JP5548050B2 - Frp製クライオスタット - Google Patents

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Description

本発明は、液体窒素や液体ヘリウム等の低温冷却媒体を収納するためのFRP製クライオスタットに関し、より具体的には超電導コイル等の超電導部材を冷却するための液体窒素や液体ヘリウム等の低温冷却媒体が収納される容器の壁部に金属製継手等の金属製部材が貫通状態で固着されているFRP製クライオスタットに関するものである。
高温超電導コイルを用いた電力機器等の開発が進んでいる。特に超電導モータや超電導主変圧器においては、FRP製クライオスタットは非磁性であることから、電流の影響を受けることがなく交流損失や発熱等を引き起こすことはない。この点において高温超電導を用いる機器の冷却に使用されるクライオスタットはFRP製で内槽と外槽からなる二重構造とすることが必要不可欠である。
ところで、超電導コイル等の超電導部材の冷却に用いるクライオスタットは、クライオスタットの内槽に超電導コイル等の被冷却物を収納しなければならないために、密封構造を形成するためには一体成形で製造することは困難である。特にFRP製クライオスタットの場合には、金属製材料を使用した場合と異なり、溶接ができないので、クライオスタットの本体となる有底筒状の容器本体部と、該容器本体部の上部開口に被着される板状蓋部材とを組み合わせ、これらを接着することで製作するのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。従来、FRP製クライオスタットの壁面に冷却媒体用の配管や電極等の金属製部材を貫通状態で取付る際には、FRP製容器壁部に形成した雌ねじ孔に金属製部材の雄ねじ部を接着剤を介して螺着することが一般的に行われていた(特許文献1参照)。しかし、特に内槽は、低温の冷却媒体で冷却されるので、冷却と昇温が繰り返し行われる際の熱応力等により、該螺着部は真空断熱層の真空漏れが生じ易い箇所となっていた。
FRP製クライオスタットの取付部に機械的な振動・衝撃が加わる場合、クライオスタットの容器壁部に貫通状態で固定されている配管や電極などが共振などにより取付部根本に過大なる機械的応力が発生する。この機械的応力に対して、FRP製クライオスタットの壁部を貫通して取付られる金属製部材を固着することができ、更に各種応力による真空リークの発生を防止できるFRP製クライオスタットとして、金属製部材を鍔付き雄ねじ部材の挿入孔に挿入して固着し、金属製部材を固着した鍔付き雄ねじ部材をFRP製容器壁面に形成した雌ねじ孔に接着剤を介して螺着し、雌ねじ孔から突出した鍔付き雄ねじ部材の雄ねじ部に鍔付き雌ねじ部材を螺着し、両部材の鍔部で容器壁を挟着した状態とし、次いで、鍔部と容器壁面とを覆うようにプリプレグを貼り付けて積層した後、プリプレグを脱気して硬化させて製造されるFRP製クライオスタットが開示されている(例えば特許文献2参照)。しかし、特許文献2に開示の取付構造は、機械的強度(物理的強度)としては強固なものであったが、それよりも常温から低温にした場合の熱収縮率の違いを原因とする大きな応力が、FRPねじ部とステンレスねじ部との間で発生することで、真空リークを生ずるおそれを拭い去ることはできなかった。
特開2007−210325号公報 特開2007−214546号公報
これまで、クライオスタットのような密封容器の場合には、前述の金属部材の取付け方は容器壁部に雌ねじ孔を設けて容器外側からのねじ込み接着で行われることが一般的であった。例えば、図7に示すようにFRP容器壁部に貫通する雌ねじ30を設けて、鍔付雄ねじ部材3を該雌ねじに螺合し、且つ鍔付雄ねじ部材に設けられた挿入孔11に金属製部材2を挿入して貫通させて該雄ねじ部の先端に鍔付雌ねじ部材7を螺着させて、且つ鍔付雄ねじ部材と金属製部材間を密封構造としていた。しかし、この場合、FRPの雌ねじに対して外側からのみの取り付けのため、その接着部に機械的な衝撃や熱的な衝撃が繰り返して加えられると、接着部が剥離したりクラックが発生したりするおそれがあった。また、クライオスタットに振動・衝撃が加わった場合、クライオスタットに付属する配管や電極などの突起物が共振などにより取付部根本に過大なる力が発生を考慮し、その力に耐えうるように継手等の貫通部を挟むように両側からフランジで固定する方法がされていた。しかし機械的強度は増したものの、それとは別に温度差および熱収縮率の違いによるFRP製容器の雌ねじ部と、金属製雄ねじ部との間で応力が発生し更に集中することで、接着部に過大な応力が掛かり、真空リークを起こしてしまう事例が生じていた。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、FRP製クライオスタットの容器壁部に金属製部材が貫通した状態で固定されているFRP製クライオスタットにおいて、
容器壁部と1つの相対する面を有する、鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面と、該部材の円筒部が容器壁部に設けられたストレート孔から突出して先端部に設けられた雄ねじに螺合された鍔付き雌ねじ部材の鍔部内表面との間で容器壁部を挟着することにより固定される構造とし、
かつ鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面と容器壁部間をプリプレグ又は接着剤を用いて形成される密封構造、又は鍔付き雄ねじ部材の鍔部と該鍔部近傍の容器壁部を外表面側からプリプレグで覆うように張り付けて積層後加熱硬化させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)ないし(7)に記載する発明を要旨とする。(1)FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B11)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B12)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B1)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B11)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S11)が、
前記円筒部(B12)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S12)と螺着され、
前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
かつ容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
該密封構造が〈1〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との接合面に、内周が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外周が鍔部(B11)の外径よりも小さい輪型形状のプリプレグを挟着後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)を介して接合された密封構造、
又は、〈2〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面とが接合する容器壁部(W)側の面に、内径が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外径が鍔部(B11)の外径より小さい、接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝内に接着剤を塗布後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該接着剤が硬化して形成された接着剤層(AL2)を介して接合された密封構造である、ことを特徴とするFRP製クライオスタット(以下、第1の態様ということがある。)。
