JP5551550B2 - 粘土鉱物分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、浴湯に添加することで浴湯を白濁させる入浴剤には、浴湯を白濁させるための粉体あるいはカプセル化した油脂等(白濁成分)が配合され、この白濁成分の分散状態の維持等を目的とし、粘土鉱物が配合されている。
また、粘土鉱物分散液中の粘土鉱物や水溶性高分子化合物等を単に増量して増粘を図ると、粘土鉱物分散液の流動性が低下したり、湯浴等への分散性が低下するという問題があった。
そこで、製造工程中で減粘しにくい粘土鉱物分散液の製造方法を目的とする。
前記粘土分散工程は、前記(A)成分と前記(B)成分とを(B)成分/(A)成分=3〜8(質量比)で混合することが好ましい。
本発明の粘土鉱物分散液は、(A)成分:水膨潤性粘土鉱物と、(B)成分:糖アルコールと、(C)成分:水溶性高分子化合物と、(D)成分:(ポリ)グリセリンエステルと、(E)成分:水とを含有するものである。本発明の粘土鉱物分散液は、例えば、液体入浴剤、ボディローション、シャンプー、トリートメント等に用いられるものであり、中でも、水への分散性に優れることから液体入浴剤に、好適に用いられる。
本発明の(A)成分は、水膨潤性粘土鉱物である。粘土鉱物分散液は、(A)成分を含有することで、水で膨潤された(A)成分がカードハウス構造を形成し、適度な粘度を発揮する。
また、(A)成分は、カチオン化されていないものが好ましい。カチオン化されていない(A)成分は、(B)〜(D)成分とカードハウス構造を形成しやすいためである。
(A)成分としては、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ工業株式会社製)、ベンゲル(豊順鉱業社製)、ルーセンタイト(コープケミカル株式会社製)、クニピア(クニミネ工業株式会社製)、ベンクレイ(水澤化学工業株式会社製)、ビーガム(バンダービルト社製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。
これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の(B)成分は、糖アルコールである。(B)成分を含有することで、(A)成分がママコになりにくく速やかに膨潤する。
本発明の(C)成分は、水溶性高分子化合物である。粘土鉱物分散液は、(C)成分を含有することで、適度な粘度を発揮できる。
「水溶性」とは、水に対する溶解度(20℃)が0.1g/水100g以上のものをいう。また「高分子」とは、重量平均分子量が1000以上のものをいう。
(C)成分の重量平均分子量は、GPC−MALLS(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー−多角度光散乱検出器)を用い、0.5mol/Lの過塩素酸ナトリウム溶液を移動相とし、以下の方法で測定した値である。(A)成分の純分濃度が約1000質量ppmとなるように移動相で希釈した試料溶液について、TSK−GELαカラム(東ソー株式会社製)を用い、633nmの波長を多角度散乱検出器により測定する。標準品として、分子量既知のポリエチレングリコールを用いる。
これらは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の(D)成分は、(ポリ)グリセリンエステルである。粘土鉱物分散液は、(D)成分を含有することにより、減粘しにくいものとなる。減粘が抑制される機構は明らかではないが、(A)成分と(D)成分との会合体が形成され、この会合体がカードハウス構造と類似する構造を形成すると共に、(D)成分が(A)成分同士のバインダーとして機能するためと考えられる。また、(D)成分は、後述する任意成分の内、油性成分を粘土鉱物分散液に配合する場合、油性成分を(E)成分中に分散するための乳化剤として機能する。
このような(D)成分としては、モノグリセリドや、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド等のモノグリセリド誘導体、脂肪酸ポリグリセリンエステル等が挙げられ、中でも、脂肪酸ポリグリセリンエステルが好ましい。
