JP5534755B2 - 食用生地製造装置および食用生地製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、生地の原材料を混捏する際に、ミキシングボウルに投入される粉及び仕込み水等の原材料の温度は製造するごとにその都度異なり、室温等も異なるので、これらの影響で混捏開始時のミキシングボウルの冷却状態にバラツキを生じ、かつ、混捏中の生地温度の上昇等により、捏上げ温度が影響を受けるため高精度で温度制御することが難しく、また、中種生地等食用生地によっては原材料混捏工程に於ける混捏時間は5分〜10分程度と短い場合もあり、この短い時間に正確に制御することも困難なことであった。
さらに、ミキシング中にミキシングボウルを冷却して生地温度を調整しようとすると、捏上げ直後の生地温度とミキシングボウルの温度には、ミキシングボウルが冷却されているため温度差があり、この温度差が大きいと生地の内外で温度差が生じ易く、また、生地をミキシングボウルから取り出すまでの時間の相違によっても品質にバラツキを生じさせる原因となる。
また、特許文献2のものでは、混捏の始めから終わり迄、前記熱収支直線から割出される単位時間当たりに必要な熱量と、当該時間における前記駆動モータの実負荷に補正係数を乗じた量とを比較して、ウォータジャケットを流れる冷却水の流量を制御する方法であり、混捏時間が短い生地の混捏では、ミキシングボウルの構成素材であるステンレス鋼の熱伝導率が悪いことが影響し制御が遅れ、生地の捏上げ温度を正確に制御することが難しく、また、捏上げ直後の生地温度とミキシングボウルの温度との間に大きな温度差が生じ、このため生地の内外で温度ムラが生じ、また、生地をミキシングボウルから取り出すまでの時間の相違により品質にバラツキを生じるという問題点があった。
(1)粉体材料と仕込み水とからなる原材料が投入されるミキシングボウルおよび該ミキシングボウル内に投入された前記原材料を混捏するための混捏機能とを有するミキシング部と、前記粉体材料を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための粉体供給部と、前記仕込み水を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための仕込み水供給部と、前記ミキシングボウルを冷却するための冷却部とを備えた食用生地製造装置であって、
前記食用生地製造装置は、前記粉体供給部に貯留されている前記粉体材料の温度を検知する粉体温度検知部と、前記仕込み水供給部に貯留されている前記仕込み水の温度を検知する仕込み水温度検知部と、前記ミキシングボウルの温度を検知するボウル温度検知部と、記憶部を備えかつ前記冷却部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部の前記記憶部は、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標生地温度と、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標ミキシングボウル温度とを記憶し、かつ、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間を記憶もしくは算出するものであり、
前記制御部は、前記製造対象生地における混捏終了時の前記ミキシングボウル温度が、前記目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記冷却部を作動させて混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却し、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、前記冷却部を制御するものであり、
かつ、前記制御部は、前記粉体温度検知部により検知された粉体温度と、前記仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、前記ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記目標生地温度と、前記目標ミキシングボウル温度と、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いて、混捏開始以降は前記冷却部が作動しない条件下における前記製造対象生地における混捏終了時の前記ミキシングボウル温度が前記目標ミキシングボウル温度となるためのまたは/および前記製造対象生地における混捏終了時の前記食用生地温度が前記目標生地温度となるためのミキシングボウル初期冷却温度を算出する冷却温度算出機能と、混捏開始前の前記ミキシング部が該冷却温度算出機能により算出された算出初期冷却温度となるように、かつ、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、前記冷却部を制御する制御機能を備えている食用生地製造装置。
(3)前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量は、前記ミキシングボウルに前記粉体材料と前記仕込み水を投入し混捏をするのに必要なミキサー駆動有効電力と、前記粉体材料と前記仕込み水を投入しない無負荷状態での前記混捏と同じ操作に必要なミキサー駆動有効電力との差と、前記必要混捏時間とから算出されるものである前記(1)または(2)に記載の食用生地製造装置。
(4)前記目標ミキシングボウル温度は、前記目標生地温度より所定温度低いものである前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
(5)前記冷却部は、前記ミキシングボウルの外面に装着された冷却ジャケットと、該冷却ジャケット内に冷却媒体を流通させるための冷却媒体循環機能と、冷却媒体を冷却するための冷却手段とを備えており、前記食用生地製造装置は、前記冷却媒体の温度を検知する冷却媒体温度検知部を備え、前記記憶部は、前記冷却媒体の比熱を記憶し、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、検知される冷却媒体温度および前記冷却媒体の比熱をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
