JP5550926B2 - 内燃機関におけるシリンダヘッド - Google Patents

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本発明は,複数の気筒を備えた内燃機関におけるシリンダヘッドのうち,前記各気筒からの排気ポート当該シリンダヘッドの内部において集合するように構成して成るシリンダヘッドに関するものである。
先行技術としての特許文献1には,
「内燃機関におけるシリンダヘッドの内部において,各気筒ごとに少なくとも二つ設けられている排気ポートを一つの集合排気出口に集合するように構成する。」
ことが記載されている。より詳しくは,
「前記一つの集合排気出口を,各気筒の中間に位置する中間気筒の真横の部位又はこれに近い部位に配設し,この集合排気出口に,前記中間気筒における両排気ポートを連通する一方,前記中間気筒の外側に位置する外側気筒における両排気ポートを排気通路に集合し,この排気通路を前記集合排気出口に向かって延びて前記集合排気出口に連通する構成にし,更に,前記中間気筒には,当該中間気筒における両排気ポート間の部位に仕切り隔壁を前記集合排気出口に向かって延びるように設け,この仕切り隔壁の内部に,シリンダヘッドの上面における動弁機構室からオイルパンへのオイル落とし通路とか,或いは冷却水通路等の流体通路を設ける。」
いう構成している。
特開2007−162591号公報
この先行技術によると,中間気筒の両排気ポートからの排気ガスが互いに干渉することを,その間に設けた仕切り隔壁によって防止できるから排気ガスの流れ抵抗を低減でき,しかも,前記仕切り隔壁の内部にオイル落とし通路等の流体通路を設けた分だけシリンダヘッドの小型軽量化を図ることができる。
しかし,その反面,前記中間気筒における仕切り隔壁の左右両側面には,当該中間気筒の外側に位置する外側気筒からの排気ガスが排気通路を通って吹き当たるという構成になっているから,この仕切り隔壁に吹き当たる分だけ排気ガスの流れ抵抗が大きくなるばかりか,前記仕切り隔壁の部分は高い温度になり,この仕切り隔壁の内部に設けた流体通路内を流れるオイルの劣化を著しく促進したり,或いは,前記流体通路内を流れる冷却水冷却性能を大幅に低下させたりするという問題があった。
本発明は,この問題を,排気ガスの流れ抵抗の増加を招来することなく,解消することを技術的課題としている。
この技術的課題を達成するため請求項1は,
一列に並んだ各気筒ごとに二つずつ設けられている排気ポートと,一方の長手側面に開口した一つの集合排気出口とを有しており,前記一つの集合排気出口を,各気筒の中間に位置する中間気筒の真横の部位又はこれに近い部位に配設し,この集合排気出口に,前記中間気筒に対応した二つの中間排気ポートを連通させる一方,前記中間気筒の外側に位置した外側気筒に対応した両排気ポートをそれぞれ排気通路に集合し,これら両排気通路を前記集合排気出口に向かって延びて前記集合排気出口に連通する構成にし,更に,前記中間気筒に対応した2つの中間排気ポートは前記集合排気出口に向けて延びる中間仕切り隔壁で仕切られており,このため,前記各気筒の軸心方向から見て,前記中間仕切り隔壁を挟んだ両側に,前記排気通路における気筒列側の内側面と前記中間排気ポートの内側面とが交わるコーナー部が形成されており,更に,前記中間仕切り隔壁の内部に流体通路を設けているシリンダヘッドであって,
前記中間仕切り隔壁のうち前記集合排気出口に向いた先端部を,前記各気筒の軸心方向から見て,前記コーナー部の先端よりは前記集合排気出口の側に突出して,前記排気通路における気筒列側の内側面の延長線より外側に突出しないように設定する一方,前記排気通路における前記気筒列側の内側面に,当該内側面に沿って流れる排気ガスを前記集合排気出口の方向に偏流させる手段を設けた」
側面に沿って流れる排気ガスを前記集合排気出口の方向に偏流させる手段を設けた」
ことを特徴にしている。
また,請求項2は,
「前記請求項1の記載において,前記コーナー部の箇所に前記中間排気ポートの側に突出した隆起部を設けることにより、前記中間排気ポートのうち前記集合排気出口10に開口した部分の通路断面積を縮小させている
ことを特徴としている。
請求項1によると,前記構成にしたことにより,中間仕切り隔壁の左右両側面に,当該中間気筒の外側に位置する外側気筒からの排気ガスが吹き当たることを回避できるから,排気ガスの流れ抵抗を低減できることに加えて,前記仕切り隔壁の温度が下がり,この仕切り隔壁の内部に設けた流体通路内を流れるオイルの劣化,又は前記流体通路内を流れる冷却水による冷却性能の低下を大幅に防止できる。
