JP2018079526A - 工作機械及び加工方法 - Google Patents

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努 大坪
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Abstract

【課題】主軸軸心と刃物の刃先との間の切り込み方向について、熱変形による距離の変動を適正に補正することにより、ワークを高精度に加工することが可能な工作機械及び加工方法を提供する。【解決手段】工作機械100において、制御装置2は、第3基準位置P3から刃物Tの刃先Taまでの熱変位量である刃物熱変位量ΔHを推定し、第1読み取り装置71bにより算出した主軸台熱変位量ΔS、及び第2読み取り装置72bにより算出した刃物台熱変位量ΔTに刃物熱変位量ΔHを加えて、補正値ΔXとして主軸台4と刃物台5との相対移動量を演算する演算部22を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、工作機械及び加工方法に関する。
工作機械の1つである旋盤は、ワークを保持して回転する主軸と、ワークを切削する刃物を保持する刃物台とを備えている。このような旋盤では、主軸と刃物台とを相対的に移動させ、ワークと刃物とを相対的に移動させながら切削加工を行う。ワークの切削を行う場合、ワークの切削時に生じる切削熱、あるいは運転に伴う各部位の発熱などにより、主軸、刃物台、及びこれらを支持するベッドなどが熱変形し、主軸軸心と刃物の刃先との間の切り込み方向の距離が変動する。この距離の変動により、ワークに対する刃物の刃先の位置が想定値(設定値)からずれてしまうため、ベッドなどに設けられた基準位置に対する主軸軸心と刃物台の端面との距離を検出し、この検出結果を用いて熱変形による位置ずれを補正する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5515639号公報
ワークを高精度に加工するためには、主軸軸心と刃先との距離を正確に知る必要がある。一方、刃物台に取り付けられるタレット及び刃物についても、厳密には熱の影響を受けて変形する。特許文献1に記載の旋盤では、主軸軸心と刃物台の端面との距離に基づいて熱変形による影響を補正するが、刃物台の端面から刃先までの部分、つまり、タレット及び刃物についての熱変形の影響については考慮されていない。
以上のような事情に鑑み、本発明は、主軸軸心と刃先との間の切り込み方向について、熱変形による距離の変動を適正に補正することにより、ワークを高精度に加工することが可能な工作機械及び加工方法を提供することを目的とする。
本発明に係る工作機械は、ワークを把持するチャックを先端に有する主軸を回転自在に支持した主軸台と、刃物が取付けられる刃物台と、主軸台及び刃物台を、主軸の半径方向に相対的に移動可能に設置したベッドと、刃物台又はその近傍の温度を測定する第1温度測定器と、ベッドにおける第1基準位置に対する主軸半径方向の主軸軸心位置を計測する主軸側位置計測装置と、ベッドにおける第2基準位置に対する主軸半径方向の刃物台の第3基準位置を計測する刃物側位置計測装置と、主軸側位置計測装置で計測された主軸軸心位置に基づいて主軸台の熱変位量である主軸台熱変位量を算出し、刃物側位置計測装置で計測された第3基準位置に基づいて刃物台の熱変位量である刃物台熱変位量を算出し、第1温度測定器で測定された第1温度に基づいて第3基準位置から刃物の加工先端までの熱変位量である刃物熱変位量を推定し、主軸台熱変位量、刃物台熱変位量、及び刃物熱変位量を補正値として主軸台と刃物台との相対移動量を演算する演算部と、を含む。
また、主軸台及び/又はその近傍の温度を1つ以上測定する第2温度測定器を備え、主軸側位置計測装置は、第1基準位置においてベッドに固定されかつ主軸半径方向に延びる第1スケールと、主軸台に固定されかつ主軸軸心を通る主軸半径方向に垂直な平面上を読み取り基準とする第1読み取り装置とを有し、演算部は、第2温度測定器が測定した第2温度から読み取り基準に対する主軸軸心の熱変位量である主軸軸心熱変位量を推定し、主軸軸心熱変位量を補正値に含めて主軸台と刃物台との相対移動量を演算してもよい。また、刃物台の端面に設けられかつ刃物が固定されるタレットを備え、刃物側位置計測装置は、第1基準位置においてベッドに固定されかつ主軸半径方向に延びる第2スケールと、刃物台に固定されかつ第3基準位置を読み取り基準とする第2読み取り装置とを有し、演算部は、第1温度測定器が測定した第1温度から第3基準位置に対するタレットの刃物取付位置の熱変位量である取付位置熱変位量を推定し、取付位置熱変位量を補正値に含めて主軸台と刃物台との相対移動量を演算してもよい。
また、第1基準位置及び第2基準位置は、主軸半径方向に対して互いに固定され、かつ主軸半径方向に対して互いに熱変位量が等しい位置であってもよい。また、刃物によるワークの加工部位に、温度管理されたクーラントを吐出する冷却装置を備え、第1温度測定器は、クーラントの温度を測定してもよい。また、第1温度測定器は、クーラントが通過する配管の温度を測定することによりクーラントの温度を測定してもよい。また、刃物側位置計測装置において、第2スケールは、第3基準位置がタレットの端面と一致して、刃物台に挿入して設けられてもよい。また、刃物側位置計測装置において、第2読み取り装置は、刃物台の側面に固定されてもよい。
