JP5543368B2 - リン酸オセルタミビルの多形相 - Google Patents

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Description

本発明は、リン酸オセルタミビルの多形相、特にウィルス性ノイラミニダーゼの強力な阻害剤である(3R,4R,5S)−5−アミノ−4−アセチルアミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートに関する。
J. C. Rohloff et al., J. Org. Chem. 63, 1998, 4545-4550、およびWO 98/07685に開示されている式(I):
Figure 0005543368
で示される(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートは、ウィルスノイラミニダーゼに対して強力な阻害活性を有する。それは、インフルエンザの予防薬または治療剤であるTamiflu(登録商標)の活性成分として用いられている。
本発明は、医薬製剤を製造するのに適切な(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの特定の結晶形態またはその非晶質形態に基づく。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの特定の結晶形態を、本明細書で「結晶形態A」、「結晶形態B」および「結晶形態C」と呼ぶ。
式(I)の化合物の結晶形態A、これは、約5.1、約12.4、約13.0、約14.3、約15.2、約16.1、約19.0、約19.3、約20.3、約20.6、約21.6、約24.4および約26.3よりなる群から選択される少なくとも3個、好ましくは5個、より好ましくは7個のX線回折ピーク[2θ(°)で示す]を含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する。
形態Aの単結晶構造解析を行った。表1にいくつかの結晶構造データを示す。形態Aを用いて集めた実験に基づく粉末X線回折パターンは、結晶構造データから算出した理論的パターンに一致する。分子の絶対配置を、単結晶構造データから決定した。形態Aの結晶充填は、プロトン化したアミノ基の3個のホスファート分子への水素結合を表す。アミド酸素は、別のホスファート分子から水素を受け取る。したがって、ホスファート分子はまた、活性分子の4個の異なる分子との水素結合を形成する。それは結晶c−軸と平行の強固な結合カラムである水素結合パターンをもたらす。結晶構造の熱エリプソプロットを図8に示す。
Figure 0005543368
単結晶構造解析では、単結晶をゴニオメータのループ内に載せ、周囲条件で測定した。あるいはまた、結晶を、測定の間、窒素流の中で冷却した。STOE(Darmstadt)のSTOEイメージングプレート回折システム(IPDS)でデータを集めた。この場合、波長0.71ÅのMo放射線を、データ収集に用いた。データをSTOE IPDS-ソフトウエアで処理した。結晶構造を解明し、標準的結晶学ソフトウエアで精緻化した。この場合、Bruker AXS(Karlsruhe)のプログラムShelXTLを用いた。
あるいはまた、シンクロトロン放射光を、データ収集に用いた。単結晶をループ内に載せ、窒素流の中で100Kに冷却した。Swiss Light SourceビームラインX10SAで、MAR CCD225検出器を用いて、シンクロトロン放射光でデータを集め、データをプログラムXDSで処理した。結晶構造を解明し、標準的結晶学ソフトウエアで精緻化した。この場合、プログラムShelXTL(Bruker AXS、Karlsruhe)を用いた。
市販されている医薬Tamifluの医薬活性成分は、結晶形態Aである。
本発明は、式(I)の化合物の新規な結晶形態Bに関し、これは、約5.3、約6.0、約7.4、約12.1、約12.8、約13.6、約16.1、約18.0、約18.7、約21.4、約23.8および約24.3よりなる群から選択される少なくとも3個、好ましくは5個、より好ましくは7個のX線回折ピーク[2θ(°)で示す]を含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する。
本発明は、式(I)の化合物の新規な結晶形態Cにも関し、これは、約4.5、約9.1および約13.6よりなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは2個、より好ましくは3個のX線回折ピーク[2θ(°)で示す]を含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する。
本発明は、式(I)の化合物の非晶質形態にも関し、これは、ブラッグ回折ピークを欠く粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。この非晶質形態は、また、1個以上の非晶質ハローを含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられる。
