JP5541599B2 - 引手 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の間仕切り戸、押入れの戸(襖)、下駄箱の戸またはクローゼットの戸などを含む引き戸に装着される引手に関する。
従来、引き戸の厚さ方向に貫通形成された貫通孔(取付孔)にワンタッチ操作で装着できる引手として、たとえば特許文献1に記載のものが提供されている。この引手を図14,図15に示す。これらの図において、引手50は、表面に指掛凹部51,52を有するケーシング53,54と、このケーシング53,54の表面周囲に張り出しされるフランジ部55,56を設けた一組の引手本体57,58を備え、これら引手本体57,58には引き戸59の厚み方向に突出する係入体60,61と、これら係入体60,61の係入を受容する受穴62,63とがそれぞれ対向して設けられており、引き戸59に穿設した貫通孔64の両面からケーシング53,54を嵌挿するワンタッチ操作によって、係入体60,61と受穴62,63とが弾性係止して、一組の引手本体57,58が一体に結合された状態で引き戸59に装着される。各ケーシング53,54の指掛凹部51,52は、その奥端部が底壁65によって塞がれるとともに、底壁65とフランジ部55,56とが周壁66を介して連続している。
特許第3874446号公報
前記特許文献1に記載されている引手50を構成する一組の引手本体57,58における各ケーシング53,54の指掛凹部51,52は、その奥端部が底壁65によって塞がれるとともに、底壁65とフランジ部55,56とが周壁66を介して連続している構造であるため、樹脂成形によって製造される。ところが、樹脂成形によって製造された引手50は、上品な光沢と重厚な質感の発揮度が低いので、両者の相乗効果による高級感の醸し出しが期待できず、豪華な引き戸への装着が制限される問題点を有する。
一方、前記一組の引手本体57,58を、プレス装置による金属の塑性加工によって成形すると、上品な光沢の発揮度を高めることができる。しかし、周壁66の奥端部と底壁65の外周縁部とが曲率半径の小さいアール(円弧状屈曲部)からなるコーナ部を介して連続することになり、このコーナ部が目視されることで引手50の重厚な質感の発揮度を低下させることになる。したがって、両者の相乗効果による高級感の醸し出しが期待できず、豪華な引き戸への装着が制限される問題点を有する。
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであって、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔にワンタッチ操作で簡単に装着できるものでありながら、上品な光沢と重厚な質感の発揮度を高めることで、両者の相乗効果により高級感を醸し出して、豪華な引き戸への装着を可能にする引手の提供を目的とするものである。
前記目的を達成する本発明に係る引手は、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔にワンタッチ操作で装着される引手であって、
枠状脚部の基端部外方に張り出し連設したフランジ部を有する一対の金属製引手本体と、
一対の金属製引手本体それぞれの枠状脚部の先端開口の閉塞が可能な一対の板材と、
引き戸の厚み方向に相当する前後方向の両端に開口部を有し、これら開口部から前後方向の中央部への前記一対の板材の各別な収容と、前記一対の金属製引手本体それぞれの枠状脚部の各別な嵌入とを許容して、各板材で各枠状脚部の先端開口を閉塞させる樹脂ケーシングと、
樹脂ケーシングへの各金属製引手本体の枠状脚部の嵌入時に各金属製引手本体と樹脂ケーシングとを結合する結合手段と、
を備えてなることを特徴としている。
前記構成の引手によれば、予め、樹脂ケーシングにおける引き戸の厚み方向に相当する前後方向両端の開口部から一対の板材を各別に前後方向の中央部に収容したのち、一端の開口部から一方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入することにより、該枠状脚部の先端開口を一方の板材で塞ぐとともに、結合手段により一方の金属製引手本体と樹脂ケーシングとが一体に結合された引手の仮組み状態を実現できる。この仮組み状態で、樹脂ケーシングの他端の開口部側を引き戸の取付孔の一方から嵌挿したのち、引き戸の取付孔の他方から樹脂ケーシングの他端の開口部に他方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入するワンタッチ操作により、該枠状脚部の先端が他方の板材で塞がれ、各金属製引手本体それぞれのフランジ部が前記取付孔の厚み方向両端周縁部に係止され、かつ、結合手段により各金属製引手本体と樹脂ケーシングとが結合された組立状態で引き戸の取付孔に引手を簡単に装着することができる。
