JP5536800B2 - アレルゲン低減剤とそれを用いた加工製品および塗料 - Google Patents

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Description

本発明は、アレルゲン低減剤とそれを用いた加工製品および塗料に関する。
日本国では3人に1人がアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を患っていると言われている。アレルギー疾患の原因としては、ダニ、花粉、カビ、ペットの毛などが挙げられる。特に室内から検出されるダニの70%以上を占めるチリダニのアレルゲン(以下「ダニアレルゲン」という)が問題となっている。このチリダニは、虫体、死骸、抜け殻、フンなどすべてがアレルゲンになると言われている。なかでもフン由来のアレルゲンはアレルゲン活性が高く、しかも非常に小さく舞い上がりやすく人体へ接触することが多いことから、最も問題とされている。
アレルゲンは蛋白質であるので、熱や化学的処理(酸化剤、還元剤、強酸、強アルカリ)などで変性させることで、アレルゲン性を失活させることができる。しかしながら、家庭で安全に使用できる程度の熱や、酸化剤、還元剤、強酸、強アルカリなどでは容易にアレルゲンが変性されないという問題があった。
そこで、近年、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変性する方法が提案されている。例えば、タンニン酸(特許文献1)、茶抽出物(特許文献2)、ヒドロキシ安息香酸系化合物またはその塩(特許文献3)などを用いて変性する方法が提案され、アレルゲン抑制効果が確認されている。また、線状高分子の側鎖に芳香族ヒドロキシ化合物を有する化合物を有効成分とするアレルゲン低減剤(特許文献4)も提案されている。
特開昭61−44821号公報 特開平6−279273号公報 特開平11−292714号公報 特開2003−81727号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法で用いられる化合物のほとんどはポリフェノールの一種であることから褐色に着色しており、衣服や寝具、建材などの表面に固定化させると意匠性を損ねるという問題があった。また、水溶性であるため固定化させた場合、アレルゲン低減効果の耐久性と持続性に問題があった。
一方、特許文献4に記載のアレルゲン低減剤は、有効成分となる化合物の線状高分子として非水溶性ポリマーを用いるため、加工性と持続性の観点で非常に優れており、衣服や寝具、建材などの表面への固定化も容易である。しかしながら、線状高分子の側鎖の芳香族ヒドロキシ化合物が熱や光による酸化劣化や加水分解を受けやすく、建材など高い耐久性が求められる部材へ適用する際には、耐熱性(耐熱変色性)および耐薬品性が問題になることがあった。また、このアレルゲン低減剤は、有効成分の極性が高く、相溶化する樹脂の組合せが制限されるため、表面に有効成分を配向させることが難しく、安定したアレルゲン低減性能を容易に発現することができなかった。また、相溶化しても塗料が増粘し、加工性が悪いなどの問題点があった。さらに、線状高分子の側鎖に芳香族ヒドロキシ化合物を有する化合物を合成するには、出発原料として、少なくとも1つのビニル基を有するフェノール性化合物を用いる必要があった。しかしながら、少なくとも1つのビニル基を有するフェノール性化合物は、高価でしかも着色が非常に大きい。そのため、衣服や寝具および建材など意匠性が高く要求される部材へ適用する場合には、加工製品の風合いを損ねるという着色の問題があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、ダニや花粉などのアレルゲン低減機能を有し、耐熱性、耐薬品性が良好であり、また、着色を抑えることができ、加工性を向上させることが可能なアレルゲン低減剤を提供することを課題とする。また、このようなアレルゲン低減剤を用いた加工製品および塗料を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明のアレルゲン低減剤は、下記式(1)
Figure 0005536800
で表される2価の分子構造を骨格中に有する化合物を有効成分とすることを特徴とする。
このアレルゲン低減剤において、前記式(1)で表される2価の分子構造を骨格中に有する化合物は、下記式(2)
Figure 0005536800
(式中、mは1以上の整数を示す。)
で表されるものであることが好ましい。
このアレルゲン低減剤において、前記式(2)で表される構造を骨格中に有する化合物が、下記式(3)
Figure 0005536800
(式中、mは1以上の整数を示す。)
で表される構造を骨格中に有するテルペンフェノール樹脂を水素添加反応させて得られた化合物であることが好ましい。
本発明の加工製品は、上記したアレルゲン低減剤が表面に固定化されていることを特徴とする。
本発明の塗料は、上記したアレルゲン低減剤と硬化性樹脂を含有することを特徴とする。
