JP2008080210A - 機能性建材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能材を含有する塗膜が被覆された建材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含有する塗膜で被覆された建材であり、上記機能材がシランカップリング剤により塗膜中に固定化されている建材とする。
【選択図】なし

Description

本願発明は、抗菌・抗ウイルス性、抗アレルゲン性等の機能性を発現することのできる機能材を含有する塗膜で被覆された機能性建材とその製造方法に関するものである。
近年、安心、健康、快適といったニーズに応えるべく環境に配慮した工法の採用や、建材の開発が盛んに行われてきている。例えば、抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性といった機能性を建材に付与することが行われている。このような機能性を発現する機能材としては、例えば、天然系抗菌剤である植物ポリフェノールまたはその加水分解物からなる組成物、有機系抗菌剤である合成フェノール誘導体、無機系抗菌剤である銀、銅、亜鉛といった金属触媒、金属酸化物触媒、光触媒またはそれらと無機多孔質担体からなる複合体などが使用されてきた。また、上記のような機能性を建材に付与する手法としては、上記機能材を建材に練り込む方法(例えば、特許文献1、2参照)や、建材に直接塗布する方法(例えば、特許文献3参照)、上記機能材を含有する塗料を被覆する方法(例えば、特許文献4−7参照)が知られている。
特開平9−208408号公報 特開2003−73623号公報 特開2002−17828号公報 特開2002−285037号公報 特開2006−117771号公報 特開2005−105053号公報 特開2005−120212号公報
しかし、従来の方法によって製造された建材は、機能材が塗膜や基材に埋没して性能(例えば、抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上)が発現しないといった問題や、機能材が容易に溶出する、基材から剥離するなど塗膜物性(例えば、塗膜硬度、密着性、耐薬品性)の問題があり、機能材の性能と塗膜物性を両立することができなかった。
そこで、本願発明は、以上のとおりの背景から、従来の問題点を解消し、機能材の性能と塗膜物性を両立する機能性塗膜が被覆された建材とその製造方法を提供することを課題としている。
本願発明の機能性建材は、上記課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。
第1には、抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆された建材であり、上記機能材が塗膜形成樹脂成分よりも比重の小さいシランカップリング剤によりあらかじめ表面処理されて塗膜形成されていることで機能材が表面近傍で固定化されていることである。
第2には、シランカップリング剤の比重が0.75〜1.00の範囲内である。
第3には、機能材は、機能性発現成分と無機粒子または無機多孔質体からなる担体との複合体である。
そして、本願発明は、以下の特徴を有する上記機能性建材の製造方法を提供する。
第1には、上記機能材をシランカップリング剤によりあらかじめ表面処理した後に塗膜形成樹脂成分と混合して塗料とし、次いで建材を該塗料により被覆し硬化させる方法である。
第2には、上記の塗膜形成樹脂成分を含有する塗料により建材を被覆し、半硬化の状態にある前記塗料による塗膜の表面に、シランカップリング剤によりあらかじめ表面処理した機能材を塗布して硬化させる方法である。
上記のとおりの本願発明の機能性建材においては、機能材が樹脂成分よりも比重の小さいシランカップリング剤によりあらかじめ表面処理されているので、機能材が塗膜の表面近傍で固定化され、しかもシランカップリング剤が塗膜中の樹脂成分と化学架橋して、いわゆるアンカー(錨)効果のように、強固に固定されることになる。このため、機能性の発現は良好であって、塗膜の耐剥離性や耐損傷性等の強度も向上し、機能性と塗膜物性との両立が良好に図られることになる。
シランカップリング剤の比重を0.75〜1.00の特定範囲とすること、また機能材は、無機粒子や無機多孔質体の担体との複合体とすることで、上記のとおりの効果は、さらに安定して確実に実現される。より一層顕著なものとなる。
そして、本願発明による製造方法によれば、上記のとおりの機能性建材の製造が簡便、かつ効率的に可能とされ、機能性と塗膜物性との両立を顕著なものとして実現することができる。
本願発明に用いられる抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材は、これらの機能を発現する機能発現成分、もしくはこの成分を含む複合体として構成される。いずれの場合であっても、本願発明においては、機能材は実質的に固体状のものとして塗膜中に存在する。そして、不揮発性、不溶性であることが望ましい。
複合体の場合には、例えば機能発現成分とその担体との複合体であってよい。特に制限はないが、例えば、天然系抗菌剤、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤またはそれらと無機微粒子もしくは無機多孔質体からなる複合体である。
いずれの場合であっても、本願発明の機能材は、その表面がシランカップリング剤により処理される。
