JP5512999B2 - ポータブルトイレの蓋部構造 - Google Patents

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本発明は一般室内で使用されるポータブルトイレに関し、特に便器本体部の上部を覆う蓋部の二段開閉構造に係る。
背凭れ部を有するポータブルトイレにおいて、便器本体部を覆う蓋部を背凭れ側に起立状態に開くと蓋部が障害になり、背後から介護できなくなることから、背凭れ部に設けた開口部を経由して、さらに後方に回動できるポータブルトイレは公知である。
例えば文献1には、座板を便器本体の後端両側から差し出されている枢着ピンを中心として後方に回動させて起立状態とし、起立状態では枢着金具の前縁が第一係止ピンに当接していて、座板を上方の持ち上げると、枢着金具の前縁が第一係止ピンから外れ、後方にさらに回動するポータブルトイレを開示する。
しかし、同公報に開示する座板(蓋部)の開閉構造では、蓋部を持ち上げなければならないので2つ折りにした蓋部を上に持ち上げるのは、必ずしも容易でない場合があった。
特開2006−43309号公報
本発明は蓋部の開閉動作において起立状態と、背凭れ部の後方回動状態との切り換えが容易なポータブルトイレの蓋部構造の提供を目的とする。
本発明に係るポータブルトイレの蓋部構造は、便器本体部の上面後部の左右両側から立上げ部を立設し、左右の立上げ部の上部間を背当て部で連結することで当該背当て部の下に開口部を形成した背凭れ部と、便器本体部の上面を覆う蓋部を有するポータブルトイレであって、蓋部は後部側を便器本体部に枢着してあり、蓋部を後部側に水平軸周りに回動させた際に、背凭れ部の開口部を塞ぐ起立状態に維持する起立規制手段を有し、当該起立規制手段を解除すると蓋部が前記背凭れ部の開口部を経由して後方に回動し、背凭れ部の開口部を開放した開放状態になることを特徴とする。
起立規制手段を設ける方法としては、背当て部又は立上げ部から背凭れ部の開口部に向けて突没するストッパー部材であってもよい。
ストッパー部材は突出し、蓋部が背凭れ部の開口部を回動通過するのを規制するように作用するものであれば、構造は特に限定されない。
例えば、背凭れ部の開口部に向けてスライド式に突没する構造や、レバー部材を回動させて開口部に突没させる構造等が例として挙げられる。
ここで、背当て部から下の開口部に向けて突没するようにストッパー部材を設けた場合で、蓋部が前方蓋と後方蓋を山形に折りたたみ可能に連結した折りたたみ構造になっていると、当該折りたたみ部に前記ストッパー部材に当接する係止部を設けても良い。
起立規制手段を設ける他の方法としては、蓋部を後部から下方に向けて垂下したアーム部材で便器本体部の後側の側部に枢着又は軸着してあり、起立規制手段は当該アーム部材の回動を蓋部が起立状態になった状態に規制するストッパー部材であってもよい。
このストッパー部材を操作する操作部を便器本体部側に設けることができる。
具体的にはアーム部材を便器本体部の後側の側部に左右方向の軸部材で、当該軸部材より下側に係止部を形成するように軸連結してあり、ストッパー部材は便器本体部の上面側に位置する操作部と便器本体部の後方に突没するロック爪を有し、ロック爪を後方に突出させると当該ロック爪がアーム部材の前記係止部に当接し、蓋部が起立状態になった状態に規制するものでもよい。
ここで、ロック爪を後方に突出させることができれば、ストッパー部材の取付構造は、回動構造でもスライド構造でもよい。
また、アーム部材は便器本体部の後側の側部に左右方向の軸部材で軸連結してあり、ストッパー部材は便器本体部の後側の側部に左右方向にスライドするスライド部材であり、当該スライド部材の便器本体部側に有する操作部を操作しスライド部材がアーム部材を横切ると、蓋部が起立状態になった状態に規制する例が挙げられる。
さらには、アーム部材は、便器本体部の後側の側部に設けた左右方向の軸部材に、アーム部材長手方向上下の長穴で枢着してあり、蓋部が閉じた状態では軸部材が長穴上部に位置し、ストッパー部材は、軸部材が長穴上部に位置したまま蓋部を起立状態に回動するとアーム部材先端部に当接する規制部になっていて、起立状態の蓋部を長穴に沿って後方に引くとアーム部材先端部が当該規制部から外れ、後方に回動できるようにしても良い。
なお、本明細書では、ポータブルトイレの背凭れ部側を後方、背凭れ部に向かって左右を左右方向あるいは幅方向と表現する。
本発明においては、蓋部を後部側に回動させた際に、この蓋部が背凭れ部の開口部を塞ぐ起立状態に維持する起立規制手段を設け、この起立規制手段を解除すると蓋部が背凭れ部の開口部を経由して後方に回動されるようにしたので、蓋部を起立状態と背凭れ部の後方回動状態に切り替えるのが容易である。