また、前記ワンタッチ操作により組立状態で引き戸の取付孔に簡単に装着された引手は、引き戸の表裏両側から一対の金属製引手本体におけるフランジ部と、各金属製引手本体における枠状脚部の内面などの表面が目視されることになって、上品な光沢と重厚な質感の発揮度が高められる。しかも、各枠状脚部の先端(奥端)が板材で塞がれていることで、各枠状脚部の先端(奥端)と各板材の表面周縁とが連続するシャープなコーナ部が目視されることになるので、引手の重厚な質感の発揮度が一層高められる。その結果、上品な光沢と重厚な質感との両者の相乗効果により高級感を醸し出して、豪華な引き戸への装着が可能となる。
また、本発明に係る引手における、前記枠状脚部の先端開口を閉塞する一対の板材が金属製板材により形成されることが望ましい。
これによると、引き戸の取付孔に簡単に装着された引手は、引き戸の表裏両側から一対の金属製引手本体におけるフランジ部と、各金属製引手本体における枠状脚部の内面および一対の金属製板材の表面が目視されることになって、上品な光沢と重厚な質感の発揮度が高められる。しかも、各枠状脚部の先端(奥端)が金属製板材で塞がれていることで、各枠状脚部の先端(奥端)と各金属製板材の表面周縁とが連続するシャープなコーナ部が目視されることになるので、引手の重厚な質感の発揮度が一層高められる。その結果、上品な光沢と重厚な質感との両者の相乗効果により高級感を醸し出して、豪華な引き戸への装着が可能となる。
さらに、本発明に係る引手における、前記枠状脚部の先端開口を閉塞する一対の板材が光透過性を有する樹脂製板材により形成することも可能である。
前記枠状脚部の先端開口を閉塞する一対の板材が光透過性を有する樹脂製板材により形成する場合、本発明に係る引手を取り付けた引き戸内側に存在する空間を引き戸の取付孔を通して、例えば、クローゼットや納戸内の電気の消し忘れなどを確認することができる。
また、引き戸の取付孔に簡単に装着された引手は、引き戸の表裏両側から一対の金属製引手本体におけるフランジ部と、各金属製引手本体における枠状脚部の内面などの表面が目視され、上品な光沢と重厚な質感の発揮度が高められると共に、各枠状脚部の先端(奥端)が各板材の表面周縁との連続するシャープなコーナ部が目視することができる。
本発明に係る引手における前記結合手段は、各金属製引手本体における枠状脚部の互いに対向する少なくとも2位置に設けられる第1結合機構と、該第1結合機構に弾性係合可能に前記各金属製引手本体に固着される樹脂製の第2結合機構または樹脂ケーシングに設けられる第2結合機構とで構成することが望ましい。これによると、樹脂ケーシングの一端の開口部から一方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入する動作および樹脂ケーシングの他端の開口部から他方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入する動作に追従して、第1結合機構に第2結合機構が弾性係合して、各金属製引手本体と樹脂ケーシングとを自動的に結合することができる。
本発明に係る引手における前記結合手段は、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔の上端部に相当する各金属製引手本体の上端部で互いに対向する2位置に設けられて、上向きで前記引き戸の厚み方向に相当する前後方向に並列した上側係止歯列と、前記取付孔の下端部に相当する各金属製引手本体の下端部で互いに対向する2位置に設けられて、下向きで前記引き戸の厚み方向に相当する前後方向に並列した下側係止歯列とからなる第1結合機構と、各金属製引手本体の上側係止歯列と下側係止歯列それぞれの近傍に固着されて、前記上側係止歯列と下側係止歯列とに弾性係合可能な係止爪を設けた係止爪片を備える一対の樹脂製第2結合機構とで構成することが望ましい。
