以下、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置並びに事務機器を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る事務機器の一例を示す図である。図2乃至図5は本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置の一例を示す図である。図6及び図7は本発明に係る駆動部の一例を示す図である。図8及び図9は本発明に係るヒンジ部の一例を示す図である。本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置は、図1、図8及び図9に示したように、事務機器2の機器本体20の後端部に、原稿圧着板3を開閉可能に取り付けるもので、図1乃至図5に示したように、事務機器2の機器本体20に対して原稿圧着板3を開閉可能に支持するヒンジ部4と、このヒンジ部4を自動的に動作させる駆動部5とを備えて、原稿圧着板3の開閉を自動及び手動の両方で行えるものである。事務機器2としては、特に限定されず、例えば、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等が挙げられ、特に複写機が好ましいものとして挙げられる。原稿圧着板3には、例えば、原稿自動送り装置31が設けられている。
ヒンジ部4は、一般に原稿圧着板開閉装置と言われるもので、原稿圧着板3を事務機器2の機器本体20に対して開閉可能に支持するものであり、通常、2つのヒンジ部4で原稿圧着板3を支持している。2つのヒンジ部4は、原稿圧着板3を機器本体20に対して開閉可能に支持できれば、同じものでも異なるものでもよい。図1に示す例では、2つのヒンジ部4として同じものを用いて原稿圧着板3を機器本体20に対して開閉可能に支持する例が記載されている。
ヒンジ部4は、図2乃至図5、図8及び図9に示したように、例えば、機器本体20に取り付けられる取付部材41と、この取付部材41に回動シャフト46を介してこの回動シャフト46と共に回動可能に軸支された支持部材42と、この支持部材42に重なり合うと共にこの支持部材42の自由端部に回動可能に軸支され、かつ、原稿圧着板3に取り付けられるリフト部材43と、取付部材41と支持部材42との間に設けられ、原稿圧着板3を開成方向に回動付勢すると共にリフト部材43を支持部材42と重なり合う方向へ付勢する弾性手段44とを備えている。なお、本発明において開成方向とは、ヒンジ部4を介して原稿圧着板3をコンタクトガラス21から離間させる方向をいう。また、本発明において閉成方向とは、開成方向と逆方向で、ヒンジ部4を介して原稿圧着板3をコンタクトガラス21に近づける方向をいう。
取付部材41は、機器本体20に着脱可能に取り付けられる底板111と、底板111の両側端部からそれぞれ底板111に対して直交する方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板112、112とから主になる。底板111は、略矩形状に形成され、ビス等で機器本体20に取り付けられる取付孔114が設けられている。側板112は、底板111とにより略L字状に形成され、その先端部(上部)に、回動シャフト46が軸受け119(図10参照。)を介して挿通されるシャフト孔116が設けられている。即ち、シャフト孔116に軸受け119を取り付け、この軸受け119に回動シャフト46が挿通される。側板112のシャフト孔116より底板111側(下方)で、かつ、内側(前方)に偏した位置には固定ピン孔(図示せず)が設けられている。両側板112の固定ピン孔に固定ピン48が挿通されている。固定ピン48は、後述する弾性手段44の第1端部即ち後述の第2スライダー142の底部の外表面が当接する受圧部材であり、この受圧部材は、固定ピン48等のピンに限定されず、ローラ例えば受圧ローラ等でもよい。
支持部材42は、図8、図9及び図11に示したように、矩形平板状の上板121と、上板121の両側端部からそれぞれ上板121に対して直交する下方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板122、122と、側板122の先端部を互いに対向する側に90°折り曲げてなる案内板123とからなる。両側板122、122の一端部(先端部)には、ヒンジピン47が挿通されるヒンジピン孔127が設けられていると共に、作動ピン49が入り込む切欠部124が設けられている。両側板122、122の他端部(後端部)には、シャフト固定孔126a、126b(図10参照。)がそれぞれ設けられている。シャフト固定孔126a、126bは、円形の対向する箇所が平行に切り欠かれた略小判状に形成されているが、一方のシャフト固定孔126a(第1シャフト固定孔126aということがある。)の方が他方のシャフト固定孔126b(第2シャフト固定孔126bということがある。)より少し大きな略小判状に形成されている。これらシャフト固定孔126a、126bには、一対のシャフト係合部材15、16がそれぞれ挿入されて取り付けられている。なお、図11中、符号128は貫通孔を示している。
シャフト係合部材15、16は、図10に示したように、第1シャフト固定孔126aに挿入されるものが第1シャフト係合部材15であり、第2シャフト固定孔126bに挿入されるものが第2シャフト係合部材16である。第1シャフト係合部材15と第2シャフト係合部材16とは、第2シャフト係合部材16より第1シャフト係合部材15の方が少し大きく形成されているが、全体的な形状は略同じ略筒体状にそれぞれ形成されている。即ち、第1シャフト係合部材15及び第2シャフト係合部材16は、例えば、第1シャフト固定孔126a及び第2シャフト固定孔126bに嵌合された状態で挿入される外形が略小判状の挿入部15a、16aと、フランジ部15b、16bと、回動シャフト46が嵌合された状態で挿入される六角形状に形成された内形である係合孔(図示せず)とからなる。これら第1シャフト係合部材15及び第2シャフト係合部材16をそれぞれ第1シャフト固定孔126a及び第2シャフト固定孔126bに挿入することにより、第1シャフト係合部材15と第2シャフト係合部材16とが略同軸上に位置されるようになっている。なお、シャフト係合部材15、16は、支持部材42の両側板122の両方に取り付けたが、これに限定されず、両側板122のいずれか一方の側板122にのみ取り付けるようにしてもよい。