無機粒子担体としては、後述するシランカップリング剤と安定な結合を形成しやすい粉末状シリカ、コロイダル状シリカが好ましい。粒径としては、1〜200nmのものが好ましく、1〜50nmのものが更に好ましい。また、天然系抗菌剤など有効成分が揮発しやすい材料や水へ溶出し失われる恐れがある材料は、公知のマイクロカプセル化、キレート化処理、カップリング処理、バインダーにより固定化し不溶化してもよい。たとえば、コロイダルシリカに上記機能剤を含浸させた後、亜鉛などのキレート形成性金属塩水溶液を接触させることで不溶化させることができる。
天然系抗菌剤として、例えば、キトサン、ヒノキオール、植物ポリフェノールまたはその加水分解物からなる組成物があげられる。比較的安全性が高く環境に対する負荷が小さいため、近年注目を集めている。なかでも、優れた抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性を持つ植物ポリフェノールまたはその加水分解物からなる組成物が好ましい。植物ポリフェノールとしては、例えばカテキン類、テアフラビン類、タンニン酸等のタンニン類、没食子酸およびこれらの混合物などがある。
有機系抗菌剤としては、トリクロサン、クロロヘキシジン、ジンクピリチオン、クロロキシレノールなどが挙げられるが、環境に対する負荷や人体に対する安全性の面から合成ポリフェノール誘導体である芳香族複素環式ヒドロキシ化合物や芳香族族ヒドロキシ化合物が好ましい。例えば、芳香族複素環式ヒドロキシ化合物である2−ヒドロキシフラン、2−ヒドロキシチオフェン、ヒドロキシベンゾフラン、3−ヒドロキシピリジンが挙げられる。ハンドリング性から、芳香族族ヒドロキシ化合物であるポリ3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル、ポリビニルフェノール、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシアントラセン)が好ましい。
無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛といった金属触媒が例示される。特に銀は抗菌効果が大きくかつ安全性が高いことから好ましく、銀単独、あるいは銀に銅や亜鉛を添加混合して、リン酸塩ケイ酸塩などの無機多孔質担体と複合化したものが挙げられる。金属酸化物触媒としては、特に限定はないが、遷移金属の酸化物が好ましく、酸化マンガン、酸化銅、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上が挙げられる。光触媒としては、TiO2、ZnO、WO3、Fe23、ZnS、Pt/TiO2等が例示されるが、室内で使用する場合、可視光型光触媒がより好ましい。例えば、酸化チタンの酸素サイトの一部を窒素原子で置換、あるいは酸化チタン結晶の格子間、結晶粒界に窒素原子またはNOxを配してなる、Ti、O、Nの元素で構成されている窒素ドープ型酸化チタンや、これらに助触媒として白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族金属や、NiOx、RuOx、RhOx、などを担持させたものなどが挙げられる。
本願発明における上記機能材は、その表面があらかじめシランカップリング剤により処理されていることを特徴としているが、機能材表面がシランカップリング剤により処理されることで、塗膜中の樹脂成分と化学架橋し、いわゆるアンカー(錨)効果のように、強固に固定化することができる。
この場合のシランカップリング剤は、塗膜形成のための樹脂成分、すなわちバインダー成分よりも比重が小さい。
このような手段によって、機能材が表面近傍で固定化されている本発明の機能性建材が実現される。
なお、本発明における上記「機能材が表面近傍で固定化」の用語については、赤外ATR法により塗膜表面を分析した時に、機能材固有の吸収バンドが、本発明とは相異して機能材とバインダー樹脂成分とを単純混合した場合よりも塗膜中に強く出現することをもって判別できることを意味している。
そして、本発明においては、好ましくは、比重が0.75〜0.95のシランカップリング剤を選択することで、より確実に、効率よく機能材を塗膜表面近傍で固定化することができる。その結果、十分な機能材の機能性を発現しながら塗膜物性(例えば、塗膜硬度、密着性、耐薬品性)を確保することが可能となる。シランカップリング剤としては、最近では様々な官能基を持つが市販されているので、シランカップリング剤の官能基と樹脂の反応性を考慮して選択するとよい。シランカップリング剤としては、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが好まれる。例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル、トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。特に比重の小さい、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシランが好ましい。シランカップリング剤の機能材に対する最適添加量は、機能材の表面積によるが、理想的にはシランカップリング剤の単一被膜が形成されるように添加することが望ましい。上記機能材に対して、0.1〜2.0wt%処理されると好ましい。シランカップリング剤による表面処理量が少ないと十分に塗膜中に固定化することができず、逆に多すぎると機能材の活性点が減少するため機能材の性能が低下する。機能材表面にシランカップリング剤を固定化反応させる方法としては、例えば、シランカップリング剤を1〜10wt%溶かした水溶液中に機能材を加え、1時間程度攪拌した後、濾過し乾燥させる方法が挙げられる。
