以下、図面に基づき、本発明の一実施形態について説明する。
図1、図2及び図6に示されるように、本発明の一実施形態に係るウェビング巻取装置10は、フレーム12と、スプール20と、ウェビング22と、ロック部としてのロックギヤ24と、フォースリミッタ機構31を構成するメイントーションシャフト32(広義には、「第1荷重付与部材」として把握される要素である)、トリガワイヤ40(広義には、「トリガ部材」として把握される要素である)、サブトーションシャフト44(広義には、「第2荷重付与部材」として把握される要素である)、及びクラッチ機構52と、切替機構120と、を備えている。
図1に示されるように、フレーム12は、車体に固定される板状の背板14を備えている。背板14の幅方向両端部からは脚片16,18が略直角に延出されており、フレーム12は、平面視で略凹形状に形成されている。なお、脚片18の外側には、周知のロック機構(図示省略)が取付けられている。
スプール20は、軸方向に貫通する貫通孔21を有する円筒状に形成されており、フレーム12の脚片16と脚片18との間に配置されている。スプール20は、軸線方向が脚片16と脚片18との対向方向に沿う状態で配置されており、後述するメイントーションシャフト32、サブトーションシャフト44等を介してフレーム12に回転可能に支持されている。
ウェビング22は、乗員の身体に装着されるものであり、その長手方向一端部である基端部がスプール20に係止されている。スプール20は、一方の回転方向である巻取方向(図1等の矢印Aの方向)へ回転することでウェビング22を基端側から巻取って収納する構成となっている。
ロックギヤ24は、スプール20の軸方向一方側にスプール20と同軸上に配置されている。このロックギヤ24の外周部にはギヤ部26が形成されている。また、このロックギヤ24の軸心部には、軸方向に貫通する貫通孔28が形成されており、当該貫通孔28の内周部には、スプライン状の被係合部30が形成されている。
車両の緊急時(急減速時等の所定の機会)には、上記ロック機構が、車両の加速度(特に減速加速度)が所定加速度以上であること又はウェビング22のスプール20からの引出加速度が特定加速度以上であることを検出して、作動することで、ロック機構のロック部材(図示省略)がロックギヤ24のギヤ部26と係合して、ロックギヤ24の引出方向(図1等の矢印Bの方向)への回転が阻止(ロック)される。
メイントーションシャフト32は、スプール20及びロックギヤ24と同軸上に配置されて、スプール20の貫通孔21及びロックギヤ24の貫通孔28にそれぞれ挿入されている。このメイントーションシャフト32には、その長手方向中央部にスプライン状の第一係合部34が形成されると共に、その先端部に同じくスプライン状の第二係合部36が形成されている。
そして、第一係合部34がロックギヤ24の被係合部30と係合されることにより、メイントーションシャフト32は、ロックギヤ24に一体回転可能に固定されている。また、第二係合部36が、スプール20の内周部における軸線方向中間部に形成された図示しない被係合部と係合されることにより、メイントーションシャフト32がスプール20に一体回転可能に固定されている。
このメイントーションシャフト32における第一係合部34と第二係合部36との間の部分は、後述する如くウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギを吸収するための第一エネルギ吸収部38として構成されている。
トリガワイヤ40の基端部40Aは、ロックギヤ24における貫通孔28よりも径方向外側の位置に形成された孔部29に挿入されて、ロックギヤ24に係止されている。一方、トリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側は、貫通孔21と並行してスプール20に形成された孔部42に挿入されており、その先端部40Bは、スプール20から軸方向他方側に突出されている。
サブトーションシャフト44は、メイントーションシャフト32と同軸上に配置されており、その長手方向中央部よりも基端側は、スプール20の貫通孔21に挿入されている。一方、このサブトーションシャフト44の長手方向中央部よりも先端側は、スプール20から軸方向他方側に突出されている。
このサブトーションシャフト44には、その基端部に少なくとも一部がスプライン状の第一係合部46が形成されると共に、その先端部に同じくスプライン状の第二係合部48が形成されている。第一係合部46は、スプール20の内周部における軸線方向中間部に形成された図示しない被係合部と係合されており、これにより、サブトーションシャフト44は、スプール20に一体回転可能に固定されている。
また、このサブトーションシャフト44における第一係合部46と第二係合部48との間の部分は、後述する如くウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギを吸収するための第二エネルギ吸収部50として構成されている。
図1及び図2に示されるように、クラッチ機構52は、スリーブ54と、クラッチガイド64と、クラッチベース82と、クラッチカバー88と、一対のクラッチプレート100と、スクリュー108と、一対のコイルスプリング98とを備えている。なお、図4(A)には、このクラッチ機構52の作動途中の状態が示されており、図4(B)には、このクラッチ機構52の作動が完了した状態が示されている。
スリーブ54は、サブトーションシャフト44と同軸上に配置されている。このスリーブ54の軸心部には、軸方向に貫通する貫通孔56が形成されており、この貫通孔56には、上述のサブトーションシャフト44が遊挿されている。また、このスリーブ54の内周部における先端側には、スプライン状の被係合部58が形成されており、この被係合部58にサブトーションシャフト44の第二係合部48が係合されることにより、スリーブ54は、サブトーションシャフト44に一体回転可能に固定されている。