これによると、前記引き戸の厚み、即ち、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔の前後方向厚みが多少違ってもその厚みの多少違いに対応して、前記引き戸の厚み方向に相当する前後方向に並列した上側係止歯列及び下側係止歯列の適宜の位置に、係止爪片を弾性係合することができる。したがって、前記引き戸の厚みが多少違う引き戸においても一対の金属製引手本体をワンタッチ操作により組立状態で引き戸の取付孔に簡単に装着することができる。
また、樹脂ケーシングの一端の開口部から一方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入する動作および樹脂ケーシングの他端の開口部から他方の金属製引手本体の枠状脚部を嵌入する動作に追従して、コンパクトに構成した第1結合機構に第2結合機構が弾性係合して、各金属製引手本体と樹脂ケーシングとを自動的、かつ、強固に結合することができる。
本発明に係る引手は、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔にワンタッチ操作で簡単に装着できるものでありながら、上品な光沢と重厚な質感の発揮度を高めることで、両者の相乗効果により高級感を醸し出して、豪華な引き戸への装着が可能になる。
本発明に係る引手を引き戸の取付孔に装着した状態を示す縦断側面図である。 本発明に係る引手の構成部材である金属製引手本体の一実施形態を示す説明図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は右側面図、図2(c)は背面図、図2(d)は平面図、図2(e)は図2(a)のe−e線断面図、図2(f)は図2(a)のf−f線断面図である。 本発明に係る引手の構成部材である樹脂ケーシングの一実施形態を示す説明図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は右側面図、図3(c)は平面図、図3(d)は図3(a)のd−d線断面図、図3(e)は図3(a)のe−e線断面図である。 本発明に係る引手の構成部材である金属製板材の一実施形態を示す斜視図である。 取付孔を貫通形成した引き戸の一例を示す斜視図である。 本発明に係る引手の構成部材である結合手段の第2結合機構の一実施形態を示す斜視図である。 金属製板材を分離して厚み方向両側の開口から厚み方向中央部に収容した樹脂ケーシングの一側の開口に一方の金属製引手本体を対向させた状態を示す縦断側面図である。 一方の金属製引手本体の枠状脚部を樹脂ケーシングの一側の開口から嵌入した仮組み状態で引き戸の取付孔に嵌挿した状態を示す縦断側面図である。 本発明に係る引手の構成部材である結合手段の第2結合機構の変形例を示す斜視図である。 第1結合機構の第2実施形態を備える金属製引手本体の説明図であり、図10(a)は右側面図、図10(b)は背面図である。 第2結合機構の第2実施形態を備える樹脂ケーシングの説明図であり、図11(a)は右側面図、図11(b)は正面図である。 第1,第2結合機構の第2実施形態の一部を拡大して示す説明図である。 第1,第2結合機構の第2実施形態の結合状態の一部を拡大して示す説明図である。 従来例の分解斜視図である。 従来例の引手を引き戸の取付孔に嵌着した状態を示す縦断側面図である。
図1は本発明に係る引手を引き戸の取付孔に装着した状態を示す縦断側面図、図2は本発明に係る引手の構成部材である金属製引手本体の一実施形態を示す説明図、図3は本発明に係る引手の構成部材である樹脂ケーシングの一実施形態を示す説明図、図4は本発明に係る引手の構成部材である金属製板材の一実施形態を示す斜視図、図5は取付孔を貫通形成した引き戸の一例を示す斜視図、図6は本発明に係る引手の構成部材である結合手段の第2結合機構の一実施形態を示す斜視図、図7は金属製板材を分離して厚み方向両側の開口から厚み方向中央部に収容した樹脂ケーシングの一側の開口に一方の金属製引手本体を対向させた状態を示す縦断側面図、図8は一方の金属製引手本体の枠状脚部を樹脂ケーシングの一側の開口から嵌入した仮組み状態で引き戸の取付孔に嵌挿した状態を示す縦断側面図である。
図1に示す引手1は、引き戸2の厚みt1方向に貫通形成された取付孔3にワンタッチ操作で装着できるように構成されており、図1、図2(a)〜(f)に示す一対の金属製引手本体4,5と、図1、図4に示す一対の金属製板材6,7と、図1、図3(a)〜(e)に示す樹脂ケーシング8および図1に示す結合手段9とを備える。
