JP5536600B2 - 周波数応答型液圧緩衝装置 - Google Patents

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この発明は、車両のサスペンション用ダンパとして用いられる周波数応答型液圧緩衝装置に係り、特に、ピストン作動の初期領域における減衰力の立ち上がりを良好にしたものに関する。
車両のサスペンション用ダンパとして、ピストン速度が低周波大ストローク領域のとき減衰バルブで減衰力を発生することにより、減衰力を高くしてサスペンション用ダンパを硬くすることにより操縦安定性を確保し、高周波小ストローク領域のとき減衰力を低くしてサスペンション用ダンパを柔らかくすることにより乗り心地を良くするようにした周波数応答型液圧緩衝装置を用いることは公知である。この周波数応答部として、ピストン上室とピストン下室を連通するバイパス通路を設け、このバイパス通路とピストン下室を連通する開口を減衰力可変バルブで開閉するとともに、この減衰力可変バルブの背面に臨む背圧室を設けて、バイパス通路と背圧オリフィスを介して連通させ、さらに、減衰力可変バルブの背面と反対の面にバイパス通路の液圧を及ぼすとともに、背圧室と連通する背圧調整室を設け、この中に弾性変形等して容積を可変にする容積可変部材を設けて背圧室の液圧上昇を遅らせるようにしたものがある(特許文献1参照)。
特開2009−133348
さらに、容積可変部材を撓み変形自在のディスクバルブ状をなすフロートバルブで構成し、ピストンストロークに伴うピストン上室の液圧上昇によってフロートバルブが背圧調整室の底部へ着座するまで撓み変形を許容して背圧室の背圧上昇を遅らせるようにすることも知られている。
このフロートバルブを設けた例を参考例として図9に示す。この図は参考例における周波数応答部を原理的に示したものである。
この図において、周波数応答部30は伸び側の減衰力を調整するものであり、減衰バルブの伸び側を構成する伸び側減衰バルブ21をバイパスしてピストン上室16とピストン下室17を連通するバイパス通路50と、このバイパス通路50と連通する吐出通路44と、このピストン下室17側開口を開閉する減衰力可変バルブ51と、バイパス通路50を絞る背圧オリフィス52と、この背圧オリフィス52を介して連通するとともに減衰力可変バルブ51の背面に臨む背圧室55と、この背圧室55と連絡通路56を介して連通する背圧調整室70と、この背圧調整室70に設けられたフロートバルブ72を備える。
フロートバルブ72より下方の空間は下室連通口62でピストン下室17と連通している。なお、上記参考例のフロートバルブはディスク状バルブからなる撓み変形するものであるが、便宜的にリフトバネ79に抗して下方へ押し込まれるフリーピストン状のものとして表現してある。フロートバルブ72がディスク状バルブであれば、リフトバネ79はフロートバルブ72自体の弾性を意味する。
この周波数応答部30は、伸び側行程において、ピストンの移動が所定の低周波大ストローク領域にあるとき、ピストン15が図の上方へ移動することにより、ピストン上室16の液圧が上昇し、やがて伸び側減衰バルブ21が開く所定の減衰力発生圧になると、伸び側減衰バルブ21が開いて、作動液がピストン上室16からピストン下室17へ移動し、同時に伸び側減衰バルブ21にて所定の減衰力を発生して、サスペンション用ダンパを硬い状態にする。
なお、この低周波大ストローク領域では、ピストン上室16の液圧は背圧オリフィス52で絞られることなく、速やかに背圧室55へ伝達されるため、背圧室55の液圧はピストン上室16と同圧であって、減衰力可変バルブ51は閉じたままである。また、背圧調整室70が連絡通路56を介して背圧室55と連通しているため、フロートバルブ72は押し込まれて着座することにより、背圧調整室70も背圧室55と同圧になって、背圧室55の液圧低下を生じさせない。
ピストンの移動が所定の高周波微小ストローク域になると、ピストン上室16の液圧はバイパス通路50の背圧オリフィス52で絞られて背圧室55へ遅れて伝達されるようになるため、背圧室55の液圧はピストン上室16の液圧より低くなり、背圧室55とピストン上室16の液圧間に差圧が発生する。この差圧により減衰力可変バルブ51が押されて開き、バイパス通路50を介してピストン上室16の作動液をピストン下室17へ逃がす。
その結果、ピストン上室16の液圧をピストン下室17へ逃がし、伸び側減衰バルブ21に加えて、バイパス通路50及び減衰力可変バルブ51を介する、計2つの液移動経路により、減衰力が小さくなり、サスペンション用ダンパは柔らかい状態になる。
背圧オリフィス52による圧力伝達の遅れによって低下していた背圧室55の液圧は、その後上昇しようとすると、背圧調整室70のフロートバルブ72が背圧室55の液圧を維持するべく押し下げられて実質的に背圧室55の容積を拡大するため、背圧室55の液圧上昇を遅らせることができる。
この液圧上昇遅れは、フロートバルブ72が背圧調整室70の底部へ着座するまで持続する。フロートバルブ72が着座すると、急速に背圧室55の液圧が上昇し、ピストン上室16側との差圧が解消されると、減衰力可変バルブ51が閉じ、以後、伸び側減衰バルブ21を介する作動液の移動経路のみとなり、減衰力が高く、サスペンション用ダンパは硬い状態になる。

ところで、ピストン作動の初期領域では、フロートバルブ72が背圧調整室70の底部へ着座していないため、高周波微小ストローク域と同様に背圧室55の液圧がピストン上室16の液圧よりも低くなる。このため、ピストン作動の初期領域では減衰力可変バルブ51を開くことになる。
ここでピストン移動の波形とは、振動入力によりピストンが移動するとき、ピストンストロークと時間の相関曲線として描かれる波形であって、振動入力波形に対応している。