本発明のアレルゲン低減剤は、前記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を有効成分として含んでいるので、アレルゲン低減機能を有し、耐熱性、耐薬品性が良好である。また、着色を抑えたり、加工性を向上させたりすることもできる。
本発明の加工製品は、上記したアレルゲン低減剤を用いているので、アレルゲン低減機能を有し、耐熱性、耐薬品性が良好である。また、着色が抑えられたものとすることもできる。
本発明の塗料は、上記したアレルゲン低減剤を用いているので、アレルゲン低減機能を有し、耐熱性、耐薬品性が良好である。また、着色を抑えたり、加工性を向上させたりすることもできる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアレルゲン低減剤は、環上の1個の水素原子がヒドロキシル基により置換されたシクロヘキシレン基を1個もしくは2個以上骨格中に有する化合物を有効成分として含んでいる。具体的には、上記式(1)のとおりの2価の分子構造を骨格中に有する化合物を有効成分として含んでいる。ここで、「骨格」とは、分子の基本構造である主鎖としての分子骨格構造をいう。また、「化合物」とは、高分子(ポリマー)、オリゴマー、樹脂や縮合物等のいずれかとして考慮される。この化合物の重量平均分子量は、例えば200〜100000程度の範囲とすることができる。
このような化合物は、例えば、フェノール類の縮合物や重合体、または共重合体などを原料とし芳香環の二重結合を水素添加反応させて得ることができる。
フェノール類としては、例えば、ヒドロキシル基を芳香環に有する各種の単環式の芳香族化合物や、多核フェノール、縮合多環型などの多環式の芳香族化合物が挙げられる。その具体的な例として、次のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
例えば、単環式の芳香族化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、p−タ−シャリ−ブチルフェノ−ルなどのアルキル置換フェノールが挙げられる。また、クロロフェノール、ブロモフェノールなどのハロゲノフェノールが挙げられる。また、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノンなどのフェノール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物などが挙げられる。さらに、メトキシフェノールなども挙げられる。
多環式の芳香族化合物の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、ナフトール、ジヒドロキシナフタレンなどのナフトール類、ヒドロキシアントラセンなどが挙げられる。また、これら芳香族化合物の単量体の単独または2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、1,3−ジオキソラン、ジシクロペンタジエンなどで縮合し高分子化した芳香族高分子類が挙げられる。例えば、二官能性フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。二官能性フェノールとしては、オルソクレゾール、パラクレゾール、パラtブチルフェノールなどフェノール核の水酸基に対しオルソまたはパラ位の水素が1つ他の置換基で置換されたものが挙げられ、単独または2種以上を混合して使用することができる。
これら芳香族化合物の単量体および縮重合体は単独のみならず、2種以上を混合して使用することができる。
また、フェノール類としては、1個以上のビニル基を有するフェノールも例示できる。例えば、ビニルフェノール、チロシン、1,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)エテンなどが挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
フェノール類の重合体や共重合体は、例えば、テルペンフェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などが挙げられ、これらは酸や塩基などの触媒の存在下で公知の方法で製造される。例えば、テルペンフェノール樹脂は、α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどの環状テルペン化合物とフェノール類を、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で反応させて得られる。アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール類とα、α’−ジメトキシパラキシレンを、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で反応させて得られる。ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドを酸性触媒の存在下で反応させて得られる。
