JP2006304708A - アレルゲン抑制化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、生活用品の風合いを損ねることなく少量でアレルゲンを抑制することができるアレルゲン抑制化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のアレルゲン抑制化合物は、フェノール核同士が酸化カップリング反応によって直接結合したユニットを構成単位として含有する化合物からなることを特徴とするので、アレルゲン抑制化合物をアレルゲン対象物に供給することによって、日常生活における通常の湿度下において、アレルゲン対象物にその風合いを損ねることなくアレルゲン抑制効果を付与することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明のアレルゲン抑制化合物は、フェノール核同士が酸化カップリング反応によって直接結合したユニットを構成単位として含有する化合物からなることを特徴とするので、アレルゲン抑制化合物をアレルゲン対象物に供給することによって、日常生活における通常の湿度下において、アレルゲン対象物にその風合いを損ねることなくアレルゲン抑制効果を付与することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アレルゲン抑制化合物及びその製造方法に関する。
近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などの多くのアレルギー疾患が問題となってきている。このアレルギー疾患の主な原因としては、住居内に生息するダニ類、特に、室内塵中に多く存在するヒョウヒダニのアレルゲン(Der1、Der2)や、主に春季に多量に空気中に浮遊するスギ花粉アレルゲン(Crij1、Crij2)などのアレルゲンが生活空間内に増加してきているためである。
そして、ヒョウヒダニのアレルゲンは、ヒョウヒダニを駆除しても、ヒョウヒダニの死骸がアレルゲンとなるために、アレルギー疾患の根本的な解決にはならない。又、スギ花粉アレルゲンであるCrij1は分子量が約40kDaの糖タンパク質であり、Crij2は分子量が約37kDaの糖タンパク質である。そして、スギ花粉アレルゲンは、鼻粘膜などに付着すると生体外異物として認識されて炎症反応を引き起こす。
従って、アレルギー疾患の症状を軽減し或いは新たなアレルギー症状を防止するためには、生活空間からアレルゲンを完全に取り除くか、アレルゲンを変性させるなどして不活性化させることが必要となる。
アレルゲンは蛋白質である。従って、アレルゲンを熱、強酸又は強アルカリ等で変性させると、アレルゲンはアレルゲン性を失うと考えられる。しかしながら、アレルゲンは非常に安定性が高く、家庭で安全に使用できる酸化剤、還元剤、熱、アルカリ、酸では容易に変性されない(非特許文献1)。
アレルゲンを変性させようとすると、アレルゲンの汚染場所である生活用品、例えば、畳、絨毯、床、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シート、チャイルドシート)、キッチン用品、ベビー用品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、その他の繊維製品、空気清浄機(本体及びフィルター)などが条件によっては破損してしまう可能性があった。
このため、アレルゲンの分子表面を比較的温和な条件で化学的に変性する方法が考えられてきた。例えば、生皮などのなめし(タンニング)などに用いられているタンニン酸を用いてアレルゲンを抑制する方法(特許文献1)、茶抽出物などを用いてアレルゲンを抑制する方法(特許文献2)、ヒドロキシ安息香酸系化合物又はその塩を用いてアレルゲンを抑制する方法(特許文献3)等が提案され、アレルゲン抑制効果も確認されている。
しかしながら、これらのほとんどはポリフェノールの一種であることから着色しており、上記生活用品を着色してしまうといった問題点があった。又、特許文献4には、芳香族ヒドロキシ化合物などからなるアレルゲン低減剤が提案されているが、充分なアレルゲン抑制効果を発現させる量のアレルゲン低減剤を繊維などに処理すると風合いが悪くなると言う問題点があった。
又、特許文献4には、芳香族ヒドロキシ化合物などからなるアレルゲン低減剤が提案されているが、充分なアレルゲン抑制効果を発現させる量のアレルゲン低減剤を繊維などに処理すると風合いが悪くなるという問題点があった。
The Journal of Immunology Vol.144:1353-1360
特開昭61−44821号公報
特開平6−279273号公報
特開平11−292714号公報
特開2003−81727号公報
本発明は、生活用品の風合いを損ねることなく少量でアレルゲンを抑制することができるアレルゲン抑制化合物及びその製造方法を提供する。
本発明のアレルゲン抑制化合物は、フェノール核同士が酸化カップリング反応によって直接結合したユニットを構成単位として含有する化合物からなり、例えば、フェノール或いはフェノール誘導体のフェノール核同士を直接、酸化カップリング反応により結合させてなる化合物が挙げられ、具体的には、式1で示される化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を酸化カップリング重合させて得られた重合体が好ましい。
ここで、上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。又、炭素数が1〜18のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状及び環状のものが包含され、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、及び、シクロヘキシル基などを挙げることができる。これらのアルキル基は、一又は二以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
又、炭素数が2〜18のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1,3−ブタジエニル基、イソプロペニル基などを挙げることができる。そして、炭素数が2〜18のアルキニル基としては、例えば、エチニル基などが挙げられる。
上記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基の炭素数は、多いと、大きいと立体障害が生じ、酸化カップリング反応を充分に進行させることができず、目的とするアレルゲン抑制化合物を得ることができないので、18以下に限定される。
更に、アリール基としては、ベンゼン系やナフタレン系などの単環、縮合多環のものが包含され、例えば、フェニル基、トルイル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基などが挙げられる。
又、アリールアルキル基は、2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル基、ベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。そして、エーテル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基などのアルコキシ基、トリフルオロメチルオキシ基及びベンジルオキシ基などの置換アルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基などを挙げることができる。
そして、チオエーテル基としては、メチルチオ基及びエチルチオ基などのアルキルチオ基、フェニルチオ基などのアリールチオ基を挙げることができる。又、炭化水素オキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基及びブトキシカルボニル基などを挙げることができる。
