JP4078366B2 - 工作機械の熱変位補正装置 - Google Patents

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Description

本発明は工作機械の熱変位を補正して被加工物の加工精度を高めるようにした熱変位補正技術に関する。
工作機械は主に金属製の被加工物の不要部分を切断、研削その他の方法によって除去して被加工物を所要の寸法に加工する機械であり、マシニングセンタ、旋盤など種々のものがある。これらの工作機械はベースやおよびベッドなどの固定構造物と、固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物とがあり、移動構造物としては、ベッドに移動自在に装着される往復台およびベースに移動自在に装着されるワークテーブルなどがある。例えば、旋盤においては、ベッドとこれに固定されて被加工物を回転する主軸が組み込まれる主軸台とがそれぞれ固定構造物を構成し、ベッドに主軸の方向に往復動自在に装着される往復動台と、この往復動台に横方向に往復動自在に装着される刃物台とがそれぞれ移動構造物を構成する。一方、被加工物の加工方式としては、旋盤のように被加工物を回転させ、加工工具を刃物台の移動により被加工物に対して送り移動させる方式、およびマシニングセンタのように加工工具を回転させ、被加工物と加工工具の一方または双方を相対的に送り移動させる方式などがあり、送り移動は電動モータや油圧モータなどを有する駆動機構に制御装置から制御信号を送ることにより行われている。
これらの工作機械には、被加工物を回転駆動したり、移動構造物を駆動したりするための駆動源として複数の電動モータや油圧モータが搭載されており、これらが発熱源となって工作機械の構造物を加熱することになる。また、加工工具が被加工物の不要部分を切除する際にもその部分が発熱源となって構造物を加熱することになる。そのため、電動モータなどの駆動源が過加熱されるのを防止するために冷却油や冷却空気を駆動源に供給しており、加工工具が加工時に過加熱されるのを防止するために切削液などを冷却液として加工工具に吹き付けるようにしているが、加工の進行に伴って固定構造物や移動構造物は発熱源の影響を受けて温度が変動することになる。固定構造物や移動構造物の温度が変動すると、加工工具と被加工物との送り移動による相対位置が設定位置よりもずれることになり、加工精度を高めることができなくなる。
そのため、従来では、特許文献1,2に記載されるように、工作機械の熱変位を起こす部位に温度センサを取り付け、温度センサにより得られた温度値とその部位の熱変位との相関を重回帰解析などにより演算し、加工工具と被加工物との相対位置が設定位置となるように、移動構造物の送り移動を補正するようにしている。
特開平6−226590号公報 特開平11−58179号公報
しかしながら、複数の構造物の集合体である工作機械の変位は複雑であり、複数の構造物の熱変位が複合されて加工工具と被加工物との送り移動の相対的位置が設定位置よりもずれることになるので、設定位置のずれに影響を与えることになる熱変位の発生部位を的確に特定することは困難である。そのため、繰り返して熱変位実験を行って、温度センサを取り付けるべき部位を特定する必要があり、その特定には多くの時間を要している。
ところで、工作機械の各構造物に熱変位を発生させる熱源としては、工作機械に組み込まれて被加工物を回転駆動したり移動構造物を駆動したりするためのモータ、および加工工具や被加工物に吹き付けてこれらを冷却するために工作機械に収容されている切削液などの液体があり、発熱源の発生部位は限られており、その特定は比較的容易である。そこで、従来では、加工工具を回転駆動する電動モータを冷却する冷却油の温度を測定する温度センサと、切削液の温度を測定する温度センサとからの測定信号をも加味して補正値を演算することが行われているが、補正精度には限度があった。
この理由は、例えば切削液の温度と切削液により加熱される固定構造物であるベッドの温度との間には、切削液である液体と金属材料からなる構造物とでは比熱、熱伝導率および熱膨張率などの熱的特性が相違するので、比例関係がないからであると考えられる。つまり、切削液の温度データに基づいて固定構造物の熱変位を演算するようにすると、液位と金属とでは熱的特性が相互に相違するので、両者は非線形の関係となってしまい、切削液の温度データに基づいて送り移動を補正したのでは、加工精度を高めることができないと考えられる。
そこで、本発明者は発熱源の温度を直接測定することなく、固定構造物や移動構造物の比熱、熱伝導率および熱膨張率などの熱的特性に対応した等価の熱的特性を有する等価金属体に切削液をさらしたり、駆動源の過加熱を防止する冷却液をさらしたりすることにより、これら流体からの熱伝達による等価金属体の温度変化は、固定構造物や移動構造物の温度変化に対応していると考えて、等価金属体の温度データに基づいて駆動機構による送り移動を制御する技術の検討を行った。その結果、切削液や冷却液などの流体の温度データに基づいて駆動機構を補正制御することなく、等価金属体の温度データに基づいて駆動機構を補正制御すると、高精度で送り移動量を制御することができることが判明した。