本発明に係る加工方法は、ワークを把持するチャックを先端に有する主軸を回転自在に支持した主軸台と、刃物が取付けられる刃物台と、主軸台及び刃物台を、主軸の半径方向に相対的に移動可能に設置したベッドと、刃物台又はその近傍の温度を測定する第1温度測定器と、ベッドにおける第1基準位置に対する主軸半径方向の主軸軸心位置を計測する主軸側位置計測装置と、ベッドにおける第2基準位置に対する主軸半径方向の刃物台の第3基準位置を計測する刃物側位置計測装置と、を備える工作機械を用いた加工方法であって、主軸側位置計測装置で計測された主軸軸心位置に基づいて主軸台の熱変位量である主軸台熱変位量を算出することと、刃物側位置計測装置で計測された第3基準位置に基づいて刃物台の熱変位量である刃物台熱変位量を算出することと、第1温度測定器で測定された第1温度に基づいて第3基準位置から刃物の加工先端までの熱変位量である刃物熱変位量を推定することと、主軸台熱変位量、刃物台熱変位量、及び刃物熱変位量を補正値として主軸台と刃物台との相対移動量を演算することと、を含む。
本発明によれば、第3基準位置から刃物の加工先端までの熱変位量である刃物熱変位量を推定し、主軸台熱変位量及び刃物台熱変位量に加えて、刃物熱変位量を補正値として主軸台と刃物台との相対移動量を演算するため、刃物台の端面から刃先までの熱変形の影響についても補正することができる。これにより、主軸軸心と刃物の刃先との間の切り込み方向について、熱変形による距離の変動を適正に補正することにより、ワークを高精度に加工することができる。
また、主軸台及び/又はその近傍の温度を1つ以上測定する第2温度測定器を備え、主軸側位置計測装置が、第1基準位置においてベッドに固定されかつ主軸半径方向に延びる第1スケールと、主軸台に固定されかつ主軸軸心を通る主軸半径方向に垂直な平面上を読み取り基準とする第1読み取り装置とを有し、演算部は、第2温度測定器が測定した第2温度から読み取り基準に対する主軸軸心の熱変位量である主軸軸心熱変位量を推定し、主軸軸心熱変位量を補正値に含めて主軸台と刃物台との相対移動量を演算する場合、主軸軸心熱変位量を補正値に加えて主軸台と刃物台との相対移動量を演算するため、熱変形による距離の変動を正確に補正することができる。また、刃物台の端面に設けられかつ刃物が固定されるタレットを備え、刃物側位置計測装置が、第1基準位置においてベッドに固定されかつ主軸半径方向に延びる第2スケールと、刃物台に固定されかつ第3基準位置を読み取り基準とする第2読み取り装置とを有し、演算部が、第1温度測定器が測定した第1温度から第3基準位置に対するタレットの刃物取付位置の熱変位量である取付位置熱変位量を推定し、取付位置熱変位量を補正値に含めて主軸台と刃物台との相対移動量を演算する場合、取付位置熱変位量を補正値に加えて主軸台と刃物台との相対移動量を演算するため、熱変形による距離の変動を正確に補正することができる。
また、第1基準位置及び第2基準位置が、主軸半径方向に対して互いに固定され、かつ主軸半径方向に対して互いに熱変位量が等しい位置である場合、第1基準位置及び第2基準位置を別々に固定することと比較して、第1基準位置及び第2基準位置を容易に配置でき、第1基準位置と第2基準位置とのズレを防止できる。また、刃物によるワークの加工部位に、温度管理されたクーラントを吐出する冷却装置を備え、第1温度測定器がクーラントの温度を測定する場合、クーラントの温度を介して第1温度を容易に測定できる。また、第1温度測定器が、クーラントが通過する配管の温度を測定することによりクーラントの温度を測定する場合、配管の温度を測定するといった簡単な構成で第1温度を容易に測定できる。また、刃物側位置計測装置において、第2スケールが、第3基準位置がタレットの端面と一致して、刃物台に挿入して設けられ、上記した主軸軸心熱変位量と取付位置熱変位量とが相殺される場合には、補正値の演算を容易にすることができる。また、刃物側位置計測装置において、第2読み取り装置が、刃物台の側面に固定される場合、取付位置熱変位量が無視できるほど小さくなるので、補正値の演算が容易となり、また、刃物台を鉛直方向に移動させる構成においても適用できる。
本発明の第1実施形態に係る工作機械の一例を示す図である。 本体部の一例を示す斜視図である。 本体部を+Y側から見た場合の一例を示す図である。 本体部を+Z側から見た場合の一例を示す図である。 (A)は、第2温度と主軸軸心熱変位量との関係を概略的に示すグラフであり、(B)は、第1温度と取付位置熱変位量との関係を概略的に示すグラフである。 主軸軸心と刃先とのX方向の距離の補正値を算出する処理の一例を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る工作機械の一例を示す平面図である。 運転開始からの時間と主軸軸心熱変位量との関係を示すグラフである。 本体部を+Z側から見た場合の他の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。以下の各実施形態におけるXYZ座標系では、主軸の回転軸方向をZ方向とし、水平面に平行な平面をYZ平面とし、Z方向に直交する方向をY方向と表記する。YZ平面に垂直な方向はX方向とし、このX方向は、ワークに対する切削量を規定する方向である。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。また、以下の各実施形態では、Y軸周りの方向をθY方向と表記し、Z軸周りの方向をθZ方向と表記する。また、θY方向、θZ方向については、+Y側及び+Z側から見た場合における時計回りの方向を+方向とし、反時計回りの方向を−方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る工作機械100について、図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る工作機械100の一例を示す図である。また、図2は、本体部1の一例を示す斜視図である。図3は、本体部1を+Y側から見た場合の一例を示す図である。図4は、本体部1を+Z側から見た場合の一例を示す図である。図1から図4に示す工作機械100は、旋盤である。工作機械100は、本体部1と、制御装置2と、を備える。
