JPH0647725U - テーパランド型スラスト軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 潤滑油に異物が混入していてもランド部が摩
耗しにくいテーパランド型スラスト軸受の提供。 【構成】 給油ポート１０に連続するテーパ部１１と、
このテーパ部１１に連なるランド部１２からなるセグメ
ント９が、周方向に複数個連続して固定されており、同
ランド部１２は、ほぼ半径方向に延びる硬質部２１と軟
質部２２とが交互に複数本配列した層状部２３を形成し
ていて、異物が混入した潤滑油が給油ポート１０からテ
ーパ部１１を経てランド部１２に侵入して来ても、硬質
部２１が形成されているため、ランド部１２の摩耗が低
減される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はガスタービンや過給機等の高速回転装置に使用される固定セグメント からなるテーパランド型スラスト軸受に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年ガスタービン、過給機等の性能は著しく向上する傾向にあり、また軸受の 長寿命化が要求されつつある。しかしながら作動油のフィルトレーションシステ ムは、現状維持のため劣化が進むと共にコンタミの混入も考えられ、遂には軸受 に異常摩耗が発生して軸受の機能を満足しなくなる。 ここで図３〜図６についてガスタービンコンプレッサ軸受の従来構造について 説明すると、図３は一般的なガスタービンコンプレッサの構造及び給油系統を模 式的に示すもので、１はハウジング、２はロータで、同ロータ２はロータ軸３、 コンプレッサ翼車４、スラストカラー５及びタービン６よりなる。またロータ２ は一対のジャーナル軸受７によって支持されると共に、前記スラストカラー５の 両側に対設したスラスト軸受８によりスラスト荷重が支えられるように構成され ている。 このような構成のガスタービンコンプレッサでは、一対のジャーナル軸受７は ロータ２の自重を支えるだけ（竪型の場合には、自重は加わらずに単に位置決め 作用するだけ）であるのに対し、スラスト軸受８にはコンプレッサ翼車４及びタ ービン６の羽根に作用する空気力学的な圧力により生ずる合力の負荷荷重が加わ る。ガスタービンのスラスト荷重は、通常回転数の増加につれてスラスト荷重が 大きくなる性質を有している。

【０００３】 図４〜図６は前記従来のスラスト軸受８の詳細を示し、図４は図３の要部拡大 断面図、図５は図４のＢ〜Ｂ断面図、図６は図５のＣ〜Ｃ断面図である。 図３〜図６において、スラスト軸受８はテーパランド型スラスト軸受であり、 前記ロータ２側のスラストカラー５と対向する面に円周方向に向かって複数個（ 図５では６個）の固定型のセグメント９が形成されている。各セグメント９は給 油ポート１０、テーパ部１１及びランド部１２を円周方向に連続した状態で形成 されている。なお、１３はテーパ部１１の内外周面１１ａ，１１ｂ側を囲むシュ ラウド部、１４は給油ポート１０の外周側に設けられた排出溝である。

【０００４】 また前記給油ポート１０には略中央部に位置して給油孔１５が開口されており 、この給油孔１５は給油路１６に接続されている。給油路１６は図３に示す吐出 ライン１７を介して給油ポンプ１８に接続されており、この給油ポンプ１８は、 導入ライン１９を通じてタービンコンプレッサのドレンとしてのオイルパン２０ に接続されている。また給油ポンプ１８から供給される潤滑油は、吐出ライン１ ７を介して給油路１６から給油孔１５を経て給油ポート１０に送り込まれる。 そして前記給油ポート１０内の潤滑油はその粘性のために、図６に示すように 回転するスラストカラー５の滑り面５ａと、固定されているスラスト軸受８の表 面との相対的な回転により、給油ポート１０から前記スラストカラー５の滑り面 ５ａとスラスト軸受８の表面との間の狭いフィルム状隙間ｊに引き込まれる。こ のフィルム状隙間ｊは、くさび状の狭い隙間ｊ₁ と、これに続く平行隙間ｊ₂ と からなり、この隙間ｊ内で流体力学的な動的圧力が発生する。 従ってスラスト軸受８に加わる負荷荷重を前記フィルム状隙間ｊの潤滑油膜で 支えることになる。なお、前記フィルム状隙間ｊの寸法は、１００μｍ程度とな るように設計されている。また図６に示すように、テーパ部１１とランド部１２ の円周方向の寸法比（ａ：ｂ）は、負荷能力が最大となるように８：２程度に設 定されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

前記のような従来の軸受において、給油ポート１０より引き込まれた潤滑油は 、テーパ部１１をシュラウド部１３により堰き止められながらランド部１２へと 導かれる。 しかしながら前記従来の軸受では、運転時間が長くなって潤滑油の劣化やコン タミの混入があると、異物はテーパ部１１の内外周面１１ａ，１１ｂに溜まり易 くなり、この異物がランド部１２に達したとき、スラスト軸受８、スラストカラ ー５を共に傷付け、最終的には異常摩耗へと進展して軸受の機能を失うなどの問 題があった。 本考案は潤滑油に異物が混入しても、ランド部が摩耗しにくい、所謂耐摩耗性 の高い構造としたテーパランド型スラスト軸受を提供し、前記従来の課題を解決 しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このため本考案は、給油ポートに連続するテーパ部と、このテーパ部に連なる ランド部とからなるセグメントを、周方向に複数個形成した固定セグメント式テ ーパランド型スラスト軸受において、前記ランド部はほぼ半径方向に延びる硬質 部と軟質部とを交互に複数本配列した層状部を備えてなるもので、これを課題解 決のための手段とするものである。

