JP5551099B2 - ロック機能付きコネクタ - Google Patents
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Description
このコネクタは、薄板状の接続対象物が挿脱可能で回路基板上に載置したインシュレータと、インシュレータに並べて固定した、インシュレータに挿入した接続対象物と接触する複数のコンタクトと、接続対象物の被ロック部と係脱可能なロック爪を有し、このロック爪が被ロック部と接続対象物の挿脱方向に対向するロック位置と、被ロック部と挿脱方向に対向しなくなるアンロック位置との間を回転可能としてインシュレータに支持したロック部材と、インシュレータに支持した、ロック部材をロック位置側に回転付勢するコイルばねと、を備えている。さらにロック部材には、インシュレータに挿入した接続対象物によって押圧されることによりロック位置に位置しているロック部材をアンロック位置まで回転させ、さらにロック爪が被ロック部と接続対象物の厚み方向に対向しなくなったときに接続対象物と非接触になりロック部材がロック位置まで回転するのを許容する被押圧部が設けてある。
このように特許文献1のコネクタは、接続対象物をインシュレータに挿入するという1回の動作により接続対象物とコンタクトを確実に接続でき、しかも接続後は被ロック部とロック爪により接続対象物がインシュレータ及び各コンタクトから不意に抜け出すのを確実に防止できる。
また、ロック部材をコイルばねの付勢力に抗してアンロック位置まで回転させれば、接続対象物とコネクタのロック状態を意図的に解除できる。
しかし操作部がインシュレータ上面の直上に位置しているため、コネクタ全体に低背化の要求がある場合に対応するのが難しいという問題がある。仮にロック部材の厚みを小さくしてコネクタ全体を低背構造にするとコイルばねの長さを短くする必要があるため操作力とストローク量を設計的に両立させるのが難しくなる。また、ロック部材の回転角が小さくなるため、ロック部材による接続対象物のロック及びロック解除に必要なロック部材の移動量を確保することが困難となり、操作性及び保持力に悪影響が出るおそれがある。即ち、特許文献1ではコネクタの低背化とロック部材の良好な操作性を両立させるのが難しい。
また、コネクタの上部にロック部材(操作部)が位置しているため、コネクタの直上に他の部材を重ねてレイアウトするのが難しいという問題もある。
このように構成すれば、付勢手段をシェル部材とは別体とする場合に比べて、コネクタの全体構造が簡単になる。
コンタクトに外部ノイズが入ったり、コンタクトのノイズが外部に漏れるのをより効果的に防止できるようになる。
このように構成すれば、コネクタ全体をより低背化できるようになる。
また、ロック部材を付勢手段の付勢力に抗してアンロック位置まで回転させれば、接続対象物とコネクタのロック状態を意図的に解除できる。
さらに、接続対象物挿入状態においてもロック部材に回転付勢力が及ぶので、振動や衝撃等の外乱によりロック部材がアンロック位置になることを防止できる。
さらに操作部の全体が取付部(インシュレータの)から外側(接続対象物のインシュレータからの脱出方向側)に突出しているので、目視することによりロック部材の操作部の位置を把握できる。そのため、接続対象物がコネクタに対して完全に挿入されているか否かを把握し易い。
本実施形態のコネクタ10は、大きな構成要素としてインシュレータ20、シグナルコンタクト40、ロック部材50、及び、シェル部材60を具備している。
インシュレータ20は絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形したものである。インシュレータ20の前面にはFFC80とほぼ同幅で後方に向かって延びるFFC挿入溝21が凹設してある。インシュレータ20には前後方向に延びる計51本のコンタクト挿入溝22が形成してある。各コンタクト挿入溝22の後部はインシュレータ20の後壁を前後方向に貫通しており(図2、図11等を参照)、各コンタクト挿入溝22の前部はFFC挿入溝21の底面に凹設してある。インシュレータ20の底面の左右両側部には中央部に比べて一段上方に凹んだ底面凹部23が凹設してある。さらに左右の底面凹部23には取付溝(取付部)24がそれぞれ凹設してある。