また、このスリーブ54における基端側は、円形状の外形を有する支持部60として構成されており、このスリーブ54における支持部60よりも先端側は、六角形状の外形を有する嵌合部62として構成されている。
クラッチガイド64は、樹脂製とされており、軸方向に貫通する貫通孔66を有する環状に形成されている。この貫通孔66には、上述の支持部60が挿入されており、これにより、クラッチガイド64は、スリーブ54に相対回転可能に支持されている。
このクラッチガイド64における周方向の二箇所の位置には、図3に示されるように、コイルスプリング98を収容する一対のコイルスプリング収容部68が形成されている。これらのコイルスプリング収容部68は、クラッチガイド64の中央部を中心とする点対称状に形成されており、それぞれ、クラッチガイド64の周方向に延びる外側壁部70及び内側壁部72と、クラッチガイド64の径方向に延びて外側壁部70と内側壁部72の各端部を連結する連結壁部74とを有する略U字形状に形成されている。
また、このクラッチガイド64には、クラッチプレート100を収容する一対のクラッチプレート収容部76が各コイルスプリング収容部68に隣接して形成されている。これらのクラッチプレート収容部76には、連結壁部74から内側壁部72と反対側に向けて延びる第一支持壁部78と、連結壁部74に対する外側壁部70とは反対側に連結壁部74と離間して第二支持壁部80と、が形成されている。
クラッチベース82は、六角形状を成す環状の被嵌合部84を有して構成されている。この被嵌合部84の内側には、スリーブ54の嵌合部62が嵌合(圧入)されており、これにより、クラッチベース82は、スリーブ54に一体回転可能に固定されている。なお、他の実施形態では、スリーブ54とクラッチベース82を一体に形成してもよい。また、このクラッチベース82には、被嵌合部84から外側に突出する一対の係止部86が形成されている。これらの係止部86は、後述するクラッチプレート100に形成されたアーム部102の基端部と係止されている。
クラッチカバー88は、スリーブ54と同軸上に配置されると共に、クラッチガイド64に対するスプール20とは反対側にクラッチガイド64と対向して配置されている。このクラッチカバー88は、軸方向に貫通する貫通孔90を有する環状に形成されており、その内周部には、径方向内側に突出する嵌合爪92が複数形成されている。そして、貫通孔90にスリーブ54の嵌合部62が挿入されると共に、複数の嵌合爪92が嵌合部62と嵌合されることにより、クラッチカバー88は、スリーブ54、ひいては、サブトーションシャフト44に一体回転可能に固定されている。また、このクラッチカバー88は、後述する十字爪96がクラッチガイド64に対して周方向に係合するようになっており、クラッチガイド64は、このクラッチカバー88に対して、図4(B)に示される作動位置と、図3に示される非作動位置との間で相対回転可能とされている。
また、このクラッチカバー88における周方向の二箇所の位置には、径方向外側に開口する軸方向視にて凹形状を成す切欠部94がそれぞれ形成されている。また、このクラッチカバー88には、各切欠部94の内側に位置されるように一対の十字爪96が形成されている。これら一対の十字爪96は、クラッチカバー88の中央部を中心とする点対称状に形成されている。また、これらの十字爪96は、クラッチカバー88の径方向から見てクランク状に屈曲しており、先端側が基端側よりもクラッチガイド64側へ突出している。
各十字爪96の先端側には、クラッチガイド64の径方向内側へ突出した内側突出部と、クラッチガイド64の径方向外側へ突出した外側突出部と、クラッチガイド64の周方向一方(巻取方向)へ突出した周方向突出部とが設けられており、各十字爪96の先端側は、クラッチガイド64の軸方向から見て十字状に形成されている。
クラッチプレート100は、クラッチカバー88とクラッチガイド64との間に配置されている。このクラッチプレート100は、アーム部102と、このアーム部102の先端部に形成された円弧部104とを有している。アーム部102の基端部には、クラッチカバー88側に突出すると共にサブトーションシャフト44の軸方向に沿って延びる回動軸106が形成されている。そして、この回動軸106がクラッチカバー88に形成された孔部89に挿入されることにより、クラッチプレート100は、クラッチカバー88に回動可能に支持されている。また、円弧部104の外周部(クラッチプレート100の先端部)には、平歯状のローレット歯104Aが形成されている。
スクリュー108は、ネジ部110と、このネジ部110よりも大径の押え部112とを有して構成されている。ネジ部110は、サブトーションシャフト44の先端部に形成されたネジ孔45に螺合されており、これにより、スクリュー108は、サブトーションシャフト44の先端部に固定されている。また、このように、スクリュー108がサブトーションシャフト44の先端部に固定された状態では、スリーブ54の先端部に押え部112が当接される。そして、これにより、スリーブ54のサブトーションシャフト44に対する抜き方向への移動が制限されている。なお、この状態では、クラッチガイド64は、クラッチカバー88とスプール20とによって軸方向の移動を制限されている。
また、上述のクラッチガイド64及びクラッチカバー88には、孔部65,91がそれぞれ形成されている。これらの孔部65,91は、クラッチガイド64がクラッチカバー88に対して非作動位置に配置された状態で互いに対向するように形成されており、これらの孔部65,91には、トリガワイヤ40の先端部40Bがそれぞれ挿入されている。これにより、クラッチガイド64は、非作動位置に配置された状態でスプール20及びクラッチカバー88に対する相対回転を制限されている(クラッチガイド64が非作動位置に拘束されている)。