脂肪酸ポリグリセリンエステルとしては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸ジグリセリル、ジステアリン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸ペンタグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、テトラステアリン酸ヘキサグリセリル、テトラステアリン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリル、ヘキサステアリン酸ヘキサグリセリル、オクタステアリン酸ヘキサグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ヘキサグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ヘキサグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸ペンタグリセリル、トリイソステアリン酸ヘキサグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、テトライソステアリン酸ヘキサグリセリル、テトライソステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸テトラグリセリル、ペンタイソステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ヘキサイソステアリン酸ペンタグリセリル、ヘキサイソステアリン酸ヘキサグリセリル、オクタイソステアリン酸ヘキサグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノミリスチン酸グリセリンヘプタベヘニン酸デカグリセリル、トリオレイン酸ペンタグリセリル、トリベヘニン酸ペンタグリセリル、テトラベヘニン酸ペンタグリセリル、ペンタベヘニン酸ペンタグリセリル、ジベヘニン酸トリグリセリル、トリベヘニン酸トリグリセリル、テトラベヘニン酸トリグリセリル等が挙げられる。中でも、脂肪酸炭素数2〜22のものが好ましく、脂肪酸炭素数16〜18のものがより好ましく、構造体(分子集合体)を形成しやすい2鎖型である(ポリ)グリセリンエステルのグリセリンのOH基の内、いずれか2つが疎水基となっている脂肪酸を有するものがさらに好ましく、ジステアリン酸デカグリセル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルが特に好ましい。
本発明の(E)成分は、水である。(E)成分は、特に限定されず、水道水、井水や、蒸留、イオン交換、ろ過又はこれらを組み合わせて処理した精製水等が挙げられる。
粘土鉱物分散液中の(E)成分の配合量は、(A)〜(D)成分の配合量や、用途等を勘案して決定できる。
粘土鉱物分散液には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせ、含有させることができる。任意成分としては、油性成分、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤等の界面活性剤、無機粉体、有機粉体等の水不溶性粉体、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、紫外線吸収剤、冷感付与剤、酸化防止剤、着色剤、香料、制汗剤、殺菌剤、消臭剤、防腐剤、包接化合物香料、色素等が挙げられる。
粘土鉱物分散液中の油性成分の含有量は、粘土鉱物分散液の用途等を勘案して決定できる。
本発明の粘土鉱物分散液を製造方法は、(A)成分と(B)成分と(E)成分の一部とを混合して粘土分散液を得る粘土分散工程と、(C)成分と(E)成分の残部とを混合して高分子分散液を得る高分子分散工程と、粘土分散液と高分子分散液とを混合して混合液を得る混合工程と、混合液と(D)成分とを混合する分散液調製工程とを有するものである。
粘土分散工程は、(A)成分と、(B)成分と、(E)成分の一部とを混合して粘土分散液を得る工程である。本工程を設けることで、(A)成分は、層間に十分量の水が浸透されて膨潤状態が飽和し、粘土鉱物分散液の粘度を安定させられる。
本工程における混合温度は、特に限定されず、例えば、5〜90℃とされる。5℃未満であるとママコが発生しやすくなり、90℃超であると水分の揮発により組成のバランスが変化するおそれがあるためである。
また、混合時間は、混合装置の能力や容積等を勘案し、(A)成分が(E)成分中に十分に分散し、かつ膨潤する時間とされる。
