JP5078737B2 - 油圧緩衝器の減衰力調整構造 - Google Patents

油圧緩衝器の減衰力調整構造 Download PDF

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本発明は油圧緩衝器の減衰力調整構造に関する。
油圧緩衝器の減衰力調整構造として、特許文献1に記載の如く、シリンダの油室に油液を収容し、シリンダに挿入されたピストンロッドの挿入端に設けたピストンをシリンダに摺動可能に嵌挿し、ピストンの摺動によって加圧される一方の油室から他方の油室への油液の流れを減衰バルブにより制御して減衰力を発生させるに際し、減衰バルブの背面側に、加圧された一方の油室にオリフィスを介して連通する背圧室を設け、該背圧室をコイルばねにより付勢されたフリーピストンにより閉じてなるものがある。
ピストン速度が通常の低周波域にあるときには、加圧された油室の圧力はオリフィスによる圧力伝搬遅れを伴なうことなく背圧室に伝わり、フリーピストンを押し込みストロークさせた後、背圧室の圧力が上昇すると、この背圧室の圧力を受けた減衰バルブの減衰力は高くなる。
車両が路面の凹凸に乗り、ピストン速度が高周波域に入ると、加圧された油室の圧力はオリフィスによる圧力伝搬遅れを伴ない、背圧室の圧力を上昇させず、減衰バルブは開き易くなって減衰力を低くする。
実公平4-43633
特許文献1に記載の油圧緩衝器の減衰力調整構造にあっては、組立時に、密閉空間である背圧室からのエア抜け性が悪い。即ち、背圧室のエアをオリフィス経由で一方の油室に押し出すために、ピストンの摺動によって加圧される他方の油室から背圧室へ油液を導入しようとしても、フリーピストンが他方の油室を背圧室に対して遮断していてその油液の導入を許容しない。この油圧緩衝器が背圧室にエアを残留した状態で使用されると、加圧された一方の油室の油液が背圧室に導入されても該背圧室の圧力が十分に上昇できず、減衰バルブの減衰力が高くならない。
組立時に、他方の油室の油液を背圧室に導入することなく、背圧室のエアをオリフィス経由で一方の油室に抜くためには、油圧緩衝器を逆さにしたり横にしたりと長時間の手間がかかり、組立生産性が悪い。
本発明の課題は、低周波域で減衰力を高く、高周波域で減衰力を低くする周波数依存の油圧緩衝器の減衰力調整構造において、組立生産性を向上することにある。
請求項1の発明は、シリンダの油室に油液を収容し、シリンダに挿入されたピストンロッドの挿入端に設けたピストンをシリンダに摺動可能に嵌挿し、ピストンの摺動によって加圧される一方の油室から他方の油室への油液の流れを減衰バルブにより制御して減衰力を発生させる油圧緩衝器の減衰力調整構造において、一方の油室の圧力を正面側に受けて開くディスクバルブ状の減衰バルブの背面側に、加圧された一方の油室にピストンロッドに設けたバイパス路及びオリフィスを介して連通する背圧室を設け、該背圧室を板ばねからなる隔壁体により閉じるとともに、他方の油室から背圧室への油液の流れを許容する逆止弁を備えてなるようにしたものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記逆止弁を隔壁体に設けてなるようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記逆止弁を通過した油液を背圧室に導入する流路にオリフィスを介装してなるようにしたものである。
請求項4の発明は、請求項3の発明において更に、前記逆止弁及びオリフィスを隔壁体に設けてなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、前記隔壁体が板ばねの中心部に芯材を設け、芯材の軸方向における板ばねの反対側に補助ばねを設け、補助ばねをバルブハウジングに担持させ、該補助ばねの付勢力により板ばねをバルブハウジングの支持面上に着座させてなり、板ばねを前記逆止弁とし、補助ばねに前記オリフィスを設けてなるようにしたものである。
(請求項1)
