JP5532122B2 - 電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム板を交流エッチングして電解コンデンサ用アルミニウム電極板を製造する方法に関するものである。
アルミニウム電解コンデンサに用いるアルミニウム電極を交流エッチングにより製造するにあたっては、原理的には、エッチング液中に配置した2つの電極の間にアルミニウム箔もしくはアルミニウム板を配置するとともに、2つの電極の間に交流電流を印加して、アルミニウム箔もしくはアルミニウム板の表面にエッチング層を形成する。アルミニウム電解コンデンサは、その要求性能の一つとして投影単位面積当たりの静電容量が高いことが求められており、このような要求性能を実現するために、エッチング層のピットが深く、CV積が大きい電解コンデンサ用電極板が求められている。
交流エッチングにおいては、主としてエッチング液中の塩酸と交流電流とによってアルミニウムが溶解し、アルミニウム板にピットが形成される。ピットは、処理時間と共に成長して緻密に集積し、海綿状のピット集合体を形成し、エッチング層の厚さが増していく。一方で、ピット内では溶解したアルミニウムイオンが高濃度化する。そのため、ピットの深さがある程度以上になると、高濃度化したアルミニウムイオンがエッチング液ならびに電解によるアルミニウムの不要な溶解を引き起こし、ピット集合体の成長を妨げてしまう。つまり、エッチング層の厚さを増大させると、ピット集合体の浅い部分が崩れてしまい、ピット集合体を好ましい形状に維持することができない。本発明者の実験によれば、エッチング層の厚さが70μm程度に到達すると、ピット集合体の成長が著しく妨げられる傾向にある。
特許文献1には、電極間に設けられたアルミニウム板の下方から、エッチング液に気泡を混ぜて循環供給しながらアルミニウム板をエッチングする電解コンデンサ用アルミニウム電極の製造方法が開示されている。この製造方法によれば、エッチング層の形成時に過剰なエッチングの進行を抑制して微細なポーラス構造の破壊を抑制することができる。よって、静電容量の高い電解コンデンサ用アルミニウム電極を製造することができる。
特開2009−105191号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、過剰なエッチングの進行を抑制できるものの、バッチ操業を行う場合にエッチング液に混合した気泡がアルミニウム板の上部に集まり、その除去作業や消泡作業に多大な手間がかかるという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、多大な手間をかけずに、エッチング層を厚く形成した場合においても投影単位面積当たりの静電容量の高いアルミニウム電解コンデンサ用電極板を得ることのできる電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法では、有底壁のエッチング槽内に貯留されたエッチング液中に1または複数の電極および当該電極の少なくとも1の面と対向する1または複数のアルミニウム板を配置して交流エッチングをバッチ式で行うにあたって、
前記電極と前記アルミニウム板とに挟まれた流路空間に対して、当該流路空間の下方から上方に向けて前記エッチング液よりアルミニウムイオン濃度が低いエッチング液を、下式の条件
0.002 m/s≦流速v≦0.015m/s
v=Q÷S
v:流速
S:前記流路空間の断面積
Q:前記流路空間への単位時間当たりのエッチング液供給量
で供給し、前記アルミニウム板に片面当たり70μm以上の深さのエッチング層を形成することを特徴とする。
本発明における「アルミニウムイオン濃度が低いエッチング液」とはアルミニウムイオン濃度が0である場合を含む意味である。
本発明において、前記流速vについては以下の条件
0.004 m/s≦流速v≦0.010m/s
に設定することがより好ましい。
本発明では、エッチング液中において1または複数の電極および当該電極の少なくとも1の面と対向するアルミニウム板を配置し、対向する電極とアルミニウム板との間に交流電流を通してアルミニウム板の一方の面または両面に交流エッチングを施す。本発明においては、電極とエッチングされるアルミニウム板間の交流電流の印加方法は限定しない。本願の発明者は、エッチング処理中のエッチング液の流動に関して種々検討した結果、エッチングされるアルミニウム板の表面を通過するエッチング液の流速を所定速度として供給すると共に、このエッチング液のアルミニウムイオン濃度をエッチング槽内のアルミニウムイオン濃度よりも低く設定して供給すると、CV積の高いアルミニウム電解コンデンサ用アルミニウム電極板が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明では、電極とアルミニウム板との間の流路空間にエッチング液を0.002〜0.015m/sの流速で流す。ここで、本発明では、エッチング液の流速を、流路空間の断面積をS、流路空間への単位時間当たりのエッチング液の供給量をQとしたときに、v(流速)=Q÷Sにより算出される値であると定義している。