JP5537451B2 - 可搬便器 - Google Patents

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本発明は折り畳み可能な便蓋を有する可搬便器に関する。
従来から、老人、身体障害者、病人等が利用する介護用の便器として、設置位置を容易に変更できる可搬便器が利用されている。
特許文献1に示される便器は、便座を覆う便蓋が、便器外郭の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される後蓋と、この後蓋の前端部に左右軸回りに回動自在に連結される前蓋とを有している。この便蓋は、前蓋及び後蓋を略平行にした展開状態と、前記前蓋及び後蓋の下面同士を対向させた折り畳み状態とに変形できるようになっている。
ところで、特許文献1の便器外郭の後端部には背もたれが立設されている。この背もたれは、便器外郭の後端部両側に立設された背もたれ枠と、両背もたれ枠の上部間に架け渡される背当てで構成され、背当ての下方には背もたれ開口が形成されている。ここで、前記便蓋は、特許文献1の第1図に図示された後蓋の大きさから、折り畳み状態で起立させた際に前記背もたれ開口を塞ぐように配置されると考えられる。しかし、このように背もたれ開口が便蓋によって塞がれると、便座に着座した利用者を後方から介護等するにあたって便蓋が邪魔になる可能性がある。
特開2004−329358号公報
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、背もたれ開口を介して、便座に着座した利用者を後方から介護等することができる可搬便器を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために本発明の可搬便器は、便器外郭と、この便器外郭上に配置された便座を覆う便蓋と、前記便器外郭の後端部に立設される背もたれを備え、前記背もたれに前後に貫通する背もたれ開口が形成され、前記便蓋が便器外郭の後端部に左右軸回りに回動自在に連結されて、前記便座を覆う閉じ位置から起立位置を経て後方に倒れた退避位置まで回動する際に前記背もたれ開口を通過するものであり、前記便蓋に被掛止部が形成されると共に前記背もたれに前記起立位置の便蓋の被掛止部が掛止される掛止部が形成され、この掛止部又は前記被掛止部が、前記被掛止部が前記掛止部を通過できる形状に弾性変形可能にされ、前記便座及び前記便蓋が回動自在に取り付けられ、前記便座及び前記便蓋を取り付けた状態で前記便器外郭から取り外せるように、前記便器外郭に着脱自在に取り付けられる連結体を有することを特徴とする。
また、前記便蓋が、便器外郭の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される後蓋と、この後蓋の前端部に左右軸回りに回動自在に連結される前蓋とを有して、前記前蓋及び後蓋の夫々の下面が略同一方向を向く展開状態と、前記前蓋及び後蓋の下面同士が対向する折り畳み状態とに変形可能とされ、前記前蓋の上面に下方に凹んだ手入用凹陥部が形成されると共に、前記後蓋の前端部に前方に突出して前記展開状態において前記手入用凹陥部の上方に配置される手掛部が形成され、この手掛部により前記被掛止部が構成されることが好ましい。
本発明にあっては、背もたれ開口を介して、便座に着座した利用者を後方から介護等することができる。
本実施形態の便蓋を起立位置に配置した可搬便器の拡大斜視図である。 便蓋を起立位置に配置した際の可搬便器の斜視図である。 便器外郭の斜視図である。 可搬便器の側面断面図である。 図2において便座の図示を省略した斜視図である。 台座の斜視図である。 可搬便器の一部破断した斜視図である。 便蓋を閉じ位置に配置した可搬便器の斜視図である。 便蓋を起立位置に配置した可搬便器の側面図である。 便蓋を退避位置に配置した可搬便器の側面図である。
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図2に示されるように、本実施形態の可搬便器1は、床上に配置される台座2と、台座2単独で支持される便器外郭3と、便器外郭3の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される、便座4及び便蓋5と、便器外郭3の内側に設けられる汚物受け6を備えている。なお、前記「左右軸回り」とは、回転軸方向が左右方向と平行であることを意味する。
