JP5543139B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを65質量部以上含有するゴム組成物の製造方法であって、(a)ゴム成分を素練りする工程、(b)上記(a)工程により素練りしたゴム成分と、カーボンブラックとを混練する工程、(c)上記(b)工程により混練した混練物に、オイル、ステアリン酸およびワックスからなる群より選択される少なくとも1種を液体の状態で配合する工程を含むゴム組成物の製造方法に関する。
以上の通り、本発明によれば、カーボンブラックを高充填したゴム組成物の混練工程において、予めゴム成分の素練りを行い、さらに、ゴム成分とカーボンブラック等の固体の成分をある程度混練した後に、ワックス、ステアリン酸、オイルを液体の状態でゴム成分へ配合することにより、ゴム組成物中に含まれる各成分の分散性を確保でき、また、ゴム組成物の粘度を次工程で使用可能な値まで低減させることが可能となるため、再練り工程を行う必要が無くなり、カーボンブラックを高充填したゴム組成物の混練工程の生産性を向上できる。
また、本発明では、再練り工程を行う必要が無いため、再練り工程を行うことによる粘度の大幅な低下を防止できる。さらに、カーボンブラックによる発熱が大きい場合には、混練工程の制御が困難となり、ゴムの分解が起こりやすくなってしまうが、本発明では、混練工程の制御を容易に行うことができ、ゴムの分解等を抑制することができ、ゴム組成物の品質の低下を防止できる。
(a)工程では、例えば、混練機を用いて、ゴム成分が素練りされる。混練機としては従来公知のものを使用でき、例えば、バンバリーミキサーやニーダーなどの密閉型設備が挙げられる。なお、以下に述べる練り工程でも同様の混練機を使用できる。
ここで、本発明における混練機のモーターにかかる負荷電力とは、ゴムを練る(素練り又は混練する)際に、モーターの駆動に要する電力(kw)のことである。
(b)工程では、例えば、混練機を用いて、上記(a)工程により素練りしたゴム成分と、カーボンブラック等の成分が混練される。
なお、カーボンブラックのよう素吸着量は、JIS K 6217に基づいて測定される。
なお、本発明において平均粒子径は数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4の測定方法によって求められる。
(c)工程では、上記(b)工程により混練した混練物に対して、オイル、ステアリン酸およびワックスからなる群より選択される少なくとも1種が液体の状態で混練機に投入される。本発明の効果が充分に得られる点から、オイル、ステアリン酸、ワックスの全量を(c)工程において、液体の状態で投入することが好ましい。
(d)工程では、上記(c)工程の終了後、又は、上記(c)工程においてワックス等の投入を行いながら、例えば、混練機を用いて、上記(c)工程によりオイル等が配合されたゴム組成物が混練される。
SBR:住友化学(株)製のSBR1502
BR: 宇部興産(株)製のBR150B
NR:TSR20
カーボンブラックN351:東海カーボン(株)製のシーストNH(よう素吸着量70mg/g、数平均粒子径29nm、DBP127ml/100g)
カーボンブラックISAF:三菱化学(株)製のダイアブラックI(よう素吸着量118mg/g、数平均粒子径23nm、DBP114ml/100g)
カーボンブラックFEF:東海カーボン(株)製のシーストSO(よう素吸着量44mg/g、数平均粒子径43nm、DBP115ml/100g)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華2種
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
老化防止剤:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX、6PPD)
アロマオイル:ジャパンエナジー(株)製のNC300S
ワックス:日本精鑞(株)製オゾエース
硫黄:日本乾硫(株)製オイル処理硫黄
加硫促進剤:精工化学(株)製のTBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(素練り工程)
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼社製バンバリーミキサーBB240(有効容積240L)11Dローターを用いて、以下に示すローター回転数、積算負荷電力でゴム成分の素練りを行った。
実施例1:ローター回転数20rpm、素練り工程における積算負荷電力0.025kw・h/kg
実施例2:ローター回転数30rpm、素練り工程における積算負荷電力0.025kw・h/kg
実施例3:ローター回転数6rpm、素練り工程における積算負荷電力0.025kw・h/kg
(混練り工程)
(ベース練り工程)