図1、図2(a)〜(f)において、一対の金属製引手本体4,5は、ダイキャストに金属メッキを施すことにより形成され、細長い矩形状のフランジ部4a,5aと、このフランジ部4a,5aと相似形でその基端部外方にフランジ部4a,5aが張り出し連設されている枠状脚部4b,5bとを備える。フランジ部4a,5aの幅w1は、図5に示す引き戸2の取付孔3の内法w2よりも若干大きく設定され、フランジ部4a,5aの高さh1は、前記取付孔3の丈h2よりも若干大きく設定されており、枠状脚部4b,5bは、フランジ部4a,5aの幅w1よりも十分に小さい外幅w3と、フランジ部4a,5aの高さh1よりも十分に小さい高さh3とを有し、かつ、引き戸2の厚みt1方向に相当する前後方向の長さL1、つまり、フランジ部4a,5aの内面から先端開口4c,5cまでの長さL1を備える。
図1、図2(c)、図4において、一対の金属製板材6,7は、鋼板からなり、前記一対の金属製引手本体4,5それぞれの枠状脚部4b,5bの先端開口4c,5cにあてがうことで、該先端開口4c,5cの閉塞が可能な細長い矩形状に形成されている。すなわち、一対の金属製板材6,7の幅w4は枠状脚部4b,5bの外幅w3に略等しく、高さh4は枠状脚部4b,5bの高さh3に略等しく設定されている。
図1、図3(a)〜(e)において、樹脂ケーシング8は、合成樹脂の成形体からなり、引き戸2の厚みt1方向に相当する前後方向の長さL2を有して、幅方向の両端で互いに対向する一対の側壁8a,8bと、各側壁8a,8bにおける高さ方向の両端部において相手側に向けて折曲連設した折曲部8c,8dと、前後方向の長さL2の中央部において各側壁8a,8bの内面および各折曲部8c,8dの内面から内方に向けて少し張り出して設けた断面角形エンドレス状のリブ8eとを備え、前後方向の両端は、互いに連通する開口部8A,8Bとして開放してある。また、樹脂ケーシング8の内幅w5は各金属製板材6,7の幅w4(図4参照)よりも僅かに大きく設定され、樹脂ケーシング8の内面高さh5は各金属製板材6,7の高さh4よりも僅かに大きく設定されおり、樹脂ケーシング8の一端開口部8Aからリブ8eまでの奥行きl3は、略金属製引手本体4における枠状脚部4bの前後方向の長さL1に金属製板材6の肉厚を加えた値に設定され、他端開口部8Bからリブ8eまでの奥行きl4は、略金属製引手本体5における枠状脚部5bの前後方向の長さL1に金属製板材7の肉厚を加えた値に設定されている。
したがって、樹脂ケーシング8の一端の開口部8Aから一方の金属製板材6を、その周縁部がリブ8eの一方の面に当接する位置まで収容したのちに、一方の金属製引手本体4の枠状脚部4bを嵌入することにより、該枠状脚部4bの先端開口4cを一方の金属製板材6で塞ぐとともに、樹脂ケーシング8の他端の開口部8Bから他方の金属製板材7を、その周縁部がリブ8eの他方の面に当接する位置まで収容したのちに、他方の金属製引手本体5の枠状脚部5bを嵌入することにより、該枠状脚部5bの先端開口5cを他方の金属製板材7で塞ぐことができる。なお、樹脂ケーシング8の外幅w6は、引き戸2の取付孔3への嵌挿が許容されるように、取付孔3の内法w2よりも僅かに小さい値に設定され、前後方向の長さL2は、引き戸2の厚みt1よりも僅かに小さい値に設定されている。
図1、図2(b),(c),(d),(e)および図6において、結合手段9は、第1結合機構10と一対の樹脂製第2結合機構11との組み合わせによって構成される。第1結合機構10は、各金属製引手本体4,5におけるフランジ部4a,5aの上端部内面の幅方向中央部および枠状脚部4b,5bの上端面の幅方向中央部の2位置に連続して、端面が枠状脚部4b,5bの端面と面一に設定された上側角形突部12の上端に形成されて前後方向に並列する略鋸歯状の上側係止歯列10aと、各金属製引手本体4,5におけるフランジ部4a,5aの下端部内面の幅方向中央部および枠状脚部4b,5bの下端面の幅方向中央部の2位置に連続して、端面が枠状脚部4b,5bの端面と面一に設定された下側角形突部13の下端に形成されて前後方向に並列する略鋸歯状の下側係止歯列10bとで構成されている。
