JP5546447B2 - プロピレンの精製方法および精製装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピレンを主成分とする原料からプロピレンを濃縮精製するための方法および装置に関する。
低級オレフィンの一例であるプロピレンは、ポリプロピレン、アクリロニトリルなどの合成樹脂製品、合成ゴム製品の原料として知られているが、半導体などの電子材料分野でも利用される場合がある。かかる用途については、プロピレンはより高純度であることが要求される。
高純度化の原料として用いるプロピレンを主成分とする原料ガスには、不純物として例えばプロパンが含まれている。この原料ガスからプロピレンガスを精製する方法としては、例えば、蒸留、膜分離、吸着分離、あるいは吸収分離が知られている。
蒸留による方法では、プロピレンとプロパンの沸点が近いため(沸点差4.9℃)、その分離に多段階で蒸留を繰り返す必要がある。したがって、大規模な設備と精密な蒸留条件の設定が必要であり、実用化するうえで多大な障壁となっている。また、炭素数が同一の低級オレフィンと低級パラフィンを蒸留分離する場合についても同様である。
膜分離による方法においては、ワンパスでの精製効率が悪い。これに対し、膜分離を複数回繰り返すことにより高純度プロピレンを得ることが可能であるが、純度の高いプロピレンの回収率は低くなる(例えば、特許文献1を参照)。
吸着分離では種々の方法が試みられている。たとえば、硝酸銀を添着したシリカゲルを吸着剤として用いる方法(下記非特許文献1を参照)、AlPO−14吸着剤を用いる方法(下記非特許文献2を参照)、ゼオライト4Aを吸着剤として用いる方法(下記非特許文献3を参照)などがあり、今日でも多くの研究がなされている。しかしながら、吸着を用いる方法では、硝酸銀添着シリカゲル吸着剤は、硝酸銀が添着されていない部位において、不純物であるプロパンの非特異的吸着が起こる結果、一回の吸着で高純度のプロピレンを得ることは難しい。AlPO−14吸着剤を用いる場合も、硝酸銀添着シリカゲルの場合とほぼ同様の結果となっている。ゼオライト4A吸着剤では高純度のプロピレンを得ることが可能であるが、条件を最適化しても回収率はきわめて低い。
このように、原料ガスから高純度プロピレンを得る方法については多くの検討がなされているが、原料ガスに対するプロピレンの回収率と、得られるプロピレンの純度との間には、トレードオフの関係がある。
特表2006−508176号公報 論文New sorbents for olefin/paraffin separations by adsorption via π-complexation:synthesis and effects of substrates, Joel Padin, Ralph T. Yang, Chemical Engineering Science 55(2000)2607-2616 論文Propane/propylene separation by pressure swing adsorption:sorbent comparison and multiplicity of cyclic steady states,Salil U.Rege,Ralph T.Yang、Chemical Engineering Science 57(2002)1139-1149 論文Molecular sieve sorbents for kinetic separation of propane/propylene, Joel Padin, Salil U.Rege, Ralph T. Yang, Linda S. Cheng, Chemical Engineering Science 55(2000)4525-4535
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであり、プロピレンなどの炭素数2〜6のオレフィンおよびプロパンなどの炭素数2〜6のパラフィンを含む原料からオレフィンを精製するにあたり、得られるオレフィンについて純度を高くし、かつ回収率を高めることを目的としている。
本発明の第1の側面によれば、98〜99.5モル%のプロピレンおよび0.5〜2.0モル%のプロパンを含む原料からプロピレンを精製するための方法であって、第1の温度および第1の圧力下において、銀イオンを含有する吸収液に上記原料を接触させて、上記吸収液に上記原料中のプロピレンを優先的に吸収させつつ当該吸収液に吸収されなかった非吸収ガスを排出する第1工程と、 第2の温度および第2の圧力下において、上記第1工程を経た上記吸収液からプロピレンを放散させて回収する第2工程と、を含み、上記吸収液を上記第1工程と上記第2工程との間で循環させながら、上記第1工程と上記第2工程とを並行して連続的に行うとともに、上記第1工程において、上記原料のうち上記吸収液に吸収されることなく吹き抜けて廃棄される非吸収ガスの比率が1〜20モル%となる範囲で調整することにより、原料よりも高純度のプロピレンを得るようにした、プロピレンの精製方法が提供される。
従来から、二重結合を有するプロピレンは銀イオンと錯体を形成するが、プロパンは銀イオンに対して錯体を形成しないことが知られている。この化学的性質により、一定条件の下では、銀イオンを含む吸収液(例えば硝酸銀水溶液)に対するプロピレンの溶解度が当該吸収液に対するプロパンの溶解度よりも相当に大きいことも知られている。本発明者は、銀イオンを含有する吸収液に対するプロピレンおよびプロパンの溶解度差を利用して、プロピレンおよびプロパンを含む原料ガスから高純度プロピレンを高回収率で得る方法について鋭意検討した。その結果、吸収液に混合ガスを吸収させる操作(第1工程)と、当該吸収液から溶存ガスを放散させて回収する操作(第2工程)とを並行して連続的に行うことにより、当該回収ガスにおいてプロピレンが高純度でかつ高回収率で得られることを見出して本発明を完成させるに到った。プロピレンおよびプロパンは、水より沸点が低いことから、吸収液とプロピレンおよびプロパンとを混合した際にプロピレンおよびプロパンが優先して沸騰してガス状態になりうる。