回動シャフト46は、図2、図10及び図12に示したように、ヒンジシャフト部46aと駆動シャフト部46bと連結部46cとからなり、略円形の棒状に形成されている。連結部46cは、ヒンジシャフト部46aと駆動シャフト部46bとの間に設けられ、円柱状に形成されている。駆動シャフト部46bは、連結部46cと同じ径の円形の対向する2箇所を互いに平行に切り欠いた略小判状に形成されており、駆動部5の駆動シャフト55に嵌合された状態で挿入し得るようになっている。
ヒンジシャフト部46aは、連結部46cより径が小さな寸法で形成されている。ヒンジシャフト部46aの長さ(軸方向の長さ)は、第1シャフト固定孔126a及び第2シャフト固定孔126bにそれぞれ挿入された第1シャフト係合部材15と第2シャフト係合部材16とを貫通し得る寸法で形成されている。ヒンジシャフト部46aは、連結部46c側から端部にかけて、第1ヒンジシャフト部46dと第2ヒンジシャフト部46eと第3ヒンジシャフト部46fとの3つの部分からなる。第1ヒンジシャフト部46dの径が一番大きく、次に第2ヒンジシャフト部46eの径が大きく、第3ヒンジシャフト部46fの径が一番小さな寸法で形成されている。第1ヒンジシャフト部46dは、第1シャフト係合部材15の係合孔に嵌合された状態で挿入されるべくその係合孔より若干小さな略六角形状に形成されている。第2ヒンジシャフト部46eは、取付部材41の軸受け119の孔の径より若干小さな径の円柱状に形成されている。第3ヒンジシャフト部46fは、第2シャフト係合部材16の係合孔に嵌合された状態で挿入されるべくその係合孔より若干小さな略六角形状に形成されている。また、ヒンジシャフト部46a(第3ヒンジシャフト部46f)の端部(先端部)近傍には、Eリング39等を取り付けるための取付溝46gが設けられている。
第1シャフト固定孔126aに取り付けた第1シャフト係合部材15の係合孔及び第2シャフト固定孔126bに取り付けた第2シャフト係合部材16の係合孔と取付部材41のシャフト孔116に取り付けられた軸受け119とを軸合わせして、これら孔にヒンジシャフト部46aを第1シャフト係合部材15の係合孔から挿入し、第1ヒンジシャフト部46dを第1シャフト係合部材15の係合孔に嵌合させた状態で挿入し、第2ヒンジシャフト部46eをシャフト孔116に取り付けられた軸受け119に挿入し、かつ、第3ヒンジシャフト部46fを第2シャフト係合部材16の係合孔に嵌合させた状態で挿入する。挿入後、ヒンジシャフト部46aと連結部46cとの境目の壁が第1シャフト係合部材15のフランジ部の端面に当接した状態で、第2シャフト係合部材16から突出した第3ヒンジシャフト部46fの取付溝46gに例えばEリング39を取り付けることにより、回動シャフト46のヒンジシャフト部46aがヒンジ部4に抜けることなく取り付けられる。その結果、支持部材42が回動シャフト46とともに取付部材41に回動シャフト46を軸に回動可能に連結されるように構成されている。なお、回動シャフト46のヒンジ部4への取付は、シャフト係合部材として取付部材41に回動可能に軸支される筒状のシャフト包囲部材を用いて行うようにしてもよい。
リフト部材43は、図2乃至図5、図8及び図9に示したように、原稿圧着板3の後端側にビス等で着脱可能に取り付けられる略矩形平板状の上板131と、この上板131の両端部からそれぞれ上板131に対して直交する下方向(略直交する方向も含む。)に延びると共に互いに対向する両側板132、132とから略コ字状であって支持部材42を覆うように形成されている。両側板132、132には、リフト部材43を原稿圧着板3に取り付けるための取付孔135aを有するフランジ135、135がそれぞれ設けられている。
側板132の一端部(先端部)近傍であって上板131側の箇所にはヒンジピン挿通孔136が設けられていると共に、ヒンジピン挿通孔136より下側には作動ピン49が挿通される作動ピン孔137が設けられている。両側板132、132の作動ピン孔137に作動ピン49が挿通されて固定されている。両側板132、132のヒンジピン挿通孔136と支持部材42の両側板122、122のヒンジピン孔127とが軸合わせされてこれら孔にヒンジピン47が挿通されることによって、リフト部材43と支持部材42とがヒンジピン47を軸に互いに回動可能に連結されている。
また、上板131の後端部近傍には、原稿圧着板3の水平位置を調節する水平位置調節手段45が設けられていることが好ましい。水平位置調節手段45は、例えば、上板131の後端部近傍であってその幅方向の中央部(略中央部を含む。)に設けられた調節ネジ151と締結ナット152とからなる。上板131には、調節ネジ151が螺合するネジ溝が設けられた貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔に締結ナット152が螺合されている調節ネジ151を螺合させて、調節ネジ151の先端を支持部材42の上板121に当接して、調節ネジ151の調節により支持部材42とリフト部材43との間隔を調節した後に、締結ナット152を調節ネジ151に対して回転させて上板131に当接することで、調節ネジ151が緩むことなくすなわち支持部材42とリフト部材43との間隔が変わることなく原稿圧着板3の水平位置が調節されるようになっている。
弾性手段44は、原稿圧着板3を開成方向に回転付勢すると共に、リフト部材43を支持部材42と重なり合う方向へ付勢し、かつ、原稿圧着板3が所定の開成角度以下のとき、原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さいものである。弾性手段44は、例えば、支持部材42内に嵌合されている一対のスライダー141、142と、これらの一対のスライダー141、142内に設けられているコンプレッションスプリング44aとを有している。なお、本発明における開成角度とは、機器本体20の上面であるコンタクトガラス21面に対する原稿圧着板3の角度である。本発明における所定の開成角度とは、例えば、弾性手段44による原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さくなる角度である。