取付溝24は前面が開放した外側溝25と、外側溝25の内側に位置しかつFFC挿入溝21の左右両側部とそれぞれ連通する内側溝27とを具備している。外側溝25の天井面の前部は傾斜受面26となっている。取付溝24の後端部の左右両側の内側壁には凹部からなる軸受け凹部28が形成してあり、軸受け凹部28の直下には支持突部29が内向きに突設してある(図7参照)。インシュレータ20の前面の上半部には計11個の係止凹部30が左右方向に並べて凹設してあり、インシュレータ20の左右両側面には前端が閉塞し後端が開放する側部係止溝31が凹設してある。インシュレータ20の上面には前後方向に延びかつ前端が開放する計4本の導入溝32が凹設してあり、各導入溝32の後端部はインシュレータ20の後端部に形成された突部を貫通する係止孔33となっている。さらにインシュレータ20の前面の下半部には、左右両端に位置するコンタクト挿入溝22の外側に位置し、かつその下端部が左右の底面凹部23とそれぞれ連続する下部係止溝34が凹設してある。
図4、図5、図11等に示すようにシグナルコンタクト40の後端部には略L字状に屈曲したテール部41が形成してある。またシグナルコンタクト40の前部は前斜め上方に向かって延びる弾性変形部42となっており、弾性変形部42の前端近傍部には接触突部43が屈曲させることにより形成してある。
各シグナルコンタクト40はインシュレータ20の各コンタクト挿入溝22に対して後方から圧入してある。図11等に示すように各シグナルコンタクト40をコンタクト挿入溝22に圧入すると、弾性変形部42がFFC挿入溝21内に位置し、テール部41と弾性変形部42の間に位置する中間部の下面が対応するコンタクト挿入溝22の底面に接触し、さらに該中間部の側面に突設した係止突起が対応するコンタクト挿入溝22の側面に食い込むことにより該中間部がコンタクト挿入溝22に対して固定状態となる。一方、テール部41はインシュレータ20の後方に突出し、その下面がインシュレータ20の下面より下方に位置する。
左右のロック部材50はインシュレータ20の左右の取付溝24に対して取り付けてある。ロック部材50を取付溝24に取り付けるには、まずロック部材50を取付溝24に対して下方から近づけて、左右の回転軸52を内側に僅かに弾性変形させながら支持突部29を上方に乗り越えさせ、自由状態に弾性復帰した左右の回転軸52を左右の軸受け凹部28にそれぞれ係止する。ロック部材50の操作部55はインシュレータ20の前面から前方に突出しており、ロック爪53は内側溝27内に位置している。
シェル部材60をインシュレータ20に対して取り付けるには、まず図4、図5に示すようにインシュレータ20の直前に位置させたシェル部材60を後方に移動させて、各後側係止片64を導入溝32に対して前端側から係合させると共に左右の側部66をインシュレータ20の両側面に被せて、さらに左右の底板部70を下方から左右の底面凹部23に被せる。シェル部材60をさらに後方にスライドさせると、各後側係止片64が対応する係止孔33に対して前方から嵌合し、左右の弾性係止片67が外側に僅かに弾性変形した状態で係止凹部31の底面(側面)に接触し、左右の下側係止片73が左右の下部係止溝34に対して前方から係合する。さらに左右の底板部70全体が底面凹部23に係合することにより取付溝24の下端開口部を塞ぐ。このようにしてシェル部材60をインシュレータ20に対して装着することによりコネクタ10が完成する。
コネクタ10が完成すると、左右のロック部材50は、アーム部54の上面が傾斜受面26に接触し操作部55の上面がインシュレータ20(シェル部材60)の上面と略平行になるロック位置(図1、図2、図8等の位置)と、アーム部54の上面が傾斜受面26から下方に離れてストッパ57が回路基板CB(図1、図3、図18、図19の仮想線参照。詳細は後述)の上面に接触するアンロック位置(図18、図19の位置)との間を回転軸52回りに回転可能となる。さらに僅かに下方に弾性変形した左右の板バネ部71の先端近傍部がロック部材50の受容溝56の天井面に接触し、板バネ部71がロック部材50を回転付勢するので、操作部55に対して下向きの外力を与えないときロック部材50はロック位置に保持される。