(6)前記冷却部は、前記ミキシングボウルの外面に装着された冷却ジャケットと、該冷却ジャケット内に冷却媒体を流通させるための冷却媒体循環機能と、冷却媒体を冷却するための冷却手段とを備えており、前記食用生地製造装置は、前記冷却媒体の温度を検知する冷却媒体温度検知部を備え、前記記憶部は、前記冷却媒体の比熱、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標冷却媒体温度とを記憶するものであり、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、前記冷却媒体の比熱、前記目標冷却媒体温度をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
前記食用生地製造装置は、複数の製造対象生地より製造対象生地を選択するための製造生地選択機能を備え、
前記制御部は、前記製造生地選択機能により選択された製造対象生地に対応した粉体材料および仕込み水が、前記粉体供給部および前記仕込み水供給部より、前記ミキシングボウルに供給されるように前記粉体供給部および前記仕込み水供給部を制御するものである前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
(8)前記食用生地製造装置は、副原料を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための副原料供給部を備え、前記記憶部は、前記副原料の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記副原料の供給量とを記憶するものであり、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、前記副原料の比熱および前記製造対象生地に対応した前記副原料の供給量をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
(9)前記記憶部は、ミキシングボウル初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップを記憶している前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の食用生地製造装置。
(10)前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップは、前記粉体温度検知部により検知された粉体温度と、前記仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、前記ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記目標生地温度と、前記目標ミキシングボウル温度と、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間と、
以下の関係式
(混捏開始前の粉体材料・副原料・仕込み水の各原材料が持つ熱量)+(混捏開始前のミキシングボウルの持つ熱量)+(混捏により発生する熱量)=(混捏終了時の生地の持つ熱量)+(混捏終了時のミキシングボウルの持つ熱量)
より導かれたものである前記(9)に記載の食用生地製造装置。
前記食用生地製造方法は、ミキシングボウルに粉体材料および仕込み水を含有する原材料を投入する原材料投入工程と、ミキシングボウルを冷却するミキシングボウル冷却工程と、投入した原材料をミキシングボウル内にて混捏する混捏工程とを行うものであり、
前記ミキシングボウル冷却工程は、前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が、前記混捏工程の混捏終了時における目標生地温度より若干低い目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却するものであり、かつ、原材料の混捏の進行による混捏物の温度上昇とともに冷却された前記ミキシングボウルの温度上昇を阻害しないように、前記初期冷却後の前記ミキシングボウルの冷却を行わないものであり、
さらに、前記ミキシングボウル冷却工程は、前記混捏工程終了時の生地が前記目標生地温度に近いものとなるように、かつ前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が前記目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、粉体材料の温度と、仕込み水の温度と、ミキシングボウルの温度と、粉体材料の比熱と、仕込み水の比熱と、粉体材料の供給量と、仕込み水の供給量と、ミキシングボウルの重量と、ミキシングボウルの比熱と、混捏終了時の目標生地温度と、混捏終了時の目標ミキシングボウル温度と、前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いるとともに、前記目標生地温度での生地の持つ熱量および前記目標ミキシングボウル温度でのミキシングボウルの持つ熱量と、混捏開始前の粉体材料と仕込み水の熱量と混捏開始前かつ冷却前のミキシング部の持つ熱量および前記粉体材料と前記仕込み水の混捏時に発生する熱量を用いて、ミキシングボウル初期冷却温度を算出し、該ミキシングボウル初期冷却温度に前記ミキシングボウルを冷却するものであることを特徴とする食用生地製造方法。
(12)前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量は、前記ミキシングボウルに前記粉体材料と前記仕込み水を投入し混捏をするのに必要なミキサー駆動有効電力と、前記粉体材料と前記仕込み水を投入しない無負荷状態での前記混捏と同じ操作に必要なミキサー駆動有効電力との差と、前記必要混捏時間とから算出されるものである前記(11)に記載の食用生地製造方法。
(13)前記目標ミキシングボウル温度は、前記目標生地温度より所定温度低いものである前記(11)または(12)のいずれかに記載の食用生地製造方法。
(14)前記(1)ないし(10)のいずれかに記載の食用生地製造装置を用いる食用生地製造方法であって、
前記食用生地製造方法は、ミキシングボウルに原材料を投入する原材料投入工程と、ミキシングボウルを冷却するミキシングボウル冷却工程と、投入した原材料をミキシングボウル内にて混捏する混捏工程とを行うものであり、