一対のスライダー141、142は、断面矩形の有底筒体状に形成されている。一対のスライダー141、142は、互いの開口部が向き合うように支持部材42内にそれぞれ個別に摺動可能に嵌合されて、この一対のスライダー141、142内にコンプレッションスプリング44aが収容されている。一対のスライダー141、142は、取付部材41の底板111と支持部材42(上板121)が略平行になっているとき(例えば機器本体20の上面のコンタクトガラス21上に原稿圧着板3を密着させたとき(原稿圧着板密着時))、支持部材42内に収装される長さで形成されている。
コンプレッションスプリング44aは、その個数は特に限定されず、1個でも2個以上でもよく、例えば1個設けられ、一対のスライダー141、142をそれぞれ互いに離間する方向に付勢するものである。コンプレッションスプリング44aは、原稿圧着板3を開成方向に回転付勢すると共に、原稿圧着板3が所定の開成角度(例えば、20°(20°前後も含む。))以下のとき、原稿圧着板3を付勢する付勢力が原稿圧着板3のモーメントより小さいものである。
先端部側のスライダー(第1スライダー141ということがある。)の底部の外表面である閉塞面がコンプレッションスプリング44aの付勢力によって作動ピン49を押圧して、支持部材42とリフト部材43とが重なり合うようになっている。即ち、コンプレッションスプリング44aの付勢力によってリフト部材43の上板131の調節ネジ151の先端が支持部材42の上板121に当接して、支持部材42の上板121とリフト部材43の上板131とが重なりあう又は略重なりあうようになっている。
後端部側のスライダー(第2スライダー142)の底部の外表面には、傾斜部143が設けられている。この傾斜部143は、固定ピン48に当接する個所である。即ち、機器本体20の上面のコンタクトガラス21に原稿圧着板3が密着している状態、即ち、原稿圧着板3が閉成位置である状態(図8参照。)から原稿圧着板3を開成方向に回動シャフト46を介して回転させると、固定ピン48に当接する箇所が傾斜部143に沿って摺動すると共に、第2スライダー142がコンプレッションスプリング44aによって支持部材42内を後端部側へと押圧されて摺動し、コンプレッションスプリング44aが徐々に伸びる。そして、原稿圧着板3が、最大使用開放角度になると、その回転が原稿圧着板回動規制機構(図示せず)によって規制される。なお、図8及び図9中、符号145は延出片を示している。この延出片145は、例えば、第2スライダー142の幅より若干短い寸法の幅で形成されていることが好ましい。これにより、固定ピン48の外表面に第2スライダー142との摺接を円滑にする潤滑用のグリスが塗布されていても、延出片145が固定ピン48の外周の大部分を覆うために、原稿圧着板3によって押圧されることによって変形した原稿の端部が固定ピン48側へはみ出しても、この端部がグリスが塗布されている固定ピン48に接触して汚れてしまうことはないようになっている。
本発明における最大使用開放角度とは、機器本体20の上面であるコンタクトガラス21面に対する原稿圧着板3の角度であって、原稿圧着板3の開成方向の回転が規制される角度である。この最大使用開放角度は、特に限定されないが、例えば、60°(60°前後を含む。)〜70°(70°前後を含む。)であることが好ましく、例えば、70°(70°前後を含む。)である。
また、前記のコンプレッションスプリング44a内に流体ダンパー装置から成るダンパー手段144を設けてもよい。このダンパー手段144は、原稿圧着板3が閉成方向に回転したとき、原稿圧着板3の所定の開成角度以下(例えば10°前後以下)においてのみその原稿圧着板3の回転速度を低減させるように動作するものであるが、本願発明にあっては、自動で原稿圧着板が閉じられる際にとくに有効であり、所定の閉成角度から原稿圧着板3がその自重により駆動モータ51による閉成速度を超えて急速に閉じられてしまうことを防止できる効果を合わせ奏しうる。ダンパー手段144は、例えば、オイルダンパー装置等であるがこのものに限定されない。その他の公知構成のダンパー手段を用いることができる。或はこのダンパー手段に代えて駆動モータ51を用い、この駆動モータ51の回転速度や回転方向を変えることにより、原稿圧着板が急速に閉じられることを防止するように構成しても良い。ダンパー手段144の取り付け方は、実施例のものとは逆方向に、即ちシリンダー144a部分を第2スライダー142側に、ピストン144bの側を第1スライダー141側に向けて取り付けてもよい。
以上、ヒンジ部の例として、支持部材の自由端側に当該支持部材の回転方向と逆の方向に回転するようにリフト部材を取り付け、このリフト部材に原稿圧着板を取り付けるものを示したが、本発明を実施するヒンジ部はこのものに限定されない。このリフト部材を有せず、原稿圧着板を直接支持部材に取り付けるように構成したヒンジ部であっても、手動操作で原稿圧着板を開閉する際に駆動部を動作させる際の抵抗を排除することは操作性を向上できるので、有効である。即ち、このような構成のヒンジ部にも本発明を実施できる。
さらに、この発明に係る原稿圧着板自動開閉装置はリフト部材を有するヒンジ部であっても、このリフト部材を支持部材と重なり合う方向へ回転付勢させる回転付勢手段として、図示したような弾性手段の弾力をカムを用いたもの以外に公知のリンク機構を用いたものも用いることができる。さらに、リフト部材を回転付勢させる手段として捩じりコイルスプリングの弾力等を用いたものに適用できることは申すまでもない。
駆動部5は、ヒンジ部4を自動的に駆動させて支持部材42を介して原稿圧着板3を自動的に開閉させるものである。駆動部5は、機器本体20の2つのヒンジ部4にそれぞれ設けてもよいが、図1に示したように、原稿自動送り装置31が設けられて原稿圧着板3の重心が片寄った側の原稿圧着板3を回動支持するヒンジ部4にのみ1個設けてそのヒンジ部4を自動的に駆動させるようにしてもよい。駆動部5は、図2〜図7に示したように、正逆回転可能な駆動モータ51と、この駆動モータ51の回転駆動力を減速して駆動シャフト55に伝達する駆動力伝達手段52とを備え、自動による原稿圧着板3の回転操作を行えるように構成されている。