更に、アシル基としては、ホルミル基及びアセチル基などを挙げることができる。又、置換アミノ基としては、メチルアミノ基などのモノ置換アミノ基、ジメチルアミノ基などのジ置換アミノ基を挙げることができる。
そして、式1で示される化合物を含む、フェノール或いはフェノール誘導体(以下、総称して「フェノール系化合物」ということがある。)の酸化カップリング反応、詳細には、式1で示される化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物の酸化カップリング重合は、酸化還元酵素や遷移金属錯体などの酸化触媒及び酸化剤の存在下にて行われる。なお、フェノール系化合物としては、一種類のみを用いてもよいし或いは二種以上を用いてもよい。上記酸化還元酵素としては、フェノール系化合物の酸化カップリング反応を起こすのに充分な酸化能を発現させることができれば、特に限定されず、例えば、ペルオキシダーゼやオキシダーゼなどが挙げられる。
上記ペルオキシダーゼとしては、種々の起源のものが使用でき、特に限定されず、例えば、植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のペルオキシダーゼを挙げることができ、酸化能が高いことから、西洋わさびペルオキシダーゼ、大豆ペルオキシダーゼが好ましく、西洋わさびペルオキシダーゼがより好ましい。
又、上記オキシダーゼとしては、例えば、ラッカーゼが挙げられる。このラッカーゼとしては、種々の起源のものが使用でき、特に制限はないが、例えば植物由来、細菌由来、坦子菌類由来のラッカーゼを挙げることができる。これらの例としては、うるしの木から得られるラッカーゼ、Pyricularia、Pleurotus、Pycnoporus、Polystictus、Coriolus、Bjerkandera、Mycelopthora、Neurospora属の微生物から得られるラッカーゼを挙げることができ、Pyricularia oryzae、Pycnoporus coccineus、Coriolus vercicolor Pleurotus ostreates、Mycelopthora起源のラッカーゼが好ましい。
なお、上記酸化還元酵素は、精製・未精製の何れであってもよい。そして、酸化カップリング重合を含む酸化カップリング反応において用いられる酸化還元酵素の量は、溶媒及びその活性によって適宜、調整されるが、フェノール系化合物1gに対して0.001mg〜10gが好ましく、0.005mg〜5gがより好ましく、0.005mg〜3gが特に好ましい。
又、上記遷移金属錯体としては、式5で示される化合物が好ましい。
上記Mは、遷移金属原子としては、周期律3A〜7A族、8族及び1B族に属する元素が挙げられ、具体的には、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、銅、ロジウム、バナジウム、クロムなどがあり、鉄が好ましく、二価の鉄がより好ましい。
上記式5のR3 〜R8 において、炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記式5のR3 〜R8 において、置換炭化水素基は、上記炭化水素基の水素原子の一又は二以上をハロゲン原子などで置換したものをいう。このようなハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
上記式5のR3 ,R4 ,R7 ,R8 において、エーテル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
上記式5のR3 ,R4 ,R7 ,R8 において、置換エーテル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基などで置換されたエーテル基であり、具体的には、トリクロロメトキシ基、トリブロモメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2-tert-ブチルオキシエトキシ基、3−ジフェニルアミノプロポキシ基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
又、上記式5のR3 ,R8 において、置換アミノ基としては、炭素数が大きいと立体障害が生じ、酸化カップリング反応を充分に進行させることができず、目的とするアレルゲン抑制化合物を得ることができないことがあるので、炭素数1〜20の置換アミノ基が好ましく、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
更に、上記式5のR4 ,R7 において、炭化水素オキシカルボニル基としては、炭素数が大きいと立体障害が生じ、酸化カップリング反応を充分に進行させることができず、目的とするアレルゲン抑制化合物を得ることができないことがあるので、炭素数1〜20の炭化水素オキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピキシカルボニル基、tert- ブチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基などが挙げられる。
そして、上記式5のR4 ,R7 において、置換炭化水素オキシカルボニル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基などで置換された炭化水素オキシカルボニル基であり、具体的には、トリクロロメトキシカルボニル基、トリブロモメトキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、2-tert-ブチルオキシエトキシカルボニル基、3−ジフェニルアミノプロポキシカルボニル基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
更に、上記式5のR4 ,R7 において、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子がより好ましい。
又、上記式5のR9 において、二価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロペン−1,3−ジイル基、ブテン−1,4−ジイル基などのアルキレン基、シクロペンタン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基などのシクロアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基などを挙げることができ、メチレン基、エチレン基、プロペン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,2−ジイル基が好ましい。
そして、上記式5のR9 において、二価の置換炭化水素基とは、二価の炭化水素基の水素原子の一又は二以上をハロゲン原子などで置換したものをいう。このようなハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
そして、上記式5で示される遷移金属錯体における四座配位子としては、例えば、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン、N−(3−オキソペンチリデン)−N’−サリシリデンエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)−1,2−フェニルエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソブチリデン)−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ビス(1−メチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソペンチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(3−オキソヘキシリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチル−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−シアノ−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−ビス(2−ニトロ−3−オキソブチリデン)エチレンジアミン、N,N’−(1,2−エチレン)−ビス(マロン酸モノメチルモノアミド)などの他に、これらの配位子からプロトンを一つ又は二つ以上を取り去って得られる陰イオンが挙げられる。