(a)油圧緩衝器の組立時には、油圧緩衝器の例えば圧側行程で、加圧される他方の油室の油液が逆止弁を開いて背圧室へ導入され、この油液の流れが背圧室のエアをオリフィス及びバイパス路から一方の油室へ押し出す。この油圧緩衝器は、背圧室にエアの残留がない状態で使用されるものになり、加圧された一方の油室の油液が背圧室に導入されたとき、該背圧室の圧力を十分に上昇可能にする。
(b)油圧緩衝器の使用時には、油圧緩衝器の例えば伸側行程で、ピストン速度が通常の低周波域にあるときには、加圧された油室の圧力はオリフィスを通り背圧室に入りその後、板ばねからなる隔壁体を押し込みストロークさせた後、背圧室の圧力が上昇すると、この背圧室の圧力を受けた減衰バルブの減衰力は高くなる。
車両が路面の凹凸に乗り、ピストン速度が高周波域に入ると、加圧された油室の圧力はオリフィスによる圧力伝搬遅れと隔壁体のストロークにより、背圧室の圧力を上昇させず、減衰バルブは開き易くなって減衰力を低くする。
ピストン速度の低周波域で、板ばねにより付勢されている隔壁体の押し込みストロークは小さく、背圧室の圧力の上昇は早く、伸・圧行程の切換わり時にも違和感なく応答でき、応答速度が速い。また、板ばねは占有スペースが小さく、ばねの積層枚数の調整によりばね力の設定も容易である。
減衰バルブの背圧室に対する受圧面積、オリフィスの流路面積、又は隔壁体の板ばねのばね定数の変更により、油圧緩衝器が発生する減衰力の周波数特性を容易に調整できる。
(請求項2)
(c)前述(a)の逆止弁を隔壁体に設けたから、油圧緩衝器の構成を簡素化し、組立性を向上できる。
(請求項3)
(d)前述(a)の逆止弁を通過した油液を背圧室に導入する流路にオリフィスを介装した。従って、油圧緩衝器の使用時に、油圧緩衝器の例えば圧側行程で、加圧される他方の油室の油液が逆止弁を開いて背圧室に導入される過程でオリフィスの流路抵抗を受ける結果、他方の油室の圧力変化を少なくし、圧側減衰力の変化を少なくすることができる。
(請求項4)
(e)前述(a)の逆止弁とともに、上述(d)のオリフィスも隔壁体に設けたから、油圧緩衝器の構成を簡素化し、組立性を向上できる。
(請求項5)
(f)隔壁体が板ばねの中心部に芯材を設け、芯材の軸方向における板ばねの反対側に補助ばねを設け、補助ばねをバルブハウジングに担持させ、該補助ばねの付勢力により板ばねをバルブハウジングの支持面上に着座させる。補助ばねの付勢力により隔壁体の板ばねをバルブハウジングの支持面上に安定的に着座させることができる。加えて、板ばねを前述(a)の逆止弁とし、補助ばねに前述(d)のオリフィスを設けたから、油圧緩衝器の構成を一層簡素化し、組立性を一層向上できる。
図1は油圧緩衝器を示す模式断面図、図2は減衰力調整手段を示す断面図、図3は油圧緩衝器の油液の流れを示し、(A)は伸側行程の低周波域を示す模式図、(B)は伸側行程の高周波域を示す模式図、(C)は圧側行程を示す模式図、図4はスリットバルブを示す平面図、図5はスプリングを示す平面図、図6は隔壁体に設けたオリフィスを示す断面図である。
減衰力調整式油圧緩衝器10は、図1に示す如く、ダンパチューブ11にシリンダ12を内蔵した二重管からなる複筒式であり、油液を収容したシリンダ12にピストンロッド13を挿入し、ダンパチューブ11の下部に車軸側取付部を備えるとともに、ピストンロッド13の上部に車体側取付部14を備え、車両の懸架装置を構成する。
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11の外周の下スプリングシート15と、ピストンロッド13の上端部の車体側取付部14に設けられた上スプリングシート(不図示)の間に懸架ばね16を介装する。
油圧緩衝器10は、シリンダ12に挿入されるピストンロッド13のためのロッドガイド17、ブッシュ18、オイルシール19を、ダンパチューブ11の上端加締部11Aとシリンダ12の上端部の間に挟圧固定している。