本願発明の抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含有する塗膜で被覆された建材て、壁紙、天井材、床材などに用いられるアルミニウム、鉄などの金属板、ステンレスなどの合金板、ブリキやトタンなどのメッキ板などの金属基材、木材、合板、MDF、パーティクルボードなどの木質基材、FRP板、人造大理石、樹脂成形品などのプラスチック基材、ガラス板、ホーロー板、セラミックス板、石膏ボード、珪酸カルシウム板、ロックウール板、セメント板、粘土板、陶磁器質タイル、スレートなどの無機質基材、さらには、各種シート、紙、繊維質シート、不織布などが使用できる。さらに、これらの基材にあらかじめ有機塗装を施したものやこれらの基材を複数積層させたものを用いてもよい。そして、これらの基材については、塗装が施される表面も、平滑面だけでなく、凹凸、段差などがあってよく、模様加工(成形)、粗面加工されていてもよい。
本願発明において、シランカップリング処理された抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を建材に被覆させる方法として、上記機能材を塗膜形成成分としてのバインダー樹脂により固定化する。バインダー樹脂としては、漆天然樹脂、繊維素などが挙げられるが、フタル酸樹脂、熱硬化型アミノアルキド、不飽和ポリエステル、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化型樹脂などの合成樹脂が好ましい。なかでも、紫外線により短時間で硬化し、無溶剤化が可能な紫外線硬化型樹脂が好ましい。また、シランカップリング剤などで、バインダー樹脂の比重を大きくすることで、機能材をより表面に固定することができる。その他、分散性や安定性の向上、着色等の目的に応じて、分散剤、界面活性剤、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料などを含有してもよい。
本願発明における上記機能材の配合量は、塗膜全体におけるバインダー樹脂との合計量に対して0.5〜95.0wt%であり、好ましくは5〜75wt%である。0.5wt%未満であると機能材の効果が不十分であり、95.0wt%以上用いると塗膜物性を確保することができない。
本願発明の抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含有する塗膜で被覆された建材の製造方法としては、特に制限はないが、以下に示す本願発明のいずれかの方法に従えば、効率的に所望の建材を製造することができる。
(1)バインダー樹脂とシランカップリング処理した抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含んだ塗料液を調製する。上記塗料液を建材に塗布し硬化させる。塗布方法としては、特に制限されないが、一般的なスプレー、刷毛塗り、バーコーター、スピンコーター、ディッピング、ロールコーター、フローコーター等の塗装方法が用いられる。
(2)バインダー樹脂を建材に半硬化の状態で塗布する。その後、シランカップリング処理された抗菌・抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種類以上の機能を有する機能材を含んだ分散液を建材に被覆し、完全硬化させる。
以下に本願発明の実施例を示すが、本願発明はこれらに制限されるものではない。
平均粒径約20nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)イソプロピルアルコール分散溶液40gに、タンニン酸(和光純薬社製)10gを加え、室温で24時間攪拌した。攪拌後、メチルエチルケトン5g、ビニルトリイソプロポキシシラン(比重:0.96)5g、0.01N塩酸1.5gを加え、50℃で12時間攪拌させることで、シランカップリング剤処理された機能材Aを得た。
この機能材Aにおいては、シランカップリング剤の被覆量は固体重量の約0.5wt%となるようにした。
<実施例1>
上記機能材A分散イソプロピルアルコール溶液30gにメチルエチルケトン30g、エチレングリコールモノブチルエーテル1g、ポリウレタンアクリレート(荒川化学社製、ビームセット575CB、比重:1.13)10gを加え、コーティング液Aを調製した。
コーティング液Aをガラス基板上に塗布し、80℃で10分セッテイングを行った後、紫外線照射(照度350〜400mj/cm)により硬化させることで機能材が被覆された建材Aを作製した。
なお、バインダー樹脂成分(ポリウレタンアクリレート)との合計量においての機能材Aの割合は約50wt%としている。
硬化後の塗膜の表面近傍には、タンニン酸を含浸担持したシリカ微粒子からなる機能材が固定されていることが確認された。
<実施例2>
ポリウレタンアクリレート(荒川化学社製、ビームセット575CB、比重:1.13)コーティング液をガラス基板上に塗布し、80℃で10分セッテイングを行った後、紫外線照射(照度80〜100mj/cm)により半硬化させた。
