JP5964111B2 - 保持対象部材の保持構造 - Google Patents
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Description
鍔部がFRPの一面に接着剤で接着され、固定リングがFRPの他面に接着剤で接着されることによりFRPがカラーに支持される(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、特許文献1の保持対象部材の保持構造は、カラーの先端部に固定リングをねじ結合することによりカラーの鍔部と固定リングとでFRPを挟持するように構成されている。よって、固定リングによる締結力(軸力)や、FRPの板厚寸法の変化に応じて接着剤の膜厚が変化する。
このため、鍔部およびFRP間の接着剤や、固定リングおよびFRP間の接着剤を好適な膜厚に管理(維持)することが難しい。
このため、固定リングや鍔部でFRPが厚み方向に過大に押圧され、押圧された部位にへたりが生じ、接着剤を好適な膜厚に管理(維持)し難くなることが考えられる。
よって、第1保持部材及び第2保持部材の鍔部で繊維強化プラスチックからなる保持対象部材の両面を挟持した状態で、凹部の接着剤を一定の膜厚に容易に管理することができる。
これにより、接着剤の膜厚を好適に保つことができるので、接着剤を用いて第1保持部材及び第2保持部材の鍔部を保持対象部材に良好に接着させることができる。
これにより、保持対象部材に軸力をかけることなく、接着剤で保持対象部材を保持することができる。
本発明によれば、保持対象部材に軸力(締結力)をかけることなく、接着剤で保持対象部材を保持することにより、保持対象部材にへたりが発生することを抑制できる。
よって、保持対象部材、およびもう一つの保持対象部材の保持部材として鍔部を兼用できる。
これにより、部品点数を必要以上に増やすことなく、複数の保持対象部材を積み重ねた状態に保持できるので、複数の保持対象部材の保持を容易におこなうことができる。
図1に示すように、保持対象部材の保持構造10は、軸部12および第1鍔部(鍔部)13を有する第1保持部材11と、第1鍔部13の一方側に配置可能な第1保持対象部材(保持対象部材)15と、第1鍔部13および第1保持対象部材15間に介在された第1接着剤(接着剤)16とを備えている。
第1接着剤16および第2接着剤23は同じ接着剤である。
保持対象部材の保持構造10に軽量の板材を取り付けることにより、自動車の軽量化を図り、燃料消費量を抑えるなどの効果が得られる。
この軸部12は、一端部12aの外周に形成された第1雄ねじ部(ねじ部)34と、他端部12bの外周に形成された第2雄ねじ部(ねじ部)35と、第2雄ねじ部35および第1鍔部13間の外周に形成された二面切り部36(図3も参照)とを有する。
これにより、軸部12を取り付ける作業を容易におこなうことができる。
この第1鍔部13は、第1保持対象部材15の他方側の面15bに臨む第1面(第1保持対象部材15に臨む面)13aと、第1面13aに設けられた第1環状凹部(凹部)43と、第2保持対象部材25に臨む第2面13bとを有する。
すなわち、内外の第1環状凸部41,42は第1面13aに離間して設けられている。
第1環状凹部43は、第1内環状凸部41および第1外環状凸部42間に環状に形成されている。
この第1環状凹部43に第1接着剤16が充填されている。
第1環状凹部43の幅寸法を大きく確保することにより、第1接着剤16の充填量が十分に確保される。
第1接着剤16の膜厚を好適に保つことにより、第1鍔部13の第1面13aが第1保持対象部材15の他方側の面15bに第1接着剤16で接着されている。
この第1保持対象部材15は、一例として、繊維強化プラスチック(FRP(Fiber Reinforced Plastic)で形成された軽量な板材である。
FRPを強化するための繊維として炭素繊維(カーボンファイバー)が用いられている。
以下、第1保持対象部材15を「FRPパネル15」と称す。
この第2鍔部19は、外径が通常のボルト頭部の張出量より大きく形成されている。
さらに、第2鍔部19は、FRPパネル15の一方側の面15aに臨む第2面(FRPパネル15に臨む面)19bと、第2面19bに設けられた第2環状凹部(凹部)54とを有する。
すなわち、内外の第2環状凸部52,53は第2面19bに離間して設けられている。
第2環状凹部54は、第2内環状凸部52および第2外環状凸部53間に環状に形成されている。
この第2環状凹部54に第2接着剤23が充填されている(図1も参照)。
