前記延伸工程において、延伸方向が前記透明フィルム基材の幅方向であることが好ましく、前記幅方向の延伸における延伸倍率が、1.3〜6.0倍の範囲であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記延伸工程において、前記幅方向の延伸に伴い、前記透明フィルム基材と前記塗工膜が、長手方向に0.5〜1.0倍の範囲で収縮されることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記透明フィルム基材の材料として、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
前記アクリル系樹脂として、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体および脂環族炭化水素基を有する重合体からなる群から選択される少なくとも一つを用いることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記ポリエチレン部位を含有するポリビニルアルコール系樹脂として、下記構造式(I)および(II)で示される繰り返し単位を含む重合体を含有するものを用いることが好ましく、前記重合体として、前記(I)と前記(II)のモル比が、50:50〜99:1の範囲を満たしているものを用いることがより好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記延伸工程の後に、さらに架橋処理工程を有することが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法において、前記透明フィルム基材が、アクリル系樹脂であることが好ましい。
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
本発明の光学フィルムの製造方法では、透明フィルム基材上に、前記光学補償層の形成材料であるポリエチレン部位を含有するポリビニルアルコール系樹脂を塗工して塗工膜を形成し、前記塗工膜および前記透明フィルム基材を共に延伸することにより、Nz係数が0.9〜2.0の光学フィルムを製造する。ここで、Nz係数は、式:Nz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義される値である。
本発明において、屈折率「nx」は、層(複屈折層、フィルム、液晶セルなど、以下同じ)の面内の屈折率が最大となる方向(遅相軸方向)の屈折率である。屈折率「ny」は、層の面内で前記nxの方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率である。屈折率「nz」は、前記nxおよび前記nyの各方向に対し直交する層の厚み方向の屈折率である。
本発明において、層の面内の位相差値(Re[λ])とは、例えば、23℃での波長λ(nm)における層の面内の位相差値である。Re[λ]は、層の厚みをd(nm)としたとき、式:Re[λ]=(nx−ny)×dにより算出される。Re[λ]は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本発明において、層の厚み方向の位相差値(Rth[λ])とは、例えば、23℃での波長λ(nm)における層の厚み方向の位相差値である。Rth[λ]は、層の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth[λ]=(nx−nz)×dにより算出される。Rth[λ]は、例えば、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
本発明において、Nz係数は、式:Nz係数=Rth[λ]/Re[λ]によっても算出される値である。前記λは、例えば、590nmとすることができる。
本発明において、「nx=ny」または「ny=nz」とは、これらが完全に一致する場合だけでなく、実質的に同一である場合を包含する。したがって、例えば、nx=nyと記載する場合には、Re[590]が10nm未満である場合を包含する。
本発明において、「直交」とは、実質的に直交している場合を含み、前記実質的に直交している場合とは、例えば、90°±2°の範囲であり、好ましくは、90°±1°の範囲である。また、本発明において、「平行」とは、実質的に平行の場合を含み、前記実質的に平行の場合とは、例えば、0°±2°の範囲であり、好ましくは、0°±1°の範囲である。
[透明フィルム基材]
本発明における透明フィルム基材としては、アクリル、アクリロニトリル・スチレン(AS)、アクリロニトリルアクリルゴムスチレン(AAS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、エチレン−ビニルアルコール(EVOH)、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エポキシ(EP)、メタクリル-スチレン(MS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリサルフォン(PSU)、低密度ポリエチレン(LDPE)、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
透明フィルム基材としては、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。前記アクリル系樹脂としては、ガラス転移温度(Tg)が、115℃以上のものが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、耐久性に優れたものとなる。前記アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。前記ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じたDSC法により求めることができる。
前記アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切なアクリル系樹脂を採用し得るが、好ましくは、前記アクリル系樹脂として、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル(例えば、ポリメタクリル酸メチルなど)、メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体および脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ノルボルニル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。より好ましくは、ポリアクリル酸メチルやポリメタクリル酸メチルなどのポリアクリル酸アルキルおよびポリメタクリル酸アルキルである。ここで、前記アルキル基は炭素数1〜6であることが好ましい。さらに好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%の範囲、好ましくは70〜100重量%の範囲)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
前記アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン(株)製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有するアクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tgアクリル系樹脂等が挙げられる。前記アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂を用いることも好ましい。これらのアクリル系樹脂は、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有するからである。
(ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂)
前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるラクトン環構造を有する。
一般式(1)中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂中の、前記一般式(1)で表されるラクトン環構造単位の含有割合は、前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは5〜90重量%の範囲、より好ましくは10〜70重量%の範囲、さらに好ましくは10〜60重量%の範囲、特に好ましくは10〜50重量%の範囲である。前記含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがあり、90重量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。前記含有割合は、特開2002−254544号公報に記載の方法で算出することができる。
前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは1,000〜2,000,000の範囲、より好ましくは5,000〜1,000,000の範囲、さらに好ましくは10,000〜500,000の範囲、特に好ましくは50,000〜500,000の範囲である。重量平均分子量が上記範囲から外れると、本発明の効果が十分に発揮できないおそれがある。
前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、Tgが、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、例えば、偏光子保護フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり得る。前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
