JP5538476B2 - 摺動面構造 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動面構造に関するものである。
表面テクスチャリングは流体潤滑領域の拡大や摩擦低減など、摺動特性の改善手法の一つとなっている。サブミクロンの周期ピッチと溝深さをもつグレーティング状の周期構造部はサブミクロンの油膜厚さにおいて、極めて高い負荷能力と剛性をもつことが知られており、往復摺動や回転摺動に利用されている。
しかし、混合潤滑状態(流体潤滑と境界潤滑とが入り混じっている状態)で摺動する際、周期構造部の摩耗や相手部材への攻撃性が問題となる。ここで、周期構造部による攻撃性とは、相手側部材に対する摩耗増大性や損傷性等である。周期構造部の攻撃性を緩和するためには、周期構造部の凸部高さを周期構造未形成部分と面一な高さより低くして、段差高さ(周期構造部の凸部から周期構造未形成部分までの高さ)を設けることが有効である。
そこで、従来においては、摺動面に、周期構造部の凸部よりも高さ位置が高位となる凸部を回転中心部に設けたスラスト軸受がある(特許文献1)。このスラスト軸受では、回転停止時において、摺動面(相手側の摺動面に対面する面)の全体がこの相手側の摺動面に接触することなく、凸部の頂点の接触となる。このため、起動時において、凸部の頂点と相手側の摺動面との接触が、回転中心付近に限定され、摩擦による起動トルクへの影響を小さいものとしている。
特開2001−12456号公報
特許文献1に記載のものでは、摺動面上に凸部を形成する必要がある。この場合の形成方法として、凸部を別部材として形成した後、この摺動面に接合する方法、又は凸部を残すように切削や研削する方法等がある。このため、いずれの形成方法もその加工工程が多く、生産性に劣るものであった。
また、凸部を形成することによって、周期構造部にて形成される油膜が厚くなる傾向にある。このように、油膜が厚くなると、低負荷容量および低剛性を招くことになる。さらに、混合潤滑状態では凸部頂点の接触面圧が高く、容易に焼き付きが発生する。
ところで、段差高さを大きくすると、負荷容量が減少し、油膜の荷重分担率が低下する。このため、混合潤滑特性にも悪影響が出る。そのため、段差高さの負荷容量に及ぼす影響が少なく、混合潤滑特性向上に適したパターニングの開発が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みて、高負荷容量かつ周期構造部の攻撃性を緩和できる摺動面構造を提供する。
本発明の摺動面構造は、第1部材の摺動面と第2部材の摺動面とが潤滑剤下で相対的に摺動する摺動面構造であって、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面に、微小の凹部と微小の凸部とが交互に所定ピッチで配設されてなるグレーティング状凹凸の周期構造部と、グレーティング状凹凸の周期構造部が形成されない周期構造未形成部とが摺動方向に沿って交互に形成され、周期構造部の摺動方向上流側に、周期構造部に流体を導入するための流体導入溝が形成されるとともに、前記周期構造部は摺動面周縁および流体導入溝に連通され、かつ、周期構造部の凸部高さ位置を未形成部の高さ位置よりも低く設定したものである。
本発明の摺動面構造によれば、周期構造の凸部高さ位置が周期構造未形成部の高さ位置より低くなっているので、2面間の接触がともなう混合潤滑において、周期構造の摩耗や攻撃性が緩和される。また、摺動面周縁および流体導入溝に連通したグレーティング状周期構造の形成部と未形成部が摺動方向に沿って交互に形成されるので、周期構造のポンピング効果(流体を引き込む作用)だけでなく、周期構造形成部と未形成部によるステップ効果(周期構造部と周期構造未形成部との境界で圧力が発生し、摺動方向に圧力勾配ができる作用)を併せもつことになる。ステップ効果による負荷容量はポンピング効果による負荷容量に比べて、段差高さによる影響が小さいため、負荷容量を大幅に増加することができる。
流体導入溝の深さを、周期構造部の凹部深さ、及び周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差の10倍以上とするのが好ましい。このように設定することによって、負圧が生じる周期構造部の摺動方向上流側および周期構造未形成部の摺動方向下流側に潤滑剤が抵抗なく導入されることになる。