このように、まだあまりピストン上室16の液圧が上がっていないピストン作動の初期領域において減衰力可変バルブ51が開くと、ピストン上室16の液圧を伸び側減衰バルブ21の減衰力発生圧まで上昇させるための時間が長くなる。すなわち減衰力の立ち上がりが遅れることになり、この間は周波数応答部30によってサスペンション用ダンパは柔らかくなる。
しかし、車両の仕様によっては、レーンチェンジなどでゆっくりとハンドルを切り始めたときのような、ピストン作動の初期領域において迅速に減衰力を立ち上げてサスペンション用ダンパを硬くすることを望む場合があるが、このような要望を充足できない。
そこで、本願発明は、周波数応答特性を備えつつも、ピストン作動の初期領域における迅速な減衰力の立ち上がりを実現させることを目的とする。
請求項1に記載した発明は、ピストンロッド(13)の挿入端側に設けたピストン(15)を作動液が充填されたシリンダ(12)内へ摺動自在に挿入してピストン上室(16)とピストン下室(17)に区画し、ピストン(15)に設けた減衰バルブ(20)に減衰力を発生させるとともに、ピストン(15)に隣接して所定の高周波入力時にバイパス通路(50)を介して作動液をピストン上室(16)又はピストン下室(17)のいずれか一方側から他方側へ逃がす周波数応答部(30)を設けた周波数応答型液圧緩衝装置において、
前記周波数応答部(30)は、
前記バイパス通路(50)と前記ピストン上室(16)又はピストン下室(17)とを連通する吐出通路(44)と、
この吐出通路(44)の前記ピストン上室(16)又はピストン下室(17)側開口を開閉する減衰力可変バルブ(51)と、
この減衰力可変バルブ(51)の背面に臨み背圧オリフィス(52)を介して前記バイパス通路(50)と連通する背圧室(55)と、
この背圧室(55)と連通する背圧調整室(70)と、
この背圧調整室(70)内に設けられて前記背圧室(55)の液圧に応じて変形もしくは変位することにより前記背圧調整室(70)内の容積を可変にする容積可変部材(72)とを備えるとともに、
前記背圧調整室(70)を前記背圧室(55)と連通するために開き又は遮断するために閉じるブローバルブ(71)を設け、
このブローバルブ(71)をピストン作動の初期領域で閉じることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は上記請求項1において、前記ブローバルブ(71)は、前記背圧室(55)の液圧が、前記ピストン作動の初期領域における必要な減衰力発生圧力未満のとき閉じていることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は上記請求項1又は2において、前記ブローバルブ(71)は、ディスクバルブ状をなし、下方をリフトバネ(73b)にて弾力支持されるとともに、このリフトバネ(73b)のバネの強さを前記減衰バルブ(20)のピストン作動初期領域における必要な減衰力発生圧力と同等としたことを特徴とする。
請求項4に記載した発明は上記請求項3において、前記容積可変部材(72)は、ディスクバルブ状をなすフロートバルブであり、中央部を撓み変形自在にしたものであることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は上記請求項4において、前記ブローバルブ(71)と前記フロートバルブ(72)は共通の弾性部材(73)で弾性支持されるとともに、この弾性部材(73)は前記リフトバネ(73b)をなす部分と、前記フロートバルブ(72)の外周部を押しつけ固定する固定部(73a)とを一体に備えることを特徴とする。
請求項1に記載した発明は、背圧調整室(70)内に容積可変部材(72)を備えるとともに、
背圧調整室(70)と背圧室(55)とを連通又は遮断するためのブローバルブ(71)を設けたので、ピストン作動の初期領域において、このブローバルブ(71)を閉じておけば、背圧室(55)の液圧上昇遅れが発生しないため、減衰力可変バルブ(51)による減衰力低下を阻止するので、ピストン上室(16)の液圧上昇を迅速にして減衰力の立ち上がりを速くすることができる。このため、周波数応答型の液圧緩衝装置であるにもかかわらず、ピストン作動の初期領域における迅速な減衰力の立ち上げにより減衰力を高くして緩衝装置を硬くすることができる。そのうえ、ピストン作動の初期領域以外では、通常の周波数応答特性を発揮させることができる。
請求項2に記載した発明によれば、背圧室(55)の液圧がピストン作動の初期領域における必要な減衰力発生圧以下のときブローバルブ(71)を閉じているようにしたので、ピストン作動の初期領域において、減衰バルブ(20)が開弁して減衰力を発生する前にはブローバルブ(71)を開かせないようにすることができる。このため、フロートバルブ(72)による液圧上昇が阻害されないため、減衰力の迅速な立ち上がりを確実にすることができる。
請求項3に記載した発明によれば、ディスクバルブ状をなすブローバルブ(71)を下方からリフトバネ(73b)で弾力支持するとともに、このリフトバネ(73b)のバネの強さをピストン作動の初期領域における必要な減衰力発生圧力と同等としたので、減衰バルブ(20)の開弁まで確実にブローバルブ(71)を閉じておくことができるとともに、リフトバネ(73b)のバネの強さは簡単に調節することができるので、ブローバルブ(71)の開くタイミングを容易にチューニングできる。
請求項4に記載した発明によれば、容積可変部材(72)をディスクバルブ状をなすフロートバルブとし、中央部を撓み変形自在にしたので、フロートバルブ(72)を軽量小型化でき、さらに伸び側行程と圧縮側行程との切換時における応答性を向上させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、ブローバルブ(71)とフロートバルブ(72)を共通の弾性部材(73)で弾性支持するととともに、この弾性部材(73)にリフトバネ(73b)をなす部分と、フロートバルブ(72)の外周部を押しつけ固定する固定部(73a)とを一体に備えるようにしたので、1つの弾性部材(73)でブローバルブ(71)とフロートバルブ(72)を同時に弾性支持できることになり、部品点数を削減でき、背圧調整室(70)の構成を簡単かつコンパクト化できるとともに、組立性も向上する。