前記ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定される全光線透過率が、高ければ高いほど好ましく、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は透明性の目安であり、全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下するおそれがある。
(グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂)
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2006−283013号公報、特開2006−335902号公報、特開2006−274118号公報、国際公開WO2007/026659などに記載の、グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(2)で表されるグルタル酸無水物構造を含有する。
一般式(2)中、R
1、R
2は、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂は、より好ましくは、(i)前記一般式(2)で表されるグルタル酸無水物構造単位、および、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位を有する共重合体が好ましい。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂中の、前記一般式(2)で表されるグルタル酸無水物構造単位の含有割合は、前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは25〜50重量%の範囲、より好ましくは30〜45重量%の範囲である。前記含有割合が25重量%未満である場合、耐熱性向上効果が小さくなるだけでなく、複屈折特性(光学等方性)や耐溶剤性が低下するおそれがある。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂中の上記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の含有割合は、前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは50〜75重量%の範囲、より好ましくは55〜70重量%の範囲である。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂は、(i)前記一般式(2)で表されるグルタル酸無水物構造、および、(ii)不飽和カルボン酸アルキルエステル単位に加えて、さらに、(iii)不飽和カルボン酸単位、および/または、(iv)その他のビニル単量体単位を含有することができる。ここで、(iv)その他のビニル単量体単位とは、上記(i)〜(iii)のいずれにも属さない共重合可能なビニル単量体単位である。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂中の前記不飽和カルボン酸単位の含有割合は、前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは0〜10重量%の範囲、より好ましくは0〜5重量%の範囲、最も好ましくは0〜1重量%の範囲である。前記不飽和カルボン酸単位の含有割合が10重量%を超える場合には、無色透明性、滞留安定性が低下するおそれがある。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂中の、前記その他のビニル単量体単位の含有割合は、前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは0〜10重量%の範囲である。前記その他のビニル単量体単位としては、芳香環を含まないビニル単量体単位が好ましい。スチレンなどの芳香族ビニル単量体単位を含む場合、前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂中の含有割合が高いと、無色透明性、光学等方性、耐溶剤性が低下するおそれがあるので、前記含有割合は、好ましくは0〜5重量%の範囲、より好ましくは0〜3重量%の範囲である。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル樹脂中の、各成分単位の含有割合は、特開2006−274118号公報に記載の方法で算出することができる。
前記不飽和カルボン酸単位としては、下記一般式(3)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(3)中、R
3は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
前記不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては、下記一般式(4)で表される構造を有するものが好ましい。
一般式(4)中、R
4は水素または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R
5は炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、または1個以上炭素数以下の数の水酸基もしくはハロゲンで置換された炭素数1〜6の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基を示す。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは30,000〜150,000の範囲、より好ましくは50,000〜130,000の範囲、さらに好ましくは70,000〜110,000の範囲である。重量平均分子量が、この範囲にあることにより、後工程の加熱脱気時の着色を低減でき、黄色度の小さい重合体を得ることができるとともに、成形品の機械的強度も高くすることができる。
前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂は、Tgが、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。Tgが130℃以上であることにより、例えば、本発明の光学フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなり得る。前記グルタル酸無水物構造を有するアクリル系樹脂のTgの上限値は、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
(グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂)
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂としては、特開2006−309033号公報、特開2006−317560号公報、特開2006−328329号公報、特開2006−328334号公報、特開2006−337491号公報、特開2006−337492号公報、特開2006−337493号公報、特開2006−337569号公報、特開2007−009182号公報などに記載の、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂が挙げられる。前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(5)で表されるグルタルイミド構造を含有する。
一般式(5)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R
3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。
前記グルタルイミド構造としては、好ましくは、R1、R2が水素又はメチル基であり、R3が水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基である。より好ましくは、R1がメチル基であり、R2が水素であり、R3がメチル基である。グルタルイミド構造は、単一の種類でもよく、R1、R2、R3が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
前記グルタルイミド構造は、以下に説明するアクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位をイミド化することにより形成することが可能である。また、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;等もイミド化可能であり、前記グルタルイミド構造の形成に用いることができる。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(6)で表されるアクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位を含有する。
一般式(6)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立に、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R