より好ましくは、この流速を0.004〜0.010m/sとするのが良い。かかる構成によれば、推定ではあるが、ピット内のアルミニウムイオンがエッチング液の流動によってピット外に安定して移動して排除され易くなり、結果として、好ましいピット形状を崩すことなく、深くエッチングを行うことができる。また、ピットの内外にアルミニウムイオンの濃度差が生じ、アルミニウムイオンがピット外に拡散され易くなる。これにより、アルミニウムイオンをピット内から効率よく除去することができる。よって、エッチング層を厚く形成した場合においても、CV積が大きく、投影単位面積当たりの静電容量の高いアルミニウム電解コンデンサ用電極板が得られる。また、これにより、大容量のコンデンサを実現でき、装置の小型化を達成できる。加えて、製造時の作業性がよく簡易に製造でき、気泡の除去作業や消泡作業なども不要であるため、製造装置や付帯設備が複雑化しないという効果も得られる。
本願の発明者の検討によれば、エッチング液の流速が0.002m/s未満では、アルミニウム板に接するエッチング液の流動が極端に低くなり、ピット内からのアルミニウムイオンの排出量が極めて少なくなる。その結果として、深いエッチング層を形成したときには浅い部分のピットの形状が崩れてしまい、静電容量が低下してしまう。一方、流速が0.015m/sを超えるとエッチング液に乱流が生じて流れが安定しなくなり、アルミニウムイオンの移動が安定しなくなる。その上、それまでに形成されたエッチング層の溶解も激しくなるため、結果としてピット形状が崩れてしまい、静電容量が低下してしまう。よって、上記のように流速を設定するのが好ましい。
本発明において、前記流路空間に供給される前記エッチング液は、前記エッチング槽からオーバーフローしたエッチング液と、当該エッチング液よりもアルミニウムイオン濃度が低いエッチング液とを混合したものであることが好ましい。かかる構成によれば、オーバーフローしたエッチング液を再生エッチング液として再利用することができる。
本発明において、前記エッチング槽の底壁部には、前記アルミニウム板と前記電極に挟まれる前記流路空間に向けて前記エッチング液を供給するエッチング液供給口が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、エッチング液の流れが流路空間全体に均等に形成され、流路空間の下端から上端までスムーズにエッチング液が流れる。よって、アルミニウム板の表面全体においてアルミニウムイオンをピット内から効率よく除去することができ、均一なエッチングを行うことができる。このとき、前記アルミニウム板の一方面側の前記流路空間に向けて前記エッチング液を供給するエッチング液供給口と、他方面側の前記流路空間に向けて前記エッチング液を供給するエッチング液供給口を設けた構成としてもよい。かかる構成によれば、アルミニウム板を両面エッチングできる。
本発明を適用した電解コンデンサ用アルミニウム電極板は、例えば、電解質として機能性高分子が用いられるアルミニウム電解コンデンサの陽極として用いられる。すなわち、本発明を適用した電解コンデンサ用アルミニウム電極板は、表面に誘電体膜が形成され、当該誘電体膜上に機能性高分子層が形成されて、電解コンデンサに用いられる。
本発明では、電極とアルミニウム板との間の流路空間にエッチング液を0.002〜0.015m/sの流速で流すことにより、ピット内のアルミニウムイオンがピット外に安定して移動して排除され易くなり、また、ピットの内外にアルミニウムイオンの濃度差が生じ、アルミニウムイオンがピット外に拡散され易くなる。これにより、アルミニウムイオンをピット内から効率よく除去することができる。結果として、好ましいピット形状を崩すことなく、深くエッチングを行うことができる。よって、エッチング層を厚く形成した場合においても、CV積が大きく、投影単位面積当たりの静電容量の高いアルミニウム電解コンデンサ用電極板が得られる。また、これにより、大容量のコンデンサを実現でき、装置の小型化を達成できる。加えて、製造時の作業性がよく簡易に製造でき、気泡の除去作業や消泡作業なども不要であるため、製造装置や付帯設備が複雑化しないという効果も得られる。
本発明を適用した電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法および製造装置を模式的に示す説明図である。 実施例1のエッチング条件により製造したエッチング板のCV積を示すグラフである。 実施例2のエッチング条件により製造したエッチング板のCV積を示すグラフである。 実施例1におけるエッチング層の厚さとCV積の最大上昇率との関係を示すグラフである。 本発明を適用したエッチング条件により製造したエッチング板の画像解析写真およびエッチングピットの輪郭線の説明図である。 比較例のエッチング条件により製造したエッチング板の画像解析写真およびエッチングピットの輪郭線の説明図である。
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造装置の構成)
