JP5532581B2 - セラミック電子部品 - Google Patents
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Description
さらに、実装される電子部品の種類に応じて、融点が異なる複数種のはんだを用い、リフロー工程を複数回行う場合もある。
すなわち、外部端子電極とセラミック素体とでは熱膨張係数が異なるため、外部端子電極を焼き付ける工程における外部端子電極とセラミック素体の熱収縮挙動が異なる。そして、外部端子電極を焼き付けた後の冷却過程において、外部端子電極形成用の導電性ペーストに含まれるガラスの軟化点以下の温度では、外部端子電極とセラミック素体がガラスにより固定されることになる。その結果、ガラスの軟化点以下の温度域では、外部端子電極とセラミック素体の熱収縮量の差が応力として、セラミック素体の端面からセラミック素体の側面または上下の両主面への外部端子電極の回り込み部の先端部に残留することになる。
互いに対向する一対の主面と、互いに対向する一対の側面と、互いに対向する一対の端面と、を有するセラミック素体と、
前記セラミック素体の前記一対の端面上にそれぞれ形成され、互いに異なる電位に接続される一対の外部端子電極と、
を備えるセラミック電子部品であって、
前記外部端子電極はそれぞれ、前記端面から少なくとも前記一対の主面の真上に、他の層を介さずに回り込んだ回り込み部を有し、
前記回り込み部は、
前記一対の端面を結ぶ方向において前記端面側に位置し、前記主面と接合した基端側接合部と、
前記基端側接合部よりも、対向する端面側に位置し、前記主面と離間した先端側離間部と
を備えており、
前記回り込み部は、前記基端側接合部でのみ前記セラミック素体の前記主面と接合していること
を特徴としている。
0.05e≦x≦0.8e ……(1)
の条件を満足することを特徴としている。
0.1t≦y≦0.5t ……(2)
の条件を満足することを特徴としている。
なお、先端側離間部の長さxが0.05e未満になると、耐熱衝撃性が劣化し、また、0.8eを超えると、高温負荷試験におけるIRの劣化を招くおそれがあるため好ましくない。
なお、離間距離yが0.1t未満になると耐熱衝撃性が劣化し、0.5tを超えると、外部端子電極のセラミック素子への固着力が低下するおそれがあるため好ましくない。
第1の外部端子電極5aは、端面から少なくとも、第1、第2の主面11,12、第1,第2の側面(図示せず)に回り込んだ回り込み部15a,15bを有している。
そして、第1の外部端子電極5aの回り込み部15aは、それぞれ、一対の端面31,32を結ぶ方向において端面31側に位置し、第1の主面11,第2の主面12と接合された基端側接合部15a1と、基端側接合部15a1よりも、対向する端面側に位置し、第1の主面11および第2の主面12とは離間した先端側離間部15a2とを備えている。
0.05e≦x≦0.8e ……(1)
の条件を満足するように構成されている。
0.1t≦y≦0.5t ……(2)
の条件を満足するように構成されている。
この実施例1の積層セラミックコンデンサを構成する各部の詳細は以下の通りである。
この実施例1の積層セラミックコンデンサを構成するセラミック素体1は、複数の積層されたセラミック層2から形成されており、セラミック層2としては、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分からなる誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。
なお、本発明においては、セラミック素体1を構成するセラミックとして、PZT系セラミックなどの圧電体セラミックや、スピネル系セラミックなどの半導体セラミックなどを用いることも可能である。
外部端子電極5a,5bは、セラミック素体1の主面11,12だけでなく、側面(図示せず)まで回り込んでいてもよい。この場合、主面11,12側への回り込み部15a,15bと同様に、側面側への回り込み部も、基端側接合部と先端側離間部を備えていることが望ましい。
また、本発明において、回り込み部15a,15bの長さeは、300〜700μmであることが好ましい。
外部端子電極の構成材料としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。
また、外部端子電極5a,5bの、一対の端面31,32を結ぶ方向における先端側離間部15a2,15b2の長さxは、回り込み部15a,15bの長さeとの関係では、0.05e≦x≦0.8eとすることが望ましく、また、絶対値としては、セラミック素体の寸法にもよるが、通常は、15〜560μmとすることが望ましい。
また、外部端子電極5a,5bの先端側離間部15a2,15b2とセラミック素体1の主面11または12の間の離間距離yは、基端側接合部の厚さtとの関係では0.1t〜0.5tとすることが望ましく、また、絶対値としては、セラミック素体の寸法にもよるが、通常は、2〜20μmとすることが望ましい。