図1から図4に示すように、本体部1は、ベッド3と、主軸台4と、刃物台5と、移動装置6と、計測装置7と、を有する。ベッド3は、例えば床面等に載置される固定基台である。主軸台4は、移動装置6を介してベッド3に支持される。主軸台4は、移動装置6によりX方向及びZ方向のそれぞれに移動可能である。主軸台4は、主軸10を有する。主軸10は、不図示の軸受等によってZ方向に平行な主軸軸心AX1の周りをθZ方向に回転可能に支持される。主軸10の+Z側の端部には、チャック駆動部11が設けられている。
チャック駆動部11は、ワークWを保持する複数の把持爪11aを有する。複数の把持爪11aのそれぞれは、主軸10の径方向に移動可能である。チャック駆動部11は、複数の把持爪11aを主軸10の径方向に移動させてワークWを保持させる。ワークWを把持爪11aで保持した際、ワークWの回転中心は、主軸軸心AX1と一致する。把持爪11aは、主軸10の回転軸周りに等間隔に複数配置される。把持爪11aの個数や形状は、ワークWを保持可能な任意の構成が用いられる。
刃物台5は、ベッド3に固定される。刃物台5は、タレット50を備える。タレット50は、X方向に平行な軸心AX2の周りをθX方向に回転可能な状態で刃物台5に支持される。タレット50は、刃物Tを交換可能に保持する。刃物Tとしては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。刃物Tは、ホルダ51を介してタレット50に保持される。
ベッド3の下部には、冷却装置30が配置される。冷却装置30は、ワークWの加工部位にクーラントを吐出して冷却する。冷却装置30は、クーラント供給源31と、配管32とを有する。クーラント供給源31は、温度管理されたクーラントが貯留される。クーラント供給源31は、ポンプ等の駆動源31aにより、クーラントを配管32に流通させる。配管32は、ベッド3に沿って引き回され、刃物台5の−Z側の面から刃物台5の内部に挿入される。この配管32は、タレット50及びホルダ51を貫通して配置され、クーラントの流通方向の下流側端部がワークWの加工部位に向けられる。
移動装置6は、X方向ガイド61と、送り台62と、Z方向ガイド63と、を有する。2本のX方向ガイド61は、ベッド3上にX方向に沿って平行に配置される。X方向ガイド61は、送り台62をX方向に案内する。送り台62は、矩形の板状または台状に形成され、X方向ガイド61上に配置される。本明細書において矩形は、正方形を含む長方形を意味する。
送り台62は、X方向駆動部64の駆動によりX方向に移動する。X方向駆動部64は、例えば、電気モータ等の回転駆動力を用いて、ボールネジ機構等により直線運動に変換する機構、ラック及びピニオンギアを用いた機構、あるいは油圧または空圧シリンダ装置などが用いられる。2本のZ方向ガイド63は、送り台62上にZ方向に沿って平行に配置される。Z方向ガイド63は、主軸台4をZ方向に案内する。主軸台4は、Z方向駆動部65の駆動によりZ方向に移動する。Z方向駆動部65は、例えば、電気モータなど、X方向駆動部64と同様の構成が用いられる。
計測装置7は、基準フレーム70と、主軸側位置計測装置71と、刃物側位置計測装置72と、第1温度測定器73と、第2温度測定器74と、第3温度測定器75と、第4温度測定器76と、を有する。基準フレーム70は、支柱部77と、水平部78とを有する。基準フレーム70は、ベッド3よりも熱膨張係数の低い材料を用いて形成される。このような材料としては、例えばインバー材等の合金材料又はセラミックス等が挙げられる。支柱部77は、ベッド3からY方向に沿って起立した状態で配置される。支柱部77は、不図示の固定部材等によってベッド3に固定される。
水平部78は、基端側が支柱部77の上端に連結され、+Z方向に向かって直線状に延びるように配置される。水平部78は、支柱部77によって、いわゆる片持ち状に支持される。水平部78は、補強部78a(図2参照)によって支持される。水平部78は、タレット50の回転軸の軸心AX2の高さに配置される。水平部78は、+Z側の端部が刃物台5の+X側の位置に(すなわち、タレット50と反対側の位置に)配置される。水平部78の+Z側の端部には、後述する第2スケール72a及び第2読み取り装置72bを挿入するための貫通孔が形成される。貫通孔は、X方向に水平部78を貫通して設けられる。
主軸側位置計測装置71は、主軸軸心AX1のX方向への変位を検出する。主軸側位置計測装置71は、第1スケール71aと、第1読み取り装置71bと、を有する。第1スケール71aは、例えば、断面が円形状、楕円形状、または多角形状の棒状の部材である。第1スケール71aは、支柱部77に連結され、X方向に沿って直線状に配置される。第1スケール71aは、支柱部77にいわゆる片持ち状に支持される。第1スケール71aは、Y方向の位置が送り台62の高さ位置に配置される。第1スケール71aは、−X方向の端部が送り台62の+Z側の位置に配置される。
第1スケール71aは、X方向に並んで形成された目盛りM1を有する。目盛りM1は、光学的又は磁気的に読み取り可能である。目盛りM1は、第1スケール71aに直接形成された構成であってもよいし、目盛りが形成された部材が第1スケール71aに取り付けられた構成であってもよい。本実施形態では、目盛りM1は、例えば磁性部分と非磁性部分とが第1スケール71aのX方向に交互に配置された構成である。目盛りM1は、主軸10がX方向に移動する範囲(主軸軸心AX1のX方向の移動範囲)を含む領域に形成される。第1スケール71aは、支柱部77に支持されている部分が第1基準位置P1となる。すなわち、主軸側位置計測装置71は、ベッド3における第1基準位置P1に対する主軸10の半径方向の主軸軸心AX1の位置を計測する。
第1読み取り装置71bは、送り台62の+Z側の端面62aに固定され、かつ主軸軸心AX1を通る主軸10の半径方向に垂直な平面上を読み取り基準とする。読み取り基準は、主軸軸心AX1を通り、YZ平面と平行な平面状である。第1読み取り装置71bは、例えば、磁性部分と非磁性部分とを検出する磁気ヘッドが用いられる。第1読み取り装置71bは、主軸台4及び送り台62に熱変形が生じた場合、主軸台4及び送り台62の変形に伴って変位する。したがって、第1読み取り装置71bは、第1スケール71aに形成された目盛りM1(磁性部分及び非磁性部分)に対してX方向に変位する場合の変位を検出可能である。第1読み取り装置71bは、目盛りM1に対するX方向の変位を電気信号として制御装置2に送信する。