駆動モータ51は、ヒンジ部4を自動的に駆動させることができれば特に限定されず、例えば、パルスモータ等である。この駆動モータ51が駆動ケース53の側壁53bに着脱可能に取り付けられている。駆動ケース53は、枠部材53aと両側壁53b、53cとからなり、ヒンジ部4とは反対側の側壁53bに例えばビス57等で駆動モータ51が取り付けられている。また、残りの側壁53cには、取付プレート54がビス54dや取付ピン54e等によって取り付けられ、この取付プレート54を介して駆動ケース53がヒンジ部4に取り付けられている。この駆動ケース53内に駆動力伝達手段52が設けられている。
駆動力伝達手段52は、駆動モータ51の回転駆動力を減速して駆動シャフト55に伝達できれば特に限定されず、例えば、駆動ケース53内に回転可能に支持されている6つの第1歯車61、第2歯車62、第3歯車63、第4歯車64、第5歯車65及び第6歯車66を備えている。
具体的には、駆動モータ51の回転軸51aの先端部は、駆動ケース53内に位置され、この先端部に駆動プーリ60が取り付けられている。駆動プーリ60には、タイミングベルト67が掛け渡されている。タイミングベルト67は、第1歯車61の従動プーリ61aに掛け渡されている。第1歯車61は、駆動ケース53に軸支ピン68等を介して回動可能に取り付けられ、駆動プーリ60より直径が大きな従動プーリ61aと、従動プーリ61aより直径が小さな小歯車61bとを有する。この小歯車61bは、第2歯車62の大歯車62aと噛合されている。第2歯車62は、駆動ケース53に支持ピン69等で取り付けられた第2伝達シャフト72に回動可能に取り付けられている。この第2伝達シャフト72と第1歯車61(軸支ピン68)とが支持板70によって支持されて、これら第2伝達シャフト72と第1歯車61との間隔が保持されている。第2歯車62は、大歯車62aより直径が小さな小歯車62bを有する。この小歯車62bは、第3歯車63の大歯車63aと噛合されている。第3歯車63は、駆動ケース53に支持ピン75等で取り付けられた第3伝達シャフト73に回動可能に取り付けられている。第3歯車63は、大歯車63aより直径が小さな小歯車63bを有する。この小歯車63bは、第4歯車64と噛合されている。第4歯車64は、駆動ケース53に支持ピン76等で取り付けられた第4伝達シャフト74に回動可能に取り付けられている。この第3伝達シャフト73と第4伝達シャフト74とが支持板77によって支持されて、これら第3伝達シャフト73と第4伝達シャフト74との間隔が保持されている。第4歯車64は、第4伝達シャフト74に回動可能に取り付けられている第5歯車65と当接し、共に第4伝達シャフト74に回転可能に軸支されており、その詳細は後述する。第5歯車65は、扇形状を呈した第6歯車66に噛合されており、この第6歯車66は、駆動ケース53に軸支部材58等を介して回動可能に取り付けられている駆動シャフト55に取り付けられている。なお、図7中、符号59はワッシャーを示している。
以上の構成により、駆動モータ51の回転駆動力が駆動プーリ60及び第1〜第6歯車61、62、63、64、65、66を介して駆動シャフト55に減速した状態で伝達されるようになっている。尚、以上の各歯車の組み合わせや減速比は実施例のものに限定されない。要するに駆動モータ51の回転駆動力が必要な回転速度に減速されて駆動シャフトへ伝達されれば足りる。駆動プーリ60及び第1〜第4歯車61、62、63、64によって主に駆動モータ51の回転駆動力を減速する減速機構部52aが構成されている。次に、駆動シャフト55は回動シャフト46と連結されており、この駆動シャフト55と回動シャフト46との連結は、特に限定されず、例えば、駆動シャフト55に、その同軸上に回動シャフト46の駆動シャフト部46bが嵌合された状態で挿入される略小判状の係合孔55aを設け、この係合孔55aに回動シャフト46の駆動シャフト部46bを嵌合した状態で挿入するようにしてもよい。また、このシャフトの連結は、回動シャフト46及び駆動シャフト55にギヤやプーリを取り付けてギヤの噛合やタイミングベルトによって行うようにしてもよい。このように、ヒンジ部4の回動シャフト46と駆動部5の駆動シャフト55とを連結したことにより、駆動モータ51の回転駆動力が駆動シャフト55から回動シャフト46に減速して伝達されるので、原稿圧着板3の回動を自動的に行える。その結果、ヒンジ部4の構成をほとんど変えることなく、即ち、既存のヒンジ部4を用いて原稿圧着板3の回動を自動的に行えるので、原稿圧着板3の自動開閉の実用化を容易に図ることができる。
次に、原稿圧着板3の開閉角度検知手段160について説明する。この開閉角度検知手段160は、駆動シャフト55に取り付けられた、第1プーリ161と、この第1プーリ161にはタイミングベルト163が掛け渡されている。このタイミングベルト163は、駆動ケース53に軸支部材167等を介して回転可能に取り付けられているエンコーダシャフト164に取り付けられている第2プーリ162に掛け渡されており、駆動シャフト55の回転駆動力がエンコーダシャフト164に伝達される。駆動ケース53外のエンコーダシャフト164は、駆動ケース53の側壁53bにビス168等で取り付けられた角度検出センサであるロータリーエンコーダ165に取り付けられている。角度検出センサは、駆動シャフト55の角度を検出するものであり、この検出値から原稿圧着板3の機器本体20に対する角度を検出することが可能となる。角度検出センサとしては、ロータリーエンコーダ165を用いたが、ロータリーエンコーダ165に限定されず、ロータリータイプの抵抗式センサ、可変抵抗器、ポテンションメータ、ボリュームコントローラ等のその他の角度検出センサを用いてもよい。また、角度検出センサは、駆動ケース53外に設けた場合について説明したが、これに限定されず、例えば、駆動ケース53内やその他の箇所に設けるようにしてもよい。
次に、クラッチ手段について説明する。このクラッチ手段8は第4歯車64と第5歯車65とが係脱可能に係合されていることで構成している。クラッチ手段8は、原稿圧着板3を手動で開閉させるときに所定の開成位置、即ち、回動シャフト46の所定の回転角度範囲までは、回動シャフト46側から駆動力伝達手段52へ伝達される回転駆動力を解除するもので、原稿圧着板3を手動で開閉する際に共に回動する回動シャフト46の回転駆動力を駆動力伝達手段52へ伝達されるのを解除できれば設置箇所は特に限定されないが、その目的から言って駆動力伝達手段52(駆動ケース53)の出力端側に設けられていることが好ましい。即ち、実施例ではクラッチ手段8は、駆動力伝達手段52内に設けられ、駆動モータ51の回転駆動力を減速する減速機構部52aの出力側に設けられる第1クラッチ手段である第4歯車64と、この第4歯車64に係脱可能に係合すると共に回動シャフト46に連動される第2クラッチ手段である第5歯車65から構成されている。