前記ミキシングボウル冷却工程は、前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が、前記原材料混捏工程の混捏終了時における生地の目標生地温度より若干低い目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却するものであり、かつ、原材料の混捏の進行による混捏物の温度上昇とともに前記混捏開始前の冷却された前記ミキシングボウルが温度上昇を阻害しないように、前記初期冷却後の前記ミキシングボウルの冷却を行わないものである食用生地製造方法。
このため、本発明の食用生地製造装置では、混捏終了時の生地温度が目標生地温度に近いものとなり、かつ、混捏開始後のミキシングボウルの温度管理を不要とし、温度管理も極めて容易である。
また、本発明の食用生地製造装置では、混捏終了時の生地温度とミキシングボウルの温度の差が、混捏が進むに従い縮小して行くため、混捏終了時の生地温度とミキシング部の温度の差が小さくなり、生地がミキシング部に接触している部分と接触していない部分との温度差が少なく、生地の内外に温度差を生じることが少ない。よって、混捏終了後においてミキシングボウルから生地を取出すまでの時間に差があっても、生地とミキシングボウルの温度差が少ないので、生地温度の変化が小さく抑えられ、品質のバラツキを抑えることができる。
このため、本発明の食用生地製造方法では、混捏開始後のミキシングボウルの温度管理を不要とし、かつ、混捏終了時の生地温度が目標生地温度に近いものを確実かつ容易に製造することができる。
本発明の食用生地製造装置1は、粉体材料と仕込み水とからなる原材料が投入されるミキシングボウル2およびミキシングボウル2内に投入された原材料を混捏するための混捏機能5とを有するミキシング部Aと、粉体材料を貯留しかつミキシングボウル2に供給するための粉体供給部Bと、仕込み水を貯留しかつミキシングボウル2に供給するための仕込み水供給部Cと、ミキシングボウル2を冷却するための冷却部Dとを備える。
食用生地製造装置1は、粉体供給部Bに貯留されている粉体材料の温度を検知する粉体温度検知部8と、仕込み水供給部Cに貯留されている仕込み水の温度を検知する仕込み水温度検知部10と、ミキシングボウル2の温度を検知するボウル温度検知部4と、記憶部15を備えかつ冷却部Dを制御するための制御部Eとを備える。この食用生地製造装置1は中種生地の製造装置としても使用できるものである。
さらに、制御部Eは、製造対象生地における混捏終了時のミキシングボウル温度が、目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、冷却部Dを作動させて混捏開始前のミキシング部を初期冷却し、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、前記冷却部を制御するものである。
ミキシング部Aは、図2に示すように、粉体材料と仕込み水とからなる原材料が投入されるミキシングボウル2と、ミキシングボウル2内に投入された原材料を混捏するための混捏機能5と、ミキシングボウル2の温度を検知するミキシングボウル温度検知部4とを備える。そして、ミキシングボウルには、生地温度検知部18が設けられている。また、ミキシングボウル2の外面には、後述する冷却部Dの一部を構成する冷却ジャケット3が設けられている。
ミキシングボウル2はステンレス製のボウル状のものであり、具体的には、下部が略半球状であり上部が筒状となっている。そして、ミキシングボウル2の底部には、ミキシングボウル自体の温度を計測するミキシングボウル温度検知部4、生地温度検知部18が設けられている。また、ミキシングボウル2の内部には原材料を混捏する回転翼(混捏機能)5が設けられている。この回転翼5は、ミキシング部Aの一部を構成する回転翼駆動部6により回転する。回転翼5と回転翼駆動部6は、図1に示すように、ベルトもしくはチェーン等の伝達手段19により接続されている。また、回転翼駆動部6は、自ら備える制御機能もしくは後述する制御部により、原材料を混合する当初段階では低速で回転し、混捏する段階では高速で回転するように制御され、原材料を混捏する。また、回転翼駆動部6には、駆動電力検知部7を備えており、これにより、原材料を混捏する原材料混捏工程で混捏をするに必要なミキサー駆動有効電力の測定およびミキシングボウルに原材料を入れない無負荷時に必要なミキサー駆動有効電力を測定可能としている。
仕込み水供給部Cは、仕込み水貯留部21と、貯留部21と連通し、ミキシングボウル2内に仕込み水を送るための供給管9と、貯留部21内の仕込み水温度を検知するためのに仕込み水温度検知部10を備えている。この仕込み水供給部Cも後述する制御部により制御されている。また、仕込み水温度検知部10は、仕込み水の給水口付近に設けられていることが好ましい。
副原料供給部Fは、副原料であるパン酵母を貯蔵する貯蔵部26と、貯蔵部26内を所定温度(例えば、22.1℃)に保持する温度調整機能と、ミキシングボウル2内に副原料を送るための管路を備えている。この副原料供給部Fも後述する制御部により制御されている。
制御部Eの記憶部15は、粉体材料の比熱、仕込み水の比熱、製造対象生地に対応した粉体材料の供給量、製造対象生地に対応した仕込み水の供給量、ミキシングボウルの重量、ミキシングボウルの比熱、製造対象生地に対応した混捏終了時の目標生地温度、製造対象生地に対応した混捏終了時の目標ミキシングボウル温度とを記憶している。目標ミキシングボウル温度は、目標生地温度より所定温度(具体的には、3.0℃〜6.0℃)低いものであることが好ましい。
また、この実施例の食用生地製造装置は、中種生地を含む複数の製造対象生地より製造対象生地を選択するための製造生地選択機能を備えている。このため、記憶部15は、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した粉体材料の供給量、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した仕込み水の供給量、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した混捏終了時の目標生地温度、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した混捏終了時の目標ミキシングボウル温度を記憶している。