本発明の目的は、工作機械の構造物の熱変位を補正して被加工物を高精度に加工し得るようにすることにある。
本発明の工作機械の熱変位補正装置は、固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、前記加工工具に冷却を供給して前記加工工具を冷却する冷却媒体供給手段と、前記加工工具に供給され加熱された冷却液が流入する収容室内の冷却液にさらされて設けられ、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明の工作機械の熱変位補正装置は、固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、工作機械の発熱源に形成された冷却通路に冷却液を供給して前記発熱源を冷却する冷却媒体供給手段と、前記冷却通路を通過して加熱された冷却液を案内する排出管に取り付けられて冷却液にさらされるとともに、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明の工作機械の熱変位補正装置は、固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、工作機械の発熱源に形成された冷却通路に冷却空気を供給して前記発熱源を冷却する冷却媒体供給手段と、前記冷却通路を通過して加熱された冷却空気が流入する空気室に冷却空気にさられて設けられ、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、工作機械を構成する固定構造物や移動構造物を熱変形させる要因となる発熱源を冷却するための冷却液などの冷却媒体を、構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体にさらすようにして、加工工具の被加工物に対する送り移動を等価金属体の温度に基づいて補正するようにしたので、送り移動量を高精度で制御することができ、被加工物の加工精度を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1(A)は工作機械である旋盤を示す正面図であり、図1(B)は同図(A)の平面図であり、図1(C)は同図(A)の右側面図である。
旋盤10は、図1に示すように、鋳鉄や鋳鋼などの金属製の固定構造物であるベッド11と、このベッド11に固定され固定構造物である主軸台12とを有しており、主軸台12には被加工物Wを把持するチャック13が設けられた主軸14が組み込まれている。ベッド11の長手方向つまりZ軸方向に敷設されたガイドレール15には、これに沿って直線往復動自在にキャリッジつまり往復台16が装着されている。この往復台16にはガイドレール15に対して直角方向つまりX軸方向にガイドレール17が敷設され、このガイドレール17に沿って直線往復動自在に横送り台18が装着されており、往復台16および横送り台18はそれぞれ移動構造物となっている。横送り台18には加工工具である刃物Tが着脱自在に取り付けられる刃物台19が固定されている。
旋盤10においては、主軸14を回転駆動させた状態のもとで、往復台16をZ軸方向に移動させるとともに横送り台18をX軸方向に移動させて刃物Tを被加工物Wに対して送り移動することにより、被加工物Wは刃物Tにより切削加工される。ベッド11には往復台16をZ軸方向に駆動するためのZ軸サーボモータが設けられ、往復台16には横送り台18をX軸方向に駆動するためのX軸サーボモータが設けられている。
切削加工時には刃物Tが被加工物Wの不要部分を切除する際にこれらの部分から発熱することから、発熱部の冷却と切削性の確保のために、刃物台19に設けられたノズル21から切削液が加工工具である刃物Tと被加工物Wとに冷却液つまり冷却媒体として塗布され、塗布された切削液はベッド11内に設けられた液タンク22内に戻される。
一方、主軸台12内には主軸14を回転駆動するために電動モータ23が組み込まれている。この電動モータ23はロータが主軸14に設けられ、主軸14の外側にステータが配置されたビルドインタイプのモータであり、ステータの外側には電動モータ23を冷却するための冷却媒体としての冷却油を案内する螺旋状の冷却通路24が設けられている。
図2(A)は刃物Tと被加工物Wとに切削液を供給するための切削液供給装置を示す概略図であり、図2(B)は電動モータ23に冷却油を供給するためのモータ冷却装置を示す概略図である。
