JP2013160338A - 摺動面構造および摺動面構造製造方法 - Google Patents

摺動面構造および摺動面構造製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】なじみ過程中に摩耗粉の凝着や凝集を防止し、なじみ過程に適した摺動面構造を提供する。
【解決手段】摺動面1aを有する第1部材1と摺動面2aを有する第2部材2とが、第1部材1と第2部材2との少なくともいずれか一方の摺動面1a周縁部が他方の摺動面2aに当接して、相対的に摺動する摺動面構造である。摺動前状態において、摺動面周縁部に、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部3を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、摺動面構造および摺動面構造製造方法に関するものである。
内輪と、外輪と、内外輪間に複数のころを配設した円筒ころ軸受や円すいころ軸受では、内輪の軌道面及び外輪の軌道面に対してころが線接触する。しかしながら、このような線接触軸受において、内外輪の軌道面ところの軌道面とが単純な円筒面や円すい面であると、エッジロードが発生してこれらの軸受の疲労寿命が低下する。
例えば、図10(a)に示すように、矩形体50が無限平面51に接触する際、矩形体50の端部50aの接触応力は、図10(b)に示すように、無限大となる。そのため、一方の摺動面周縁が他方に摺動面に当接する摺動面構造では、接触領域の端部でエッジ応力と呼ばれる過大な応力が生じることがある。
このため、図11(a)に示すように、クラウニング加工を施し、クラウニング52を形成して、接触圧力の分布が略均一になるように設定している。これによって、図11(b)に示すように、エッジ応力が緩和される。ここで、クラウニング加工とは、工作物の面の形状を中高(なかだか)に加工することであり、中高とは、平面であるべき面が凸面になっている状態のことをいう。なお、図10と図11において、Wは矩形体50から平面51に負荷される荷重を示し、2aは矩形体50の長さ寸法を示している。
したがって、例えば、図12に示すように、内輪55の軌道面56と外輪57の軌道面58とに接触するころ59の転動面60にクラウニング61、61を形成して、接触圧力の分布が略均一になるように設定している(特許文献1及び特許文献2)。
実用新案登録第2554882号公報 特許第4429842号公報
しかしながら、工作機械の案内面など大面積や複雑形状をもつ平行すべり面にクラウニングを施すことは極めて困難である。ところで、平行すべり面では、通常、なじみ運転により接触応力に応じて摩耗が起こり、結果的に例えば高低差が0.1μm〜0.2μm程度のクラウニングが形成される。
なじみ運転によってクラウニングを形成しようとすれば、なじみ運転は穏やかな摩耗が進行するように十分にコントロールされたものでなければ、エッジ応力によって急激な摩耗が発生し、摩擦係数の上昇や焼付きを起す。そのため、なじみ過程中に摩耗粉の凝着や凝集が生じることになる。
本発明は、上記課題に鑑みて、なじみ過程中に摩耗粉の凝着や凝集を防止し、なじみ過程に適した摺動面構造および摺動面構造製造方法を提供する。
本発明の摺動面構造は、摺動面を有する第1部材と摺動面を有する第2部材とが、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面周縁部が他方の摺動面に当接して、相対的に摺動する摺動面構造であって、摺動前状態において、前記摺動面周縁部に、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部が形成されているものである。
本発明の摺動面構造によれば、摺動前状態において、エッジ応力が発生する摺動面周縁に連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部を設けているため、第1部材と第2部材との間で相対的な摺動を開始するなじみ過程では、凹凸の凸部先端から選択的に摩耗が進行し、速やかにエッジ応力が緩和される。また、凹凸の高さが連続的に変化するため、なじみ過程初期は接触面積が小さく、摩耗は離散的に生じる。
前記周期構造部が摺動方向に延びる複数の微小溝にて構成される微小周期構造であるのが好ましい。また、周期構造部が凹部の深さを0.1μm以上1.0μm以下とすることができ、周期構造部の周期ピッチを10μm以下とできる。