発明にあっては、背当て部又は立上げ部から背凭れ部の開口部に向けて突没するストッパー部材を設けたので、ストッパー部材を背凭れ部の開口部に向けて突出させ、蓋部をこのストッパー部材に立てかけるだけで起立状態に維持でき、ストッパー部材を没入させれば、蓋部を背凭れ部の開口部を経由して後方に回動できる。
蓋部を後部から下方に向けて垂下したアーム部材で便器本体部の後側の側部に枢着又は軸着し、起立規制手段として、アーム部材の回動を蓋部が起立状態になった状態に規制するストッパー部材を設けてもよく、このようにするとアーム部材がストパー部材に当たり後方に回動できなくなる。
ここで、ストッパー部材を操作する操作部を便器本体部側に設けると操作性が優れる。
アーム部材の回動を規制する方法にすると、簡単な構造で、蓋部を起立状態と背凭れ部の後方回動状態に切り替えるのが容易である。
ポータブルトイレの外観斜視図を示す。 蓋部を背凭れ部の後方に回動した状態を示す。 蓋部を2つ折りにして後方に回動し、起立状態にした状態とさらに後方に回動した状態を示す。 背凭れ部の背当て部に起立状態を維持するストッパー部材を設けた例を示す。 蓋部のアーム部材の拡大図を示す。 便器本体部の上面で操作するストッパー部材の構造例を示す。 便器本体部の後側の側部に左右方向スライド式のストッパー部材を設けた構造例を示す。 アーム部材を長穴で枢着した構造例を示す。
ポータブルトイレ1は、図1及び図2に示すように便器本体部10の中央部に便槽11を備え、その上に取り外し可能にした便座12を有する。
便器本体部10の下面側には便器本体部10を支える4本の脚部50が連結されている。
便座12の上部をおおうように2つ折り可能な蓋部40を有し(蓋部の詳細構造は後述する。)、便器本体部10の後方には着脱可能に背凭れ部20を有し、この背凭れ部20は左右の立上げ部21の上部を背当て部22で連結し、背当て部22の下に開口部Sを有する構造になっている。
これにより、2つ折りにした蓋部はこの開口部Sを経由して、後方に回動するので介護者は背凭れ部20の後方から開口部Sを経由して介護することができる。
便器本体10の上面の両縁部には、肘掛部30を取り付けてあり、この肘掛部30は高さ調整及び着脱可能になっている。
図1〜図5に本発明に係る蓋部構造の第1の実施例を示す。
蓋部40は、前方蓋42と後方蓋41を図4(b)に示すようにヒンジ部材41aで山形に2つ折りできるように連結されている。
前方蓋42には手をかけ、山折りにし易いように手かけ部42aを設けた例になっている。
後方蓋41の後部は、図5(a)に後面視を示し、(b)にアーム部材44の拡大図を示すように、回動金具43に連結固定してあり、回動金具43は下に垂下したアーム部材44を左右に一対有し、アーム部材の下端部は便器本体部に凹部10bを形成して取り付けた軸部材44aにて前後方向水平軸周りに回動可能に軸連結してある。
図4(a)に示すように、背当て部22から開口部Sに向けて上下にスライドするストッパー部材22aを有する。
なお、本実施例ではストッパー部材22aが上下にスライドするようになっているが、ストッパー部材が左右に回動し、あるいは前後に折り畳み展開することで開口部Sに突没する構造等を採用することもでき、取付位置も背当て部22でなく、立上げ部21であってもよい。
次に図3に基づいて、蓋部の開閉動作を説明する。
(a)に示すように手かけ部42aに手をかけ前方蓋42と後方蓋41と回動連結部を上方に持ち上げるようにし、山折りにし、(b)に示すように蓋部を起立状態にする。
この起立状態では、蓋部の重心が軸部材44aで軸連結した軸中心より後方に移動していて、そのまま、さらに後方に回動するように力が働いているが、図4(a)に示したようにストッパー部材22aを下方向にスライドさせ先端部を開口部Sに突出させてあると蓋部40がストッパー部材22aに当たり、それ以上後方に回動するのを規制する。
本実施例では、図4(b)に示すように前方蓋42の折り曲げ端部から上方に突出する突部42bからなるストッパー部材22aへの係止部を設け、ストッパー部材22aに係止し易くなっている。
この突部42bは前方蓋42を展開して閉じる際に、後方蓋41の端部に設けた凹部に収まるようになっている。
本実施例のように、前方蓋42と後方蓋41の折りたたみ部にストッパー部材22aへの係止部を設けると次のような効果がある。
手かけ部42aに手をかけ前方蓋42と後方蓋41が連結部で山折りになるように持ち上げると、後方蓋41は後部に連結した回動金具43の水平軸周りに回動し、後方蓋41の折りたたみ端部が背当て部の下側を通過することになるが、手かけ部42aの付いている前方蓋42の折りたたみ端部は水平移動に近い状態で、この背当て部の下側を通過しなければならない。