刃物側位置計測装置72は、タレット50の−X側(刃物T側あるいはワークW側)の端面50aについてのX方向の変位を計測する。刃物側位置計測装置72は、第2スケール72aと、第2読み取り装置72bと、を有する。第2スケール72aは、第1スケール71aと同様に、例えば、断面が円形状、楕円形状、または多角形状の棒状の部材であり、X方向に沿って直線状に配置される。第2スケール72aは、中心軸がタレット50の回転の軸心AX2に一致して、刃物台5及びタレット50をX方向に貫通して配置されており、刃物台5及びタレット50と一体に設けられる。第2スケール72aは、タレット50の−X側の端面50aにいわゆる片持ち状に支持される。第2スケール72aは、刃物台5に熱変形が生じた場合、刃物台5の熱変形に伴って変位する。
第2スケール72aは、+X側の端部が水平部78をX方向に貫通し+X側に突出して配置される。第2スケール72aは、第1スケール71aと同様に、X方向に並んで配置された目盛りM2を有する。目盛りM2は、光学的又は磁気的に読み取り可能である。目盛りM2は、第2スケール72aのうち水平部78の内部に挿入される領域に配置される。第2スケール72aが貫通する水平部78の位置が第2基準位置P2となる。
第2スケール72aは、−X側の端面72cがタレット50の−X側の端面50aに一致して配置される。この端面72cは、X方向の位置がタレット50の端面50aに一致する。端面50aは、刃物台5の第3基準位置P3である。したがって、第2スケール72aの端面72cは、第3基準位置P3に配置されている。すなわち、刃物側位置計測装置72は、ベッド3における第2基準位置P2に対して、第3基準位置P3の位置を計測する。なお、第1基準位置P1及び第2基準位置P2は、主軸半径方向に対して互いに熱変位量が等しい位置であり、互いに一致している。また、第1基準位置P1及び第2基準位置P2は、熱膨張係数の低いインバー材等にそれぞれ設定されているので、両者が相対的に移動することを防止できる。ただし、第1基準位置P1と第2基準位置P2とを別の基準フレーム等に配置させてもよい。
第2読み取り装置72bは、水平部78の第2基準位置P2に固定される。第2基準位置P2は、水平部78の内部のうちタレット50の軸心AX2に重なる位置である。第2読み取り装置72bは、例えば、磁性部分と非磁性部分とを検出する磁気ヘッドが用いられる。第2読み取り装置72bは、目盛りM2(磁性部分及び非磁性部分)がX方向に変位する場合の変位を検出可能である。第2読み取り装置72bは、目盛りM2がX方向に変位した場合、この変位を電気信号として制御装置2に送信する。このように、本実施形態の刃物側位置計測装置72では、第2読み取り装置72bが固定位置に配置され、第2スケール72aが変位する構成であるが、これに限定されない。例えば、第2スケール72aが水平部78に固定され、第2読み取り装置72bがタレット50の端面50aに配置される構成でもよい。
第1温度測定器73は、例えば、刃物台5の−Z側の端面に配置される。第1温度測定器73は、刃物台5又はその近傍の第1温度を測定する。第1温度測定器73は、配管32の温度を測定することにより、配管32を流れるクーラントの温度を測定する。切削加工時には刃物Tに向けてクーラントが吐出されるため、クーラントが流れる配管32の温度は切削加工時の刃物T及びその周囲の温度にほぼ等しい。したがって、配管32内のクーラントの温度を測定することにより、切削時の刃物台5又はその近傍の第1温度を測定することができる。
第2温度測定器74は、主軸台4(または主軸10)及び/又はその近傍の温度である第2温度を1つ以上測定する。第2温度測定器74は、主軸台4の第2温度を測定可能であれば、その取り付け位置は任意であり、例えば、主軸10近傍に取り付けられてもよいし、主軸台4又は主軸10の内部に配置されてもよい。また、第2温度測定器74は、配置されなくてもよい。
第3温度測定器75は、送り台62の温度である第3温度を測定する。第3温度測定器75は、例えば、送り台62の表面に取り付けられ、送り台62の温度を測定することが可能である。なお、第3温度測定器75は、送り台62の内部に配置されてもよい。第4温度測定器76は、刃物台5のうち+Z側の端面に配置される。第4温度測定器76は、刃物台5の+Z側の端面の温度(第4温度)を測定する。なお、第3温度測定器75及び第4温度測定器76の一方または双方は、配置されなくてもよい。
制御装置2は、図1に示すように、例えば、コンピュータであり、数値制御機能及びプログラマブルコントローラなどを有する。制御装置2は、移動制御部21と、演算部22と、記憶部23と、を有する。移動制御部21は、移動装置6のX方向駆動部64及びZ方向駆動部65を制御することにより、ワークWと刃物TとをX方向及びZ方向に相対的に移動させる。移動制御部21は、ワークWと刃物Tとの間のX方向の相対移動を制御する場合、主軸10の主軸軸心AX1と刃物Tの刃先TaとのX方向の距離Lを制御する。
この距離Lは、主軸台4のX方向の位置と、刃物台5に取り付けられるタレット50、ホルダ51及び刃物TのX方向の取り付け寸法とによって求められる。また、距離Lは、例えば、主軸10に保持したテストピースに刃物Tを突き当てて(もしくは実際に切削して)計測してもよい。また、制御装置2は、後述する各熱変位量に基づいてワークWの加工データ(例えば座標値等)を補正し、補正後の加工データに基づいて移動制御部21によりX方向駆動部64及びZ方向駆動部65を制御する。