とくに図13〜図16に示したように、第4歯車64と第5歯車65とは、上述したように、互いに対向する端面同士が互いに当接するように第4伝達シャフト74の外周に各々回動可能に取り付けられている。その取付態様は、支持板77に設けた押圧突部77aによって一方向へ押圧されることにより、互いに軸方向へ分離しないように圧接しているが、独自の回転を妨げられることはない。第4歯車64の第5歯車65と対向する側の端面には、第1係合部81が突設されている。第1係合部81は、例えば、第4歯車64の端面にその周方向に180°間隔で円弧状に2つ設けられている。第1係合部81間の第4歯車64の端面は、円弧状の第1凹部85として形成されている。第1係合部81の円弧方向の幅は、例えば、略75°の幅で形成されている。これら第1係合部81が第5歯車65の第4歯車64と対向する側の端面に設けられている第2係合部82と係脱可能に係合する。第2係合部82は、例えば、第5歯車65の端面にその周方向に180°間隔で円弧状に2つ設けられている。第2係合部82は、円弧方向の幅が異なるだけの第1係合部81と略同じ円弧状であって略同軸上に形成されている。第2係合部82間の第5歯車65の端面は、円弧状の第2凹部86として形成されている。第2係合部82の円弧方向の幅は、例えば、略70°の幅で形成されている。
第1係合部81は、第2凹部86内に挿入されると共に、第2係合部82が第1凹部85内に挿入された状態で第4歯車64と第5歯車65とが接触しつつ第4伝達シャフト74に取り付けられており、例えば、第4歯車64に対して第5歯車65が第4伝達シャフト74を軸に回転したとき、第4歯車64と第5歯車65との間には、略35°の遊びを持って係合している。この第4歯車64の第5歯車65に対する位置は、例えば、機器本体20に設けられた制御部23によって制御される。
制御部23は、原稿圧着板3の開成方向又は閉成方向に回転を行う際に駆動モータ51等の制御を行うものである。なお、制御部23は、図1に示す例では機器本体20に設けられているが、これに限定されるものではない。制御部23は、機器本体20の操作パネル22上に設けられた原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作することにより駆動モータ51を駆動させて原稿圧着板3を開成方向に自動的に回転させる自動開回転機能、及び、機器本体20の操作パネル22上に設けられた原稿圧着板自動閉スイッチ26を例えば押込み操作することにより駆動モータ51を駆動させて、開成位置にある原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回転させる自動閉回転機能を有している。また、この制御部23は原稿圧着板の開閉角度検知手段160からの信号により駆動モータ51を回転させクラッチ手段8の接触・解離を行なうものである。なお、本発明において開成位置とは、コンタクトガラス21上に原稿を載置し得る位置に原稿圧着板3が位置されていることをいい、原稿圧着板3が最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)に位置されている場合等をいう。
自動開回転機能は、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作することにより、直ちに駆動モータ51を駆動させて閉成位置にある原稿圧着板3を開成方向に自動的に回転させる機能のことである。なお、自動開回転機能は、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作した後には直ちに原稿圧着板3が開成方向に自動的に回転せずに、原稿圧着板3を所定の開成角度まで手動で開成方向に回転させてから駆動モータ51を駆動させて原稿圧着板3を開成方向に自動的に回転させて原稿圧着板3が最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)に位置されるようにしてもよい。即ち、原稿圧着板3が閉成状態から所定の開成角度に至ったときに駆動モータ51がONされて原稿圧着板3が自動的に最大使用開放角度(略最大使用開放角度を含む。)になるように回転するようにしてもよい。
また、制御部23は、原稿圧着板3を開成方向又は閉成方向に自動的に回転させるときに、原稿圧着板3を回転させるトルクとは異なる大きなトルクが発生したときには、駆動モータ51の駆動を停止させる停止機能を有してもよい。トルクの検出手段としては、トルク検出センサを駆動シャフト55や回動シャフト46等に設けるようにしてもよいし、また、駆動モータ51のパルスと角度検出センサから得られる駆動シャフト55の角度とを比較して駆動シャフト55の角度が駆動モータ51のパルスから得られる想定の駆動シャフト55の角度よりずれている場合に大きなトルクが発生したとして、駆動モータ51の駆動を停止させるように停止機能を有するようにしてもよい。
また、制御部23は、閉じ忘れ防止機能を有してもよい。閉じ忘れ防止機能は、例えば、開閉センサ35や開閉角度検知手段160等からの信号に基づき原稿圧着板3が所定時間経過しても開成位置であるときに、原稿圧着板3が閉じ忘れであるとして原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回転させる機能のことである。このように閉じ忘れ防止機能を有することにより、原稿圧着板3の閉じ忘れを防止することができる。
開閉センサ35は、例えば、機器本体20のヒンジ部4の近傍に設けられ、原稿圧着板3が開成位置か閉成位置かを検出するものである。開閉センサ35としては、無接触型のセンサでも接触型のセンサでもどちらでもよく、図示例では、接触型のセンサである。この接触型の開閉センサ35は、突出方向に付勢された接触子36が機器本体20から突出しているときに開成位置とする電気信号を送り、原稿圧着板3が機器本体20に密着しているときには、機器本体20により接触子36が付勢力に抗して機器本体20内に収容されて閉成位置とする電気信号を送るものである。なお、接触子36が機器本体20から突出しているか、機器本体20内に収容されているかのどちらか一方の状態のときに信号を送って原稿圧着板3の開閉を検出するようにしてもよい。