本発明は、式(I)の化合物の上述した結晶形態または上述した非晶質、および薬学的に許容しうる賦形剤を含む医薬組成物にも関する。
本発明は、治療活性物質として、特にインフルエンザウィルスの阻害、特にウィルス性または細菌性ノイラミニダーゼの選択的な阻害のための治療活性物質として用いる、式(I)の化合物の上述した結晶形態または上述した非晶質形態にも関する。
本発明は、インフルエンザウィルスの阻害、特にウィルス性または細菌性ノイラミニダーゼの選択的な阻害のための医薬を製造するための、式(I)の化合物の上述した結晶形態または上述した非晶質形態の使用にも関する。
特記しない限り、以下の定義は、本明細書において本発明を述べるのに用いる種々の用語の意味および範囲を説明し定義するために述べられる。
「非晶質形態」または「非晶質」とは、ブラッグ回折ピークを示さない材料を意味する。非晶質材料のXRPDパターンは、また1個以上の非晶質ハローにより特徴づけられる。
ブラッグの法則は、結晶性材料の回折を、式:
2d sinθ=nλ
(式中、d=結晶内の隣接する対の面の間の垂直距離(d−間隔)、θ=ブラッグ角、λ=波長、およびn=整数)で表わす。
ブラッグの法則が満たされていれば、反射ビームは同位相であり、構造的に干渉するため、ブラッグ回折ピークがX線回折パターン中に確認される。ブラッグ角以外の入射角では、反射ビームは位相不一致であり、相殺的干渉またはキャンセルが起こる。非晶質材料はブラッグの法則を満たさず、X線回折パターンにブラッグ回折ピークが確認されない。
「非晶質ハロー」とは、非晶質物質の粉末X線回折パターンにおける、ほぼ鐘形の回折極大である。非晶質ハローのFWHMは、原理的に、結晶性材料のピークのFWHMよりも大きい。
「FWHM」は、半値全幅、つまりXRPDパターンに現れるピークのその半分の高さのところの幅を意味する。
「形態A」は、本明細書において、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態Aに対する略語として用いる。
「形態B」は、本明細書において、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態Bに対する略語として用いる。
「形態C」は、本明細書において、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態Cに対する略語として用いる。
「IR」は、本明細書において、赤外分光法の頭字語として用いる。IRスペクトルは、2枚の塩化ナトリウム板の間の、サンプル約5mgおよびわずかのヌジョールのヌジョール懸濁液のフィルムとして、FTIR分光計を用いて、透過率で記録した。分光計は、Nicolet(商標)20SXBまたは同等品(分解能2cm-1、32以上の共加算走査、MCT検出器)である。
「XRPD(本明細書において粉末X線回折の頭字語として用いる)」X線回折パターンを、STOE STADI P回折計(CuKα線、第1モノクロメーター、位置感知検出器、角度範囲3〜42°(2θ)、合計測定時間約60分)を用いて、周囲条件、透過配置で記録した。サンプルを調製し、物質をさらに加工(例えば粉砕またはふるい分け)せずに分析した。
「賦形剤」および「薬学的に許容しうる賦形剤」とは、薬物物質以外の、疾病を治療および/または予防するものではない、不活性な薬学的に許容しうる成分を意味する。希釈剤、界面活性剤、湿潤剤、バインダー、潤滑剤、崩壊剤、キャリヤ、充填剤などであるがこれらに限定されない賦形剤は、薬学的に許容しうるグレードであることは理解されよう。
「薬学的に活性な薬物物質」および「薬物物質」は、互いに置き換え可能で、疾病を治療および/または予防するものである薬学的に活性な成分であることを示すのに用いられる。
「微粉砕」とは、適切なミル、例えばエアジェットミルを用いて、単一の薬物物質の粒子サイズを低下させるプロセスを意味する。
「共微粉砕」とは、少なくとも1種の薬物物質および少なくとも1種の賦形剤を含む混合物を適切なミル中で微粉砕して、粒子サイズが低下した薬物物質を得ることを意味する。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態AのXRPD(粉末X線回折)パターンを示す。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5− アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態AのIR(赤外分光法)スペクトルを示す。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態BのXRPD(粉末X線回折)パターンを示す。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態BのIR(赤外分光法)スペクトルを示す。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態CのXRPD(粉末X線回折)パターンを示す。 縮尺を替えた図5.1のXRPD(粉末X線回折)パターンである。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの非晶質形態のIR(赤外分光法)スペクトルを示す。 (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの非晶質形態のXRPD(粉末X線回折)パターンを示す。 形態Aの結晶構造の熱エリプソプロットを示す。