又、上記遷移金属錯体において、配位子と中心金属以外の構造は、触媒能を失活させない限り、特に限定されるものではない。例えば、配位子として、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミン(以下サレンと表記することがある)を、中心金属として鉄を用いた、N,N’−ジサリシリデンエチレンジアミナト鉄(II)(以下、Fe−サレンと表記することがある)遷移金属錯体は、酸素下において容易に酸素架橋体であるμ−オキソ−ビス(N,N’−ジサリシリデエチレンジアミナト鉄(III))を形成することが知られているが、これを酸化触媒として用いてもよい。
上記遷移金属錯体には、電気的に中性を保たせるようなカウンターイオンが必要な場合がある。カウンターアニオンとしては、通常、ブレンステッド酸の共役塩基が用いられ、具体的には、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。又、カウンターカチオンとしては、アルカリ金属やアルカリ土類金属などのカチオンを適宜用いることができる。なお、上記遷移金属錯体には、錯体の原料、合成過程及び/又は酸化カップリング反応の過程で、溶媒などが配位してもよい。
上記遷移金属錯体の使用量は、遷移金属錯体の酸化カップリング活性により適宜、調整すればよいが、フェノール系化合物1gに対して0.001mg〜10gが好ましく、0.005mg〜5gがより好ましく、0.01mg〜3gが特に好ましい。
更に、上記遷移金属錯体の活性を高めるために、助触媒としてアミンを用いてもよい。このようなアミンとしては、遷移金属錯体の活性に影響を及ぼさないものであれば、特に限定されず、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、2,6−ルチジンなどの第三級アミンなどが挙げられる。そして、アミンの使用量は、反応収率の向上という観点から、フェノール系化合物1gに対して0.01mg〜1gが好ましい。
上記酸化剤としては、酸化カップリング反応を生起させるものであればよく、過酸化水素などの無機過酸化物、有機過酸化物が挙げられ、無機過酸化物が好ましく、過酸化水素がより好ましい。そして、酸化剤は、反応混合物中に一度に添加してもよいが、酸化剤の活性を保持するために反応混合物中に分割して添加してもよい。
そして、酸化剤の使用量は、フェノール系化合物1モル当たり0.3〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましい。なお、酸化剤の濃度は特に限定されない。
更に、ラッカーゼなどのオキシダーゼを酸化触媒として用いる場合には、酸化剤として分子状酸素を用いることができる。この場合の分子状酸素としては、純酸素の他に、空気或いは酸素と、不活性ガスとの混合物であってもよい。分子状酸素は、後述の反応溶媒中に吹き込んでもよいが、酸化カップリング反応の雰囲気中に存在させるだけでもよい。
フェノール系化合物の酸化カップリング反応は反応溶媒中で行われるが、このような反応溶媒としては有機溶媒が挙げられる。この有機溶媒は、水との相溶性の有無については特に限定されないが、水と相溶性を有するものが好ましい。
水と相溶性を有する有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、イソプロピルアルコール、tert- ブチルアルコールなどの低級アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの二価アルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、アセトニトリルなどのニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、上記酸化カップリング反応を有機溶媒と水とを含む反応溶媒中にて行う場合、水としては、蒸留水や脱イオン水でもよいが、緩衝液を用いてもよい。このような緩衝液としては、特に限定されないが、酢酸緩衝液、りん酸緩衝液、炭酸緩衝液が好ましい。又、上記緩衝液のpHは3〜12が好ましい。
更に、反応溶媒として有機溶媒と水との混合溶媒を用いる場合、反応溶媒中における有機溶媒の含有量は、特に限定されないが、5〜95体積%が好ましく、20〜80体積%がより好ましい。同様に、反応溶媒中における水の含有量は、5〜95体積%が好ましく、20〜80体積%がより好ましい。
そして、酸化カップリング反応に用いられる反応溶媒の量は、特に限定されず、フェノール系化合物の濃度が0.05〜500g/リットルとなるように調整することが好ましく、0.5〜200g/リットルとなるように調整することがより好ましい。
又、フェノール系化合物を反応溶媒中に溶解或いは分散させる要領としては、酸化触媒が失活(不活性化)しない限り、特に限定されず、例えば、原料となるフェノール系化合物を個別に反応溶媒中に酸化触媒及び酸化剤と共に溶解或いは分散させて原料溶液或いは原料分散液を作製し、これらの原料溶液或いは原料分散液を互いに混合させる方法、原料となるフェノール系化合物を全て、反応溶媒中に溶解或いは分散させた後、この反応溶媒中に酸化触媒及び酸化剤を添加する方法などが挙げられる。
そして、酸化触媒として酸化還元酵素を用いる場合、フェノール系化合物を酸化カップリング反応させる反応温度としては、酸化還元酵素を失活させない温度であれば、特に限定されず、−10〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましく、10〜50℃が特に好ましい。なお、反応温度が高過ぎると、一般的に酵素は失活するが、反応溶媒の種類によっては酵素を安定化させる場合もあり、このような場合には反応温度を高く設定することができる。
フェノール系化合物の酸化カップリング反応によって得られたアレルゲン抑制化合物が反応溶媒に対して溶解度が低く、反応溶媒中に分散している場合には、酸化カップリング反応の終了後、反応溶媒からアレルゲン抑制化合物を濾過分離或いは遠心分離することによってアレルゲン抑制化合物を単離することができる。
一方、フェノール系化合物の酸化カップリング反応によって得られたアレルゲン抑制化合物が反応溶媒に対して溶解度が高く、反応溶媒中に溶解している場合には、有機溶媒を減圧下にて除去するか、或いは、反応溶媒中に、アルコール及び水からなる混合溶媒、水、又、反応溶媒に用いられている有機溶媒以外の有機溶媒及び水からなる混合溶媒を添加することによって、反応溶媒中に溶解したアレルゲン抑制化合物を析出させ、この析出したアレルゲン抑制化合物を濾過分離或いは遠心分離することによってアレルゲン抑制化合物を単離することができる。なお、上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
このように、フェノール系化合物を酸化触媒及び酸化剤の存在下にて酸化カップリング反応させることによってアレルゲン抑制化合物を得ることができる。特に、式1に示した化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を酸化カップリング重合させて得られたアレルゲン抑制化合物において、それぞれのフェノール単位の結合は、ベンゼン核同士が直接結合した炭素−炭素結合と、ベンゼン核同士がフェノール由来の酸素原子1個を介して結合した炭素−酸素結合の双方を包含している。