本発明においては、水素添加反応させた化合物のアレルゲン低減機能、耐熱性、耐薬品性、着色性および加工性などの諸物性を総合的に考慮すると、テルペンフェノール樹脂が好ましく用いられる。特に上記式(3)で表される構造を骨格中に有するテルペンフェノール樹脂が好ましく用いられ、mが1〜3の整数であることが好ましい。テルペンフェノール樹脂は、例えば、ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターシリーズ、マイティエースシリーズなどが市販品としてある。
上記式(3)で表される構造を骨格中に有するテルペンフェノール樹脂を水素添加反応させた化合物が、上記式(2)で表される構造を骨格中に有する化合物である。
水素添加の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
触媒の使用量は、原料がテルペンフェノール樹脂で反応がバッチ方式の場合、テルペンフェノール樹脂に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。かかる範囲内の触媒量とすることにより、水素化反応速度が最適化されるので好ましい。また、経済的に好適である。
水素添加反応の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類を使用してもよい。
水素添加反応の反応温度は、通常20〜300℃、好ましくは、50〜250℃である。反応温度を20℃以上とすることにより、水素化反応速度をより促進させることができるので好ましい。300℃以下とすることにより、副反応や分子量低下を抑えることができるので好ましい。
水素添加反応の際の水素圧は、通常0.5〜30MPa程度である。好ましくは、5〜25MPaである。さらに好ましくは8〜24MPaである。0.5MPa以上とすることにより、水素化反応速度を促進させることができるので好ましい。30MPa以下とすることにより、水素添加物の分解を抑えることができるので好ましい。
水素添加反応の反応時間は、使用する触媒や水素圧力、反応温度に依存するが、通常、0.1〜50時間程度、好ましくは0.2〜20時間、より好ましくは0.5〜15時間である。
上記式(1)の構造を骨格中に有する化合物としては、上記式(2)で表される構造を骨格中に有する化合物以外には、次の化合物が挙げられる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂を水素添加反応させた下記式(4)で表される化合物や、アラルキル型フェノール樹脂を水素添加反応させた下記式(5)で表される化合物などである。式(4)および式(5)中のnは整数である。
Figure 0005536800
このようして得られる上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物は、反応性が低く安定性の高い化合物であり、高い耐熱性(耐熱変色性)および耐薬品性を有する。また、アレルゲンに対して、優れた低減効果を発現することができる。アレルゲンとしては次のものが挙げられる。例えば、室内塵中に多く存在するヒョウヒダニのアレルゲン(Der1、Der2)、主に春季に多量に空気中に浮遊するスギ花粉アレルゲン(Cryj1、Cryj2)、ペット由来アレルゲンのイヌフケ(Canf1)、ネコフケ(Feld1)などである。さらにまた、着色を抑えたり、加工性を向上させたりすることもできる。
本発明のアレルゲン低減剤は、上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物単独でもよいが、目的を害さない程度に必要に応じて他の公知のアレルゲン抑制剤や親水性高分子が含まれていてもよい。親水性高分子としては、上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物に対して相互作用を起こし得る反応場を形成し得るものが好ましい。アレルゲン低減剤に親水性高分子を含有することによって、通常の湿度条件下、例えば、絶対湿度50g/m以下の雰囲気下において、アレルゲンをさらに効果的に低減できる。
本発明のアレルゲン低減剤の使用形態には特に制限はない。例えば、アレルゲン低減剤を溶媒に溶解あるいは分散させて溶液とし、この溶液に水溶剤、油剤、乳剤、懸濁剤などを配合して塗布、噴霧などの方法によりアレルゲンを抑制したい対象物表面に固定化して加工製品を得ることができる。なお、溶媒としては、例えば、水(好ましくは、イオン交換水)、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなど)、炭化水素類(トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、エステル類(酢酸ブチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)が挙げられる。