可搬便器1は、便器外郭3の後端部上に立設される背もたれ7と、便器外郭3の左右両側端部に立設される高さ調節可能な肘掛け8を備えた、椅子型の便器となっている。また、可搬便器1は、トイレットロール9を支持するためのペーパーホルダー10もしくはペーパーハンガー11を備えており、これらペーパーホルダー10もしくはペーパーハンガー11は便器外郭3に着脱自在に取り付けられている。また、可搬便器1は、各構成部品をポリプロピレン等の合成樹脂を用いて形成することで軽量化を図っており、容易に移動できるようになっている。
図3に示されるように、便器外郭3の上面の左右方向中央部には下方に凹没した凹没部16が形成されている。また、便器外郭3の上面部中央には凹没部16の底部中央を上下に貫通する上開口17が形成されている。
汚物受け6は、上開口17を介して、図4に示されるように便器外郭3内に収納されている。汚物受け6は、屎尿を受ける便容器19と、便容器19が収納される防汚容器20とで構成された二重容器からなる。図4中21は用便後における便容器19の上開口を閉塞する容器蓋であり、容器蓋21は用便時に便容器19から取り外される。なお、取り外した容器蓋21は、図4に二点鎖線で示すように台座2上に起立させることができる。
図5に示されるように防汚容器20の上縁部には外方に突出した防汚容器被載置部22が周方向の全長に亘って形成されている。防汚容器20は上開口17を介して便器外郭3内に出し入れ可能に挿入されている。
防汚容器20は、防汚容器被載置部22を便器外郭3の上開口17の周縁部を含む凹没部16の底部上に載置することで懸架されている。
便容器19の上縁部には、外方に突出した便容器被載置部24が周方向の全長に亘って形成されている。便容器19は防汚容器20内に上方から出し入れ可能に挿入され、便容器被載置部24を防汚容器20の便容器載置部23の内周部上に載置することで、防汚容器20に懸架されている。
便器外郭3は台座2によって高さ調節自在に支持されている。図6に示されるように、台座2の後端部には複数のキャスター30が設けられ、このキャスター30を利用して可搬便器1を床上で走行することができる。
図7に示されるように、便器外郭3は、凹没部16の底面部の後端部上に設けられた連結体44を有している。連結体44には便座4及び便蓋5が回動自在に取り付けられている。連結体44は便器外郭3に着脱自在に取り付けられ、便座4及び便蓋5を取り付けた状態で便器外郭3から取り外せるようになっている。
次に便座4について説明する。なお、以下の便座4の説明では、特に記載する場合を除き、図2のように便座4を便器外郭3上の使用位置に配置した際における方向を基準にして説明する。
便座4は、平面視環状で中央に便座開口45が形成された座部48と、座部48から後方に突出した便座被連結部46を有している。便座被連結部46は、連結体44の前部に形成された便座連結部47(図7参照)に左右軸回りに回動自在に連結されている。便座4は、図2のように前方に倒して防汚容器20の防汚容器被載置部22(図5参照)に載置した使用位置から、便器外郭3の後端部上に起立させた非使用位置までの範囲で回動できるようになっている。前記使用位置に配置された便座4は、前記防汚容器20の防汚容器被載置部22の外周部上に載置され、便容器19の便容器被載置部24上に配置される。なお、使用位置の便座4は便器外郭3に載置されるものであってもい。また、非使用位置における便座4は、背もたれ7又は便器外郭3のいずれかで支持される。
次に前記使用位置に配置された便座4を上側から覆う便蓋5について説明する。なお、以下の便蓋5の説明では、特に記載する場合を除き、図8のように便蓋5を便器外郭3上の閉じ位置に配置した際における方向を基準にして説明する。
便蓋5は、便器外郭3の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される後蓋36と、後蓋36の前端部に左右軸回りに回動自在に連結される前蓋37とで構成されている。便蓋5は、前蓋37を後蓋36に対して回動することで、図4に示されるように前蓋37及び後蓋36の夫々の下面が略同一方向を向く展開状態と、図9及び図10に示されるように前蓋37及び後蓋36の下面同士が対向する折り畳み状態とに変形可能となっている。前記便蓋5の展開状態では前蓋37の上面と後蓋36の上面とが略面一となる。
図1に示されるように後蓋36には後方に突出する便蓋被連結部38が形成されている。便蓋被連結部38は、連結体44の後部に形成された便蓋連結部39に左右軸回りに回動自在に連結されている。これにより便蓋5は、図4に示すように便器外郭3上に横に倒して配置された閉じ位置から、図9に示す起立位置を経てさらに後方に倒した図10に示す退避位置までの範囲で回動できるようになっている。なお、退避位置に配置されて横向きになった便蓋5は、図7に示されるように連結体44によって後蓋36の後端部が支持され、これ以上下方に回動しないよう支持される。