6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数5〜15の芳香環を含む置換基を示す。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂を製造する際に、まずアクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、メタクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、アクリル酸エステル重合体、またはメタクリル酸エステル重合体を重合し、これを後イミド化して形成する場合、具体的にアクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位を残基として与える原料としては、特に限定するものではないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。これらの中で、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
アクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位は、単一の種類でもよく、R4、R5、R6が異なる複数の種類を含んでいてもよい。同様に、アクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位を残基として与える原料も複数の種類を混合して用いてもよい。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂は、好ましくは、下記一般式(7)で表される芳香族ビニル単位を含有する。
一般式(7)中、R
7は、水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R
8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。
芳香族ビニル単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。スチレンが特に好ましい。前記芳香族ビニル単位は、単一の種類でもよく、R7、R8が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂中の、前記一般式(5)で表されるグルタルイミド構造単位の含有割合は、R3の構造にも依存し得るが、前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは20重量%以上、より好ましくは20〜95重量%の範囲、さらに好ましくは40〜90重量%の範囲、特に好ましくは50〜80重量%の範囲である。前記グルタルイミド構造単位の含有割合が20重量%より小さい場合、得られるグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりするおそれがある。また、前記グルタルイミド構造単位の含有割合が95重量%を超えると、不必要に耐熱性、溶融粘度が上がり、成形加工性が悪くなるおそれがあるほか、得られるフィルムの機械的強度が極端に脆くなるおそれや、透明性が損なわれるおそれがある。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂中の、前記一般式(7)で表される芳香族ビニル単位の含有割合は、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂100重量%中に、好ましくは10重量%以上、より好ましくは10〜40重量%の範囲、さらに好ましくは15〜30重量%の範囲、特に好ましくは15〜25重量%の範囲である。前記芳香族ビニル単位の含有割合が40重量%より大きい場合、得られるグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂の耐熱性が不足するおそれがある。前記芳香族ビニル単位の含有割合が10重量%より小さい場合、得られるフィルムの機械的強度が低下するおそれがある。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂は、前記一般式(5)、(6)および(7)で表される構造や単位の含有割合を調整することで、各種の要求される物性に調整することが可能である。例えば、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂を、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のアクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体またはメタクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体を重合した後に後イミド化して形成する場合、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと芳香族ビニルの重合割合を調整することで、前記一般式(7)で表される芳香族ビニル単位の含有割合を決め(前記一般式(7)で表される芳香族ビニル単位の含有割合を0としてもよい)、さらに、後イミド化時の一級アミンの添加割合を調整することで、前記一般式(5)で表されるグルタルイミド構造や、前記一般式(6)で表されるまたはアクリル酸エステル単位またはメタクリル酸エステル単位の含有割合を調整することができる。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂には、必要に応じ、さらに、他の構成単位が共重合されていてもかまわない。他の構成単位としては、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;などが挙げられる。これらは直接共重合されても良く、グラフト共重合されてもよい。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂を製造する際に、まず、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等のメタクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体若しくはアクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、または、メタクリル酸メチル重合体等のメタクリル酸エステル重合体若しくはアクリル酸エステル重合体を重合し、これをイミド樹脂化する場合、メタクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体、メタクリル酸エステル重合体およびアクリル酸エステル共重合体は、イミド化反応が可能であれば、リニアー(線状)ポリマー、ブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、架橋ポリマーのいずれであってもよい。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであってもよい。コアシェルポリマーは、ただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであってもよいし、それぞれが多層になっているものであってもよい。
前記グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは10,000〜500,000の範囲である。重量平均分子量が10,000を下回る場合には、フィルムにした場合の機械的強度が不足し、500,000を上回る場合には、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下するおそれがある。
[光学補償層]
本発明において、光学補償層の形成材料としては、ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる。前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切なポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂を採用し得る。特に、下記構造式(I)および(II)で示される繰り返し単位を含む、ポリエチレン部位を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、水酸基を有するため透明フィルムとの接着性が良好であり、さらにTgが低いため加工性に優れている。また、ポリビニルアルコール部位が延伸応力方向に対して並びやすいため、位相差発現性が良いという優位点を有する。加えて、ポリエチレン部位の存在により、ポリビニルアルコール部位における水酸基の相互作用が軽減され、配向が促進される。そして、光学補償層を形成したときに、nx>ny≒nzという光学特性を付与することができる。さらに、前記ポリビニルアルコール系樹脂はポリイミド系材料と比較して非常に安価であり、生産コストの面でも優れているという利点も有する。
前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂は、前記構造式(I)および(II)で示される繰り返し単位を含むことが好ましいが、前記(I)および前記(II)以外の成分を含有してもよい。前記(I)と前記(II)のモル比は、50:50〜99:1の範囲であることが好ましい。前記各繰り返し単位を含む重合体において、前記各繰り返し単位の配列順序は、特に制限されず、交互、ランダムまたはブロックのいずれであってもよい。
前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂の分子量について特に限定はないが、重量平均分子量(Mw)として、1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、2,000〜500,000の範囲がさらに好ましい。
