JP5542167B2 - 空調システムと空調機室 - Google Patents
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Description
したがって、現在のセントラル空調システムでは、高気密・高断熱住宅の優れた熱的性能を生かしきれていない。
特許文献1に開示の技術では、ダクト毎に設置した送風機の回転速度を変えることができる。これにより、各部屋に吹き出される風量調整を行い部屋ごとの空調を実現できる。
すなわち、本発明の空調システムは、空調機が設置される空調機室と、この空調機室に形成され、少なくとも空調機室外の空気である外部空気を取り込む外部空気取込口と、空調機室に設置され、前記外部空気取込口から取り込んだ外部空気で空調機室の空調を行う空調機と、一方の口が前記空調機室の側に設置され、他方の口が住宅の各部屋に導かれた複数のダクトと、これら複数のダクトにそれぞれ設けられた送風機とを備える空調システムである。そして、前記空調機室は、前記空調機室において、前記空調機および前記複数の送風機を、前記空調機を最上位にして上下方向に設置して備えた上で、前記空調機室の壁面のうち、前記空調機に対向する対向側壁に形成された前記外部空気取込口と、前記空調機の下方であって前記送風機よりも上方側に位置して、前記空調機と前記複数の送風機を上下に画成するよう配置された画成板と、前記外部空気および前記空調機から流出する流出空気が前記ダクトの前記一方の口へ向けて送気される前に、前記外部空気および前記流出空気を混合する混合部とを有し、該混合部は、前記画成板と前記対向側壁との間に形成された通風空間とされている。
本発明の空調システムの好適な実施形態を図面参照して説明する。
図1は、本発明に係るセントラル空調システムS1が適用された高気密・高断熱住宅(以下、住宅)を示す。
高気密とは、住宅内に隙間風が入ってこないようにすることであり、高断熱とは、住宅の外部と接する部分である外壁・屋根・窓などから、冬なら暖気を逃さないように、夏なら熱が入らないようにすることである。それ故、高気密・高断熱住宅は、気密性を高めるために、微細な隙間も埋められる。また、断熱性を高めるために断熱性能の高い断熱材が使用され、窓には複層ガラス入りサッシなどが使用される。
セントラル空調システム(以下、空調システム)S1は、このような住宅の優れた熱的性能を生かすためのものである(図1、2参照)。
すなわち、図1〜3からわかるように、空調システムS1は、屋根裏に設置された空調機室1と、空調機室1に設置されるエアコン2と、外気OAを空調機室1に送気する送気ダクト31と、空調機室1の外の空気(屋根裏の空気)を空調機室1に取り込む外部空気吸込口としての屋根裏空気吸込口400と、空調機室1に向けて流れる外気OA、及びエアコン2から流出する空気(以下、エアコン空気)を空調機室1内で混合させて、空調機室1の空気温度を均一にするための混合部33と、混合部33によって均一温度にされた空気を住宅の各部屋にそれぞれ導く複数の給気ダクト3と、空調機室1内において各給気ダクト3にそれぞれ設けられた給気送風機4と、屋外に室内空気を排気するための排気ダクト32と、を備える。
空調機室1は、住宅と同様、高気密・高断熱の造りにされている。これにより、エアコン2の吹き出し口から流出した冷気や暖気が、空調機室1の外に漏れにくくなる。さらに、空調機室1には、送気ダクト31の一方の口が嵌合されている外気導入口311と、通風口としてのガラリ15と、点検口17(図2、3、5参照)とを備える。
外気導入口311は、送気ダクト31を経由した外気、例えば屋外の空気を空調機室1に取り入れるための開口である。その開口面には、大気中の粉塵を取り除く図示しないフィルターがはめ込まれている。このため外気は、フィルターを経由で空調機室1内に流入する。
ガラリ15は、羽根板を平行に取り付けた扉であり、図1に示すように、空調機室1に設けられる。ガラリ15は、空調機室1から給気ダクト3を経て、一旦空調機室1の外に出た空気を住宅経由で空調機室1に戻すために住宅内に設けられた通路と連通する。当該通路を符号47で示し、連通路と呼称する。ガラリ15が連通路47とつながることで、空調機室1から流出した給気SAは、住宅の居室42に流入する。その後、居室内の空気は、住宅のホール46に導入され、ガラリ15とつながっている連通路47経由で、空調機室1にリターンする。
図2、3、5に示すように、点検口17は、空調機室1に設置してあるエアコン2その他の機器の保守・点検のため、点検者が空調機室1に対して出入りするドアである。
参考例では、点検口17は、空調機室1の一側壁111(図2参照)と、垂れ壁6(図5参照)に形成されている。
図1〜5、8に示すに、エアコン2は、空調機室1の一側壁111に設置されている。そして、エアコン2は、送気ダクト31から空調機室1に流入した外気で空調機室1の空調を行う。エアコン2は、冷暖房機能を併せもつ家庭用に市販されているもので十分である。エアコン2は、空調機室1の内部に設置される室内機21と、空調機室1の外部に設置される室外機22と、室内機21及び室外機22の間でフロンガスを循環させるために配管される図示しない配管パイプと、を備える。