前記周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の算術平均粗さ以上とするのが好ましい。また、前記周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の最大高さ粗さ以下とするのが好ましい。
周期構造部の凹凸ピッチを10μm以下とするのが好ましく、周期構造部の凹部の深さ
が1μm以下とするのが好ましい。
周期構造部は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成されているのが好ましい。また、周期構造部と前記高低差とは同時加工により形成されてなるのが好ましい。
本発明の摺動面構造では、2面間の接触がともなう混合潤滑において、周期構造の摩耗や攻撃性が緩和され、相手側部材の摩耗増大を防止でき、摺動面構造として長期にわたって安定した機能を発揮することができる。流体導入効果とステップ効果とを併せ持つことになり、高負荷容量でありかつ周期構造部の攻撃性を有効に緩和でき、高品質の摺動面構造の提供が可能となる。なお、このような流体導入溝がない場合、正圧と負圧が同程度の領域に発生するが、流体導入溝を設けることで負圧発生領域が縮小され、負荷容量を大幅に増加することができる。
流体導入溝の深さを、周期構造部の凹部深さ、及び周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差の10倍以上とすることによって、負圧発生領域を大幅に縮小し、摺動面の大部分を正圧発生領域にすることができる。
周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の算術平均粗さ以上とすれば、2面間の接触がともなう混合潤滑状態においても周期構造がほとんど荷重支持することなく摺動する。このため、周期構造の摩耗や相手材への攻撃性を大幅に低減することができる。
前記周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の最大高さ粗さ以下とすれば、負荷容量の大幅な低下を防止することができる。
周期構造部の凹凸ピッチを10μm以下とした場合、摺動面のうねり等に起因する潤滑剤の側方漏れを冗長的に抑えることができ、効率的に動圧を得ることができる。周期構造部の凹部の深さを1μm以下とした場合、油膜変動が小さく、高い負荷容量と剛性を得ることができる。
周期構造部は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成したものでは、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さを持つものを容易に形成できる。
周期構造部と前記高低差とが同時加工により形成されるものでは、加工時間を短縮できて生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。また、同時加工は、レーザの出力を調整することにより可能で安定して高精度に、周期構造部と前記高低差を形成することができる。すなわち、この高低差を摺動面粗さオーダーにすることができる。
本発明の実施形態を示す摺動面構造の要部拡大断面図である。 前記図1に示す摺動面構造の周期構造部を有する摺動面の簡略図である。 前記摺動面に形成される周期構造部の拡大図である。 前記周期構造部を形成するためのレーザ表面加工装置の簡略図である。 算術平均粗さの定義を説明するためのグラフ図である。 最大高さ粗さの定義を説明するためのグラフ図である。 比較例を示し、(a)はスパイラルパターンの周期構造部が形成された摺動面の模式図であり、(b)はステップパターンの周期構造部が形成された摺動面の模式図であり、(c)は間欠スパイラルパターンの周期構造部が形成された摺動面の模式図である。 段差高さと負荷容量との関係を示すグラフ図である。 間欠スパイラルパターンとスパイラルパターンとの平均摩擦係数の比較を示すグラフ図である。 スパイラルパターンの摩擦急増事例を示すグラフ図である。 間欠スパイラルパターンと、溝のみのパターンと、溝と間欠スパイラルパターンとの平均摩擦係数の比較を示すグラフ図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
本発明に係る摺動面構造は、図1に示すように、第1部材1の摺動面1aと第2部材2の摺動面2aとが潤滑剤L下で相対的に摺動するものである。この場合、第1部材1及び第2部材2は、炭素鋼、銅、アルミニウム、白金、超硬合金等であっても、炭化ケイ素や窒化ケイ素等のシリコン系セラミックスであっても、エンジニアプラスチック等であってもよい。また、潤滑剤Lとしても、水やアルコールであっても、さらにはエンジンオイル等の潤滑油等であってもよい。すなわち、第1・第2部材1、2の材質、使用する環境等に応じて種々の潤滑剤を用いることができる。また、第1部材1を例えば図2に示すようにリング体とし、第2部材2を例えば円盤形状体で構成した。