前記透明フィルム基材上に光学補償層を形成するには、前記透明フィルム基材上に、光学補償層の形成材料を塗工して塗工膜を形成し、前記塗工膜および前記透明フィルム基材を延伸する方法を用いる。前記透明フィルム基材上に形成された塗工膜は共に延伸されて光学補償層を形成して、本発明の光学フィルムを得ることができる。
前記光学補償層の形成材料を塗工する方法としては、例えば、前記形成材料を加熱溶融して塗工する方法や、前記形成材料を溶剤に溶解させた溶液を塗工する方法等が挙げられる。また、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等の塗工方法を適宜選択することができる。
前記溶剤としては、前記形成材料を溶解できれば特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂の溶剤としては、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロピルアルコール(IPA)等を用いることができる。なお、これらの溶剤は、単独あるいは混合して使用することができる。前記溶液は、粘度の点より、前記溶剤100重量部に対して、前記形成材料を5〜50重量部の範囲、好ましくは10〜40重量部の範囲で混合して用いることが好ましい。
また、前記形成材料に、前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂を架橋させる架橋剤を加え、前記延伸工程の後に、加熱、紫外線照射、電子線照射等による架橋処理工程を有することも好ましい。
前記架橋剤としては、任意の適切な架橋剤を採用し得る。前記架橋剤は、好ましくは、前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物である。前記架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基とを2個有するアルキレンジアミン類、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニル)メタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類、メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン等の二価金属または三価金属の塩およびその酸化物等が挙げられる。これらの中でも、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂やジアルデヒド類が好ましい。前記アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としては、メチロール基を有する化合物が好ましい。前記ジアルデヒド類としては、グリオキザールが好ましい。中でも、メチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好ましい。前記アルデヒド化合物としては、例えば、日本合成化学(株)製の商品名「グリオキザール」、OMNOVA製の商品名「セクアレッツ755」等が挙げられる。前記アミン化合物としては、例えば、三菱瓦斯化学(株)製の商品名「メタキシレンジアミン」等が挙げられる。前記メチロール化合物としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「ウォーターゾール」シリーズ等が挙げられる。
前記架橋剤の配合量は、前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜60重量部の範囲である。前記配合量を前記の範囲とすることで、透明性、接着性、耐水性に優れた光学補償層を形成することができる。
なお、前記構造式(I)および(II)で示される繰り返し単位を含む重合体の重合度が600〜5,000の範囲の前記ポリエチレン部位を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合は、溶剤を用いることなく塗工することができる。このような樹脂を使用する場合は、前記架橋処理工程を有する製造方法を用いることが好ましい。
前記透明フィルム基材と前記塗工膜との積層体の延伸方法は、特に限定されないが、例えば、長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸方法、フィルムの長手方向を固定した状態で幅方向に一軸延伸する固定端横延伸方法、長手方向および幅方向の両方に延伸を行う逐次または同時二軸延伸方法、幅方向に延伸し長手方向に収縮する方法等が挙げられる。
そして、前記積層体の延伸は、例えば、前記透明フィルム基材上に前記ポリエチレン部位を含有するポリビニルアルコール系樹脂を塗工して塗工膜を形成し、ついで、前記塗工膜を乾燥させた後に、前記乾燥した塗工膜と前記透明フィルム基材とを延伸してもよいし、また、前記塗工膜を乾燥させる前に前記塗工膜が形成された透明フィルム基材を延伸してもよい。前記延伸は、前記透明フィルム基材と前記塗工膜との両方を共に引っ張ることによって行ってもよいが、例えば、つぎの理由から、前記透明フィルム基材のみを延伸することにより、前記塗工膜を間接的に延伸することも好ましい。前記透明フィルム基材のみを延伸した場合、この延伸により前記透明フィルム基材に発生する張力によって、前記透明フィルム基材上の前記塗工膜が間接的に延伸される。そして、積層体を延伸するよりも、単層体を延伸するほうが、通常、均一な延伸となるため、前述のように透明フィルム基材のみを均一に延伸すれば、これに伴って、前記透明フィルム基材上の前記塗工膜も均一に延伸できるためである。前記透明フィルム基材のみの延伸によって前記塗工膜を間接的に延伸することで、得られる光学フィルムの光学特性をより均一にすることができ、特に前記X軸方向の特性のばらつきを効果的に防止することができるため、前記で得られる光学フィルムは液晶表示装置の画面大型化にも良好に対応することができる。
延伸条件としては、特に限定されず、透明フィルム基材や形成材料の種類等に応じて適宜定めることができるが、延伸方向は、前記透明フィルム基材の幅方向であることが好ましい。前記透明フィルム基材の幅方向に延伸することで、本発明の光学フィルムを液晶テレビ用途に用いる場合、液晶テレビ画面の大型化にも対応することができる。前記構造式(I)および(II)を含むポリビニルアルコール系材料を用いる場合の幅方向における延伸倍率は1.3〜6.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは2.0〜5.0倍の範囲である。また、それに伴う長手方向の収縮倍率は、0.5〜1.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.7〜1.0倍の範囲である。
本発明における光学フィルムによると、屈折率が、nx>ny>nzの関係のみならず、nx>ny≒nzの関係を満たす光学特性を得ることができる。すなわち、屈折率が、nx>ny≒nzの関係を満たし、所望のΔn(面内最大屈折率と厚み方向の屈折率との差:nx−nz)と、Nz係数とを有する光学フィルムを得ることができる。ここで、ny≒nzとは、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。本明細書において、例えば「nyとnzが実質的に等しい」とは、光学フィルムの全体的な光学特性に実用上の影響を与えない範囲でnyとnzが異なる場合も包含する趣旨である。また、本発明におけるΔnは、例えば、0.01〜0.09の範囲であり、好ましくは0.015〜0.06の範囲である。更に好ましくは、0.015〜0.035の範囲である。また、本発明におけるNz係数は、0.9〜2.0の範囲であり、好ましくは1.05〜1.40の範囲である。
[本発明の偏光板]
本発明の偏光板は、光学フィルムと偏光子とを含む偏光板であって、前記光学フィルムが、前記本発明の光学フィルムである。本発明の偏光板の構成としては、前記光学フィルムを構成する前記透明フィルム基材側または前記光学補償層側に、偏光子が積層されて構成されている。なお、前記光学補償層を前記透明フィルム基材から剥離した前記光学補償層単層と、偏光子との積層体も偏光板として用いることができる。偏光子上には保護層を形成してもよい。図1の模式断面図に、本発明の偏光板の構成の一例を示す。同図においては、分かりやすくするために、各構成部材の大きさ、比率等は、実際とは異なっている。図示のとおり、この偏光板10は、保護層11、偏光子12、および前記本発明の光学フィルム13が、この順序で積層され構成されている。前記偏光板の全体厚みは、例えば、20〜300μmの範囲である。前記範囲の厚みとすることで、より機械的強度に優れた偏光板を得ることができる。
前記偏光板の各構成部材(光学部材)の間には、任意の接着層や、任意の光学部材(好ましくは、等方性を示すもの)が配置されてもよい。前記「接着層」とは、隣り合う光学部材の面と面とを接合し、実用上十分な接着力と接着時間で一体化させるものをいう。前記接着層を形成する材料としては、例えば、従来公知の接着剤、粘着剤、アンカーコート剤等が挙げられる。前記接着層は、接着体の表面にアンカーコート層が形成され、その上に接着剤層が形成されたような、多層構造であってもよい。また、肉眼的に認知できないような薄い層(ヘアーラインともいう)であってもよい。