即ち、各フェノール単位は、水酸基を有する式3に示したフェニレンユニットと、水酸基のない式4に示したオキシフェニレンユニットの双方を構成単位として含む形で結合しており、式1に示した化合物からなる群から選ばれた一種又は二種以上の化合物を酸化カップリング重合させて得られたアレルゲン抑制化合物は、式2に示した一般式で表される。
但し、式2中のR1 ,R2 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、エーテル基、チオエーテル基、炭化水素オキシカルボニル基、アシル基又は置換アミノ基を示し、R1 ,R2 は同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR1 とオキシフェニレンユニットのR1 とは同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR2 とオキシフェニレンユニットのR2 とは同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR1及びR2は各ユニット毎に同一であっても異なっていてもよい。オキシフェニレンユニットのR1 及びR2 は各ユニット毎に同一であっても異なっていてもよい。
そして、式2で示される重合体中、式3で示されるフェニレンユニットと、式4で示されるオキシフェニレンユニットとのモル比(フェニレンユニット:オキシフェニレンユニット)は、95:5〜5:95であることが好ましい。
これは、式2で示される重合中、式3で示されるフェニレンユニットが少なくなると、アレルゲン抑制化合物のアレルゲン抑制効果が低下することがある一方、式3で示されるフェニレンユニットが多くなると、アレルゲン抑制化合物の着色性が強くなり、アレルゲン抑制化合物で処理した製品に着色が生じる虞れがあるからである。
更に、上記アレルゲン抑制化合物に親水性高分子を含有させてもよい。このような親水性高分子としては、空気中の水分子を集めることによってアレルゲン抑制化合物との相互作用を起こし得る反応場を形成し得るものであるものが好ましい。
そして、上記アレルゲン抑制化合物に親水性高分子を含有させることによって、通常の湿度条件下、例えば、絶対湿度50g/m3 以下の雰囲気下において、アレルゲン抑制化合物はアレルゲンを更に効果的に抑制することができる。
なお、「空気中の水分子を集めることによってアレルゲン抑制化合物との相互作用を起こしうる反応場」とは、アレルゲンが抗原性を発揮する部分(エピトープ)の抗原性を抑制するために何らかの化学的相互作用を及ぼすための反応場のことであり、例えば、イオン化状態などの電気化学的遷移状態を安定化させ、化学反応の遷移状態の障壁エネルギーを下げることにより、自然な化学反応の進行が起こりうるような反応場のことをいう。
そして、通常、化学反応を起こすために越えなければならない遷移状態のエネルギー障壁を下げるためには液体状態の水を必要とするが、本発明のアレルゲン抑制化合物は、作為的に湿度を挙げるなどの操作を要することなく、空気中の水分を集めることによって上述の反応場を形成することができ、更に、上述のように、親水性高分子を含有させておくことによって上記反応場をより確実に形成することができる。
上記親水性高分子としては、特に限定されず、例えば、主鎖中にエーテル結合及び/又はアミド結合を有する高分子、側鎖に極性基を有する高分子、主鎖中にエーテル結合及び/又はアミド結合を有し且つ側鎖に極性基を有する高分子などが挙げられる。なお、上記極性基としては、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミン等のアミン基、アンモニウム塩基などのカチオン性基;硫酸エステルやリン酸エステルなどの炭化水素オキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホン基などのアニオン性基、ヒドロキシ基、アミド基などのノニオン性基などが挙げられる。
上記親水性高分子としては、具体的には、でんぷん、セルロース、タンニン、ニグニン、アルギン酸やアラビアゴムなどの多糖などの天然系化合物、ポリビニルアルコール、ブチラールなどのポリアルコール、ポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンなどのポリエーテル、ポリアクリル酸などのポリマー酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリマー塩、ポリアリルアミンなどのポリアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、アクリル樹脂などの合成系化合物などが挙げられ、通常の室内条件下で潮解性を示さないという点から合成系高分子が好ましく、吸湿性のみならず保水性が高いことから、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが好ましい。なお、親水性高分子は単独でも二種以上を併用してもよいが、異なる分子構造を有する二種以上の親水性高分子を組み合わせることが好ましい。
異なる分子構造を有する二種類以上の親水性高分子の組合せとしては、ポリエーテルとポリマー塩との組合せ、ポリエーテルとポリアルコールとの組合せが好ましく、ポリオキシエチレンとポリアクリル酸ナトリウムとの組合せ、ポリオキシエチレンとポリビニルアルコールとの組合せがより好ましい。
上記親水性高分子の融点は、低いと、アレルゲン抑制化合物の使用雰囲気下にて液体状となる場合があり、アレルゲン抑制化合物で処理した生活用品がべとつくなどの風合いを損なう虞れがあるので、40℃以上が好ましく、水と接する機会の多い雰囲気下にてアレルゲン抑制化合物が用いられる場合にはアレルゲンの抑制効果を持続させるために、50℃以上がより好ましい。
そして、上記親水性高分子の含有量は、少ないと、空気中の水分子を十分に集められないため、アレルゲンとの相互作用を起こしうるに十分な反応場を形成することができず、アレルゲン抑制化合物が十分なアレルゲンの抑制効果を発揮することができないことがある一方、多いと、アレルゲン抑制化合物の量が相対的に少なくなってしまい、アレルゲン抑制化合物におけるアレルゲンの抑制効果が低下することがあるので、アレルゲン抑制化合物100重量部に対して40〜1000重量部が好ましく、50〜1000重量部がより好ましい。
又、上記アレルゲン抑制化合物をエポキシ樹脂などを用いて高分子量化することによって、水などの溶剤に対するアレルゲン抑制化合物の溶解性を低下させて耐溶剤性を向上させ、アレルゲン抑制化合物のアレルゲン抑制効果を長期間に亘って持続させることができる。例えば、アレルゲン抑制化合物で処理した生活用品に水がかかったり或いは洗濯した場合にあっても、アレルゲン抑制化合物が水に溶解して消失するのを抑制することができ、アレルゲン抑制化合物のアレルゲン抑制効果を長期間に亘って持続させることができる。
本発明のアレルゲン抑制化合物には、アレルゲン抑制効果の有効性を阻害しない範囲において、分散剤、乳化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの製剤用補助剤が配合されていてもよく、また、殺ダニ剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤などが含有されていてもよい。
次に、上記アレルゲン抑制化合物の使用要領について説明する。上記アレルゲン抑制化合物は、スプレー型、エアゾール型、燻煙型、加熱蒸散型などの汎用の使用方法を用いることができる。上記アレルゲン抑制化合物を溶媒に溶解或いは分散させてアレルゲン抑制化合物溶液とし、このアレルゲン抑制化合物溶液に水溶剤、油剤、乳剤、懸濁剤などを配合することによって、アレルゲン抑制化合物をスプレー型とすることができる。なお、スプレー型とは、常圧下にあるアレルゲン抑制化合物溶液に圧力を加えてアレルゲン抑制化合物を霧状に噴霧する使用方法をいう。