図1は、本発明を適用した電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造装置(エッチング装置)の一例を模式的に示す説明図である。図1には、エッチング装置に5枚の電極が配置され、計4枚のアルミニウム板をエッチング可能なエッチング装置を示してある。なお、電極の枚数については3枚以上とすることができるが、2枚とすることも可能である。
図1に示すように、本発明を適用した電解コンデンサ用アルミニウム電極板のバッチ式製造装置(以下、エッチング装置100という)は、後述する塩酸系のエッチング液40が貯留されたエッチング槽30と、エッチング液40中で対向するように配置された3枚以上の電極20と、電源装置80とを有している。電極20は、カーボンや白金等、エッチング液中での電解に溶解しない導電体からなる。エッチング槽30は樹脂などの絶縁体からなる。
本形態のエッチング装置100において、電源装置80は、3枚以上の電極20のうち、両端に配置された電極20a、20eに配線接続されており、かかる2つの電極20a、20eの間に交流電流を印加する。
また、3枚以上の電極20において対向し合う電極20の各間には、アルミニウム板10が配置されており、電極20とアルミニウム板10とが交互に配置されている。すなわち、エッチング装置100では、電極20(電極20a)、アルミニウム板10(アルミニウム板10a)、電極20(電極20b)、アルミニウム板10(アルミニウム板10b)、電極20(電極20c)、アルミニウム板10(アルミニウム板10c)、電極20(電極20d)、アルミニウム板10(アルミニウム板10d)、電極20(電極20e)が互いに対向した状態でこの順に並んでいる。ここで、電極20はアルミニウム板10よりも幅寸法が大である。
このように構成したエッチング装置100において、両端に配置された電極20a、20eの間に交流電流を印加すると、いずれのアルミニウム板10においてもその両面が交流エッチングされる。その際、3枚以上の電極20のうち、両端に配置された電極20a、20e以外の電極20b、20c、20dは、電源装置80と配線接続されておらず、電気的にフローティング状態にある。また、アルミニウム板10同士は、互いに分割されており、アルミニウム板10は電源装置80と配線接続されていない。このため、アルミニウム板10は、電気的にフローティング状態にある。
かかる構成では、両端に配置された電極20a、20e以外の電極20b、20c、20d、および各電極20間に配置されたアルミニウム板10には、給電を行なわなくてもよいため、装置構成が簡素であり、電極20の交換等のメンテナンスの際においても手間がかからない。さらに、一部の電極20のみに配線を接続すればよいので、各電極20への配線抵抗等のバランスが崩れるという事態が発生しない。それ故、アルミニウム板10に対するエッチング電流密度が安定している。以上は電極20が3枚以上でアルミニウム板が電源装置80と電気的にフローティング状態となっている場合を説明しているが、電極20が2枚で、その間にアルミニウム板10が1枚または複数枚配置されていてもよく、電極20が1枚で、アルミニウム板10が1枚でもよい。このように電極20とアルミニウム板10がそれぞれ1枚で一対一の場合は、電極20(20a)とアルミニウム板10(10a)が交流電源に接続されることになり、アルミニウム板10(10a)は片面のみのエッチングとなる。本願においては、電極20の枚数、アルミニウム板10の枚数、および電源装置80との電気的な接続方式は限定するものではない。
本形態のエッチング装置100において、エッチング槽30には、相対向する側壁32、33の双方に複数枚の板部36が所定の間隔で形成されており、かかる板部36によって、エッチング槽30の内壁と電極20との間を塞ぐ電極用遮蔽部51が形成されている。本形態において、電極用遮蔽部51は、電極20の幅方向の両側に形成されている。また、電極用遮蔽部51は、内側に開口したまま上下方向に延在するスリット状に形成されており、かかるスリットは、電極20の幅方向の両端部が差し込まれる電極保持用のスリットである。また、本形態のエッチング装置100において、エッチング槽30には、板部36によって、エッチング槽30の内壁とアルミニウム板10との間を塞ぐアルミニウム板用遮蔽部52が形成されている。本形態において、アルミニウム板用遮蔽部52は、アルミニウム板10の幅方向の両側に形成されている。また、アルミニウム板用遮蔽部52は、内側に開口したまま上下方向に延在するスリット状に形成されており、かかるスリットは、アルミニウム板10の幅方向の両端部が差し込まれるアルミニウム板保持用のスリットである。
このように構成したエッチング装置100において、電極用遮蔽部51に電極20を挿入し、アルミニウム板用遮蔽部52にアルミニウム板10を挿入すると、エッチング槽30には、電極20とアルミニウム板10とによって複数のエッチング室35(流路空間)が区画される。ここで、複数のエッチング室35に対しては、エッチング室35毎にエッチング液を供給する複数のエッチング液供給口55が設けられている。本形態において、複数のエッチング液供給口55は、エッチング槽30の壁面のうち、底壁34で開口している。従って、エッチング槽30の底部には、1枚のアルミニウム板10に対して、その両面側に位置する2つのエッチング室35(流路空間)の各々に向けて開口するエッチング液供給口55が設けられている。より具体的には、アルミニウム板10の一方面側のエッチング室35(流路空間)に向けてエッチング液を供給するエッチング液供給口55と、アルミニウム板10の他方面側のエッチング室35(流路空間)に向けてエッチング液を供給するエッチング液供給口55とが設けられている。