また、制御部Eは、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した供給量の粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間を記憶もしくは算出する機能を備えている。具体的には、制御部Eは、回転翼駆動部6の駆動電力検知部7を用いて、予め測定した複数の製造対象生地のそれぞれに対応した供給量の粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間を記憶している。さらに、制御部Eは、回転翼駆動部6の駆動電力検知部7を用いて、予め測定した粉体材料および仕込み水を投入しない無負荷状態での所定時間での駆動時に発生する熱量を記憶している。なお、粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量は、予め測定した粉体材料および仕込み水を投入しない無負荷状態での所定時間での駆動時に発生する熱量を用いて、対象供給量の粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量を算出するものであってもよい。つまり、粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量は、ミキシングボウルに粉体材料と仕込み水を投入し混捏をするのに必要なミキサー駆動有効電力と、粉体材料と仕込み水を投入しない無負荷状態での混捏と同じ操作に必要なミキサー駆動有効電力との差と、必要混捏時間とから算出可能である。
そして、制御部Eは、図4に示すように、演算部16を有するとともに、ミキシングボウル温度検知部4、粉体温度検知部8、仕込み水温度検知部10、生地温度検知部18,駆動電力検知部7、冷却媒体温度検知部13のそれぞれと電気的に接続されており、各検知部により検知された検知データが逐次入力されるものとなっている。また、制御部Eは、図4に示すように、回転翼駆動部6、粉体供給部B、仕込み水供給部C、冷却部Dの冷却媒体循環機能および冷却媒体循環切替バルブ12および副原料供給部Fのそれぞれと電気的に接続されるとともにそれぞれの作動を制御する機能を備えている。
さらに、制御部Eは、製造対象生地における混捏終了時のミキシングボウル温度が、目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、冷却部Dを作動させて混捏開始前のミキシング部を初期冷却し、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、冷却部Dを制御する。
そして、制御部Eの記憶部には、上記の検知データおよび記憶部が記憶するデータを用いて、ミキシングボウルの初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップが記憶されている。
さらに、この実施例の食用生地製造装置1では、上述したように、冷却ジャケット内での冷却媒体温度を検知する冷却媒体温度検知部を備えている。制御部Eの記憶部は、冷却媒体の比熱を記憶し、制御部の冷却温度算出機能は、記憶する冷却媒体の比熱、検知される冷却媒体温度をさらに用いて、ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものとなっている。さらに、制御部は、製造対象生地に対応した混捏終了時の目標冷却媒体温度を記憶し、冷却温度算出機能は、この目標冷却媒体温度をさらに用いて、算出することが好ましい。
さらに、この実施例の食用生地製造装置1は、上述したように、副原料を貯留しかつミキシングボウルに供給するための副原料供給部を備えている。記憶部15は、副原料の比熱と、製造対象生地に対応した副原料の供給量とを記憶している。制御部の冷却温度算出機能は、副原料の比熱および製造対象生地に対応した副原料の供給量をさらに用いて、ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものとなっている。
混捏開始前の粉体材料・副原料・仕込み水の各原材料が持つ熱量と、混捏開始前のミキシングボウルの持つ熱量と、混捏により発生する熱量の合計熱量が、混捏終了時の生地の持つ熱量とミキシングボウルの持つ熱量の合計熱量に等しいことに本発明者は知見した。混捏による発熱量は、予めミキサー駆動有効電力を計測することから発熱量を算出できるので、混捏終了時の生地とミキシングボウル部が持つ混捏終了時の合計熱量から、混捏開始前の原材料の持つ熱量と混捏により発生する熱量を差し引くことにより、理論的に混捏開始時にミキシングボウルが必要とする熱量(冷却必要熱量)を演算し、その演算値に基づいて混捏開始前のミキシングボウルの冷却温度を求めることが理論的に可能である。
そして、制御部Eの記憶部には、ミキシングボウルの初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップが記憶されている。
キシングボウル初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップは、粉体温度検知部により検知された粉体温度と、仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、粉体材料の比熱と、仕込み水の比熱と、製造対象生地に対応した粉体材料の供給量と、製造対象生地に対応した仕込み水の供給量と、ミキシングボウルの重量と、ミキシングボウルの比熱と、目標生地温度と、目標ミキシングボウル温度と、製造対象生地に対応した供給量の粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間と、以下の関係式
(混捏開始前の粉体材料・副原料・仕込み水の各原材料が持つ熱量)+(混捏開始前のミキシングボウルの持つ熱量)+(混捏により発生する熱量)=(混捏終了時の生地の持つ熱量)+(混捏終了時のミキシングボウルの持つ熱量)
より導かれたものであることが好ましい。
{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×T1・・・・・式1