図1に示すように、図1の屋根裏付近には送気ダクト31が設けられている。
送気ダクト31は、その他方の口が、図2に示すように、家屋の外壁に形成された外気取込口10に取り付けられている。そして、送気ダクト31には、他方の口から前記一方の口の側に向けて、外気導入部である深形フード121、大気中の粉塵を取り除くフィルターユニット13、冷暖房時に発生する熱ロスを抑制するため熱エネルギーを回収する熱交換気ユニット14が、順番に設けられている。
図1〜3(特に図3)に示すように、エアコン2の上部には、屋根裏空気吸込口400が設けられている。
なお、屋根裏空気吸込口400及び外気導入口311のことを空調機室外の空気を取り込むための外部空気取込口ということにする。
図3〜5、7及び8に示すように、混合部33は、空調機室1の天井面に垂れ壁6を垂下することで画成されてなる区切り部屋の一方の部屋である。垂れ壁6は、図3及び4からわかるように、空調機2及び送風機4の間に位置する。混合部33には、送気ダクト31経由で外気を取り込む外気導入口311が位置する(図1〜3参照)。
図3、4で示す垂れ壁6は、外気導入口311から取り込まれる外気、屋根裏空気吸込口400から取り込まれる屋根裏空気及びエアコン空気が、前記給気ダクト3へ向けて送気される前に、それらの空気の進行を阻んで混在させるために設置された壁である。垂れ壁6により混合部が形成されるので、垂れ壁6を混合部形成部材ということにする。
さらに、垂れ壁6は、空調機室1に垂下されたときに、空調機室1の床面16との間に30〜50センチ程度の狭路である通風空間Sを形成できるような寸法とされている。
加えて、空調機室1の一壁面111に形成されている点検口17に対向して、垂れ壁6にも点検口17が形成されている。
図3、4で示すように、給気送風機4は、垂れ壁6と平行になるように天井面から垂下されている給気送風機取り付け壁44に取り付けられている。給気送風機取り付け壁44は格子状をしている。そして、この参考例では、給気送風機4が、給気送風機取り付け壁44に対し、離隔状態の上下2段で、片段6基の合計12基が取り付けられている。給気送風機取り付け壁44のうち、垂れ壁6のある側と反対の側は、給気ダクト3の配管スペース102として確保されている。
給気送風機4は、直流(DC)モータを駆動源として回転される。その設置数は、空調対象の居室42の数と同じである。そして、空調機室1の壁面12bや床面16には、空調対象の居室42の数だけ給気ダクト3の通る図示しない通し孔が形成されている。これらの通し孔に給気ダクト3を通してから、給気ダクト3の一方の口を各給気送風機4に接続する。
図1に示すように給気ダクト3は、空調機室1で空調された空気を住宅の各部屋に供給する。
給気ダクト3は、低圧損フレキシブルダクトであることが望ましい。そして、その中を通風するにあたり、空気に抵抗(通風抵抗)ができるだけ掛からないよう、給気ダクト3は、直線的に又は大きな曲率を有する曲線形状で配管されている。
図1及び図2に示す給気SAは、空調機室1内で、送気ダクト31経由で空調機室1に流入した外気OA、屋根裏空気及びエアコン空気の三者が、混在してできた空気である。また、居室42等における吹出しグリル50の設置場所は、負荷の大きな窓側が好ましい。
図1及び図2に示す排気ダクト32は、屋外に向けて家屋の空気を排気するダクトである。
排気ダクト32は、例えば洗濯機・乾燥機・アイロンなどの設備をまとめて設置した部屋であるユーティリティ34や床下36などに設置された排気グリル40を排気の流れの基点にしている。
次にこのような構成のセントラル空調システムS1を使用した場合の空気の循環について主として図3及び4を参照して述べる。
給気送風機4を直流モータで駆動すると、空調機室1を起点とした空気の循環を生じる。同時にエアコン2も駆動しエアコン空気が混合部33に流出する。給気送風機4が直流モータで駆動しているので、屋根裏空気吸込口400及び外気導入口311からもそれぞれ屋根裏空気及び外気OAが空調機室1に向けて流出するようになる。
居室42に送られた給気SAは、その後、居室42の通気口43からホール46を経由した後、ユーティリティ34にその通気口35を介して至る。その後、給気SAは、室内空気RAとして、ユーティリティ34に設置された排気グリル40を基点としてそこから排気ダクト32を通り、熱交換気ユニット14を経由して、排気EAとして屋外に排出される。
次に作用効果について述べる。
空調システムS1によれば、既述のように、エアコン空気、屋根裏空気及び外気OAはいずれも、垂れ壁6に衝突し、その後跳ね返るため、これら3空気は混合しあう。
このように本発明によれば、日照時間その他の外部環境の影響を受けても部屋毎に極端な温度差のない住宅環境にすることができる。
よって、本システムS1にあっては、例えば女性、老人、幼児など、温度の変化に敏感な利用者に対して、特に望ましい住環境を提供できる。
次に図9〜図14を参照して実施例を説明する。