図8に示されるように、前蓋37の上面の後部中央には下方に凹んだ手入用凹陥部40が形成されている。手入用凹陥部40は、平面視で左右に長い長方形状の凹部からなる手差部41と、手差部41の左右方向の中央部から後方に延びる手掛部用凹部42とで構成され、手掛部用凹部42は後方に開口している。
一方、後蓋36の前端部の中央には、前方に突出した手掛部43が形成されている。手掛部43の上面は後蓋36の上面と面一になっている。手掛部43は、図8に示されるように便蓋5の展開状態において手掛部用凹部42に嵌まり込み、上面が前蓋37の上面と略面一となる。また、この展開状態では、手掛部43の下面と手掛部用凹部42の底面との間に前方の手差部41側に開口する手入用凹所53が形成される。また、便蓋5の折り畳み状態では、図9に示されるように手掛部43が便蓋5の折曲側端部に位置して、便蓋5の枢支部分となる連結体44と反対側に向けて突出する。
前蓋37に形成した手差部41の前面には前方に凹んだ前側手入用凹所54が形成され、前蓋37における前側手入用凹所54の上方部は前側手掛部55となっている。なお、以下では、前記手入用凹所53を前側手入用凹所54と区別するため後側手入用凹所53と記載し、手掛部43を前側手掛部55と区別するため後側手掛部43と記載する。
便蓋5の回動作業は前側手掛部55や後側手掛部43を利用して容易に行えるようになっている。例えば、図8に示されるように展開状態で閉じ位置に配置された便蓋5を図1、2等に示される起立位置に配置するには、まず、甲を前蓋37側に向けた手の指を手差部41を介して後側手入用凹所53に挿入する。続いて、後側手入用凹所53上方の前側手掛部55の下面に前記指を掛けて前側手掛部55を持ち上げる。これにより、便蓋5は、後蓋36が便蓋連結部39を中心にして上方に回動しつつ、前蓋37が自重により後蓋36の前端部を中心にして下面が後蓋36の下面に近づく方向に回動する。このようにして便蓋5は図9に示されるように折り畳み状態で起立位置に配置される。この場合、甲を前蓋37側に向けた手の指を用いて便蓋5を支持するので、手首を返すことなく便蓋5を回動でき、手の不自由な人にも容易に便蓋5を起立させることができる。なお、前記閉じ位置に配置された便蓋5を起立させる作業は、例えば甲を前蓋37と反対側に向けた手の指を前側手掛部55の下面に掛けて持ち上げることで行うこともできる。
図9に示されるように起立位置に折り畳み状態で配置された便蓋5を図4に示される閉じ位置に配置するには、まず手の甲を前蓋37と反対側に向けた手の指を手差部41を介して前側手入用凹所54に挿入する。続いて前側手掛部55の下面に手指を掛けて前側手掛部55を手前に引く。これにより、便蓋5は、前蓋37が後蓋36の前端部を中心にして下面が後蓋36の下面から離れる方向に回動しつつ、後蓋36が前蓋37により前方に引かれて便蓋連結部39を中心に前方に回動する。このようにして便蓋5は展開状態で閉じ位置に配置される。
図8に示されるように、背もたれ7は、上外郭体12の後端部の両側端部から夫々立設された背もたれ枠56と、両背もたれ枠56の上端部間に架け渡された背当て57で構成されている。背もたれ7の下部には、背当て57と両背もたれ枠56と、便器外郭3とで囲まれた前後に貫通する背もたれ開口58が形成されている。背もたれ開口58は、折り畳み状態の便蓋5よりもやや大きく形成され、折り畳み状態とした便蓋5が背もたれ開口58を介して背もたれ7を通過できるようになっている。
図1に示されるように、背もたれ開口58の上縁部を構成する背当て57の下端部には、下方に向けて突出した掛止部59が形成されている。掛止部59は、背当て57の左右方向の中央部に位置し、その下部は折り畳み状態とした便蓋5が背もたれ開口58を通る際において後側手掛部43が通過する位置に配されている。掛止部59の下部には、図9に示されるように、前記折り畳み状態で起立位置にある便蓋5から突出した後側手掛部43を前側から掛止することができ、これにより便蓋5を閉じ位置から略90度回動させた起立位置に保持することができる。つまり、本実施形態では、後側手掛部43が掛止部59に掛止される被掛止部を構成している。
掛止部59は薄板状に形成され、その下部を前後方向に撓ませて通過許容形状に弾性変形できるようになっている。すなわち、前記折り畳み状態で起立位置にある便蓋5の後側手掛部43を掛止部59に掛止した状態で、便蓋5を便蓋連結部39を中心に後方に回動させれば、掛止部59は下部が後側手掛部43により押圧されて後方に撓む。これにより、後側手掛部43を掛止部59後方に通過させることができ、便蓋5を前記起立位置から更に略90度後方に倒した退避位置に移動できるようになっている。