高分子分散工程は、(C)成分と、(E)成分の残部とを混合して高分子分散液を得る工程である。粘土鉱物分散液の製造中に(C)成分のダマが生じると、このダマを分散するために高い剪断力をかけて長時間混合する必要がある。この際、(A)成分が存在していると、(A)成分によるカードハウス構造が形成されにくくなり、所望する粘度が得られないおそれがある。
本工程における混合温度は、(C)成分の種類等を勘案して決定でき、例えば、5〜90℃とされる。5℃未満であると増粘したり、ママコが生成しやすくなるおそれがあり、90℃超であると、(C)成分が変性したり、水分の揮発により組成のバランスが変化するおそれがあるためである。
また、混合時間は、混合装置の能力や容積等を勘案し、(C)成分が(E)成分中に十分に分散する時間とされる。
混合工程は、粘土分散工程で得られた粘土分散液と、高分子分散工程で得られた高分子分散液とを混合して混合液を得る工程である。本工程により、(E)成分で膨潤された(A)成分と(C)成分とが(E)成分中に分散した混合液を得ることができる。
本工程の混合は、粘土分散工程と同様の混合装置を用いることができる。
本工程における混合温度は、混合装置の能力等を勘案して決定でき、例えば、5〜90℃とされる。5℃未満であると増粘したり、ママコが生成しやすくなるおそれがあり、90℃超であると、(C)成分が変性したり、水分の揮発により組成のバランスが変化するおそれがあるためである。
また、混合時間は、混合装置の能力や容積等を勘案し、(C)成分が(E)成分中に十分に分散する時間とされる。
混合工程で得られた混合液と、(D)成分とを混合して粘土鉱物分散液とする工程である。本工程により、(D)成分が混合液中に分散され、適度な粘度を備え、かつ保管・移送においても減粘しない粘土鉱物分散液が得られる。
本工程に用いる混合装置の例について、以下に図面を用いて説明する。図1は、混合装置の一例を示すバッチ式混合装置1の模式図である。バッチ式混合装置1は、撹拌槽10と、撹拌槽10の内面12を掻き取る略U字状のスクレーパー翼31に攪拌槽10の中心方向に突出する突出翼32が設けられた壁面掻取翼30と、攪拌槽10の略中心に上下方向に延びる攪拌軸22と、該攪拌軸22から内面12に向かって突設された攪拌翼20とで概略構成されている。
このバッチ式混合装置1においては、攪拌槽10内に混合液と(D)成分とを供給し、撹拌翼20及び壁面掻取翼30を回転させることで、供給された原料は、内面12と攪拌翼20との間で生じる剪断力を受けながら混合される。
このようなバッチ式混合装置としては、アジホモミキサー(株式会社エヌ・ピー・ラボ製)、ロボミクスホモミキサー(プライミクス株式会社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)等が挙げられる。
この連続式混合装置100においては、ローター120を回転させながら吸入口112からハウジング110内に、混合液と(D)成分とを混合した流体を供給することで、供給された流体は攪拌翼122とステーター130の内面132との間で生じる剪断力を受けながら混合され、排出口114から装置外へ排出される。
このような連続式混合装置としては、マイルダー(太平洋機工株式会社製)、ラインホモミキサー(プライミクス株式会社製)等が挙げられる。
本工程における剪断速度は、1000〜10000sec−1が好ましく、2000〜8000sec−1がより好ましく、3000〜6000sec−1がさらに好ましい。剪断速度が1000sec−1未満であると、(D)成分を十分に分散できないおそれがある。剪断速度が10000sec−1超であると、例えば、油性成分を配合した場合、(D)成分が乳化粒子の表面に配列し、(A)成分との会合体が形成されないおそれがある。
例えば、図1に示すバッチ式混合装置1における剪断速度は、攪拌翼20の先端24の先端速度と、先端24と攪拌槽10の内面12とのクリアランス(図1中のD1)とから算出できる。
また、図2に示す連続式混合装置100における剪断速度は、攪拌翼120の先端124の速度と、先端124とステーター130の内面132とのクリアランス(図2中のD2)とから算出できる。
なお、当該剪断速度は、混合装置の攪拌翼の回転速度又は攪拌翼と内面とのクリアランスの調節により調整することができる。
循環回数=Nqd×r×d3×θ÷V ・・・(i)