また、制御部23は、原稿圧着板3の手動開閉操作時に原稿圧着板3を開成方向又は閉成方向に回転させる際に補助力を発生させる補助機能を有してもよい。この補助機能は、例えば、原稿圧着板自動開スイッチ25又は原稿圧着板自動閉スイッチ26が操作されていない状態で原稿圧着板3が開閉されているときに、開閉角度検知手段160のロータリーエンコーダ165からの信号に基づいて原稿圧着板3が所定の角度になったときに原稿圧着板3の回転を補助するように機能するものである。特に閉回転時における補助機能は、原稿圧着板3が閉成方向に回転したとき、原稿圧着板3の所定の開成角度以下(例えば10°前後以下)においてその原稿圧着板3を低速で回転させるように駆動モータ51を駆動させるようにする機能を有することが好ましい。このように補助機能を有することにより、原稿圧着板3の手動による閉成操作をスムーズに行うことができる。
また、補助機能としては、原稿圧着板自動開スイッチ25又は原稿圧着板自動閉スイッチ26が操作されていない状態で原稿圧着板3が停止したときから手動で原稿圧着板3を開成方向又は閉成方向に回転させたときに、開閉角度検知手段160のロータリーエンコーダ165からの信号に基づいて原稿圧着板3の回転を検知し、この原稿圧着板3の回転を補助するように駆動モータ51を駆動させるように機能するようにしてもよい。即ち、原稿圧着板3の動きに合わせて補助力を付加して軽い力で原稿圧着板3の開閉を行えるように補助機能を構成するようにしてもよい。これにより、原稿圧着板3の手動での開閉がスムーズに行えるようになる。
原稿圧着板の開閉角度検知手段160は、例えば、原稿圧着板3の閉成状態のときに、第2係合部82の第1端部82a(手動で原稿圧着板3を開くときの開成方向前方側の端部)と第1係合部81の第2端部81b(第2係合部82の第1端部82aと対向する側の端部)とが離れていると共に、第2係合部82の第2端部82b(第1端部82aとは反対側の端部)と第1係合部81の第1端部81a(第2端部81bとは反対側の端部)とが接しているように(図15(a)及び図16(c)参照。)、駆動モータ51を駆動させて第4歯車64の第5歯車65に対する位置を制御するものである。例えば、原稿圧着板3を自動で閉じて閉成状態にした直後の場合、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが接している(図16(e)参照。)ので、開閉角度検知手段160により駆動モータ51を駆動させて、自動で原稿圧着板3を閉じたときとは反対方向に第4歯車64を例えば略35°回転させて第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが離れると共に第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが接するように動作を行うものである。
これにより、閉成状態から原稿圧着板3を手動で開く場合、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが離れて第5歯車65と第4歯車64との係合が解除されているので、はじめは回動シャフト46と連動している第5歯車65のみが第4伝達シャフト74の軸回りに回転し、原稿圧着板3が所定の開成位置例えば開成角度が略35°になると、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが接して(図15(b)参照。)それ以降は第5歯車65の回転に伴って第4歯車64が回転して開成状態になるようになっている。この開成状態のとき、原稿圧着板3の開成角度は略70°である。また、原稿圧着板3を自動で開く場合、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが接している(図15(a)参照。)ので、第4歯車64の回転に伴って第5歯車65が従動回転して回動シャフト46を介して原稿圧着板3が自動で開くようになっている。
また、原稿圧着板3の開閉角度検知手段160は、例えば、開成状態のときに、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが接していると共に、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが離れているように(図15(c)及び図16(a)参照。)、駆動モータ51を駆動させて第4歯車64の第5歯車65に対する位置を制御するものである。例えば、原稿圧着板3を自動で開いて開成状態にした直後の場合、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが接しているので(図15(e)参照。)、駆動モータ51を駆動させて、自動で開いたときとは反対方向に第4歯車64を例えば略35°回転させて第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接するように動作を行うものである。
これにより、開成状態から原稿圧着板3を手動で閉じる場合、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが離れて第5歯車65と第4歯車64との係合が解除されているので、はじめは回動シャフト46と連動している第5歯車65のみが第4伝達シャフト74の軸回りに回転し、原稿圧着板3が所定の開成位置例えば開成角度が略35°になると、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが接して(図16(b)参照。)それ以降は第5歯車65の回転に伴って第4歯車64が回転するようになっている。また、原稿圧着板3を自動で閉じる場合、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接しているので(図16(a)参照。)、第4歯車64の回転に伴って第5歯車65が従動回転して回動シャフト46を介して原稿圧着板3が自動で閉じるようになっている。
