JP5554116B2 - セラミックグリーンシート成型用剥離フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

セラミックグリーンシート成型用剥離フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムおよび当該剥離フィルムの製造方法に関するものである。
近年、携帯電話や小型モバイル機器などは、小型化・軽量化・薄型化・大容量化が進んでおり、これらの機器の基板に実装するコンデンサやICチップなどは、小型かつ大容量化が求められてきている。コンデンサは、数ある種類のなかでも積層セラミックコンデンサの需要が拡大してきており、種々の電子部品を構成するのに広く用いられている。
上記積層セラミックコンデンサは、以下のようにして形成される。
最初に、チタン酸バリウムや酸化チタンなどのセラミック材料からなるセラミックスラリーを剥離フィルム上に塗布し、セラミックグリーンシートを成型する。その後、シート表面に回路を構成する電極パターンを印刷成型し、セラミックグリーンシートの型抜きを行う。次いで、剥離フィルムをセラミックグリーンシートから剥離し、セラミックグリーンシートを複数枚積層して圧着し、個片化することで、未焼成のセラミック多層基板を形成する。そして最後に、当該未焼成のセラミック多層基板を焼成し、積層セラミックコンデンサを得る。
上記セラミックグリーンシートは、剥離フィルムの剥離処理面上に、セラミックスラリーをスロットダイ塗工方式やドクターブレード方式等にて塗布し乾燥させることによって成型される。
上記のようにして成型されるセラミックグリーンシートは、高い塗布厚み精度が要求されるが、セラミックスラリーを塗工し乾燥させたときに、塗工端部の厚みが厚くなる、いわゆる耳高が発生することが問題となっている。
この問題点を解決するための一つの手段として、剥離フィルムの剥離処理面を、液滴接触角による液滴の濡れ性で評価することが行われてきた(特許文献1)。具体的には、静止させた剥離フィルムの剥離処理面上に液滴を一定量滴下させ、その接触角を指標にして濡れ性を評価し、剥離フィルムの剥離処理面に対するセラミックスラリーの塗工性を判断していた。
特開2005−262456号公報
しかしながら、液滴接触角を用いたときに濡れ性の良い剥離フィルムを用いても、セラミックスラリーの組成や、塗布厚み、塗工条件等によっては、塗工端部が収縮して耳高が発生しており、液滴接触角と耳高との相関性が低いという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、成型されるセラミックグリーンシートにて耳高の発生を抑制することのできる、セラミックスラリーの塗工性が良好なセラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムおよび当該剥離フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、少なくとも前記基材の一方の面に形成された剥離剤層とを備えた、セラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムであって、前記剥離剤層の表面にて、水6.0μlの液滴を用いて滑落角を測定したときの付着エネルギーが、5.2mJ/m以上であることを特徴とするセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムを提供する(発明1)。
上記のように付着エネルギーを規定した本発明(発明1)によれば、剥離剤層の表面にセラミックスラリーを塗工し乾燥させたときに、塗工幅の収縮率が小さく、したがって、塗工端部の厚みが厚くなる、いわゆる耳高が発生することが抑制される。
上記発明(発明1)においては、前記剥離剤層の表面にセラミックスラリーを塗工し、乾燥させたときの塗工幅の収縮率が0.00〜0.20%であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記剥離剤層は、アリール変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を使用して形成されてなるもの(発明3)、あるいは、末端ビニル変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を使用して形成されてなるもの(発明4)であることが好ましい。
第2に本発明は、基材と、少なくとも前記基材の一方の面に形成された剥離剤層とを備えた、セラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムの製造方法であって、前記剥離剤層の表面にて、水6.0μlの液滴を用いて滑落角を測定したときの付着エネルギーが、5.2mJ/m以上となるように、前記剥離剤層を形成することを特徴とするセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムの製造方法を提供する(発明5)。