本願発明に係るサスペンション用ダンパの軸方向断面図 減衰バルブ及び減衰力調整手段部分の拡大断面図 図2における減衰力調整手段部分の拡大半断面図 背圧オリフィスの平面図 支持バネの平面図 作動説明図 同上 ピストン上室と背圧室の液圧変化を示すグラフ 参考例の原理図
以下、車両のサスペンション用ダンパに本願発明の周波数応答型液圧緩衝装置を適用した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、図9の参考例と共通する部分については同一符号を用いるものとする。また、本願において、上下方向及び左右方向は図1の図示状態を基準とする。
図1において、このサスペンション用ダンパ10は、アウターチューブ11にシリンダ12を収容した複筒式であり、アウターチューブ11の下端部を車輪側の揺動アーム(図示省略)へ取付け、シリンダ12に対して伸縮自在であって上方へ延出するピストンロッド13の上端を車体(図示省略)側へ取付け、さらにアウターチューブ11の外周に取付けられた下スプリングシート11aと、ピストンロッド13上端の車体側に設けられた上スプリングシート(不図示)間にダンパスプリング14を介装してある。
これらサスペンション用ダンパ10の減衰力とダンパスプリング14のバネ弾性によって車輪の振動を吸収するようになっている。
シリンダ12内にはオイル等の非圧縮性作動液が充填されるとともに、ピストンロッド13の下端に取付けられて摺動自在のピストン15により、シリンダ12内をピストン上室16とピストン下室17に区画する。ピストン上室16は伸び側行程における加圧縮側の液室であり、ピストン下室17は圧縮側行程における加圧縮側の液室である。
アウターチューブ11とシリンダ12の間隙はリザーバ室18をなし、下部には作動液が充填され、上部にはガスが充填されている。シリンダ12とリザーバ室18上端はトップキャップ19aで閉じられ、アウターチューブ11の下端も閉じられている。
シリンダ12の下端部とリザーバ室18下端部間にはボトムバルブ19bが設けられ、このボトムバルブ19bを通して、伸び側行程にはリザーバ室18からピストン下室17に作動液が補給され、圧縮側行程にはピストン下室17からリザーバ室18へ作動液を押し出し、このとき圧縮側減衰力の一部を発生するようになっている。
ピストン15には減衰バルブ20が設けられ、この減衰バルブ20を介してピストン上室16とピストン下室17が連通されるとともに、ピストン15の移動によって減衰力を発生する。さらに、ピストン15の下方には所定の高周波入力時に減衰力を低くするように調整するための周波数応答部30が設けられている。
したがって、入力振動が低周波大ストローク領域のときは、ピストン15が上下動することによって伸び側及び圧縮側の減衰力を発生し、所定の高周波微小ストローク領域になると周波数応答部30により減衰力が低くなる。
そのうえ、本実施形態では、ピストン作動の初期領域において周波数応答部30を機能させないようになっている。
ここで、ピストン作動の初期領域とは、ピストンの作動開始後微小時間までの領域であって、具体的にはピストン速度が0〜0.05m/s程度の領域をいうものとする。さらに、本実施形態では高周波大ストローク入力となる設定周波数は6Hzとし、この6Hzを境としてこれ以下を低周波大ストローク領域、これより高いものを高周波微小ストローク領域ということにする。但し、この設定周波数は仕様によって種々に定まるものであるが、概ね、5〜6Hz程度である。
<減衰バルブの構造>
図2に示すように、減衰バルブ20は、ピストン15に設けられた伸び側減衰バルブ21と圧縮側減衰バルブ25を有する。ピストン15の外周部はシリンダ12の内周面へ液密に密接している。
伸び側減衰バルブ21は1又は複数枚のディスクバルブで構成され、ピストン15を軸方向へ貫通する伸び側通路22におけるピストン下室17側の開口端部に設けられた伸び側出口ポート23aを開閉している。伸び側減衰バルブ21は伸び側行程に開き、液圧の上昇したピストン上室16の作動液を、伸び側入口ポート23b→伸び側通路22→伸び側出口ポート23a→ピストン下室17へと流し、このとき伸び側減衰バルブ21部分にて所定の伸び側減衰力を発生させる。
圧縮側減衰バルブ25は1又は複数枚のディスクバルブで構成され、ピストン15を軸方向へ貫通する圧縮側通路26におけるピストン上室16側の開口端部に設けられた圧縮側出口ポート27aを開閉している。圧縮側減衰バルブ25は圧縮側行程に開き、液圧の上昇したピストン下室17の作動液を、圧縮側入口ポート27b→圧縮側通路26→圧縮側出口ポート27a→ピストン上室16へと流し、このとき圧縮側減衰バルブ25部分にて所定の圧縮側減衰力を発生させる。
ピストン15はピストンロッド13の下端部へ一体化されている。ピストンロッド13は、ピストン15より上方部分となる大径部13aと、ピストン15及び周波数応答部30が取付けられる小径部13bを有し、大径部13aと小径部13bの境界部は、段差をなす肩部13cとなっている。
ピストンロッド13の小径部13bの外周に、上方から順に、ストッパピース40・41、圧縮側減衰バルブ25、ピストン15、伸び側減衰バルブ21、バルブストッパ43を外嵌し、さらに周波数応答部30を小径部13bの下端部へネジ止めすることにより、ピストン15及び減衰バルブ20を肩部13cと周波数応答部30との間に挟圧固定して一体化する。
このとき、環状をなす圧縮側減衰バルブ25はその中央部が、ピストン15とストッパピース41の間に挟持され、環状をなす伸び側減衰バルブ21はその中央部をピストン15とバルブストッパ43の間に挟持される。