なお、上記溶媒としては、例えば、水(好ましくは、イオン交換水)、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなど)、炭化水素類(トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミドなど)が挙げられる。
そして、上記スプレー型のアレルゲン抑制化合物に、固体担体(タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、シリカ、バーミュライト、パーライトなど)を添加することにより、アレルゲン抑制化合物をエアゾール型とすることができる。
ここで、エアゾール型とは、容器内にアレルゲン抑制化合物溶液を噴射剤と共に該噴射剤が圧縮された状態に封入しておき、噴射剤の圧力によってアレルゲン抑制化合物を霧状に噴霧させる使用方法をいう。なお、噴射剤としては、例えば、窒素、炭酸ガス、ジメチルエーテル、LPGなどが挙げられる。
そして、上記スプレー型のアレルゲン抑制化合物に、酸素供給剤(過塩素酸カリウム、硝酸カリウム、塩素酸カリウムなど)、燃焼剤(糖類、澱粉など)、発熱調整剤(硝酸グアニジン、ニトログアニジン、リン酸グアニル尿素など)、酸素供給剤分解用助剤(塩化カリウム、酸化銅、酸化クロム、酸化鉄、活性炭など)などを添加することにより、アレルゲン抑制化合物を燻煙型とすることができる。なお、燻煙型とは、アレルゲン抑制化合物を微粒子化して煙状とし、分散させる使用方法をいう。
そして、上記アレルゲン抑制化合物を、各種使用方法に応じて、生活用品などのような、アレルゲンが存在する対象物、即ち、アレルゲンを抑制したい対象物(以下、「アレルゲン対象物」という)に噴霧、分散、塗布又は固着させ供給することにより、アレルゲンを抑制することができる。なお、上記アレルゲン抑制化合物は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、「アレルゲンを抑制する」とは、ヒョウヒダニのアレルゲン(Der1、Der2)、空気中に浮遊するスギ花粉アレルゲン(Crij1、Crij2)、犬や猫に起因するアレルゲン(Can f1、Fel d1)などのアレルゲンを変性し或いは吸着し、アレルゲンの特異抗体に対する反応性を抑制することをいう。
又、上記アレルゲン対象物としては、生活空間においてアレルゲンの温床となる生活用品などが挙げられる。この生活用品としては、例えば、畳、絨毯、床、家具(ソファー、布ばり椅子、テーブル)、寝具(ベッド、布団、シーツ)、車内用品(シート、チャイルドシート)、キッチン用品、ベビー用品、カーテン、壁紙、タオル、衣類、ぬいぐるみ、繊維製品、空気清浄機(本体及びフィルター)などが挙げられる。更に、上記アレルゲン抑制化合物は、上述以外に、洗剤や柔軟仕上げ剤などに添加することによってもアレルゲン抑制効果を発揮することができる。
本発明のアレルゲン抑制化合物のアレルゲン対象物に対する使用量としては、少ないと、アレルゲン抑制化合物のアレルゲン抑制効果が発現しないことがある一方、多いと、アレルゲン対象物を痛めることがあるので、アレルゲン対象物100重量部に対して0.1〜300重量部が好ましく、0.2〜100重量部がより好ましく、0.5〜50重量部が特に好ましい。
本発明のアレルゲン抑制化合物が対象とするアレルゲンとしては、動物性アレルゲン、花粉などの植物性アレルゲンが挙げられる。特に効果のある動物アレルゲンとしては、ダニ類のアレルゲン(ダニ類、節足動物一蛛形綱−ダニ目の生物で、主に7つの亜目に分かれている。アシナガダニに代表される背気門、カタダニに代表される四気門、ヤマトマダニ、ツバメヒメダニに代表される後気門、イエダニ、スズメサシダニ代表される中気門、クワガタツメダニ、ナミホコリダニに代表される前気門、コナヒョウヒダニなどのヒョウヒダニ類、ケナガコナダニに代表される無気門、イエササラダニ、カザリヒワダニに代表される隠気門など)のいずれの種類でも対象となり得るが、室内塵中、特に寝具類に多く、アレルギー疾患の原因となるヒョウヒダニ類に特に効果がある。
上述のアレルゲン抑制化合物の使用要領によれば、アレルゲン対象物に必要に応じてアレルゲン抑制化合物を供給することによって、アレルゲン対象物に存在するアレルゲンの特異抗体に対する反応性を抑制するものであった。
上記アレルゲン抑制化合物を繊維に含有させてアレルゲン抑制繊維とし、繊維自体にアレルゲン抑制効果を付与してもよい。このアレルゲン抑制繊維を用いて上記生活用品を作製することによって、生活用品にアレルゲン抑制効果を予め付与しておくことができる。
アレルゲン抑制化合物を繊維に含有させる方法としては、繊維にアレルゲン抑制化合物を物理的に固着させる方法が挙げられる。そして、繊維としては、アレルゲン抑制化合物を含有させることができるものであれば、特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維などの合成繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、キュプラ、レーヨンなどの再生繊維、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維、又は、これら各種繊維の複合化繊維、混綿などが挙げられる。
アレルゲン抑制化合物を繊維に物理的に固着させる方法について説明する。アレルゲン抑制化合物を繊維に物理的に固着させる方法としては、例えば、(1) アレルゲン抑制化合物を溶剤中に溶解或いは分散させ、このアレルゲン抑制化合物溶液中に繊維を含浸させて、繊維にアレルゲン抑制化合物溶液を含浸させる方法、(2) 上記アレルゲン抑制化合物溶液を繊維表面に塗布する方法、(3) 上記アレルゲン抑制化合物を溶解或いは分散させてなるバインダー中に浸漬させて、アレルゲン抑制化合物をバインダーによって繊維に固着させる方法、(4) 上記アレルゲン抑制化合物を溶解或いは分散させてなるバインダーを繊維表面に塗布し、アレルゲン抑制化合物をバインダーによって繊維に固着させる方法などが挙げられる。なお、上記(1) (2) の方法において、アレルゲン抑制化合物溶液中に下記バインダーを含有させてもよい。
上記溶剤としては、特に限定されず、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール類;トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ケロセン、シクロヘキサンなどの炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類などが挙げられる。
上記バインダーとしては、アレルゲン抑制化合物を繊維表面に固着できるものであれば、特に限定されず、例えば、合成樹脂からなるバインダーとしては、一液型ウレタン樹脂、二液型ウレタン樹脂などのウレタン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂などが挙げられ、ウレタン系樹脂が好ましい。
本発明のアレルゲン抑制化合物は、上述の構成を有していることから、アレルゲン抑制化合物をアレルゲン対象物に供給することによって、日常生活における通常の湿度下において、アレルゲン対象物にその風合いを損ねることなくアレルゲン抑制効果を付与することができる。
(実施例1)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(和光純薬社製 ビスフェノールA)1.14g(5ミリモル)をメタノール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(和光純薬社製 ビスフェノールA)1.14g(5ミリモル)をメタノール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