かかるエッチング槽30においてエッチング液供給口55が開口する底壁34に対して電極20が配置される側とは反対側、すなわち、底壁34の下方には、複数のエッチング液供給口55に連通するエッチング液供給路38が区画形成されている。エッチング液供給路38には複数枚の仕切り板53が設けられており、エッチング液供給路38は、この仕切り板53によって、エッチング室35に対して1対1で対応する個室381に区画されており、隣り合う個室381同士は独立して形成されている。このように、各個室381を仕切り板53によって完全に分離したことにより、複数のエッチング室35の間で電気的な影響を及ぼし合うことがより確実に防止されている。
エッチング槽30における側壁33の上端寄りの位置には、複数のオーバーフロー口61(エッチング液流出口)が形成されており、かかるオーバーフロー口61は、複数のエッチング室35の各々からエッチング液をオーバーフローさせる。エッチング槽30の側壁33の外面側には、オーバーフローしてきたエッチング液をオーバーフロー口61の下方位置において回収するための回収路39が構成されている。
本形態のエッチング装置100は、オーバーフローしてきたエッチング液の一部を成分調整してエッチング槽に再供給するためのエッチング液循環装置62を備えている。エッチング液循環装置62は、回収路39の下方に設けられたオーバーフロー槽63と、オーバーフロー槽63の底部に接続された循環流路64と、循環流路64の下流部分と各個室381とを接続しているパイプ42を備えている。循環流路64の下流部分はエッチング液供給路38の各個室381の配列方向に沿って延びており、この部分に各パイプ42が接続されている。各パイプ42には、循環流路64から各個室381へのエッチング液の供給量を制御するための流量調整バルブ65(流量調整手段)が設けられている。
エッチング液循環装置62は、オーバーフロー槽63内のエッチング液の一部を抜き取るための配管66(流出手段)と、この配管66からの抜き取り量を調整するための定量抜きバルブ67(流出手段)とを備えている。また、外部から供給される成分調整用のエッチング液を循環流路64の上流部分に合流させるための配管68(流入手段)と、この配管68からのエッチング液の供給量を調整するための定量供給バルブ69(流入手段)とを備えている。エッチング液循環装置62は、流量調整バルブ65、定量抜きバルブ67、定量供給バルブ69の流量および開閉タイミングを制御可能に構成されている。例えば、配管66からの抜き取り量と配管68からの供給量が同一となるように制御し、エッチング槽30内の液量を一定に維持する。また、一定時間にオーバーフロー槽63に流入するエッチング液のうち、どれだけの量を抜き取って配管68からのエッチング液に置き換えるかを制御する。
かかるエッチング液循環装置62において、回収路39に流出したエッチング液は、オーバーフロー槽63に全量が流入した後、その一部が配管66を介して抜き取られ、抜き取り後の残量が、循環流路64において配管68から新たに流入するエッチング液と混合される。そして、混合後のエッチング液(以下、再生エッチング液という)は、各パイプ42を経由して各個室381へ供給される。各個室381に設けられたエッチング液供給口55は、アルミニウム板10の下端部を挟む両側近傍に開口している。このため、エッチング液供給口55からエッチング室35に供給されるエッチング液は、アルミニウム板10の表面に沿って下から上へ流動する。
(電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法)
本形態において、アルミニウム板10は、例えば、電解質として、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の機能性高分子が用いられるアルミニウム電解コンデンサの陽極(電解コンデンサ用アルミニウム電極板)を構成するのに用いられる。すなわち、アルミニウム板10は、エッチングされた後、その表面に陽極酸化皮膜が形成されて、アルミニウム固体電解コンデンサの陽極として用いられる。
本形態では、アルミニウム板10におけるアルミニウム純度を99.98質量%以上とする。このようにすると、アルミニウム板10の靭性が高く、電解コンデンサを製造する際の取り扱いが容易である。これに対し、アルミニウム純度が下限値未満であると、硬度が増して靭性が低下し、取り扱い中に割れ等の損傷が生じる虞があり、好ましくない。アルミニウム板10は、Al以外の元素(Fe、Si、Cu、Ga、V、Ni、Ti、Zrなど)の含有量を限定するものではないが、好ましくは、Fe50ppm以下、Cu40ppm以下、Si60ppm以下とするのがよい。また、アルミニウム板10の厚さは目的によって種々の厚さとすればよいが、例えば、150μm乃至1mm、通常は300〜400μmのものが用いられる。
