JP5545025B2 - 工作機械 - Google Patents
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Description
一方、従来のフルクローズドループ方式の制御は、例えば刃物台移動型の旋盤では、刃物台の移動をリニアエンコーダ等の直線位置計測器で直接に読み取って制御を行うが、直線位置計測器の取付箇所に熱変位が生じた場合、高精度な制御が行えなくなる。そのため熱変位補正を行う手段を別に設ける必要がある。
この発明の他の目的は、工作機械が旋盤である場合に、切り込み方向の位置制御が高精度に行えて、強く高精度化が求められる切り込み方向の加工精度の向上を可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、主軸移動型の旋盤において、切り込み方向の位置制御が高精度に行え、強く高精度化が求められる切り込み方向の加工精度の向上を可能とすることである。
この発明のさらに他の目的は、ワーク支持手段と工具支持手段間の直交2軸方向の移動に対して、1軸方向の直線位置検出手段を設置するにつき、その設置構造の簡素化を図ることである。
前記固定基台よりも熱膨張係数の低い低熱膨張材からなり前記固定基台に設置された検出手段支持枠を設け、この検出手段支持枠に、前記ワーク支持手段および工具支持手段の定められた位置の前記直線方向の位置をそれぞれ検出するための、ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段を設け、前記ワーク側の直線位置検出手段の検出する前記直線方向と前記工具側の直線位置検出手段の検出する前記直線方向とは互いに同じ直線方向であり、前記ワーク支持手段および工具支持手段のいずれか一方は前記直線位置方向に関して位置固定であり、この位置固定のワーク支持手段または工具支持手段の前記直線方向の位置を検出する前記直線位置検出手段は、熱変形による前記直線位置の移動を検出し、前記移動制御手段は、前記ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段の両方の検出値を用いて前記移動機構をフィードバック制御するものとしたことを特徴とする。なお、前記直線位置検出手段は、直線方向の位置を検出する検出手段のことである。前記熱膨張係数は線膨張係数と同義である。
また、ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段は、固定基台に設置された低熱膨張材からなる検出手段支持枠に設置し、かつ共通の検出手段支持枠に設置したため、前記固定基台や移動機構の熱変位に係わらずに、ワーク側の直線位置検出手段と工具側の直線位置検出手段の検出値から、ワークと工具刃先間の距離を精度良く検出できる。すなわち、理想的には、熱変形しない検出手段支持枠および直線位置検出手段で、移動や熱変形後のワーク位置と工具位置を検出することになり、ワークと工具刃先間の距離を精度良く検出できる。そのため、ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段の両方の検出値を用いて前記移動機構をフィードバック制御する移動制御手段を設けたことで、熱変位補正を行うことなく、精度良く加工することができ、制御系も簡素になる。
直線位置検出手段が、上記のようなスケールおよびこのスケールを読み取る読取りヘッドからなるものである場合に、上記のようにスケールおよび読取りヘッドを設置することで、上記の熱変位補正手段を設けることなく、熱変位にかかわらずに高精度にワーク支持手段と工具支持手段間の相対位置の移動制御が行えて、制御系が簡素にでき、かつ加工精度の向上が図れるという効果が実現される。また、工作機械において一般的に用いられる直線位置検出手段を用いて、この発明の上記各効果を得ることができる。
旋盤では、切り込み方向の加工精度と送り方向の加工精度のうち、切り込み方向の寸法に、より高い精度が求められる。この構成の場合、前記ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段が、いずれも主軸に対して直交する方向の位置を検出するものであるため、高精度化の要求の強い切り込み方向の位置制御が高精度に行える。切り込み方向と送り方向の両方を、前記検出手段支持枠に直線位置検出手段を設けて検出することは、構成が複雑になって困難な場合があるが、その場合は、切り込み方向のみ前記直線位置検出手段で検出し、送り方向については他の検出手段を用いて位置制御を行うようにしても良い。
この構成の場合、主軸移動型の旋盤において、切り込み方向の位置制御が高精度に行え、強く高精度化が求められる切り込み方向の加工精度の向上が可能となる。
上記幅広目盛を設けた場合、計測方向となる直線方向に直交する方向にスケールと読取りヘッドとの相対位置が変わっても、前記計測方向の位置が計測できる。そのため、ワーク支持手段と工具支持手段間の直交2軸方向の移動に対して、1軸方向の直線位置検出手段を設置するにつき、その直交方向に移動を許容する機構を別に設けることが不要であり、設置構造を簡素化することができる。
演算制御部43は、加工プログラム42におけるX軸移動命令Rxを、X軸移動制御手段44にX軸の位置指令として与え、Z軸移動命令Rzを、Z軸移動制御手段45にX軸の位置指令として与える。