そして、西洋わさびペルオキシダーゼ(関東化学社製、分子量:約42000)1.0ミリグラムをリン酸緩衝液(pH7)12.5ミリリットルに溶解させてペルオキシダーゼ溶液を作製し、このペルオキシダーゼ溶液を上記フェノール系化合物溶液中に添加して、メタノール及びリン酸緩衝液からなる反応溶媒中に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び西洋わさびペルオキシダーゼを溶解させた。
更に、上記反応溶媒中に、5重量%の過酸化水素水(和光純薬社製)を1.6ミリリットル/時間の滴下速度で室温雰囲気下にて2時間かけて絶え間なく滴下した後、反応溶媒を更に1時間撹拌して、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを酸化カップリング重合させてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対して過酸化水素0.94モル用いた。
アレルゲン抑制化合物は酸化カップリング重合の進行に伴って反応溶媒中に析出し、析出してきたアレルゲン抑制化合物を反応溶媒から濾過分離させた後にメタノール及び水からなる洗浄溶液(メタノール:水(体積比)=1:1)で洗浄した上で乾燥させることによって、アレルゲン抑制化合物を単離した。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、3800であった。
(実施例2)
フェノール系化合物溶液として、ビスフェノールF(三井化学社製 2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンの混合物、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン:2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン:4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(モル比)=16:49:35)1.00g(5ミリモル)を2−プロパノール12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2100であった。
フェノール系化合物溶液として、ビスフェノールF(三井化学社製 2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン及び4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタンの混合物、2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン:2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン:4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(モル比)=16:49:35)1.00g(5ミリモル)を2−プロパノール12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2100であった。
(実施例3)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(和光純薬社製 ビスフェノールE)1.07g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2,400であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(和光純薬社製 ビスフェノールE)1.07g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2,400であった。
(実施例4)
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(東京化成社製)4.04g(20ミリモル)をメタノール50ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(東京化成社製)4.04g(20ミリモル)をメタノール50ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
そして、西洋わさびペルオキシダーゼ(関東化学社製、分子量:約42000)4.0ミリグラムをリン酸緩衝液(pH7)50ミリリットルに溶解させてペルオキシダーゼ溶液を作製し、このペルオキシダーゼ溶液を上記フェノール系化合物溶液中に添加して、メタノール及びリン酸緩衝液からなる反応溶媒中に、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル及び西洋わさびペルオキシダーゼを溶解させた。
更に、上記反応溶媒中に、5重量%の過酸化水素水(和光純薬社製)を6.8ミリリットル/時間の滴下速度で室温雰囲気下にて2時間かけて絶え間なく滴下した後、反応溶媒を更に3時間撹拌して、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルを酸化カップリング重合させてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル1モルに対して過酸化水素1モル用いた。
アレルゲン抑制化合物は酸化カップリング重合の進行に伴って反応溶媒中に析出し、析出してきたアレルゲン抑制化合物を反応溶媒から濾過分離させた後にメタノール及び水からなる洗浄溶液(メタノール:水(体積比)=1:1)で洗浄した上で乾燥させることによって、アレルゲン抑制化合物を単離した。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1100であった。
(実施例5)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりにテルペンジフェノール(ヤスハラケミカル社製 商品名「YP−90」、分子量:324)1.62g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、4100であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりにテルペンジフェノール(ヤスハラケミカル社製 商品名「YP−90」、分子量:324)1.62g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、4100であった。
(実施例6)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン1.46g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、7400であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン1.46g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、7400であった。
(実施例7)
フェノール系化合物溶液として、クレゾール(o-クレゾール、m-クレゾール及びp-クレゾールの混合物)0.54g(5ミリモル)をアセトン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1000であった。
フェノール系化合物溶液として、クレゾール(o-クレゾール、m-クレゾール及びp-クレゾールの混合物)0.54g(5ミリモル)をアセトン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1000であった。
(実施例8)
クレゾールとしてo−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1700であった。
クレゾールとしてo−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1700であった。