第1部材1の上面が摺動面1aとなり、第2部材2の下面が摺動面2aとなる。第1部材1の摺動面1aにグレーティング状凹凸の周期構造部3が周方向に所定ピッチで複数個形成される。すなわち、グレーティング状凹凸の周期構造部3と周期構造未形成部4とが摺動方向に沿って交互に形成される。
周期構造部3は図3に示すように、微小の凹部5と微小の凸部6とが交互に所定ピッチで配設されてなるものである。周期構造部3の凹凸ピッチを10μm以下とし、凹部5の深さ(T1)を1μm以下とするのが好ましい。この場合、周期構造部3の凹部5は、第1部材1の外周縁(摺動面周縁)1bに連通(開口)している。第1部材1の内周縁1cには開口していない。
周期構造部3はスパイラル状に湾曲し、各周期構造部3の湾曲方向が同一に設定され、第1部材1と第2部材2との少なくもいずれか一方がその軸心廻りに回転することによって、第1部材1の周期構造部3が、摺動面1aの外周縁側から潤滑剤が第1部材1の内部に導入されるように設定される。
また、周期構造部3が形成された第1部材1には、周期構造部3の摺動方向上流側に流体導入溝20が形成されている。すなわち、流体導入溝20は、各周期構造部3の摺動方向上流端に、外周縁1bと内周縁1cとに連通される径方向溝からなる。流体導入溝20の深さ寸法dとしては、周期構造部3の凹部深さT1、及び、周期構造部3の凸部高さ位置Aと未形成部の高さ位置Bとの高低差Tの10倍以上とする。例えば、その幅寸法W1が0.5mm程度で、深さ寸法dが0.5mm程度とされる。
周期構造部3は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成している。具体的には、図4に示すフェムト秒レーザ表面加工装置を使用する。レーザ発生器11(チタンサファイアフェムト秒レーザ発生器)で発生したレーザ(例えば、パルス幅:120fs、中心波長800nm、繰り返し周波数:1kHz、パルスエネルギー:0.25〜400μJ/pulse)は、ミラー12により加工材料Wに向けて折り返され、メカニカルシャッタ13に導かれる。レーザ照射時はメカニカルシャッタ13を開放し、レーザ照射強度は1/2波長板14と偏光ビームスプリッタ16によって調整可能とし、1/2波長板15によって偏光方向を調整し、集光レンズ(焦点距離:150mm)17によって、XYθステージ19上の加工材料W表面に集光照射する。なお、フェムト秒レーザはフェムト秒(1000兆分の1秒)オーダーという極端に短い時間単位の中にエネルギーを圧縮した光源である。
アブレーション閾値近傍のフルエンスで直線偏光のレーザをワーク(加工材料)Wに照射した場合、入射光と加工材料Wの表面に沿った散乱光またはプラズマ波の干渉により、波長オーダーのピッチと溝深さを持つグレーティング状の周期構造部が偏光方向に直交して自己組織的に形成される。このとき、フェムト秒レーザをオーバラップさせながら走査させることで、周期構造部を広範囲に拡張することができる。
レーザのスキャンは、レーザを固定して加工材料Wを支持するXYθステージ19を移動させても、XYθステージ19を固定してレーザを移動させてもよい。あるいは、レーザとXYθステージ19を同時移動させてもよい。なお、前記図3は、前記フェムト秒レーザ表面加工装置にて形成した周期構造部3を電子顕微鏡で撮像した図である。
そして、本発明の摺動面構造では、図1に示すように、周期構造部3の凸部高さ位置Aを未形成部4の高さ位置Bよりも低く設定している。周期構造部3の凸部高さ位置Aと未形成部4の高さ位置Bとの高低差を摺動面1a(第1部材1の上面における未形成部4及び周期構造部3より内径側の面)の算術平均粗さRa以上としている。また、この高低差を摺動面1aの最大高さ粗さRz以下としている。
算術平均粗さRaは、図5に示すように、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線mの方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の数1の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