また、アレルゲン低減剤と硬化性樹脂とを併用して硬化性樹脂組成物とし、この硬化性樹脂組成物からなる塗料として使用することもできる。
塗料の場合、上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物は、塗料中、塗料固形分100重量部に対して、5〜20重量部含有していることが好ましい。かかる範囲内の含有量とすることにより、アレルゲン低減効果が良好であり、その効果の長期持続性も良好である。また、経済的なうえ、塗装物表面の物性低下を抑えることもできる。
また、塗料を硬化させた塗膜中、上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を20重量%以下にすることにより、塗膜本来の機能、すなわち、基材表面の保護機能などを適切に得ることができる。
塗料において、アレルゲン低減剤とともに硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性樹脂としては、例えば、活性エネルギー線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などが挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
塗料においては、短時間で容易に耐久性を有する緻密な硬化塗膜が得られる、活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましく用いられる。
以下、活性エネルギー線硬化型樹脂を用いた硬化性樹脂組成物からなる塗料について説明する。
この硬化性樹脂組成物からなる塗料は、上記したアレルゲン低減剤とともに、活性エネルギー線硬化型樹脂として反応性オリゴマーおよび反応性モノマーから選ばれる少なくとも1種を含有する。
上記の反応性オリゴマーは、これを硬化性樹脂組成物に配合することで、耐汚染性や耐擦傷性などの塗膜強度を向上させることができる。反応性オリゴマーは、好ましくは1分子中に2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する光硬化性(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られる樹脂である。反応性オリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アクリル酸エステル共重合体の側鎖にアクリロイル基またはメタクリロイル基を導入した共重合系(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、フッ素含有オレフィンから誘導されるユニット、重合性不飽和基含有シリコーンから誘導されるユニット、または水酸基含有不飽和エーテルから誘導されるユニットを含有する共重合体であってもよい。
上記の反応性オリゴマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましくは、1分子中に3個以上のアクリロイル基を有するウレタンアクリレートまたはエステル変性されたエポキシアクリレートが用いられる。
反応性オリゴマーの分子量(Mw)は、好ましくは500〜4000の範囲内である。分子量(Mw)を500以上とすることにより、十分な塗膜強度とすることができるので好ましい。分子量(Mw)を4000以下とすることにより、硬化性樹脂組成物の粘度と、耐汚染性と、抗アレルゲン性能との良好なバランスを得ることが容易となるので好ましい。
反応性オリゴマーの配合量は、硬化性樹脂組成物の塗料固形分に対して好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%である。配合量を10重量%以上とすることにより、十分な塗膜強度とすることができるので好ましい。配合量を70重量%以下とすることにより、塗膜が硬くなり過ぎず、脆くなりにくくなるので好ましい。
上記の反応性モノマーは、反応性希釈剤や架橋剤として用いられる。反応性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルホルムアミド、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソボニルアクリレート、3−メトキシジブチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(ヘキサ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の反応性モノマーの中でも、1〜3個の(メタ)アクリロイル基を有するTg(ガラス転移温度)100℃以上のモノマーは、これを硬化性樹脂組成物に配合することで、硬化性樹脂塗膜の耐汚染性、耐擦傷性、耐クラック性をともに向上させることができる。このようなTg100℃以上のモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の反応性モノマーの中でも、1〜2個の(メタ)アクリロイル基を有する脂肪族炭化水素系モノマーは、これを配合することで、アレルゲン低減性能を低下することなく硬化性樹脂組成物を低粘度化することができる。