次に、上記機能材A分散イソプロピルアルコール溶液30gにメチルエチルケトン30g、エチレングリコールモノブチルエーテル1gを加えたコーティング液Bを塗布し、80℃で10分セッテイングを行った後、紫外線照射(照度350〜400mj/cm)により完全硬化させることで機能材が被覆された建材Bを作製した。
なお、バインダー樹脂成分(ポリウレタンアクリレート)との合計量においての機能材Aの割合は約50wt%としている。
硬化後の塗膜の表面近傍には、タンニン酸を含浸担持したシリカ微粒子からなる機能材が固定されていることが確認された。
<比較例1>
平均粒径約20nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)イソプロピルアルコール分散溶液40gに、タンニン酸(和光純薬社製)10gを加え、室温で24時間攪拌し機能材Cを得た。
上記機能材C分散イソプロピルアルコール溶液30gにメチルエチルケトン30g、ポリウレタンアクリレート(荒川化学社製、ビームセット575CB、比重:1.13)10gを加え、コーティング液Cを調製した。
コーティング液Cをガラス基板上に塗布し、80℃で10分セッティングを行った後、紫外線照射(照度350〜400mj/cm)により硬化させることで機能材が被覆された建材Cを作製した。
実施例1および2のような表面近傍でのシリカ微粒子の存在は確認されなかった。
<比較例2>
イソプロピルアルコール40gにタンニン酸(和光純薬社製)10g、バインダー樹脂としてのシリコーン樹脂:フレッセラR(松下電工社製)120gを加え、コーティング液Dを調製した。
コーティング液Dをガラス基板上に塗布し、80℃で10分焼成させることで機能材が被覆された建材Dを作製した。
<比較例3>
平均粒径約20nmのコロイダルシリカ(日産化学社製)イソプロピルアルコール分散溶液40gに、タンニン酸(和光純薬社製)10gを加え、室温で24時間攪拌した。攪拌後、メチルエチルケトン5g、ビニルトリアセトキシシラン(比重:1.18)5g、0.01N塩酸1.5gを加え、50℃で12時間攪拌させることで、シランカップリング剤処理された機能材Dを得た。
上記機能材D分散イソプロピルアルコール溶液30gにメチルエチルケトン30g、エチレングリコールモノブチルエーテル1g、ポリウレタンアクリレート(荒川化学社製、ビームセット575CB、比重:1.13)10gを加え、コーティング液Eを調製した。
コーティング液Eをガラス基板上に塗布し、80℃で10分セッテイングを行った後、紫外線照射(照度350〜400mj/cm)により硬化させることで機能材が被覆された建材Eを作製した。
実施例1および2のような表面近傍でのシリカ微粒子の存在はほとんど確認されなかった。
<抗アレルゲン性評価>
ガラスシャーレに、建材A〜E各々を設置し、あらかじめ調製したダニ抗原溶液(LSL社製、Mite-Extract Df)の水溶液10mlを加えた。(初期濃度:マイティチェッカー;+−レベル)。24時間後、ダニアレルゲンレベルをマイティチェッカーにより判定した。
<塗膜物性評価(耐薬品性試験>
建材A〜Eに、5%水酸化ナトリウム水溶液および 1%塩酸水溶液を滴下し、24時間後、水洗いし外観を確認した。
判定は次のとおりの基準によるものとした。
○:24時間後、外観目視にて異常なし。
×:24時間後、膨れ、塗膜剥離、白化等の何かしらの異常を外観目視にて確認。
<塗膜物性評価(引っかき硬度試験>
JIS K5600−5−4に準拠した方法で、建材A〜Dの表面硬度(鉛筆硬度)を測定した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2008080210
表1の結果より、実施例1、2で作製した建材は、抗アレルゲン性能を有し、かつ塗膜物性(耐薬品性、引っかき硬度)を有することが確認できた。一方、比較例1〜3で作製した建材においては、機能材の性能あるいは塗膜物性に問題があることが確認された。

Claims (5)

  1. 抗菌・抗ウイルス性、抗アレルゲン性、消臭性のうちの少なくとも一種以上の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆された建材であり、上記機能材が塗膜形成樹脂成分よりも比重の小さいシランカップリング剤によりあらかじめ表面処理されて塗膜形成されていることで機能材が表面近傍で固定化されていることを特徴とする機能性建材。
  2. シランカップリング剤の比重が0.75〜1.00の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の機能性建材。
  3. 機能材は、機能性発現成分と無機粒子または無機多孔質体からなる担体との複合体であることを特徴とする請求項1または2記載の機能性建材。
  4. 請求項1から3のうちのいずれかの機能性建材の製造方法であって、機能材をシランカップリング剤によりあらかじめ表面処理した後に塗膜形成樹脂成分と混合して塗料とし、次いで建材を該塗料により被覆し硬化させることを特徴とする機能性建材の製造方法。
  5. 請求項1から3のうちのいずれかの機能性建材の製造方法であって、塗膜形成樹脂成分を含有する塗料により建材を被覆し、半硬化の状態にある前記塗料による塗膜の表面に、シランカップリング剤によりあらかじめ表面処理した機能材を塗布して硬化させることを特徴とする機能性建材の製造方法。
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