(2)鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部と接する容器壁部(W)の面に、該鍔部に対応する形状の凹部を形成して、該凹部に鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部が嵌合されていることを特徴とする、前記(1)に記載のFRP製クライオスタット。
(3)前記鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させて更に密封構造を形成することを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のFRP製クライオスタット。
(4)前記容器壁部(W)と鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面との間で前記プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)の厚みが0.20〜0.50mm、
又は、容器壁部(W)側に設けられた接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝の深さが0.1〜0.4mmである、ことを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のFRP製クライオスタット。
(5)FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B21)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B22)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B2)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B21)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S21)が、
前記円筒部(B22)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S22)と螺着され、
前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
かつ容器壁部(W)と鍔部(B21)との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
容器壁部(W)と鍔部(B21)との間の密封構造が鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成された密封構造、
であることを特徴とするFRP製クライオスタット(以下、第2の態様ということがある。)。
(6)鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)が接する容器壁部(W)の面と、鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部が接する容器壁部(W)の面の少なくともいずれか一方又は双方に、それぞれ相対する鍔部の外形形状に対応する形状の凹部を形成して、該凹部に該鍔部が嵌合されていることを特徴とする、前記(5)に記載のFRP製クライオスタット。
(7)前記金属製部材(A)と、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)又は鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)との間の密封構造が溶接又はロウ付けである、ことを特徴とする前記(1)から(6)のいずれかに記載のFRP製クライオスタット。
本発明のFRP製クライオスタットは、容器壁部(W)に径が一定のストレート孔を設けて、該ストレート孔に鍔付雄ねじ部材(B1又はB2)を貫通させてその先端部に鍔付雌ねじ部材(S12又はS22)を螺着して、FRP容器壁部を鍔付雄ねじ部材(B1又はB2)の鍔部内表面と、鍔付雌ねじ部材の鍔部(S12又はS22)内表面で挟着する構造とすることにより、常温から低温に冷却される際に容器壁部(W)と金属製部材(A)との間で熱膨張率の違いを原因とする熱応力に起因する真空リークを大幅に改良することが可能になった。
容器壁部(W)と鍔付雄ねじ部材(B1)間の密封構造として、図1、2に示すFRP層(AL1)もしくは接着剤層(AL2)を使用した構造、又は図5、6に示すように、鍔付き雄ねじ部材の鍔部(S12)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成された構造、とすることにより確実に密封構造を確保することができる。尚、第1の態様における鍔付雌ねじ部材(S12)、又は第2の態様における鍔付雄ねじ部材(B2)及び/又は鍔付雌ねじ部材(S22)のそれぞれの鍔部を容器壁部(W)に設けられた凹部に嵌合する構造とすることにより、該容器壁部面と水平方向の振動に対する取付強度を向上することができる。
また、金属製部材(A)は、容器壁部(W)の貫通部とは直接、接触せずに容器壁部(W)とは鍔付雄ねじ部材(B1、又はB2)の鍔部内表面のみで接合又は接しているので、従来の容器壁部に累着固定する構造と比較すると、軸方向の熱収縮分を解放することができ熱応力の影響をほとんど受けることがないので、真空リークを効果的に抑制することが可能になる。
更に、鍔部(B21)と容器壁部(W)との接合面に使用するプリプレグ、または接着剤として、鍔部(B21)と容器壁部(W)との双方に接着性を有するものを使用することにより、また、FRP層(AL1)及び接着剤層(AL2)の厚みが非常に薄いので、極低温まで冷却しても熱収縮量が小さくなり、温度変化による熱応力を比較的低く維持できるので、真空リークを一層抑制することが可能になる。従って、本発明のFRP製クライオスタットを使用することにより、容器壁部(W)に金属製部材(A)を確実に固着でき、更に各種の応力による真空リークの発生を防止できるので、長期間の使用にも耐えることができる。
本発明の第1の態様のFRP製クライオスタットにおいて、鍔付雄ねじ部材(B1)と容器壁部(W)内表面との接合面にFRP層(AL1)が形成されている例を示す要部断面図である。 本発明の第1の態様のFRP製クライオスタットにおいて、鍔付雄ねじ部材(B1)と容器壁部(W)内表面との接合面に接着剤層(AL2)が形成されている例を示す要部断面図である。 本発明の第2の態様のFRP製クライオスタットにおいて、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付ける前の状態の例を示す要部断面図である。 本発明の第2の態様における金属製部材(A)、鍔付き雄ねじ部材(B2)に鍔付き雌ねじ部材(S22)を螺着する状態を示す要部断面正面図である。 本発明の第2の態様における鍔部周囲へのプリプレグの貼り付け例を示す要部断面図である。 本発明の第2の態様における鍔部周囲へのプリプレグの貼り付け例を示す正面図である。 従来技術における、FRP製クライオスタットの壁面に金属製部材(A)、鍔付き雄ねじ部材、及び鍔付き雌ねじ部を取り付けた例を示す要部断面正面図である。
以下に本発明の〔1〕第1の態様の「FRP製クライオスタット」と、及び〔2〕第2の態様の「FRP製クライオスタット」について説明する。
〔1〕第1の態様の「FRP製クライオスタット」
本発明の第1の態様の「FRP製クライオスタット」は、
FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B11)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B12)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B1)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B11)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S11)が、
前記円筒部(B12)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S12)と螺着され、
前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
かつ容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
該密封構造が〈1〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との接合面に、内周が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外周が鍔部(B11)の外径よりも小さい輪型形状のプリプレグを挟着後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)を介して接合された密封構造、
又は、〈2〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面とが接合する容器壁部(W)側の面に、内径が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外径が鍔部(B11)の外径より小さい、接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝内に接着剤を塗布後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該接着剤が硬化して形成された接着剤層(AL2)を介して接合された密封構造である、ことを特徴とする。
以下に本発明の第1の態様を図1,2を用いて説明するが、第1の態様は以下の例示に限定されるものではない。
図1(A)、(B)、(C)において、上記したように、鍔付き雄ねじ部材(B1)3は容器壁部(W)のストレート孔15を貫通していて、該ストレート孔から突出した鍔付き雄ねじ部材(B1)3の円筒部(B12)5の先端に設けられた雄ねじ部に鍔付き雌ねじ部材(S12)7の雌ねじが螺着され、該雌ねじの螺着により鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)4内表面と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8内表面とで容器壁部(W)1が挟着されて、鍔付き雄ねじ部材(B1)3は容器壁部(W)1に固定されている。
外形形状が円柱形の金属製部材(A)2は、FRP製クライオスタットの容器壁部(W)1に、鍔付き雄ねじ部材(B1)3の挿入孔(H)11に挿入された状態で貫通して、溶接、又はロウ付け部12で密封状態で固着されて一体形状物(S11)6を形成し、鍔部(B11)4内表面と容器壁部(W)1とが該プリプレグを硬化させて形成されたFRP層(AL1)13を介して接合された密着構造となっている。また、前記挟着のために挟着用工具の係合面を形成することが可能なように、鍔付雄ねじ部材(B1)の頭部10と鍔付雌ねじ部材(S12)の頭部9がそれぞれ設けられている。
図1(A)、(B)、及び(C)においては、いずれも鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部4が先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有している。
一方、図1(A)では鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8が先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有しており、図1(B)では鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8が先端に向かって一定の厚みの形状を有しており、図1(C)では前記(B)における鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8が容器壁部(W)に設けられた凹部に嵌合されて固定されている。尚、図1(B)と(C)における符号は、図1(A)における符号と共通の部分が多いので該共通部分の一部の符号の記載は省略して、図1(B)と(C)では要部のみに符号を付してある。
図2(A)、(B)、及び(C)は、上記図1(A)、(B)、及び(C)とそれぞれ対比して、容器壁部(W)1面と鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)4内表面との間の接合面にFRP層(AL1)13の代わりに接着剤層(AL2)14を使用する点を除いては同様の構造である。
図2(A)、(B)、及び(C)の鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部4、鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8は、図1(A)、(B)、及び(C)における鍔部4、鍔部8とそれぞれ同様である。尚、図2(B)と(C)における符号は、図2(A)における符号と共通の部分が多いので該共通部分の一部の符号の記載は省略して、図2(B)と(C)では要部のみに符号を付してある。
以下に本発明の第1の態様の「FRP製クライオスタット」の詳細について説明する。
(1)FRP製容器
(1−1)概要
FRP製クライオスタットは、一般に、ガラス繊維、カーボン繊維などの補強繊維のクロスあるいはマットに、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸したFRPプリプレグを硬化させて得られた筒状もしくは板状の成型物である。
ここでFRPプリプレグとは、ガラス繊維、カーボン繊維などの補強繊維のクロスあるいはマットに、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂の液状未硬化物、硬化剤、増粘剤などを含む樹脂組成物を含浸した繊維含量30〜40vol%の未硬化状態のマット状のものである。通常20層以上のFRPプリプレグが貼り付けられて、成型物が形成される。
超電導コイル等の超電導部材の冷却にFRP製クライオスタットを用いる場合には、その容器壁部(W)に金属製部材(A)を貫通させて密封構造として固定する必要がある。この場合、FRP製クライオスタットは、低温の冷却媒体で冷却されるので、冷却と昇温が繰り返し行われる際の熱応力等により、該貫通部は真空断熱層の真空漏れが生じ易い箇所となっていた。
尚、FRP製クライオスタットの容器の成形法としては、例えば、FRP製クライオスタットの容器壁部の予備成形体を成形する際には、先ず、一端が開口した有底筒状体からなるFRP製クライオスタットの容器半体の予備成形体を2個成形する。容器壁部(W)への金属製部材(A)の固定や、容器内部に超電導部材である被冷却物を収納した後、容器半体の予備成形体を接合し、接合部にプリプレグを積層した後、該積層したプリプレグ表面全体を気密性シートで覆う。その後、型枠と気密性シート間に存在するプリプレグ層を真空に脱気してプリプレグ中の気体を極力除去し、プリプレグを気密性シートで包装した状態で加熱してプリプレグを硬化させて容器とする。
(1−2)材質等