【０００７】

【作用】

本考案によれば、給油ポート内に導入された潤滑油中の異物は、テーパ部を通 り平行面へと移動してランド部を摩耗しようとするが、硬質部（異物より硬い材 質又は表面硬化処理を施した、例えば浸炭処理、クロマイズ浸炭処理等）がある ため、表面は摩耗せず、軟質部に埋設されようとする。 この場合完全に埋設されてしまった異物は如何ともし難いが、途中（埋設しよ うとする異物）の異物は、外径方向に遠心力で排出され、堆積を防ぐことが出来 る。また従来はテーパ部、ランド部共軟質材（例えばホワイトメタル）であった ため、ランド部が摩耗すればランド部ｂの長さが長くなり、負荷能力が低下して 焼付に至る虞れがあったが、本考案ではランド部の硬質材が摩耗しない限り、テ ーパ比ａ：ｂは同じであるため、設計思想の負荷能力を保ち、長寿命を維持して 信頼性の向上を図ることができる。

【０００８】

【実施例】

以下本考案を図面の実施例について説明すると、図１は本考案の実施例に係る テーパランド型スラスト軸受を示す平面図、図２は図１のＡ〜Ａ断面図である。 なお、図１及び図２において図３〜図６に示したものと同一の部分には、同一の 符号を付して説明することにする。なお、図中５はスラストカラー、５ａは滑り 面、８はテーパランド型スラスト軸受、９はセグメント、１０は給油ポート、１ １はテーパ部、１２はランド部、１３はシュラウド部、１１ａ，１１ｂはテーパ 部１１の内外周面、１４は排出溝であり、これらは前記従来の場合と同じである 。 本考案によれば図１、図２の実施例に示すように、テーパランド型スラスト軸 受８の各セグメント９のランド部１２には、半径方向に延びる硬質部２１と軟質 部２２が交互に数本配設され、同硬質部２１と軟質部２２が層状部２３を構成し ている。またその方向は回転（円周）方向と直角ではなく、僅かにずれて軟質部 ２２に埋設されようとする異物を排出し易いように配置されている。

【０００９】 さて運転当初は潤滑油も清浄で何らの問題もないが、運転が長期化すると潤滑 油中に異物が混入され、これが給油ポート１０を通りテーパ部１１に引き込まれ てランド部１２に侵入してくる。また油膜厚さは、ランド部１２が最小となるた め、このランド部１２がアブレシブ摩耗で最も摩耗し易くなる。 従来はこの材質がホワイトメタル等の軟らかい材質であったため、全体が摩耗 してランド長さｂがどんどん長くなる。ランド長さｂが長くなると負荷能力が低 下するため、油膜厚さは減少し、益々摩耗が加速される。しかし硬質部２１を、 予想される異物硬度より硬くすれば（例えば、浸炭処理、クロマイズ浸炭処理等 ）、ランド部の摩耗は低減され、異物が混入しても初期の負荷能力、油膜厚さを 維持することが出来る。なお、異物は軟質部２２（例えばホワイトメタル）に埋 設されようとするが、前述したように遠心力で排出され易い構造としているので 、従来の如く堆積することはない。

【００１０】

【考案の効果】

以上詳細に説明した如く本考案は、テーパランド型スラスト軸受において潤滑 油中の異物で摩耗し易いランド部に、ほぼ半径方向に延びる硬質部と軟質部とを 交互に複数本配列した層状部を設けたので、同ランド部の摩耗損傷を低減させる ことが可能となり、高い負荷能力、必要油膜厚さを確保し、摩耗及び焼付損傷を 低減できる等の多くの優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るテーパランド型スラスト
軸受の平面図である。

【図２】図１のＡ〜Ａ断面図である。

【図３】従来のガスタービンコンプレッサの全体構成図
である。

【図４】図３の要部の拡大断面図である。

【図５】図４のＢ〜Ｂ断面図である。

【図６】図５のＣ〜Ｃ断面図である。

【符号の説明】

５ スラストカラー ５ａ 滑り面 ８ テーパランド型スラスト軸受 ９ セグメント １０ 給油ポート １１ テーパ部 １１ａ テーパ部の内周面 １１ｂ テーパ部の外周面 １２ ランド部 １３ シュラウド部 １４ 排出溝 １５ 給油孔 ２１ 硬質部 ２２ 軟質部 ２３ 層状部

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【手続補正書】

【提出日】平成５年１月２８日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図１

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図２

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 給油ポートに連続するテーパ部と、この
   テーパ部に連なるランド部とからなるセグメントを、周
   方向に複数個形成した固定セグメント式テーパランド型
   スラスト軸受において、前記ランド部はほぼ半径方向に
   延びる硬質部と軟質部とを交互に複数本配列した層状部
   を備えてなることを特徴とするテーパランド型スラスト
   軸受。