アレルゲン低減剤は、水素結合能力の高い官能基を持つため、カルボニル基やエーテル基を有するポリマーとの間に相互作用が働く。アレルゲン物質を不活化する活性点である水素結合能力の高い官能基とポリマーとの間に水素結合による相互作用が働くと、十分なアレルゲン低減性能が発現しにくくなる場合がある。アレルゲン低減剤を分散可能な脂肪族炭化水素系モノマーを用いることにより、アレルゲン低減性能を低下することなく硬化性樹脂組成物を低粘度化することができる。
脂肪族炭化水素系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応性モノマーの配合量は、アレルゲン低減性能を低下することなく硬化性樹脂組成物の低粘度化を実現するとともに、他の塗膜物性も確保する点からは、硬化性樹脂組成物の塗料固形分に対して好ましくは3〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%である。
硬化性樹脂組成物には、アレルゲン低減剤、反応性オリゴマー、および反応性モノマーに加えて、本発明の効果を損なわない範囲内において光重合開始剤を配合することができる。
光重合開始剤としては、水素引き抜き型あるいは分子内開裂型のものを用いることができる。
水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン/アミン系、ミヒラーケトン/ベンゾフェノン系、チオキサントン/アミン系の光重合開始剤などが挙げられる。
分子内開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン型、アセトフェノン型、ベンゾフェノン型、チオキサントン型、アシルフォスフィンオキサイド型の光重合開始剤などが挙げられる。中でも、反応性が高いアセトフェノン型の2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、長波長まで吸収端が伸びているアシルフォスフィンオキサイド型のモノアシルフォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイドが好ましい。
光重合開始剤の配合量は、反応性を高め、且つ塗膜物性なども損なわないようにする点からは、硬化性樹脂組成物の塗料固形分に対して好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜6重量%である。
硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記したアレルゲン低減剤、反応性オリゴマー、反応性モノマー、および光重合開始剤以外の他の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、ワックス、抗菌剤、防黴剤、非反応性希釈剤、重合禁止剤、艶消し材、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
塗料は、例えば、反応性オリゴマー、反応性モノマー、および光重合開始剤を溶剤に溶解させた後、アレルゲン低減剤を添加することで得られる。溶剤に溶解させる際には、必要に応じて熱を加えたり、上記のワックス、抗菌剤、防黴剤、非反応性希釈剤、重合禁止剤、艶消し材、消泡剤、沈降防止剤、レベリング剤、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤などを添加したりすることができる。
溶剤としては、塗料、インキなどに通常使用されるものが使用できる。具体例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。なかでも、ケトン類、酢酸エステル類などの電子供与性の高い溶剤は、より溶解しやすく好適である。
このような溶剤は、塗料中、30重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
このようにして得られた塗料には、上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を有効成分とするアレルゲン低減剤を含んでいる。この化合物は、上述したように耐熱性(耐熱変色性)、耐薬品性、アレルゲン低減機能を有し、また、着色を抑えたり、加工性を向上させたりすることができるので、塗料においても同様な性能を有する。
このような塗料をアレルゲンを抑制したい建材などの材料の表面に塗布して硬化により固定化することで、アレルゲン低減機能を有する加工製品を得ることができる。