またさらに、上述の如くクラッチガイド64が非作動位置に拘束された状態では、クラッチガイド64の各コイルスプリング収容部68における開口部付近に、クラッチカバー88の各十字爪96が位置される。そして、各十字爪96の周方向突出部は、各コイルスプリング収容部68に収容されたコイルスプリング98の軸方向一端部から当該コイルスプリング98の内側に挿入されており、各十字爪96の内側突出部及び外側突出部は、コイルスプリング98の軸方向一端部に当接している。これにより、コイルスプリング98の軸方向一端部が各十字爪96に係止されている。また、このコイルスプリング98の軸方向他端部は、コイルスプリング収容部68の連結壁部74(図3参照)に係止されている。
また、この状態では、十字爪96と連結壁部74との間隔がコイルスプリング98の自由状態での全長よりも短くなり、これにより、コイルスプリング98が圧縮状態とされる。そして、これにより、クラッチガイド64に対しては巻取方向の付勢力が付与されており、クラッチガイド64は作動位置へと付勢されている。
一方、この状態では、クラッチカバー88の孔部89(クラッチプレート100の回動軸106)と連結壁部74との間隔が十分に確保された状態となり、クラッチプレート100は、ローレット歯104Aがクラッチガイド64の外周部よりも内側に納まるように、クラッチプレート収容部76に収容される。また、この状態では、円弧部104の先端に連結壁部74が当接されている。
図5〜図9に示されるように、切替機構120は、箱状のボデー122を備えている。ボデー122内は、フレーム12の脚片16側へ開口されており、ボデー122は、脚片16外側に固定されている。ボデー122の内部には、略円環板状のロックリング190が回転自在に支持されており、ロックリング190は、クラッチ機構52の外周側において、クラッチ機構52と同軸上に配置されている。また、ロックリング190の内周部には、平歯状のローレット歯190Aが形成されている。さらに、ロックリング190の外周部には、断面略三角形状のロック孔192が貫通形成されており、ロック孔192は、ロックリング190の径方向外側へ開口されている。
ボデー122の上部には、後述するパウル150、ピストン160、及びガスジェネレータ194を収容する収容部としてのケース部124が設けられている。また、ボデー122の脚片16側には、略板状のシート126が設けられており、シート126はボデー122の開口部を閉塞している。
ケース部124には、脚片16側へ開口された凹部130が設けられている。凹部130には、断面略C字形状の支持部132が形成されており、支持部132は、後述するパウル150の軸部152を回動自在に支持している。また、ケース部124には、凹部130内において、円柱状のシェアピン134が一体に設けられており、シェアピン134は脚片16側へ突出されている。
凹部130内には、ピストン収容部136が設けられている。ピストン収容部136は、凹状に形成されて、脚片16側に開口されると共に、凹部130と連通している。また、ピストン収容部136は脚片16側から見て図7の矢印C方向及び矢印D方向へ延在されており、ピストン収容部136の長手方向一側(図7の矢印C方向側)の部分が被ガイド部138とされて、ピストン収容部136の長手方向他側(図7の矢印D方向側)の部分がシリンダ部140とされている。シリンダ部140には、当接面142が設けられており、当接面142はピストン収容部136の長手方向と直交する方向に沿って配置されている(図11(A)及び(B)参照)。
また、凹部130には、断面略三角形状の一対の被係合部144が設けられており、これら被係合部144は上下方向に対向して配置されている。被係合部144は、それぞれ傾斜面146を有しており、これら傾斜面146はピストン収容部136の長手方向他側に向かうに従い互いに離間する方向へ傾斜して配置されている。また、被係合部144は、被係合面148を有しており、被係合面148は上下方向に沿って配置されている。
ケース部124の凹部130内には、略板状のパウル150が収容されている。パウル150には、凹部130の支持部132側の部分において、断面略円形状の軸部152が設けられており、軸部152は支持部132に回動自在に支持されている。また、パウル150は、略L字形状のアーム部154を有している。アーム部154の基端部には、係合部156が設けられており、係合部156の先端が、ロックリング190のロック孔192内に配置(図7に示す位置であり、この位置を第1位置としての「ロック位置」という)されて、ロックリング190に係合されている。さらに、アーム部154の基端部には、断面円形状の係止孔158が貫通形成されており、係止孔158内に上述したシェアピン134が挿通されて、パウル150の回動が制限されている。また、パウル150に回動力が作用して、パウル150がシェアピン134を破断させることで、パウル150が図8に示される第2位置としての解除位置へ回動されるように構成されている。
ピストン収容部136内には、樹脂により製作されたピストン160が図7の矢印C方向及び矢印D方向に直線移動可能に収容されている。図10(A)及び(B)にも示すように、ピストン160は、脚片16側から見て長尺略T字形状の本体部162を備えており、本体部162は、パウル150のアーム部154の先端部に対して長手方向他側(図7の矢印D方向側)に配置(図7に示される位置であり、この位置を「待機位置」という)されている。また、本体部162の長手方向一側(図10の矢印C方向側)には、略トラック形を成した環状のガイド部164が一体に形成されており、ガイド部164は、本体部162から本体部162の長手方向一側へ突出されている。また、ガイド部164は、ピストン収容部136の被ガイド部138内に配置されており、ピストン160が直線移動する際に、ガイド部164が被ガイド部138の内周部に当接することで、ピストン160の直線移動方向が案内されるように構成されている。