本発明の結晶形態および非晶質形態は、例えば、以下に示す一般的な調製手順により調製することができる。
一般的な調製手順
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態Aの調製。
形態Aは、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、アセトン、ベンジルアルコール、メチルシクロヘキサンなど、さらにはこれらの混合物、または他の低極性溶媒中で、自然発生するもしくは種晶添加した溶液媒介相変態により、または自然発生するもしくは種晶添加した結晶化により、形成することができる。形態Aは、乾燥後に得られる。実施容易性は、化合物の不純物プロフィールおよび溶媒の選択に影響されうる。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態Bの調製。
形態Bは、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルを、リン酸に加え、過飽和した溶液を可能な限り速く50〜−40℃に冷却する(種晶添加せず)ことにより形成することができる。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの形態Cの調製。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態Cは、次の工程:
工程a)式(I)の化合物を水に溶解させ、pH4.0に調節する工程;
工程b)溶液を滅菌された0.22μm膜を通して無菌ろ過する工程;
工程c)溶液を滅菌し非発熱性処理したバイアルに無菌充填し、バイアルを滅菌した栓を用いて栓をする工程;
工程d)蒸気滅菌凍結乾燥機中で溶液を凍結乾燥する工程
を含む方法により形成することができる。
注射用医薬製剤は、式(I)の化合物の結晶形態Cの薬学的に有効な量、および薬学的に許容しうるキャリヤを含むことができる。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの非晶質形態の調製。
有機溶媒、例えばジクロロメタン、酢酸エチルまたは他の有機溶媒中の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの溶液を蒸発させると、通常泡として非晶質固体状態をもたらす。
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの非晶質形態は、驚くべきことに、当初は結晶性の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートのサンプルを、メノウボールミル中で微粉砕することにより得ることもできる。
あるいはまた、非晶質形態は、有機溶媒、例えばエタノール中の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの溶液を、噴霧乾燥することにより得られる。
本発明の結晶形態および非晶質形態を、医薬として、例えば経腸的、非経口的、または局所的投与用医薬製剤の形態で用いることができる。これらは、例えば、経口的に、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣丸、硬質および軟質のゼラチンカプセル、液剤、エマルションまたは懸濁剤の形態で、直腸から、例えば座薬の形態で、非経口的に、例えば注射液または懸濁剤または輸液の形態で、あるいは局所的に、例えば軟膏、クリームまたは油の形態で投与することができる。経口投与が好ましい。
医薬製剤の製造は、当業者によく知られた方法で、記載した式(I)の化合物の結晶形態または非晶質を、場合により他の治療上有用な物質と組み合わせて、適切な、無毒の、不活性な、治療上適合性の固体または液体のキャリヤ材料、および、望ましいならば、通常の薬学的添加物と共に、ガレヌス製剤投与形態にすることにより行うことができる。