演算部22は、例えば、記憶部23に記憶されたプログラム及びデータに基づいて、各種の演算を行う。演算部22は、主軸側位置計測装置71で計測された主軸軸心AX1のX方向についての変位(位置)に基づいて、主軸台熱変位量ΔSを算出する。主軸台熱変位量ΔSは、熱によって生じた主軸台4の熱変位量である。また、演算部22は、刃物側位置計測装置72で計測された第3基準位置P3のX方向についての変位(位置)に基づいて、刃物台熱変位量ΔTを算出する。刃物台熱変位量ΔTは、熱によって生じた刃物台5の熱変位量である。
演算部22は、第1温度測定器73で測定された第1温度に基づいて、刃物熱変位量ΔHを推定する。刃物熱変位量ΔHは、第3基準位置P3から刃物Tの刃先Taまでの部分(ホルダ51及び刃物T)のX方向についての熱変位量である。第1温度と刃物熱変位量ΔHとの間には所定の相関関係がある。第1温度と刃物熱変位量ΔHとの相関関係は、実験やシミュレーションなどにより予め求められる。この相関関係は、例えば、第1温度の値を変数とする刃物熱変位量ΔHの関数データとして、記憶部23に記憶される。この場合、演算部22は、記憶部23に記憶される関数データを用いて、第1温度の値に対応する刃物熱変位量ΔHを算出する。
演算部22は、主軸台熱変位量ΔS、刃物台熱変位量ΔT、及び刃物熱変位量ΔHを補正値ΔXとして、主軸台4と刃物台5とのX方向についての相対移動量を演算する。この場合、補正値ΔXは、
ΔX=ΔS+ΔT+ΔH
で表される。
また、演算部22は、第2温度測定器74が測定した主軸10の温度(第2温度)に基づいて、主軸軸心熱変位量Δθsを推定してもよい。主軸軸心熱変位量Δθsは、図4に示すように、読み取り基準に対する主軸軸心AX1の熱変位量である。例えば、主軸軸心熱変位量Δθsは、第1読み取り装置71bまたは第1読み取り装置71bの近傍を中心とした主軸台4のZ軸周りの熱変位量のうち、X方向の成分を抽出した値である。主軸軸心熱変位量Δθsは、例えば、主軸台4とZ方向ガイド63との間に形成される隙間の熱変位に起因した主軸軸心AX1の熱変位量を含む。
第2温度と主軸軸心熱変位量Δθsとの間には所定の相関関係がある。図5(A)は、第2温度と主軸軸心熱変位量Δθsとの関係を概略的に示すグラフである。図5(A)において、横軸は第2温度と、第3温度測定器75が測定した第3温度との差(温度差)を示し、縦軸は主軸軸心熱変位量Δθsの大きさを示す。図5(A)に示すように、主軸軸心熱変位量Δθsは、第2温度と第3温度との温度差が増加するに従って、+(プラス)側の絶対値が増加する。なお、第2温度と第3温度との間に相関関係がある場合には、第2温度の値から第3温度の温度を算出し、算出結果に基づいて温度差を算出してもよい。このような第2温度と第3温度との温度差と、主軸軸心熱変位量Δθsとの相関関係は、実験やシミュレーションなどにより予め求められる。この相関関係は、例えば、温度差の値を変数とする主軸軸心熱変位量Δθsの関数データとして、記憶部23に記憶される。この場合、演算部22は、記憶部23に記憶される関数データを用いて、第2温度の値に対応する主軸軸心熱変位量Δθsを算出する。
演算部22は、主軸軸心熱変位量Δθsを補正値ΔXに含めて主軸台4と刃物台5との相対移動量を演算することができる。この場合、補正値ΔXは、
ΔX=ΔS+ΔT+ΔH+Δθs
で表される。
なお、制御装置2は、移動制御部21及び演算部22がソフトウェアにより実現されてもよい。また、制御装置2は、移動制御部21と演算部22とで別の制御装置によって構成されてもよい。また、記憶部23は、例えば、制御装置2に内蔵されたハードディスク、あるいは持ち運び可能なCD−ROM、USBメモリなどが用いられてもよい。
また、演算部22は、第1温度測定器73が測定した配管32の温度(第1温度)から取付位置熱変位量Δθtを推定してもよい。取付位置熱変位量Δθtは、図3に示すように、第2スケール72aの−X側の端面72c(あるいはタレット50の回転中心)に対するタレット50の刃物取付位置の熱変位量である。取付位置熱変位量Δθtは、端面72cを中心とした刃物台5のX軸周りの熱変位量のうち、X方向の成分を抽出した値である。
第1温度と取付位置熱変位量Δθtとの間には所定の相関関係がある。図5(B)は、第1温度と取付位置熱変位量Δθtとの関係を概略的に示すグラフである。図5(B)において、横軸は第1温度と、第4温度測定器76が測定した第4温度との差(温度差)を示し、縦軸は取付位置熱変位量Δθtの大きさを示す。図5(B)に示すように、取付位置熱変位量Δθtは、第1温度と第4温度との温度差が増加するに従って、−(マイナス)側の絶対値が増加する。このような第1温度と第4温度との温度差と取付位置熱変位量Δθtとの相関関係は、実験やシミュレーションなどにより予め求められる。この相関関係は、例えば第1温度と第4温度との温度差の値を変数とする取付位置熱変位量Δθtの関数データとして、記憶部23に記憶される。この場合、演算部22は、記憶部23に記憶される関数データを用いて、第1温度と第4温度との温度差に対応する取付位置熱変位量Δθtを算出する。
演算部22は、取付位置熱変位量Δθtを補正値に含めて主軸台4と刃物台5との相対移動量を演算することができる。この場合、補正値ΔXは、
ΔX=ΔS+ΔT+ΔH+Δθs+Δθt
で表される。
次に、以上のように構成された工作機械100の動作について説明する。まず、加工対象であるワークWを把持爪11aによって主軸10に保持させる。ワークWを主軸10に保持させた後、制御装置2は、主軸10を主軸軸心AX1の軸周り方向(θZ方向)に回転させることにより、ワークWを主軸軸心AX1の軸周り方向に回転させる。
続いて、制御装置2は、移動制御部21によってX方向駆動部64及びZ方向駆動部65を制御し、ワークWと刃物Tとを相対的に移動させることにより刃物Tの刃先TaでワークWを切削加工する。なお、ワークWと刃物Tとの相対的な移動量及び速度などに関する加工データは、例えば上位の制御装置からの送信あるいは作業者による入力によって記憶部23等に保管されている。加工データは、例えば、刃物Tの刃先Taが移動すべき軌跡の座標データなどである。移動制御部21は、記憶部23等の加工データに基づいてX方向駆動部64及びZ方向駆動部65を駆動させる。