本体部162の被係合部144側には、係合部としての一対の係合爪部166が設けられている。これら係合爪部166は、被係合部144に対向して配置されて、本体部162と一体に形成されている。また、係合爪部166は、アーム部168とフック部170とで構成されている。アーム部168は、ピストン160の移動方向沿って延在されると共に、長手方向両端部において本体部162側へ向けて屈曲されて、本体部162に接続されている。フック部170は、アーム部168の長手方向中間部に設けられると共に、アーム部168から被係合部144側へ突出されている。また、フック部170は、略円弧状に形成された摺動面172とピストン160の移動方向に対して直交する方向に沿って形成された係合面174とで構成されている。さらにアーム部168のフック部170に対して移動方向一側の部分が第1アーム部176とされると共に、アーム部168のフック部170に対して移動方向他側の部分が第2アーム部178とされている。この第1アーム部176の厚さ寸法T1は第2アーム部178の厚さ寸法T2と同じ寸法に設定されており、この第1アーム部176の幅寸法W1は第2アーム部178の幅寸法W2に比して大きく設定されている。
本体部162の長手方向他側(図10の矢印D方向側)の端部には、外周部において、断面凹形状のリング溝180が設けられており、リング溝180はピストン160の周方向に沿って形成されている。リング溝180内には、図示しないOリングが設けられており、Oリングによってピストン収容部136のシリンダ部140とピストン160との間がシールされている。
また、本体部162の長手方向他側の端部には、アーム部168の長手方向他側の端部と対向して、端面182が設けられており、端面182はピストン160の移動方向に対して直交する方向に沿って配置されている。また、ピストン160の移動方向一側(図10の矢印C側)から見て端面182における係合爪部166に対してオフセットした面(図10(B)にて2点鎖線で示される範囲の面)がストッパ部としてのストッパ面184とされており、ストッパ面184はピストン収容部136の当接面142に当接可能に構成されている。
また、ケース部124内には、ピストン収容部136に対して脚片16とは反対側の部位において、略円柱形状のガスジェネレータ194(広義には、「作動手段」として把握される要素である)が内蔵されており、ガスジェネレータ194はピストン収容部136のシリンダ部140とガス孔141を介して連通されている。
ガスジェネレータ194には、車両の制御装置(図示省略)が電気的に接続されており、制御装置の制御によりガスジェネレータ194が作動された際には、ガスジェネレータ194がガスを発生して、当該ガスがピストン収容部136のシリンダ部140に供給されるように構成されている。
また、制御装置は、図示しない衝突検出手段と電気的に接続されている。衝突検出手段は、例えば、車両の加速度(特に急減速)を検知する加速度センサや車両前方の障害物までの距離を検出する測距センサ等によって、車両の衝突を予知する。また、衝突検出手段は、予め定められた基準値以上の衝突加速度を加速度センサが検知することで、車両が衝突したことを検出するように構成されている。
さらに、制御装置は、図示しない体格検出手段と電気的に接続されており、体格検出手段は、例えば、荷重センサやベルトセンサやシートポジションセンサ等によって、座席に着座した乗員の体格を検出する。具体的には、荷重センサが、車両の座席に作用する荷重を検出して、検出された荷重によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。また、ベルトセンサが、スプール20からのウェビング22の引出量を検出して、検出された引出量によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。さらに、シートポジションセンサは、車両の座席の前後方向へのスライド位置を検出する位置検出センサや車室に設けられたカメラサンサによって構成されており、シートポジションセンサで検出された座席の位置によって体格検出手段が乗員の体格を検出する。
上述したピストン160は、待機位置に配置されており、この位置では、ピストン160の係合爪部166は弾性変形されていない状態(以下、この状態を「初期状態」という)にされている。また、パウル150はロック位置に配置されている。
そして、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段からの信号に基づいて、車両が衝突したと判定した場合に、制御装置によりガスジェネレータ194が作動される。これにより、ガスジェネレータ194からピストン収容部136のシリンダ部140内にガスが供給される。ピストン収容部136のシリンダ部140内にガスが供給されると、ピストン160が、作動されて、待機位置から移動方向一側(図7の矢印C方向側)へ移動する。ピストン160が移動方向一側へ移動すると、ピストン160のフック部170の摺動面172が、被係合部144の傾斜面146上を摺接すると共に、フック部170が被係合部144によって本体部162側へ押圧されることで、アーム部168が本体部162側へ弾性変形する。これにより、フック部170が被係合部144を通過することで、ピストン160の待機位置から移動方向一側への移動が許容される。
また、ピストン160が移動方向一側へ移動する際には、ピストン160の本体部162がパウル150のアーム部154を押圧することで、パウル150に回動力が作用する。この回動力によってパウル150がシェアピン134を破断することで、パウル150の回動が許容されて、パウル150がロック位置から解除位置へ向けて回動される。
さらに、ピストン160のストッパ面184がシリンダ部140の当接面142に当接される位置(図8に示す位置であり、以下、この位置を「最大移動位置」という)まで、ピストン160が移動されるように構成されている。
ここで、本実施形態に係るウェビング巻取装置10では、次の如く動作する構成とされている。