また、塗料が、上記したアレルゲン低減剤と紫外線硬化型樹脂とを併用とした硬化性樹脂組成物である場合には、樹脂硬化物として、優れた塗膜物性を容易に確保することができる。上記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物は300〜240nmの紫外線領域の吸収が少ないので、硬化性樹脂組成物のUV硬化において硬化阻害が起こりにくくなるからである。これに対して、アレルゲン低減剤の有効成分として、従来から使用されているフェノール類は、300〜240nmの紫外線領域に大きなUV吸収を有する。このようなフェノール類を有効成分とするアレルゲン低減剤と紫外線硬化型樹脂とを併用した硬化性樹脂組成物は、UV硬化において硬化阻害が起こるので、樹脂硬化物の塗膜物性を得ることが難しい。そこで、樹脂硬化物の塗膜物性を確保するために、UV照射量を上げる操作や光重合開始剤を大量に添加することなどが考えられるが、そうすると、得られる塗膜は黄変し、良好な外観が得られないという問題がある。本発明の塗料は、このような問題が解消されている。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<水素添加樹脂化合物(前記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物)の調製>
テルペンフェノール樹脂などのフェノール基を持つ化合物を水素添加反応させることにより調製した。具体的には、1Lのオートクレーブ中に、前記式(3)で表される構造を骨格中に有するテルペンフェノール樹脂200g(商品名:YSポリスターT130、ヤスハラケミカル株式会社製、水酸基価60mgKOH/g、m=1)にイソプロピルアルコール400gを混合し、触媒として5%のロジウム/グラファイト触媒を10g添加した。115℃、8MPaの条件で15時間、水素添加反応を行い、上記式(2)で表される構造を骨格中に有する水素添加樹脂化合物を合成した。この水素添加樹脂化合物は、重量平均分子量850、水酸基価140mgKOH/gであった。
<樹脂塗布液の調製>
上記水素添加樹脂化合物30重量部をシンナー(酢酸ブチル:酢酸エチル:メチルエチルケトン=1:1:1)60重量部に溶解させて、樹脂塗布液を調製した。
(比較例1)
上記水素添加樹脂化合物の代わりに、ポリビニルフェノール樹脂マルカリンカM(丸善石油化学株式会社製、下記式(6)
Figure 0005536800
で表される構造を骨格中に有する化合物(nは正の整数))を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂塗布液を調製した。
実施例1および比較例1で得られた樹脂塗布液について、アレルゲン低減性能(アレルゲン低減率)と色相を測定した。結果を表1に示す。
また、比較例2として、樹脂塗布液を塗布していない未加工のPETフィルムのアレルゲン低減性能と色相も測定した。その結果も併せて表1に示す。
<アレルゲン低減性能の測定>
1)アレルゲン溶液の調製
アレルゲンの冷結乾燥粉末(精製ダニ抗原;Der2、アサヒビール社製)をアレルゲンタンパク量100ng/mlになるようにリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させてアレルゲン溶液を作製した。
2)サンプルの調製
実施例1および比較例1で得られた樹脂塗布液をバーコーター#20でPETフィルムに塗布し、80℃で30分間乾燥した。
3)反応の実施
操作1)で調製したアレルゲン溶液を、操作2)で作製した各々のフィルムと未加工のPETフィルムに対し400μlづつ滴下し、反応6時間後のアレルゲンタンパク量をELISAキット(Indoor社)を用いて測定した。
なお、アレルゲン低減率は、下記のとおり算出して求めた。
アレルゲン低減率(%)=100×(1−A/B)
A:操作2)で得られたフィルムの6時間後のアレルゲンタンパク量(ng/ml)
B:未加工のPETフィルムの6時間後のアレルゲンタンパク量(ng/ml)
<色相の測定>
樹脂塗布液の色相(比較例2についてはPETフィルムの色相)をガードナー法により測定した。なお、評価は0〜18で行った。(0は無色透明、数値が大きいほど褐色になる)
Figure 0005536800
表1の結果から、前記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を含む実施例1の樹脂塗布液を塗布した加工製品は、従来のアレルゲン低減剤を含む比較例1の樹脂塗布液を塗布した加工製品と同様に優れたアレルゲン低減性能を有していることが確認できた。しかも実施例1の樹脂塗布液は、比較例1の樹脂塗布液と比べて着色が少なく、また、何も塗布していない未加工の比較例2のPETフィルムと同様に着色が少ないことも確認できた。
(実施例2)
<UV硬化塗料の調製>