図2(A)に示すように、液タンク22内に設けられたストレーナ25とノズル21とを接続する供給管26には、電動モータ27により駆動されるポンプ28が設けられ、液タンク22内の切削液はポンプ28によりノズル21から塗布される。液タンク22には塗布された切削液が戻されるとともに、新たな切削液が補充されるようになっている。
図2(B)に示すように、電動モータ23はロータとしての主軸14の外側に配置されるステータ23aを有し、その外側には冷却油を案内する冷却通路24が螺旋状に連なって設けられている。ベッド11内には冷却油を収容する油タンク31が設けられており、油タンク31内に設けられたストレーナ32と冷却通路24の入口33とを接続する供給管34には、電動モータ35により駆動されるポンプ36が設けられている。冷却通路24を通過して電動モータ23を冷却した冷却油を油タンク31に戻すために、出口37と油タンク31との間には排出管38が設けられている。
図2(A)に示すように、ベッド11内にはノズル21から刃物Tと被加工物Wとに供給されてこれらにより加熱された後の切削液が流入する収容室40が設けられており、この収容室40内には、ベッド11を構成する金属材料の比熱、熱伝導率および熱膨張率などの熱的特性に対応した熱的特性を有し、ベッド11と同種の金属材料からなる等価金属体41が配置され、等価金属体41は収容室40内に流入する切削液にさらされるようになっている。固定構造物としてのベッド11は、刃物Tなどにより加熱された後の切削液により熱的影響を受けてその材料の熱伝導率に応じた速度で内部に熱が伝わるとともに外部に放熱されて温度変化が起こり、さらに熱膨張率に応じた変形量で熱膨張収縮することになる。等価金属体41はベッド11と同種の金属材料により形成されているので、加熱された後の切削液により変化するベッド11の温度に線形に対応して温度変化することになる。等価金属体41にはその温度を検出するために温度センサ42が設けられており、検出温度は制御部に送られる。
図2(B)に示すように、ベッド11内に配置された等価金属体41aは排出管38に取り付けられており、等価金属体41aに形成された貫通孔を冷却油が流れることにより等価金属体41aは冷却油にさらされるようになっている。固定構造物としての主軸台12は、冷却通路24内を流れて加熱された後の冷却油により熱的影響を受けてその材料の熱伝導率に応じた速度で内部に熱が伝わるとともに外部に放熱されて温度変化が起こり、さらに熱膨張率に応じた変形量で熱膨張収縮することになる。等価金属体41aは主軸台12と同種の金属材料により形成されているので、加熱された後の冷却油により変化する主軸台12の温度に線形に対応して温度変化することになる。等価金属体41aにはその温度を検出するために温度センサ42aが設けられており、温度センサ42と同様に、検出温度は制御部に送られる。
図2(C)は電動モータ23を冷却するためのモータ冷却装置の変形例を示す概略図である。このモータ冷却装置は主軸台12に形成された冷却通路24aに冷却空気を供給するようにしており、冷却通路24aの入口33aに接続される供給管43にはモータ44により駆動されるコンプレッサ45を有しており、フィルタ50を通って浄化された外部空気は冷却通路24aに供給される。冷却通路24aの出口37aには冷却通路24aを通過して電動モータ23を冷却した冷却空気を案内する排出管46が接続されており、この排出管46は等価金属体41bが収容された空気室47に連通し、空気室47内に流入した空気は等価金属体41bに熱を伝達した後に外部に排出される。等価金属体41bにはこれの温度を検出するために温度センサ42bが取り付けられている。このように、モータ冷却装置における冷却媒体としては、油などの液体でも空気などの気体でもいずれでも良い。
図1に示す主軸台12には、図2(B)に示すように冷却油を案内する冷却通路24と、図2(C)に示すように冷却空気を案内する冷却通路24aとがそれぞれ設けられており、図1に示すように、冷却油にさらされる等価金属体41aと冷却空気にさらされる等価金属体41bとが旋盤10に設けられ、それぞれの温度を温度センサ42a,42bによりそれぞれ検出するようにしている。ただし、冷却空気と冷却油の一方にさらされる等価金属体の温度を検出するようにしても良い。
等価金属体41,41aに対する冷却媒体としての冷却油や冷却液のさらし方としては、図2(A)に示すように冷却媒体に等価金属体41をほぼ浸すようにしても良く、または一部を浸すようにしても良い。さらには図2(B)に示すように等価金属体41aに冷却媒体が貫通する孔を形成するようにしても良く、図2(C)に示すように等価金属体41bに冷却媒体を吹き付けるようにしても良い。図示するように構造物から独立した金属ブロックが等価金属体として使用されている。
図1に示すように、ベッド11にはその温度を検出するために温度センサ48が取り付けられるとともに、往復台16にはその温度を検出するために温度センサ49が取り付けられており、それぞれの検出温度は制御部に送られる。
