ここで、回路基板10と並行させたスナッププレート40の中央部下面41によって、絶縁シート30を面当たりで押し下げ、導電体31を面当たりで櫛歯状の第1固定接点14と第2固定接点15に接触させるので、免震シート40の採用で櫛歯状のパターンを有することになった回路基板10の第1固定接点14と第2固定接点15と、スナッププレート40との安定した接触を得ることができ、高い接触信頼性を確保することができる。
また、スナッププレート40を固定するカバーテープ50を設け、スナッププレート40と免震シート20(スペーサ)と絶縁シート30とカバーテープ50を、1枚のシート状のスイッチユニット71として取り扱うので、キースイッチSW2の製造が容易に行え、コストも安くなる。
以上、2つの実施形態は本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。