なお、クラッチ手段8は、原稿圧着板3を手動で開閉するとき、所定の開成位置例えば開成角度が略35°までは、第5歯車65のみが回転するように制御するものであるが、所定の開成位置は、開成角度が略35°に限定されず、他の角度でもよく、また、原稿圧着板3を開くときと閉じるときとの位置が異なってもよく、機器本体20や原稿圧着板3等に応じて任意に設定することができる。即ち、例えば、第1係合部81及び第2係合部82の円弧方向の幅を変えることにより、その所定の開成位置を任意に変えることができる。
また、原稿圧着板3が自動で閉じる場合、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接して第4歯車64の回転に伴って第5歯車65が従動回転して回動シャフト46を介して原稿圧着板3が自動で閉じるために、この動作中に駆動モータ51の回転駆動力より先行して原稿圧着板3が回転することもあり得る。このため、自動閉回転機能に、原稿圧着板3を閉成方向に自動的に回転させる際に、原稿圧着板3が所定の開成角度以下のとき、駆動モータ51を交互に逆回転させて、原稿圧着板3の回転速度を低速にする低速機能を有するようにしてもよい。即ち、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接して第4歯車64の回転に伴って第5歯車65を回転駆動させているが、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが離れているために、原稿圧着板3の自重により駆動モータ51の回転駆動力より先行して原稿圧着板3が回転することもあり得るので、原稿圧着板3が所定の開成角度以下のとき、駆動モータ51を交互に逆回転させて、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとの接触による原稿圧着板3の閉じる方向への回転速度の低減と、原稿圧着板3の閉じる方向への回転を行うようにしてもよい。ここでいう所定の開成角度とは、前記の所定の開成角度以下の角度であれば特に限定されず、例えば、15°(15°前後を含む。)である。
次に、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置の作用を説明する。
事務機器2が使用されていない状態は、通常、機器本体20のコンタクトガラス21に原稿圧着板3が圧着されている閉成状態(図8参照。)である。コンタクトガラス21の面上に原稿を載置するのに手動で原稿圧着板3を開くには、まず、原稿圧着板3の前方(ヒンジ部4が取り付けられている箇所とは反対側の端部又はその近傍等)を持って原稿圧着板3を上方に持ち上げる。即ち、原稿圧着板3を支持部材42を介して回動シャフト46を軸に回転させて開成(開動)させ、図1及び図9に示したように、コンタクトガラス面を外部に露出させて原稿圧着板3を開成位置(開成角度が略70°)に位置させる。
このように、原稿圧着板3を手動で開く場合、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが離れて第5歯車65と第4歯車64とが係合されていないので(図15(a)参照。)、回動シャフト46と連動している第5歯車65のみが第4伝達シャフト74の軸回りに回転して、第4歯車64が回転しない。このように、原稿圧着板3を手動で開くときに、回動シャフト46(駆動シャフト55)の回転駆動力が第4歯車64〜第1歯車61及び駆動モータ51の回転軸51aに伝達されないために、駆動モータ51のディテントトルクや駆動力伝達手段52における減速比が大きい場合に生じるトルクが回動シャフト46にフリクション負荷として付加されない。即ち、手動による原稿圧着板の開成動作時においては所定の開成角度(実施例では35°)までは、駆動力伝達手段52を介して駆動モータ51を回転させる力を必要としない。このため、原稿圧着板3がコンプレッションスプリング44aの付勢力によって開成方向に回転付勢されているので、原稿圧着板3を重量を感じさせることなく(軽く)開くことができる。なお、原稿圧着板3が所定の開成位置例えば開成角度が略35°になると、第2係合部82の第1端部82aと第1係合部81の第2端部81bとが接して(図15(b)参照。)それ以降は第5歯車65の回転に伴って第4歯車64が回転する。そして、原稿圧着板3が開いて開成状態となり(図1、図9及び図15(c)参照。)、コンタクトガラス21面が外部に露出する。
また、自動で原稿圧着板3を開くには、原稿圧着板自動開スイッチ25を例えば押込み操作する。この原稿圧着板自動開スイッチ25の操作により、駆動モータ51が駆動される。駆動モータ51の駆動により、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが係合しているので(図15(a)参照。)、駆動モータ51の回転駆動力が駆動力伝達手段52を介して駆動シャフト55に伝達されてから回動シャフト46に伝達されて原稿圧着板3が自動的に開き、コンタクトガラス21面が外部に露出して原稿圧着板3が開成位置に至る。これにより、露出したコンタクトガラス21の面上に原稿を載置することができる。
このように、駆動モータ51の駆動により自動で原稿圧着板3が開いた直後の開成状態になると、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが接している(図15(e)参照。)が、開閉角度検知手段160により駆動モータ51が駆動されて、自動で開いたときとは反対方向に第4歯車64が例えば略35°回転して、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとが離れると共に、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接する状態となる(図15(c)参照。)。