好ましくは、上記吸収液は、硝酸銀水溶液である。
好ましくは、上記第2の圧力は、上記第1の圧力よりも低くされる。
好ましくは、上記第2の温度は、上記第1の温度よりも高くされる。
好ましくは、上記第1工程における上記原料ガスと上記吸収液との接触は、向流接触により行う。
本発明の第2の側面によれば、98〜99.5モル%のプロピレンおよび0.5〜2.0モル%のプロパンを含む原料からプロピレンを精製するための装置であって、第1の温度および第1の圧力下において、銀イオンを含有する吸収液に上記原料を接触させて、上記吸収液に上記原料中のプロピレンを優先的に吸収させつつ当該吸収液に吸収されなかった非吸収ガスを排出するための吸収塔と、第2の温度および第2の圧力下において、プロピレンを吸収した上記吸収液からプロピレンを放散させて回収するための放散塔と、上記吸収液を上記吸収塔と上記放散塔との間で循環させるための循環手段と、を備え、上記吸収塔において、上記原料のうち上記吸収液に吸収されることなく吹き抜けて廃棄される非吸収ガスの比率が1〜20モル%となる範囲で調整することにより、原料よりも高純度のプロピレンを得るように構成した、プロピレンの精製装置が提供される。
本発明の第2の側面の好適な実施形態によれば、上記吸収塔は上記原料を導入するためのガス導入管を備えた気泡塔であり、当該気泡塔はその上部から循環された上記吸収液が導入されるように構成されており、上記ガス導入管は上記気泡塔の下部にて開放している。
本発明の第2の側面の別の好適な実施形態によれば、上記吸収塔は上記原料を導入するためのガス導入管を備えた充填塔であり、当該充填塔はその上部に充填物が詰められているとともに、当該上部にて循環された上記吸収液が導入されるように構成されており、上記ガス導入管は上記充填物の下方にて開放している。
本発明の第2の側面に係るプロピレンの精製装置を用いれば、第1の側面に係る精製方法を効果的に実施することができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明に係るプロピレン精製装置の概略構成図である。 本発明に係る吸収塔の概略構成図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態として、プロピレンおよびプロパンを含む原料ガスからプロピレンを濃縮精製する方法について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係るプロピレン精製装置Xの概略構成図である。プロピレン精製装置Xは、ボンベYから供給される粗プロピレンを本発明に係るプロピレンの精製方法によって精製可能に構成されたものであり、吸収塔1と、放散塔2と、流量調整器3と、ミスト除去器4,5と、流量制御弁6と、ポンプ7と、ガス排出口8と、ガス回収口9と、これら要素を連結する配管とを備える。
ボンベYは、粗プロピレンを原料ガスとしてプロピレン精製装置Xに供給するためのものであり、高圧条件で粗プロピレンが封入されている。粗プロピレンは、例えば主成分としてプロピレンを含み、不純物としてプロパンを含む。
吸収塔1は、塔本体1A、ガス導入管1b、吸収液導出管1c、およびガス導出管1dを有しており、原料ガスを吸収液に接触させる。塔本体1Aは密閉容器であり、その内部には銀イオン含有溶液からなる吸収液が受容されている。この吸収液は、例えば所定の濃度に調製された硝酸銀水溶液である。ガス導入管1bは、その端部が例えば塔本体1Aの下部において吸収液中で開放しており、ボンベYから供給された原料ガスを塔本体1A内部に導入する。ガス導入管1bの開放端部は、例えば単一の開口部を備えていてもよいし、あるいは散気するために複数の開口部を備えていてもよい。吸収液導出管1cは、その端部が塔本体1Aの下部において吸収液中で開放しており、吸収塔1内の吸収液を塔外へ導出する。ガス導出管1dは、塔本体1Aの上部に接続されており、吸収液に吸収されなかったガス(非吸収ガス)を塔外へ導出する。
以上の構成を有する吸収塔1としては、例えば、公知の気泡塔、充填塔、濡れ壁塔、スプレー塔、スクラバー、棚段塔などを採用することができる。また、吸収塔1には、塔本体1A内の吸収液を所望の温度に維持するための温度調整装置(図示せず)が取り付けられている。温度調整装置は、例えば、気体または液体からなる温調媒体を塔本体1Aの周囲に設けられたジャケットに通流させる。
放散塔2は、塔本体2A、吸収液導入管2b、吸収液導出管2c、およびガス導出管2dを有しており、吸収塔1内において吸収液に吸収されたガス成分を放散させる。塔本体2Aは密閉容器であり、その内部には所定量の上記吸収液を受容可能である。吸収液導入管2bは、その端部が塔本体2A内の上部空間において開放しており、吸収塔1から導出される吸収液を塔本体2A内に導入する。また、吸収液導入管2bは、配管L1および流量制御弁6を介して吸収塔1の吸収液導出管1cに連結されている。