上記水素添加樹脂化合物10重量部、ウレタンアクリレート(商品名:紫光7550B、日本合成化学社製)30重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(EO付加)(商品名:M310、東亞合成化学社製)16重量部、トリプロピレングリコール(商品名:M220、東亞合成化学社製)18重量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:L−9CA、第一工業製薬社製)18重量部、メトキシグリコールアクリレート(商品名:ME−3,第一工業製薬社製)18重量部、疎水性シリカ(商品名:サイロホッビク702、富士シリシア社製)5重量部、アクリルビーズ(商品名:GM0401S、ガンツ化成社製)5重量部、光重合開始剤(商品名:MBF,チバ社製)5重量部を加え撹拌し、UV硬化塗料を得た。
(比較例3)
実施例2において上記水素添加樹脂化合物の代わりに、ポリビニルフェノール樹脂マルカリンカM(丸善石油化学株式会社製、上記式(6)で表される骨格を有する化合物(nは整数))を用いた以外は、実施例2と同様にしてUV硬化塗料を得た。
(比較例4)
実施例2において上記水素添加樹脂化合物を配合しないこと以外は、実施例2と同様にしてUV硬化塗料を得た。
実施例2、および比較例3,4で得られたUV硬化塗料を、バーコーター#10で予めプレコート処理を施した白色のオレフィンシートに塗布し、紫外線照射(照度350〜400mj/cm)により硬化させて、加工シートを得た。そして、各々の加工シートのアレルゲン低減性能、色相(着色性)、耐熱性(耐熱変色性)、耐光性(耐光変色性)、耐薬品性を測定した。結果を表2に示す。
<アレルゲン低減性能の測定>
1)アレルゲン溶液の調製
アレルゲンの冷結乾燥粉末(精製ダニ抗原;Der2、アサヒビール社製)をアレルゲンタンパク量20ng/mlになるようにリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させてアレルゲン溶液を作製した。
2)反応の実施
操作1)で調製したアレルゲン溶液を、加工シートに対し400μlづつ滴下し、反応6時間後のアレルゲンタンパク量をELISAキット(Indoor社)を用いて測定した。アレルゲン低減率は、下記のとおり算出して求めた。
アレルゲン低減率(%)=100×(1−A/B)
A:実施例2および比較例3で得たUV硬化塗料を塗布して得られた加工シートの6時間後のアレルゲンタンパク量(ng/ml)
B:比較例4で得たUV硬化塗料を塗布して得られた加工シートの6時間後のアレルゲンタンパク量(ng/ml)
<色相(着色性)の測定>
加工シートの色相を色差計で色差ΔEを測定した。評価基準は下記の通りである。
ΔE≦1 :◎
1<ΔE<2:○(該当するものなし)
ΔE≧2 :×
<耐熱性(耐熱変色性)の評価>
加工シートを80℃で96時間保持し、試験後、色差計で色差ΔEを測定した。評価基準は下記の通りである。
ΔE≦1 :◎(該当するものなし)
1<ΔE<2:○
ΔE≧2 :×
<耐光性(耐光変色性)の評価>
加工シートをフェード試験(Xeランプ)で48時間照射し、試験後、色差計で色差ΔEを測定した。評価基準は下記の通りである。
ΔE≦0.5 :◎(該当するものなし)
0.5<ΔE<1:○
ΔE≧1 :×(該当するものなし)
<耐薬品性の評価>
加工シートに、アルカリ洗剤(商品名:ドメスト、ユニリーバ)を滴下し、24時間保持し、外観を評価した。評価基準は下記の通りである。
外観異常なし :○
外観異常あり(黄変):×
Figure 0005536800
表2の結果から、前記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を含む実施例2のUV硬化塗料を塗布して得られた加工シートは、従来のアレルゲン低減剤を含む比較例3の樹脂塗布液を塗布した加工製品と比べて、同程度のアレルゲン低減性能と耐薬品性を有し、しかも着色が少なく、耐熱性および耐光性が優れていることが確認できた。また、比較例4の樹脂塗布液を塗布した加工製品と比べて、アレルゲン低減性能が優れていることが確認できた。
また、前記式(1)で表される構造を骨格中に有する化合物を塗料に適用でき、これをさらに樹脂シートに適用できるなど加工性が良好であることも確認できた。

Claims (4)

  1. 下記式(I)
    Figure 0005536800
    (式中、mは1以上の整数を示す。)
    で表される化合物を有効成分とすることを特徴とするアレルゲン低減剤。
  2. 前記式(I)で表される構造を骨格中に有する化合物が、下記式(II)
    Figure 0005536800
    (式中、mは1以上の整数を示す。)
    で表される構造を骨格中に有するテルペンフェノール樹脂を水素添加反応させて得られた化合物であることを特徴とする請求項1に記載のアレルゲン低減剤。
  3. 請求項1または2に記載のアレルゲン低減剤が表面に固定化されていることを特徴とする加工製品。
  4. 請求項1または2に記載のアレルゲン低減剤と硬化性樹脂を含有することを特徴とする塗料。
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