また、最大高さ粗さRzは、図6に示すように、粗さ曲線からその平均線mの方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。すなわち、(Rz=Rp+Rv)となる。
本発明において、図1に示すように、摺動面1aから周期構造部3の凸部高さ位置Aまでを段差高さ(高低差)Tと呼び、周期構造部3の凸部6の高さ(周期構造部3の凹部5の深さ)を周期構造部深さT1と呼び、摺動運動中の摺動面間隙間を平滑部すきまSと呼ぶ。
また、周期構造部3と前記高低差(段差高さ)Tとは同時加工により形成することができる。すなわち、フェムト秒レーザ表面加工装置において、周期構造部3を形成する際に、レーザの出力を調整することによって、その同時加工が可能となる。
本発明の摺動面構造では、周期構造部3の凸部高さ位置Aが周期構造未形成部4の高さ位置Bより低くなっているので、2面間の接触がともなう混合潤滑において、周期構造部3の摩耗や攻撃性が緩和される。このため、相手側部材の摩耗増大を防止でき、摺動面構造として長期にわたって安定した機能を発揮することができる。
また、摺動面周縁1bまたは流体導入溝20に連通したグレーティング状周期構造の形成部3と未形成部4が摺動方向に沿って交互に形成されるので、周期構造部のポンピング効果(流体を引き込む作用)だけでなく、周期構造形成部3と未形成部4によるステップ効果(周期構造部3と周期構造未形成部4との境界で圧力が発生し、摺動方向に圧力勾配ができる作用)を併せもつことになる。ステップ効果による負荷容量はポンピング効果による負荷容量に比べて、段差高さTによる影響が小さいため、高負荷容量でありながら周期構造部3の摩耗や攻撃性を緩和することができ、高品質の摺動面構造の提供が可能となる。なお、このような流体導入溝20がない場合、正圧と負圧が同程度の領域に発生するが、流体導入溝20を設けることで負圧発生領域が縮小され、負荷容量を大幅に増加することができる。
流体導入溝20の深さdを、周期構造部3の凹部深さT1、及び周期構造部3の凸部高さ位置Aと未形成部4の高さ位置Bとの高低差の10倍以上とすることによって、負圧発生領域を大幅に縮小し、摺動面の大部分を正圧発生領域にすることができる。
周期構造部3の凸部高さ位置Aと未形成部4の高さ位置Bとの高低差を前記摺動面の算術平均粗さ以上とすれば、2面間の接触がともなう混合潤滑状態においても周期構造部3がほとんど荷重支持することなく摺動する。このため、周期構造部3の摩耗や相手材への攻撃性を大幅に低減することができる。
前記周期構造部3の凸部高さ位置Aと未形成部4の高さ位置Bとの高低差を前記摺動面の最大高さ粗さ以下とすれば、負荷容量の大幅な低下を防止することができる。
周期構造部3の凹凸ピッチを10μm以下とした場合、摺動面のうねり等に起因する潤滑剤の側方漏れを冗長的に抑えることができ、効率的に動圧を得ることができる。周期構造部3の凹部5の深さを1μm以下とした場合、油膜変動が小さく、高い負荷容量と剛性を得ることができる。
周期構造部3は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成したものでは、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さを持つものを容易に形成できる。
周期構造部3と高低差Tとが同時加工により形成されるものでは、加工時間を短縮できて生産性の向上及び低コスト化を図ることができる。また、同時加工は、レーザの出力を調整することにより可能で安定して高精度に、周期構造部3と高低差を形成することができる。すなわち、この高低差を摺動面粗さオーダーにすることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、周期構造部3を第2部材2側に形成してもよく、第1部材1及び第2部材2の両側に設けてもよい。さらに、内周縁側から潤滑剤が導入されるように設けてもよい。また、第1部材1と第2部材2の形状としても、図例のものに限らず、他の種々の形状のものにて構成できる。周期構造部3の大きさ、配設ピッチ等は、使用する第1・第2部材の大きさ、材質、潤滑剤の種類、摺動速度等に応じて種々変更することができる。
第1部材1と第2部材2の相対的な摺動運動は、第1部材1を固定して第2部材2を摺動させるものであっても、逆に第2部材2側を固定して、第1部材側を摺動させるものであってもよい。すなわち、周期構造部3が形成されている方を摺動させても、周期構造部3が形成されない方を摺動させてもよい。また、第1部材1と第2部材2の双方を摺動させるものであってもよい。