また、外部端子電極5a,5bの先端側離間部15a2,15b2の形状は本発明の範囲内において、さらに他の形状とすることも可能である。
また、外部端子電極5a,5bとめっき膜との間に、応力緩和用の樹脂層が形成されていてもよい。
この実施例の積層セラミックコンデンサにおいては、一対の内部電極3a,3bがそれぞれセラミック素体1の、互いに対向する一対の端面31,32に露出するように引き出される。一対の内部電極3a,3bが特定のセラミック層2を介して対向する部分において静電容量が発生する。
そして、内部電極3a,3bの焼成後の厚さは0.5〜2.0μmであることが好ましい。
次に、上述の積層セラミックコンデンサの製造方法について以下に説明する。
上記のセラミックグリーンシートや導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれるが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
また、外部端子電極用導電性ペーストとしては、ガラス成分が含まれるものが用いられることが多い。
なお、図5において、図1および2と同一符号を付した部分は、同一または相当する部分を示す。
なお、セラミック素体1は、面取りを行ったり、端面に内部電極を露出させたりする目的で、必要に応じてバレル研磨などの方法で研磨を行う。
なお、上述の樹脂ペースト8の量や塗布面積、塗布領域(塗布位置)を調整することにより、図1,2に示す、外部端子電極5a,5bの回り込み部15a,15bの先端側離間部15a2,15b2の長さxや、先端側離間部15a2,15b2とセラミック素体1の主面11,12との離間距離yなどの設計をコントロールすることができる。
導電性ペーストの塗布は、セラミック素体を導電性ペーストに浸漬するいわゆるディッピング法などの公知の種々の方法で行うことができる。
この導電性ペーストの焼き付けの工程で、樹脂ペーストに含まれる熱分解性樹脂は飛散して、外部端子電極の回り込み部の先端側がセラミック素体の主面から離間した先端側離間部が形成される。
すなわち、図1,2に示すように、セラミック素体1の端面31,32から、セラミック素体1の主面11,12および側面(図示せず)に回り込むように、回り込み部15a,15bが形成され、かつ、回り込み部15a,15bが、基端側接合部15a1,15b1および先端側離間部15a2,15b2を備えた構造を有する外部端子電極5a,5bが形成される。
これにより、図1,2に示すような構造を有する積層セラミックコンデンサが得られる。
上記の製造方法により、図1,2に示すような構造を有し、寸法が、長さL:2.0mm、幅W:1.2mm、高さT:1.2mmの積層セラミックコンデンサを作製した。
さらに、この条件下において、外部端子電極5a,5bの、先端側離間部15a2,15b2の長さxを、表1に示すように、0e、0.05e、0.1e、0.3e、0.5e、0.7e、0.8e、0.9e、1.0eと変化させる一方、外部端子電極5a,5bの先端側離間部15a2,15b2とセラミック素体1の主面11または12の間の離間距離yを0.1tとした。
(a)熱衝撃サイクル試験
−55℃と85℃の間で加熱・冷却を規定回数繰り返した後、クラックの有無を調べた。
(b)高温負荷試験
85℃の試験環境下で規定時間電圧印加し(1WV)、IRの劣化を調べた。
(c)固着力試験
外部端子電極を基板にはんだ付け実装した後、実装面に対して横方向からせん断応力を加え、試料が基板から外れたときの力の大きさを測定した(規格:30N以上)。
測定結果を表1に示す。
(a)熱衝撃サイクル試験についての評価
表1に示すように、熱衝撃サイクル試験の結果、先端側離間部を設けていない試料番号1の試料(比較例)の場合、熱衝撃サイクル2000サイクルでセラミック素体にクラックが発生した。
一方、先端側離間部の長さxが0.05e〜1.0eの範囲の試料番号2〜9の試料では、熱衝撃サイクルによるクラックは発生しなかった。これは、セラミック素体と基板間の熱収縮差により発生する応力が、先端側離間部により吸収、緩和されたことによるものである。
表1に示すように、先端側離間部の長さxが0.9e〜1.0eの試料番号8および9の試料において、高温負荷試験におけるIR劣化が発生した。試料番号8と9の試料の比較では、先端側離間部の長さxが長い試料番号9の試料の方がIR劣化の発生割合が増加している。なお、IR劣化は、先端側離間部からめっき液が浸入することによるものと考えられる。