しかも,前記構成にしたことにより,前記集合排気出口を,外側気筒からの排気ガスが前記中間仕切り隔壁に吹き当たらない状態を保持したままで,気筒列に近づけることができるから,シリンダヘッドにおける幅寸法を縮小できて,それだけ小型化及び軽量化を達成できる。
また,請求項2によると,前記中間気筒における両排気ポートのうち前記集合排気出口に開口する部分が隆起部によって絞られことにより,この部分における排気ガスの流速が加速され,この加速によって,前記外側気筒から前記集合排気出口への排気ガスの流れを促進できるから,排気ガスの流れ抵抗を一層低減できる。
実施の形態におけるシリンダヘッドの縦断正面図で図2のI−I視断面図である。 図1のII−II視断面図である。 図2の要部を示す拡大図である。 別の実施の形態を示す要部の拡大図である。
まず,本発明の第1の実施の形態を,図1〜図3の図面について説明する。
これらの図において,符号1は,三つの気筒第1気筒A,第2気筒B及び第3気筒Cをクランク軸線1aに沿って一列に並べて成る内燃機関を示し,この内燃機関1は,シリンダブロック2の上面にシリンダヘッド3を複数本のヘッドボルト4にて締結して成るという構成である。
なお,前記複数本のヘッドボルト4は,図2に示すように,前記各気筒A〜Cのうち第1気筒Aと第2気筒Bとの間の部位,第2気筒Bと第3気筒Cとの間の部位,第1気筒Aの外側の部位,及び第3気筒Cの外側の部位に各々配設されている。
前記シリンダヘッド3には,前記各気筒A,B,Cごとに点火プラグ5が設けられているほか,このシリンダヘッド3の内部には,前記第1気筒Aに対して二つの排気ポート6が,第2気筒Bに対して二つの中間排気ポート7が,第3気筒Cに対して二つの排気ポート8が各々設けられている。
また,前記シリンダヘッド3のうち前記クランク軸線1aと平行に延びる一方の長手側面9には,図2(平断面図)に示すように,前記各気筒A,B,Cのうち外側に位置する第1気筒(外側気筒)Aと第3気筒(外側気筒)Cとの中間に位置する第2気筒(中間気筒)Bにおける真横の部位,又は,これに近い部位に,一つの集合排気出口10が開口している。
前記第2気筒(中間気筒)Bにおける両中間排気ポート7は,前記集合排気出口10の方向に延びたのち,この集合排気出口10に直接に連通するという構成であり,この両中間排気ポート7の間には,中間仕切り隔壁11が,前記集合排気出口10に向かって延びるように設けられている。すなわち,左右の中間排気ポート7は中間仕切り隔壁11によって区分されている。
前記中間仕切り隔壁11の内部には,前記シリンダヘッド3の上面における動弁機構室12内における潤滑油を前記シリンダブロック2の下部におけるクランク室(図示せず)に導くためのオイル落とし通路13が形成されている。また,本発明の別の実施の形態においては,前記オイル落とし通路13を,冷却水の通路に構成したり,或いは,ブローバイガス通路に構成したりすることができる。
一方,前記各気筒A,B,Cのうち前記第2気筒(中間気筒)Bよりも外側に位置する第1気筒(外側気筒)Aに連通した両排気ポート6は,平断面視で,第2気筒(中間気筒)Bに向かって内向きに湾曲しながら第1気筒用の排気通路14に集合している。
また,前記各気筒A,B,Cのうち前記第2気筒(中間気筒)Bを挟んで第1気筒と反対側にした第3気筒(外側気筒)Cに連通した両排気ポート8は,第2気筒(中間気筒)Bに向かって内向きに湾曲しながら第3気筒用の排気通路15に集合している。
これら第1気筒用の排気通路14と第3気筒用の排気通路15とは,各気筒A,B,Cの軸心方向から見た方向である平断面視において,前記集合排気出口10に向かって斜め外向きに延びたのち前記集合排気出口10に連通するという構成になっている。
前記第2気筒(中間気筒)Bの両中間排気ポート6間における中間仕切り隔壁11の先端部11aは,平断面視において,前記集合排気出口10に向かって山型又は半丸型に形成され,そして,前記第1気筒用排気通路14における左右の両内側面14a,14bのうち気筒列側に位置した内側面14bの延長線14b′,及び,前記第3気筒用排気通路15における左右の両内側面15a,15bのうち気筒列側の内側面15bの延長線15b′の上の部位に位置するか,これら延長線14b′,15b′よりも内側(気筒列側)の部位に位置しており,これにより,前記先端部11aは,前記延長線14b′,15b′よりも外側に突出しないという構成になっている。
排気通路14,15における気筒側の内側面14b,15bと中間排気ポート7の内側面7aとが交差してコーナー部になっているが,前記両排気通路14,15における気筒列側の内側面14b,15bに,前記コーナー部の箇所である後半の部分に,なだらかな湾曲面にしながら前記延長線14b′,15b′よりも排気通路14,15内に突出する隆起状ガイド部16,17を設けることにより,前記気筒列側の内側面14b,15bに沿って流れる排気ガスを,図2及び図3に矢印Sで示すように,この隆起状ガイド部16,17によって,前記集合排気出口10の方向に偏流させる(反らす)ように構成している。