吸収液導出管2cは、その端部が吸収液中の下部において開放しており、放散塔2内の吸収液を塔外へ導出する。また、吸収液導出管2cは、配管L2およびポンプ7を介して吸収塔1のガス導出管1dの中間に連結されている。ポンプ7は、放散塔2内の吸収液をガス導出管1d側に送出する。吸収液導出管1c、配管L1、流量制御弁6、吸収液導入管2b、吸収液導出管2c、配管L2、ポンプ7、およびガス導出管1dは、循環手段を構成する。ガス導出管2dは、放散塔2の上部に連結されており、吸収液から放散された放散ガスを放散塔2外へ導出す。このような構成を有する放散塔2としては、吸収液が液分散させられる構成のものが好適であり、例えば公知の充填塔、スプレー塔などが挙げられる。また、放散塔2には、塔本体2A内の吸収液を所望の温度に維持するための温度調整装置(図示せず)が取り付けられている。
流量調整器3は、ボンベYから供給された原料ガスを所定の流量に制御する。
ミスト除去器4は、吸収塔1のガス導出管1dに連結されており、ガス導出管1dを介して導出される非吸収ガスに含まれるミストを分離する。ミスト除去器4には、当該ミスト除去器4を通過したガスをガス排出口8に導くための配管L3が連結されている。配管L3には、背圧弁10および圧力計11が設けられている。背圧弁10は、吸収塔1の内部が所定の圧力となるように開度が制御される。
ミスト除去器5は、放散塔2のガス導出管2dに連結されており、ガス導出管2dを介して導出される放散ガスに含まれるミストを分離する。ミスト除去器5には、当該ミスト除去器5を通過したガスをガス回収口9に導くための配管L4が連結されている。配管L4には、背圧弁12および圧力計13が設けられている。背圧弁12は、放散塔2の内部が所定の圧力となるように開度が制御される。
以上の構成を有するプロピレン精製装置Xを使用して本発明のプロピレン精製方法を実行する際には、ボンベYから流量調整器3およびガス導入管1bを介して吸収塔1の塔本体1A内に原料ガスを連続的に供給する。
原料ガスは、上述のように主成分としてプロピレンを含み且つ不純物としてプロパンを含む。ボンベYから供給される原料ガスのプロピレン濃度は、例えば98〜99.5モル%であり、プロパン濃度は、例えば0.5〜2.0モル%である。吸収塔1への原料ガスの供給量は、例えば塔断面積1m2あたり1〜100dm3/sであり、実験室規模であれば、例えば40〜4000cm3/minである。
吸収塔1の塔本体1A内では、ガス導入管1bの端部から原料ガスが放出されると、当該原料ガスは、吸収液と接触することにより、順次吸収液に吸収される。ここで、吸収液(例えば硝酸銀水溶液)に対するプロピレンの溶解度がプロパンの溶解度に比べて相当に大きいので、原料ガス中のプロピレンが優先的に吸収液に吸収される。このため、原料ガスが吸収されながら吸収液中を上昇するにつれて、当該ガス中においてはプロピレン濃度が低下する一方、プロパン濃度は上昇する。
その一方、塔本体1A内の吸収液については、吸収塔1内で原料ガスを吸収した吸収液が塔本体1Aの下部から吸収液導出管1cを介して所定流量で吸収塔1外へ流出しつつ、放散塔2内でガス成分を放散した吸収液がポンプ7およびガス導出管1dを通じて塔本体1Aの上部から塔内へ流入する。これにより、塔本体1A内の吸収液(液浴)においては、下向きの流れが生じている。したがって、ガス導入管1bから放出された原料ガスは、吸収液と向流接触させられ、当該接触により吸収されなった非吸収ガスが塔本体1Aの上部空間へ吹き抜ける。当該非吸収ガスは、ガス導出管1dを介してミスト除去器4に送られ、液成分が分離除去されたうえで、配管L3およびガス排出口8を通じて系外へオフガスとして排出される。一方、ミスト除去器4によって分離された液成分は、液滴となってガス導出管1dを通じて落下し、吸収塔1内に戻る。
吸収塔1内の吸収液(例えば硝酸銀水溶液)については、濃度が高いほうが単位体積・単位時間あたりのプロピレンの吸収量が多くなるので好ましい。実用上の観点から、硝酸銀水溶液の濃度は、例えば1〜6mol/dm3の範囲とされ、より好ましくは3〜5mol/dm3とされる。硝酸銀水溶液の温度については、低温であるほうがプロピレンの吸収量が多くなるので有利であり、例えば0〜60℃の範囲とされ、より好ましくは0〜40℃とされる。塔本体1Aの内部圧力については、一定範囲では高圧であるほうがプロピレンの吸収量が多くなるので好ましい。実用上の観点から、塔本体1Aの内部圧力は、例えば0.1〜0.8MPa(ゲージ圧:以下「G」と表記する)とされる。
このようにして、吸収塔1では、連続的に供給される原料ガスが吸収液と接触することにより当該原料ガス中のプロピレンが優先的に吸収液に吸収される一方、非吸収ガスが塔外へ排出される。
吸収塔1内で原料ガスを吸収した吸収液は、吸収塔1の内部圧力と放散塔2の内部圧力との圧力差によって、吸収液導出管1c、配管L1、流量制御弁6、吸収液導入管2bを介して放散塔2の塔本体2Aへ流入する。なお、上記圧力差が小さい場合は、ポンプを用いて吸収液を移送してもよい。このとき塔本体2A内への吸収液の流入量は流量制御弁6によって調整され、例えば塔断面積1m2あたり0.1〜10dm3/sであり、実験室規模であれば、例えば5〜500cm3/minとされる。
塔本体2A内においては、吸収液中のガス成分が放散する。当該ガス成分を効率よく放散させる観点から、塔本体2Aの内部温度は吸収塔1に比べて高くされていることが好ましく、内部圧力は吸収塔1に比べて低くされていることが好ましい。塔本体2A内の吸収液の温度は、例えば10〜70℃が好ましく、20〜70℃がより好ましい。塔本体2Aの内部圧力は、例えば−0.09〜0.3MPa(G)が好ましく、0〜0.3MPa(G)がより好ましい。ここで、吸収液から放散された放散ガスは、ガス導出管2dを介してミスト除去器5に送られ、液成分が除去されたうえで、配管L4およびガス回収口9を通じて精製ガスとして回収される。なお、ミスト除去器5によって分離された液成分は、液滴となってガス導出管2dを通じて落下し、放散塔2内に戻る。