また、使用する仕込水の熱量は、仕込み水の重量MW、温度T3、比熱4.2を用いて表すと式2となる。
(MW×4.2)×T3・・・・・・式2
ミキシングボウルの熱量は、ミキシングボウルの重量MM、温度TM、比熱0.46で表すと式3となる。
(MM×0.46)×TM・・・式3
そして、上記式1,式2および式3により得られた値の合計値が、混捏開始前に有する総熱量となる。
次に、混捏時に発生する熱量は、ミキシングボウルに原材料を投入し混捏終了までに必要なミキサー駆動有効電力の値W2から、無負荷時に必要なミキサー駆動有効電力の値W1を差し引き、その電力の差に混捏時間Tを掛け合わせることにより求められる(式4)。
(W2−W1)× T・・・・式4
また、混捏終了時の総熱量は、混捏終了時のパン生地の持つ熱量と混捏終了時のミキシングボウルの持つ熱量の合計である。
混捏終了時の目標生地温度をTF、粉体材料の供給量M1、粉体材料の比熱2.0、仕込み水の重量MW、仕込み水の比熱4.2、副原料の供給量M2、副原料の比熱3.0を用いて表すと式5となる。
{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF・・・・式5
混捏終了時のミキシングボウルの熱量は、ミキシングボウルの重量MM、比熱0.46、目標ミキシングボウル温度TFMを用いて表すと式6となる。
(MM×0.46)×TFM・・・・式6
そして、混捏終了時の総熱量は、上記式5および式6により得られた値の合計値である。
尚、混捏終了時の設定したミキシングボウル温度(目標ミキシングボウル温度)TFMは、冷却ジャケット内の冷却水の存在、及び、熱伝導の影響により、混捏終了時の生地温度と等しく設定することはできず、混捏終了時の生地温度より3.0℃〜6.0℃低い温度に設定されるものである。
エネルギー保存の法則から、(混捏開始前の総熱量+混捏時に発生する熱量)=(混捏終了時の総熱量)となることから、下記式7にて表されることになる。
{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×T1+(MW×4.2)×T3+(MM×0.46)×TM+{W2−W1}×T={(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM・・・・式7
なお、副原料として、所定の温度(T4=22.1℃)に保管されているものを使用する場合は、上述した式1は、以下の式1aとなる。
(M1×2.0)×T1+(M2×3.0)×T4・・・・・式1a
また、副原料を用いない場合には、上述した式1は、以下の式1bとなる。
(M1×2.0)×T1・・・・・式1b
制御部Eは、ミキシングボウル初期冷却温度演算式を記憶していることが好ましい。ミキシングボウル初期冷却温度演算式としては、例えば、上記式7より導かれる以下の式8が考えられる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM−{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×T1+(MW×4.2)×T3−(W2−W1)×T]・・・・式8
また、式1aを用いる場合には、ミキシングボウル初期冷却温度演算式としては、式8aとなる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM−(M1×2.0)×T1+(M2×3.0)×T4+(MW×4.2)×T3−(W2−W1)×T]・・・・式8a
また、式1bを用いる場合には、ミキシングボウル初期冷却温度演算式としては、式8bとなる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM−(M1×2.0)×T1+(MW×4.2)×T3−(W2−W1)×T]・・・・式8b
なお、制御部におけるミキシングボウルの初期冷却温度は、上記演算式を用いた直接ミキシングボウルの初期冷却温度を算出するものに限定されるものではなく、複数ステップを行ってミキシングボウルの初期冷却温度を算出するもの(言い換えれば、算出ステップを記憶するもの)であってもよい。例えば、ミキシングボウルの初期冷却熱量を算出し、それより、ミキシングボウルの初期冷却温度を算出してもよい。
(MP×3.6)×TP・・・・式9
また、混捏終了時の冷却水熱量は、冷却水重量MP、冷却水比熱3.6、終了時温度TFPで表すと式10となる。
(MP×3.6)×TFP・・・・式10
上記式9により求められるものを上記混捏開始前の総熱量に加算し、上記式10により求められるものを上記混捏終了時の総熱量に加算して、式7を書き直すと、下記式11となる。
{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×T1+(MW×4.2)×T3+(MM×0.46)×TM+{W2−W1}×T+(MP×3.6)×TP={(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM+(MP×3.6)×TFP・・・・式11
上記式11より導かれるミキシングボウル初期冷却温度演算式としては、以下の式12が考えられる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM+(MP×3.6)×TFP−{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×T1−(MW×4.2)×T3−{W2−W1}×T−(MP×3.6)×TP]・・・・式12
なお、副原料として、所定の温度(T4=22.1℃)に保管されているものを使用する場合は、上述した式12は、以下の式12aとなる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM+(MP×3.6)×TFP−(M1×2.0)×T1−(M2×3.0)×T4−(MW×4.2)×T3−{W2−W1}×T−(MP×3.6)×TP]・・・・式12a
また、副原料を用いない場合には、上述した式12は、以下の式12bとなる。
TM=1/(MM×0.46)×[{(M1×2.0)+(M2×3.0)}×TF+(MW×4.2)×TF+(MM×0.46)×TFM+(MP×3.6)×TFP−(M1×2.0)×T1−(MW×4.2)×T3−{W2−W1}×T−(MP×3.6)×TP]・・・・式12b