図3はチャック13に取り付けられた被加工物Wに対する刃物Tの送り移動、つまり被加工物Wと刃物Tとの相対位置を制御するための制御機構を示すブロック図であり、図2(A)に示す温度センサ42、図2(B)に示す温度センサ42a、図2(c)に示す温度センサ42b、および図1(A)にそれぞれ示す温度センサ48,49からの検出温度に対応した電気信号は、マイクロプロセッサ、RAM,ROMなどを有する制御部51にそれぞれA/D変換器を介して送られるようになっている。制御部51からの制御信号はNC装置52に送られ、NC装置52からの作動信号によって、横送り台18をX軸方向に駆動するX軸サーボモータ53と、往復台16をZ軸方向に駆動するZ軸サーボモータ54とが駆動されるようになっている。
制御部51に設けられたROMには、それぞれの温度センサ42,42a,42b,48,49により得られた温度データに応じて工作機械の各部位の熱変位を補正する熱変位補正式や温度補正テーブルなどが格納されており、それぞれの検出値に基づいてサーボモータ53,54の駆動が制御され、被加工物Wに対する刃物Tの位置が設定位置となるように刃物Tの位置が補正される。
図4は(A)は工作機械であるマシニングセンタを示す正面図であり、図4(B)は同図(A)の右側面図である。マシニングセンタ10aは鋳鉄や鋳鋼などの金属製の固定構造物であるベース61を有し、ベース61の長手方向つまりY軸方向およびこれに直角の方向であるX方向にそれぞれ移動自在のコラム62と、被加工物Wを支持するとともに符号Rで示すように回転自在となったワークテーブル63とがベース61に設けられており、コラム62およびワークテーブル63はそれぞれ移動構造物となっている。コラム62には加工工具Tを回転駆動する主軸頭64が上下方向に移動自在となっており、主軸頭64内には加工工具Tが装着されるチャック65を駆動するために電動モータが組み込まれている。さらに、コラム62には多数の加工工具を保持するマガジンユニット66が回転自在に装着され、自動工具交換機(ATC)67がコラム62に取り付けられている。
このようなマシニングセンタ10aにおいても、上述した旋盤10と同様に、発熱源である加工工具Tと被加工物Wとの接触部に塗布された切削液に等価金属体をさらすようにし、等価金属体に取り付けられた温度センサからの温度データを制御部に送るようにしている。さらに、主軸頭64内に組み込まれた電動モータを冷却する冷却油や冷却空気に等価金属体をさらすようにし、等価金属体に取り付けられた温度センサからの温度データを制御部に送るようにしている。これらの温度センサに加えて、ベース61の温度を検出する温度センサとコラム62の温度を検出する温度センサからの温度データも制御部に送られるようになっており、これらの温度データに基づいて被加工物Wに対する加工工具Tの送り移動が補正される。
図5(A)は本発明の熱変位補正を示す特性線図であり、図5(B)は比較例による熱変位補正を示す特性線図である。図5(A)おける実線Aは、旋盤を用いて被加工物を加工しているときにおける主軸先端面の軸方向の熱変位の一例を示す。一方、図5(A)における一点鎖線Bは、実線と同一条件で旋盤を作動させた状態のもとで、本発明の熱変位補正を行った場合における主軸先端面の位置補正結果を示す。本発明においては、図2(C)に示すように、主軸台12に形成された冷却通路24aにコンプレッサ45から冷却空気を供給するようにし、この冷却空気にされされた等価金属体41bの温度を温度センサ42bにより検出し、この温度センサ42bによる検出温度と、他の温度センサ42,42a,48,49からの検出温度とに基づいて得られた温度データにより熱変位補正を行った。
主軸先端面が熱により変位すると被加工物Wの加工部位も主軸先端面により同一の変位量だけ変位するので、加工工具Tで被加工物Wを加工する場合には、加工工具Tが補正された位置となるように加工工具Tをそれぞれのサーボモータ53,54により補正された位置となるように送りが制御される。
図5(B)における実線Aは、図5(A)の実線Aと同一の主軸先端面の軸方向の熱変位を示し、破線Cは、図2(C)に示す旋盤の主軸台12の温度を測定し、その検出温度と、他の温度センサ42,48,49からの検出温度とに基づいて得られた温度データにより熱変位補正を行った場合における主軸先端面の補正結果を比較例として示す。