ガス成分が放散した吸収液は、吸収液導出管2cを通じてポンプ7によってガス導出管1dへと送出され、その後、吸収塔1の塔本体1A内に落下する。このとき、ポンプ7によって送出される吸収液の流量は、吸収塔1から流量制御弁6を経て放散塔2へ流入する吸収液の流量と同程度とされている。これにより、吸収塔1内の吸収液と放散塔2内の吸収液とは、相互にバランスして循環する(循環工程)。
このようにして、放散塔2では、所定流量で流入し続ける吸収液のガス成分が放散するとともに放散ガスが塔外に回収される。当該放散ガスは、原料ガス中のプロピレンが優先的に吸収された吸収液から放散したものであるので、原料ガスよりもプロピレン濃度が高まっている。
以上のようにして、例えば、不純物としてプロパンを含む粗プロピレンガス(原料ガス)を精製して高純度プロピレンを得ることができる。
硝酸銀水溶液に対するプロピレンの溶解度は、文献(論文Solubility of Propylene in Aqueous Silver Nitrate, I.H. Cho, D.L. Cho, H.K. Yasuda, and T. R. Marrero, J. Chem. Eng. Data 1995, 40, 102-106)に詳細に示されている。この文献中には、硝酸銀水溶液に対するプロパンの溶解度が小さいことも示されている。この文献に示されたデータに従うと高純度プロピレン(純度99.99%以上)を得るためには、以下に示すように理論的にはプロピレンの回収率が低下することになる。
上記文献に示されているデータに基づくと、密閉された系内では、圧力範囲が0〜0.6MPa(G)、温度範囲が10〜40℃の場合、硝酸銀水溶液に対するプロピレンとプロパンの気液平衡定数が約150である。すなわち、(気相プロパン濃度/気相プロピレン濃度)/(液相プロパン濃度/液相プロピレン濃度)=150である。この気液平衡定数を用いてプロピレンガス精製のシミュレーションをしてみると次のようになる。
不純物としてプロパンが1モル%含まれる粗プロピレンガスを硝酸銀水溶液に吸収させ、その吸収されたガス成分を放散させて高純度プロピレンを得ると考える。まず、原料ガスに含まれるプロピレンの95%を硝酸銀水溶液に吸収させると仮定した場合には、液相中のプロパン/(プロピレン+プロパン)は、0.11モル%となり、最初のプロパン濃度1モル%が約十分の一となる。このときの気相中のプロパン濃度は、15.21モル%となり、不純物であるプロパンが濃縮されている。しかし、液相中のプロピレン濃度は99.89モル%になり、この条件では目的としている純度99.99モル%以上の高純度プロピレンを得ることは難しい。
そこで、原料ガスに含まれるプロピレンの30モル%を硝酸銀水溶液に吸収させると仮定して上記の気液平衡定数を用いて同様の計算を行うと、液相中のプロピレン濃度は99.99モル%、気相中のプロピレン濃度は98.58モル%となり、この段階で液相中のプロピレン純度は目的とする値に到達する。すなわち、粗プロピレンガスから高純度プロピレンが30モル%しか回収できないことになる。
この方法の応用として、バッチ式で実際に精製を試みた。5mol/dm3の硝酸銀水溶液にプロパンが1モル%含まれる純度99モル%の粗プロピレンガスを温度25℃、圧力0.6MPa(G)で平衡状態となるまで溶解させた。この際の気相部/液相部の体積比は0.56であった。次いで、まず圧力を0.6MPa(G)から0.2MPa(G)まで下げることで硝酸銀水溶液からガス成分を徐々に放散させ、その後昇温速度0.5℃/minで吸収塔の温度を25℃から40℃まで加温することで残りのガス成分を再生させた。放散初期における放散ガスには高い濃度でプロパンが含まれるが、放散が進むにつれてプロパン濃度が低くなる。吸収された粗プロピレンガスの約35モル%を放散させたときに、当該放散ガスのプロピレンの純度は99.99モル%となった。このことからわかるように、バッチ式においては、高純度のプロピレンガスを得るためにはプロピレンガスの回収率を低下させなければならず、純度と回収率との間にはトレードオフの関係が成り立っている。
これに対し、本発明者は、本実施形態のように吸収液(例えば硝酸銀水溶液)に対する原料ガス(粗プロピレンガス)の吸収および放散を連続的に並行して行う連続式の場合において、塔内の温度、圧力、原料ガス供給態様、吸収液の態様(濃度、使用量、循環流量)などの条件を整えれば、高純度プロピレンを高回収率で得ることができることを見出した。
本実施形態によれば、吸収塔1において吸収液に吸収されずに吹き抜けて廃棄される非吸収ガス量の比率は、原料ガスのプロピレンガス純度および精製後の所望とするプロピレンガス純度によるが、原料ガスに対して例えば1〜20モル%の範囲で調整することにより、純度99.99モル%の高純度プロピレンを得ることができる。非吸収ガス量の調整は、例えば、原料ガスの供給量、吸収液の濃度、吸収液の塔本体1A内での滞留時間、塔本体1A内の温度、圧力などを調整することにより実現可能である。原料ガスにおける不純物プロパンの濃度が高い場合には、非吸収ガスの量を多くする必要があるものの、例えば純度99.0モル%の粗プロピレンガス(プロパン濃度1.0モル%)を精製すると、非吸収ガス量が5モル%で純度99.99モル%の高純度プロピレンを得ることができる。その一方、原料ガスにおける不純物プロパンの濃度が低い場合には、例えば純度99.9モル%の粗プロピレンガス(プロパン濃度0.1モル%)を精製すると、非吸収ガス量の比率を1モル%程度に抑えても純度99.99モル%の高純度プロピレンを得ることができる。このように、連続式の場合には、廃棄する非吸収ガスの量を減らして回収率を高めても、高純度プロピレン(純度99.99モル%)を得ることができる。