ワークWの切削を行う場合、環境温度の変化、ワークWの切削時に生じる切削熱、及び運転に伴う各部位の発熱などにより、主軸台4、刃物台5、主軸10、タレット50、刃物T、ホルダ51、ベッド3等が熱変形し、主軸軸心AX1と刃物Tの刃先Taとの間のX方向の距離が変動する。この距離の変動により、初期に設定された基準位置または基準距離(例えば、主軸軸心AX1と刃先Taとの間のX方向の距離Lなど)が変化し、ワークWに対する刃物Tの刃先Taの位置が想定値(加工データに基づく設定値)からずれてしまう。このため、本実施形態では、演算部22において、熱変位量を算出又は推定し、主軸10と刃物Tとの相対移動量である補正値ΔXを演算して加工データを補正する。
図6は、距離Lの補正値を算出する処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、演算部22は、演算部22は、主軸側位置計測装置71で計測された主軸軸心AX1のX方向についての変位(位置)に基づいて、主軸台熱変位量ΔSを算出する(ステップS01)。また、演算部22は、刃物側位置計測装置72で計測された第3基準位置P3のX方向についての変位(位置)に基づいて、刃物台熱変位量ΔTを算出する(ステップS02)。また、演算部22は、第1温度測定器73で測定された配管32の温度(第1温度)に基づいて、刃物熱変位量ΔHを推定する(ステップS03)。
演算部22は、第2温度測定器74が測定した主軸台4の温度(第2温度)に基づいて、上記したように、主軸軸心熱変位量Δθsを推定する(ステップS04)。また、演算部22は、第1温度測定器73が測定した配管32の温度(第1温度)から取付位置熱変位量Δθtを推定する(ステップS05)。なお、ステップS04及びステップS05を行うか否かは任意であり、ステップS04及びステップS05を行わなくてもよい。
演算部22は、算出又は推定した主軸台熱変位量ΔS、刃物台熱変位量ΔT、刃物熱変位量ΔH、主軸軸心熱変位量Δθs、及び取付位置熱変位量Δθtに基づいて、主軸10の主軸軸心AX1と、刃物Tの刃先Taとの相対移動量である補正値ΔX(ΔX=ΔS+ΔT+ΔH+Δθs+Δθt)を演算する(ステップS06)。
移動制御部21は、演算部22で算出された相対移動量(補正値ΔX)に基づいて加工データを補正し、この補正した加工データに基づいてX方向駆動部64及びZ方向駆動部65を駆動させ、ワークWを切削加工する(ステップS07)。ステップS07において、補正した加工データに基づいてワークWを切削加工するので、X方向(ワークWの切込み量)及びZ方向(刃先Taの送り量)について、工作機械100(本体部1)の熱変形の影響が排除されてワークWが加工され、ワークWを所望の寸法に正確に切削加工を行うことができる。
ワークWの切削加工が終了した場合、把持爪11aによる保持を解除し、ワークWを主軸10から取り出す。なお、主軸10に対するワークWの搬入または搬出は、不図示のワーク搬送装置によって行ってもよい。なお、ワーク搬送装置によりワークWの搬入から搬出までの一連の動作は、例えば、制御装置2からの指示によって行われてもよく、また、作業者のマニュアル操作によって行われてもよい。ワーク搬送装置によりワークWの搬入から搬出までの一連の動作が制御装置2で行うことにより、ワークWの加工を自動で行うことができる。
このように、第1実施形態に係る工作機械100は、第3基準位置P3から刃物Tの刃先Taまでの熱変位量である刃物熱変位量ΔHを推定し、主軸台熱変位量ΔS及び刃物台熱変位量ΔTに刃物熱変位量ΔHを加えて補正値ΔXとして主軸台4と刃物台5との相対移動量を演算するため、刃物台5の端面50aから刃先Taまでの部分の熱変形の影響についても補正することができる。これにより、主軸軸心AX1と刃物Tの刃先Taとの間の切り込み方向について、熱変形による距離の変動を適正に補正することにより、ワークWを高精度に加工することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る工作機械200について、図面を用いて説明する。図7は、第2実施形態に係る工作機械200の一例を示す平面図である。また、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略または簡略化する。図7に示す工作機械200は、タレット150が刃物台5に対してY方向に移動可能となっている。工作機械200は、図7に示すように、計測装置107を備える。この計測装置107は、基準フレーム170及び刃物側位置計測装置172の構成が第1実施形態とは異なっている。
基準フレーム170は、支柱部77と、水平部178とを有する。水平部178は、支柱部77に連結され、Z方向に沿って直線状に配置される。水平部178は、支柱部77にいわゆる片持ち状に配置される。水平部178は、+Z側の端部が刃物台5の−Z側の位置に配置される。水平部178の+Z側の端部には、後述の第2スケール172a及び第2読み取り装置72bを挿入するための貫通孔が形成される。貫通孔は、X方向に水平部178を貫通して設けられる。
刃物側位置計測装置172は、第2スケール172aと、第2読み取り装置72bと、を有する。第2スケール172aは、例えば、第1実施形態と同様に、例えば、断面が円形状、楕円形状、または多角形状の棒状の部材であり、X方向に沿って直線状に配置される。第2スケール172aは、刃物台5の−Z側に配置され、固定部172cにより刃物台5の−Z側の側面5bに固定される。第2スケール172aは、刃物台5に熱変形が生じた場合、刃物台5の熱変形に伴って変位する。