前記偏光子は、例えば、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系樹脂を含む高分子フィルムを延伸して得ることができる。前記偏光子のヨウ素含有量は、例えば、1.8〜5.0重量%の範囲であり、好ましくは、2.0〜4.0重量%の範囲である。前記偏光子は、さらに、カリウムを含むことが好ましい。前記カリウムの含有量は、例えば、0.2〜1.0重量%の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.9重量%の範囲であり、さらに好ましくは、0.4〜0.8重量%の範囲である。前記偏光子は、さらに、ホウ素を含むことが好ましい。前記ホウ素の含有量は、例えば、0.5〜3.0重量%の範囲であり、好ましくは、1.0〜2.8重量%の範囲であり、さらに好ましくは、1.5〜2.6重量%の範囲である。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することで得ることができる。前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、好ましくは、95.0〜99.9モル%の範囲である。ケン化度が前記範囲であるポリビニルアルコール系樹脂を用いることで、より耐久性に優れた偏光子を得ることができる。前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。前記平均重合度は、好ましくは、1200〜3600の範囲である。前記平均重合度は、例えば、JIS K 6726(1994年版)に準じて求めることができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む高分子フィルムを得る方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。前記成形加工法としては、例えば、特開2001−315144号公報[実施例1]に記載の方法が挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む高分子フィルムは、好ましくは、可塑剤および界面活性剤の少なくとも一方を含む。前記可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコール等があげられる。前記界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤等があげられる。前記可塑剤および前記界面活性剤の含有量は、好ましくは、前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、1〜10重量部の範囲である。前記可塑剤および前記界面活性剤は、例えば、偏光子の染色性や延伸性を向上させる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む高分子フィルムは、例えば、市販のフィルムをそのまま用いることもできる。前記市販のポリビニルアルコール系樹脂を含む高分子フィルムとしては、例えば、(株)クラレ製の商品名「クラレビニロンフィルム」、東セロ(株)製の商品名「トーセロビニロンフィルム」、日本合成化学工業(株)製の商品名「日合ビニロンフィルム」等が挙げられる。
前記保護層は、例えば、偏光子が収縮や膨張することを防いだり、紫外線による劣化を防いだりするために用いられる。前記保護層の厚みは、好ましくは、20〜100μmの範囲である。前記保護層の波長590nmにおける透過率(T[590])は、好ましくは、90%以上である。
前記保護層を形成する材料としては、任意の適切なものが選択され得る。前記保護層は、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、またはアクリル系樹脂を含む高分子フィルムであることが好ましい。前記セルロース系樹脂を含む高分子フィルムは、例えば、特開平7−112446号公報の実施例1に記載の方法により得ることができる。前記ノルボルネン系樹脂を含む高分子フィルムは、例えば、特開2001−350017号公報に記載の方法により得ることができる。前記アクリル系樹脂を含む高分子フィルムは、例えば、特開2004−198952号公報の実施例1に記載の方法により得ることができる。
前記保護層は、前記偏光子側とは反対側に表面処理層を有してもよい。前記表面処理としては、目的に応じて、適宜、適切な処理が採用され得る。前記表面処理層としては、例えば、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理(アンチリフレクション処理ともいう)、拡散処理(アンチグレア処理ともいう)等の処理層が挙げられる。これらの表面処理は、画面の汚れや傷つきを防止したり、室内の蛍光灯や太陽光線が画面に映り込むことによって、表示画面が見えづらくなることを防止したりする目的で使用される。前記表面処理層は、一般的には、ベースフィルムの表面に前記の処理層を形成する処理剤を固着させたものが用いられる。前記ベースフィルムは、前記保護層を兼ねていてもよい。さらに、前記表面処理層は、例えば、帯電防止処理層の上にハードコート処理層を積層したような多層構造であってもよい。
前記保護層は、例えば、表面処理が施された市販の高分子フィルムをそのまま用いることができる。若しくは、前記市販の高分子フィルムに任意の表面処理を施して用いることもできる。前記拡散処理(アンチグレア処理)が施された市販のフィルムとしては、例えば、日東電工(株)製の商品名「AG150、AGS1、AGS2」等が挙げられる。前記反射防止処理(アンチリフレクション処理)が施された市販のフィルムとしては、例えば、日東電工(株)製の商品名「ARS、ARC」等が挙げられる。前記ハードコート処理および前記帯電防止処理が施された市販のフィルムとしては、例えば、コニカミノルタオプト(株)製の商品名「KC8UX−HA」等が挙げられる。前記反射防止処理が施された市販のフィルムとしては、例えば、日本油脂(株)製の商品名「ReoLook」シリーズ等が挙げられる。
[第1の液晶パネル]
前述のとおり、本発明の第1の液晶パネルは、液晶セルと光学部材とを含む液晶パネルであって、前記光学部材が、前記本発明の光学フィルムまたは前記本発明の偏光板であり、前記光学部材が、前記液晶セルの少なくとも一方の側に配置されていることを特徴とする。図2の模式断面図に、本発明の第1の液晶パネルの構成の一例を示す。同図において、図1と同一部分には、同一符号を付している。図示のとおり、この第1の液晶パネル30では、前記本発明の偏光板10が、前記光学フィルム13が前記液晶セル41側に位置する状態で、前記液晶セル41の視認側(同図において上側)およびバックライト側(同図において下側)の双方に配置されている。なお、この例の第1の液晶パネルでは、前記液晶セルの視認側およびバックライト側の双方に、前記本発明の偏光板が配置されている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明の第1の液晶パネルにおいて、前記本発明の偏光板は、前記液晶セルの視認側およびバックライト側の少なくとも一方の側に配置されていればよい。
前記液晶セルとしては、例えば、薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス型のもの等が挙げられる。また、前記液晶セルとしては、スーパーツイストネマチック液晶表示装置に採用されているような、単純マトリクス型のもの等も挙げられる。
前記液晶セルは、一対の基板により液晶層が挟持されているという構成が一般的である。図4に、液晶セルの構成の一例を示す。図示のように、本例の液晶セル41は、一対の基板411a、411b間に、スペーサー412が配置されることにより、空間が形成され、前記空間に、液晶層413が挟持されている。図示しないが、前記一対の基板のうち、一方の基板(アクティブマトリクス基板)には、例えば、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(例えば、TFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を伝える信号線とが設けられる。前記一対の基板のうち、他方の基板には、例えば、カラーフィルターが設けられる。
前記カラーフィルターは、前記アクティブマトリクス基板に設けてもよい。または、例えば、フィールドシーケンシャル方式のように液晶表示装置の照明手段として、RGBの3色光源(さらに、多色の光源を含んでもよい)が用いられる場合には、前記カラーフィルターは、省略してもよい。前記一対の基板の間隔(セルギャップ)は、例えば、スペーサーによって制御される。前記セルギャップは、例えば、1.0〜7.0μmの範囲である。各基板の前記液晶層に接する側には、例えば、ポリイミドからなる配向膜が設けられる。または、例えば、パターニングされた透明基板によって形成されるフリンジ電界を利用して、液晶分子の初期配向が制御される場合には、前記配向膜は、省略してもよい。
前記液晶セルの屈折率は、nz>nx=nyの関係を示すことが好ましい。前記屈折率がnz>nx=nyの関係を示す液晶セルとしては、駆動モードの分類によれば、例えば、バーティカル・アラインメント(VA)モード、ツイスティッド・ネマティック(TN)モード、垂直配向型電界制御複屈折(ECB)モード、光学補償複屈折(OCB)モード等が挙げられる。本発明において、前記液晶セルの駆動モードは、前記VAモードであることが好ましい。
電界が存在しない状態における前記液晶セルのRth[590]は、好ましくは、−500〜−200nmの範囲であり、より好ましくは、−400〜−200nmの範囲である。前記Rth[590]は、例えば、液晶分子の複屈折率および前記セルギャップを調整することにより、適宜、設定される。
前記VAモードの液晶セルは、電圧制御複屈折効果を利用し、電界が存在しない状態で、ホメオトロピック配列に配向させた液晶分子を、基板に対して法線方向の電界で応答させる。具体的には、例えば、特開昭62−210423号公報や、特開平4−153621号公報に記載されているように、ノーマリーブラック方式の場合、電界が存在しない状態では、液晶分子が基板に対して法線方向に配向しているために、上下の偏光板を直交配列させると、黒表示が得られる。一方、電界が存在する状態では、液晶分子が偏光板の吸収軸に対して、45°方位に倒れるように動作することによって、透過率が大きくなり、白表示が得られる。