クライオスタットが超電導コイルを収納する容器等に使用される場合、導電性を有する材料を用いてクライオスタットを成形すると、磁性の変動に伴い、その内部に渦電流等が発生してジュール損による発熱および磁場に歪を生じるおそれがあるので、繊維強化プラスチック(FRP)で形成されることが望ましい。又、極低温で使用されるので、300〜65Kの温度範囲において熱収縮率の少ない繊維強化プラスチックの使用が望ましい。FRPの熱膨張率は、FRP層の厚さ方向が40(×10−6/K)程度で、後述する金属部材よりも大きく、一方、FRP層の周方向は11(×10−6/K)程度で、後述するSUS304等の特定の金属部材とほぼ同程度である。
このような繊維強化プラスチック(FRP)として、ガラス繊維強化プラスチック、ボロン繊維強化プラスチック、及びアラミド繊維強化プラスチックから選択された少なくとも1種の繊維強化プラスチックを使用することが好ましく、実用性の点からガラス繊維強化プラスチックが好ましい。尚、炭素繊維強化プラスチックにより内槽を形成することは可能であるが導電性の点から、上記不都合を生ずるおそれがある。
(1−3)ストレート孔
鍔付き雄ねじ部材(B1)の円筒部(B12)を貫通させるために容器壁部(W)1に設けられるストレート孔15の内面には、ねじ山が設けられていない、径が一定のストレート孔である。鍔付き雄ねじ部材(B1)の円筒部(B12)の該表面とストレート孔間のクリアランスは、温度変化による熱膨張・収縮等を考慮して0.5〜2.0mm程度が好ましい。
(2)金属製部材(A)
(2−1)概要
金属製部材(A)2は、前述の通り、冷却媒体用配管、電流導入端子等の貫通継手部材であり、その外形形状は円柱形で、鍔付き雄ねじ部材(B1)3に設けられた挿入孔に挿入された状態で貫通して、鍔付き雄ねじ部材(B1)に溶接、又はロウ付等により密封状態で固着されている。
(2−2)金属製部材(A)の形状と材質
金属製部材(A)に使用される金属は特に制限はないが、適度な機械的強度を有し、且つ熱膨張率がFRP製容器壁部(W)の熱膨張率も熱伝導率も同程度な金属を使用することが望ましい。
尚、クライオスタットの容器壁部を構成するFRPの熱膨張率は、前述の通りFRP層(AL1)の厚さ方向が40(×10−6/K)程度で、FRP層(AL1)の周方向は11(×10−6/K)程度であり、周方向は後述する特定の金属の熱膨張率と同程度であるので、熱応力により鍔付雄ねじ部材(B1)と容器壁部(W)接合面の間の剥離、又は容器壁部(W)にクラック等が発生するのを防止する点からも、熱膨張率の低い金属を本発明の金属製部材(A)として使用することが望ましい。また、使用時の冷却過程において、金属製部材(A)とFRPとの温度差を少なくするために、FRPは熱伝導率が低いので、金属製部材(A)も同様に熱伝導率の低いものを使用することが望ましい。
金属製部材(A)に使用する好ましい金属としては、例えば、熱膨張率の低いステンレス鋼(SUS410、SUS304等)、真鍮、銅、黄銅、アルミニウム、アルミニウム合金等が例示できる。尚、上記ステンレス鋼(SUS410、SUS304)は、熱膨張率がそれぞれ10.4(×10−6/K)、17.3(×10−6/K)であり、軟鋼の約1.5倍に相当するが、一方熱伝導率が15(W/m・K)で軟鋼の約3分の1であるという特徴を有する。真鍮は熱膨張率が16(×10−6/K)で低く熱伝導率が27℃で106(W/m・K)であり、比較的低い。銅は熱膨張率が17(×10−6/K)で比較的低く、熱伝導率が403(W/m・K)で相当に高い。アルミニウムは熱膨張率が23(×10−6/K)で比較的高く、熱伝導率が236(W/m・K)でやや高いが、機械加工の容易性から、熱膨張率と熱伝導率の影響を少なくできるように鍔付雄ねじ部材(B1)の形状を工夫することによりアルミニウム、アルミニウム合金も実用上使用可能である。
また、金属製部材(A)は、鍔付き雄ねじ部材(B1)に前述の通り、溶接、ロウ付け等で接合されるので、金属製部材(A)は鍔付き雄ねじ部材(B1)への接合が容易に行える金属種を選択することが好ましい、金属製部材(A)にステンレス鋼が使用される場合には鍔付き雄ねじ部材(B1)もステンレス鋼の使用が望ましい。
なお、図1〜図2に示すように、金属製部材(A)2と鍔付き雄ねじ部材(B1)3とが、低温での熱膨張率が異なる異種金属の場合であっても、金属製部材(A)と、鍔付き雄ねじ部材(B1)とが挿入孔(H)11の一端面の1箇所でのみ固着されているので、異種金属間における低温での熱膨張率の違いによる固着部への応力の集中を緩和することができる。
(3)鍔付き雄ねじ部材(B1)
鍔付き雄ねじ部材(B1)3は、容器壁部(W)1と1つの相対する面を有する鍔部(B11)4、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)2の挿入孔(H)11を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔15を貫通して該ストレート孔から突出した先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B12)5とから形成される。鍔付き雄ねじ部材(B1)は金属製が好ましく、その材質は前記金属製部材(A)の項に記載した金属を使用することができる。
鍔付き雄ねじ部材(B1)3の鍔部先端には、頭部10を設けて該頭部周面には、螺着用工具の係合面を設けることが好ましい。鍔付き雄ねじ部材(B1)の容器壁部(W)と相対する面は、軸線と直交する平面に加工される。なお、頭部10の外径は円筒部(B12)よりも大径であることが好ましい。また、円筒部(B12)5はその先端に雄ねじ部を設けるために、容器壁部(W)1の壁厚よりも十分に長く形成される。
(4)鍔付き雌ねじ部材(S12)
鍔付き雌ねじ部材(S12)7は、図1〜2に示すように、鍔付き雄ねじ部材(B1)3の雄ねじ部に螺着可能な雌ねじと、容器壁部(W)を挟着する面を有する鍔部8が設けられている。尚、鍔付き雌ねじ部材(S12)7には先端部に頭部9を設けて該頭部周面には、螺着用工具の係合面を設けることが好ましい。鍔付き雌ねじ部材(S12)は金属製が好ましく、その材質は前記金属製部材(A)の項に記載した金属を使用することができる。
(5)挟着構造
図1〜2に示すように、鍔付き雄ねじ部材(B1)3の雄ねじ部に鍔付き雌ねじ部材(S12)7を螺着することにより、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)4と、鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部8とで容器壁部(W)1を挟着した状態となり、該挟着により鍔付き雄ねじ部材(B1)が容器壁部(W)に固定される。
(6)FRP層(AL1)
FRP層(AL1)13は、図1(A)、(B)、及び(C)に示す通り鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)4内表面と容器壁部(W)1との接合面に、プリプレグを挟着後、硬化させて形成される層であり、該FRP層(AL1)の形成により鍔部(B11)と容器壁部(W)との接合面で密封構造が形成される。
(6−1)材質等
FRP層(AL1)の形成に使用するプリプレグとして、鍔部(B11)と容器壁部(W)との双方に接着性を有するものを使用することが好ましい。FRP層(AL1)を形成するプリプレグは、ガラス繊維をエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、又はウレタン樹脂に含浸させて得られたものであることが好ましい。このような樹脂は、容器壁部(W)を形成するFRP及び鍔部(B11)内表面との接着性が良好であるので、密封構造を形成するのに好ましい。
FRPはガラス繊維のシートを幾重にも重ねたものであるので、前述した通りFRPの熱収縮率(熱膨張率)はFRP厚さ方向と繊維方向(周方向)とでは大きく異なる。ここでFRPとステンレスの熱収縮度を比較すると、FRP厚み方向では、ガラス繊維よりもそれに含有する接着剤の影響で大きいため、ステンレスとの熱収縮率の値の差は大きい。しかし、FRP繊維方向ではガラス繊維が張り巡らされているためステンレスとほとんど同じ熱収縮度を示す。