すなわち、スプール20、ロックギヤ24、メイントーションシャフト32、サブトーションシャフト44、及びクラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82、クラッチプレート100及びスクリュー108を含む)は、一体に巻取方向及び引出方向へ回転可能に構成されている。
ウェビング22がスプール20から引出されることで、ウェビング22が車両の乗員の身体に装着される。
ウェビング22が車両の乗員の身体に装着された状態で、例えば、車両が急減速状態になり、ロック機構が作動すると、ロックギヤ24の引出方向への回転が阻止される。
そして、これにより、このロックギヤ24にメイントーションシャフト32を介して連結されたスプール20の引出方向への回転が制限されて、スプール20からのウェビング22の引出しが制限される。したがって、これにより、車両前方へ移動しようとする乗員の身体がウェビング22によって拘束される。
また、ロックギヤ24の引出方向への回転が阻止された状態で、更に大きな力で乗員の身体がウェビング22を引張り、この引張力に基づく引出方向へのスプール20の回転力がメイントーションシャフト32の第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重(耐変形荷重)を上回ると、フォースリミッタ機構31が作動されて、第一エネルギ吸収部38の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重)以上での引出方向への回転が許容される。
したがって、第一エネルギ吸収部38の捩れによりスプール20が引出方向へ回転されてスプール20からウェビング22が引出されることで、ウェビング22による乗員の胸部への負荷(負担)が軽減されると共に、第一エネルギ吸収部38の捩れ分だけウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギが吸収される。
一方、上述のように、ロックギヤ24に対してスプール20が引出方向に回転されるということは、ロックギヤ24がスプール20に対して相対的に巻取方向へ回転されると言うことである。したがって、ロックギヤ24がスプール20に対して巻取方向へ相対回転されると、トリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側がスプール20の孔部42に挿入されたまま、このトリガワイヤ40の基端部40Aがメイントーションシャフト32の周方向に移動されるので、このトリガワイヤ40における基端部40Aよりも先端側が孔部42に対してロックギヤ24側に引張られる。
これにより、トリガワイヤ40の先端部40Bがクラッチガイド64の孔部65とクラッチカバー88の孔部91から引抜かれて、スプール20及びクラッチカバー88に対するクラッチガイド64の相対回転の阻止状態が解消される。
そして、コイルスプリング98の付勢力により、クラッチガイド64が非作動位置から作動位置へと回転されると、クラッチカバー88の孔部89(クラッチプレート100の回動軸106)とクラッチガイド64の連結壁部74との間隔が短くなり、クラッチプレート100の円弧部104の先端が連結壁部74によってクラッチガイド64の接線方向に押圧(案内)される。これにより、クラッチプレート100がロックリング190側へ回動され(図4(A)の矢印R参照)、クラッチプレート100のローレット歯104Aがロックリング190のローレット歯190Aと噛合う(図4(B)図示状態)。これにより、クラッチプレート100とロックリング190とが結合される。また、このときには、クラッチベース82に形成された係止部86がクラッチプレート100のアーム部102の基端部を引出方向へ押すことにより、クラッチプレート100がロックリング190に押し付けられ、両者の結合状態が維持される。これにより、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)の引出方向への回転と一体に、ロックリング190が引出方向へ回転しようとする。
また、制御装置は、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値以上であるか否かを判定すると共に、衝突検出手段からの信号に基づいて、車両が衝突したか否かを判定している。そして、制御装置が、乗員の体格が予め定められた基準値以上であると判定した場合では、ガスジェネレータ194が作動されないため、パウル150の係合部156が、ロック位置に配置されて、ロックリング190のロック孔192に係合している。このため、ロックリング190の引出方向への回転がロック(阻止)されることで、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)の引出方向への回転が阻止される。
そして、スリーブ54の引出方向への回転が阻止された状態で、更に大きな力で乗員の身体がウェビング22を引張り、この引張力に基づく引出方向へのスプール20の回転力がメイントーションシャフト32の第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重(耐変形荷重)とサブトーションシャフト44の第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重(耐変形荷重)との合計を上回ると、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重と第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重との合計)以上での引出方向への回転が許容される。