減衰力調整式油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置20とボトムバルブ装置40を有する。ピストンバルブ装置20とボトムバルブ装置40は、ピストンロッド13のシリンダ12への挿入端に設けた後述するピストン24がシリンダ12を摺動することによって生ずる油液の流れを制御して減衰力を発生させ、それらが発生する減衰力により、懸架ばね16による衝撃力の吸収に伴うピストンロッド13の伸縮振動を制振する。尚、ピストンロッド13は、大径部13Aと小径部13Bを有し、ピストンロッド13のシリンダ12への挿入端を小径部13Bとし、大径部13Aと小径部13Bの境界に段差状肩部13Cを設けている。
(ピストンバルブ装置20)
ピストンバルブ装置20は、図2に示す如く、シリンダ12に挿入されたピストンロッド13の小径部13Bの外周に、ストッパピース23、ピストン24、バルブストッパ25を挿着し、これらを小径部13Bの先端螺子部21に螺着される、サブ伸側減衰バルブ60のためのバルブハウジング61により、ピストンロッド13の肩部13Cとの間に挟圧固定する。尚、ストッパピース23は、ピストンロッド13のテーパ状肩部13Cに着座するテーパ状内周部23Aを備えるとともに、ピストンロッド13の後述するバイパス路51に連通してシリンダ12のロッド側油室12Aに開口する流路23Bを備える。
ピストン24は、シリンダ12に摺動可能に嵌挿され、伸側流路31(不図示)と圧側流路32を設け、ピストン24とバルブストッパ25の間にディスクバルブ状のメイン伸側減衰バルブ33の環状中央部を挟圧し、ピストン24とストッパピース23の間にディスクバルブ状の圧側減衰バルブ34の環状中央部を挟圧する。即ち、ピストンバルブ装置20は、ピストン24によりシリンダ12内をロッド側室12A(上油室)とピストン側室12B(下油室)に区画し、ロッド側室12Aとピストン側室12Bはピストン24に設けた伸側流路31及び該伸側流路31を開閉するメイン伸側減衰バルブ33と、圧側流路32及び該圧側流路32を開閉する圧側減衰バルブ34のそれぞれを介して連通される。
従って、伸長時には、ロッド側室12Aの油が、ピストン24の伸側流路31を通り、メイン伸側減衰バルブ33を撓み変形させて開き、ピストン側室12Bに導かれ、伸側減衰力を発生させる。また、圧縮時には、ピストン側室12Bの油が、ピストン24の圧側流路32を通り、圧側減衰バルブ34を撓み変形させて開き、ロッド側室12Aに導かれ、圧側減衰力を発生させる。
(ボトムバルブ装置40)
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11とシリンダ12の間隙をリザーバ室12Cとし、このリザーバ室12Cの内部を油室とガス室に区画している。そして、ボトムバルブ装置40は、シリンダ12の内部のピストン側室12Bとリザーバ室12Cとを仕切るボトムピース41をシリンダ12の下端部とダンパチューブ11の底部との間に配置し、ダンパチューブ11の底部とボトムピース41の間の空間をボトムピース41に設けた流路によりリザーバ室12Cに連絡可能にする。
ボトムバルブ装置40は、ボトムピース41に設けた圧側流路41Aと伸側流路(不図示)をそれぞれ開閉するボトムバルブとしての、ディスクバルブ42とチェックバルブ43を備える。
そして、伸長時には、シリンダ12から退出するピストンロッド13の退出容積分の油が、チェックバルブ43を押し開き、リザーバ室12Cからボトムピース41の伸側流路(不図示)経由でピストン側室12Bに補給される。圧縮時には、シリンダ12に進入するピストンロッド13の進入容積分の油が、ピストン側室12Bからボトムピース41の圧側流路41Aを通ってディスクバルブ42を撓み変形させて開き、リザーバ室12Cへ押出され、圧側減衰力を得る。
尚、油圧緩衝器10にあっては、シリンダ12のロッド側室12Aに位置するピストンロッド13まわりで、ピストン24の側(下側)に固定されたリバウンドシート46の上に、ピストンロッド13の伸切り時(油圧緩衝器10の最伸長状態)に圧縮変形せしめられるリバウンドラバー47を備えている。