ピストンロッド13は、小径部13bの外周部に軸方向へ沿って溝13dが形成され、この溝13dにより周波数応答部30を介してピストン上室16とピストン下室17を連通するバイパス通路50が形成されている。
このバイパス通路50の上端部はストッパピース40の軸方向中間部に位置し、ストッパピース40の中心部に形成された軸方向の貫通穴40aに連通し、この貫通穴40aを介してピストン上室16へ連通している。
<周波数応答部>
図3に示すように、周波数応答部30は、減衰力可変バルブ51、背圧オリフィス52、バルブハウジング53を備え、バルブストッパ43が取付けられた小径部13bの周囲へ、減衰力可変バルブ51、背圧オリフィス52を外嵌し、さらにバルブハウジング53の軸心部に形成されたナット部54を小径部13bのネジ部13eへ締結することにより、バルブストッパ43とバルブハウジング53の間に減衰力可変バルブ51と背圧オリフィス52を挟持して一体化している。
小径部13bの下端部にはネジ部13eが設けられ、溝13dの下端はネジ部13eの上端部近傍に達し、バルブストッパ43よりも下方まで延びている。
バルブストッパ43には下方に向かって開放された凹部43aが設けられ、ここにバイパス通路50と連通する吐出通路44が形成されている。吐出通路44とバイパス通路50さらにはピストン上室16の各液圧は同圧である。
バルブストッパ43の外周部下面は下方へ突出する環状のバルブシート43bをなしている。
バイパス通路50は、伸び側減衰バルブ21をバイパスして吐出通路44とピストン下室17を連通するように設けられ(図2参照)、バイパス通路50の一端をピストン上室16に開口するとともに、バイパス通路50の他端側は、吐出通路44にて減衰力可変バルブ51を介してピストン下室17と連通する。
減衰力可変バルブ51は外周部をバルブシート43bへ着座した状態で、吐出通路44の開口部を閉じている。減衰力可変バルブ51が開くと、バイパス通路50及び吐出通路44を通してピストン上室16の作動液をピストン下室17へ流してピストン上室16の液圧を減少させる。すなわち、バイパス通路50はピストン上室16の液圧に対する逃がし通路として機能し、減衰力可変バルブ51は液圧逃がし弁として機能する。
なお、伸び側減衰バルブ21のバルブ剛性は減衰力可変バルブ51よりも著しく大きく設定される。逆に言えば、減衰力可変バルブ51のバルブ剛性は伸び側減衰バルブ21よりも著しく小さく設定され、開いたとき微小減衰力を発生するが、この減衰力は無視でき得る程度であるように設定されている。
バルブハウジング53の上部には、減衰力可変バルブ51の吐出通路44に臨む面と反対側の面である背面に臨む背圧室55が設けられる。この背圧室55は連絡通路56を介してバルブハウジング53の下部に設けられた背圧調整室70に連通している。なお、減衰力可変バルブ51の両面のうち、吐出通路44に臨む面を表面(上面)、背圧室55に臨む面を背面(下面)ということにする。
連絡通路56は、バルブハウジング53の周方向へ複数設けられている。
背圧調整室70は連絡通路56を介して背圧室55と連通し、背圧室55とは離れて設けられているが、背圧オリフィス52の下流側に位置する同圧部であるから、この意味では、背圧調整室70と連絡通路56は背圧室55と共に大きな一つの背圧室を構成している。また、背圧室55を第1背圧室、背圧調整室70を第2背圧室とも表現できる。
周波数応答部30は、所定の入力周波数に応じて減衰力可変バルブ51を開閉することでサスペンション用ダンパの減衰力を調整する減衰力調整部と、減衰力可変バルブ51が開いた状態をある程度の時間持続させるため後述する背圧室の圧力上昇を遅らせる圧力調整部を備える。
<減衰力調整部>
図2及び図3に示すように、減衰力可変バルブ51は、一枚又は複数枚を積層したディスクバルブからなり、背圧室55の上方を閉じている。背圧室55は背圧オリフィス52のスリット52aを介してピストン上室16に連通する。
なお、減衰力可変バルブ51は必ずしもディスクバルブでなくてもよい。例えば、後述するスプール57と一体化したものでもよい。
図2に示すように、背圧オリフィス52は、減衰力可変バルブ51の背面に添設され、減衰力可変バルブ51と共に、バルブストッパ43の下端中央に形成された環状突出部43cと、バルブハウジング53の上端中央に形成された環状突出部53bとの間に挟持される。
図4に示すように、背圧オリフィス52は、ディスクバルブ状をなし、中心部は小径部13bが貫通する穴52bをなし、この穴52bを囲む環状部52cの内周面より径方向外方へ外周寄り位置まで切り込まれたスリット52aを備える。
スリット52aは周方向に1〜数ケ所設けられている。但し、スリット52aの数、長さ、スリット幅等は仕様に応じて適宜設定できる。
環状部52cの同心円でスリット52aの先端を通る仮想円52dとしたとき、これよりも小径の同心円53aが環状突出部53bの外周を示している。この同心円53aより内周側部分が固定部52eをなす。
同心円53aは仮想円52dよりも内周側にあるので、スリット52aの先端側は環状突出部53bを越えてその径方向外方へ延出して背圧室55へ連通している。スリット52aの基端側はバイパス通路50の下端部へ連通している。
図2及び図3に示すように、スリット52aはバイパス通路50と背圧室55を連通するオリフィス通路をなし、バイパス通路50から背圧室55へ流れる作動液を絞る。このため、バイパス通路50を介して背圧室55へ伝達されるピストン上室16の液圧は、入力周波数が予め設定された所定の設定周波数より大きくなると、背圧オリフィス52(スリット52a)で絞られて伝達遅れを生じ、背圧室55の液圧がピストン上室16の液圧よりも低くなり、ピストン上室16の液圧との間に差圧を形成する。設定周波数は、スリット52aを調整することにより車両の仕様によって自由にチューニングでき、本実施形態では5〜6Hz程度である。