キャリヤ材料は、無機キャリヤ材料ばかりでなく、有機キャリヤ材料もまた適切である。したがって、例えば、ラクトース、コーンスターチまたはこれらの誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩を、錠剤、被覆錠剤、糖衣丸および硬質ゼラチンカプセル用キャリヤ材料として用いることができる。軟質ゼラチンカプセル用の適切なキャリヤ材料は、例えば、植物油、ワックス、脂肪ならびに半固体および液体ポリオールである(しかし、活性成分の性質によっては、軟質ゼラチンカプセルの場合、キャリヤを必要としない)。液剤およびシロップ剤製造用の適切なキャリヤ材料は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖である。注射液用の適切なキャリヤ材料は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロールおよび植物油である。座薬用の適切なキャリヤ材料は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂肪および半液体または液体ポリオールである。局所的配合物用の適切なキャリヤ材料は、グリセリド、半合成および合成グリセリド、水素化油、液体ワックス、流動パラフィン、液体脂肪アルコール、ステロール、ポリエチレングリコール、ならびにセルロース誘導体である。
通常の安定剤、防腐剤、湿潤剤および乳化剤、コンシステンシー改良剤、フレーバー改良剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝物質、可溶化剤、着色剤、およびマスキング剤、および酸化防止剤が、薬学的添加物として考えられる。
式(I)の化合物の記載した結晶形態または非晶質の投与量は、制御される疾患、患者の年齢と個々の病状、および投与方法に依存して広い範囲内で変えることができ、当然、各特定の場合で個々の要件に合わせる。成人の患者に対して、1日の投与量約1〜1000mg、特に約1〜100mgが考えられる。疾患の重度および正確な薬物動態学的プロフィールに依存して、本発明の結晶形態または非晶質形態を、1回または数回の1日の投与単位で、例えば1〜3回の投与単位で、投与することができる。
医薬製剤は、式(I)の化合物の結晶形態または非晶質形態を約1〜500mg、好ましくは1〜100mg含有するのが好都合である。
式(I)の化合物の結晶形態または非晶質形態を含有する医薬製剤を製造するために、これらの材料を多くの場合微粉砕する。微粉砕は、製薬工業において、薬物物質の粒子サイズを低減するために、通常用いる周知のプロセスである。微粉砕の理由は通常、薬物物質のバイオアベイラビリティを高めること、またはその全体的な技術的加工性を改良することである。
実施例
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。しかし、これらはいかなる意味でも本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
式(I)の化合物の結晶形態Aの調製
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファート0.2gを、表1に記載した量の溶媒中で、それが溶解するまで加熱還流した。次に溶液を油浴中でゆっくり放冷し、次いで約4℃で冷蔵庫に一晩置いた。全てのサンプルを、真空中、室温で乾燥させた。
得られた結晶を分析し、サンプルと対照物質の間に有意な差異は見られなかった。
Figure 0005543368
結晶形態Aの特性決定
形態Aは、
−約:約5.1、12.4、13.0、14.3、15.2、16.1、19.0、19.3、20.3、20.6、21.6、24.4および26.3に特性ピーク[2θ(°)で示す]を有する、CuKα線を用いて得た粉末X線回折パターンにより{用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する}
−約:3352、3162、1724、1663、1623、1551、1376、1337、1263、1173、1132、1071、1027、953、880、854、731cm-1に鋭いバンドを有する赤外スペクトルにより(用語「約」は、本発明の文脈において、波数の測定値に±3cm-1の不確かさが存在することを意味する)
特徴づけることができる。
実施例2
式(I)の化合物の結晶形態Bの調製
機械撹拌器を備え窒素パージした1000mLのガラス反応器中で、リン酸16.9gをエタノール700mLと混合し、50〜55℃に加熱した。エタノール250mL中の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステル45.8gの溶液を、リン酸溶液に、3〜5分内で撹拌しながら加えた。得られた透明な溶液を、種晶添加せずに1時間内で−40℃に冷却した。得られた結晶懸濁液を−40℃で一晩ゆっくり撹拌した。懸濁液をろ過し、アセトン240mLおよびn−ヘプタン300mLで洗浄した。次に結晶を、真空中、最高温度50℃で乾燥させた。微細な白色の結晶形態Bを53g得た(収率88.6%に相当)。
結晶形態Bの特性決定
形態Bは、
−約:約5.3、6.0、7.4、12.1、12.8、13.6、16.1、18.0、18.7、21.4、23.8および24.3に特性ピーク[2θ(°)で示す]を有するCuKα線を用いて得た粉末X線回折パターンにより{用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する}
−約:3347、3172、2719、1728、1713、1661、1619、1552、1377、1335、1293、1262、1245、1199、1132、1072、1031、968、953、938、875、851、730cm-1に鋭いバンドを有する赤外スペクトルにより(用語「約」は、本発明の文脈において、波数の測定値に±3cm-1の不確かさが存在することを意味する)