従来の金属製部材外表面に雄ねじ形状を設けてFRP製容器壁部の雌ねじに螺着することにより直接固着された構造であると、FRP製容器と金属製部材の位置が容器壁貫通部(ねじ部)で完全に固定されるため、熱サイクルや熱収縮率の違いから生じる応力がねじ部又はその近傍の接着面に過大に生じて、接着面の剥離やねじ部に機械的応力が働いて割れの発生等により、真空リークを生じるリスクが低くはなかった。しかし、本発明の第1の態様の「FRP製クライオスタット」ように金属製部材(A)の容器壁貫通部、すなわち熱収縮率の差が比較的大きい厚み方向において金属製部材(A)と容器壁部(W)とは直接接しない構造にすることで、金属製部材(A)の軸方向(FRP層(AL1)の厚み方向)の接合面に生ずる応力は極めて少なくなる。また、鍔部(B11)を形成するステンレス、FRP層(AL1)の繊維方向、及び容器壁部(W)の繊維方向の熱収縮率はほぼ同じであることから、これらのFRPがステンレスと接していても鍔部(B11)円周方向には応力は極めて少ない。よって、常温から液体窒素温度などの温度領域に貫通部が曝されたとしても内部に生じる応力が極めて少ない構造となるため、真空リークが生じにくい構造となる。
(6−2)FRP層(AL1)の形状
FRP層(AL1)を形成するプリプレグの外形形状は、ディスク形状が好ましく、その内周は容器壁部(W)に設けられた径が一定のストレート孔より大で、且つ外周は鍔部(B11)の外径よりも小さい形状とする。前記鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)との間で前記プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)の厚みは、0.20〜0.50mmが好ましい。FRP層(AL1)の厚みを該範囲とすることにより、温度変化により生ずる熱膨張の厚み変化の絶対値を少なく維持できるので真空リークを効果的に防止することが可能になる。
尚、FRP層(AL1)の厚みが薄すぎる場合には接着効果が薄れ、リークを引き起こす可能性がある。一方、FRP層(AL1)の厚みが厚すぎるとプリプレグ加熱硬化の過程で収縮が起きてプリプレグの厚みが減少する。その結果、ボルトによるフランジ締め付け効果が薄れてしまい、充分に圧着されないまま硬化してしまうおそれがある。
(6−3)接合面におけるFRP層(AL1)の形成
FRP層(AL1)を形成するプリプレグを鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)間に装着する。前記プリプレグの装着後、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部(S12)で容器壁部(W)を挟着することにより固定された状態で、該プリプレグを加熱等により硬化させ、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)を介して接合された密封構造とする。
(7)接着剤層(AL2)
接着剤層(AL2)14は、図2(A)、(B)、及び(C)に示す通り容器壁部(W)1と鍔部(B11)4とが接合する容器壁部(W)側の面に、接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝16を設け、該溝内に接着剤を塗布後、硬化させて形成される層であり、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)4内表面と容器壁部(W)との接合面で密封構造を形成する。
(7−1)材質
鍔部(B11)と容器壁部(W)との接合面に使用する接着剤は、鍔部(B11)と容器壁部(W)との双方に接着性を有するものを使用することが好ましい。前記接着剤層(AL2)を形成する接着剤は、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、及びポリイミド系接着剤の中から選択された1種又は2種以上が好ましい。尚、水分を含有する水系の接着剤は水分が残存するために好ましくなく、反応系接着剤の中でもシアノアクリレート系接着剤は低温領域の熱応力(熱衝撃)に弱いために好ましくない。
(7−2)接着剤溜の溝の形状
着剤溜の溝の形状は、前述の通り内周が容器壁部(W)に設けられたストレート孔より大で、且つ外周が鍔部(B11)外径よりも小さく、接着剤溜の溝の深さは、0.1〜0.4mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。接着剤溜の溝の深さが前記範囲よりも浅いと、接着剤が接着剤溜の溝から流れ出易くなることや接着力が低下して、リークが発生するおそれがある。一方、接着剤溜の溝の深さが前記範囲よりも深すぎると接着後冷却した際に温度変化に伴う熱収縮が金属より大きいため厚み方向の収縮厚みの絶対値が大きくなるため、接着剤層に割れが発生するおそれがある。
(7−3)接着剤層(AL2)の形成
容器壁部(W)1と鍔部(B11)4内表面間の接合面に接着剤層(AL2)14を形成する方法は以下の方法が好ましい。すなわち、接着剤層(AL2)を形成する接着剤を接着剤溜の溝16に、容器壁部(W)の接合面(該溝部を除く)と面一になるように塗布し、次に鍔付き雄ねじ部材(B1)の容器壁部(W)に設けられたストレート孔から突出している円筒部(B12)先端の雄ねじ部に、鍔付き雌ねじ部材(S12)の雌ねじを螺着して、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部内表面とで容器壁部(W)を挟着することにより固定された状態とし、その後塗布した接着剤を硬化させて鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該接着剤が硬化して形成された接着剤層(AL2)を介して接合された密封構造とする。
(8)第1の態様における密封構造
本発明の第1の態様における密封構造は、金属製部材(A)と一体形状を有する鍔付雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)と、容器壁部(W)がFRP層(AL1)又は接着剤層(AL2)を介した1つの接合面でのみで接合した密封構造であるので、従来の容器壁部に累着固定する構造と比較すると、金属製部材(A)の軸方向の熱収縮分を解放することができ熱応力の影響による剥離、クラック等の発生を著しく軽減することができる。
また、FRP層(AL1)又は接着剤層(AL2)の厚みを0.5mm以下になるように薄くすると温度変化による厚み方向の熱膨張・収縮による熱応力を著しく軽減することが可能になる。
〔2〕第2の態様の「FRP製クライオスタット」
本発明の第2の態様である「FRP製クライオスタット」は、
FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B21)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B22)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B2)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B21)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S21)が、
前記円筒部(B22)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S22)と螺着され、
前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