この結果は、上記した気液平衡定数に基づく理論計算から想定できないことではある。以上の効果が得られる理由は明確ではないが、例えば、吸収液に原料ガスを吸収させた状態に着目すると、バッチ式では気液共に静的な平衡状態にあるのに対し、連続式では気液接触によって動的な状態であることと関連しているものと考えられる。また、プロパンガスが吸収液に溶解する速度よりも、プロピレンと銀イオンが錯体を形成することによって、プロピレンガスが吸収液に溶解する速度の方が速いため、連続式の場合には、優先的にプロピレンガスが吸収され、放散塔にて純度の高いプロピレンガスが放散されていることも上記効果が得られる一つの要因となっているかも知れない。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るプロピレンの精製装置、および本発明に係るプロピレンの精製方法の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲で種々に変更が可能である。
吸収塔1における原料ガスと吸収液との接触方法については、必ずしも向流接触にする必要がなく、例えば、吸収液導出管1cを吸収液の液浴の上部において開放するようにしてもよい。この場合、吸収液と原料ガスが向流で接触する部分は、吸収液導出管1cの端部より上位にある僅かな範囲となるが、この場合でも高純度プロピレンを高回収率で得ることができる。
上記実施形態においては、オレフィンがプロピレンである場合を適宜例示したが、本発明は、炭素数2〜6のオレフィンにも適用できる。なお、上記オレフィンには、不純物として、沸点が近いパラフィンが含まれる。沸点が近いオレフィンおよびパラフィンとしては、例えば、炭素数が同一であるものが挙げられる。二重結合を有するオレフィンは、プロピレンと同様に銀イオンと錯体を形成することから、プロピレンについて上述したのと同様の効果を得ることができる。
また、炭素数が5または6のオレフィンおよびパラフィンは、炭素数が2〜4のオレフィンおよびパラフィンに比べて沸点が高く(例えば、C6の1−ヘキセン:63.5℃、n−ヘキサン:68.7℃;C5の1−ペンテン:30.1℃、n−ペンタン:36.0℃)、常温においては液体である。この場合、原料は液体のまま吸収塔1の塔本体1A内に導入してもよいし、加温してガス状で導入してもよい。塔本体1A内の温度を対象となるオレフィンが優先的に吸収液に吸収され、対象となるパラフィンの沸点以上の温度に維持しておくことにより、吸収塔1A内で当該パラフィンがガス化して排出され、当該オレフィンが優先的に吸収液に吸収される。また、放散塔2の塔本体2A内は、吸収液に吸収された当該オレフィンが放散する温度、圧力とされる。例えば、塔本体1A内と塔本体2A内が同じ圧力の場合では、塔本体2A内の温度は、塔本体1A内の温度より高くされる。
一例として、原料に1−ヘキセンとn−ヘキサンを含む場合、塔本体1A内の温度は、n−ヘキサンの沸点(68.7℃)以上にする必要があり、例えば75℃とする。不純物であるn−ヘキサンは大半が吸収されずガス状で吸収塔1から非吸収ガスとして放出される。1−ヘキセンは塔本体1A内では沸点以上であるが銀錯体となっているため、大半は吸収液に吸収されており、一部はガス状として吸収塔1から排出される。1−ヘキセンを溶解した吸収液は放散塔2に送られる。放散塔2の塔本体2A内は、吸収塔1の塔本体1A内より高温(例えば85℃)とし、1−ヘキセンがガスとして放出され、高純度の1−ヘキセンとして回収することができる。
次に、本発明の有用性を実施例および比較例により説明する。
本実施例においては、図1に示したプロピレン精製装置Xを使用し、原料ガスを粗プロピレンガスとして、原料ガスからプロピレンを精製した。
本実施例では、吸収塔1の塔本体1A(気泡塔)および放散塔2の塔本体2Aとして、それぞれ、ステンレス製の円筒管(内径54.9mm×高さ500mm:容積1185cm3)を用いた。吸収液として、塔本体1A内に5mol/dm3の硝酸銀水溶液を735cm3(水深310mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Aの内部圧力が0.5MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。塔本体1A,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1A,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、663cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表1に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度プロピレンガス(プロパン濃度56ppm)が637cm3/min、回収率96.1モル%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収ガスが26cm3/minで排出され、排出率は3.9モル%であった。
本実施例においては、実施例1と同一のプロピレン精製装置Xを使用し、実施例1とは異なる条件で、原料ガスからプロピレンを精製した。