前記周期構造部は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成されているのが好ましい。
本発明の摺動面構造製造方法は、摺動面を有する第1部材と摺動面を有する第2部材とが、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面周縁部が他方の摺動面に当接して、相対的に摺動することによって、前記摺動面周縁部を有する部材側にクラウニングを形成する摺動面構造製造方法であって、前記摺動面周縁部に、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部を形成した後、第1部材と第2部材とを相対的に摺動させることによって、前記周期構造部を摩耗させてこの周期構造部を有する部材側にクラウニングを形成するものである。
本発明の摺動面構造製造方法によれば、第1部材と第2部材とを相対的に摺動させるなじみ過程では凹凸の凸部先端から選択的に摩耗が進行し、速やかにエッジ応力が緩和される。また、凹凸の高さが連続的に変化するため、なじみ過程初期は接触面積が小さく、摩耗は離散的に生じる。
本発明の摺動面構造では、速やかにエッジ応力が緩和され、急激な摩耗の発生が防止され、摩擦係数の上昇や焼付きを防止できる。また、摩耗は離散的に生じ、摩耗粉は凹部から順次排出されるため摩耗粉の凝着や凝集が起こりにくく、なじみ運転の短縮と条件のロバスト化が可能となる。このため、本発明の摺動面構造では、周期構造部が形成されている側の部材に、凝着等の機械的乱による焼付きを発生させることなく、安定してクラウニングを施すことができる。
周期構造部が摺動方向に延びる複数の微細溝にて構成される微細周期構造であれば、凹部での摩耗粉排出機能が高く、摩耗粉の凝着や凝集の防止効果を向上することができる。
周期構造の凹凸を0.1μm以上1.0μm以下とすることで、過度な摩耗を防止しながらなじみ運転の短縮と条件のロバスト化が可能となる。事前のクラウニング加工が困難な大面積や複雑形状をもつ摺動面の場合、なじみ運転によって形成されるクラウニングの高低差は0.1μm〜0.2μm程度であることが知られている。そのため、周期構造の凹凸が0.1μm未満であればなじみ過程完了前に摩滅する。一方、凹凸が必要以上に深すぎる(1.0μmを超える)と接触面積の減少が大きく高面圧になるため、過度な摩耗が生じることになる。
周期構造の周期ピッチを10μm以下とすることで接触面が微小領域に離散化され、摩耗粉の凝着や凝集の防止効果を向上することができる。
周期構造部を、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成したものでは、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さをもつ周期構造を容易に得ることができる。
本発明の摺動面構造製造方法によれば、凝着等の機械的乱による焼付きを発生させることなく、安定してクラウニングを施すことができる。
本発明の実施形態を示す摺動面構造の要部拡大断面図である。 前記図1に示す摺動面構造の周期構造部を有する部材の平面図である。 前記摺動面に形成される周期構造部の拡大図である。 前記周期構造部を形成するためのレーザ表面加工装置の簡略図である。 周期構造部の断面プロファイル図である。 摺動時間と摩擦係数との関係を示すグラフ図である。 摺動速度と摩擦係数との関係を示すグラフ図である。 算術平均粗さの定義を説明するためのグラフ図である。 最大高さ粗さの定義を説明するためのグラフ図である。 弾性接触圧力分布を示し、(a)はクラウニングなしの矩形体の簡略図であり、(b)は(a)を用いた場合の圧力分布図である。 弾性接触圧力分布を示し、(a)はクラウニング有りの矩形体の簡略図であり、(b)は(a)を用いた場合の圧力分布図である。 クラウニングを有するころを用いたころ軸受の断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