本発明に係るセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムによれば、剥離剤層の表面にセラミックスラリーを塗工し乾燥させたときに、塗工幅の収縮率が小さく、したがって、塗工端部の厚みが厚くなる、いわゆる耳高が発生することが抑制される。
本発明の一実施形態に係るセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムの断面図である。 付着エネルギーの求め方を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム1(以下単に「剥離フィルム1」という場合がある。)は、基材11と、基材11の一方の面に形成された剥離剤層12とを備えて構成される。
基材11としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような基材11としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニルなどのプラスチックからなるフィルムが挙げられ、単層であってもよいし、同種又は異種の2層以上の多層であってもよい。これらの中でもポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、さらには二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、加工時、使用時等において、埃等が発生しにくいため、例えば、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。さらに、ポリエチレンテレフタレートフィルムに帯電防止処理を行うことで、塗工不良等を防止する効果を高めることができる。
基材11の厚さは、通常10〜300μmであればよく、好ましくは15〜200μmであり、特に好ましくは20〜125μmである。
本実施形態における剥離剤層12は、次の条件を満たすものである。すなわち、剥離剤層12は、当該剥離剤層12の表面にて、水6.0μlの液滴を用いて滑落角を測定したときの付着エネルギーが、5.2mJ/m以上、好ましくは5.5mJ/m以上、特に好ましくは5.6mJ/m以上であるものである。
ここで、図2を参照して、付着エネルギーの求め方を説明する。
平坦なガラス基板2上に剥離フィルム1を静止させ、ガラス基板2の傾きを0度にして6.0μlの水の液滴3を剥離フィルム1の剥離剤層12表面上に滴下する。液滴3が静止した3秒後に、ガラス基板2を0.5度/秒の速さで傾斜させ、液滴3が静止位置から離れたときの、液滴3の滑落角α、着液半径r、液滴質量mおよび重力加速度gから、次の式により付着エネルギーE(mJ/m)を求める。
付着エネルギー:E=mg sinα/2πr
α:滑落角(°)
r:着液半径(m)
m:液滴質量(kg)
g:重力加速度(m/s
剥離剤層12が上記条件を満たすことにより、剥離剤層13の表面にセラミックスラリーを塗工し乾燥させたときに、塗工幅の収縮率が小さく、したがって、塗工端部の厚みが厚くなる、いわゆる耳高が発生することが抑制される。付着エネルギーが、5.2mJ/m未満であると、塗工幅の収縮率が大きく、セラミックグリーンシートの耳高を抑制できなくなる。なお、付着エネルギーの上限は特に限定されないが、セラミックグリーンシートの剥離性を考えると、8mJ/m程度である。
塗工幅の収縮率としては、具体的には、0.00〜0.20%であることが好ましく、特に0.02〜0.15%であることが好ましい。
上記の効果は、セラミックスラリーの組成や、塗布厚み、塗工条件等を種々変えた場合にも奏するものであり、したがって、従来の液滴接触角とは異なり、上記条件と耳高との相関性が非常に高いということができる。
上記条件を満たす剥離剤層12を構成する剥離剤としては、従来公知の種類の剥離剤、例えば、シリコーン樹脂系、アルキド樹脂系、オレフィン樹脂系、アクリル系、長鎖アルキル基含有化合物系、ゴム系等の剥離剤の中から選択することができ、それらの架橋密度、官能基、極性等を調整することで、上記付着エネルギーや収縮率の条件を満たし得るものとなる。中でも、シリコーン樹脂系の剥離剤が好ましく、特にフェニル、ジフェニル等のアリール変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤、または末端に1つ以上のビニル、ジビニル、トリビニル等のビニル基を有する末端ビニル変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を使用することが好ましく、さらには架橋剤を含有することが好ましい。また、末端ビニル変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤の場合には、末端ビニル変性シリコーン樹脂100質量部に対してオルガノシロキサンオリゴマーを1〜10質量部、特に3〜7質量部配合したものが好ましい。