従って、背当て部の下側を通過する際の折りたたみ端部の移動軌道は前方蓋42の方がその厚みがある分だけ起立状態の後方蓋41より高く、背当て部の下端は後方蓋41の通過高さより高くしないと前方蓋が通過できない。
即ち、起立状態では後方蓋41の折りたたみ端部と背当て部の下端との間に前方蓋42の通過に必要な隙間が生じることになるが本実施例のように、折りたたみ部から上方に突出する係止部を設けると、この係止部とストッパー部材22aでこの隙間を塞ぐように当接する。
ストッパー部材22aを上にスライドすると規制状態が解除になり、図3(c)に示すように蓋部40はさらに後方に回動し、開口部Sが解放される。
このとき、アーム部材44の側部が便器本体部の受け部10aに当たり解放状態が維持される。
第2の実施例を図6に示す。
後方蓋41は、下方向に垂下したアーム部材44に連結固定してあり、アーム部材44は便器本体部の後側の側部に左右方向に設けた軸部材44aに軸連結してあり、アーム部材44は軸部より下側(軸部の後方蓋41とは反対側))に係止部44bを有する。
ストッパー部材60は側面視略L字形状になっていて、操作部63が便器本体10の上面部に位置し、操作部側の途中を軸部材62で便器本体部に軸連結し、ロック爪61が便器本体部の後方に突没するようになっている。
(b)に示すように、操作部を左側に寄せ、ロック爪61を後方に突出させると、ロック爪61にアーム部材44の係止部44bが当たり、蓋部40の起立状態が維持される。
(c)に示すように、操作部63を右側に寄せるとロック爪61が没入し、規制が解除され、アーム部材44が受け部10aに当たるまで蓋部が後方に回動する。
第3の実施例を図7に示す。
アーム部材44の下端部付近を便器本体部側に設けた凹部10aの左右方向側部に軸部材44aで軸連結し、アーム部材44が前後方向に回動し蓋部40が開閉する。
便器本体部10の後側の側部には左右方向にスライドするスライド部材70を設けた例になっている。
スライド部材70のつまみ部72からなる操作部を操作し、(b)に示すように、左側にスライドさせ、スライド部材の先端部71がアーム部材44に当たらないようにすると、アーム部材44の回動が規制されないが、(c)に示すようにスライド部材70を右方向にスライドさせ、先端部71がアーム部材44を横切るようになると、このアーム部材44の下部がスライド部材70に当たり、蓋部40の起立状態が維持される。
なお、本実施例ではスライド部材がアーム部材の軸中心より後方の下部で受けるように軸部材より下側に配設したが、スライド部材を軸部より、上方でアーム部材の先端側を受けるように配設しても同様の作用を示す。
第4の実施例を図8に示す。
アーム部材44の下端部付近をアーム部材の長手方向上下に設けた長穴45で便器本体部側のピン部材46に枢着してある。
蓋部40を閉じた状態では(a)に示すように、長穴45の上部がピン部材46に当たっている。この状態で蓋部40を後方に回動すると、(b)に示すように、アーム部材44の係止部44bに当たり、蓋部を起立状態に維持する規制部80を便器本体側に設けてある。
(c)に示すように、蓋部40を起立させた状態のまま、後方に引き寄せると、アーム部材44が長穴45に沿って概ね水平に移動し、係止部44bが規制部80から外れ、(d)に示すように、蓋部40が背凭れ部20の後方に回動する。
1 ポータブルトイレ
10 便器本体部
12 便座
20 背凭れ部
22 背当て部
22a ストッパー部材
30 肘掛部
40 蓋部
44 アーム部材
50 脚部
60 ストッパー部材
70 スライド部材

Claims (1)

  1. 便器本体部の上面後部の左右両側から立上げ部を立設し、左右の立上げ部の上部間を背当て部で連結することで当該背当て部の下に開口部を形成した背凭れ部と、便器本体部の上面を覆う蓋部を有するポータブルトイレであって、
    蓋部は後部側を便器本体部に枢着してあり、蓋部を後部側に水平軸周りに回動させた際に、背凭れ部の開口部を塞ぐ起立状態に維持する起立規制手段を有し、当該起立規制手段を解除すると蓋部が前記背凭れ部の開口部を経由して後方に回動し、背凭れ部の開口部を開放した開放状態になり、
    前記起立規制手段は、背当て部又は立上げ部から開口部に向けて突没するストッパー部材であり、前記蓋部は前方蓋と後方蓋を山形に折りたたみ可能に連結してあり、当該折りたたみ部に前記ストッパー部材に当接する係止部を設けたことを特徴とするポータブルトイレの蓋部構造。
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