それ故、従来方式の生地温度を測定しながら生地温度の変化に対応してミキシングボウルの温度調節する方法ではないので、生地温度の制御に遅れを生じることがなく、混捏終了時の生地温度は設定した温度と同じ温度、ないしは近似した温度である23.5℃〜24.0℃の範囲内に正確に捏上げ温度が制御できる。
また、混捏終了時のミキシングボウルの温度と生地温度の差を少なくすることができるので、生地の内外に生じる温度差が少なく、また、ミキシングボウルから生地を取り出すまでの時間差により、生地温度が所定温度より低くなることもなく、品質の安定した食用生地を製造でき、特に混捏時間が短い中種生地を製造する場合には有効である。
本発明の食用生地製造方法は、ミキシングボウルに原材料を投入する原材料投入工程と、ミキシングボウルを冷却するミキシングボウル冷却工程と、投入した原材料をミキシングボウル内にて混捏する混捏工程とを行うものである。
そして、ミキシングボウル冷却工程は、ミキシングボウルの混捏終了時の温度が、混捏工程の混捏終了時における目標生地温度より若干低い目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、混捏開始前のミキシングボウルを初期冷却するものであり、かつ、原材料の混捏の進行による混捏物の温度上昇とともに冷却されたミキシングボウルの温度上昇を阻害しないように、初期冷却後のミキシングボウルの冷却を行わないものである。
また、本発明の食用生地製造方法は、上述した食用生地製造装置1を用いることにより、容易かつ確実に実行することができる。
この実施例の食用生地製造方法では、最初に、中種生地等の食用生地の中から製造対象生地が選択される。具体的には、食用生地製造装置1の制御部Eの入力部17より、製造対象生地を入力する。これにより、例えば、選択した製造対象生地に対応したデータ(粉体材料量、仕込み水量、副原料量、混捏時間等)が決定する。
続いて、粉体温度検知、仕込み水温度検知、ボウル温度検知が行われる。そして、各検知データ、上記製造対象生地の選択により当てられたデータおよび上述した制御部が予め記憶するデータを用いて、ミキシングボウルの初期冷却温度を算出する。そして、制御部は、冷却部を作動させて、ミキシングボウルの冷却ジャケットへの冷却媒体の循環を開始し、ミキシングボウルの温度が初期冷却温度に到達した時、循環を停止し、初期冷却操作(冷媒循環)が終了する。
制御部Eは、直ちに、選択した製造対象生地に対応した量の粉体材料および仕込み水をミキシングボウルに供給する。これにより、原材料投入工程が行われる。続いて、制御部は、回転翼駆動部を作動させて、ミキシングボウル内の材料の混捏を開始し、選択した製造対象生地に対応した混捏時間に到達することにより、混捏を終了する。これにより、目的生地温度に近い中種生地等の食用生地が製造される。
なお、ミキシングボウル初期冷却温度は、上述したように、粉体材料の温度と、仕込み水の温度と、ミキシングボウルの温度と、粉体材料の比熱と、仕込み水の比熱と、粉体材料の供給量と、仕込み水の供給量と、ミキシングボウルの重量と、ミキシングボウルの比熱と、目標生地温度と、目標ミキシングボウル温度と、粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いるとともに、目標生地温度での生地の持つ熱量および目標ミキシングボウル温度でのミキシングボウルの持つ熱量より、混捏開始前の粉体材料と仕込み水の熱量と混捏開始前かつ冷却前のミキシング部の持つ熱量および粉体材料と仕込み水の混捏時に発生する熱量を減算することにより算出可能な必要冷却熱量を利用することにより算出される。
次に、図7は、商品Rを原料4袋分製造する場合の製造対象生地Aについて、5回の生地製造を行った結果を示す表である。図7に示すように、製造対象生地Aについて5回の生地製造を行ったところ、粉体材料温度(粉温度)は、1回目30.4℃、2回目30.0℃、3回目29.5℃、4回目29.5℃、5回目25.6℃であり、仕込み水温度は、それぞれ12.0℃、12.2℃、12.2℃、12.3℃、12.0℃、であり、混捏開始前の制御器で演算して求められた目標ミキシングボウル温度にミキシングボウルの温度が到達時に冷却を停止し、原材料混捏工程を行ったところ、混捏終了時の生地温度(捏上げ温度)は、1回目24.0℃、2回目24.0℃、3回目23.8℃、4回目23.5℃、5回目23.9℃となり、目標生地温度24℃との差は、±0又は−0.2℃〜−0.5℃とわずかな誤差であった。
また、図8は、本発明の食用生地製造装置を用いたミキシングボウルの初期冷却を行うことにより製造された生地とミキシングボウルの初期冷却を行わずに製造された生地との混捏終了時の生地温度の関係を示すグラフである。
この図に示されているように、従来の生地の混捏終了時温度(点線で表した折れ線グラフ)では温度にばらつきが大きいのに対して、本願発明を用いて生地温度制御した場合(実線で表した折れ線グラフ)の生地の混捏終了時温度は、ほとんど23.5℃〜24.5℃の中に入っており、本願発明の食用生地製造装置および食用生地製造方法が優れていることがわかった。
B 粉体供給部
C 仕込み水供給部
D 冷却部
E 制御部
F 副原料供給部
2 ミキシングボウル
3 冷却ジャケット
4 ボウル温度検知部
5 回転翼(混捏機能)
6 回転翼駆動部(混捏機能)
7 駆動電力検知部
8 粉体温度検知部
9 供給管
10 仕込み水温度検知部
11 冷却媒体循環路
12 冷却媒体循環切換バルブ
13 冷却媒体温度検知部
15 記憶部
16 演算部
17 入力部
Claims (14)
- 粉体材料と仕込み水とからなる原材料が投入されるミキシングボウルおよび該ミキシングボウル内に投入された前記原材料を混捏するための混捏機能とを有するミキシング部と、前記粉体材料を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための粉体供給部と、前記仕込み水を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための仕込み水供給部と、前記ミキシングボウルを冷却するための冷却部とを備えた食用生地製造装置であって、