(実施例9)
クレゾールとしてm−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2500であった。
クレゾールとしてm−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、2500であった。
(実施例10)
クレゾールとしてp−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、700であった。
クレゾールとしてp−クレゾールを用いたこと以外は実施例7と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、700であった。
(実施例11)
フェノール系化合物溶液として、o−メトキシフェノール(和光純薬社製)0.62g(5ミリモル)を1,4−ジオキサン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、800であった。
フェノール系化合物溶液として、o−メトキシフェノール(和光純薬社製)0.62g(5ミリモル)を1,4−ジオキサン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、800であった。
(実施例12)
o-メトキシフェノールの代わりにp−メトキシフェノール(和光純薬社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、700であった。
o-メトキシフェノールの代わりにp−メトキシフェノール(和光純薬社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、700であった。
(実施例13)
p−tert−ブチルフェノール(和光純薬社製)0.75g(5ミリモル)をイソプロピルアルコール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
p−tert−ブチルフェノール(和光純薬社製)0.75g(5ミリモル)をイソプロピルアルコール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
そして、西洋わさびペルオキシダーゼ(関東化学社製、分子量:約42000)2.0ミリグラムをリン酸緩衝液(pH7)12.5ミリリットルに溶解させてペルオキシダーゼ溶液を作製し、このペルオキシダーゼ溶液を上記フェノール系化合物溶液中に添加して、イソプロピルアルコール及びリン酸緩衝液からなる反応溶媒中に、p−tert−ブチルフェノール及び西洋わさびペルオキシダーゼを溶解させた。
更に、上記反応溶媒中に、5重量%の過酸化水素水(和光純薬社製)を1.6ミリリットル/時間の滴下速度で室温雰囲気下にて2時間かけて絶え間なく滴下した後、反応溶媒を更に1時間撹拌して、p−tert−ブチルフェノールを酸化カップリング重合させてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、p−tert−ブチルフェノール1モルに対して過酸化水素0.94モル用いた。
アレルゲン抑制化合物は酸化カップリング重合の進行に伴って反応溶媒中に析出し、析出してきたアレルゲン抑制化合物を反応溶媒から濾過分離させた後にメタノール及び水からなる洗浄溶液(メタノール:水(体積比)=1:1)で洗浄した上で乾燥させることによって、アレルゲン抑制化合物を単離した。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、900であった。
(実施例14)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、フェノール0.47g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、3000であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、フェノール0.47g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、3000であった。
(実施例15)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、o-エチルフェノール0.61g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1500であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.14gの代わりに、o-エチルフェノール0.61g(5ミリモル)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、1500であった。
(実施例16)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(和光純薬社製 ビスフェノールA)1.14g(5ミリモル)をメタノール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(和光純薬社製 ビスフェノールA)1.14g(5ミリモル)をメタノール12.5ミリリットルに溶解させてフェノール系化合物溶液を作製した。
そして、西洋わさびペルオキシダーゼ(関東化学社製、分子量:約42000)1.0ミリグラムをリン酸緩衝液(pH7)12.5ミリリットルに溶解させてペルオキシダーゼ溶液を作製し、このペルオキシダーゼ溶液を上記フェノール系化合物溶液中に添加して、メタノール及びリン酸緩衝液からなる反応溶媒中に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び西洋わさびペルオキシダーゼを溶解させた。
更に、上記反応溶媒中に、5重量%の過酸化水素水(和光純薬社製)を1.6ミリリットル/時間の滴下速度で室温雰囲気下にて2時間かけて絶え間なく滴下した後、反応溶媒を更に1時間撹拌して、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを酸化カップリング重合させて酸化カップリング重合体を得た。なお、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1モルに対して過酸化水素0.94モル用いた。
酸化カップリング重合体は酸化カップリング重合の進行に伴って反応溶媒中に析出し、析出してきた酸化カップリング重合体を反応溶媒から濾過分離させた後にメタノール及び水からなる洗浄溶液(メタノール:水(体積比)=1:1)で洗浄した上で乾燥させることによって、酸化カップリング重合体を単離した。
次に、得られた酸化カップリング重合体を全て、0.4重量%のピリジンを含有するジメチルホルムアミド12.5ミリリットルに溶解させて重合体溶液を作製した。
そして、Fe−サレン遷移金属錯体(東京化成社製)10マイクロモル(3.2mg)を、0.4重量%のピリジンを含有するジメチルホルムアミド12.5ミリリットルに溶解させてFe−サレン遷移金属錯体溶液を作製し、このFe−サレン遷移金属錯体溶液を上記重合体溶液中に添加して、0.4重量%のピリジンを含有するジメチルホルムアミドからなる反応溶媒中に、酸化カップリング重合体及びFe−サレン遷移金属錯体を溶解させた。
更に、上記反応溶媒中に、5重量%の過酸化水素水(和光純薬社製)を15分間隔毎に4回に亘って0.2ミリリットルづつ添加した後、反応溶媒を室温にて3時間に亘って攪拌して更に酸化カップリング重合を進行させて、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを酸化カップリング重合させてなるアレルゲン抑制化合物を得た。なお、酸化カップリング重合体1モルに対して過酸化水素3.4モル用いた。