一対の樹脂製第2結合機構11は合成樹脂の成形体からなり、図1、図6に示すように、投影側面形状が略H字形のもので、第1結合機構10の上側係止歯列10aには上側から弾性係合可能で、第1結合機構10の下側係止歯列10bには下側から弾性係合可能な係止爪14aを両端部に設けた薄肉で角形断面の係止爪片14と、ウエブ15から両端までの領域を上側角形突部12に凹設した取付孔12aまたは下側角形突部13に凹設した取付孔13aに嵌入して固着される嵌入部16aとする円形断面の嵌入棒部16とを有しており、係止爪片14と嵌入棒部16とはウエブ15を介して互いに連続している。
図2(b),(c),(d),(f)に示すように、各金属製引手本体4,5の枠状脚部4b,5bにおける幅方向両側外面それぞれの上下両端部の近傍には、フランジ部4a,5aに接近し、かつ、フランジ部4a,5aの反対側からフランジ部4a,5aに向けて上り勾配で傾斜する斜面17aを有する投影平面形状が三角形の4個の突起17が突設され、図3(a),(b),(d)に示すように、樹脂ケーシング8の両側壁8a,8bには、その前後方向両端の開口部8A,8Bからの前記4個の突起17の嵌入を許容する4個の切欠8fを設けてある。なお、図2(d)に示す突起17,17の外法Sは図3(a)に示す樹脂ケーシング8の外幅w6よりも僅かに大きく設定することが望ましい。このように、外法Sが樹脂ケーシング8の外幅w6よりも僅かに大きく設定されていると、後述するように、結合手段9によって各金属製引手本体4,5と樹脂ケーシング8とが結合された組立状態の引手1を引き戸2の取付孔3に装着した際に、突起17,17の先端が取付孔3の内面に食い込んで、各金属製引手本体4,5の移動を阻止するように働いて位置決め効果を高めることができる。
他方、図2(b),(c),(e)に示すように、各金属製引手本体4,5のフランジ部4a,5aにおける上下両端部近傍の内面には、端面が枠状脚部4b,5bの端面と面一に設定されて、その投影背面形状が略1/4円形を呈する4個の突部18が突設されており、各突部18の円弧面18aは、図5に示す引き戸2に貫通形成されている取付孔3における略半円形の上下両端部に内接可能な曲率を備えている。このような曲率の円弧面18aが取付孔3における略半円形の上下両端部に内接することで、後述するように、結合手段9により各金属製引手本体4,5と樹脂ケーシング8とが結合された組立状態の引手1を引き戸2の取付孔3に装着した後に、引手1が取付孔3の内部で丈h2方向に移動するのを防止できる。
前記構成の引手1によれば、図7に示すように、予め、樹脂ケーシング8における前後方向両端の開口部8A,8Bから一対の金属製板材6,7を各別にリブ8eに当接させて収容するとともに、一方の樹脂製第2結合機構11における嵌入棒部16の一方側の嵌入部16aを一方の金属製引手本体4における上側角形突部12の取付孔12aに嵌入固着し、他方の樹脂製第2結合機構11における嵌入棒部16の一方側の嵌入部16aを一方の金属製引手本体4における下側角形突部13の取付孔13aに嵌入固着することで、一方の樹脂製第2結合機構11における係止爪片14の一端部に設けた係止爪14aを第1結合機構10の上側係止歯列10aに上側から弾性係合させ、他方の樹脂製第2結合機構11における係止爪片14の一端部に設けた係止爪14aを第1結合機構10の下側係止歯列10bに下側から弾性係合させて、一方の金属製引手本体4に一対の樹脂製第2結合機構11を組み付けて、一方の金属製引手本体4と樹脂ケーシング8とを対向させる。
一方の金属製引手本体4と樹脂ケーシング8とを対向させた状態で、両者4、8を矢印F1,F2方向に相対移動させて、樹脂ケーシング8の一端の開口部8Aから一方の金属製引手本体4の枠状脚部4bを嵌入すると、図8に示すように、枠状脚部4bの先端開口4cを一方の金属製板材6で塞ぐとともに、結合手段9により一方の金属製引手本体4と樹脂ケーシング8とが一体に結合された引手1の仮組み状態を実現できる。