コンタクトガラス21の面上に原稿を載置した後、持ち上げた原稿圧着板3を手動で降ろす(閉じる)場合には、原稿圧着板3を閉成方向に回転させると、原稿圧着板3はコンタクトガラス21と接触する方向に回動シャフト46を軸に回転する(下方に移動する)。このとき、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが離れて第5歯車65と第4歯車64とが係合されていないので(図15(c)及び図16(a)参照。)、回動シャフト46と連動している第5歯車65のみが回転して、第4歯車64が回転しない。このように、原稿圧着板3を手動で閉じるときに、回動シャフト46(駆動シャフト55)の回転駆動力が第4歯車64〜第1歯車61及び駆動モータ51の回転軸51aに伝達されないために、駆動モータ51のディテントトルクや駆動力伝達手段52における減速比が大きい場合に生じるトルクが回動シャフト46にフリクション負荷として付加されない。このため、コンプレッションスプリング44aの付勢力によって、リフト部材43の上板131の調節ネジ151の先端が支持部材42の上板121に当接した状態のまま、つまり、原稿圧着板3(リフト部材43)がヒンジピン47を軸に回転することがないまま、原稿圧着板3が回動シャフト46を軸に下方に回転する。即ち、駆動モータ51のディテントトルク等が回動シャフト46にフリクション負荷として付加されると、コンプレッションスプリング44aの付勢力に抗してヒンジピン47を軸に支持部材に対してリフト部材43が反転する、いわゆる中折れ現象が発生することがあるが、この中折れ現象が発生する心配もなく原稿圧着板3が閉成方向に回転する。
このように原稿圧着板3を手動で閉成方向に回転させる場合、最初はコンプレッションスプリング44aの付勢力に抗するために多少の力が必要になるが、例えば、原稿圧着板3の開成角度が20°(20°前後を含む。)以下になると、原稿圧着板3のモーメントがコンプレッションスプリング44aによって原稿圧着板3を付勢する付勢力より大きくなるので、原稿圧着板3を容易に回転することができる。このとき、原稿圧着板3の閉成方向における回転速度が速くなるが、原稿圧着板3の開成角度が略35°になると、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが接して(図16(c)参照。)それ以降は第5歯車65の回転に伴って第4歯車64が回転するために、駆動モータ51のディテントトルク等が回動シャフト46にフリクション負荷として負荷されるので、原稿圧着板3の回転速度が低減される。その結果、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。また、ダンパー手段144が設けられている場合には、原稿圧着板3の開成角度が例えば10°(10°前後を含む。)になると、ダンパー手段144によって原稿圧着板3の回転速度が一層低減されるので、より確実に原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。また、
また、原稿が厚い本等のように厚さが厚い場合、原稿圧着板3を閉成方向に回転させる(下方に移動させる)と、原稿の支持部材42側の端部又はその近傍に原稿圧着板3の支持部材42の近傍の一部が接触し、原稿の支持部材42側の端部とは反対側の端部と原稿圧着板3との間に空間が形成される。即ち、原稿圧着板3は浮いた状態となる。その浮いている原稿圧着板3をコンタクトガラス21側に押圧すると、作動ピン49が第1スライダー141を第2スライダー142側に押圧してコンプレッションスプリング44aの付勢力に抗して第1スライダー141が第2スライダー142側に移動し、原稿圧着板3がヒンジピン47を軸に回転する。即ち、原稿の上部を覆うように原稿圧着板3が移動する。例えば、その原稿の上部が平坦面である場合には、この上部に原稿圧着板3が面接触する。よって、厚さが厚い原稿が安定してコンタクトガラス21の面上に密着することになる。
また、自動で原稿圧着板3を閉じるには、原稿圧着板自動閉スイッチ26を例えば押込み操作する。この原稿圧着板自動閉スイッチ26の操作により駆動モータ51が開成方向とは反対方向に回転駆動される。駆動モータ51の駆動により、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが係合しているので(図16(a)参照。)、駆動モータ51の回転駆動力が駆動力伝達手段52を介して駆動シャフト55に伝達されてから回動シャフト46に伝達されて原稿圧着板3が自動的に閉じ、原稿圧着板3がコンタクトガラス21面に密着する。このとき、自動閉回転機能が低速機能を有していると、原稿圧着板3が所定の開成角度以下のとき、駆動モータ51が低速回転或いは逆回転されて、第1係合部81の第1端部81aと第2係合部82の第2端部82bとの接触により原稿圧着板3の閉じる方向への回転速度が低減され、原稿圧着板3が勢いよくコンタクトガラス21に衝突することがない。
このように、駆動モータ51の駆動により自動で原稿圧着板3が閉じた直後の閉成状態になると、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが接している(図16(e)参照。)が、開閉角度検知手段160により駆動モータ51が駆動されて、自動で閉じたときとは反対方向に第4歯車64が例えば略35°回転して、第1係合部81の第2端部81bと第2係合部82の第1端部82aとが離れると共に、第2係合部82の第2端部82bと第1係合部81の第1端部81aとが接した状態となる(図16(c)参照。)。
したがって、本発明に係る原稿圧着板自動開閉装置1並びに事務機器2は、原稿圧着板3を手動で開閉するときに、所定の開成位置までは駆動モータ51のディテントトルク等が回動シャフト46にフリクション負荷として付加されないので、原稿圧着板3を手動で閉じるときの中折れ現象を防止することができると共に、重量を感じさせることなく原稿圧着板を手動で開くことができる。また、駆動力伝達手段52内に取り付けた第4歯車64に第1係合部81を設けると共に第5歯車65に第2係合部82を設けたことで、大型で高価なクラッチ装置を別途設ける必要がないので、小型化を図れると共に、構造が簡単で、かつコストアップを防止することができる。
また、リフト部材43に水平位置調節手段45を設けたので、原稿圧着板3のコンタクトガラス21に対する位置を調節することができ、より安定して原稿をコンタクトガラス21に密着させることができる。
また、駆動モータ51がパルスモータであると、原稿圧着板3を自動的に開成方向又は閉成方向に回転させるときに、原稿圧着板3を回転させるトルクとは異なる大きなトルクが発生したときには、駆動モータ51が脱調するので、モータや駆動力伝達手段52等の破損を防止することができる。