FFC80は複数の薄膜材を互いに接着して構成した積層構造であり、FFC80の下面にはFFC80の延長方向に沿って直線的に延びる計51本の回路パターン(図示略)が左右方向に並べて形成してあり、回路パターンの両端部を除く部分の下面を絶縁カバー層によって覆っている。またFFC80の上面には回路パターンと平行に延びる計6本の接地パターン(図示略)が左右方向に並べて形成してあり、接地パターンの両端部を除く部分の上面を絶縁カバー層によって覆っている。図示するようにFFC80の後端部はその他の部分に比べて幅広でかつその他の部分に比べて硬質の硬質端部81となっており、硬質端部81の左右両端部が被ロック部82を構成している。
図1に示すようにFFC80を硬質端部81側からコネクタ10に接近させてFFC挿入溝21に挿入すると(図12、図13参照)、硬質端部81の左右の被ロック部82の間に位置する部分がFFC挿入溝21の天井面と各シグナルコンタクト40の接触突部43の隙間に進入する。さらに、左右の被ロック部82がロック部材50のロック爪53の前面(傾斜面)を押圧するので、板バネ部71の回転付勢力に抗してロック部材50が図12、図13に示す位置(ロック位置とアンロック位置の中間位置)まで回転し、図13に示すように左右の被ロック部82が左右のロック爪53の上面に乗り上げる。
図14〜図17に示すようにFFC80をさらに後方に移動させることにより硬質端部81の後端面がFFC挿入溝21の後端面に当接すると(図16参照)、ロック部材50の左右の被ロック部82が左右のロック爪53を乗り越える(ロック爪53の後方に移動する)ので、板バネ部71の回転付勢力によってロック部材50がロック位置に回転復帰し、図15に示すように左右のロック爪53の後面(垂直面)が左右の被ロック部82の直前に位置する。従って、仮にFFC80に前向きの意図しない外力が掛かってもFFC80がコネクタ10(FFC挿入溝21)から前方に抜け出すことはない。
さらに、FFC80の下面に形成した上記回路パターンが各シグナルコンタクト40の弾性変形部42を下向きに弾性変形させながら接触突部43に接触し(図17参照)、FFC80の上面に形成した上記接地パターンが各接地導通部62を上向きに弾性変形させながら接地導通部62に接触する。そのため、FFC80の回路パターンと回路基板CBの回路パターンが各シグナルコンタクト40を介して互いに電気的に導通する。さらにFFC80の上記接地パターンと回路基板CBの上記接地パターンがシェル部材60を介して接地導通するので、シグナルコンタクト40に外部ノイズが入ったり、シグナルコンタクト40のノイズが外部に漏れるのを防止できる。
さらに作業者は目視によりロック部材50の位置を把握できるので、FFC80がコネクタ10(FFC挿入溝21)に対して不完全挿入(FFC80の端部がFFC挿入溝21の終端より手前までしか挿入されていない挿入状態)された場合には、このことを確実に認識できる。
また、FFC80をインシュレータ20に押し込むことにより被ロック部82がロック爪53を後方に乗り越えると、ロック部材50が板バネ部71の回転付勢力によってロック位置に自動的に回転復帰するので、作業者はこの際に強いクリック感を感じる。そのため、作業者はFFC80の完全な挿入を(目視だけでなく)感覚的にも容易に認識できるので、シグナルコンタクト40及び接地導通部62がFFC80と完全に接続したか否かを確実に把握できる。
またインシュレータ20とロック部材50(操作部55)が上下方向に重ならないので、他部材(例えばシェル部材60やコネクタ10以外の部品)をインシュレータ20の上面に対して重ねながらレイアウトすることが可能になる。
さらにロック部材50に形成した受容溝56内に板バネ部71を位置させているため、受容溝56を具備しないロック部材50の下面に板バネ部71を当接させる構造に比べて、ロック部材50と板バネ部71の上下方向の合計寸法を小さくできるので、コネクタ10をより低背化可能である。
例えば図20〜22に示す変形例での実施が可能である。