第2環状凹部54の幅寸法を大きく確保することにより、第2接着剤23の充填量が十分に確保される。
第2接着剤23の膜厚を好適に保つことにより、第2鍔部19の第2面19bがFRPパネル15の一方側の面15aに第2接着剤23で強固に接着されている。
よって、第2保持部材17を六角レンチで軸部12の第1雄ねじ部34にねじ結合できるので第2保持部材17の外部に六角面を設ける必要がない。
よって、第2保持部材17を筒部18および第2鍔部19で形成し、第2鍔部19および筒部18を複数の補強リブ21で補強するように構成できる。
これにより、筒部18および第2鍔部19間に凹み部を形成できるので、第2保持部材17の軽量化を図ることができる。
また、第2鍔部19の内外の第2環状凸部52,53がFRPパネル15の一方側の面15aに当接される。
これにより、第1鍔部13の内外の第1環状凸部41,42および第2鍔部19の内外の第2環状凸部52,53によりFRPパネル15が挟持されている。
ここで、内外の第1環状凸部41,42および内外の第2環状凸部52,53は、各頂部の領域がFRPパネル15を挟持可能の大きさに確保されている。
すなわち、第2保持部材17に軸部12を螺合する際にFRPパネル15に締結力(すなわち、軸力)をかけることなく、第1接着剤16、第2接着剤23でFRPパネル15が保持されている。
これにより、第2鍔部19をFRPパネル15に接着した状態でFRPパネル15を保持可能な剛性を確保できる。
さらに、第2鍔部19および筒部18を複数の補強リブ21で補強する構成とすることにより、通常のナットと比べて第2保持部材17の材料を減らして第2保持部材17の軽量化を図ることができる。
この第2保持対象部材25は、一例として、自動車の車体に取り付けられる鋼材、アルミ材などの金属製の支持ブラケットである。
以下、第2保持対象部材25を「支持ブラケット25」と称す。
第3保持部材27を第2雄ねじ部35に螺合することにより、第3保持部材27の第1面27aおよび第1鍔部13の第2面13bにより支持ブラケット25が挟持されている。
図5(a)に示すように、第1環状凹部43に第1接着剤16を充填し、第2環状凹部54に第2接着剤23を充填する。
軸部12の一端部12aをFRPパネル15の取付孔45に矢印Aの如く差し込み、取付孔45から突出した第1雄ねじ部34に第2保持部材17(筒部18)の雌ねじ部47をねじ結合する。
この状態で、二面切り部36に締付工具を嵌合させて締付工具で軸部12を未回転状態に保持し、第2保持部材17を六角レンチで第1雄ねじ部34にねじ結合する。
これにより、第2保持部材17を軸部12の一端部12a側(図5(b)に示す内側(非作業エリア))から操作する必要がないので作業の容易化を図ることができる。
さらに、第2鍔部19の内外の第2環状凸部52,53がFRPパネル15の一方側の面15aに当接する。
内外の第1環状凸部41,42および内外の第2環状凸部52,53でFRPパネル15を挟持する状態は、第2保持部材17を第1雄ねじ部34にねじ結合する際の締付トルク(トルク)により管理可能である。
ここで、第1接着剤16は内外の第1環状凸部41,42間の第1環状凹部43に充填されている。
よって、内外の第1環状凸部41,42をFRPパネル15の他方側の面15bに当接させることにより、第1接着剤16を一定の膜厚に容易に管理することができる。
これにより、第1接着剤16の膜厚を好適に保つことができるので、第1接着剤16を用いて第1鍔部13の第1面13aをFRPパネル15の他方側の面15bに良好に接着させることができる。
ここで、第2接着剤23は内外の第2環状凸部52,53間の第2環状凹部54に充填されている。
よって、内外の第2環状凸部52,53をFRPパネル15の一方側の面15aに当接させることにより、第2接着剤23を一定の膜厚に容易に管理することができる。
これにより、第2接着剤23の膜厚を好適に保つことができるので、第2接着剤23を用いて第2鍔部19の第2面19bをFRPパネル15の一方側の面15aに良好に接着させることができる。
これにより、第1接着剤16および第2接着剤23が硬化するまでの膜厚管理が可能になり、接着用の固定治具を不要にできる。
よって、第2保持部材17に軸部12を螺合する際にFRPパネル15に締結力(軸力)をかける必要がない。
これにより、FRPパネル15に軸力をかけることなく、第1接着剤16、第2接着剤23でFRPパネル15を保持することができる。
これに対して、保持対象部材の保持構造10は、FRPパネル15に軸力をかけることなく、第1接着剤16、第2接着剤23でFRPパネル15を保持することができる。