アレルゲン抑制化合物は酸化カップリング重合の進行に伴って反応溶媒中に析出し、析出してきたアレルゲン抑制化合物を反応溶媒から濾過分離させた後にメタノール及び水からなる洗浄溶液(メタノール:水(体積比)=1:1)で洗浄した上で乾燥させることによって、アレルゲン抑制化合物を単離した。なお、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、350000であった。
(実施例17)
フェノール系化合物溶液として、m−クレゾール0.54g(5ミリモル)をアセトン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例16と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、酸化カップリング重合体1モルに対して過酸化水素5.4モル用いた。又、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、420000であった。
フェノール系化合物溶液として、m−クレゾール0.54g(5ミリモル)をアセトン12.5ミリリットルに溶解させてなるものを用いたこと以外は実施例16と同様にしてアレルゲン抑制化合物を得た。なお、酸化カップリング重合体1モルに対して過酸化水素5.4モル用いた。又、アレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、420000であった。
(比較例1)
ポリ(4−ビニルフェノール)(アルドリッチ社製 重量平均分子量:8000)をアレルゲン抑制化合物として用いた。
ポリ(4−ビニルフェノール)(アルドリッチ社製 重量平均分子量:8000)をアレルゲン抑制化合物として用いた。
なお、上述したアレルゲン抑制化合物の数平均分子量(Mn)は、溶媒として0.4重量%の塩化リチウム含有N,N−ジメチルホルムアミド溶液を用いた、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより算出した。なお、ポリスチレンスタンダードを標準物質として用いた。
得られたアレルゲン抑制化合物のアレルゲン抑制能、及び、重合体中における式3で示されるフェニレンユニットと式4で示されるオキシフェニレンユニットとのモル比を下記に示した要領で測定し、その結果を表1に示した。
(アレルゲン抑制能)
アレルゲンの冷結乾燥粉末(コスモ・バイオ社製 商品名「Mite Extract-Df」) をタンパク量が10ng/ミリリットルになるようにリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させてアレルゲン溶液を作製した。
アレルゲンの冷結乾燥粉末(コスモ・バイオ社製 商品名「Mite Extract-Df」) をタンパク量が10ng/ミリリットルになるようにリン酸バッファー(pH7.6)に溶解させてアレルゲン溶液を作製した。
次に、アレルゲン抑制化合物をジメチルホルムアミドに溶解させて、アレルゲン抑制化合物の濃度が1重量%、0.1重量%又は0.01重量%であるアレルゲン抑制化合物溶液をそれぞれ作製した。
そして、アレルゲン溶液1ミリリットルを試験管内に供給し、この試験管内を試験管ミキサーを用いて攪拌しながら、試験管内のアレルゲン溶液に、アレルゲン抑制化合物溶液100マイクロリットルを添加した上で、試験管を37℃で2時間に亘って振った。
続いて、試験管内の処理溶液100マイクロリットルを採取し、この処理溶液のアレルゲン性をアレルゲン測定具(シントーファイン社製 商品名「マイティーチェッカー」)を用いて測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、発色が濃いほどアレルゲンが処理溶液中に濃い濃度で存在しており、アレルゲン抑制化合物がアレルゲン抑制効果を発揮していない。
4・・・濃く、太いはっきりとしたラインが観測(アレルゲン抑制効果なし)
3・・・ラインであることがはっきりとわかる(アレルゲン抑制効果が僅かにあり)
2・・・うっすらと発色しているのがわかる(アレルゲン抑制効果あり)
1・・・全く発色していない(アレルゲン抑制効果充分にあり)
3・・・ラインであることがはっきりとわかる(アレルゲン抑制効果が僅かにあり)
2・・・うっすらと発色しているのがわかる(アレルゲン抑制効果あり)
1・・・全く発色していない(アレルゲン抑制効果充分にあり)
(重合体中におけるフェニレンユニットとオキシフェニレンユニットとのモル比)
重合体中における、式3で示されるフェニレンユニット(Ph)と式4で示されるオキシフェニレンユニット(Ox)とのモル比(Ph:Ox)は、JIS K0070−1992に準拠して、フェノール系化合物の水酸基価の計算値と、得られたアレルゲン抑制化合物の水酸基価試験の結果とに基づいて算出した。
重合体中における、式3で示されるフェニレンユニット(Ph)と式4で示されるオキシフェニレンユニット(Ox)とのモル比(Ph:Ox)は、JIS K0070−1992に準拠して、フェノール系化合物の水酸基価の計算値と、得られたアレルゲン抑制化合物の水酸基価試験の結果とに基づいて算出した。
Claims (11)
- フェノール核同士が酸化カップリング反応によって直接結合したユニットを構成単位として含有する化合物からなることを特徴とするアレルゲン抑制化合物。
- R1 が水素で且つR2 がアリールアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載のアレルゲン抑制化合物。
- 式2で表される重合体であって、この重合体中、式3で示されるフェニレンユニットと式4で示されるオキシフェニレンユニットとのモル比(フェレンユニット:オキシフェニレンユニット)が、95:5〜5:95であることを特徴とするアレルゲン抑制化合物。(但し、式2中、R1 ,R2 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、エーテル基、チオエーテル基、炭化水素オキシカルボニル基、アシル基又は置換アミノ基を示し、R1 ,R2 は同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR1 とオキシフェニレンユニットのR1 とは同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR2 とオキシフェニレンユニットのR2 とは同一であっても異なっていてもよい。フェニレンユニットのR1 及びR2 は各ユニット毎に同一であっても異なっていてもよい。オキシフェニレンユニットのR1 及びR2 は各ユニット毎に同一であっても異なっていてもよい。)
- R1 が水素で且つR2 がアリールアルキル基であることを特徴とする請求項5に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
- 酸化触媒が、酸化還元酵素又は遷移金属錯体であることを特徴とする請求項5に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
- 酸化触媒がペルオキシダーゼ又はオキシダーゼであることを特徴とする請求項5に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
- 酸化触媒が、西洋わさびペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項5に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
- 酸化触媒が式5で示される遷移金属錯体であることを特徴とする請求項5に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
- 酸化カップリング重合を有機溶媒と水とを含む反応溶媒中にて行うことを特徴とする請求項5乃至請求項10の何れか1項に記載のアレルゲン抑制化合物の製造方法。
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