かつ容器壁部(W)と鍔部(B21)との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
容器壁部(W)と鍔部(B21)との間の密封構造が鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成された密封構造、
であることを特徴とする。
以下に本発明の第2の態様を図3〜6を用いて説明するが、本発明は以下の例示に限定されるものではない。
図3(A)〜(F)において、上記したように、鍔付き雄ねじ部材(B2)21が容器壁部(W)1のストレート孔15を貫通していて、該ストレート孔から突出した雄ねじ部材(B2)の円筒部(B22)23の先端に設けられた雄ねじ部に鍔付き雌ねじ部材(S22)25の雌ねじが螺着され、該雌ねじの螺着により鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)22内表面と鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部26内表面とで容器壁部(W)1が挟着されて、鍔付き雄ねじ部材(B2)21は容器壁部(W)1に固定されている。
外形形状が円柱形の金属製部材(A)2は、FRP製クライオスタットの容器壁部(W)1に、鍔付き雄ねじ部材(B2)の挿入孔(H)11に挿入された状態で貫通して、溶接、又はロウ付け部12で密封状態で固着されて一体形状物(S21)24を形成している。
また、前記挟着のために挟着用工具の係合面を形成することが可能なように、鍔付雄ねじ部材(B2)の頭部28と鍔付雌ねじ部材(S22)の頭部27がそれぞれ設けられている。
尚、図3は容器壁部(W)と鍔部(B21)との間の密封構造を形成する前の状態を示しており、容器壁部(W)と鍔部(B21)との間の密封構造の形成については図4〜6で説明する。
尚、図3(B)〜(F)における符号は、図3(A)とほぼ共通部分が多いので、該共通部分の符号の一部は省略して、図3(B)〜(F)においては要部のみに符号が付されている。
図3(A)、(B)及び(C)においては、いずれも鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)22は先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有している。一方、図3(A)では鍔付き雌ねじ部材(B2)の鍔部(B21)の鍔部26が先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有しており、図3(B)では鍔部(B21)の鍔部26が先端に向かって一定の厚みの形状を有しており、図3(C)では、前記(B)における鍔部(B21)の鍔部26が容器壁部(W)に設けられた凹部31に嵌合されて固定されている。尚、図3(B)と(C)における符号は、図3(A)における符号と共通の部分が多いので該共通部分の一部の符号の記載は省略して、図3(B)と(C)では要部のみに符号を付してある。
図3(D)、(E)、及び(F)において、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)22は、先端に向かって一定の厚みの形状を有していて容器壁部(W)1に設けられた凹部31に嵌合されている。
一方、図3(D)では鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部26が先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有しており、図3(E)では鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部26が先端に向かって一定の厚みの形状を有しており、図3(F)では前記図3(E)における鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部26が容器壁部(W)1に設けられた凹部31に嵌合されて固定されている。尚、図3(D)〜(F)における符号は、図3(A)における符号と共通の部分が多いので該共通部分の一部の符号の記載は省略して、図3(D)〜(F)では要部のみに符号を付してある。
図4は、図3(A)における鍔付き雄ねじ部材(B2)21に鍔付き雌ねじ部材(S22)25を螺着する状態を示す要部断面正面図である。図5は、鍔部周囲へのプリプレグの貼り付け例を示す要部断面図であり、容器壁部(W)と鍔部(B21)22との間の密封構造が鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグ29a、29b、29cを貼り付けて積層後した状態を示す。図6は、前記鍔部(B21)22周囲への前記プリプレグの貼り付け例を示す正面図である。
なお、図3〜図7に示すように、金属製部材(A)2と鍔付き雄ねじ部材(B2)21とが、低温での熱膨張率が異なる異種金属の場合であっても、金属製部材(A)と、鍔付き雄ねじ部材(B2)とが挿入孔(H)11の一端面の1箇所でのみ固着されているので、異種金属間における低温での熱膨張率の違いによる固着部への応力の集中を緩和することができる。
(1)FRP製容器
FRP製容器については、容器壁部(W)1と鍔部(B21)22間に前記FRP(AL1)と接着剤層(AL2)のいずれをも形成しない点を除いて、第1の態様に記載したのと同様である。
(2)金属製部材(A)
金属製部材(A)については、第1の態様に記載したのと同様である。
(3)鍔付き雄ねじ部材(B2)
第2の態様においては、容器壁部(W)1と鍔部(B21)22との間の密封構造が鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより密封構造を形成するので、鍔付き雄ねじ部材(B2)については、図3(A)〜(C)に示すように鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部26が先端に向かって厚みが薄くなるテーパ形状を有している場合に加え、図3(D)〜(F)に示すように先端に向かって一定の厚みの形状を有して容器壁部(W)に設けられた凹部31に嵌合されている態様も可能である。このように、鍔部(B21)が凹部31に嵌合されていると、プリプレグを積層後、硬化させ密封構造をより確実に形成することができる。
(4)鍔付き雌ねじ部材(S22)
図3(A)〜(C)、及び図3(D)〜(F)における鍔部(S22)26の形状は第1の態様に記載した図1(A)〜(C)とそれぞれ同様である。
(5)プリプレグによる密封構造
第2の態様における容器壁部(W)1と鍔部(B21)22との間の密封構造は、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成される。
プリプレグを貼り付けて積層する方法は特に限定されるものではないが、図5の要部断面図に示すように、プリプレグ29a、29b、29cをより外側のプリプレグがより内側のプリプレグを覆うように重ね合わせていくことが好ましい。又、積層するプリプレグの形状は、多数の小片からなるプリプレグを用いるよりも、図6に示すように円周方向に連続しているリング状であることが好ましい。このようなリング状のプリプレグを用いる場合は、より外側のプリプレグがより内側のプリプレグを覆うように面積を大きくして貼り付けることによって隙間の発生を防止できる。 図5の要部断面図に示すように、所定枚数のプリプレグ29a、29b、29cを積層した後、積層したプリプレグを脱気して硬化させる。容器外面側に位置する鍔付き雄ねじ部材の鍔部部分へのプリプレグの貼り付け及び積層は前記同様にして行うが、この部分へのプリプレグの貼り付け、積層、脱気及び硬化は、容器半体の接合と同時、あるいは、容器半体を接合した後に行うこともできる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1.装置