本形態では、当該アルミニウム板10に、一次電解処理として低濃度塩酸水溶液で交流エッチングを施す。なお、前処理として、アルミニウム板10に脱脂洗浄や軽度のエッチングを施すことにより、表面酸化膜を除去すると好ましい。一次電解処理は、上記のエッチング装置100を用いて行うことができる。
一次電解処理でエッチング液(電解液)として用いる低濃度塩酸水溶液には、例えば、1.5〜2.4mol/lの塩酸と0.05〜0.5mol/lの硫酸を含有する水溶液が用いられる。そして、液温度は40〜55℃、周波数は10〜25Hz、交流波形は正弦波形、矩形波形、交直重畳波形等、電流密度は40〜50A/dm2、処理時間は30〜60秒の条件でエッチング処理し、アルミニウム板10の表面に多数のピットを形成する。
一次電解処理の後に、主電解処理を施すことにより、アルミニウム板10の両面に海綿状のピット集合体を形成する。本形態では、この主電解処理を、上記のエッチング装置100において、エッチング液循環装置62により各エッチング室35に再生エッチング液を供給しながら行う。すなわち、本形態では、本発明の製造方法を、主電解処理に適用している。
主電解処理で用いるエッチング液(電解液)には、例えば、4〜6mol/lの塩酸と0.05〜0.5mol/lの硫酸を含有する水溶液が用いられる。そして、エッチング処理の条件を、例えば、液温度は一次電解処理よりも低い20〜35℃、周波数は30〜60Hz、交流波形は正弦波形、矩形波形、交直重畳波形等、電流密度は一次電解処理よりも低い20〜30A/dm2、処理時間は所定のエッチング層厚さ(例えば、片面で70μm以上、両面の合計で140μm以上)までエッチングできる時間に設定する。
更に、エッチング処理の条件として、各エッチング室35をアルミニウム板10の両面に沿って下から上へ流れるエッチング液の流速、および、各エッチング室35に供給する再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度を設定する。アルミニウムイオン濃度は、12グラム/リットル以下を目標とすればよい。主電解処理においては、配管68から循環流路64に供給されるエッチング液を、エッチング槽30内のエッチング液よりもアルミニウムイオン濃度が低いもの、具体的には、アルミニウムイオンを実質的に含有していないエッチング液とし、あるいはまた、該液と、エッチング処理によってアルミニウムイオン濃度が高濃度化したエッチング液とを混合する。これにより、再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度を、エッチング槽30内のエッチング液よりも低い濃度とすることが好ましい。具体的な濃度設定は、例えば、エッチング槽30内のアルミニウムイオン濃度を基準(100%)として、その何%の濃度とするかを設定する。
一方、流速は、0.002〜0.015m/sの範囲内の値に設定するのが好ましいが、より好ましくは、0.004〜0.010m/sとするのが良い。ここで、本形態における流速の定義は、各エッチング室35がアルミニウム板10と電極20との間に設けられた上下に延びる等断面形状の流路空間であるため、エッチング室35の断面積(流路面積)をS、各エッチング室35への再生エッチング液の単位時間当たりの供給量をQとしたとき、下記の式(1)により算出した値(v)になると考えることができる。供給量Qとしては、各流量調整バルブ65を流れる単位時間当たりの流量を用いることができる。
v(m/s)=Q(m3/s)÷S(m2)・・・・式(1)
本形態では、上記のエッチング条件に従ってエッチング処理を行い、一次電解処理で穿孔したピットを更に穿孔する。なお、一次電解処理を行った後、主電解処理を行う前に、交直重畳波形を用いて一次電解処理で穿孔したピットを活性化させてから主電解処理に移行することにより、主電解処理を確実に進行させることができる。かかる処理では、例えば、デューティ比を約0.07〜0.09とし、電流密度は12〜17A/dm2の条件で60秒程度エッチング処理する。これにより、厚さ70μm以上のエッチング層を形成することが可能となる。
主電解処理においては、上記のようなエッチング条件の設定により、ピット形成に寄与しない溶解を少なくして、海綿状のエッチング層を深くまで形成することができる。具体的には、1平方ミリメートルあたり数千〜数十万の海綿状のピットを穿孔することができる。従って、本発明により製造された電解コンデンサ用アルミニウム電極板(エッチド板)は、エッチング倍率が高く、静電容量が高い電極板となる。