この構成において、演算部22(図1参照)は、主軸台熱変位量ΔS、刃物台熱変位量ΔT、及び刃物熱変位量ΔHを補正値ΔXとして、主軸台4と刃物台5とのX方向についての相対移動量を演算する。また、第2実施形態では、第2スケール172aと刃物TとのZ方向の距離が第1実施形態の構成に比べて小さくなっており、取付位置熱変位量Δθtの影響は無視することができる。また、固定部172cの固定位置5c(第2スケール172aの−X側端部の位置)は、タレット150の端面150a(第3基準位置P3)からX方向に所定長さ離れている。したがって、刃物熱変位量の値は、上記のΔHに加えて、第3基準位置P3と固定位置5cとの間の部分のX方向の熱変位量ΔLtを考慮する必要がある。
この場合、演算部22は、第1温度測定器73が測定した第1温度から熱変位量ΔLtを推定することができる。第1温度と熱変位量ΔLtとの間には所定の相関関係がある。第1温度と熱変位量ΔLtとの相関関係は、実験やシミュレーションなどにより予め求められる。この相関関係は、例えば、第1温度の値を変数とする熱変位量ΔLtの関数データとして、記憶部23に記憶される。この場合、演算部22は、記憶部23に記憶される関数データを用いて、第1温度の値に対応する熱変位量ΔLtを算出する。また、演算部22は、第1実施形態と同様に、第2温度測定器74が測定した第2温度に基づいて、主軸軸心熱変位量Δθsを推定する。
演算部22は、熱変位量ΔLtを補正値に含めて主軸台4と刃物台5との相対移動量である補正値ΔXを演算することができる。この場合、補正値ΔXは、
ΔX=ΔS+ΔT+(ΔH+ΔLt)+Δθs
で表される。
このように、第2実施形態に係る工作機械200は、固定位置5cから刃物Tの刃先Taまでの熱変位量である刃物熱変位量(ΔH+ΔLt)を推定し、主軸台熱変位量ΔS及び刃物台熱変位量ΔTに刃物熱変位量(ΔH+ΔLt)を加えて補正値ΔXとして主軸台4と刃物台5との相対移動量を演算するため、第3基準位置P3から固定位置5cまでの部分の熱変形の影響についても補正することができる。これにより、主軸軸心AX1と刃物Tの刃先Taとの間の切り込み方向について、熱変形による距離の変動を適正に補正することにより、ワークを高精度に加工することができる。
また、工作機械200は、水平部178の+Z側の端部が刃物台5の−Z側の位置に配置され、第2スケール172aが、刃物台5の−Z側に配置され、固定部172cにより刃物台5の−Z側の側面5bに固定されるため、タレット150がY方向に移動する際に水平部178及び第2スケール172aに干渉することを回避できる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、主軸軸心熱変位量Δθsを第2温度から推定しているが、これに限定されない。例えば、工作機械の運転開始から経過時間によって主軸軸心熱変位量Δθsを推定してもよい。図8は、運転開始からの時間と主軸軸心熱変位量Δθsとの関係を示すグラフである。図8の横軸は運転開始からの時間を示し、縦軸は主軸軸心熱変位量Δθsの値を示す。図8に示すように、主軸軸心熱変位量Δθsは、運転開始から所定値まで増加する。このような運転開始からの時間と主軸軸心熱変位量Δθsとの関係は、例えば、運転開始からの時間を変数とする主軸軸心熱変位量Δθsの関数データとして、記憶部23に記憶されてもよい。この場合、演算部22は、記憶部23に記憶される関数データを用いて、運転開始からの時間に対応する主軸軸心熱変位量Δθsを算出してもよい。
上記したように、主軸軸心熱変位量Δθsの値が工作機械の運転開始からの時間との間で相関関係を有している場合は、運転開始からの時間を計測して、この時間に対応する主軸軸心熱変位量Δθsを算出すればよいので、第2温度を計測する第2温度測定器74が不要となる。これにより、本体部1の装置構成及び制御装置2の処理を簡略化することができる。
また、上記した実施形態に加えて他のセンサを設けてもよい。図9は、上記した実施形態に他のセンサを加えた例を示しており、本体部1Aを+Z側から見た場合を示す図である。図9に示す本体部1Aでは、主軸軸心AX1と第1読み取り装置71bとの間の位置に、主軸軸心熱変位量Δθsを検出可能なセンサ80が配置される。センサ80としては、上記した実施形態に記載の主軸側位置計測装置71と同様の構成であってもよいし、光センサ等を用いた構成であってもよい。
なお、センサ80の位置が主軸軸心AX1と第1読み取り装置71bとの中点である場合、センサ80による検出値によって主軸軸心熱変位量Δθsの2分の1の値を直接検出することができる。これにより、主軸軸心熱変位量Δθsを第2温度測定器74により計測された第2温度から推定した推定値に代えて、主軸軸心熱変位量Δθsを計測した計測値を用いることができる。したがって、演算部22は、補正値ΔXを精度よく演算することができる。
また、上記した実施形態では、主軸台熱変位量ΔS、刃物台熱変位量ΔT、及び刃物熱変位量ΔHに、主軸軸心熱変位量Δθs及び取付位置熱変位量Δθtの一方または双方を加えて補正値ΔXを演算する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、演算部22において、主軸軸心熱変位量Δθs及び取付位置熱変位量Δθの一方または双方を補正値ΔXに加えずに相対移動量を演算してもよい。
また、上記した実施形態では、第1温度測定器73が第1温度としてクーラントが流通する配管32の温度を測定する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、刃物T及びホルダ51の温度との間で相関関係のある部分であれば、他の部分の温度を測定する構成であってもよい。また、例えば平行2軸旋盤において、左側の主軸に対して上記した第1実施形態を適用し、右側の主軸に対して第2実施形態を適用してもよい。
P1・・・第1基準位置
P2・・・第2基準位置
P3・・・第3基準位置
T・・・刃物
Ta・・・刃先
W・・・ワーク
AX1・・・主軸軸心