(1)クライオスタット
一端が開口した有底筒状体からなる容器半体形状のガラス繊維強化プラスチック製クライオスタットを本実施例1の評価用に使用した。該容器の壁部(厚み:16mm)に図1(B)に示すように、金属製部材が鍔付き雄ねじ部材の頭部で溶接により密封状態で固着され、鍔付き雄ねじ部材の円筒部は容器壁部に設けられたストレート孔(外径:57mmφ)を貫通してその先端部分に設けられた雄ねじ部は鍔付き雌ねじ部材の雌ねじで螺着されて、鍔付き雄ねじ部材の鍔部と鍔付き雌ねじ部材の鍔部とで容器壁部を挟着することで鍔付き雄ねじ部材は容器壁部に固定された構造となっている。
鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面と容器壁部との接合面の密封構造は、後述する輪型形状のプリプレグを挟着後、硬化させて形成されたFRP層を介して接合された密封構造である。
(2)金属製部材、鍔付き雄ねじ部材
金属製部材はSUS304製で、外径が47mmφである。
鍔付き雄ねじ部材は、SUS304製で、中心軸方向の厚みが10mm、該厚みが5mmのところから、65〜100mmφ(外径)の範囲でテーパ構造になっており、金属製部材の挿入孔の内径(溶接部近傍を除く)は49mmである。また、鍔付き雄ねじ部材の円筒部のサイズは、外径55mmφで長さ30mm、先端部の雄ねじサイズはM55である。
(3)鍔付雌ねじ部材
鍔付雌ねじ部材は、SUS304製で形状が図1(B)の符号7に示す外径75mmφの鍔部と、M55の雌ねじを有している。
(4)密封構造の形成
図1(B)に示すように、容器壁部と鍔付き雄ねじ部材内表面との接合面にFRP層を形成して密封構造とした。FRP層の形成は、プリプレグ材質がガラス繊維強化エポキシ樹脂で、その形状は内径61mmφ、外径90mmφのリング状で、厚さ0.2mmを2枚を接合面に挟み込み、鍔付き雄ねじ部材の円筒部の雄ねじを鍔付雌ねじ部材の雌ねじで螺着することにより、鍔付き雄ねじ部材が容器壁部に固定された後に、該プリプレグを加熱して硬化させてFRP層を形成した。
2.評価法
評価条件として、温度が+25℃と−196℃間のサーマルサイクルを30回行った。尚、+25℃は電気炉内に1時間、−196℃は液体窒素中に約10分浸漬することにより行った。
上記サーマルサイクルを30回行った後に、金属製部材が貫通して固定されている容器壁部の内側貫通部周りを塩化ビニールシートで密閉状態に覆い、該シートで覆った中にヘリウムガスを注入し、ヘリウムリークディテクターにてクライオスタットの容器壁部の外側(フランジ部材側)からシール性を確認した。
3.評価結果
上記ヘリウムリークディテクターにてシール性を確認したところ、ヘリウムガスのリークは確認されなかった。
[実施例2]
1.装置
一端が開口した有底筒状体からなる容器半体形状のガラス繊維強化プラスチック製クライオスタットを本実施例1の評価用に使用した。該容器の壁部に図2(B)の要部断面図に示す、鍔付き雄ねじ部材に固着された金属製部材を貫通状態で、鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面と鍔付き雌ねじ部材の鍔部内表面で容器壁部を挟着することにより、鍔付き雄ねじ部材を容器壁部に固定した。
実施例2において、容器壁部とフランジ部材内表面との接合面の密封構造の形成をFRP層から接着剤層に代えた以外は実施例1と同様にして、評価を行った。
容器壁部とフランジ部材内表面との密封構造は以下に記載する方法により形成した。
図2(B)に示すように、容器壁部と鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面との接合面の容器壁部側に内径61mmφ、外径90mmφのリング状で、深さ0.2mmの接着剤層形成用の接着剤溜の溝を形成した。該溝内に接着剤を塗布後、鍔付き雄ねじ部材の円筒部の雄ねじを鍔付雌ねじ部材の雌ねじで螺着することにより、鍔付き雄ねじ部材が容器壁部に固定された後に、該接着剤を加熱硬化させて密封構造を形成した。
2.評価法
実施例1に記載したと同様に、サーマルサイクルを30回行った後にヘリウムリークディテクターにてシール性を確認した。
3.評価結果
上記ヘリウムリークディテクターにてシール性を確認したところ、ヘリウムガスのリークは確認されなかった。
[実施例3]
1.装置
(1)クライオスタット
一端が開口した有底筒状体からなる容器半体形状のガラス繊維強化プラスチック製クライオスタットを本実施例1の評価用に使用した。該容器の壁部(厚み:16mm)に図3(E)に示すように、金属製部材が鍔付き雄ねじ部材の頭部で溶接により密封状態で固着され、鍔付き雄ねじ部材の円筒部は容器壁部に設けられたストレート孔(外径:57mmφ)を貫通してその先端部分に設けられた雄ねじ部は鍔付き雌ねじ部材の雌ねじで螺着されて、鍔付き雄ねじ部材の鍔部と鍔付き雌ねじ部材の鍔部とで容器壁部を挟着することで鍔付き雄ねじ部材は容器壁部に固定された構造となっている。
鍔付き雄ねじ部材の鍔部内表面と容器壁部との接合面の密封構造は、後述するように鍔付き雄ねじ部材の鍔部と該鍔部近傍の容器壁部を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成された密封構造である。
尚、鍔付き雄ねじ部材の鍔部を嵌合するために容器壁部に向けられた凹部は、内径100mmφで深さ2mmである。
(2)金属製部材、鍔付き雄ねじ部材
金属製部材はSUS304製で、外径が47mmφである。
鍔付き雄ねじ部材は、材質SUS304で、中心軸方向の厚みが10mm(その内鍔部の厚みは2mm)、頭部外径65mm、鍔部外径100mmφの範囲、鍔付き雄ねじ部材の円筒部は外径55mmφ、長さ30mm、挿入孔の内径(溶接部近傍を除く)49mmφで、円筒部先端の雄ねじサイズはM55である。
(3)鍔付雌ねじ部材
鍔付雌ねじ部材は、SUS304製で、外形図3(E)の符号25に示す形状で外径75mmφ、雌ねじサイズがM55である。
(4)密封構造の形成
以下のプリプレグを鍔付き雄ねじ部材の鍔部と該鍔部近傍の容器壁部を外表面側から覆うように貼り付けて積層した。
1層目:内径95mmφ、外径105mmφのリング状
2層目:内径90mmφ、外径110mmφのリング状
3層目:内径85mmφ、外径115mmφのリング状
上記積層後、真空脱気しながら加熱硬化させた。
2.評価法
実施例1に記載したと同様に、サーマルサイクルを30回行った後にヘリウムリークディテクターにてシール性を確認した。
3.評価結果
上記ヘリウムリークディテクターにてシール性を確認したところ、ヘリウムガスのリークは確認されなかった。
[比較例1]
1.装置
(1)クライオスタット
一端が開口した有底筒状体からなる容器半体形状のガラス繊維強化プラスチック製クライオスタットを本実施例1の評価用に使用した。
図3(E)に示す、鍔付き雄ねじ部材の鍔部と該鍔部近傍の容器壁部を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付ける前の状態の例を示す要部断面図において、容器壁部(厚み:20mm)に設けられたストレート孔の代わりに図7に示す雌ねじ孔を設けて、該雌ねじに鍔付き雄ねじ部材の円筒部に雄ねじを設けて螺着した以外は、実施例1と同様に、金属製部材が鍔付き雄ねじ部材の頭部で溶接により密封状態で固着され、鍔付き雄ねじ部材の円筒部はその外面に雄ねじが形成されていて容器壁部に形成された雌ねじ(雌ねじ部のサイズ:M55mm)に螺着され、かつ雄ねじ部材の円筒部は容器壁部を貫通してその先端部分に設けられた雄ねじ部は鍔付き雌ねじ部材の雌ねじで螺着されて、鍔付き雄ねじ部材の鍔部と鍔付き雌ねじ部材の鍔部とで容器壁部を挟着することで鍔付き雄ねじ部材は容器壁部に固定された構造となっている。
また、鍔付き雄ねじ部材の鍔部は容器壁部に設けられた凹部(外径:70mmφ、深さ2mm)に嵌合されている。