本実施例では、吸収液として、塔本体1A内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を735cm3(水深310mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Aの内部圧力が0.3MPa(G)、内部温度が15℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.3MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1A,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1A,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、718cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表1に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度プロピレンガス(プロパン濃度48ppm)が681cm3/min、回収率94.8%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収ガスが37cm3/minで排出され、排出率は5.2%であった。
本実施例では、実施例1と同一のプロピレン精製装置Xを使用し、実施例1および2とは異なる条件で、原料ガスからプロピレンを精製した。
本実施例においては、吸収液として、塔本体1A内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を735cm3(水深310mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Aの内部圧力が0.5MPa(G)、内部温度が15℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1A,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1A,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、1104cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表1に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度プロピレンガス(プロパン濃度43ppm)が1057cm3/min、回収率95.8%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収ガスが46cm3/minで排出され、排出率は4.2%であった。
本実施例では、実施例1と同一のプロピレン精製装置Xを使用し、実施例1〜3とは異なる条件で、原料ガスからプロピレンを精製した。
本実施例においては、吸収液として、塔本体1A内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を735cm3(水深310mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Aの内部圧力が0.5MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1A,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1A,2A間を相互に循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、910cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表1に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度プロピレンガス(プロパン濃度42ppm)が877cm3/min、回収率96.4%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収ガスが33cm3/minで排出され、排出率は3.6%であった。
本実施例においては、上記実施形態に係るプロピレン精製装置Xにおける吸収塔1について、塔本体1A(気泡塔)に代えて、図2に概略構成を示す塔本体1B(充填塔)を用いた。同図に示すように、塔本体1Bにおいては、塔内の上部寄りに充填物Fが詰め込まれており、放散塔2から送出される吸収液を塔内に導入するための配管L2は、充填物Fの上部において開放している。ガス導入管1bの端部は、塔内の中央空間において開放している。塔本体1B内においてガス導入管1bの端部から原料ガスが放出されると、当該原料ガスは、配管L2を介して導入される吸収液と充填物Fの表面において効率よく向流接触し、順次吸収液に吸収される。
本実施例では、吸収塔1の塔本体1Bとしてステンレス製の円筒管(内径28.4mm×高さ1000mm:容積633cm3)を用い、塔内部には充填物Fとしてラシヒリング6mmφ×6mmを947cc(充填高さ400mm)充填した。塔本体1B内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を237cm3(水深100mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Bの内部圧力が0.5MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1B,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1B,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、930cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表1に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度プロピレンガス(プロパン濃度35ppm)が895cm3/min、回収率96.2%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収ガスが35cm3/minで排出され、排出率は3.8%であった。