背圧室55にこの差圧が生じると、減衰力可変バルブ51の表面側がバイパス通路50と同圧の吐出通路44に臨み、背面が差圧分だけ低くなった液圧の背圧室55に臨むため、この差圧が減衰力可変バルブ51の開弁圧及び後述する支持バネ59のバネ力よりも大きくなれば、自動的に減衰力可変バルブ51が開くことになる。したがって、減衰力可変バルブ51を設定周波数にてパッシブに開かせることができる。
なお、背圧オリフィス52は必ずしもスリットバルブでなくてもよい。別体又は一体で一般的な筒状の絞り通路を設けることができる。但し、スリットバルブを用いれば、軸方向に寸法をとらないので全体をコンパクトにでき、しかもサスペンション用ダンパを組立てるとき、積み上げ式に組立できるので、組立性に優れたものになる。
スリットバルブ形式でない背圧オリフィス52を採用する場合は、バイパス通路50内に設けることもできる。この場合は吐出通路44よりも下流側で、バイパス通路50と背圧室55との連通部よりも上流側に設ける。
バルブハウジング53の上部外周にはスプール57がO−リング58を介してシールされた状態で上下動自在に外嵌され、ディスクバルブからなる支持バネ59により上方へ付勢されて減衰力可変バルブ51をバルブシート43bへ着座させている。
このように、スプール57がバルブハウジング53の外周へ摺動可能に設けられるので、バルブハウジング53のスプール57が外嵌される部分における外周サイズを小さくして、減衰力調整構造のコンパクト化を図ることができる。
図3に明らかなように、スプール57の上端部は中心方向へ折れ曲がった内向きフランジ状の上端縁部57aをなし、その上端部が減衰力可変バルブ51の背面外周部へ押し当てられ、下端部に支持バネ59の先端部が当接している。
減衰力可変バルブ51が開くときは、その外周部がスプール57の上端縁部57aを下方へ押すことにより支持バネ59に抗してスプール57が押し下げられる。
減衰力可変バルブ51が閉じるときは支持バネ59の復元力と背圧室圧力によりスプール57が上方へ押し上げられる。
この間、スプール57の上端縁部57aは常に減衰力可変バルブ51の背面における外周縁部に密接し、吐出通路44及び背圧室55をピストン下室17に対して閉じている。
上端縁部57aが減衰力可変バルブ51の背面に当接する位置は、バルブストッパ43のバルブシート43bが減衰力可変バルブ51の表面に当接する位置よりも0.2〜1.0mm程度、減衰力可変バルブ51の内周側に配置する。
このため、減衰力可変バルブ51にせん断荷重がかかるようになり、吐出通路44と背圧室55の圧力を確実にシールすることができ、減衰力を安定させることができる。
また、減衰力可変バルブ51の吐出通路44に臨む表面側の受圧面積よりも、背圧室55に臨む背面側の受圧面積の方が大きくなっており、背面側の受圧面積/表面側の受圧面積の比を、好ましくは1.1倍から1.5倍程度にしている。
このようにすると、ピストン速度の低周波大ストローク領域で、吐出通路44と背圧室55の各液圧はほぼ同圧であるから、受圧面積の大きな背圧室55側からの押し上げにより減衰力可変バルブ51を確実に閉じることができる。
支持バネ59は図5に示すように、リング状をなし、外周部に径方向外方へ突出する突部59aが、例えば十文字状に複数突出形成され、この突部59aをスプール57における上端縁部57aの下面へ当接することにより、スプール57を上下動自在に支持している(図3参照)。
支持バネ59の内周部はバルブハウジング53の環状突出部53bに遊嵌され、バルブハウジング53に連続してそれよりも大径の肩部53c上に支持されている。
減衰力可変バルブ51自体及び支持バネ59のバネ弾性は減衰力可変バルブ51の開弁圧をなす。但し、減衰力調整の応答性を良くするためには、減衰力可変バルブ51が僅かな差圧で開弁することが好ましいから、この開弁圧は極力小さくすることが好ましい。このためには支持バネ59のバネ弾性はスプール57を支持するための最小限程度で足り、支持バネ59のバネ弾性は極力小さなものとされている。
このように支持バネ59のバネ弾性を小さくすれば、小さな差圧でも減衰力可変バルブ51が開弁するので、周波数応答性を鋭敏にすることができる。
また、背圧室55の液圧が上昇して吐出通路44と同圧になれば、支持バネ59の復元及び背圧室55の液圧によりスプール57が上動し、弾性変形していた減衰力可変バルブ51も当初状態へ復元して吐出通路44を閉じる。
<圧力調整部>
図3に示すように、バルブハウジング53は下方に開放された凹部60を備え、バルブハウジング53の下端部で凹部60を囲む周壁61の内面へエンドキャップ62の外周部をネジ止めすることにより凹部60を閉じて背圧調整室70をなしている。
エンドキャップ62には下室連通口63が設けられ、背圧調整室70とピストン下室17を連通している。
背圧調整室70内には、ディスクバルブからなるブローバルブ71及びフロートバルブ72が間隔をもって収容され、それぞれは背圧調整室スプリング73により上下へ分かれて押し当てられるように付勢されている。
ブローバルブ71は、凹部60の頂面における外周部へ設けられたシート部64へ外周を押しつけられて着座するようになっている。シート部64は下方へ段差状をなして突出するように設けられており、このシート部64より内周側部分は、シート部64よりも一段高く上方へ入り込んだ環状凹部65をなし、その頂部表面はブローバルブ71の中央部分に所定の間隔をもって対面するようになっている。
環状凹部65に連絡通路56の下端開口56aが開口し、ブローバルブ71が上下して外周部がシート部64へ接離することによって下端開口56aを開閉する。
ブローバルブ71の開弁圧は、ピストン作動の初期における伸び側減衰バルブ21の開弁圧である減衰力発生圧力と同程度になっている。
伸び側行程において、ブローバルブ71は、連絡通路56を介して連通する背圧室55の液圧が所定未満のとき、連絡通路56から背圧調整室70への流入を遮断する。このためフロートバルブ72による液圧吸収が生じず、ピストン上室16の液圧を低下させず、その結果、伸び側減衰バルブ21による減衰力を所定通りに発生させる。