尚、鍔付き雄ねじ部材の円筒部の雄ねじを容器壁部に形成された雌ねじに螺着する際に該螺着面に接着剤を塗布して、該螺着後に接着剤を硬化させて密封構造を形成している。
(2)金属製部材、鍔付き雄ねじ部材
金属製部材はSUS304製で、外径が47mmφである。
鍔付き雄ねじ部材は、材質SUS304製で、中心軸方向の厚みが10mm、鍔部の厚み2mmで外径70mmφ(容器壁部との接合面は55mmφ〜70mmφ)、円筒部の金属製部材挿入孔の内径(溶接部近傍を除く)は49mmφである。
(3)鍔付雌ねじ部材は、SUS304製で、形状が図3(E)に示す外径75mmφの鍔部と、M55の雌ねじを有している。
(4)密封構造の形成
接着剤部の形成:容器壁部に設けられた凹部、容器壁部に設けられた雌ねじ部、鍔付き雄ねじ部材の鍔部と雄ねじ部にスタイキャスト接着剤を付けネジ込み接着した。
2.評価法
実施例1に記載したと同様に、サーマルサイクルを30回行った後にヘリウムリークディテクターにてシール性を確認した。
3.評価結果
上記ヘリウムリークディテクターにてシール性を確認したところ、ヘリウムガスのリークが確認された。
1 容器壁部(W)
2 金属製部材(A)
3 鍔付雄ねじ部材(B1)
4 鍔部(B11)
5 円筒部(B12)
6 一体形状物(S11)
7 鍔付雌ねじ部材(S12)
8 鍔付雌ねじ部材(S12)の鍔部
9 鍔付雌ねじ部材(S12)の頭部
10 鍔付雄ねじ部材(B1)の頭部
11 挿入孔(H)
12 溶接、又はロウ付け部
13 FRP層(AL1)
14 接着剤層(AL2)
15 容器壁部(W)のストレート孔
16 接着剤溜の溝
21 鍔付雄ねじ部材(B2)
22 鍔部(B21)
23 円筒部(B22)
24 一体形状物(S21)
25 鍔付雌ねじ部材(S22)
26 鍔付雌ねじ部材(S22)の鍔部
27 鍔付雌ねじ部材(S22)の頭部
28 鍔付雄ねじ部材(B2)の頭部
29a、29b、29c プリプレグ
30 容器壁部の雌ねじ孔
31 凹部

Claims (7)

  1. FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
    容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B11)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B12)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B1)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B11)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S11)が、
    前記円筒部(B12)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S12)と螺着され、
    前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
    かつ容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
    該密封構造が〈1〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面との接合面に、内周が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外周が鍔部(B11)の外径よりも小さい輪型形状のプリプレグを挟着後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)を介して接合された密封構造、
    又は、〈2〉容器壁部(W)と鍔部(B11)内表面とが接合する容器壁部(W)側の面に、内径が前記ストレート孔の径よりも大きく、且つ外径が鍔部(B11)の外径より小さい、接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝内に接着剤を塗布後、硬化させて、鍔部(B11)内表面と容器壁部(W)とが該接着剤が硬化して形成された接着剤層(AL2)を介して接合された密封構造である、ことを特徴とするFRP製クライオスタット。
  2. 鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部と接する容器壁部(W)の面に、該鍔部に対応する形状の凹部を形成して、該凹部に鍔付き雌ねじ部材(S12)の鍔部が嵌合されていることを特徴とする、請求項1に記載のFRP製クライオスタット。
  3. 前記鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させて更に密封構造を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のFRP製クライオスタット。
  4. 前記容器壁部(W)と鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)内表面との間で前記プリプレグが硬化して形成されたFRP層(AL1)の厚みが0.20〜0.50mm、
    又は、容器壁部(W)側に設けられた接着剤層(AL2)形成用の接着剤溜の溝の深さが0.1〜0.4mmである、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のFRP製クライオスタット。
  5. FRP製クライオスタットの容器壁部(W)に、
    容器壁部(W)と1つの相対する面を有する鍔部(B21)、及び該鍔部の軸方向に金属製部材(A)の挿入孔(H)を有しかつ容器壁部(W)に形成された径が一定のストレート孔を貫通して該ストレート孔から突出した円筒部先端に雄ねじ部が設けられた円筒部(B22)から形成される鍔付き雄ねじ部材(B2)と、外形形状が円柱形で挿入孔(H)に挿入して密封状態で鍔部(B21)に固着された金属製部材(A)とからなる一体形状物(S21)が、
    前記円筒部(B22)先端の雄ねじ部で鍔付き雌ねじ部材(S22)と螺着され、
    前記螺着に伴って、鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)内表面と鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部内表面とが容器壁部(W)を挟着することにより固定され、
    かつ容器壁部(W)と鍔部(B21)との間に密封構造が形成されているFRP製クライオスタットであって、
    容器壁部(W)と鍔部(B21)との間の密封構造が鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)と該鍔部近傍の容器壁部(W)を外表面側から覆うようにプリプレグを貼り付けて積層後、加熱硬化させることにより形成された密封構造、
    であることを特徴とするFRP製クライオスタット。
  6. 鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)が接する容器壁部(W)の面と、鍔付き雌ねじ部材(S22)の鍔部が接する容器壁部(W)の面の少なくともいずれか一方又は双方に、それぞれ相対する鍔部の外形形状に対応する形状の凹部を形成して、該凹部に該鍔部が嵌合されていることを特徴とする、請求項5に記載のFRP製クライオスタット。
  7. 前記金属製部材(A)と、鍔付き雄ねじ部材(B1)の鍔部(B11)又は鍔付き雄ねじ部材(B2)の鍔部(B21)との間の密封構造が溶接又はロウ付けである、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のFRP製クライオスタット。
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