表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼社製バンバリーミキサーBB24011Dローターを用いて、充填率を72%に設定し、素練り工程により素練りしたゴム成分と、オイル、ステアリン酸、ワックス、硫黄及び加硫促進剤以外の材料をベース練り工程開始後の積算負荷電力が0.045kw・h/kgに達するまで混練りし、混練り物を得た(ローター回転数60rpm)。
次に、得られた混練り物にオイル(温度100℃)、ステアリン酸(温度100℃)、ワックス(温度100℃)を液体状態で投入し、オイル等投入後の積算負荷電力0.045kw・h/kgに達するまで混練りし、混練り物を得た(ローター回転数60rpm)。
(仕上げ練り工程)
次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、ゴム温度が100℃になるまで練り込み(ローター回転数30rpm、仕上げ練り工程開始後の積算負荷電力0.05kw・h/kg)、未加硫ゴム組成物を得た。
(ベース練り工程)
比較例1〜6では、表1に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼社製バンバリーミキサーBB24011Dローターを用いて、充填率を72%に設定し、ゴム成分(素練りを行っていないゴム成分)と、硫黄及び加硫促進剤以外の材料をゴム温度が150℃に達するまで混練りし、混練り物を得た(ローター回転数60rpm)。
(再練り工程)
比較例2、3では、ベース練り工程で得られた混練り物をゴム温度が140℃になるまで再練りを行い(ローター回転数60rpm)、混練り物を得た。
(仕上げ練り工程)
次に、ベース練り工程又は再練り工程で得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、ゴム温度が100℃になるまで練り込み(ローター回転数30rpm)、未加硫ゴム組成物を得た。
実施例および比較例で得られた未加硫ゴム組成物を40mm角に切り出し、165℃10分の加硫時間にてプレス加硫を行い加硫ゴムシートを作成した。
得られた未加硫ゴム組成物及び加硫ゴムシート用いて、以下の試験を行った。
練り工程に要した時間(実施例では、素練り工程開始〜仕上げ練り工程終了までの時間、比較例では、ベース練り工程開始〜仕上げ練り工程終了までの時間)を比較例1の練り工程に要した時間を100として指数表示した。指数が大きいほど、生産性が良好であることを示す(90以上で合格)。
未加硫ゴム組成物を縦・横4cm、厚み7〜9mmに切り抜き、(株)島津製作所製ムーニービスコメーターSMV−202を用いて、130℃の条件下で、測定開始から1分間予熱し、その後4分経過した時点でのゴム組成物の粘度を測定した。
実施例1の粘度を100として指数表示した。指数が大きい程、粘度が高いことを示す。
ISO11345に準じて加硫ゴムシートのカーボン分散度を測定した。数値が大きいほど、カーボンブラックの分散性が優れていることを示す。数値90%以上を合格と判断した。
Claims (5)
- ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを65質量部以上含有するゴム組成物の製造方法であって、
(a)ゴム成分を素練りする工程、
(b)前記(a)工程により素練りしたゴム成分と、カーボンブラックとを混練する工程、
(c)前記(b)工程により混練した混練物に、オイル、ステアリン酸およびワックスを液体の状態で配合する工程
を含み、
前記カーボンブラックのよう素吸着量が70mg/g以上であり、
前記ゴム成分がスチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含み、
再練り工程を含まないゴム組成物の製造方法。 - 前記(c)工程において配合されるオイル、ステアリン酸およびワックスの温度が、それぞれ、80〜120℃である請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
- 更に、(d)前記(c)工程の終了後、又は、前記(c)工程において前記成分の投入を行いながら、前記成分が配合されたゴム組成物を混練する工程を含む請求項1又は2記載のゴム組成物の製造方法。
- (a)工程の開始から終了までに、混練機のモーターにかかるゴム成分1kgあたりの積算負荷電力が0.005〜0.05kw・h/kg、
(b)工程の開始から終了までに、混練機のモーターにかかるゴム成分1kgあたりの積算負荷電力が、0.025〜0.075kw・h/kg、
(d)工程の開始から終了までに、混練機のモーターにかかるゴム成分1kgあたりの積算負荷電力が、0.025〜0.075kw・h/kgである請求項3記載のゴム組成物の製造方法。 - 前記ゴム組成物が、ゴム成分100質量部に対して、オイルの含有量が3〜30質量部、ステアリン酸の含有量が0.5〜7質量部、ワックスの含有量が0.5〜7質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
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