前記食用生地製造装置は、前記粉体供給部に貯留されている前記粉体材料の温度を検知する粉体温度検知部と、前記仕込み水供給部に貯留されている前記仕込み水の温度を検知する仕込み水温度検知部と、前記ミキシングボウルの温度を検知するボウル温度検知部と、記憶部を備えかつ前記冷却部を制御するための制御部とを備え、
前記制御部の前記記憶部は、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標生地温度と、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標ミキシングボウル温度とを記憶し、かつ、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間を記憶もしくは算出するものであり、
前記制御部は、前記製造対象生地における混捏終了時の前記ミキシングボウル温度が、前記目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記冷却部を作動させて混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却し、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、前記冷却部を制御するものであり、
かつ、前記制御部は、前記粉体温度検知部により検知された粉体温度と、前記仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、前記ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記目標生地温度と、前記目標ミキシングボウル温度と、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いて、混捏開始以降は前記冷却部が作動しない条件下における前記製造対象生地における混捏終了時の前記ミキシングボウル温度が前記目標ミキシングボウル温度となるためのまたは/および前記製造対象生地における混捏終了時の前記食用生地温度が前記目標生地温度となるためのミキシングボウル初期冷却温度を算出する冷却温度算出機能と、混捏開始前の前記ミキシング部が該冷却温度算出機能により算出された算出初期冷却温度となるように、かつ、混捏開始以降は前記冷却部が作動しないように、前記冷却部を制御する制御機能を備えていることを特徴とする食用生地製造装置。 - 前記制御部の前記冷却温度算出機能は、前記粉体温度検知部により検知された粉体温度と、前記仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、前記ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記目標生地温度と、前記目標ミキシングボウル温度と、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いるとともに、前記目標生地温度での生地の持つ熱量および前記目標ミキシングボウル温度でのミキシング部の持つ熱量より、混捏開始前の粉体材料と仕込み水の熱量と混捏開始前かつ冷却前のミキシング部の持つ熱量および前記粉体材料と前記仕込み水と混捏により発生する熱量を減算することにより算出可能な必要冷却熱量を利用して、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである請求項1に記載の食用生地製造装置。
- 前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量は、前記ミキシングボウルに前記粉体材料と前記仕込み水を投入し混捏をするのに必要なミキサー駆動有効電力と、前記粉体材料と前記仕込み水を投入しない無負荷状態での前記混捏と同じ操作に必要なミキサー駆動有効電力との差と、前記必要混捏時間とから算出されるものである請求項1または2に記載の食用生地製造装置。
- 前記目標ミキシングボウル温度は、前記目標生地温度より所定温度低いものである請求項1ないし3のいずれかに記載の食用生地製造装置。
- 前記冷却部は、前記ミキシングボウルの外面に装着された冷却ジャケットと、該冷却ジャケット内に冷却媒体を流通させるための冷却媒体循環機能と、冷却媒体を冷却するための冷却手段とを備えており、前記食用生地製造装置は、前記冷却媒体の温度を検知する冷却媒体温度検知部を備え、前記記憶部は、前記冷却媒体の比熱を記憶し、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、検知される冷却媒体温度および前記冷却媒体の比熱をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の食用生地製造装置。
- 前記冷却部は、前記ミキシングボウルの外面に装着された冷却ジャケットと、該冷却ジャケット内に冷却媒体を流通させるための冷却媒体循環機能と、冷却媒体を冷却するための冷却手段とを備えており、前記食用生地製造装置は、前記冷却媒体の温度を検知する冷却媒体温度検知部を備え、前記記憶部は、前記冷却媒体の比熱、前記製造対象生地に対応した混捏終了時の目標冷却媒体温度とを記憶するものであり、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、前記冷却媒体の比熱、前記目標冷却媒体温度をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである請求項1ないし4のいずれかに記載の食用生地製造装置。
- 前記制御部の前記記憶部は、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した粉体材料の供給量と、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した仕込み水の供給量と、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した混捏終了時の目標生地温度と、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した混捏終了時の目標ミキシングボウル温度とを記憶し、かつ、複数の製造対象生地のそれぞれに対応した供給量の粉体材料と仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間を記憶もしくは算出するものであり、