また、ワーク側の直線位置検出手段31および工具側の直線位置検出手段32は、固定基台に1箇所で設置された低熱膨張材からなる共通の検出手段支持枠30に設置したため、ベッド3や移動機構11の熱変位に係わらずに、ワーク側の直線位置検出手段31と工具側の直線位置検出手段32の検出値から、ワークWと工具刃先間の距離を精度良く検出できる。すなわち、理想的には、熱変形しない検出手段支持枠30および直線位置検出手段31,32で、移動や熱変形後のワーク位置と工具位置を検出することになり、ワークWと工具刃先間の距離を精度良く検出できる。そのため、ワーク側の直線位置検出手段31および工具側の直線位置検出手段32の両方の検出値を用いてX軸移動機構12をフィードバック制御する移動制御手段44を設けたことで、熱変位補正を行うことなく、精度良く加工することででき、制御系も簡素になる。
検出手段支持枠30は、ベッド3に1箇所で固定されているため、ワーク支持手段21と工具支持手段22間に作用する切削反力等の加工による力を受けず、またベッド3の変形の影響を受けず、そのため加工力で変形せず、これによっても、より精度良く位置検出が行えて、精度良く加工することができる。
なお、この実施形態では、X軸方向の熱変位補正は不要であるが、適宜のリニアライズ手段や、補正手段を追加して設けても良い。
2…制御装置
3…ベッド(固定基台)
4…送り台
5…主軸台
6…主軸
7…刃物台
7a…工具取付部
7c…中空軸
9…X軸案内
10…サーボモータ
12…X軸移動機構
13…Z軸案内
14…サーボモータ
14a…位置検出器
16…Z軸移動機構
18…工具
21…ワーク支持手段
22…工具支持手段
26…支持台
30…検出手段支持枠
30a…取付部
30b…支柱部
30c…第1アーム部
30d…第2アーム
30T…工具近傍部
30W…ワーク近傍部
31…ワーク側の直線位置検出手段
31a…スケール
31b…読取りヘッド
31A…ワーク側の直線位置検出手段
31Aa…スケール
31Ab…読取りヘッド
32…工具側の直線位置検出手段
32a…スケール
32b…読取りヘッド
33…目盛
34…直交移動許容機構
33A…目盛
44…X軸の移動制御手段
45…Z軸の移動制御手段
O1…ワーク側の被検出位置
T1…工具側の被検出位置
Claims (5)
- ワークを支持するワーク支持手段と工具を支持する工具支持手段とを、固定基台上に互いに直線方向に沿って相対的に進退可能に設置し、前記ワーク支持手段と工具支持手段とを、サーボモータの駆動により相対的に進退させる移動機構、およびこの移動機構を制御する移動制御手段を設けた工作機械において、
前記固定基台よりも熱膨張係数の低い低熱膨張材からなり前記固定基台に設置された検出手段支持枠を設け、この検出手段支持枠に、前記ワーク支持手段および工具支持手段の定められた位置の前記直線方向の位置をそれぞれ検出するための、ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段を設け、前記ワーク側の直線位置検出手段の検出する前記直線方向と前記工具側の直線位置検出手段の検出する前記直線方向とは互いに同じ直線方向であり、前記ワーク支持手段および工具支持手段のいずれか一方は前記直線位置方向に関して位置固定であり、この位置固定のワーク支持手段または工具支持手段の前記直線方向の位置を検出する前記直線位置検出手段は、熱変形による前記直線位置の移動を検出し、前記移動制御手段は、前記ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段の両方の検出値を用いて前記移動機構をフィードバック制御するものとした工作機械。 - 前記ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段は、それぞれスケールおよびこのスケールを読み取る読取りヘッドからなり、前記ワーク支持手段および工具支持手段の前記定められた位置に、前記両直線位置検出手段のスケールおよび読取りヘッドの一方を設け、他方を前記検出手段支持枠に設けた請求項1記載の工作機械。
- 前記工作機械が旋盤であって、前記固定基台がベッド、前記ワーク支持手段が主軸およびこの主軸を支持する主軸台、前記工具支持手段が刃物台であり、前記ワーク側の直線位置検出手段および工具側の直線位置検出手段は、いずれも前記主軸に対して直交する方向の位置を検出するものであり、前記ワーク側の直線位置検出手段は、前記スケールが前記検出手段支持枠に、前記読取りヘッドが前記主軸台にそれぞれ設置された請求項2記載の工作機械。
- 前記工作機械が主軸移動型の旋盤であって、前記主軸台が、前記ベッドに対し、前記主軸の軸心に対する直交方向に進退可能であり、前記ワーク側の直線位置検出手段は前記直交する方向である主軸台の進退方向に延びて前記検出手段支持枠に設けられたスケールと、前記主軸台に設置された読取りヘッドとでなる請求項3記載の工作機械。
- 前記ワーク側および工具側のいずれか一方または両方の直線位置検出手段は、前記スケールの位置計測方向となる直線方向に並ぶ各目盛が、前記直線方向に対する直交方向に延びた幅広目盛であり、この幅広目盛に前記読取りヘッドが対向する範囲で、前記直交方向に前記スケールと前記読取りヘッドの相対位置が移動しても前記直線方向の位置を検出可能である請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の工作機械。
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