1、1A・・・本体部
2・・・制御装置
3・・・ベッド
4・・・主軸台
5・・・刃物台
5b・・・側面
5c・・・固定位置
6・・・移動装置
7、107・・・計測装置
10・・・主軸
11・・・チャック駆動部
11a・・・把持爪
50、150・・・タレット
50a、150a・・・端面
22・・・演算部
30・・・冷却装置
32・・・配管
70,170・・・基準フレーム
71・・・主軸側位置計測装置
71a・・・第1スケール
71b・・・第1読み取り装置
72、172・・・刃物側位置計測装置
72a、172a・・・第2スケール
72b・・・第2読み取り装置
73・・・第1温度測定器
74・・・第2温度測定器
75・・・第3温度測定器
76・・・第4温度測定器
80・・・検出装置
100、200・・・工作機械
172c・・・固定部

Claims (9)

  1. ワークを把持するチャックを先端に有する主軸を回転自在に支持した主軸台と、
    刃物が取付けられる刃物台と、
    前記主軸台及び前記刃物台を、前記主軸の半径方向に相対的に移動可能に設置したベッドと、
    前記刃物台又はその近傍の温度を測定する第1温度測定器と、
    前記ベッドにおける第1基準位置に対する前記主軸半径方向の主軸軸心位置を計測する主軸側位置計測装置と、
    前記ベッドにおける第2基準位置に対する前記主軸半径方向の前記刃物台の第3基準位置を計測する刃物側位置計測装置と、
    前記主軸側位置計測装置で計測された前記主軸軸心位置に基づいて前記主軸台の熱変位量である主軸台熱変位量を算出し、前記刃物側位置計測装置で計測された前記第3基準位置に基づいて前記刃物台の熱変位量である刃物台熱変位量を算出し、前記第1温度測定器で測定された第1温度に基づいて前記第3基準位置から前記刃物の加工先端までの熱変位量である刃物熱変位量を推定し、前記主軸台熱変位量、前記刃物台熱変位量、及び前記刃物熱変位量を補正値として前記主軸台と前記刃物台との相対移動量を演算する演算部と、を含む工作機械。
  2. 前記主軸台及び/又はその近傍の温度を1つ以上測定する第2温度測定器を備え、
    前記主軸側位置計測装置は、前記第1基準位置において前記ベッドに固定されかつ前記主軸半径方向に延びる第1スケールと、前記主軸台に固定されかつ前記主軸軸心を通る前記主軸半径方向に垂直な平面上を読み取り基準とする第1読み取り装置とを有し、
    前記演算部は、前記第2温度測定器が測定した第2温度から前記読み取り基準に対する前記主軸軸心の熱変位量である主軸軸心熱変位量を推定し、前記主軸軸心熱変位量を前記補正値に含めて前記主軸台と前記刃物台との相対移動量を演算する、請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記刃物台の端面に設けられかつ前記刃物が固定されるタレットを備え、
    前記刃物側位置計測装置は、前記第1基準位置において前記ベッドに固定されかつ前記主軸半径方向に延びる第2スケールと、前記刃物台に固定されかつ前記第3基準位置を読み取り基準とする第2読み取り装置とを有し、
    前記演算部は、前記第1温度測定器が測定した第1温度から第3基準位置に対するタレットの刃物取付位置の熱変位量である取付位置熱変位量を推定し、前記取付位置熱変位量を前記補正値に含めて前記主軸台と前記刃物台との相対移動量を演算する、請求項1又は請求項2に記載の工作機械。
  4. 前記第1基準位置及び前記第2基準位置は、前記主軸半径方向に対して互いに固定され、かつ前記主軸半径方向に対して互いに熱変位量が等しい位置である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の工作機械。
  5. 前記刃物による前記ワークの加工部位に、温度管理されたクーラントを吐出する冷却装置を備え、
    前記第1温度測定器は、前記クーラントの温度を測定する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の工作機械。
  6. 前記第1温度測定器は、前記クーラントが通過する配管の温度を測定することにより前記クーラントの温度を測定する、請求項5に記載の工作機械。
  7. 前記刃物側位置計測装置において、前記第2スケールは、前記第3基準位置が前記タレットの端面と一致して、前記刃物台に挿入して設けられる、請求項3に記載の工作機械。
  8. 前記刃物側位置計測装置において、前記第2読み取り装置は、前記刃物台の側面に固定される、請求項3に記載の工作機械。
  9. ワークを把持するチャックを先端に有する主軸を回転自在に支持した主軸台と、
    刃物が取付けられる刃物台と、
    前記主軸台及び前記刃物台を、前記主軸の半径方向に相対的に移動可能に設置したベッドと、
    前記刃物台又はその近傍の温度を測定する第1温度測定器と、
    前記ベッドにおける第1基準位置に対する前記主軸半径方向の主軸軸心位置を計測する主軸側位置計測装置と、
    前記ベッドにおける第2基準位置に対する前記主軸半径方向の前記刃物台の第3基準位置を計測する刃物側位置計測装置と、を備える工作機械を用いた加工方法であって、
    前記主軸側位置計測装置で計測された前記主軸軸心位置に基づいて前記主軸台の熱変位量である主軸台熱変位量を算出することと、
    前記刃物側位置計測装置で計測された前記第3基準位置に基づいて前記刃物台の熱変位量である刃物台熱変位量を算出することと、
    前記第1温度測定器で測定された第1温度に基づいて前記第3基準位置から前記刃物の加工先端までの熱変位量である刃物熱変位量を推定することと、
    前記主軸台熱変位量、前記刃物台熱変位量、及び前記刃物熱変位量を補正値として前記主軸台と前記刃物台との相対移動量を演算することと、を含む、加工方法。
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