したがって、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れによりスプール20が引出方向へ回転されてスプール20からウェビング22が引出されることで、ウェビング22による乗員の胸部への負荷(負担)が軽減されると共に、第一エネルギ吸収部38及び第二エネルギ吸収部50の捩れ分だけウェビング22の引張りに供される乗員の運動エネルギが吸収される。
一方、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段の信号に基づいて、車両が衝突したと判定した場合には、制御装置の制御によりガスジェネレータ194が作動される。
ガスジェネレータ194が作動されると、ガスジェネレータ194からピストン収容部136のシリンダ部140内にガスが供給される。シリンダ部140内にガスが供給されると、ピストン160が待機位置から移動方向一側へ移動すると共に、ピストン160のフック部170の摺動面172が、被係合部144の傾斜面146に当接し、傾斜面146上を摺動する。この際には、フック部170が被係合部144によって本体部162側へ押圧されることで、アーム部168が本体部162側へ弾性変形する(図11(A)参照)。
ピストン160が移動方向一側へ更に移動すると、フック部170の摺動面172と係合面174との境界部分が、被係合部144の傾斜面146と被係合面148との境界部分に到達して、アーム部168の弾性変形量が最大となる。この状態からピストン160が移動方向一側へ更に移動すると、被係合部144からフック部170が離間されて、被係合部144からフック部170への押圧が解除されることで、アーム部168(係合爪部166)が初期状態へ復帰すると共に、フック部170の係合面174が被係合部144の被係合面148に対向して配置される(図11(B)参照)。これにより、フック部170が被係合部144を通過することで、ピストン160の移動方向一側への移動が許容される。そして、ピストン160が、移動方向一側へ更に移動されて、最大移動位置に到達した際には、ピストン160のストッパ面184がピストン収容部136の当接面142に当接することで、ピストン160が最大移動位置で停止する。
また、ピストン160が待機位置から移動方向一側へ移動する際には、ピストン160の本体部162がパウル150のアーム部154を押圧する。このため、パウル150に軸部152回りの回動力が作用する。この回動力によって、パウル150の係止孔158の内周部が、シェアピン134に当接すると共に、シェアピン134を破断させることで、パウル150の軸部152回りの回動が許容されて、パウル150がロック位置から解除位置へ回動される。これにより、パウル150の係合部156がロックリング190のロック孔192から離間されて、ロックリング190の引出方向への回転が許容されることで、クラッチ機構52(スリーブ54、クラッチベース82及びクラッチプレート100)及びスプール20と共にロックリング190が引出方向へ回転可能にされる。このため、第二エネルギ吸収部50に捩れは生じないため、第一エネルギ吸収部38の捩れ(変形)により、スプール20のフォースリミッタ荷重(第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重)以上での引出方向への回転が許容される(図8参照)。
すなわち、乗員の体格が予め定められた基準値以上である場合では、フォースリミッタ荷重が第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重と第二エネルギ吸収部50の耐捩れ荷重との合計にされて、フォースリミッタ荷重の荷重値が高荷重にされる。一方、乗員の体格が予め定められた基準値未満であり、車両の衝突が検出された場合には、フォースリミッタ荷重が第一エネルギ吸収部38の耐捩れ荷重にされて、フォースリミッタ荷重の荷重値が低荷重にされる。このため、乗員を体格に応じて適切に保護できる。
ここで、ピストン160が最大移動位置へ移動した際に、反動によってピストン160が最大移動位置から移動方向他側(待機位置側)へ向けて移動する場合がある。この場合には、フック部170の係合面174が被係合部144の被係合面148に当接して、ピストン160の移動方向他側への移動が制限される(図9参照)。これにより、ピストン160が待機位置に復帰することが防止されると共に、パウル150が解除位置からロック位置へ復帰することが防止される。このため、パウル150の係合部156がロックリング190のロック孔192から離間されている状態が維持されると共に、ロックリング190の引出方向への回転が許容される状態が維持される。したがって、ピストン160が待機位置から最大移動位置へ移動した後に、ピストン160が待機位置に復帰することが防止され、フォースリミッタ荷重の荷重値が不用意に切替ることを防止できる。
また、ピストン160には係合爪部166が設けられており、係合爪部166はアーム部168とフック部170とで構成されている。アーム部168が弾性変形することで、ピストン160の移動方向一側への移動が許容されると共に、フック部170が被係合部144に係合することで、ピストン160の移動方向他側への移動が制限される。これにより、簡易な構成によってピストン160が待機位置に復帰することを防止できる。
さらに、上述したように、ピストン160にはストッパ面184が設けられており、ピストン160が最大移動位置へ移動した際に、ストッパ面184がピストン収容部136の当接面142に当接することで、最大移動位置におけるピストン160の移動方向一側への移動が制限される。このため、ピストン160が最大移動位置に移動された際に、ストッパ面184によってピストン160が停止される。さらに、ピストン160の移動方向一側(長手方向一側)から見て、ストッパ面184が係合爪部166に対してオフセットして配置されている。このため、ストッパ面184と当接可能に構成された当接面142が係合爪部166とオフセットして配置される。これにより、ピストン160が待機位置から最大移動位置へ移動する際に、係合爪部166が当接面142に干渉しない。これにより、係合爪部166の移動に影響を与えずに、最大移動位置においてピストン160を停止させるストッパ面184をピストン160に設けることができる。