特徴づけることができる。
実施例3
式(I)の化合物の結晶形態Cの調製
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートを注射用水に溶解することにより、バルク溶液を調製し、その後0.1N塩酸(HCl)でpH4.0にpH調整した。
凍結乾燥前に、バルク溶液を、窒素圧力約0.5bar(最大0.7bar)を用いて、滅菌された0.22μm膜フィルターを通して無菌ろ過した。ろ液を、滅菌し非発熱性処理した、例えばホウケイ酸ガラスからなる容器に集めた。
無菌条件下、滅菌したバルク溶液を、滅菌し非発熱性処理したバイアルに充填し、次にこれを滅菌した栓を用いて凍結乾燥位置(lyo-position)で栓をし、続いて、蒸気滅菌凍結乾燥機中で凍結乾燥させた。
凍結乾燥後、バイアル上部空間を無菌ろ過した窒素で覆い、バイアルを完全に栓をし、最後にアルミニウムキャップで密閉した。
次の凍結乾燥サイクルを開発した。
Figure 0005543368
結晶形態Cの特性決定
形態Cは、
−約:約4.5、9.1および13.6に特性ピーク[2θ(°)で示す]を有するCuKα線を用いて得た粉末X線回折パターンにより{用語「約」は、本発明の文脈において、2θ(°)の測定値に±0.2[2θ(°)で示す]の不確かさが存在することを意味する}
特徴づけることができる。
実施例4
医薬製剤中での結晶形態Cの使用
Figure 0005543368
容器:3mLフリントガラス、タイプI、13mmガラスバイアル管
閉めるもの:ブチルゴム(D777-1)、FPEラミネート加工した栓、アルミニウムフリップオフ13mm
凍結乾燥品を注射用滅菌水1.1mLで溶解させた。この再構成した溶液は、60、100および120mg/mL含有する。
実施例5
式(I)の化合物の非晶質形態の調製
(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶性サンプルを、メノウボールミル中で45分間粉砕し、次いで分析した。
非晶質形態の特性決定
非晶質形態は、
−そのXRPDパターンにおけるブラッグ回折ピークの欠如により
−約:約3257、3180、3070、2401、1717、1658、1555、1301、1246、1199、1127、1063、1030、943、875、735cm-1にバンドを有する赤外スペクトルにより(用語「約」は、本発明の文脈において、波数の測定値に±3cm-1の不確かさが存在することを意味する)
特徴づけることができる。

Claims (10)

  1. 4.5±0.2、9.1±0.2および13.6±0.2よりなる群から選択される少なくとも2個のX線回折ピーク[2θ(°)で示す]を含む粉末X線回折パターンにより特徴づけられる、(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態C。
  2. 粉末X線回折パターンが、4.5±0.2、9.1±0.2および13.6±0.2よりなる群から選択される3個のX線回折ピーク[2θ(°)で示す]を含む、請求項1記載の結晶形態C。
  3. 治療活性物質として用いるための、請求項1または2記載の結晶形態。
  4. ウィルスノイラミニダーゼに関連する疾患の治療および/または予防のための治療活性物質として用いるための、請求項1または2記載の結晶形態。
  5. ウィルスノイラミニダーゼに関連する疾患の治療用および/または予防用の医薬の製造のための、請求項1または2記載の結晶形態の使用。
  6. 請求項1または2記載の結晶形態、および薬学的に許容しうるキャリヤを含む、医薬組成物。
  7. 請求項1または2記載の結晶形態Cを薬学的に有効な量、および薬学的に許容しうるキャリヤを含む、注射用医薬製剤。
  8. pH3.0〜7.0の水溶液に再構成させた、請求項1または2記載の化合物の結晶形態Cを60〜120mg含有する、請求項7記載の注射用医薬製剤。
  9. 前記水溶液がpH3.5〜4.5を有する、請求項8記載の注射用医薬製剤。
  10. 請求項1記載の(3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートの結晶形態Cの製造方法であって、
    工程a)
    (3R,4R,5S)−4−アセチルアミノ−5−アミノ−3−(1−エチル−プロポキシ)−シクロヘキサ−1−エンカルボン酸エチルエステルホスファートを水に溶解させ、pHを4.0に調節する工程;
    工程b)
    溶液を滅菌された0.22μm膜を通して無菌ろ過する工程;
    工程c)
    溶液を、滅菌し非発熱性処理したバイアルに無菌充填し、バイアルを滅菌した栓を用いて栓をする工程;
    工程d)
    蒸気滅菌凍結乾燥機中で溶液を凍結乾燥する工程
    を含む、方法。
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