しかるに、油圧緩衝器10は、ピストンバルブ装置20の減衰力、本実施例では伸側減衰力を調整するための伸側減衰力調整装置50を以下の如くに備える。
伸側減衰力調整装置50は、図2に示す如く、メイン伸側減衰バルブ33をバイパスしてロッド側室12Aとピストン側室12Bを連通するバイパス路51をピストンロッド13に設け、このバイパス路51にサブ伸側減衰バルブ60(減衰力調整部)を設ける。ピストンロッド13の小径部13Bに挿着されているメイン伸側減衰バルブ33のバルブストッパ25と、ピストンロッド13の小径部13Bの先端螺子部21に螺着されるバルブハウジング61の本体61A及びカラー61Bの間にディスクバルブ状のサブ伸側減衰バルブ60の環状中央部を挟圧する。即ち、伸側減衰力調整装置50は、バイパス路51の一端をロッド側室12Aに開口するとともに、バイパス路51の他端をバルブストッパ25に設けたサブ流路25Aに開口し、サブ伸側減衰バルブ60によりこのサブ流路25Aをピストン側室12Bに対して開閉する。
伸側減衰力調整装置50は、サブ伸側減衰バルブ60の背面側に、ロッド側室12A(伸長時に加圧される一方の油室)にスリットバルブ62のオリフィス62Aを介して連通する背圧室63を設け、背圧室63を複数枚の積層板ばね71からなる隔壁体70により閉じる。スリットバルブ62は、サブ伸側減衰バルブ60の背面に添設され、メイン伸側減衰バルブ33のバルブストッパ25とバルブハウジング61の間に環状中央部を挟圧される。スリットバルブ62は、図4に示す如く、環状中央部の内周にスリットを備え、各スリットをオリフィス62Aとする。
伸側減衰力調整装置50は、バルブハウジング61をピストンロッド13の小径部13Bの先端螺子部21に螺着される本体61Aとカラー61Bの結合体からなるものとし、本体61Aの螺子部21に螺着される円板部aの外周側の上下に上下の環状部b、cを突設し、本体61Aの下環状部cの外周に有底カップ状のストッパ65を螺着して備える。バルブハウジング61は本体61Aの円板部aの周方向複数位置に複数の連絡孔61Cを設け、バルブハウジング61の内部で軸方向の両側に背圧室63を連続可能にする。
背圧室63は、サブ伸側減衰バルブ60のバルブハウジング61と、バルブハウジング61の本体61Aの上環状部bに摺動可能に設けられてスプリング66によりサブ伸側減衰バルブ60の背面に付勢されるバックアップカラー67と、バルブハウジング61の支持面68(本実施例ではストッパ65の外周側上面68)上に着座する隔壁体70により区画形成される。バックアップカラー67はバルブハウジング61の本体61Aの上環状部bの内周の環状溝に装填したシール材67Aに液密に上下に摺動し、バックアップカラー67の上端面をサブ伸側減衰バルブ60の背面に衝合する。スプリング66は、図5に示す如く、環状中央部の外周に十字状の張り出し部66Aを備え、バルブハウジング61のカラー61Bの外周に環状中央部の内周を挿着して本体61Aの円板部aの環状突出段差面上に支持され、張り出し部66Aの先端部の上にバックアップカラー67の下端面を支持する。
隔壁体70は、円板状の板ばね71の中心部に芯材73を設け、芯材73の軸方向における板ばね71の反対側に補助ばね72を設け、補助ばね72をバルブハウジング61の本体61Aの下環状部cの内周に段差状をなすように設けた下端支持面69に担持させ、補助ばね72の付勢力により板ばね71をストッパ65の支持面68に着座させる。本実施例では、補助ばね72も円板状の板ばねを複数枚積層してなるものとしており、芯材73は膨出部73Aの軸方向の両側に細径部73B、73Cを突設し、細径部73Bに板ばね71の中央孔を装填し、細径部73Cに補助ばね72の中央孔を装填した状態で、板ばね71の外縁側端面をストッパ65の支持面68に載せて着座させ、補助ばね72の外縁側端面をバルブハウジング61の支持面69に載せて担持させる。隔壁体70の板ばね71はストッパ65の支持面68上にて固定保持されることなく、支持面68の面に沿って滑り移動自由とされ、板ばね71のばね定数を低く設定している。隔壁体70の補助ばね72もバルブハウジング61の支持面69に沿って滑り移動自由とされている。