前記VAモードの液晶セルは、例えば、特開平11−258605号公報に記載されているように、電極にスリットを形成したものや、表面に突起を形成した基材を用いることによって、マルチドメイン化したものであってもよい。このような液晶セルは、例えば、シャープ(株)製の商品名「ASV(Advanced Super View)モード」、同社製の商品名「CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード」、富士通(株)製の商品名「MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード」、三星電子(株)製の商品名「PVA(Patterned Vertical Alignment)モード」、同社製の商品名「EVA(Enhanced Vertical Alignment)モード」、三洋電機(株)製の商品名「SURVIVAL(Super Ranged Viewing Vertical Alignment)モード」等が挙げられる。
本発明において、前記液晶パネルの駆動モードがインプレーンスイッチング(IPS)モードであることも好ましい。
前記IPSモードの液晶セルは、電圧制御複屈折(ECB:Electrically Controlled Birefringnence)効果を利用し、電界が存在しない状態でホモジニアス配向させた液晶分子を、例えば、金属で形成された対向電極と画素電極とで発生させた基板に平行な電界(横電界ともいう)で応答させる。より具体的には、例えば、テクノタイムズ社出版「月刊ディスプレイ7月号」p.83〜p.88(1997年版)や、日本液晶学会出版「液晶vol.2 No.4」p.303〜p.316(1998年版)に記載されているように、ノーマリーブラック方式では、液晶セルの電界無印加時の配向方向と一方の側の偏光子の吸収軸とを一致させて、上下の偏光板を直交配置させると、電界のない状態で完全に黒表示になる。電界があるときは、液晶分子が基板に平行を保ちながら回転動作することによって、回転角に応じた透過率を得ることができる。なお、前記IPSモードは、V字型電極またはジグザグ電極等を採用した、スーパー・インプレーンスイッチング(S−IPS)モードや、アドバンスド・スーパー・インプレーンスイッチング(AS−IPS)モードを包含する。
前記ホモジニアス配向させた液晶分子とは、配向処理された基板と液晶分子の相互作用の結果として、前記液晶分子の配向ベクトルが基板平面に対し、平行かつ一様に配向した状態のものをいう。なお、本明細書においては、前記配向ベクトルが基板平面に対し、わずかに傾いている場合、すなわち前記液晶分子がプレチルトをもつ場合も、ホモジニアス配向に包含される。液晶分子がプレチルトをもつ場合は、そのプレチルト角は、20°以下であるほうが、コントラスト比を高く保ち、良好な表示特性が得られる点で好ましい。
前記ネマチック液晶としては、目的に応じて任意の適切なネマチック液晶が採用され得る。例えば、ネマチック液晶は、誘電率異方性が正のものであっても、負のものであっても良い。誘電率異方性が正のネマチック液晶の具体例としては、メルク社製 商品名「ZLI−4535」があげられる。誘電率異方性が負のネマチック液晶の具体例としては、メルク社製 商品名「ZLI−2806」が挙げられる。
前記液晶セルとしては、例えば、市販の液晶表示装置に搭載されているものをそのまま用いてもよい。前記VAモードの液晶セルを含む市販の液晶表示装置としては、例えば、シャープ(株)製液晶テレビの商品名「AQUOS」シリーズ、ソニー社製液晶テレビの商品名「BRAVIA」シリーズ、SAMSUNG社製32V型ワイド液晶テレビの商品名「LN32R51B」、(株)ナナオ製液晶テレビの商品名「FORIS SC26XD1」、AU Optronics社製液晶テレビの商品名「T460HW01」等が挙げられる。前記IPSモードの液晶セルを含む市販の液晶表示装置としては、例えば、日立製作所(株)20V型ワイド液晶テレビの商品名「Wooo」、イーヤマ(株)19型液晶ディスプレイの商品名「ProLite E481S−1」、(株)ナナオ製17型TFT液晶ディスプレイの商品名「FlexScan L565」等が挙げられる。
[第2の液晶パネル]
図3の模式断面図に、本発明の第2の液晶パネルの構成の一例を示す。同図において、図1と同一部分には、同一符号を付している。図示のとおり、この第2の液晶パネル40は、第1の偏光板10と、第2の偏光板20と、液晶セル41とを主要な構成部材として有する。前記第1の偏光板10は、前記本発明の偏光板10である。前記第1の偏光板10において、前記保護層11が、第1の保護層11であり、前記偏光子12が、第1の偏光子12であり、前記光学フィルム13が、第1の光学補償層13である。前記第2の偏光板20は、第2の保護層21、第2の偏光子22および第2の光学補償層23が、この順序に積層され構成されている。前記第1の偏光板10は、前記第1の光学補償層13が前記液晶セル41側に位置する状態で、前記液晶セル41の視認側(同図において上側)に配置されている。前記第2の偏光板20は、前記第2の光学補償層23が前記液晶セル41側に位置する状態で、前記液晶セル41のバックライト側(同図において下側)に配置されている。
前述のとおり、前記第2の液晶パネルにおいて、前記第1の光学補償層の屈折率が、nx>ny≧nzの関係を示し、前記第2の光学補償層の屈折率が、nx=ny>nzの関係を示すように構成する。このようにすることで、従来の液晶パネル(代表的には、液晶セルの両側に配置した2枚の偏光板の透過率が同一であるもの)に比べて、正面方向のコントラスト比が格段に高い液晶パネルを得ることができる。
前記第2の保護層は、前記保護層(前記第1の保護層)と同様である。
前記第2の偏光子は、前記偏光子(前記第1の偏光子)と同様である。
前記第2の光学補償層の屈折率は、例えば、nx=ny>nzの関係(負の一軸性)を示す。前記第2の光学補償層は、単層であってもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。前記第2の光学補償層の厚みは、好ましくは、0.5〜200μmの範囲である。前記第2の光学補償層の波長590nmにおける透過率(T[590])は、好ましくは、90%以上である。
前記第2の光学補償層のRe[590]は、例えば、10nm未満であり、好ましくは、5nm以下であり、より好ましくは、3nm以下である。
前記第2の光学補償層のRth[590]は、例えば、液晶セルの厚み方向の位相差値等に応じて、適宜、設定され得る。前記Rth[590]は、例えば、100〜400nmの範囲であり、好ましくは、120〜350nmの範囲であり、さらに好ましくは、150〜300nmの範囲である。
前記第2の光学補償層を形成する材料としては、屈折率がnx=ny>nzの関係(負の一軸性)を示すものであれば、任意の適切なものが採用され得る。前記材料としては、例えば、ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン−ビスフェノール)テレフタレート、ポリ(4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−コ−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート、ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインデン−5−イリデン)−ビスフェノール−コ−(4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート、ポリ(4,4’−イソプロピリデン−ビスフェノール−コ−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−コ−イソフタレート、またはこれらのコポリマーを採用してもよい。これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、前記第2の光学補償層としては、例えば、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂を含有する位相差フィルムが用いられ得る。これらの位相差フィルムは、全固形分100重量部に対して、熱可塑性樹脂を、好ましくは、60〜100重量部含む。
前記第2の光学補償層は、好ましくは、ポリイミド系樹脂を含有する位相差層(B1)、セルロース系樹脂を含有する位相差層(B2)、および前記位相差フィルム(B1)と前記位相差フィルム(B2)との積層体(C)のいずれかである。前記積層体(C)は、前記位相差フィルム(B1)が、接着層を介して、前記位相差フィルム(B2)に接合されたものであるか、または、前記位相差フィルム(B1)が、前記位相差フィルム(B2)の表面に、溶工等の方法によって、直接形成されたものであることが好ましい。
[ポリイミド系樹脂]
前記ポリイミド系樹脂がソルベントキャスティング法でシート状に成形された場合、溶剤の蒸発過程で、分子が自発的に配向しやすいため、楕円形がnx=ny>nzの関係(負の一軸性)を示す位相差フィルムを、非常に薄く作製することができる。前記ポリイミド系樹脂を含有する位相差フィルム(B1)の厚みは、好ましくは、0.5〜10μmの範囲であり、より好ましくは、1〜5μmの範囲である。前記位相差フィルム(B1)の厚み方向の複屈折率(Δnxz[590])は、好ましくは、0.01〜0.12の範囲であり、より好ましくは、0.02〜0.08の範囲である。このようなポリイミド系樹脂は、例えば、米国特許第5,344,916号公報に記載の方法によって得ることができる。
好ましくは、前記ポリイミド系樹脂は、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびトリフルオロメチル基の少なくとも一方の基を有する。より好ましくは、前記ポリイミド系樹脂は、下記一般式(8)で表される繰り返し単位、または下記一般式(9)で表される繰り返し単位を少なくとも有する。これらの繰り返し単位を含むポリイミド樹脂は、汎用溶剤に対する溶解性に優れるため、ソルベントキャスティング法によるフィルム形成が可能である。さらに、TACフィルム等の耐溶剤性に乏しい基材上にも、その表面を過度に侵食することなく、前記ポリイミド系樹脂の薄層を形成することができる。
