(第1実施形態)
図1〜11により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明の車両用空調装置を、内燃機関(エンジン)EGおよび走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る、いわゆるハイブリッド車両に適用している。図1〜4は、車両用空調装置1の全体構成図である。
この車両用空調装置は、車室内を冷房する冷房モード(COOLサイクル)、車室内を暖房する暖房モード(HOTサイクル)、車室内を除湿する第1除湿モード(DRY_EVAサイクル)および第2除湿モード(DRY_ALLサイクル)の冷媒回路を切替可能に構成された蒸気圧縮式の冷凍サイクル10を備えている。図1〜4は、それぞれ、冷房モード、暖房モード、第1、第2除湿モード時の冷媒の流れを実線矢印で示している。
なお、第1除湿モードは、暖房能力に対して除湿能力を優先する除湿モードであり、第2除湿モードは、除湿能力に対して暖房能力を優先する除湿モードである。従って、第1除湿モードを低温除湿モードあるいは単なる除湿モード、第2除湿モードを高温除湿モードあるいは除湿暖房モードと表現することもできる。
冷凍サイクル10は、圧縮機11、室内熱交換器としての室内凝縮器12および室内蒸発器26、冷媒を減圧膨張させる減圧手段としての温度式膨張弁27および固定絞り14、並びに、冷媒回路切替手段としての複数(本実施形態では5つ)の電磁弁13、17、20、21、24等を備えている。
また、この冷凍サイクル10では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、この冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、この冷凍機油は冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、エンジンルーム内に配置され、冷凍サイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機構11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機として構成されている。固定容量型圧縮機構11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。
電動モータ11bは、インバータ61から出力される交流電圧によって、その作動(回転数)が制御される交流モータである。また、インバータ61は、後述する空調制御装置50から出力される制御信号に応じた周波数の交流電圧を出力する。そして、この回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、電動モータ11bは、圧縮機11の吐出能力変更手段を構成している。
圧縮機11の吐出側には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、車両用空調装置の室内空調ユニット30において車室内へ送風される送風空気の空気通路を形成するケーシング31内に配置されて、その内部を流通する冷媒と後述する室内蒸発器26通過後の送風空気とを熱交換させることで送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。なお、室内空調ユニット30の詳細については後述する。
室内凝縮器12の冷媒出口側には、電気式三方弁13が接続されている。この電気式三方弁13は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって、その作動が制御される冷媒回路切替手段である。
より具体的には、電気式三方弁13は、電力が供給される通電状態では、室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続する冷媒回路に切り替え、電力の供給が停止される非通電状態では、室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手15の1つの冷媒流入出口との間を接続する冷媒回路に切り替える。
固定絞り14は、暖房モード、第1および第2除湿モード時に、電気式三方弁13から流出した冷媒を減圧膨張させる暖房除湿用の減圧手段である。この固定絞り14としては、キャピラリチューブ、オリフィス等を採用できる。もちろん、暖房除湿用の減圧手段として、空調制御装置50から出力される制御信号によって絞り通路面積が調整される電気式の可変絞り機構を採用してもよい。固定絞り14の冷媒出口側には、後述する第3三方継手23の冷媒流入出口が接続されている。
第1三方継手15は、3つの冷媒流入出口を有し、冷媒流路を分岐する分岐部として機能するものである。このような三方継手は、冷媒配管を接合して構成してもよいし、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けて構成してもよい。また、第1三方継手15の別の冷媒流入出口には、室外熱交換器16の一方の冷媒流入出口が接続され、さらに別の冷媒流入出口には、低圧電磁弁17の冷媒入口側が接続されている。
低圧電磁弁17は、冷媒流路を開閉する弁体部と、弁体部を駆動するソレノイド(コイル)を有し、空調制御装置50から出力される制御電圧によって、その作動が制御される冷媒回路切替手段である。より具体的には、低圧電磁弁17は、通電状態で開弁して非通電状態で閉弁する、いわゆるノーマルクローズ型の開閉弁として構成されている。
低圧電磁弁17の冷媒出口側には、第1逆止弁18を介して、後述する第5三方継手28の1つの冷媒流入出口が接続されている。この第1逆止弁18は、低圧電磁弁17側から第5三方継手28側へ冷媒が流れることのみを許容している。
室外熱交換器16は、エンジンルーム内に配置されて、内部を流通する冷媒と送風ファン16aから送風された車室外空気(外気)とを熱交換させるものである。送風ファン16aは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
さらに、本実施形態の送風ファン16aは、室外熱交換器16のみならず、エンジンEGの冷却水を放熱させるラジエータ(図示せず)にも室外空気を送風している。具体的には、送風ファン16aから送風された車室外空気は、室外熱交換器16→ラジエータの順に流れる。
また、図1〜4の破線で示す冷却水回路には、冷却水を循環させるための図示しない冷却水ポンプが配置されている。この冷却水ポンプは、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(冷却水循環量)が制御される電動式の水ポンプである。
室外熱交換器16の他方の冷媒流入出口には、第2三方継手19の1つの冷媒流入出口が接続されている。この第2三方継手19の基本的構成は、第1三方継手15と同様である。また、第2三方継手19の別の冷媒流入出口には、高圧電磁弁20の冷媒入口側が接続され、さらに別の冷媒流入出口には、熱交換器遮断電磁弁21の一方の冷媒流入出口が接続されている。