架橋剤としては、従来公知のものから適宜選択すればよいが、中でもシロキサン系ポリマー、特にポリオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましい。
剥離剤層12の厚さは特に限定されないが、坪量として、0.01〜3g/mであるのが好ましく、0.05〜2g/mであるのがより好ましい。剥離剤層12の厚さが0.01g/m未満であると、剥離剤層11を構成する材料等によっては、剥離剤層としての機能が十分に発揮されない場合がある。一方、剥離剤層12の厚さが3g/mを超えると、剥離フィルム1をロール状に巻き取った際に、ブロッキングが発生し、繰り出しに不具合を生じる場合がある。
剥離剤層12は、基材11の一方の面に、剥離剤および所望により硬化剤、希釈剤等からなる剥離剤溶液を塗布した後、乾燥し、硬化させることにより形成することができる。なお、塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
硬化剤としては、従来公知のものから適宜選択すればよいが、剥離剤として上記変性シリコーン樹脂を含有する剥離剤を使用する場合には、白金系化合物が好ましい。
以上説明した剥離フィルム1を使用するには、スロットダイ塗工方式やドクターブレード方式等により、剥離剤層13の表面にセラミックスラリーを塗工して乾燥させ、セラミックグリーンシートを成型する。このとき、上記条件を満たす剥離剤層13を備えた剥離フィルム1によれば、成型されるセラミックグリーンシートにおいて耳高の発生が抑制される。すなわち、本実施形態に係る剥離フィルム1は、セラミックスラリーの塗工性に優れる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、基材1における剥離剤層12の反対側の面や、基材1と剥離剤層12との間には、帯電防止層等の他の層が設けられてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
フェニル変性シリコーン樹脂およびポリメチルハイドロジェンシロキサン(架橋剤)の混合物である、質量平均分子量344000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物A)を、固形分30質量%となるようにトルエンで希釈して、シリコーン樹脂溶液Aを調製した。このシリコーン樹脂溶液A100質量部に白金系触媒(信越化学工業社製,PL−50T)2質量部を加え、トルエンで固形分濃度が1.2質量%となるように調整し、塗工液を得た。上記剥離剤組成物Aにおける官能基・置換基およびそれらの含有量を表1に示す。
得られた塗工液を、乾燥後の膜厚が坪量0.07g/mとなるように、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製,T−300,厚さ:38μm)上にバーコート法により均一に塗布した後、130℃で1分間乾燥させ、基材上に剥離剤層が積層された剥離フィルムを得た。
〔実施例2〕
両末端トリビニル変性シリコーン樹脂、分岐状ビニル変性シリコーンオリゴマーおよびポリメチルハイドロジェンシロキサン(架橋剤)との混合物である、質量平均分子量287000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物B)を、固形分30質量%となるようにトルエンで希釈して、シリコーン樹脂溶液Bを調製した。このシリコーン樹脂溶液B100質量部に白金系触媒(信越化学工業社製,PL−50T)2質量部を加え、トルエンで固形分濃度が1.5質量%となるように調整し、塗工液を得た。上記剥離剤組成物Bにおける官能基・置換基およびそれらの含有量を表1に示す。
得られた塗工液を、乾燥後の膜厚が坪量0.09g/mとなるように、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製,T−300,厚さ:38μm)上にバーコート法により均一に塗布した後、130℃で1分秒間乾燥させ、基材上に剥離剤層が積層された剥離フィルムを得た。
〔実施例3〕
フェニル変性シリコーン樹脂およびポリメチルハイドロジェンンシロキサン(架橋剤)の混合物である、質量平均分子量341000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物C)を、固形分30質量%となるようにトルエンで希釈して、シリコーン樹脂溶液Cを調製した。このシリコーン樹脂溶液C100質量部に白金系触媒(信越化学工業社製,PL−50T)2質量部を加え、トルエンで固形分濃度が1.2質量%となるように調整し、塗工液を得た。上記剥離剤組成物Cにおける官能基・置換基およびそれらの含有量を表1に示す。