この仮組み状態で、樹脂ケーシング8の他端の開口部8B側を引き戸2の取付孔3の一方から嵌挿したのち、引き戸2の取付孔3の他方から樹脂ケーシング8の他端の開口部8Bに他方の金属製引手本体5の枠状脚部5bを嵌入するワンタッチ操作により、図1に示すように、枠状脚部5bの先端開口5cが他方の金属製板材7で塞がれ、一対の金属製引手本体4,5それぞれのフランジ部4a,5aが取付孔3の厚み方向両端周縁部に係止され、かつ、一方の樹脂製第2結合機構11における嵌入棒部16の他方側の嵌入部16aが他方の金属製引手本体5における上側角形突部12の取付孔12aに嵌入固着され、他方の樹脂製第2結合機構11における嵌入棒部16の他方側の嵌入部16aが他方の金属製引手本体4における下側角形突部13の取付孔13aに嵌入固着されるとともに、一方の樹脂製第2結合機構11における係止爪片14の他端部に設けた係止爪14aが他方の金属製引手本体5における第1結合機構10の上側係止歯列10aに上側から弾性係合し、他方の樹脂製第2結合機構11における係止爪片14の他端部に設けた係止爪14aが他方の金属製引手本体5における第1結合機構10の下側係止歯列10bに下側から弾性係合した各金属製引手本体4,5と樹脂ケーシング8とが結合された組立状態、つまり、結合手段9により各金属製引手本体4,5と樹脂ケーシング8とが分離不能に結合された組立状態で、引き戸2の取付孔3に引手1を簡単に装着することができる。
また、前記引き戸2の厚みは、引き戸2各々によってその厚みが異なるものであるが、引き戸2の厚みが多少違う引き戸2においても、即ち、引き戸2の厚み方向に貫通形成された取付孔3の前後方向厚みが多少違ってもその厚みの多少違いに対応して、前記引き戸2の厚み方向に相当する前後方向に並列した第1結合機構10の上側係止歯列10a及び下側係止歯列10bの適宜の位置に、第2結合機構11における係止爪片14を弾性係合することができる。したがって、前記引き戸2の厚みが多少違う引き戸2においても一対の金属製引手本体4,5をワンタッチ操作により組立状態で引き戸2の取付孔3に簡単に装着することができる。
前記ワンタッチ操作により組立状態で引き戸2の取付孔3に簡単に装着された引手1は、引き戸2の表裏両側から一対の金属製引手本体4.5におけるフランジ部4a,5aと、各金属製引手本体4.5における枠状脚部4b,5bの内面および一対の金属製板材6,7の表面が目視されることになって、上品な光沢と重厚な質感の発揮度が高められる。しかも、各枠状脚部4b,5bの先端開口4c,5cが金属製板材6,7で塞がれていることで、各枠状脚部4b,5bの先端(奥端)と各金属製板材6,7の表面周縁とが連続するシャープなコーナ部が目視されることになるので、引手1の重厚な質感の発揮度が一層高められる。その結果、上品な光沢と重厚な質感との両者の相乗効果により高級感を醸し出して、豪華な引き戸への装着が可能となる。
図9に示すように、結合手段9における一対の樹脂製第2結合機構11は、係止爪片14の両端部に第1結合機構10の上側係止歯列10aまたは下側係止歯列10bに弾性係合可能な2個の係止爪14aを設けた構造であってもよい。なお、図9において、図6と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図10は第1結合機構10の第2実施形態を備える金属製引手本体4,5の説明図で、図10(a)は右側面図、図10(b)は背面図である。図10(a),図10(b)において、一対の金属製引手本体4.5の枠状脚部4b,5bにおける幅方向両側外面には、高さh3方向に所定の間隔を隔てて2組の突条10A,10Bからなる第1結合機構10が形成されている。1組の突条10Aは、高さh3方向に所定の間隔を隔てて枠状脚部4b,5bの先端開口4c,5cの近くからフランジ部4a,5aの内面近くまで平行にのびる一対の角形リブ10c,10cを備え、他の1組の突条10Bは、高さh3方向に所定の間隔を隔てて枠状脚部4b,5bの先端開口4c,5cの近くからフランジ部4a,5aの内面近くまで平行にのびる一対の角形リブ10d,10dを備えている。なお、図10(a),(b)において、図1(b),(c)と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図11は第2結合機構11の第2実施形態を備える樹脂ケーシング8の説明図で、図11(a)は右側面図、図11(b)は正面図である。図11(a),図11(b)において、樹脂ケーシング8の幅方向の両端で互いに対向する一対の側壁8a,8bにおける前後方向両端の開口部8A,8Bに臨んで、前記一対の金属製引手本体4.5の枠状脚部4b,5bに形成した2組の突条10A,10B{図10(a),図10(b)参照}に弾性係止される2組の係止部11A,11Bからなる第2結合機構11が形成されている。2組の係止部11A,11Bは、それぞれ一対の嵌合面11aと、先端に係止爪11bを設けた一対の係止片11cとを備える。