(式(i)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、θ:攪拌時間(min)、V:内容液の体積(m3))
(式(ア)中、Qd:吐出流量(m3/min)、N:攪拌翼の回転数(rpm)、R:攪拌槽の内径(m))
ここで、Qdは、攪拌翼の剪断速度に応じ、公知の方法により測定できる(参考文献1:佐藤忠正,谷山巌,「攪拌槽における吐出循環流量」,社団法人化学工学会,化学工学,第29巻,第3号,1965年、参考文献2:創業70周年記念事業特別委員会編,「乳化・分散の理論と実際」,特殊機化工業株式会社,1997年4月17日)。
例えば、プロペラ翼、パドル翼、タービン翼、ディスプロ翼、ディスパー翼等、剪断速度5500sec−1未満の攪拌翼のQdは、図3に示す測定装置200を用いて測定することができる。
図3に示すように測定装置200は、攪拌槽202と、攪拌槽202内に設けられた攪拌翼230と、鏡240とを備えるものである。鏡240は、攪拌槽202の下方に、攪拌槽202の底面214に対し角度αの傾斜で設けられたものである。攪拌槽202は、略円筒形の水槽210と、水槽210の内周面に、開口部212から底面214に掛けて等間隔で設けられた2枚の邪魔板220とを備え、水槽210は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽210内部を鏡240で視認できる材質のものである。攪拌翼230は、攪拌軸232と接続され、攪拌軸232は、図示されない動力と接続されている。
d/R=0.25〜0.5、C/R=0.1〜0.8、W/R=0.1、α=45°
(dは攪拌翼の直径(m)、Cは攪拌翼の取付高さ(m)、Wは邪魔板の幅(m)、Rは攪拌槽の内径(m)、αは攪拌槽の底面に対するミラーの角度(°)である。)
(式(イ)中、mqは通過回数、Vは内容液260の体積(m3)、TAは測定時間(min)を表す。)
図4に示すように測定装置300は、攪拌槽301と、攪拌槽301内に設けられた攪拌部304とを備えるものであり、攪拌部304は、タービン翼である攪拌翼302と、邪魔板の役目をするステーター303とで構成されている。攪拌翼302は、攪拌軸307と接続され、攪拌軸307は、図示されない動力と接続されている。攪拌槽301は、水槽305と、攪拌部304の上方に設けられた転流板306とで構成され、水槽305は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽305内部を視認できる材質とされている。
測定装置300は、各構成部材が下記の条件を満たすものである。
d/R=0.2〜0.3、z/Z=0.5〜0.7、l/L=0.5〜0.7
(dは攪拌翼の直径(m)、Rは攪拌槽の内径(m)、z/Zは攪拌翼の取付位置(m/m)、l/Lは転流板の取付位置(m/m)である。)
式(ウ)中、Vは内容液260の体積(m3)、TBは混合時間(min)を表す。
なお、TBは、下記(エ)式により、求めることができる。
式(エ)中、T1は、g(t)分布のトップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=0〜t1までの混合時間の平均を表す。T2は、g(t)分布トップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=t1〜∞までの時間の平均を表す。t=0〜t1区間におけるg(t)、t=t1〜∞におけるg(t)は、g(t)軸のプロットを基に、近似式として求めることができる。
循環回数=Nqd×r×d3÷F ・・・(ii)
[式(ii)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、F:混合装置へ供給される流体の流量(m3/min)]
上記(II)において、Nqdは、(I)の場合と同様である。
また、混合時間は、混合装置の能力や容積等を勘案し、(D)成分を十分に分散できる時間とされる。
溶解操作に用いる混合装置は、従来公知の混合装置を用いることができ、例えば、プロペラ翼を備えたベッセル、ニーダー等のバッチ式混合装置や、インラインミキサー等の連続式混合装置が挙げられる。また、上述した膨潤工程で用いる混合装置と同様のものを用いてもよい。
また、混合時間は、混合装置の能力や容積等を勘案し、水溶性の任意成分が(E)成分中に十分に溶解する時間とされる。