前記食用生地製造装置は、複数の製造対象生地より製造対象生地を選択するための製造生地選択機能を備え、
前記制御部は、前記製造生地選択機能により選択された製造対象生地に対応した粉体材料および仕込み水が、前記粉体供給部および前記仕込み水供給部より、前記ミキシングボウルに供給されるように前記粉体供給部および前記仕込み水供給部を制御するものである請求項1ないし6のいずれかに記載の食用生地製造装置。 - 前記食用生地製造装置は、副原料を貯留しかつ前記ミキシングボウルに供給するための副原料供給部を備え、前記記憶部は、前記副原料の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記副原料の供給量とを記憶するものであり、前記制御部の前記冷却温度算出機能は、前記副原料の比熱および前記製造対象生地に対応した前記副原料の供給量をさらに用いて、前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するものである請求項1ないし7のいずれかに記載の食用生地製造装置。
- 前記記憶部は、ミキシングボウル初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップを記憶している請求項1ないし7のいずれかに記載の食用生地製造装置。
- 前記ミキシングボウル初期冷却温度を算出するための演算式もしくは演算ステップは、前記粉体温度検知部により検知された粉体温度と、前記仕込み水温度検知部により検知された仕込み水温度と、前記ミキシングボウル温度検知部により検知されたミキシングボウル温度と、前記粉体材料の比熱と、前記仕込み水の比熱と、前記製造対象生地に対応した前記粉体材料の供給量と、前記製造対象生地に対応した前記仕込み水の供給量と、前記ミキシングボウルの重量と、前記ミキシングボウルの比熱と、前記目標生地温度と、前記目標ミキシングボウル温度と、前記製造対象生地に対応した供給量の前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間と、
以下の関係式
(混捏開始前の粉体材料・副原料・仕込み水の各原材料が持つ熱量)+(混捏開始前のミキシングボウルの持つ熱量)+(混捏により発生する熱量)=(混捏終了時の生地の持つ熱量)+(混捏終了時のミキシングボウルの持つ熱量)
より導かれたものである請求項9に記載の食用生地製造装置。 - パンの製造に用いられる食用生地製造方法であって、
前記食用生地製造方法は、ミキシングボウルに粉体材料および仕込み水を含有する原材料を投入する原材料投入工程と、ミキシングボウルを冷却するミキシングボウル冷却工程と、投入した原材料をミキシングボウル内にて混捏する混捏工程とを行うものであり、
前記ミキシングボウル冷却工程は、前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が、前記混捏工程の混捏終了時における目標生地温度より若干低い目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却するものであり、かつ、原材料の混捏の進行による混捏物の温度上昇とともに冷却された前記ミキシングボウルの温度上昇を阻害しないように、前記初期冷却後の前記ミキシングボウルの冷却を行わないものであり、
さらに、前記ミキシングボウル冷却工程は、前記混捏工程終了時の生地が前記目標生地温度に近いものとなるように、かつ前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が前記目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、粉体材料の温度と、仕込み水の温度と、ミキシングボウルの温度と、粉体材料の比熱と、仕込み水の比熱と、粉体材料の供給量と、仕込み水の供給量と、ミキシングボウルの重量と、ミキシングボウルの比熱と、混捏終了時の目標生地温度と、混捏終了時の目標ミキシングボウル温度と、前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量および必要混捏時間とを用いるとともに、前記目標生地温度での生地の持つ熱量および前記目標ミキシングボウル温度でのミキシングボウルの持つ熱量と、混捏開始前の粉体材料と仕込み水の熱量と混捏開始前かつ冷却前のミキシング部の持つ熱量および前記粉体材料と前記仕込み水の混捏時に発生する熱量を用いて、ミキシングボウル初期冷却温度を算出し、該ミキシングボウル初期冷却温度に前記ミキシングボウルを冷却するものであることを特徴とする食用生地製造方法。 - 前記粉体材料と前記仕込み水との混捏時に発生する熱量は、前記ミキシングボウルに前記粉体材料と前記仕込み水を投入し混捏をするのに必要なミキサー駆動有効電力と、前記粉体材料と前記仕込み水を投入しない無負荷状態での前記混捏と同じ操作に必要なミキサー駆動有効電力との差と、前記必要混捏時間とから算出されるものである請求項11に記載の食用生地製造方法。
- 前記目標ミキシングボウル温度は、前記目標生地温度より所定温度低いものである請求項11または12に記載の食用生地製造方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の食用生地製造装置を用いる食用生地製造方法であって、
前記食用生地製造方法は、ミキシングボウルに原材料を投入する原材料投入工程と、ミキシングボウルを冷却するミキシングボウル冷却工程と、投入した原材料をミキシングボウル内にて混捏する混捏工程とを行うものであり、
前記ミキシングボウル冷却工程は、前記ミキシングボウルの混捏終了時の温度が、前記原材料混捏工程の混捏終了時における生地の目標生地温度より若干低い目標ミキシングボウル温度に近いものとなるように、前記混捏開始前の前記ミキシングボウルを初期冷却するものであり、かつ、原材料の混捏の進行による混捏物の温度上昇とともに前記混捏開始前の冷却された前記ミキシングボウルが温度上昇を阻害しないように、前記初期冷却後の前記ミキシングボウルの冷却を行わないものであることを特徴とする食用生地製造方法。
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