さらに、係合爪部166のアーム部168は、ピストン160の本体部162と被係合部144との間にピストン160の移動方向に沿って延在されており、係合爪部166のフック部170はアーム部168の長手方向中間部に設けられている。また、アーム部168の長手方向両端部が、本体部162に接続されている。
このため、係合爪部166が両端支持梁として構成される。これにより、アーム部168が弾性変形する際には、アーム部168が、フック部170の部位において、アーム部168の延在方向に対して略垂直方向(上下方向)に変位するため、アーム部168の変形領域が小さくなる。つまり、例えば、係合爪部166が片持ち梁として構成された場合には、アーム部168の長手方向一端部を支点として、フック部170が円弧状の軌跡を描きながら変位するため、この場合に比べて、アーム部168の変形領域を小さくできる。
また、ピストン160は樹脂により製作されており、アーム部168の長手方向両端部が、本体部162に接続されている。このため、アーム部168が開放されていない。これにより、アーム部168が開放された場合に比して、アーム部168を安定して成形できる。つまり、仮に、アーム部168の長手方向両端部の一端部が、本体部162に接続されていないと、アーム部168が開放されるため、このアーム部168の形状においてピストン160を樹脂により成形すると、成形後の樹脂の収縮等でフック部170の位置がずれやすくなる。このため、フック部170の位置がずれないようにピストン160を成形する必要があり、ピストン160における成形精度が必要になる。
さらに、例えば、収容箱に複数のピストン160を収容した状態でピストン60を搬送しても、アーム部168同士が絡み合うことが抑制されるため、アーム部168の変形を抑制でき、ピストン160のコストアップを抑制できる。つまり、上述のように、仮に、アーム部168の長手方向両端部の一端部が、本体部162に接続されていないと、アーム部168が開放されるため、例えば、収容箱に複数のピストン160を収容した状態でピストン60を搬送すると、アーム部168同士が絡み合う可能性がある。このため、ピストン160自体の強度を上げるためにピストン160の体格を大きくする必要があると共に、ピストン160を搬送する際に、アーム部168同士が絡み合わないように収容箱に各々のピストン160を区分けする仕切り板等を設ける必要があり、ピストン160のコストアップになる。
(変形例1)
変形例1は、本実施形態と略同様の構成であるが、以下の点で異なる。
図12に示すように、変形例1では、アーム部168の第2アーム部178の厚さ寸法T2が、アーム部168の第1アーム部176の厚さ寸法T1に比して小さく設定されている。また、アーム部168の弾性変形量が最大になる際にアーム部168に作用する応力によって第2アーム部178が破断されるように、第2アーム部178の厚さ寸法T2が設定されている。
このため、ピストン160が移動方向一側へ移動して、フック部170の摺動面172と係合面174との境界部分が、被係合部144の傾斜面146と被係合面148との境界部分を通過する際に、第2アーム部178の本体部162側の部位に引張り力が作用されて、当該部位において、第2アーム部178が破断される。
また、この状態からピストン160が移動方向一側へ更に移動すると、被係合部144からフック部170が離間されて、被係合部144からフック部170への押圧が解除されることで、第1アーム部176(係合爪部166)が初期状態に復帰して、フック部170の係合面174が被係合部144の被係合面148に対向して配置される。これにより、フック部170が被係合部144を通過することで、ピストン160の移動方向一側への移動が許容される。さらに、ピストン160が最大移動位置へ到達した際には、ピストン160のストッパ面184がピストン収容部136の当接面142に当接されることで、ピストン160が最大移動位置で停止する。
そして、ピストン160が最大移動位置へ移動した後に、ピストン160が最大移動位置から移動方向他側(待機位置側)へ向けて移動すると、フック部170の係合面174が被係合部144の被係合面148に当接して、ピストン160の移動方向他側への移動が制限される。
以上により、変形例1においても一実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
また、変形例1では、第2アーム部178の機械的強度が第1アーム部176の機械的強度に比して低く構成されると共に、アーム部168が弾性変形する際のアーム部168の最大変形量に対して、第2アーム部178が破断されるように第2アーム部178の厚さ寸法T2が設定されている。このため、フック部170が被係合部144を通過する際に第2アーム部178が破断されて、第2アーム部178が破断された後では、アーム部168(係合爪部166)が片持ち梁として構成されるため、フック部170を初期状態へ直ちに戻すことができる。
なお、変形例1では、アーム部168の弾性変形量が最大になる際にアーム部168に作用する応力によって第2アーム部178が破断されるように、第2アーム部178の厚さ寸法T2が設定されている。これに替えて、アーム部168の弾性変形量が最大になる際にアーム部168に作用する応力によって第2アーム部178が破断されるように、第2アーム部178の幅寸法W2を設定してもよい。
(変形例2)
変形例2では、変形例1と略同様の構成であるが以下の点で異なる。