このように,前記中間仕切り隔壁11における先端部11aを,前記延長線14b′,15b′よりも外側に突出させないという構成にしたことに加えて,前記両排気通路14,15における気筒列側の内側面14b,15bに沿って流れる排気ガスを,前記隆起状ガイド部16,17によって前記集合排気出口10の方向に偏流させるという構成にしたことにより,前記第2気筒(中間気筒)Bにおけるお中間仕切り隔壁11の左右両側面に,当該第2気筒Bの外側に位置する第1気筒A及び第3気筒Cからの排気ガスが吹き当たることを確実に回避できる。
この場合,本発明における別の実施の形態においては,図4に示すように,前記両排気通路14,15における気筒列側の内側面14b,15bに,なだらかな湾曲面にしながら前記延長線14b′,15b′よりもゆるやかな湾曲面に凹ませて成る凹み状ガイド部16′,17′を設けることにより,前記気筒列側の内側面14b,15bに沿って流れる排気ガスを,矢印S′で示すように,この凹み状ガイド部16′,17′によって,前記集合排気出口10の方向に偏流させるという構成にすることができるほか,その他の構成によって,前記気筒列側の内側面14b,15bに沿って流れる排気ガスを前記集合排気出口10の方向に偏流させる(反らす)ことができる。
また,前記両排気通路14,15における気筒列側の内側面14b,15bと,前記第2気筒(中間気筒)Bの両中間排気ポート7における一方の内側面7aとが交わるコーナー部の箇所には,前記一方の内側面7aの延長線7a′よりも中間排気ポート7内にゆるやかな形状にして突出する隆起部18を設けている。
この隆起部18を設けることにより,前記第2気筒bにおける両中間排気ポート7のうち前記集合排気出口10に開口する部分は,通路断面積が縮小されるように絞られ,この部分における排気ガスの流速が加速され,この加速によって,前記第1気筒A及び第3気筒Cから前記集合排気出口10への排気ガスの流れを促進できる。
1 内燃機関
A,C 第1,第3気筒(外側気筒)
B 第2気筒(中間気筒)
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
6 第1気筒に連通した排気ポート
7 中間排気ポート
8 第3気筒に連通した排気ポート
10 集合排気出口
11 中間仕切り隔壁
13 オイル落とし通路(流体通路)
14,15 排気通路
16,17 隆起状ガイド部(偏流手段) 16′,17′ 凹み状ガイド部(偏流手段)
18 隆起部

Claims (2)

  1. 一列に並んだ各気筒ごとに二つずつ設けられている排気ポートと,一方の長手側面に開口した一つの集合排気出口とを有しており,前記一つの集合排気出口を,各気筒の中間に位置する中間気筒の真横の部位又はこれに近い部位に配設し,この集合排気出口に,前記中間気筒に対応した二つの中間排気ポートを連通させる一方,前記中間気筒の外側に位置した外側気筒に対応した両排気ポートをそれぞれ排気通路に集合し,これら両排気通路を前記集合排気出口に向かって延びて前記集合排気出口に連通する構成にし,更に,前記中間気筒に対応した2つの中間排気ポートは前記集合排気出口に向けて延びる中間仕切り隔壁で仕切られており,このため,前記各気筒の軸心方向から見て,前記中間仕切り隔壁を挟んだ両側に,前記排気通路における気筒列側の内側面と前記中間排気ポートの内側面とが交わるコーナー部が形成されており,更に,前記中間仕切り隔壁の内部に流体通路を設けているシリンダヘッドであって,
    前記中間仕切り隔壁のうち前記集合排気出口に向いた先端部を,前記各気筒の軸心方向から見て,前記コーナー部の先端よりは前記集合排気出口の側に突出して,前記排気通路における気筒列側の内側面の延長線より外側に突出しないように設定する一方,前記排気通路における前記気筒列側の内側面に,当該内側面に沿って流れる排気ガスを前記集合排気出口の方向に偏流させる手段を設けことを特徴とする内燃機関におけるシリンダヘッド。
  2. 前記請求項1の記載において,前記コーナー部の箇所に前記中間排気ポートの側に突出した隆起部を設けることにより、前記中間排気ポートのうち前記集合排気出口10に開口した部分の通路断面積を縮小させていることを特徴とする内燃機関におけるシリンダヘッド。
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