比較例1
本比較例では、バッチ式での吸収放散実験を行った。ステンレス製の吸収塔(容積700cm3)に吸収液として5mol/dm3の硝酸銀水溶液を445cm3受容させた。吸収条件としては、塔内圧力を0.5MPa(G)、塔内温度を25℃とし、原料ガス(プロピレン濃度が99.5モル%、プロパン濃度が0.5モル%のもの)を38分吹き込み吸収させた。この後、吸収液からガス成分が100〜200cm3/minの範囲で放散するように、まず塔内圧力を0.5MPa(G)から0.1MPa(G)まで徐々に下げ、引き続き塔内温度を0.5℃/minで昇温し40℃まで加温した。放散したガス量の初期35モル%をオフガスとして排出し、残り65モル%を精製ガスとして取得した。精製ガスの純度は99.99モル%(プロパン濃度80ppm)であった。
Figure 0005546447
表1に示す実施例1〜5および比較例1を対比すると理解できるように、硝酸銀水溶液(吸収液)に粗プロピレンガスを連続的に吸収させ、かつ得られた吸収液からガス成分を連続的に放散させると、高い回収率で高純度プロピレンを得ることが可能となった。
参考例6
参考例においては、実施例5と同一の精製装置Xを使用し、原料ガスをエチレンとして精製した。
参考例では、吸収液として、塔本体1B内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を237cm3(水深100mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Bの内部圧力が0.5MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1B,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1B,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、エチレン濃度が99.4モル%、エタン濃度が0.6モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、800cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表2に示す。本参考例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度エチレンガス(エタン濃度33ppm)が760cm3/min、回収率95.0%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収のエチレンガスが40cm3/min、廃棄率5.0%で排出した。
参考例7
参考例では、実施例5と同一の精製装置Xを使用し、原料ガスを1−ブテンとして精製した。
参考例においては、吸収液として、塔本体1B内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を237cm3(水深100mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Bの内部圧力が0.15MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1B,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1B,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、1−ブテン濃度が99.7モル%、ブタン濃度が0.3モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、300cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した
結果を表2に示す。本参考例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度1−ブテンガス(ブタン濃度30ppm)が285cm3/min、回収率95.0%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収の1−ブテンガスが15cm3/min、廃棄率5.0%で排出した。
参考例8
参考例では、実施例5と同一の精製装置Xを使用し、原料ガスをイソブテンとして精製した。
参考例においては、吸収液として、塔本体1B内に3mol/dm3の硝酸銀水溶液を237cm3(水深100mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Bの内部圧力が0.15MPa(G)、内部温度が25℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.1MPa(G)、内部温度が40℃となるように調整された。塔本体1B,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1B,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、イソブテン濃度が99.5モル%、ブタン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、300cm3/minの流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製ガスと吸収塔1からの非吸収ガスとを分析した結果を表2に示す。本参考例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度イソブテンガス(ブタン濃度40ppm)が284cm3/min、回収率94.7%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収のイソブテンガスが16cm3/min、廃棄率5.3%で排出した。