本発明に係る摺動面構造は、図1に示すように、第1部材1の摺動面1aと第2部材2の摺動面2aとが潤滑剤L下で相対的に摺動するものである。この場合、第1部材1及び第2部材2は、炭素鋼、銅、アルミニウム、白金、超硬合金等であっても、炭化ケイ素や窒化ケイ素等のシリコン系セラミックスであっても、エンジニアプラスチック等であってもよい。また、潤滑剤Lとしても、水やアルコールであっても、さらにはエンジンオイル等の潤滑油等であってもよい。すなわち、第1・第2部材1、2の材質、使用する環境等に応じて種々の潤滑剤を用いることができる。また、第1部材1を例えば図2に示すようにリング体とし、第2部材2を例えば円盤形状体で構成した。
第1部材1の上面に周方向に沿って所定ピッチ(この実施形態では、90°ピッチ)で4つ円弧部20が設けられ、この円弧部20の上面が摺動面1aとされる。また、第2部材2の下面が摺動面2aとなる。第1部材1の各摺動面1aの内周縁部及び外周縁部にそれぞれグレーティング状凹凸の周期構造部3が形成される。
周期構造部3は図3に示すように、微小の凹部5と微小の凸部6とが交互に所定ピッチで配設されてなるものである。周期構造部3の凹凸ピッチを10μm以下とし、凹部5の深さTを0.1μm以上1μm以下とするのが好ましい。また、周期構造部3の幅寸法(径方向寸法)は例えば100μmとする。図5はこの周期構造部3の断面プロファイルを示している。このように、周期構造部3は、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部3である。
周期構造部3は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成している。具体的には、図4に示すフェムト秒レーザ表面加工装置を使用する。レーザ発生器11(チタンサファイアフェムト秒レーザ発生器)で発生したレーザ(例えば、パルス幅:120fs、中心波長800nm、繰り返し周波数:1kHz、パルスエネルギー:0.25〜400μJ/pulse)は、ミラー12により加工材料Wに向けて折り返され、メカニカルシャッタ13に導かれる。レーザ照射時はメカニカルシャッタ13を開放し、レーザ照射強度は1/2波長板14と偏光ビームスプリッタ16によって調整可能とし、1/2波長板15によって偏光方向を調整し、集光レンズ(焦点距離:150mm)17によって、XYθステージ19上の加工材料W表面に集光照射する。なお、フェムト秒レーザはフェムト秒(1000兆分の1秒)オーダという極端に短い時間単位の中にエネルギーを圧縮した光源である。
アブレーション閾値近傍のフルエンスで直線偏光のレーザをワーク(加工材料)Wに照射した場合、入射光と加工材料Wの表面に沿った散乱光またはプラズマ波の干渉により、波長オーダのピッチと溝深さを持つグレーティング状の周期構造部を偏光方向に直交して自己組織的に形成される。このとき、フェムト秒レーザをオーバラップさせながら走査させることで、周期構造部を広範囲に拡張することができる。
レーザのスキャンは、レーザを固定して加工材料Wを支持するXYθステージ19を移動させても、XYθステージ19を固定してレーザを移動させてもよい。あるいは、レーザとXYθステージ19を同時移動させてもよい。なお、前記図3は、前記フェムト秒レーザ表面加工装置にて形成した周期構造部3を電子顕微鏡で撮像した図である。
このように構成された摺動面構造において、第1部材1と第2部材2との少なくともいずれか一方の摺動面1a周縁部が他方の摺動面2aに当接して、相対的に摺動するようにすれば、そのなじみ過程によって、一方の摺動面1a側にクラウニングが形成される。この場合、エッジ応力が発生する摺動面周縁に連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部3を設けているため、なじみ過程では凹凸の凸部6先端から選択的に摩耗が進行し、速やかにエッジ応力が緩和されるクラウニングが形成される。したがって、急激な摩耗の発生が防止され、摩擦係数の上昇や焼付きを防止できる。
凹凸の凸部6の高さが連続的に変化するため、なじみ過程初期は接触面積が小さく、わずかな摩耗量でなじみが進行する。摩耗は離散的に生じ、摩耗粉は凹部5から順次排出されるため摩耗粉の凝着や凝集が起こりにくく、なじみ運転の短縮と条件のロバスト化が可能となる。このため、この摺動面構造では、周期構造部3が形成されている側の部材(図例では第1部材1)に、凝着等の機械的乱による焼付きを発生させることなく、安定してクラウニングを施すことができる。
周期構造部3が摺動方向に延びる複数の微細溝にて構成される微細周期構造であるので、凹部5での摩耗粉排出機能が高く、摩耗粉の凝着や凝集の防止効果を向上するとができる。