本願の発明者は、本願の製造方法におけるエッチング処理方法である交流エッチングについて、以下のように考察している。すなわち、交流エッチングにおいては、陽極時にアルミニウム板10のAlがAl3+となってエッチング液中に溶解拡散する。生成されたAl3+の一部は陰極時に(OH)一基と反応してAl(OH)3となりピット面に析出するが、残りの反応生成物は、その一部がエッチング液に拡散してピット外に排除され、一部はピット内のエッチング液中に残存する。この一連の繰り返しにより、Alの溶解しやすい起点の位置が移動しながらエッチングが進行し、アルミニウム板10が海綿状に深くエッチングされる。このとき、従来の交流エッチングでは、エッチング深さが深くなるに従って、アルミニウム板10がピット状に穿孔され難くなり、塩酸を含有するエッチング液やその他の影響により、エッチングされた部分のピット形状が崩れてくる。このため、更にエッチング処理を続けると、エッチング層の浅い部分でピット形状の崩壊が進み、静電容量が低下してしまう。
このような現象は、ピット内に反応生成物が堆積し、エッチング条件が徐々に変化するために発生するものと考えられる。そこで、本願の発明者は、以下のような考察に基づき、上記の主電解処理に用いたエッチング液の供給条件を設定している。すなわち、アルミニウム板10の表面に、エッチング槽30内のエッチング液よりもアルミニウムイオン濃度が低いエッチング液を供給すれば、ピット内外のアルミニウムイオンの濃度差により、ピット内のアルミニウムイオンがピット外のエッチング液側に排出されやすくなり、ピットの形成およびエッチングの進行を妨げるアルミニウムイオンが減少する。その結果、好ましい形状のピットが深くエッチングされ緻密に集合した海綿状のエッチング層を形成できるものと考えられる。具体的なエッチング液の供給方法としては、オーバーフローするエッチング液を一定量ずつ抜き取ってアルミニウムイオンを除去したエッチング液と混合することにより、エッチング処理によって高アルミニウムイオン濃度となったエッチング液をアルミニウムイオン濃度の低いエッチング液に再生し、これをエッチング槽30内に再供給する。
更に、ピット形成においては、エッチング層の表面に沿って流れるエッチング液の流速が影響すると考えられる。すなわち、エッチング槽30の底から供給したエッチング液を、アルミニウム板10の表面に沿って下から上へ流し、このときの流速を0.002〜0.015m/sに保つようにすれば、ピット内のアルミニウムイオンがピット外に安定して移動し易くなると考えられる。エッチング液はアルミニウム板10の表面近傍では速度勾配によって流速が遅くなり、ピット内のアルミニウムイオンが拡散しにくくなる。具体的には、エッチング液の流速が0.002 m/s未満になると、ピットからのアルミニウムイオンの排出量が減少し、ピット形状の崩壊が進んでしまう。一方、流速が0.015m/sを超えると、アルミニウム板10の表面に沿って乱流が生じるため、アルミニウムイオンを安定してピットから排出できなくなる。加えて、乱流によってピット形状の崩壊が進んでしまう。このような検討から、好ましい流速の範囲を0.002〜0.015m/sとしている。
以上のように、本形態のエッチング装置100、および、このエッチング装置100を用いた電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法によれば、アルミニウム板10の表面のエッチング層において、ピット内のアルミニウムイオンがエッチング液の流動によってピット外に安定して移動して排除され易くなり、結果として、好ましいピット形状を崩すことなく、深くエッチングを行うことができる。また、アルミニウムイオン濃度が低い再生エッチング液によってピットの内外にアルミニウムイオンの濃度差が生じ、アルミニウムイオンがピット外に拡散され易くなる。これにより、アルミニウムイオンをピット内から効率よく除去することができ、エッチング液ならびに電解による有効なエッチングを促進できる。よって、CV積が大きく、投影単位面積当たりの静電容量の高いアルミニウム電解コンデンサ用電極板が得られる。また、これにより、大容量のコンデンサを実現でき、装置の小型化を達成できる。加えて、製造時の作業性がよく簡易に製造でき、気泡の除去作業や消泡作業なども不要であるため、製造装置や付帯設備が複雑化しない。その上、高い生産性でアルミニウム電解コンデンサ用電極板を製造できる。
また、本形態では、オーバーフローしたエッチング液の一部を再生エッチング液として再利用することができ、この際、オーバーフロー液の全量に対する抜き取り量および新たなエッチング液の混合量の比率を制御することにより、再生エッチング液を所望のアルミニウムイオン濃度とすることができる。更に、再生エッチング液をエッチング槽30の槽底から供給して、アルミニウム板に沿って下から上へエッチング液を流すことにより、流路空間全体に均等にエッチング液の流れを形成することにより、アルミニウム板の表面全体においてアルミニウムイオンをピット内から効率よく除去することができ、均一なエッチングを行うことができる。
(エッチング条件によるCV積の変化の確認)
図2〜4は各種のエッチング条件により製造したエッチング板のCV積のデータである。図2、4は実施例1のエッチング条件によるデータ、図3は実施例2のエッチング条件によるデータである。実施例1、2では、図1を参照して説明したエッチング方法およびエッチング装置100により、アルミニウム板10(厚さ0.35mm)をエッチングした後、アジピン酸アンモニウム水溶液中で陽極酸化を行ない、10Vの耐電圧を備えた酸化膜を形成したときのアジピン酸アンモニウム水溶液中での静電容量Cおよび皮膜耐電圧Vを測定し、CV積の値を求めた。