得られた塗工液を、乾燥後の膜厚が坪量0.07g/mとなるように、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製,T−300,厚さ:38μm)上にバーコート法により均一に塗布した後、130℃で1分間乾燥させ、基材上に剥離剤層が積層された剥離フィルムを得た。
〔比較例1〕
両末端トリビニル変性シリコーン樹脂、分岐状ビニル変性シリコーンオリゴマーおよびポリメチルハイドロジェンシロキサン(架橋剤)との混合物である、質量平均分子量287000の付加反応型オルガノポリシロキサン(剥離剤組成物B)を、固形分30質量%となるようにトルエンで希釈して、シリコーン樹脂溶液Bを調製した。このシリコーン樹脂溶液B100質量部に白金系触媒(信越化学工業社製,PL−50T)2質量部を加え、トルエンで固形分濃度が1.5質量%となるように調整し、塗工液を得た。
得られた塗工液を、乾燥後の膜厚が坪量0.07g/mとなるように、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製,T−300,厚さ:38μm)上にバーコート法により均一に塗布した後、130℃で1分間乾燥させ、基材上に剥離剤層が積層された剥離フィルムを得た。
Figure 0005554116
〔試験例1〕(付着エネルギーの測定)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムにおける剥離剤層表面の付着エネルギーを、協和界面科学社製の全自動接触角計DM−701を使用して測定した。具体的には、温度23度、湿度50%の環境下で、平坦なガラス基板上に剥離フィルムを静止させ、ガラス基板の傾きを0度にして6.0μlの水の液滴を剥離フィルムの剥離剤層表面上に滴下し、液滴が静止した3秒後に、ガラス基板を0.5度/秒の速さで傾斜させ、液滴の端点が静止位置から離れたときの、液滴の滑落角、着液半径、液滴質量および重力加速度から、付着エネルギー(mJ/m)を求めた。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(塗工幅収縮率の評価)
BaTiO(堺化学工業社製,BT−03)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業社製,エスレックB・K BM−2)10質量部、フタル酸ジオクチル(関東化学社製,フタル酸ジオクチル 鹿1級)5質量部、トルエン69質量部およびエタノール46質量部を混合したセラミックスラリーを、乾燥後の膜厚が4μmになるように剥離フィルムの剥離剤層表面に25μmアプリケーターを用いて塗布した。その後、温度23度、湿度50%の条件で1時間乾燥させた。デジタルマイクロメーター(ミツトヨ社製,MODEL AT112)を用いて塗工幅を測定し、下記の式(1)を用いて塗工幅収縮率(%)を算出した。結果を表2に示す。
塗工幅収縮率={(B−A)/A}×100 ・・・(1)
A:剥離フィルムの剥離剤層表面にセラミックスラリーを塗工した後、乾燥前の塗工幅
B:剥離フィルムの剥離剤層表面にセラミックスラリーを塗工し、乾燥させた後の塗工幅
〔試験例3〕(グリーンシート剥離性の評価)
BaTiO(堺化学工業社製,BT−03)100質量部、ポリビニルブチラール(積水化学工業社製,エスレックB・K BM−2)10質量部、フタル酸ジオクチル(関東化学社製,フタル酸ジオクチル 鹿1級)5質量部、トルエン69質量部およびエタノール46質量部を混合したセラミックスラリーを、乾燥後の膜厚が4μmになるように剥離フィルムの剥離剤層表面に25μmアプリケーターを用いて塗布した。その後、60℃で1分間乾燥させることで、厚さ4μmのセラミックグリーンシートが得られ、これをサンプルとした。
得られたサンプルを、室温23度、湿度50%の雰囲気下に24時間置いた。次に、サンプルの中心部を100mm×70mmの大きさにカットし、幅100mmの一方の端辺に、セラミックグリーンシート側から長さ100mmのアクリル粘着テープ(日東電工社製,31Bテープ)を貼付した。このサンプルを、剥離フィルムを下にして平版に貼付し、アクリル粘着テープを貼付した側を下側にして45°に傾け、剥離試験機(島津製作所社製,AG−IS 500N)に設置した。そして、アクリル粘着テープを貼付した端辺の剥離フィルムをセラミックグリーンシートから剥がし、アクリル粘着テープ側を剥離試験機の治具に取り付けた。この状態にて、剥離速度200mm/minでアクリル粘着テープを垂直上方向に引っ張り、剥離力(mN/100mm)を測定した。結果を表2に示す。なお、本発明におけるセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムとして好ましい剥離力は、用途によっても異なるが、4〜20mN/100mm程度、より好ましくは、10〜18mN/100mm程度の範囲内である。