このコネクタ10’の基本構成はコネクタ10と同じであるが、インシュレータ20の前面の左右両端近傍には一対のロック判別用突起35が前向きに突設してあり、左右の操作部55の上面には上面及び後面が開放した逃げ用溝58が凹設してある。図20、図21に示すようにロック部材50がロック位置に位置するとき、逃げ用溝58の内部に対応するロック判別用突起35が位置するので、側方からロック判別用突起35を視認することは出来ない。一方、図22に示すようにロック部材50がロック位置以外に位置するときは、操作部55の上面がロック判別用突起35の下方まで移動するので、側方からロック判別用突起35を視認可能となる。このように作業者は、側方からコネクタ10を見ることによりロック部材50がロック位置以外の位置にあること、すなわちFFC80がコネクタ10(FFC挿入溝21)に対して不完全挿入されていることをより確実に認識可能となる。
また接続対象物はFFC以外のケーブル、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)であってもよい。
さらに、接続対象物の下面に貫通孔または凹部を形成し、ロック爪53をこの貫通孔または凹部に係合させるようにしてもよい(この場合は、接続対象物の貫通孔または凹部の直前に位置する部分が被ロック部となる)。
さらに付勢手段として板バネ部71とは別の形態の付勢手段を用いてもよい。例えば、インシュレータ20に板バネ71に相当するバネ部材を一体的に形成してもよい。またはインシュレータ20に下端を支持し上端でロック部材50を支持する圧縮コイルばねを利用してもよい。或いは付勢手段として引張バネを利用してもよい。
20 インシュレータ
21 FFC挿入溝
22 コンタクト挿入溝
23 底面凹部
24 取付溝(取付部)
25 外側溝
26 傾斜受面
27 内側溝
28 軸受け凹部
29 支持突部
30 係止凹部
31 側部係止溝
32 導入溝
33 係止孔
34 下部係止溝
35 ロック判別用突起
40 シグナルコンタクト
41 テール部
42 弾性変形部
43 接触突部
50 ロック部材
51 基板部
52 回転軸(被支持部)
53 ロック爪
54 アーム部
55 操作部
56 受容溝
57 ストッパ
58 逃げ用溝
60 シェル部材
61 天井部
62 接地導通部
63 前側係止片
64 後側係止片
66 側部
67 弾性係止片
68 テール部
70 底板部
71 板バネ部(付勢手段)
72 テール部
73 下側係止片
80 FFC(接続対象物)
81 硬質端部
82 被ロック部
CB 回路基板
Claims (4)
- 被ロック部を有する薄板状の接続対象物が挿入及び脱出可能で、自身の厚み方向の一方側に回路基板が位置するインシュレータと、
上記接続対象物の一方の面に形成した回路パターンと接触可能かつ上記回路基板と導通する、上記インシュレータに支持したコンタクトと、
上記被ロック部と係脱可能なロック爪が上記被ロック部と接続対象物の挿脱方向に対向するロック位置と、該ロック位置よりも上記回路基板側に位置しかつ被ロック部と挿脱方向に対向しなくなるアンロック位置との間を回転可能として上記インシュレータに支持したロック部材と、
該ロック部材を上記ロック位置に向けて回転付勢する付勢手段と、
を備え、
上記ロック爪は、上記インシュレータに挿入した上記接続対象物によって押圧されたときに上記ロック位置に位置しているロック部材を上記アンロック位置まで回転させ、かつ、上記被ロック部と接続対象物の厚み方向に対向しなくなったときに上記接続対象物と非接触になりロック部材が上記ロック位置まで回転するのを許容し、
上記インシュレータの上記脱出方向側の端部に取付部の少なくとも一部を形成し、
上記ロック部材が、上記取付部に回転可能に支持した被支持部と、全体が該取付部から上記脱出方向側に突出する操作部と、を備えることを特徴とするロック機能付きコネクタ。 - 請求項1記載のロック機能付きコネクタにおいて、
上記インシュレータに金属製のシェル部材を固定し、
該シェル部材に上記付勢手段を一体的に形成したロック機能付きコネクタ。 - 請求項2記載のロック機能付きコネクタにおいて、
上記シェル部材に、上記接続対象物の他方の面に形成した接地パターンと接触可能な接地導通部を形成したロック機能付きコネクタ。 - 請求項1から3のいずれか1項記載のロック機能付きコネクタにおいて、
上記ロック部材の回転方向の一方側の面に、付勢手段を受容する受容溝を形成したロック機能付きコネクタ。
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