本発明の粘土鉱物分散液の製造方法には、分散液調製工程の前段に冷却工程を設けることが好ましい。この冷却工程は、混合工程で得られた混合液を任意の温度まで冷却するものである。
冷却方法は、特に限定されず、例えば、攪拌しながら冷却する方法や、室温で静置する方法や、熱交換器に通流させる方法が挙げられ、中でも、攪拌しながら冷却する方法(攪拌冷却法)が好ましい。攪拌冷却法を用いることで、粘土鉱物分散液の減粘を抑制できる。
攪拌冷却法における攪拌方法は、特に限定されないが、例えば、分散液調製工程で用いた混合装置を用い、好ましくは攪拌翼の先端速度5〜25m/s、より好ましくは6〜14m/sで攪拌する。
冷却速度は、0.01〜5℃/minが好ましく、0.1〜3℃/minがより好ましい。この範囲内であれば、粘土鉱物分散液の減粘を抑制しつつ効率的に冷却できる。
このような状態の粘土分散液と高分子分散液との混合液を用いて、分散液調製工程が行われるため、(A)成分及び(C)成分の膨潤状態が確保され、粘土鉱物分散液の粘度が維持される。さらに、分散した(D)成分が(A)成分同士のバインダーとして機能することで、(A)成分と(D)成分との会合体により形成されたカードハウス類似構造は、移送・保管において破壊されない程度に強固なものになるためと考えられる。
(使用原料)
各実施例及び各比較例における使用原料を以下に示す。
<(A)成分>
・ベントナイト:クニピア−G(商品名)、クニミネ工業株式会社製
・サボナイト:スメクトンSA(商品名)、クニミネ工業株式会社製
・ソルビット:ソルビット液(70%)、NOSORB 70/02 SB(商品名)、純分70質量%、ロケットジャパン株式会社製
・キシリット:中央化成株式会社製
<(B’)成分:(B)成分の比較品>
・ジプロピレングリコール:ジプロピレングリコール DPG−FC(商品名)、旭硝子株式会社製
・架橋型ポリアクリル酸ナトリウム:レオジック 250H(商品名)、日本純薬株式会社製
・カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na):セロゲンF−815A(商品名)、第一工業製薬株式会社製
・キサンタンガム:エコーガムT(商品名)、大日本住友製薬株式会社製
・ジステアリン酸デカグリセル:DECAGLYN 2−ISV(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
・ジイソステアリン酸ポリグリセル:Sフェイス IS−1002P(商品名)、阪本薬品工業株式会社製
表1に示す組成の共通成分を用いた。表1中の共通成分の組成割合(質量%)は、粘土鉱物分散液中の含有量である。
<減粘率の評価>
製造直後の粘土鉱物分散液の粘度を測定し、その測定結果を測定値Aとした。製造後、ポンプ(MASTER FLEX、MODEL:7523−00、供給能力:49L/分(0.65m/s)、Barnant Company製)に、ホース(40A(内径40mm)4mを接続し、粘土鉱物分散液(25℃)全量を25℃の環境下で、移送した。移送後の粘土鉱物分散液の粘度を測定し、その測定結果を測定値Bとした。測定値A及びBから、下記(1)式により減粘率を算出し、その減粘率を下記判定基準に分類した。
◎:減粘率が17%未満
○:減粘率が17%以上30%未満
△:減粘率が30%以上40%未満
×:減粘率が40%以上
ローター:No.3、回転数:60rpm、測定温度:25℃(粘土鉱物分散液の温度)、測定時間:60秒後
表2〜3の組成に従い、以下の手順で各例の粘土鉱物分散液を16kg製造した。なお、表中の組成は、純分換算である。
粘土分散工程の欄に記載の(A)成分と(B)成分と(E)成分とを10Lビーカー中で70℃に加温し、プロペラ攪拌翼(600rpm、プロペラ攪拌翼の先端速度:1.4m/s)により30分間攪拌して粘土分散液を得た。高分子分散工程の欄に記載の(B)成分と(C)成分と(E)成分とを2Lビーカー中で70℃に加温し、プロペラ攪拌翼(600rpm、プロペラ攪拌翼の先端速度:1.4m/s)により30分間攪拌して高分子分散液を得た。
図5に示す混合装置400と同様の混合装置(PVT−1−20型、みずほ工業製)で、高分子分散液と共通成分と混合し、これに粘土分散液を混合して混合液を得た。混合に当たっては、壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、攪拌翼:回転数7600rpm,先端速度=19m/sで混合装置を0.5分間運転した。その後、攪拌翼を停止し、混合装置を壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/sで4.5分間運転した。さらに、壁面掻取翼、中央翼での攪拌を続け、混合液を40℃まで冷却した(混合工程)。