また、上記剥離力の測定と併せて、上記剥離試験時におけるセラミックグリーンシートからの剥離フィルムの剥離性について評価した。剥離試験時にセラミックグリーンシートが破れなかったものを「良」、破れたものを「悪」とした。結果を表2に示す。
〔試験例4〕(液滴接触角の測定)
実施例および比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層表面における2.0μlの水の液滴接触角を、協和界面科学社製の全自動接触角計DM−701を使用して測定した。具体的には、温度23度、湿度50%の環境下で、傾きを0度にした平坦なガラス基板上に剥離フィルムを静止させ、2.0μlの水の液滴を剥離フィルムの剥離剤層表面上に滴下し、液滴が静止した3秒後に、液滴接触角を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0005554116
表2に示される実施例1〜3の結果より、付着エネルギーが5.2mJ/m以上であると、塗工幅収縮率が低下する傾向にあり、耳高が抑制され、したがって塗工性が良好であることが理解できる。
一方、比較例1〜2の結果より、付着エネルギーが5.2mJ/m未満であると、塗工幅収縮率が高くなる傾向にあり、耳高が発生し、したがって塗工性が悪化することが理解できる。
以上のことから、滑落角から得られた付着エネルギーが5.2mJ/m以上であるセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムは、塗工性に優れることが分かる。
また、表2に示される結果より、水2.0μlの液滴接触角と、塗工幅収縮率・耳高との相関関係は見られなかった。
本発明のセラミックグリーンシート成型用剥離フィルムは、耳高でないセラミックグリーンシートを成型することのできる剥離フィルムとして有用である。
1…セラミックグリーンシート成型用剥離フィルム
11…基材
12…剥離剤層
2…ガラス基板
3…液滴

Claims (6)

  1. 基材と、少なくとも前記基材の一方の面に形成された剥離剤層とを備えた、セラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムであって、
    前記剥離剤層は、ビニル基を有するアリール変性シリコーン樹脂を主成分とする剥離剤を使用して形成されてなり、
    前記剥離剤層の表面にて、水6.0μlの液滴を用いて滑落角を測定したときの付着エネルギーが、5.2mJ/m以上である
    ことを特徴とするセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
  2. 基材と、少なくとも前記基材の一方の面に形成された剥離剤層とを備えた、セラミックグリーンシート成型用の剥離フィルムであって、
    前記剥離剤層は、末端ビニル変性シリコーン樹脂を主成分とし、前記末端ビニル変性シリコーン樹脂100質量部に対して分岐状ビニル変性シリコーンオリゴマーを1〜10質量部配合した剥離剤を使用して形成されてなり、
    前記剥離剤層の表面にて、水6.0μlの液滴を用いて滑落角を測定したときの付着エネルギーが、5.2mJ/m 以上である
    ことを特徴とするセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
  3. 前記末端ビニル変性シリコーン樹脂が、両末端トリビニル変性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項に記載のセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
  4. 前記剥離剤層の表面にセラミックスラリーを塗工し、乾燥させたときの塗工幅の収縮率が0.00〜0.20%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
  5. 前記付着エネルギーが、5.5〜8mJ/m であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
  6. 前記剥離剤層表面における2.0μlの水の液滴接触角が、107.7〜108.8であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート成型用剥離フィルム。
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