また、退避位置にある便蓋5を起立位置や閉じ位置に移動する際等にも、前記掛止部59を後側手掛部43により弾性変形させることで、便蓋5を背もたれ開口58を介して背もたれ7を通過させることができる。便蓋5を背もたれ7の後方から前方に通過させる際には、便蓋5を折り畳み状態としてやや強い力で前方に回動させる。これにより掛止部59は下部が後側手掛部43に押圧されて前方に撓み、後側手掛部43が掛止部59前方に通過し、便蓋5が背もたれ7の後方から前方に通過する。
以上説明した本実施形態の可搬便器1は、便蓋5が便座4を覆う閉じ位置から起立位置を経た後、さらに後方に倒れた退避位置まで回動可能とされる。このため、便蓋5を退避位置にまで回動することで、開放した背もたれ開口58を介して、便座4に着座した利用者を後方から介護等することができる。また、便蓋5に被掛止部(後側手掛部43)が形成され、背もたれ7に起立位置の便蓋5の被掛止部が掛止される掛止部59が形成され、掛止部59が被掛止部を通過できる形状に弾性変形可能になっている。この構成により、起立位置に配置した便蓋5を退避位置に位置させる場合や、退避位置に配置した便蓋5を起立位置や使用位置に位置させる場合には、便蓋5にやや強い力を加えて、便蓋5の被掛止部により掛止部59を押圧すれば、便蓋5の被掛止部が掛止部59を通過可能となる。従って、便蓋5の位置を容易に変更でき、また、便蓋5を起立位置で保持する機構が簡易なものになる。なお、本実施形態では、掛止部59が被掛止部を通過できる形状に弾性変形するようにしたが、被掛止部が掛止部59を通過できる形状に弾性変形するものとしてもよい。
また、本実施形態では、便蓋5が、便器外郭3の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される後蓋36と、後蓋36の前端部に左右軸回りに回動自在に連結される前蓋37とを有している。そして、この便蓋5は、前蓋37及び後蓋36の夫々の下面が略同一方向を向く展開状態と、前蓋37及び後蓋36の下面同士が対向する折り畳み状態とに変形可能とされている。このため、便蓋5を起立位置や退避位置で折り畳み状態にして利用者等の邪魔にならないようコンパクトに仕舞うことができる。また、前蓋37の上面に下方に凹んだ手入用凹陥部40が形成されると共に、後蓋36の前端部に前方に突出して展開状態において手入用凹陥部40の上方に配置される手掛部43が形成され、手掛部43により被掛止部が構成されている。つまり、手掛部43を被掛止部として兼用することができ、別途被掛止部を設ける必要がない。なお、本実施形態の便蓋5は、後蓋36に対して前蓋36が回動する折り畳み可能なものであるが、折り畳みできないものであっても構わない。
1 可搬便器
3 便器外郭
4 便座
5 便蓋
7 背もたれ
36 後蓋
37 前蓋
40 手入用凹陥部
43 後側手掛部(被掛止部)
58 背もたれ開口
59 掛止部

Claims (2)

  1. 便器外郭と、この便器外郭上に配置された便座を覆う便蓋と、前記便器外郭の後端部に立設される背もたれを備え、前記背もたれに前後に貫通する背もたれ開口が形成され、前記便蓋が便器外郭の後端部に左右軸回りに回動自在に連結されて、前記便座を覆う閉じ位置から起立位置を経て後方に倒れた退避位置まで回動する際に前記背もたれ開口を通過するものであり、前記便蓋に被掛止部が形成されると共に前記背もたれに前記起立位置の便蓋の被掛止部が掛止される掛止部が形成され、この掛止部又は前記被掛止部が、前記被掛止部が前記掛止部を通過できる形状に弾性変形可能にされ、前記便座及び前記便蓋が回動自在に取り付けられ、前記便座及び前記便蓋を取り付けた状態で前記便器外郭から取り外せるように、前記便器外郭に着脱自在に取り付けられる連結体を有することを特徴とする可搬便器。
  2. 前記便蓋が、便器外郭の後端部に左右軸回りに回動自在に連結される後蓋と、この後蓋の前端部に左右軸回りに回動自在に連結される前蓋とを有して、前記前蓋及び後蓋の夫々の下面が略同一方向を向く展開状態と、前記前蓋及び後蓋の下面同士が対向する折り畳み状態とに変形可能とされ、前記前蓋の上面に下方に凹んだ手入用凹陥部が形成されると共に、前記後蓋の前端部に前方に突出して前記展開状態において前記手入用凹陥部の上方に配置される手掛部が形成され、この手掛部により前記被掛止部が構成されたことを特徴とする請求項1に記載の可搬便器。
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