(実施例1)
実施例1では、エッチング室35に供給する再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度割合を一定(エッチング槽30内のアルミニウムイオン濃度を100としたときに、その60%のアルミニウムイオン濃度)として、エッチング液の流速vおよびエッチング時間を変動させた場合のCV積を変化を検証した。実施例1では、図1記載の装置を用い、アルミニウム板のアルミニウム純度を99.98質量%以上とし、アルミニウム板の投影面積の合計500cm2、電解液量50リットル、初期のアルミニウムイオン濃度4グラム/リットルとした。エッチング槽30内からオーバーフローするエッチング液100部のうちの40部を抜き出し、その残量にアルミニウムイオンが実質的に添加されていないエッチング液40部を新たに混合した再生エッチング液を槽底から供給してエッチング処理を行った。エッチング液の流速v(供給量Q/流路断面積S)は、0.001〜0.020m/sの範囲の各種の値とした。また、エッチング時間は、両面の合計で60μm、100μm、140μm、220μmの各厚さのエッチング層を形成する時間とした。結果を図2に示す。図2の横軸は流速(m/s)であり、縦軸はCV積の上昇率(%)である。実施例1のCV積の上昇率(%)は、流速を0.002m/sとした場合のCV積を100%として、この値に対する比率を示している。また、図2の4本のグラフは、4段階のエッチング時間(エッチング層の両面合計厚さ)に対応している。
実施例1のエッチング条件でエッチングされたアルミニウム板のエッチング深さを顕微鏡で観察したところ、エッチング深さは、どの板も両面はほぼ同じ深さにエッチングされていた。図2の結果から、流速を増していくに従ってCV積が増加しており、CV積にピークが存在することが判る。従って、エッチング槽30内のエッチング液よりもアルミニウムイオン濃度の低いエッチング液を再生エッチング液として供給することが好ましいこと、および、再生エッチング液の流速を0.002〜0.015m/sの範囲とすることが好ましいことが判る。すなわち、この条件において、高いCV積の値が得られている。
図2に示すように、形成するエッチング層の厚さによってCV積の最大上昇率が異なっている。図4は、図2のデータに基づいてエッチング層の厚さとCV積の最大上昇率との関係を示したものであり、横軸はエッチング層の厚さ、縦軸はCV積の最大上昇率である。図4に示すように、エッチング層の両面合計厚さが120μm(片面で60μm)の近辺に変曲点がみられ、両面合計厚さを140μm(片面で70μm)以上とした場合に、CV積の上昇率が大きくなっている。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同じ装置、同じ投影面積、液量、初期アルミニウムイオン濃度とした。エッチング室35におけるエッチング液の流速v(供給量Q/流路断面積S)を0.005m/sで一定とし、エッチング室35に供給する再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度、および、エッチング時間を変動させた場合のCV積の変化を検証した。結果を図3に示す。図3の横軸は再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度(エッチング槽30内のアルミニウムイオン濃度を100%とした場合の濃度割合)であり、縦軸はCV積の上昇率(%)であり、再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度をエッチング槽30内と同一(100%)とした場合のCV積を100%として、この値に対する比率を示している。実施例2において、実施例1と同様の要領で、オーバーフローするエッチング液に対して、抜き出すエッチング液量および混合するエッチング液の液量を調整することにより、アルミニウムイオン濃度を変動させた。また、エッチング時間については、実施例1と同様に、エッチング層の両面合計厚さが60μm、100μm、140μm、220μmの各厚さとなる時間とした。
図3の結果から、再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度が低い場合にCV積が増加していることが判る。また、エッチング層の両面合計厚さが140μmを超える場合に、CV積の上昇率がそれ以下の厚さのものと比べて大きいことが判る。また、図2ではエッチング層の両面合計厚さが140μmを超える場合にCV積が106%を超えたが、図3からは、両面合計厚さ140μmではアルミニウムイオン濃度を60%より薄くした場合にCV積が106%を超え、両面合計厚さ220μmでは、アルミニウムイオン濃度を70%より薄くした場合に106%を超えることが判る。
(画像解析によるエッチング状態の確認)