連絡通路56の液圧が所定以上になると、ブローバルブ71がシート部64から離座して、連絡通路56から作動液を背圧調整室70へ流入させ、フロートバルブ72を弾性変形させる。このフロートバルブ72の弾性変形により液圧を吸収するので、連絡通路56−背圧室55−バイパス通路50を介してピストン上室16の液圧を減少させ、減衰力を低くする。
フロートバルブ72が撓んでシート部66へ着座すると、撓み変形が生じなくなり、その結果、フロートバルブ72の液圧吸収が終了し、ピストン上室16の液圧低下がなくなるので、ピストン上室16の液圧は、フロートバルブ72による液圧吸収がない本来の液圧に上昇する。
フロートバルブ72は本願発明における容積可変部材の一例であり、ディスク状をなして外周部がエンドキャップ62のシート部66へ背圧調整室スプリング73固定部73aにより押しつけられている。このため、伸び側行程時には、フロートバルブ72により下室連通口63は閉じられ背圧調整室70とピストン下室17とが遮断されている。
そのうえ、フロートバルブ72の外周部はシート部66へ滑り自在に支持され、フロートバルブ72のバネ定数を低く設定できている。
また、ブローバルブ71もバルブハウジング53のシート部64上に滑り移動自由に支持され、同様にバネ定数を低く設定できている。
エンドキャップ62は、背圧調整室70の底面をなし、その上面外周部にシート部66が環状に形成されている。エンドキャップ62の上面のうちシート部66よりも内周側部分は、シート部66よりも下方へ一段低くなった段差状の環状凹部からなる変形規制部67をなし、その表面がフロートバルブ72の撓み変形を規制し、中立状態(図示状態)にあるフロートバルブ72の中央部分との間に、フロートバルブ72の撓み変形を所定範囲で許容するための間隔を形成している。
フロートバルブ72は背圧調整室70の液圧が上昇すると、液圧の程度に応じて中央部が下方へ撓み変形して液圧上昇分を吸収する。但し、フロートバルブ72が段差相当分だけ大きく撓み変形すると、変形規制部67に当接して着座し、それ以上の撓みを規制され、フロートバルブ72による液圧吸収が終了する。この意味で、変形規制部67の表面はフロートバルブ72の変形規制面をなし、変形規制部67の段差量によりフロートバルブ72の最大押し込みストロークを規制できる。
変形規制部67の外周側へ偏在した位置には下室連通口63が形成されている。下室連通口63の通路断面積は、背圧オリフィス52の通路断面積より大きくなっており、伸び側行程におけるフロートバルブ72の撓み変形時には、フロートバルブ72と変形規制部67間にある作動液を速やかにピストン下室17へ押し出す。
圧縮側行程時には、フロートバルブ72及び背圧調整室スプリング73を弾性変形させてピストン下室17の作動液を速やかに背圧調整室70へ流入させるようになっている。
このように、フロートバルブ72の外周を背圧調整室スプリング73の固定部73aによりエンドキャップ62のシート部66上に押しつけて固定するので、バルブハウジング53の加工ばらつきがあっても、背圧調整室スプリング73の調整によって支持できる。また、フロートバルブ72の中央部と変形規制部67との間隔を一定に維持でき、撓み変形量が変化しないから、背圧室55における液圧の立ち上がり遅れが変化しなくなり、減衰力の周波数応答特性のばらつきを生じない。
さらに、フロートバルブ72の剛性を低くすることができるので、フロートバルブ72の中央部における撓み変形を容易にする。このため、ピストン速度の低周波大ストローク域では、伸び側行程にフロートバルブ72が速やかに変形規制部67へ着座し、圧縮側行程には速やかに離座するので、伸び側行程と圧縮側行程との切換わり時における応答速度が速く違和感がなくなる。
ディスクバルブ状のフロートバルブ72を用いることによって、押し込みストロークを0.3〜2mm程度の微小ストロークにすることができ、フロートバルブ72の占有スペースが小さくなるため小型軽量化できる。
なお、フロートバルブ72は必ずしもディスクバルブ状でなくてもよく、例えば、蛇腹状等の部材でもよい。要は、背圧調整室70における容積可変部材であって、背圧室55等の液圧上昇遅れ形成手段として機能できるものであればどのようなものでも足りる。
背圧調整室スプリング73は、外周部に固定部73a及びリフトバネ73bが形成されている。これらの固定部73a及びリフトバネ73bは、ディスク状をなす本体部73cの外周部を上下に切り起こして形成され、それぞれは周方向へ交互に適当間隔で設けられている。
固定部73aは先端側を本体部73cから斜め下方に延ばした腕状をなし、フロートバルブ72の外周をシート部66へ押しつけている。
リフトバネ73bは、本体部73cから斜め上方に延出する腕状をなす。このリフトバネ73bはブローバルブ71の開弁圧を与えるものであり、バネの強さは、ピストン作動の初期における伸び側減衰バルブ21の開弁圧である減衰力発生圧力と同程度(もしくはそれよりも若干高くなる程度)に設定されている。
このようにブローバルブ71の開く条件をリフトバネ73bによって設定すると、リフトバネ73bのバネの強さは簡単に調節することができるので、ブローバルブ71の開くタイミングを容易にチューニングできる。
そのうえ、背圧調整室スプリング73はフロートバルブ72の外周をシート部66へ押しつけている外周の固定部73aと、ブローバルブ71を弾性支持してその開弁圧を与えるリフトバネ73bとを本体部73cの外周部へ同時に備えるので、1つの弾性部材である背圧調整室スプリング73でブローバルブ71とフロートバルブ72を同時に弾性支持できることになり、部品点数を削減でき、背圧調整室70の構成を簡単かつコンパクト化できるとともに、組立性も向上する。