周期構造部3の凹凸を0.1μm以上1.0μm以下とすることで、過度な摩耗を防止しながらなじみ運転の短縮と条件のロバスト化が可能となる。事前のクラウニング加工が困難な大面積や複雑形状をもつ摺動面の場合、なじみ運転によって形成されるクラウニングの高低差は0.1μm〜0.2μm程度であることが知られている。そのため、周期構造の凹凸が0.1μm未満であればなじみ過程完了前に摩滅する。一方、凹凸が必要以上に深すぎる(1.0μmを超える)と接触面積の減少が大きく高面圧になるため、過度な摩耗が生じることになる。
周期構造部3の周期ピッチを10μm以下とすることで接触面が微小領域に離散化され、摩耗粉の凝着や凝集の防止効果を向上することができる。
周期構造部3を、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成したものでは、機械加工では困難なサブミクロンの周期ピッチと凹凸深さをもつ周期構造を容易に得ることができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態では、周期構造部3を第2部材2側に形成してもよく、第1部材1及び第2部材2の両側に設けてもよい。また、第1部材1と第2部材2の形状としても、図例のものに限らず、他の種々の形状のものにて構成できる。すなわち、第1部材1を、円筒ころや円すいころ等であってもよく、第1部材がこのようなころであれば、第2部材2が、ころ軸受の内輪や外輪となる。すなわち、本発明の摺動面構造は、クラウニングの形成が必要な各種に自動車部品、機械部品等の種々の機器に使用可能である。
周期構造部3の大きさや配設ピッチ等は、使用する第1・第2部材1,2の大きさ、材質、潤滑剤の種類、摺動速度等に応じて種々変更することができる。また、前記実施形態では、第1部材1の4つ円弧部20を形成し、この各円弧部20の摺動面1aの内周縁部及び外周縁部にそれぞれ周期構造部3が形成されるものであったが、半径方向周縁部に周期構造部3を形成してもよく、外周縁部とのいずれか一方の周期構造部3を省略してもよい。また、円弧部20の数は任意であり、円弧部20を形成することなく、第1部材1の上面全体を摺動面1aとしてもよい。
第1部材1と第2部材2の相対的な摺動運動は、第1部材1を固定して第2部材2を往復動させるものあっても、逆に第2部材2側を固定して、第1部材1側を摺動させるものであってもよい。すなわち、周期構造部3が形成されている方を摺動させても、周期構造部3が形成されない方を摺動させてもよい。また、第1部材1と第2部材2の双方を摺動させるものであってもよい。
ところで、前記実施形態では、周期構造部3を形成する際に、パルスレーザであるフェムト秒レーザを用いたが、フェムト秒レーザ以外のピコ秒レーザやナノ秒レーザといったパルスレーザを使用することもできる。
摺動面構造の摩擦係数の変化について、リングオンディスク試験装置を用いた試験を行った。この場合、リング形状体の第1部材1を回転側試験片とし、円盤形状体の第2部材2を固定側試験片とした。また、各試験片の摺動面は表面粗さ(算術平均粗さ)Raを0.02μm、最大高さ粗さRzを0.15μm程度に仕上げた。
ここで、算術平均粗さRaとは、図8に示すように、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線mの方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の数1の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
また、最大高さ粗さRzは、図9に示すように、粗さ曲線からその平均線mの方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。すなわち、(Rz=Rp+Rv)となる。
リング試験片(外径15mm、内径10mm)には円周方向に4つの摺動面(中心角36°)を90°ピッチで形成した。リング試験片の摺動面の内周側周縁と外周側周縁には摺動方向に沿った円周方向の周期構造部3を形成した。周期構造部3のなじみ過程に及ぼす影響のみを評価するため、負荷容量に影響を及ぼす半径方向の周縁には周期構造部の形成は行わなかった。周期構造部3のピッチは約0.7μm、深さは約0.2μmとし、周期構造部形成幅(径方向幅)は100μmとした。