図5、6はエッチング板におけるピットの画像解析写真およびエッチングピットの輪郭線を示した説明図であり、図5は本形態のエッチング条件(再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度割合30%、流速0.005m/s、エッチング層両面合計厚さ220μm)によりエッチング処理を行ったエッチング板、図6は比較例のエッチング条件(再生エッチング液のアルミニウムイオン濃度割合100%、流速0.005m/s、エッチング層両面合計厚さ220μm)によりエッチング処理を行ったエッチング板である。
図5(a)はエッチング板表面の安定していない層を表面から20μmの深さまで削除した面の画像解析写真であり、図5(b)は表面から50μmの深さまで削除した面の画像解析写真、図5(c)は表面から100μmの深さまで削除した面の画像解析写真である。また、図6(a)〜(c)も同様に、表面から20μm、50μm、100μmの各深さまで削除した面の画像解析写真である。各写真において、黒い点状の箇所がエッチングピットを表し、灰色箇所が未エッチング部分を表す。図5(d)〜(f)は、図5(a)〜(c)を画像処理してエッチングピットの輪郭線の抽出を試みたものである。同様に、図6(d)〜(f)は、図6(a)〜(c)を画像処理してエッチングピットの輪郭線の抽出を試みたものである。
図5(a)〜(f)から、本形態のエッチング条件では、表面から20μm、50μm、100μmの各位置において、エッチングのされ方はほぼ同等と判断でき、深くエッチングできていることが判る。好ましいエッチング状態が得られたために、実施例1、2ではCV積の上昇率が高くなったものと考察できる。
一方、図6(a)〜(f)から、比較例では全体にエッチング状態が悪く、しかも、表層から50μmの位置と表層から100μmの位置におけるエッチング状態を比較したとき、表層から100μmのエッチング状態はエッチングのされている部分が少ない。つまり、エッチング時間を長く取って無作為に深くエッチングしても、良好なエッチングピット形状に進行しないことが判る。
本発明によれば、アルミニウム板10の表面に、好ましいピット形状を崩すことなく、深くエッチングを行うことができる。よって、エッチング層を厚く形成した場合においても、CV積が大きく、投影単位面積当たりの静電容量の高いアルミニウム電解コンデンサ用電極板が得られる。また、これにより、大容量のコンデンサを実現でき、装置の小型化を達成できる。加えて、製造時の作業性がよく簡易に製造でき、気泡の除去作業や消泡作業なども不要であるため、製造装置や付帯設備が複雑化しないという効果も得られる。
10 アルミニウム板
20 電極
30 エッチング槽
32 側壁
33 側壁
34 底壁
35 エッチング室(流路空間)
36 板部
38 エッチング液供給路
381 個室
39 回収路
40 エッチング液
42 パイプ
51 電極用遮蔽部
52 アルミニウム板用遮蔽部
53 仕切り板
55 エッチング液供給口
61 オーバーフロー口(エッチング液流出口)
62 エッチング液循環装置
63 オーバーフロー槽
64 循環流路
65 流量調整バルブ(流量調整手段)
66 配管(流出手段)
67 定量抜きバルブ(流出手段)
68 配管(流入手段)
69 定量供給バルブ(流入手段)
80 電源装置
100 エッチング装置(製造装置)

Claims (4)

  1. 有底壁のエッチング槽内に貯留されたエッチング液中に1または複数の電極および当該電極の少なくとも1の面と対向する1または複数のアルミニウム板を配置して交流エッチングをバッチ式で行うにあたって、
    前記電極と前記アルミニウム板とに挟まれた流路空間に対して、当該流路空間の下方から上方に向けて前記エッチング液よりアルミニウムイオン濃度が低いエッチング液を、下式の条件
    0.002 m/s≦流速v≦0.015m/s
    v=Q÷S
    v:流速
    S:前記流路空間の断面積
    Q:前記流路空間への単位時間当たりのエッチング液供給量
    で供給し、前記アルミニウム板に片面当たり70μm以上の深さのエッチング層を形成することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法。
  2. 前記流速vを以下の条件
    0.004 m/s≦流速v≦0.010m/s
    に設定することを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法。
  3. 前記流路空間に供給される前記エッチング液は、前記エッチング槽からオーバーフローしたエッチング液と、当該エッチング液よりもアルミニウムイオン濃度が低いエッチング液とを混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法。
  4. 前記エッチング槽の底壁部には、前記アルミニウム板と前記電極に挟まれる前記流路空間に向けて前記エッチング液を供給するエッチング液供給口が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電解コンデンサ用アルミニウム電極板の製造方法。
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