また、背圧調整室スプリング73を薄板からなる本体部73cの外周部を上下へ交互に切り起こして腕状にすることで、背圧調整室スプリング73を簡単化かつ小型化できる。
この周波数応答部30を組立てるとき、図2において、ピストンロッドの小径部13bにピストン15や減衰バルブ20等を外嵌し、バルブハウジング53をネジ止めしてから、凹部60内へブローバルブ71、背圧調整室スプリング73、フロートバルブ72をこの順に入れ、さらにエンドキャップ62をねじ込むだけで組立できる。
なお、背圧調整室スプリング73も種々なものが可能であり、例えば、平面視円環状のウエーブワッシャをなす皿バネ状やゴムとしてもよい。
また、背圧調整室スプリング73を、固定部73a及びリフトバネ73bが別体である2部材として形成することもできる。

<実施形態の作用>
以下、伸び側行程における作動を説明する。図3はピストン作動の初期状態を示し、この領域ではピストン速度は極めて低速でありストロークも微小であるから、ピストン上室16の液圧上昇は僅かである。したがって、ピストン上室16の液圧はバイパス通路50より背圧室55へ伝達されるが、背圧オリフィス52によって絞られないので、背圧室55並びに連絡通路56へ遅れを伴わずに伝達され、それぞれピストン上室16と同圧になる。
さらに、背圧室55の液圧は、連絡通路56からブローバルブ71へも加わるが、ブローバルブ71の開弁圧は減衰力発生圧と同程度になっているので、ピストン上室16の液圧が減衰力発生圧になるまではブローバルブ71が閉じたままである。
この状態において、ブローバルブ71が閉じているため、フロートバルブ72による液圧吸収が生じないので、ピストン上室16の液圧を減衰力発生圧まで迅速に上昇させることができる。その結果、伸び側減衰バルブ21を開いて減衰力を発生させ、サスペンション用ダンパを硬くすることができる。
次に、ピストン作動の初期領域後における低周波大ストローク領域及び高周波微小ストローク領域について説明する。
まず、図6は低周波大ストローク領域における図3と同様部位を示す。この場合、減衰力発生圧を超えているピストン上室16の液圧がバイパス通路50から背圧室55へ加わる。このとき、バイパス通路50の液圧は、低周波であるから背圧オリフィス52で絞られずに背圧室55へ伝達され、背圧室55の液圧はピストン上室16の液圧と同圧になる。
また、連絡通路56の下端開口56aを閉じているブローバルブ71は、背圧室55の液圧がピストン上室16と同圧で、減衰力発生圧を超えているため、連絡通路56の液圧で開く。すると、作動液が背圧室55から背圧調整室70へ流入し、仮想線で示すようにフロートバルブ72を下方へ撓み変形させ、フロートバルブ72とエンドキャップ62間における容積を減少させ、容積減少相当分の作動液を下室連通口63より速やかにピストン下室17へ流出させる。
しかし、この場合のフロートバルブ72は直ちに着座し、それ以後の撓み変形が規制されるので、背圧調整室70及び背圧室55の液圧は急速に上昇して差圧を解消し、減衰力可変バルブ51を閉じる。これにより、伸び側減衰バルブ21による減衰力を発生させて、減衰力の高い状態にする。

図7はピストン速度が高周波微小ストローク領域にある場合における図3と同じ部位を示す。このとき、ピストン上室16からバイパス通路50へ加えられた液圧は、背圧オリフィス52により絞られるため、背圧室55へ圧力伝達が遅れ、背圧室55の液圧はピストン上室16よりも低くなって差圧を生じる。
このため、減衰力可変バルブ51を挟んで、吐出通路44と背圧室55の間に差圧が発生し、減衰力可変バルブ51が下方へ弾性変形してスプール57を支持バネ59に抗して下降させる。その結果、減衰力可変バルブ51が開き、吐出通路44及びバイパス通路50を介してピストン上室16の作動液をピストン下室17へ流すので、ピストン上室16の液圧を逃がして低くする。
また、背圧室55の作動液は、ブローバルブ71が開いているので、背圧調整室70へ流入し、フロートバルブ72を下方へ撓み変形させる。フロートバルブ72の押し込みストロークは、背圧室55の液圧が上昇しようとするとこの上昇分を吸収するように増大し、背圧室55の液圧上昇を遅らせ、減衰力可変バルブ51の開弁を持続させる。
この周波数応答して減衰力可変バルブ51を開く減衰力調整により、ピストン上室16からピストン下室17へ向かう作動液の経路が、伸び側減衰バルブ21を通過するものと、減衰力可変バルブ51を通過するものの2系統になるため、減衰力が低くなって、サスペンション用ダンパが柔らかくなるため、乗り心地を良好にすることができる。
このように、ブローバルブ71を設けることによって、周波数応答機能を有するにもかかわらず、ピストン作動の初期領域において減衰力の立ち上がりを迅速化して、この領域においてサスペンション用ダンパを硬くすることができる。
しかも、ピストン作動の初期領域後における周波数応答特性は、ブローバルブ71の存在にかかわらず、優れた周波数応答特性を従前通りに維持することができる。
図8は、伸び側行程側のピストン作動の初期における減衰力の立ち上がりを説明するグラフであり、縦軸に液圧、横軸に時間をとってある。曲線aはピストン上室16の液圧を示し、曲線bは本実施形態におけるブローバルブ71を備えた背圧室55の液圧、曲線cは図9に示した参考例におけるブローバルブ71を備えない背圧室55における液圧をそれぞれ示す。
この図において、時間0〜T1までは、ピストン作動の初期領域であり、一般的に、曲線aに示すように、ピストン上室16の液圧は時間とともに上昇し、背圧室55の液圧がピストン上室16と同圧であれば、背圧室55の液圧も同様に上昇する。点Aは減衰力発生圧である。
ここで、ピストン作動の初期領域におけるピストン移動の波形が不安定であることにより、高周波微小ストローク領域時と同様になって背圧室55の液圧が低下する場合、本実施形態では、ブローバルブ71が閉じているため、背圧室55の液圧はピストン上室16の液圧と同圧であって、点0→Aまで時間T1にて迅速に上昇し、A点にて伸び側減衰バルブ21が減衰力を発生させる。その後、ブローバルブ71が開くと背圧室55の液圧は低下して減衰力可変バルブ51が開く。