前記一般式(8)および(9)において、GおよびG’は、それぞれ、共有結合、CH
2基、C(CH
3)
2基、C(CF
3)
2基、C(CX
3)
2基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO
2基、Si(CH
2CH
3)
2基、および、N(CH
3)基からなる群から選択される基であり、GおよびG’は同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(8)において、Lは、置換基であり、eは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、フェニル基、または置換フェニル基であり、Lが複数の場合、各Lは同一でも異なっていてもよい。eは、0〜3までの整数である。
前記一般式(9)中、Qは、置換基であり、fは、その置換数を表す。Qは、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、および置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子または基であって、Qが複数の場合、各Qは同一でも異なっていてもよい。fは、0〜4までの整数であり、gおよびhは、それぞれ、1〜3までの整数である。
前記ポリイミド系樹脂は、例えば、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとの反応によって得ることができる。前記一般式(8)の繰り返し単位は、例えば、ジアミンとして、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを用い、これと芳香環を少なくとも2つ有するテトラカルボン酸二無水物とを反応させて、得ることができる。前記一般式(9)の繰り返し単位は、例えば、テトラカルボン酸二無水物として、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物を用い、これと芳香環を少なくとも2つ有するジアミンとを反応させて、得ることができる。前記反応は、例えば、2段階で進行する化学イミド化であってもよいし、1段階で進行する熱イミド化であってもよい。
前記テトラカルボン酸二無水物は、任意の適切なものが選択され得る。前記テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’ −ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン酸二無水物等があげられる。
前記ジアミンは、任意の適切なものが選択され得る。前記ジアミンとしては、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等があげられる。
前記ポリイミド系樹脂は、ジメチルホルムアミド溶液(10mMの臭化リチウムと10mMのリン酸を加えメスアップして1Lのジメチルホルムアミド溶液としたもの)を展開溶媒とするポリエチレンオキサイド標準の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは、20000〜180000の範囲である。前記ポリイミド系樹脂は、イミド化率が、好ましくは、95%以上のものである。前記ポリイミド系樹脂のイミド化率は、例えば、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸由来のプロトンピークと、ポリイミド由来のプロトンピークとの積分強度比から求めることができる。
前記ポリイミド系樹脂を含有する位相差フィルム(B1)は、任意の適切な成形加工法によって得ることができる。好ましくは、前記位相差フィルム(B1)は、ソルベントキャスティング法によって、シート状に成形することによって作製される。
[セルロース系樹脂]
前記セルロース系樹脂は、任意の適切なものが採用され得る。前記セルロース系樹脂は、好ましくは、セルロースの水酸基の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基およびブチル基の少なくとも一つの基で置換された、セルロース有機酸エステルまたはセルロース混合有機酸エステルである。前記セルロース有機酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等があげられる。前記セルロース混合有機酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等があげられる。前記セルロース系樹脂は、例えば、特開2001−188128号公報[0040]〜[0041]に記載の方法により得ることができる。
前記セルロース系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(ポリスチレン標準)で測定した値が、好ましくは、20000〜1000000の範囲である。前記セルロース系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、110〜185℃の範囲である。前記ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じたDSC法により求めることができる。前記の樹脂であれば、より一層、優れた熱安定性を有し、より一層、機械的強度に優れた位相差フィルムを得ることができる。
前記セルロース系樹脂を含有する位相差フィルム(B2)は、任意の適切な成形加工法によって得ることができる。好ましくは、前記位相差フィルム(B2)は、ソルベントキャスティング法によって、シート状に成形することにより作製される。前記位相差フィルム(B2)は、例えば、市販のセルロース系樹脂を含有する高分子フィルムをそのまま用いることができる。若しくは、前記市販のフィルムに延伸処理および収縮処理の少なくとも一方の処理等の2次的加工を施したものを用いることができる。前記市販のフィルムとしては、例えば、富士写真フイルム(株)製の商品名「フジタック」シリーズ(ZRF80S、TD80UF、TDY−80UL)、コニカミノルタオプト(株)製の商品名「KC8UX2M」等が挙げられる。
前記第2の光学補償層として用いられる位相差フィルムは、さらに、任意の適切な添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、増粘剤等が挙げられる。前記添加剤の含有量は、好ましくは、主成分の樹脂100重量部に対し、0を超え10重量部以下である。
前記第2の光学補償層は、液晶性組成物を用いたものであってもよい。前記液晶性組成物が用いられる場合、前記第2の光学補償層は、プレーナ配列に配向させた棒状液晶化合物を含む液晶性組成物の固化層若しくは硬化層、またはカラムナー配列に配向させたディスコチック液晶化合物を含む液晶性組成物の固化層若しくは硬化層を含む。前記液晶化合物を用いれば、厚み方向の複屈折率が大きいため、薄型の位相差フィルムを得ることができる。
前記プレーナ配列に配向させた棒状液晶化合物を含む液晶性組成物の固化層若しくは硬化層からなる位相差フィルムは、例えば、特開2003−287623号公報に記載の方法により得ることができる。また、前記カラムナー配列に配向させたディスコチック液晶化合物を含む液晶性化合物の固化層若しくは硬化層からなる位相差フィルムは、例えば、特開平9−117983号公報に記載の方法によって得ることができる。
前記液晶セルは、前記第1の液晶パネルにおける液晶セルと同様である。
前記第1の偏光板と前記第2の偏光板は、互いに吸収軸が直交する関係で配置されていることが好ましい。前記第2の偏光板の厚みは、前記本発明の偏光板(第1の偏光板)と同様である。
前記第1の偏光板および前記第2の偏光板の少なくとも一方の偏光度は、好ましくは、99%以上である。前記偏光度を99%以上とすることで、より一層、正面方向のコントラスト比が高い液晶パネルを得ることができる。前記偏光度は、より好ましくは、99.5%以上であり、さらに好ましくは、99.8%以上である。前記偏光度は、例えば、分光光度計(村上色彩技術研究所(株)製の商品名「DOT−3」)を用いて測定できる。前記偏光度の具体的な測定方法としては、前記第1の偏光板および前記第2の偏光板の平行透過率(H0)および直交透過率(H90)を測定し、式:偏光度(%)={(H0−H90)/(H0+H90)}1/2×100より求めることができる。前記平行透過率(H0)は、同じ偏光板2枚を互いの吸収軸が平行となるように重ね合わせて作製した平行型積層偏光板の透過率の値である。前記直交透過率(H90)は、同じ偏光板2枚を互いの吸収軸が直交するように重ね合わせて作製した直交型積層偏光板の透過率の値である。なお、これらの透過率は、JIS Z 8701(1982年版)の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の偏光板または液晶パネルを含むことを特徴とする。図5の概略断面図に、本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す。同図においては、分かりやすくするために、各構成部材の大きさ、比率等は、実際とは異なっている。図示のとおり、この液晶表示装置200は、液晶パネル100と、前記液晶パネル100の一方の側に配置された直下方式のバックライトユニット80とを少なくとも備える。前記直下方式のバックライトユニット80は、光源81と、反射フィルム82と、拡散板83と、プリズムシート84と、輝度向上フィルム85とを少なくとも備える。なお、本例の液晶表示装置200では、バックライトユニットとして、直下方式が採用された場合を示しているが、本発明は、これに限定されず、例えば、サイドライト方式のバックライトユニットであってもよい。サイドライト方式のバックライトユニットは、前記の直下方式の構成に加え、さらに導光板と、ライトリフレクターとを少なくとも備える。なお、図5に例示した構成部材は、本発明の効果が得られる限りにおいて、液晶表示装置の照明方式や液晶セルの駆動モード等、用途に応じてその一部が省略され得るか、または、他の光学部材で代替され得る。