実施例が既述した参考例と異なるのは、混合部および給気送風機4の設置箇所のみである。
よって相違する箇所のみ説明し、上記の参考例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
給気送風機取り付け壁44には、図9〜11に示すように、給気送風機4が3段の離隔状態で一段5基の給気送風機4(図13参照)が合計15基設置されている。これ以外に給気送風機取り付け壁44の最上部には、エアコン2も設置されている。
なお、前記画成板である板状材61を蛇腹によって伸縮可能にしてもよい。
また、実施例では、点検口17は、空調機室1の対向側壁111A(図12、13参照)に形成されている。
この他の参考例が既述した参考例と異なるのは、エアコン2の設置位置及び屋根裏空気吸込口400の大きさである。
よって、既述した参考例と相違する箇所のみ説明することとし、既述した参考例と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
図20〜図22は、本システムが採用された場合とそうでない場合を比較して示す図である。
なお、図21において領域a2は、エアコン2の電源をオン/オフしている状態である。
つまり、改善後最高温度であったNO.4の給気送風機4からの送気による居室の温度25.2℃と、改善後最低温度であったNO.3の給気送風機4からの送気による居室の温度24.8℃との温度差が0.4℃であることから、本システムが採用された方が、図20及び21で比較説明したように、各部屋の室内摂氏温度の差が小さいということである。
また、図20及び21の横軸の各測定時(2分毎)の最大温度の平均値も2.7℃から0.4℃と大きく改善されたことがわかる。
1 空調機室
2 エアコン(空調機)
3 給気ダクト(ダクト)
4 給気送風機
6 垂れ壁(画成板)
10 外気取込口
11 排出口
12b 壁面
13 フィルターユニット(フィルター)
14 熱交換気ユニット
15 ガラリ
16 床面
17 点検口
21 室内機
22 室外機
31 送気ダクト
32 排気ダクト
33 混合部
34 ユーティリティ
35 通気口
36 床下
40 排気グリル
41 排気口
42 居室
43 通気口
44 給気送風機取り付け壁
46 ホール
47 連通路
50 吹出しグリル(送風機)
61 板状材(水平板、画成板)
100 分散室
102 配管スペース
111 側壁(空調機室の一壁面)
111A 対向側壁
121 深形フード
122 深形フード
300 混合部
311 外気導入口(外部空気取込口)
400 屋根裏空気吸込口(外部空気取込口)
401 粉塵除去フィルター
EA 排気
OA 外気
RA 室内空気
SA 給気
S 通風空間
a1,a2 グラフ上の領域
Claims (5)
- 空調機が設置される空調機室と、
この空調機室に形成され、少なくとも空調機室外の空気である外部空気を取り込む外部空気取込口と、
前記空調機室に設置され、前記外部空気取込口から取り込んだ外部空気で前記空調機室の空調を行う空調機と、
一方の口が前記空調機室の側に設置され、他方の口が住宅の各部屋に導かれた複数のダクトと、
これら複数のダクトにそれぞれ設けられた送風機とを備える空調システムであって、
前記空調機室は、
前記空調機室において、前記空調機および前記複数の送風機を、前記空調機を最上位にして上下方向に設置して備えた上で、
前記空調機室の壁面のうち、前記空調機に対向する対向側壁に形成された前記外部空気取込口と、
前記空調機の下方であって前記送風機よりも上方側に位置して、前記空調機と前記複数の送風機を上下に画成するよう配置された画成板と、
前記外部空気および前記空調機から流出する流出空気が前記ダクトの前記一方の口へ向けて送気される前に、前記外部空気および前記流出空気を混合する混合部とを有し、
該混合部は、前記画成板と前記対向側壁との間に形成された通風空間とされている空調システム。 - 前記画成板は、折りたたみ可能な板状材である請求項1に記載の空調システム。
- 前記画成板は、前記板状材が、ヒンジを軸として、水平状態と垂直状態との間で位置する請求項1または請求項2に記載の空調システム。
- 前記画成板は、前記板状材が蛇腹によって伸縮可能である請求項2に記載の空調システム。
- 住宅に設置され、空調機を有する空調機室であって、
前記空調機が接続される側壁と、
該側壁に対向し、空調機室外の空気である外部空気を取り込む外部空気取込口が形成された対向側壁と、
前記空調機よりも下方側に位置し、ダクトが接続される送風機と、
前記空調機の下方であって前記送風機よりも上方側に位置して、前記空調機と前記複数の送風機を上下に画成するよう配置された画成板と、
前記外部空気および前記空調機から流出する流出空気が前記ダクトへ向けて送気される前に、前記外部空気および前記流出空気を混合する混合部とを有し、
該混合部は、前記画成板と前記対向側壁との間に形成された通風空間とされている空調機室。
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