図2に示す実施形態においては、周期構造部3が6個であり、未形成部4が6個であったが、これらに限るものではなく、周期構造部3の増減は任意である。また、一の周期構造部3及び未形成部4の周方向長さや径方向長さ等も任意に設定できる。しかし、ステップ効果は周期構造部3及び未形成部4の周方向長さや径方向長さに影響を受けるため、周期構造部3の周方向長さは径方向長さの1〜5倍程度にすることが好ましい。また、未形成部4の周方向長さは周期構造部3の周方向長さの0.2〜2.0倍程度にするのが好ましい。また、流体導入溝20は少なくとも外周縁1bか内周縁1cの一方に連通されていればよい。
ところで、前記実施形態では、周期構造部3を形成する際に、パルスレーザであるフェムト秒レーザを用いたが、フェムト秒レーザ以外のピコ秒レーザやナノ秒レーザといったパルスレーザを使用することもできる。
本発明の摺動面構造によれば、流体導入効果及びステップ効果を発揮して低摩擦を得ることができる。このため、本発明の摺動面構造は、各種の自動車部品、機械部品、ポンプ等の種々の機器に使用可能である。
周期構造部3の摩耗や相手攻撃性を緩和するめには段差高さT(図1参照)を設け、周期構造部3の凸部高さ位置Aを周期構造未形成部4の高さ位置Bより低くすることが有効である。しかし、段差高さTを大きくすると負荷容量が減少し、油膜の荷重分担率が低下するため、混合潤滑特性にも悪影響が出る。そこで、段差高さTの負荷容量に及ぼす影響を評価し、混合潤滑特性向上に適したパターニングを検討した。
試験片(リング試験片)として、図7(a)に示すように周期構造部3がスパイラルパターンであるものと、図7(b)に示すように周期構造部3がステップパターンであるものと、図7(c)に示すように間欠スパイラルパターンであるものを使用した。
図7(a)の試験片は、周期構造部(ピッチ0.7μm、深さ0.2μm)をスパイラル状に形成したものであり、図7(b)の試験片は同心円状の周期構造部を周方向に沿って間欠的に形成したものであり、図7(c)の試験片は、図1と図2とに示す本願発明の第1部材において、流体導入溝20を省略したものである。この図7は各パターンの模式図を示し、各パターン(スパイラルパターン、ステップパターン、間欠スパイラルパターン)の負荷容量を無限溝数理論を用いて計算した。
平滑部すきまS(図1参照)を0.2μm、周期構造部3の丘溝比を0.5とし、3パターンの周期構造形成領域を最適化した際の段差高さと負荷容量の関係を図8に示す。スパイラルパターンは段差高さTが0では大きな負荷容量が得られるが、段差高さTの増加に対して負荷容量が指数的に減少する。ステップパターンでは段差高さTの増加によって負荷容量が一旦増加した後、緩やかに減少に転じている。ステップパターンの負荷容量はスパイラルパターンと比較して段差高さTの影響を受けにくく、段差高さTが0.1μmではステップパターンの負荷容量の方がスパイラルパターンより若干大きくなっている。間欠スパイラルパターンはスパイラルパターンとステップパターンの特性を併せもち、全領域でステップパターンを上回る負荷容量が得られている。したがって、間欠スパイラルパターンは負荷容量の低減を低く抑えつつ周期構造の摩耗や攻撃性を緩和できることから、混合潤滑特性向上に適した有力なパターンとなる。なお、図8の縦軸は任意単位(a.u.)である。

リングオンディスク試験装置を用いて実験を行った。リング試験片を回転側試験片(SUS440C)、ディスク試験片(アルミナ)を固定側試験片とした。各試験片の表面粗さはRa0.02μm以下とした。ディスク試験片は全て鏡面とし、リング試験片(外径16mm、内径10mm)はスパイラル、間欠スパイラル、(溝+間欠スパイラル)(図1と図2に示す本発明に係るパターン)の3パターンとした。(溝+間欠スパイラル)は、流体導入溝20により間欠スパイラルの負圧発生領域を解消し、負荷容量の増大を目的としたものである。摺動方向に対する周期構造の傾斜角はθ=45°とした。周期構造のピッチは約0.7μm、深さは約0.2μmとし、段差高さは約0.1μmとした。また、流体導入溝は幅0.5mm、深さ0.5mmとした。基本的な潤滑特性を評価するため、潤滑剤には極性を持たず熱的・化学的に安定なPAO4(18.82cP @37℃)を用いた。荷重は40N(0.33MPa)とし、摺動速度を81.5mm/sから3.3mm/sまで段階的に低下させながら、各摺動速度における5minの平均摩擦係数を測定した。なお、図7(b)(c)における周期構造部3の範囲を42degとし、未形成部4の範囲を18degとしている。