周期構造は、図4で記載したフェムト秒レーザ表面加工装置にて形成した。すなわち、直線偏光のフェムト秒レーザを加工しきい値近傍のエネルギー密度で材料表面に照射し、図5に示すような正弦波状に変化する断面プロファイルをもつ周期構造を形成した。潤滑剤には極性をもたず熱的・化学的に安定なPAO2を用いた。荷重を20Nで固定し、摺動速度を81.5mm/sから3.3mm/sまで5分毎に段階的に低下させながら摩擦係数(1回目)を測定した。その後、再び摺動速度を81.5mm/sから3.3mm/sまで5分毎に段階的に低下させながら摩擦係数(2回目)を測定した。
内周側周縁と外周側周縁への周期構造部3の形成加工有無による摩擦係数(1回目)の比較を図6に示す。周縁加工の有無にかかわらず摺動速度の低下に対して摩擦係数が増加する混合潤滑状態となった。しかしながら、周縁加工ありの場合は周縁加工なしの場合と比較して低摩擦となり、摩擦係数の変動も小さくなった。混合潤滑の場合、摺動面間の接触によってなじみが進行するが、周縁加工ありの場合、図7に示すように1回目と2回目の平均摩擦係数はほぼ一致し、各摺動速度において5分毎の摺動時間でなじみ過程が完了していたことがわかる。
一方、周縁加工なしの場合、2回目の摩擦係数測定のために摺動速度を81.5mm/sまで上昇させた直後に摩擦係数が急増し、実験を中止した。周縁加工なしでは5分毎の摺動時間で十分ななじみが進行せず、凝着等の機械的擾乱による焼き付きが発生した。
摺動面周縁に周期構造部3を形成すると、凹凸の凸部先端から選択的に摩耗が進行し、速やかにエッジ応力が緩和される。凹凸の高さが連続的に変化するため、なじみ過程初期は接触面積が小さく、わずかな摩耗量でなじみが進行する。また、摩耗は離散的に生じ、摩耗粉は凹部から順次排出されるため摩耗粉の凝着や凝集が起こりにくく、なじみ運転の短縮と条件のロバスト化が可能となる。特に摺動方向に沿った摺動面周縁は、エッジ応力が作用しながら摺動する距離と時間が長くなり機械的援乱や温度上昇が生じやすいため、周期構造によるなじみ運転の短縮と条件のロバスト化の効果が大きくなる。摺動方向に沿っていない摺動面周縁に周期構造部3を形成した場合は動圧が発生するため、なじみ特性だけでなく動圧特性の改善効果も得ることができる。
1a 摺動面
1 第1部材
2a 摺動面
2 第2部材
3 周期構造部
5 凹部

Claims (6)

  1. 摺動面を有する第1部材と摺動面を有する第2部材とが、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面周縁部が他方の摺動面に当接して、相対的に摺動する摺動面構造であって、
    摺動前状態において、前記摺動面周縁部に、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部が形成されていることを特徴とする摺動面構造。
  2. 前記周期構造部が摺動方向に延びる複数の微小溝にて構成される微小周期構造であることを特徴とする摺動面構造。
  3. 前記周期構造部が凹部の深さを0.1μm以上1.0μm以下とすることを特徴とする摺動面構造。
  4. 周期構造部の周期ピッチが10μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  5. 前記周期構造部は、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバラップさせながら走査して、自己組織的に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動面構造。
  6. 摺動面を有する第1部材と摺動面を有する第2部材とが、第1部材と第2部材との少なくともいずれか一方の摺動面周縁部が他方の摺動面に当接して、相対的に摺動することによって、前記摺動面周縁部を有する部材側にクラウニングを形成する摺動面構造製造方法であって、
    前記摺動面周縁部に、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造部を形成した後、第1部材と第2部材とを相対的に摺動させることによって、前記周期構造部を摩耗させてこの周期構造部を有する部材側にクラウニングを形成することを特徴とする摺動面構造製造方法。
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