冷却した混合液と、表中の分散液調製工程の欄に示した(D)成分(但し、予め60℃で加温溶解した)及び(B)成分とを混合し、粘土鉱物分散液を得た。混合に当たっては、壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、攪拌翼:回転数4000rpm,先端速度=10m/sで混合装置を4分間(混合時間)運転した。その後、攪拌翼を停止し、壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/sで混合装置を16分間運転した。さらに、壁面掻取翼、中央翼での攪拌を続け、粘土鉱物分散液を40℃まで冷却した(分散液調製工程)。
この混合装置400は、壁面掻取翼430と、中央翼420との回転により、攪拌槽410内の被混合物を流動させると共に、攪拌部440により被混合物に剪断力を与えるものである。
図中、符号D3は、攪拌翼444の先端とステーター442の内面とのクリアランスを表わし、符合d3は、攪拌翼444の直径を表わす。
なお、本実施例に用いた混合装置(PVT−1−20型、みずほ工業製)は、図5中のD3=0.5mm、d3=44mm、吐出流量係数(Nqd)=0.1のものである。
表3の組成に従い、攪拌翼の先端速度と、攪拌翼の運転時間とを表3の条件とした以外は、実施例1と同様にして粘土鉱物分散液を得た。
表4の組成に従い、混合装置(T.K.アジホモミキサー SL型(20L))に(E)成分を投入し、70℃に加温した。次いで、共通成分を除く原料を混合装置に投入し、壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、攪拌翼:回転数7600rpm,先端速度=19m/sで混合装置を0.5分間運転し、混合液とした。その後、攪拌翼を停止し、混合装置を壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/sで4.5分間運転した。さらに、壁面掻取翼、中央翼での攪拌を続け、混合液を40℃まで冷却した。
次いで、共通成分を混合液に加え、壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、攪拌翼:回転数4000rpm,先端速度=10m/sで混合装置を4分間(混合時間)運転し、粘土鉱物分散液を得た。その後、攪拌翼を停止し、混合装置を壁面掻取翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/s、中央翼:回転数=53rpm,先端速度=0.86m/sで運転した。さらに、壁面掻取翼、中央翼での攪拌を続け、粘土鉱物分散液を40℃まで冷却した。
これに対し、粘土分散工程と高分子分散工程とを設けなかった比較例5〜6は、いずれも減粘率が「△」又は「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用することで、移送中に減粘しにくい粘土鉱物分散液が得られることが判った。
Claims (2)
- (A)成分:水膨潤性粘土鉱物と、(B)成分:ソルビット、グリセリン、キシリット、マルチット及びラクチットから選択される1種以上と、(C)成分:水溶性高分子化合物と、(D)成分:(ポリ)グリセリンエステルと、(E)成分:水とを含有する粘土鉱物分散液の製造方法であって、
前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(E)成分の一部とを混合して粘土分散液を得る粘土分散工程と、
前記(C)成分と、前記(E)成分の残部とを混合して高分子分散液を得る高分子分散工程と、
前記粘土分散液と、前記高分子分散液とを混合して混合液を得る混合工程と、
前記混合液と、前記(D)成分とを混合する分散液調製工程とを有することを特徴とする粘土鉱物分散液の製造方法。 - 前記粘土分散工程は、前記(A)成分と前記(B)成分とを(B)成分/(A)成分=3〜8(質量比)で混合することを特徴とする請求項1に記載の粘土鉱物分散液の製造方法。
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