隔壁体70は、伸側行程では、加圧されるロッド側室12Aの圧力がバイパス路51からオリフィス62Aを介して印加される背圧室63の圧力を受け、板ばね71が撓み、補助ばね72がバルブハウジング61の支持面69から離隔し、背圧室63の圧力が板ばね71と補助ばね72の間の中間室74にも及ぶ。伸側行程では、隔壁体70の細径部73Bがストッパ65の衝合面65Bに衝合し、板ばね71の撓みを規制する。逆の圧側行程では、加圧されるピストン側室12Bの圧力がストッパ65の中央面に設けてある連通孔65Aから板ばね71に及び、補助ばね72が撓み、板ばね71はストッパ65の支持面68から離隔し、ピストン側室12Bの圧力が、中間室74にも及ぶ。圧側行程では、隔壁体70の芯材73がピストンロッド13の端面に衝合し、補助ばね72の撓みを規制する。隔壁体70は、上述の伸側行程と圧側行程を繰り返し、伸側行程ではロッド側室12Aの圧力の伝搬に遅れを生じさせ、圧側行程ではピストン側室12Bの圧力の伝搬に遅れを生じさせる。板ばね71と補助ばね72のばね定数を互いに独立に設定でき、板ばね71の積層枚数を少なくして伸側を弱く設定することによりロッド側室12Aから背圧室63への圧力伝搬遅れを発生させ、補助ばね72の積層枚数を多くして圧側を強く設定してピストン側室12Bの圧力伝搬遅れを若干とし、ピストンバルブ装置20及び伸側減衰力調整装置50の減衰力の応答速度を調整できる。
伸側減衰力調整装置50は、隔壁体70のストロークをストッパ65により規制し、そのストロークを0.3〜2mm程度の微小ストロークにすることができ、伸・圧行程の切換わり時の応答性を向上できる。尚、ストッパ65に設けた連通孔65Aをオリフィスとすることもできる。背圧室63の入口のオリフィス62Aよりもオリフィス65Aの流路面積を大きくすることにより、伸側行程での周波数依存性に影響することなく、圧側行程で圧側減衰バルブ34の開閉タイミングを周波数依存させて調整できる。
従って、油圧緩衝器10は伸側減衰力調整装置50を備えて以下の如くに動作する。
(1)伸側行程で、油圧緩衝器10のピストン速度が通常の低周波域にあるときには、図3(A)に示す如く、加圧されたロッド側室12Aの圧力は、オリフィス62Aによる圧力伝搬遅れを伴なうことなく背圧室63に伝わり、板ばね71からなる隔壁体70を押し込みストロークさせた後、背圧室63の圧力が上昇すると、この背圧室63の圧力を受けたサブ伸側減衰バルブ60は開くことなく、メイン伸側減衰バルブ33が開いて減衰力を発生させる。メイン伸側減衰バルブ33は通常走行時の操安性を良好とするように、サブ伸側減衰バルブ60よりも高い撓み剛性を備えていて通常必要な減衰力を発生させる。
(2)伸側行程で、車両が路面の凹凸に乗り、ピストン速度が高周波域に入ると、図3(B)に示す如く、加圧されたロッド側室12Aの圧力はオリフィス62Aによる圧力伝搬遅れを伴ない、背圧室63の圧力を上昇させず、サブ伸側減衰バルブ60は開き易くなって減衰力を低くする。
(3)圧側行程では、図3(C)に示す如く、圧側減衰バルブ34が開いて減衰力を発生させる。
油圧緩衝器10は、伸側減衰力調整装置50を備えて以下の作用効果を奏する。
(a)ピストン速度の低周波域で、板ばね71により付勢されている隔壁体70の押し込みストロークは小さく、背圧室63の圧力の上昇は早く、伸・圧行程の切換わり時にも違和感なく応答でき、応答速度が速い。また、板ばね71は占有スペースが小さく、ばねの積層枚数の調整によりばね力の設定も容易である。
サブ伸側減衰バルブ60の背圧室63に対する受圧面積、オリフィス62Aの流路面積、又は隔壁体70の板ばね71のばね定数の変更により、油圧緩衝器10が発生する減衰力の周波数特性を容易に調整できる。