図13に示すように、変形例2では、第2アーム部178の本体部162側の部分には、フック部170側の位置において、溝部200が設けられている。また、第2アーム部178には、溝部200に隣接して脆弱部202が形成されている。このため、第2アーム部178では、脆弱部202の部位における機械的強度が他の部位に比して低くなるため、第2アーム部178が弾性変形する際には、第2アーム部178の脆弱部202の部位において、第2アーム部178が破断される。これにより、変形例2においても変形例1と同様の作用及び効果を奏する。
また、変形例2では、第2アーム部178が、脆弱部202の部位において、破断されるため、第2アーム部178の破断箇所を制御できる。
なお、変形例2では、アーム部168の第2アーム部178の厚さ寸法T2が、アーム部168の第1アーム部176の厚さ寸法T1に比して小さく設定されている。これに替えて、厚さ寸法T2と厚さ寸法T1とを同じ寸法に設定すると共に、溝部200及び脆弱部202のみを設けて、最大弾性変形時に第2アーム部178が脆弱部202の部位において破断されるようにしてもよい。
また、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、ケース部124に被係合部144が設けられると共に、ピストン160に係合爪部166が設けられており、係合爪部166のアーム部168が弾性変形可能に構成されている。これに替えて、ケース部124に係合部としての係合爪部166を設けて、ピストン160に被係合部144を設ける構成にしてもよい。つまり、ピストン160が移動方向一側へ移動する際に、ケース部124の係合爪部166がピストン160の被係合部144に押圧されて変位することで、ピストン160の移動方向一側への移動を許容する構成にしてもよい。
さらに、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、ピストン160が移動方向一側へ移動する際に、係合爪部166のアーム部168が被係合部144に押圧されて弾性変形することで、フック部170が変位するが、フック部170を移動させる構造はこれに限らない。例えば、ピストン160の内部にフック部170を移動可能に設けると共に、フック部170を被係合部144側へ付勢する圧縮コイルスプリングをピストン160の内部に設けてもよい。これにより、ピストン160が移動方向一側へ移動する際に、圧縮コイルスプリングの付勢力に抗してフック部170をピストン160側へ退避(変位)させることで、ピストン160の移動方向一側への移動を許容できる。つまり、ピストン160が移動方向一側へ移動する際に、フック部170が被係合部144によって押圧されて変位する構成であればよい。
また、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、係合爪部166がピストン160に一体に設けられている。これに替えて、係合爪部166をピストン160と別体に設けてもよい。例えば、係合爪部166をバネ性を有する金属により製作すると共に、ピストン160を樹脂により成形して、係合爪部166をピストン160に溶着やインサート成形によって一体にさせてもよい。
さらに、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、アーム部168がピストン160の移動方向に沿って延在されているが、アーム部168の延在方向はこれに限らない。例えば、フック部170の係合面174に対して線対称になるようにアーム部168が形成されてもよい。つまり、アーム部168がアーム部168の移動方向に対して略垂直方向(上下方向)に弾性変形するように、アーム部168がピストン160の移動方向に沿って延在されていればよい。
また、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、切替機構120において、ピストン160の係合爪部166及び被係合部144が適用されているが、係合爪部166及び被係合部144をプリテンショナ機構(車両の衝突時にガスジェネレータが作動されて、シリンダ内のピストンがピニオン側へ移動されることで、ピストンのラックがピニオンに噛合して、スプール20を巻取方向へ回転させる機構)に適用してもよい。この場合には、例えば、シリンダ内のピストンに係合爪部166をアウトサート成形等で一体成形すると共に、シリンダの内周部に被係合部144を設けることができる。これにより、ガスジェネレータが作動された際に、アーム部168が弾性変形することで、ピストンのピニオン側への移動を許容できると共に、フック部170が被係合部144に係合することで、ピストンのピニオンとは反対側への移動を制限できる。
さらに、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、制御装置が、体格検出手段からの信号に基づいて、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、衝突検出手段の信号に基づいて、車両が衝突したことを判定した場合に、制御装置によりガスジェネレータ194が作動されるが、ガスジェネレータ194が作動されるタイミングは任意に設定できる。例えば、制御装置が、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、車両が衝突したことを判定した際に、予め定められた特定時間経過後に、ガスジェネレータ194が作動されてもよい。
また、上述のように、本実施の形態、変形例1、及び変形例2では、制御装置が、乗員の体格が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、車両が衝突したことを判定した場合に、制御装置によりガスジェネレータ194が作動される。これに替えて、制御装置が、衝突検出手段の信号に基づいて、車両の加速度が予め定められた基準値未満であると判定すると共に、車両が衝突したことを判定した場合に、制御装置によりガスジェネレータ194が作動されるように構成してもよい。これにより、車両の加速度に応じて、フォースリミッタ荷重の荷重値を切替えることができる。