図5(A)における一点鎖線Bと図5(B)における破線Cとの比較から分かるように、等価金属体41bの温度に基づいて熱変位補正を行うと、実際の主軸14の先端面の熱変位と補正値との偏差が、主軸台12の温度を検出する場合よりも小さくなり、被加工物の加工精度を向上させることができる。破線Cで示すように、主軸台12の温度を測定して熱変位補正を行うと、主軸台12の温度と主軸14の軸方向熱変位量との間の相関関係は、冷却空気と主軸14の軸方向熱変位量との間の相関関係よりも低いので、高精度の熱変位補正を行うことができないが、本発明によれば冷却空気によりさらされる等価金属体41bの温度データに基づいて熱変位補正することにより、図5(A)に示されるように、高精度の熱変位補正を行うことができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、工作機械としては、上述したように旋盤10およびマシニングセンタ10aに本発明を適用した場合について説明したが、これらの工作機械以外に中ぐり盤、フライス盤、形削り盤、研削盤など種々の工作機械があり、固定構造物と、これに対して移動自在に装着される移動構造物と、移動構造物を駆動するモータなどの発熱源とを有する工作機械であれば、本発明を適用することができる。また、マシニングセンタ10aの場合には、ワークテーブル63を回転駆動するためのモータを冷却する冷却媒体にさらされる等価金属体を設けてこれの温度を検出して制御部に検出データを送るようにしても良い。
(A)は工作機械である旋盤を示す正面図であり、(B)は同図(A)の平面図であり、(C)は同図(A)の右側面図である。 (A)は刃物と被加工物とに切削液を供給するための切削液供給装置を示す概略図であり、(B)は電動モータに冷却油を供給するためのモータ冷却装置を示す概略図であり、(C)は電動モータを冷却するためのモータ冷却装置の変形例を示す概略図である。 被加工物と刃物との相対位置を制御するための制御機構を示すブロック図である。 (A)は工作機械であるマシニングセンタを示す正面図であり、(B)は同図(A)の右側面図である。 (A)は本発明の熱変位補正を示す特性線図であり、(B)は比較例による熱変位補正を示す特性線図である。
符号の説明
10 旋盤
10a マシニングセンタ
11 ベッド
12 主軸台
14 主軸
16 往復台
18 横送り台
21 ノズル
22 液タンク
23 電動モータ
24 冷却通路
31 油タンク
41,41a,41b 等価金属体
42,42a,42b 温度センサ(温度検出器)
51 制御部(制御手段)
T 加工工具(刃物)
W 被加工物

Claims (3)

  1. 固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、
    前記加工工具に冷却を供給して前記加工工具を冷却する冷却媒体供給手段と、
    前記加工工具に供給され加熱された冷却液が流入する収容室内の冷却液にさらされて設けられ、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、
    当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、
    当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
  2. 固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、
    工作機械の発熱源に形成された冷却通路に冷却液を供給して前記発熱源を冷却する冷却媒体供給手段と、
    前記冷却通路を通過して加熱された冷却液を案内する排出管に取り付けられて冷却液にさらされるとともに、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、
    当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、
    当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
  3. 固定構造物と当該固定構造物に対して移動自在に装着される移動構造物と当該移動構造物を駆動して加工工具を被加工物に対して相対移動させる駆動機構とを有し、前記加工工具により被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装置であって、
    工作機械の発熱源に形成された冷却通路に冷却空気を供給して前記発熱源を冷却する冷却媒体供給手段と、
    前記冷却通路を通過して加熱された冷却空気が流入する空気室に冷却空気にさられて設けられ、前記構造物を構成する金属材料に対応した熱伝導率および熱膨張率を有し前記金属材料と同種の金属材料からなる等価金属体と、
    当該等価金属体の温度を検出する温度検出器と、
    当該温度検出器により検出された温度データに基づいて、前記加工工具と前記被加工物との相対移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
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