(b)隔壁体70の板ばね71がバルブハウジング61の支持面68上にて移動自由とされることにより、板ばね71のばね定数を簡易に低くすることができる。ピストン速度の低周波域で、背圧室63の圧力上昇を早くし、応答速度を早くできる。
(c)隔壁体70が板ばね71の中心部に芯材73を設け、芯材73の軸方向における板ばね71の反対側に補助ばね72を設け、補助ばね72をバルブハウジング61に担持させ、該補助ばね72の付勢力により板ばね71をバルブハウジング61の支持面68上に着座させる。補助ばね72の付勢力により隔壁体70の板ばね71をバルブハウジング61の支持面68上に安定的に着座させることができる。
(d)メイン伸側減衰バルブ33とサブ伸側減衰バルブ60を備え、サブ伸側減衰バルブ60の背面側に背圧室63を設ける。メイン伸側減衰バルブ33の撓み剛性をサブ伸側減衰バルブ60の撓み剛性よりも大きくすることにより、ピストン速度が低周波域にある通常時にはメイン伸側減衰バルブ33によって高い減衰力を得ることができる。ピストン速度が高周波域に入ったときには、前述(a)により、サブ伸側減衰バルブ60が開き易くなって減衰力を低くし、微振動のブルブル感をなくすことができる。即ち、通常の低周波域ではメイン伸側減衰バルブ33がピストン速度の低速〜高速の広い範囲で安定した減衰力を提供して操安性を確保し、高周波微振動はサブ伸側減衰バルブ60が開くことによって吸収し、乗心地性を確保できる。
更に、通常の低周波域でも、サブ伸側減衰バルブ60の背圧室63に対する受圧面積を小さく設定することにより、メイン伸側減衰バルブ33の減衰力が大きくなったときにサブ伸側減衰バルブ60を開くようにし、減衰力の上限を設定する(高速ブローする)こともできる。
また、通常の低周波域でも、サブ伸側減衰バルブ60の背圧室63に対する受圧面積を小さく設定することにより、サブ伸側減衰バルブ60により減衰力を発生させ、サブ伸側減衰バルブ60の減衰力が大きくなったときにメイン伸側減衰バルブ33を開くようにし、減衰力の上限を設定する(高速ブローする)こともできる。
しかるに、油圧緩衝器10は、組立生産性(背圧室63のエア抜き性)を向上させるため、以下の構成を具備する。
油圧緩衝器10は、圧側行程で加圧されるピストン側室12Bから背圧室63への油液(油圧)の流れを許容する逆止弁80を備える。更に、逆止弁80を通過した油液を背圧室63に導入する流路にオリフィス81を介装する。
逆止弁80及びオリフィス81は隔壁体70に設けることができる。本実施例では、隔壁体70の板ばね71を逆止弁80とし、隔壁体70の補助ばね72にオリフィス81を設けた。補助ばね72は、図6に示す如く、バルブハウジング61の本体61Aの支持面69に接する最上層の補助ばね72の外縁の周方向の一部にスリットを切欠き、このスリットをオリフィス81とするものである。
即ち、油圧緩衝器10の組立時に、ピストンロッド13を往復摺動させてピストン側室12Bの圧力を高くすると、このピストン側室12Bの加圧された油液が図2、図6に1点斜線で示す如く、ストッパ65の連通孔65Aを通って逆止弁80(板ばね71)に及び、逆止弁80(板ばね71)を開いて中間室74に進入し、更に補助ばね72のオリフィス81の流路抵抗を受けつつ背圧室63に導入される。背圧室63に導入された油液は、背圧室63に残留していたエアをスリットバルブ62のオリフィス62Aからバイパス路81に押し出し、ひいてはロッド側室12A経由で外部に排出される。
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)油圧緩衝器10の組立時には、油圧緩衝器10の圧側行程で、加圧されるピストン側室12Bの油液が逆止弁80を開いて背圧室63へ導入され、この油液の流れが背圧室63のエアをオリフィス62A及びバイパス路51からロッド側室12Aへ押し出す。この油圧緩衝器10は、背圧室63にエアの残留がない状態で使用されるものになり、加圧されたロッド側室12Aの油液が背圧室63に導入されたとき、該背圧室63の圧力を十分に上昇可能にする。