これにより、FRPパネル15にへたりが発生することを抑えた状態でFRPパネル15を保持することができる。
よって、FRPパネル15の成形後に、軸部12を取り付ける際にFRPパネル15の成形公差を修正(相殺)することができる。
さらに、FRPパネル15を成形する際に軸部12をインサート成形する必要がないので射出成形装置の大型化が不要になる。
このように、FRPパネル15の成形公差を修正(相殺)可能で、射出成形装置の大型化を不要にできるので、生産性の向上を図ることができる。
支持ブラケット25を移動することにより、支持ブラケット25の取付孔56を他端部12bに嵌合する。
支持ブラケット25の取付孔56を他端部12bに嵌合させた後、軸部12の第2雄ねじ部35に第3保持部材27を矢印Cの如くねじ結合する。
支持ブラケット25を自動車の車体に取り付けることにより、支持ブラケット25を介してFRPパネル15を自動車の車体に取り付けることができる。
したがって、FRPパネル15および支持ブラケット25(すなわち、複数の保持対象部材)を容易に保持することができる。
図7に示すように、軸部12の軸線方向に対して直交する方向の荷重F1がFRPパネル15に矢印の如く作用する。
また、第2鍔部19に第2接着剤23が十分に充填され、第2接着剤23の膜厚が好適に保たれている。よって、第2鍔部19の第2面19bがFRPパネル15の一方側の面15aに第2接着剤23で強固に接着されている。
これにより、軸部12の軸線方向に対して直交する方向の荷重がFRPパネル15に作用した場合でもFRPパネル15に破断や変形が発生することを抑えることができる。
このように、FRP骨材58の外部から第2保持部材17を取り付けることができるので、FRP骨材58の閉断面内59に第2保持部材17を容易に取り付けることができる。
実施例の保持対象部材の保持構造10では、第2保持部材17に六角孔22を設けた例について説明したが、変形例の保持対象部材の保持構造60に備えた第2保持部材62のように六角孔22を除去することも可能である。
この場合、第2保持部材62を、例えば作業者が手で軸部12の第1雄ねじ部34にねじ結合することができる。
この変形例においては、第2保持部材62として、通常のナットを用いることも可能である。
例えば、前記実施例では、第1鍔部13に第1接着剤16を設け、第2鍔部19に第2接着剤23を設けた例について説明したが、これに限らないで、第1鍔部13のみに第1接着剤16を設けることや、第2鍔部19のみに第2接着剤23を設けることも可能である。
また、第2鍔部19に設ける複数の凸部として内外の第2環状凸部52,53を設けた例について説明したが、これに限らないで、複数の凸部は任意に設定することが可能である。
Claims (2)
- 軸部(12)を有するとともに該軸部(12)から張り出された円盤状の鍔部(13)を有する第1保持部材(11)と、前記軸部(12)が挿通可能な取付孔(45)を有し、かつ該取付孔(45)に前記軸部(12)が挿通されることにより前記鍔部(13)の一方側に配置された繊維強化プラスチックからなる保持対象部材(15)と、前記軸部(12)の端部に形成された雄ねじ部(34)に螺合する雌ねじ部(47)を有し、前記第1保持部材(11)の前記鍔部(13)と対向する円盤状の鍔部(19)を有する第2保持部材(17)とを備え、
前記保持対象部材(15)の両面(15a,15b)を前記第1保持部材(11)及び第2保持部材(17)の円盤状の鍔部(13,19)で締め付け、前記保持対象部材(15)を両面から挟持する保持対象部材の保持構造であって、
前記保持対象部材(15)の両面を締め付ける前記第1保持部材(11)及び前記第2保持部材(17)の円盤状の前記鍔部(13,19)の夫々は、接着剤(16,23)を充填した環状の凹部(43,54)と、前記凹部(43,54)の半径方向内側に設けられた内環状凸部(41、52)と、前記凹部(43,54)の半径方向外側に設けられた外環状凸部(42、53)とを有する、
ことを特徴とする保持対象部材の保持構造。 - 前記第1保持部材(11)の軸部(12)の反対側の端部に形成された雄ねじ部(35)に螺合可能な第3保持部材(27)と、
前記第3保持部材(27)および前記鍔部(13)により挟持可能なもう一つの保持対象部材(25)と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の保持対象部材の保持構造。
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