表1に示すように、先端側離間部の長さxが長くなるほど(すなわち、基端側接合部の長さが短くなるほど)、外部端子電極の固着力は低下することが確認された。これは、先端側離間部の長さxが長くなると、外部端子電極とセラミック素体との固着面積が減少することから当然の結果であるということができる。また、先端側離間部の長さxが長く、基端側接合部のない試料番号9の試料(x=1.0e)の場合、外部端子電極とセラミック素体が剥離する前に、厚みの薄い先端側離間部で外部端子電極の破断が発生し、固着力も27Nと低くかった。
実験例1の場合と同様に、図1,2に示すような構造を有し、寸法が、長さL:2.0mm、幅W:1.2mm、高さT:1.2mmの積層セラミックコンデンサを作製した。
さらに、この条件下において、外部端子電極5a,5bの、先端側離間部15a2,15b2の長さxを、0.5eとした。
そして、上述のようにして条件を変えて作製した試料番号11〜18(表2参照)の各積層セラミックコンデンサ(試料)について、熱衝撃サイクル試験、高温負荷試験、および固着力試験を行い、特性を調べた。測定結果を表2に示す。
外部端子電極5a,5bの、先端側離間部15a2,15b2の長さxを、0.8e(上記実験例2ではx=0.5e)としたこと以外は、上記実験例2の場合と同じ条件で、試料番号21〜28の試料(積層セラミックコンデンサ)を作製した。
表2および3に示すように、熱衝撃サイクル試験の結果、先端側離間部の長さxが0.5e、0.8eのいずれの場合にも、先端側離間部を設けていない試料11,21の場合、熱衝撃サイクル2000サイクルでセラミック素体にクラックが発生した。
また、先端側離間部の長さxが0.5e、0.8eのいずれの場合にも、先端側離間部とセラミック素体の主面の間の離間距離yを0.1t、0.2t、0.3t、0.4t、0.5t、0.7t、0.9tとした試料番号12〜18の試料(表2)、および試料番号22〜28の試料(表3)では、熱衝撃サイクルによるクラックは発生しなかった。これは、セラミック素体と基板間の熱収縮差により発生する応力が、先端側離間部により吸収、緩和されたことによるものである。
表2および3に示すように、先端側離間部の長さxが0.5e、0.8eのいずれの場合にも、先端側離間部とセラミック素体の主面との間の離間距離yを0t、0.1t、0.2t、0.3t、0.4t、0.5t、0.7t、0.9tとした試料番号11〜18の試料(表2)、および、試料番号21〜28の試料(表3)のすべての条件で、IR劣化の発生は認められなかった。
表2,3に示すように、先端側離間部の長さxが0.5e、0.8eのいずれの場合にも、離間距離yの値が大きくなるほど、外部端子電極の固着力が低下し、離間距離yが0.7tを超えると、固着力が30Nを下回ることが確認された。
また、離間距離yの値が大きくなるほど、先端側離間部における外部端子電極の厚みは薄くなり、試料番号17,18、27,28では、外部端子電極とセラミック素体が剥離する前に、厚みの薄い先端側離間部で外部端子電極の破断が発生した。
2 セラミック層
3a 第1の内部電極
3b 第2の内部電極
5a 第1の外部端子電極
5b 第2の外部端子電極
8 樹脂ペースト
9 導電性ペースト
11 第1の主面
12 第2の主面
15a1,15b1 基端側接合部
15a2,15b2 先端側離間部
15a,15b 外部端子電極の回り込み部
31 第1の端面
32 第2の端面
e 回り込み部の長さ
x 先端側離間部の長さ
t 回り込み部の厚さ
y 先端側離間部とセラミック素体の主面との間隔
Claims (3)
- 互いに対向する一対の主面と、互いに対向する一対の側面と、互いに対向する一対の端面と、を有するセラミック素体と、
前記セラミック素体の前記一対の端面上にそれぞれ形成され、互いに異なる電位に接続される一対の外部端子電極と、
を備えるセラミック電子部品であって、
前記外部端子電極はそれぞれ、前記端面から少なくとも前記一対の主面の真上に、他の層を介さずに回り込んだ回り込み部を有し、
前記回り込み部は、
前記一対の端面を結ぶ方向において前記端面側に位置し、前記主面と接合した基端側接合部と、
前記基端側接合部よりも、対向する端面側に位置し、前記主面と離間した先端側離間部と
を備えており、
前記回り込み部は、前記基端側接合部でのみ前記セラミック素体の前記主面と接合していること
を特徴とする、セラミック電子部品。 - 前記端面を起点として、前記一対の端面を結ぶ方向における前記回り込み部の長さをeとし、前記一対の端面を結ぶ方向における前記先端側離間部の長さをxとしたとき、下記の式:(1)
0.05e≦x≦0.8e ……(1)
の条件を満足することを特徴とする、請求項1に記載のセラミック電子部品。 - 前記外部端子電極の前記回り込み部の、前記基端側接合部の厚さをt、前記先端側離間部と前記セラミック素体の主面との間の離間距離をyとしたとき、下記の式:(2)
0.1t≦y≦0.5t ……(2)
の条件を満足することを特徴とする、請求項1または2に記載のセラミック電子部品。
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