(b)前述(a)の逆止弁80を隔壁体70に設けたから、油圧緩衝器10の構成を簡素化し、組立性を向上できる。
(c)前述(a)の逆止弁80を通過した油液を背圧室63に導入する流路にオリフィス81を介装した。従って、油圧緩衝器10の使用時に、油圧緩衝器10の圧側行程で、加圧されるピストン側室12Bの油液が逆止弁80を開いて背圧室63に導入される過程でオリフィス81の流路抵抗を受ける結果、ピストン側室12Bの圧力変化を少なくし、圧側減衰力の変化を少なくすることができる。
(d)前述(a)の逆止弁80とともに、上述(c)のオリフィス81も隔壁体70に設けたから、油圧緩衝器10の構成を簡素化し、組立性を向上できる。このとき、隔壁体70の板ばね71を逆止弁80とし、隔壁体70の補助ばね72にオリフィス81を設けたことにより、油圧緩衝器10の構成を一層簡素化し、組立体を一層向上できる。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。前述の油圧緩衝器10において、圧側減衰バルブ34をバイパスするバイパス路にサブ圧側減衰バルブを設け、このサブ圧側減衰バルブの背面側に本発明の背圧室を設けても良い。
また、前述の油圧緩衝器10において、サブ伸側減衰バルブ60を設けず、伸側減衰バルブ33の背面側に本発明の背圧室を設け、及び/又は圧側減衰バルブ34の背面側に本発明の背圧室を設けても良い。
図1は油圧緩衝器を示す模式断面図である。 図2は減衰力調整手段を示す断面図である。 図3は油圧緩衝器の油液の流れを示し、(A)は伸側行程の低周波域を示す模式図、(B)は伸側行程の高周波域を示す模式図、(C)は圧側行程を示す模式図である。 図4はスリットバルブを示す平面図である。 図5はスプリングを示す平面図である。 図6は隔壁体に設けたオリフィスを示す断面図である。
符号の説明
10 油圧緩衝器
12 シリンダ
12A ロッド側室
12B ピストン側室
13 ピストンロッド
24 ピストン
33 メイン伸側減衰バルブ
34 圧側減衰バルブ
50 伸側減衰力調整装置
51 バイパス路
60 サブ伸側減衰バルブ
61 バルブハウジング
62 スリットバルブ
62A オリフィス
63 背圧室
66 スプリング
67 バックアップカラー
68 支持面
70 隔壁体
71 板ばね
72 補助ばね
73 芯材
80 逆止弁
81 オリフィス

Claims (5)

  1. シリンダの油室に油液を収容し、シリンダに挿入されたピストンロッドの挿入端に設けたピストンをシリンダに摺動可能に嵌挿し、ピストンの摺動によって加圧される一方の油室から他方の油室への油液の流れを減衰バルブにより制御して減衰力を発生させる油圧緩衝器の減衰力調整構造において、
    一方の油室の圧力を正面側に受けて開くディスクバルブ状の減衰バルブの背面側に、加圧された一方の油室にピストンロッドに設けたバイパス路及びオリフィスを介して連通する背圧室を設け、該背圧室を板ばねからなる隔壁体により閉じるとともに、他方の油室から背圧室への油液の流れを許容する逆止弁を備えてなることを特徴とする油圧緩衝器の減衰力調整構造。
  2. 前記逆止弁を隔壁体に設けてなる請求項1に記載の油圧緩衝器の減衰力調整構造。
  3. 前記逆止弁を通過した油液を背圧室に導入する流路にオリフィスを介装してなる請求項1又は2に記載の油圧緩衝器の減衰力調整構造。
  4. 前記逆止弁及びオリフィスを隔壁体に設けてなる請求項3に記載の油圧緩衝器の減衰力調整構造。
  5. 前記隔壁体が板ばねの中心部に芯材を設け、芯材の軸方向における板ばねの反対側に補助ばねを設け、補助ばねをバルブハウジングに担持させ、該補助ばねの付勢力により板ばねをバルブハウジングの支持面上に着座させてなり、
    板ばねを前記逆止弁とし、補助ばねに前記オリフィスを設けてなる請求項4に記載の油圧緩衝器の減衰力調整構造。
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