本発明の液晶表示装置は、液晶パネルのバックライト側から光を照射して画面を見る透過型であってもよいし、液晶パネルの視認側から光を照射して画面を見る反射型であってもよいし、透過型と反射型の両方の性質を併せ持つ、半透過型であってもよい。
本発明の液晶表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
本発明の液晶表示装置の好ましい用途は、テレビである。前記テレビの画面サイズは、好ましくは、ワイド17型(373mm×224mm)以上であり、より好ましくは、ワイド23型(499mm×300mm)以上であり、さらに好ましくは、ワイド32型(687mm×412mm)以上である。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例および比較例により何ら制限されない。なお、各実施例および各比較例における各種物性および特性は、下記の方法により評価若しくは測定した。
(波長550nmにおける面内位相差値Re[550]、厚み方向位相差値Rth[550]、ΔnおよびNz係数)
波長550nmにおける面内位相差値Re[550]、厚み方向位相差値Rth[550]、ΔnおよびNz係数は、王子計測機器(株)製、商品名「KOBRA−21ADH」を用いて測定した。
(厚み)
厚みが10μm未満の場合、薄膜用分光光度計(大塚電子(株)製、商品名「瞬間マルチ測光システム MCPD−2000」)を用いて測定した。厚みが10μm以上の場合、アンリツ製、デジタルマイクロメーター「KC−351C型」を使用して測定した。
[実施例1]
透明フィルム基材として、前記一般式(1)で示されるラクトン環含有アクリル系樹脂(LMMA)90重量部とアクリロニトリル−スチレン樹脂10重量部の混合物を押出成膜し、縦2.0倍、横2.4倍に延伸したフィルム(厚さ40μm、Re=0nm、Rth=0nm)を用いた。前記ラクトン環含有アクリル系樹脂としては、前記一般式(1)中、R1が水素原子、R2およびR3がメチル基であり、メタクリル酸メチルと2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとの共重合モノマー重量比が8:2であり、ラクトン環化率が約100%である樹脂を用いた。また、アクリロニトリル−スチレン樹脂としては、東洋スチレン(株)製、商品名「トーヨーAS AS20」を用いた。
一方、光学補償層の形成材料としては、前記構造式(I)および(II)で示される繰り返し単位を含む、ポリエチレン部位を含有するポリビニルアルコール系樹脂((株)クラレ製、商品名「エクセバール」RS−2117)を用いた。これと水を重量比1:9の割合で混合し、室温のもと20分間攪拌した。その後、ウォーターバスにより95℃まで混合溶液を加温し、2時間攪拌を続けた。ついで、ウォーターバスから取り出し、さらに室温で2時間攪拌して形成材料の塗工液を得た。
つぎに、前記透明フィルム基材(厚み:40μm)上に、前記塗工液を約150μmの厚みで塗布し、これを100℃で10分間の乾燥処理を行った。その結果、前記透明フィルム基材上に厚みが約16μmのポリビニルアルコール層が積層された積層体を得た。その後、この積層体を160℃の温度で、幅方向に延伸倍率3.00倍で延伸処理を行うことにより、前記透明フィルム基材上に厚みが約5μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。この光学フィルムは、nx>ny≒nzの関係を満たす光学特性を有する光学フィルムであった。
[実施例2]
前記延伸処理において、幅方向の延伸倍率3.00倍で延伸処理を行い、長手方向の収縮倍率0.90倍で収縮処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。その結果、前記透明フィルム基材上に厚みが約5.6μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。
[実施例3]
前記延伸処理において、幅方向の延伸倍率3.00倍で延伸処理を行い、長手方向の収縮倍率0.70倍で収縮処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。その結果、前記透明フィルム基材上に厚みが約7μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。
[実施例4]
前記延伸処理において、幅方向の延伸倍率を1.80倍で延伸処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。その結果、前記透明フィルム基材上に厚みが約8μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。
[実施例5]
前記延伸処理において、幅方向の延伸倍率を4.00倍で延伸処理を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で光学フィルムを作製した。その結果、前記透明フィルム基材上に厚みが約3.8μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。
[比較例1]TAC/ポリイミド(1.22倍延伸)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルとを出発原料として用い、定法に従ってポリイミドを調整した。得られたポリイミドを15wt%となるようにシクロヘキサノンに溶解することにより調整した溶液を、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム(株)製、商品名「TD−80UL」、厚み:80μm)上に約20μmの厚みで塗布した。ついで、120℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、前記TACフィルム上に厚みが約3μmのポリイミド層が積層された積層体を得た。その後、この積層体を160℃の温度で、幅方向に延伸倍率1.22倍で延伸処理を行うことにより、前記TACフィルム上に厚みが約2.4μmのポリイミド層が積層された光学フィルムを得た。この光学フィルムは、nx>ny>nzの関係を満たす光学特性を有する光学フィルムであった。
[比較例2]
比較例1と同様に調整したポリイミド溶液を、実施例1で用いた透明フィルム基材(LMMA含有フィルム、厚み:40μm)上に約20μmの厚みで塗布した。ついで、120℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、前記LMMAフィルム上に厚みが約3μmのポリイミド層が積層された積層体を得た。その後、この積層体を160℃の温度で、幅方向に延伸倍率1.22倍で延伸処理を行うことにより、前記LMMAフィルム上に厚みが約2.4μmのポリイミド層が積層された光学フィルムを得た。この光学フィルムは、nx>ny>nzの関係を満たす光学特性を有する光学フィルムであった。
[比較例3]
比較例1と同様に調整したポリイミド溶液を、比較例1で用いたTACフィルム(厚み:50μm)上に約20μmの厚みで塗布した。ついで、120℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、TACフィルム上に厚みが約3μmのポリイミド層が積層された積層体を得た。その後、この積層体を160℃の温度で、幅方向に延伸倍率1.23倍で延伸処理を行ったところ、ポリイミド層が白色化した。
[比較例4]LMMA/エチレン非含有PVA延伸(3.00倍延伸)
光学補償層の形成材料として、ポリエチレン部位を有しないポリビニルアルコール系樹脂((株)クラレ製、商品名「ポバール124」)を用いた。これと水を重量比1:9の割合で混合し、室温のもと20分間攪拌した。その後、ウォーターバスにより95℃まで水とポバールの混合溶液を加温し、2時間攪拌を続けた。ついで、ウォーターバスから前記混合溶液を取り出し、更に室温で2時間攪拌し、形成材料の塗工液を得た。
つぎに、実施例1で用いた透明フィルム基材(LMMA含有フィルム、厚み:40μm)上に、前記塗工液を約153μmの厚みで塗布した。ついで、100℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、前記透明フィルム基材上に厚みが約15.1μmのポリビニルアルコール層が積層された積層体を得た。その後、この積層体を160℃の温度で、幅方向に延伸倍率3.00倍で延伸処理を行うことにより、前記透明フィルム基材上に厚みが約4.8μmのポリビニルアルコール層が積層された光学フィルムを得た。この光学フィルムは、nx>ny≒nzの関係を満たす光学特性を有する光学フィルムであった。
[評価]
上記実施例および比較例で得られた光学フィルムの屈折率異方性、Δn(=nx−nz)、およびNz係数((nx−nz)/(nx−ny))を、表1に示す。実施例1〜5では、nx>ny≒nzを満たし、所望の位相差を発現し、かつNz係数が0.9〜2.0の範囲である光学特性を有する光学フィルムの形成を実現した。一方、比較例1〜4においては、所望の光学特性を得ることはできなかった。なお、比較例3においては、延伸工程においてポリイミド層が白色化したため、光学特性の測定をすることはできなかった。比較例4で得られた光学フィルムについては、nx>ny≒nzを満たす光学特性は得られたが、Δn値が0.0024と非常に小さく、本実施例の光学補償層と同等の位相差を得るためには、約10倍程度の厚さが必要となり、薄型化が望まれる用途に適当なものとはいえなかった。