前記一対の嵌合面11aは、図12に示すように、互いに対向している第1結合機構10と第2結合機構11の両者が、図13のように結合されることで、1組の突条10A側の一対の角形リブ10c,10cと他の1組の突条10B側の角形リブ10d,10dそれぞれの高さh3(図10参照)方向外端面に外嵌され、その過程で各係止爪11bが角形リブ10c,10c、10d,10dそれぞれの内端面に干渉して一対の係止片11cを弾性変形させながら各係止爪11bの対向間隔を縮小したのちに弾性復帰することによって、各係止爪11bが角形リブ10c,10c、10d,10dそれぞれのフランジ部4a,5a側端面に弾性係止される。なお、図11(a),(b)において、図3(b),(a)と同一部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
上記実施形態においては、一対の金属製板材6,7は鋼板により形成されているが、この一対の板材6,7を光透過性を有する樹脂製板材により形成してもよい。
前記一対の金属製引手本体4.5の枠状脚部4b,5bの先端開口を閉塞する一対の板材が光透過性を有する樹脂製板材により形成する場合、本発明に係る引手を取り付けた引き戸内側に存在する空間を引き戸2の取付孔3孔を通して、例えば、クローゼットや納戸内の電気の消し忘れなどを確認することができる。
住宅居室の間仕切り戸、押入れの戸(襖)、下駄箱の戸またはクローゼットの戸などを含む引き戸に装着して引き戸を開閉する際の引手として有用である。
1 引手
2 引き戸
3 取付孔
4 金属製引手本体
5 金属製引手本体
6 金属製板材
7 金属製板材
8 樹脂ケーシング
8A,8B 前後方向両端の開口部
9 結合手段
10 第1結合機構
10a 上側係止歯列
10b 下側係止歯列
14 係止爪片
14a 係止爪
t1 引き戸の厚み

Claims (5)

  1. 引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔にワンタッチ操作で装着される引手であって、
    枠状脚部の基端部外方に張り出し連設したフランジ部を有する一対の金属製引手本体と、
    一対の金属製引手本体それぞれの枠状脚部の先端開口の閉塞が可能な一対の板材と、
    引き戸の厚み方向に相当する前後方向の両端に開口部を有し、これら開口部から前後方向の中央部への前記一対の板材の各別な収容と、前記一対の金属製引手本体それぞれの枠状脚部の各別な嵌入とを許容して、各板材で各枠状脚部の先端開口を閉塞させる樹脂ケーシングと、
    樹脂ケーシングへの各金属製引手本体の枠状脚部の嵌入時に各金属製引手本体と樹脂ケーシングとを結合する結合手段と、
    を備えてなることを特徴する引手。
  2. 請求項1に記載の引手において、
    前記一対の板材を金属製板材により形成したことを特徴する引手。
  3. 請求項1に記載の引手において、
    前記一対の板材を光透過性を有する樹脂製板材により形成したことを特徴する引手。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の引手において、
    前記結合手段は、各金属製引手本体における枠状脚部の互いに対向する少なくとも2位置に設けられる第1結合機構と、該第1結合機構に弾性係合可能に前記各金属製引手本体に固着される樹脂製の第2結合機構または樹脂ケーシングに設けられる第2結合機構とで構成される引手。
  5. 請求項4に記載の引手において、
    前記結合手段は、引き戸の厚み方向に貫通形成された取付孔の上端部に相当する各金属製引手本体の上端部で互いに対向する2位置に設けられて、上向きで前記引き戸の厚み方向に相当する前後方向に並列した上側係止歯列と、前記取付孔の下端部に相当する各金属製引手本体の下端部で互いに対向する2位置に設けられて、下向きで前記引き戸の厚み方向に相当する前後方向に並列した下側係止歯列とからなる第1結合機構と、各金属製引手本体の上側係止歯列と下側係止歯列それぞれの近傍に固着されて、前記上側係止歯列と下側係止歯列とに弾性係合可能な係止爪を設けた係止爪片を備える一対の樹脂製第2結合機構とで構成される引手。
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