一方、図9の参考例ではブローバルブが存在しないため、曲線cで示すように、減衰力可変バルブ51が当初から開き、かつこの背圧室55の液圧はフロートバルブ72の押し込みストロークにより点0→Bへと緩慢に上昇する。点Bは点Aと同じ液圧であるが、この点Bになるまでより長い時間T2(T1<T2)をなす。しかもこの時点でもまだ背圧室55の液圧はピストン上室16の液圧よりも低く、減衰力可変バルブ51が開いて、ピストン上室16の液圧を逃がすため、ピストン上室16の液圧上昇が遅れ、減衰力発生圧になるまでに時間がかかるから、減衰力の立ち上がりが遅くなる。
したがって、時間0→T1なるピストン作動の初期領域においては、本実施形態は迅速に減衰力の立ち上がりを図ることができるが、図9の参考例ではこのようなことが期待できない。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々に変形等が可能である。例えば、容積可変部材は上記実施形態のフロートバルブ72に限定されず、背圧室の液圧上昇遅延機能を有するものであればどのようなものでもよい。
さらに、本願発明の減衰力調整手段は、伸び側の減衰力調整に適用されるばかりではなく、圧縮側の減衰力調整もしくは伸び側及び圧縮側双方の減衰力調整に適用してもよい。
本願発明は、車両用サスペンション用ダンパ等に用いられる減衰力調整手段を設けた周波数応答型液圧緩衝装置において、この減衰力調整手段は、バイパス通路とピストン上室又はピストン下室とを連通する吐出通路と、この吐出通路の前記ピストン上室又はピストン下室側開口を開閉する減衰力可変バルブと、
この減衰力可変バルブの背面に臨み背圧オリフィスを介して前記バイパス通路と連通する背圧室55と、この背圧室と連通する背圧調整室と、この背圧調整室内に設けられて前記背圧室の液圧に応じて変形もしくは変位することにより前記背圧調整室内の容積を可変にする容積可変部材とを備えるとともに、前記背圧調整室を前記背圧室と連通するために開き又は遮断するために閉じるブローバルブを設け、このブローバルブをピストン作動の初期領域で閉じるようにした。これにより、周波数応答型液圧緩衝装置において、周波数感応特性を保持しつつも、ピストン作動の初期領域における迅速な減衰力の立ち上げを可能にする。
10:サスペンション用ダンパ、12:シリンダ、13:ピストンロッド、15:ピストン、16:ピストン上室、17:ピストン下室、20:減衰バルブ、21:伸び側減衰バルブ、25:圧縮側減衰バルブ、30:周波数応答部、43:バルブストッパ、44:吐出通路、50:バイパス通路、51:減衰力可変バルブ、52:背圧オリフィス、53:バルブハウジング、55:背圧室、57:スプール、60:凹部、67:変形規制部、70:背圧調整室、71:ブローバルブ、72:フロートバルブ、73:背圧調整室スプリング

Claims (5)

  1. ピストンロッド(13)の挿入端に設けたピストン(15)を作動液を充填したシリンダ(12)内へ摺動自在に挿入してピストン上室(16)とピストン下室(17)に区画し、ピストン(15)に設けた減衰バルブ(20)に減衰力を発生させるとともに、ピストン(15)に隣接して所定の高周波入力時にバイパス通路(50)を介して作動液をピストン上室(16)又はピストン下室(17)のいずれか一方上側から他方側へ逃がす周波数応答部(30)を設けた周波数応答型液圧緩衝装置において、
    前記周波数応答部(30)は、
    前記バイパス通路(50)と前記ピストン上室(16)又はピストン下室(17)とを連通する吐出通路(44)と、
    この吐出通路(44)の前記ピストン上室(16)又はピストン下室(17)側開口を開閉する減衰力可変バルブ(51)と、
    この減衰力可変バルブ(51)の背面に臨み背圧オリフィス(52)を介して前記バイパス通路(50)と連通する背圧室(55)と、
    この背圧室(55)と連通する背圧調整室(70)と、
    この背圧調整室(70)内に設けられて前記背圧室(55)の液圧に応じて変形もしくは変位することにより前記背圧調整室(70)内の容積を可変にする容積可変部材(72)とを備えるとともに、
    前記背圧調整室(70)を前記背圧室(55)と連通するために開き又は遮断するために閉じるブローバルブ(71)を設け、
    このブローバルブ(71)をピストン作動の初期領域で閉じることを特徴とする周波数応答型液圧緩衝装置。
  2. 前記ブローバルブ(71)は、前記背圧室(55)の液圧が、前記ピストン作動の初期領域における必要な減衰力発生圧以下のとき閉じていることを特徴とする請求項1に記載した周波数応答型液圧緩衝装置。
  3. 前記ブローバルブ(71)は、ディスクバルブ状をなし、下方をリフトバネ(73b)にて弾力支持されるとともに、このリフトバネ(73b)のバネの強さを前記減衰バルブ(20)の必要な減衰力発生圧と同等にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載した周波数応答型液圧緩衝装置。
  4. 前記容積可変部材(72)は、ディスクバルブ状をなすフロートバルブであり、中央部を撓み変形自在にしたものであることを特徴とする請求項3に記載した周波数応答型液圧緩衝装置。
  5. 前記ブローバルブ(71)と前記フロートバルブ(72)は共通の弾性部材(73)で弾性支持されるとともに、この弾性部材(73)は前記リフトバネ(73b)をなす部分と、前記フロートバルブ(72)の外周部を押しつけ固定する部分である固定部(73a)とを一体に備えることを特徴とする請求項4に記載した周波数応答型液圧緩衝装置。
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