Figure 0005546447
参考例9
参考例では、実施例5と同一の精製装置Xを使用し、原料液を1−ヘキセンとして精製した。
参考例においては、吸収液として、塔本体1B内に5mol/dm3の硝酸銀水溶液を237cm3(水深100mm)受容させ、塔本体2A内に同濃度の硝酸銀水溶液を355cm3(水深150mm)受容させた。吸収塔1における条件としては、塔本体1Bの内部圧力が0.0MPa(G)、内部温度が75℃となるように調整された。放散塔2における条件としては、塔本体2Aの内部圧力が0.0MPa(G)、内部温度が85℃となるように調整された。塔本体1B,2A内に受容された硝酸銀水溶液は、25cm3/minの流量で塔本体1B,2A間を循環させた。吸収塔1に供給される原料ガスとしては、原料液を加温してガス化し、1−ヘキセン濃度が99.5モル%、ヘキサン濃度が0.5モル%のものを用いた。原料ガスの供給量は、679cm3/min(75℃)の流量であった。
定常稼動時における放散塔2からの精製液と吸収塔1からの非吸収成分とを分析した結果を表3に示す。本実施例では、放散塔2からは精製ガスとして純度99.99モル%の高純度1−ヘキセン(ヘキサン濃度30ppm)が663cm3/min(85℃)、回収率95.0%で得られた。また、吸収塔1からは非吸収の1−ヘキセンガスが34cm3/min(75℃)、廃棄率5.0%で排出した。
Figure 0005546447

Claims (9)

  1. 98〜99.5モル%のプロピレンおよび0.5〜2.0モル%のプロパンを含む原料からプロピレンを精製するための方法であって、
    第1の温度および第1の圧力下において、銀イオンを含有する吸収液に上記原料を接触させて、上記吸収液に上記原料中のプロピレンを優先的に吸収させつつ当該吸収液に吸収されなかった非吸収ガスを排出する第1工程と、
    第2の温度および第2の圧力下において、上記第1工程を経た上記吸収液からプロピレンを放散させて回収する第2工程と、を含み、
    上記吸収液を上記第1工程と上記第2工程との間で循環させながら、上記第1工程と上記第2工程とを並行して連続的に行うとともに、上記第1工程において、上記原料のうち上記吸収液に吸収されることなく吹き抜けて廃棄される非吸収ガスの比率が1〜20モル%となる範囲で調整することにより、原料よりも高純度のプロピレンを得るようにした、プロピレンの精製方法。
  2. 上記吸収液は、硝酸銀水溶液である、請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
  3. 上記第2の圧力は、上記第1の圧力よりも低くされる、請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
  4. 上記第2の温度は、上記第1の温度よりも高くされる、請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
  5. 上記第2の圧力は、上記第1の圧力よりも低く、上記第2の温度は、上記第1の温度よりも高くされる、請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
  6. 上記第1工程における上記原料と上記吸収液との接触は、向流接触により行う、請求項1に記載のプロピレンの精製方法。
  7. 98〜99.5モル%のプロピレンおよび0.5〜2.0モル%のプロパンを含む原料からプロピレンを精製するための装置であって、
    第1の温度および第1の圧力下において、銀イオンを含有する吸収液に上記原料を接触させて、上記吸収液に上記原料中のプロピレンを優先的に吸収させつつ当該吸収液に吸収されなかった非吸収ガスを排出するための吸収塔と、
    第2の温度および第2の圧力下において、プロピレンを吸収した上記吸収液からプロピレンを放散させて回収するための放散塔と、
    上記吸収液を上記吸収塔と上記放散塔との間で循環させるための循環手段と、を備え、上記吸収塔において、上記原料のうち上記吸収液に吸収されることなく吹き抜けて廃棄される非吸収ガスの比率が1〜20モル%となる範囲で調整することにより、原料よりも高純度のプロピレンを得るように構成した、プロピレンの精製装置。
  8. 上記吸収塔は上記原料を導入するためのガス導入管を備えた気泡塔であり、当該気泡塔はその上部から循環された上記吸収液が導入されるように構成されており、上記ガス導入管は上記気泡塔の下部にて開放している、請求項7に記載のプロピレンの精製装置。
  9. 上記吸収塔は上記原料を導入するためのガス導入管を備えた充填塔であり、当該充填塔はその上部に充填物が詰められているとともに、当該上部にて循環された上記吸収液が導入されるように構成されており、上記ガス導入管は上記充填物の下方にて開放している、請求項7に記載のプロピレンの精製装置。
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