スパイラルと間欠スパイラルの平均摩擦係数の比較を図9に示す。最小摩擦係数を示す摺動速度を混合潤滑移行速度とすると、スパイラルでは14.6mm/sであった。一方、間欠スパイラルでは10.8mm/sとなり、スパイラルより低速で混合潤滑に移行した。段差高さTが0.1μmでは間欠スパイラルの負荷容量がスパイラルより40%弱大きくなるという計算結果とほぼ一致する。
流体潤滑となる高速摺動域ではスパイラルの方が低摩擦係数となった。スパイラルは間欠スパイラルと比較して鏡面部分の面積が狭く、等価すきまが大きくなるため、潤滑剤のせん断抵抗が低下したものと考えられる。混合潤滑となる低速摺動域では図10に示すようにスパイラルの摩擦係数が急増する事例が認められた.スパイラルでは鏡面の面積が狭く接触面圧が高いことと、鏡面同士の接触が連続的に続くことから、焼付きが生じやすくなると考えられる。一方、間欠スパイラルでは混合潤滑となる低速摺動域の摩擦係数も安定しており、複数サンプル間の摩擦係数はほぼ同じ値となった。
間欠スパイラルと(溝+間欠スパイラル)の平均摩擦係数の比較を図11に示す。参考のため、溝のみ形成した試験片データもあわせて示す。流体導入溝を形成することで摩擦係数は混合潤滑域を含む全しゅう動速度域で約35%低下し、(溝+間欠スパイラル)は最も優れた流体・混合潤滑特性となった。間欠スパイラルでは正圧と負圧が同程度の領域で発生するが、流体導入溝により負圧発生領域が大幅に縮小され、負荷容量が増加したと考えられる。
段差高さの負荷容量に及ぼす影響を評価し、混合潤滑特性向上に適したパターニングを検討した結果、以下(1)(2)(3)の結論を得た。
(1)段差高さTが0.1μmでの負荷容量は、スパイラルより間欠スパイラルの方が大きくなる。
(2)リングオンディスク試験において、間欠スパイラルはスパイラルより混合潤滑移行速度を低くすることができ、混合潤滑において安定した摩擦係数が得られた。
(3)(溝+間欠スパイラル)は、間欠スパイラルの負圧発生領域を解消し、最も優れた流体・混合潤滑特性を示した。
1 第1部材
1b 周縁
1a、2a 摺動面
2 第2部材
3 周期構造部
4 周期構造未形成部
5 凹部
6 凸部
20 流体導入溝

Claims (8)

  1. 第1部材の摺動面と第2部材の摺動面とが潤滑剤下で相対的に摺動する摺動面構造であって、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面に、微小の凹部と微小の凸部とが交互に所定ピッチで配設されてなるグレーティング状凹凸の周期構造部と、グレーティング状凹凸の周期構造部が形成されない周期構造未形成部とが摺動方向に沿って交互に形成され、周期構造部の摺動方向上流側に、周期構造部に流体を導入するための流体導入溝が形成されるとともに、前記周期構造部は摺動面周縁および流体導入溝に連通され、かつ、周期構造部の凸部高さ位置を未形成部の高さ位置よりも低く設定したことを特徴とする摺動面構造。
  2. 流体導入溝の深さを、周期構造部の凹部深さ、及び周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差の10倍以上としたことを特徴とする請求項1に記載の摺動面構造。
  3. 前記周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の算術平均粗さ以上としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摺動面構造。
  4. 前記周期構造部の凸部高さ位置と未形成部の高さ位置との高低差を前記摺動面の最大高さ粗さ以下としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  5. 周期構造部の凹凸ピッチが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  6. 前記周期構造部の凹部の深さが1μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  7. 前記周期構造部は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  8. 前記周期構造部と前記高低差とは同時加工により形成されてなることを特徴とする請求項7に記載の摺動面構造。
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