高圧電磁弁20および熱交換器遮断電磁弁21は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって、その作動が制御される冷媒回路切替手段であり、その基本的構成は、低圧電磁弁17と同様である。但し、高圧電磁弁20および熱交換器遮断電磁弁21は、通電状態で閉弁して非通電状態で開弁する、いわゆるノーマルオープン型の開閉弁として構成されている。
高圧電磁弁20の冷媒出口側には、第2逆止弁22を介して、後述する温度式膨張弁27の絞り機構部入口側が接続されている。この第2逆止弁22は、高圧電磁弁20側から温度式膨張弁27側へ冷媒が流れることのみを許容している。
熱交換器遮断電磁弁21の他方の冷媒流入出口には、第3三方継手23の1つの冷媒流入出口が接続されている。この第3三方継手23の基本的構成は、第1三方継手15と同様である。また、第3三方継手23の別の冷媒流入出口には、前述の如く、固定絞り14の冷媒出口側が接続され、さらに別の冷媒流入出口には、除湿電磁弁24の冷媒入口側が接続されている。
除湿電磁弁24は、空調制御装置50から出力される制御電圧によって、その作動が制御される冷媒回路切替手段であり、その基本的構成は、低圧電磁弁17と同様である。さらに、除湿電磁弁24もノーマルクローズ型の開閉弁として構成されている。そして、本実施形態の冷媒回路切替手段は、電力の供給が停止されると予め定めた開弁状態あるいは閉弁状態となる電気式三方弁13、低圧電磁弁17、高圧電磁弁20、熱交換器遮断電磁弁21、除湿電磁弁24の複数(5つ)の電磁弁によって構成される。
除湿電磁弁24の冷媒出口側には、第4三方継手25の1つの冷媒流入出口が接続されている。この第4三方継手25の基本的構成は、第1三方継手15と同様である。また、第4三方継手25の別の冷媒流入出口には、温度式膨張弁27の絞り機構部出口側が接続され、さらに別の冷媒流入出口には、室内蒸発器26の冷媒入口側が接続されている。
室内蒸発器26は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側に配置されて、その内部を流通する冷媒と送風空気とを熱交換させて送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
室内蒸発器26の冷媒出口側には、温度式膨張弁27の感温部入口側が接続されている。温度式膨張弁27は、絞り機構部入口から内部へ流入した冷媒を減圧膨張させて絞り機構部出口から外部へ流出させる冷房用の減圧手段である。
より具体的には、本実施形態では、温度式膨張弁27として、室内蒸発器26出口側冷媒の温度および圧力に基づいて室内蒸発器26出口側冷媒の過熱度を検出する感温部27aと、感温部27aの変位に応じて室内蒸発器26出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように絞り通路面積(冷媒流量)を調整する可変絞り機構部27bとを1つのハウジング内に収容した内部均圧型膨張弁を採用している。
温度式膨張弁27の感温部出口側には、第5三方継手28の1つの冷媒流入出口が接続されている。この第5三方継手28の基本的構成は、第1三方継手15と同様である。また、第5三方継手28の別の冷媒流入出口には、前述の如く、第1逆止弁18の冷媒出口側が接続され、さらに別の冷媒流入出口には、アキュムレータ29の冷媒入口側が接続されている。
アキュムレータ29は、第5三方継手28から、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、余剰冷媒を蓄える低圧側気液分離器である。さらに、アキュムレータ29の気相冷媒出口には、圧縮機11の冷媒吸入口が接続されている。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、前述の室内蒸発器26、室内凝縮器12、ヒータコア36、PTCヒータ37等を収容したものである。
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内の送風空気流れ最上流側には、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する図示しない内外気切替箱が配置されている。
より具体的には、内外気切替箱には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替箱の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
従って、内外気切替ドアは、ケーシング31内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる吸込口モードを切り替える風量割合変更手段を構成する。より具体的には、内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータ62によって駆動され、この電動アクチュエータ62は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、吸込口モードとしては、内気導入口を全開とするとともに外気導入口を全閉としてケーシング31内へ内気を導入する内気モード、内気導入口を全閉とするとともに外気導入口を全開としてケーシング31内へ外気を導入する外気モード、さらに、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整することにより、内気と外気の導入比率を連続的に変化させる内外気混入モードがある。
内外気切替箱の空気流れ下流側には、内外気切替箱を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置50から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
送風機32の空気流れ下流側には、前述の室内蒸発器26が配置されている。さらに、室内蒸発器26の空気流れ下流側には、室内蒸発器26通過後の空気を流す加熱用冷風通路33、冷風バイパス通路34といった空気通路、並びに、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34から流出した空気を混合させる混合空間35が形成されている。
加熱用冷風通路33には、室内蒸発器26通過後の空気を加熱するための加熱手段としてのヒータコア36、室内凝縮器12、およびPTCヒータ37が、送風空気流れ方向に向かってこの順で配置されている。ヒータコア36は、車両走行用駆動力を出力するエンジンEGの冷却水と室内蒸発器26通過後の空気とを熱交換させて、室内蒸発器26通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
また、PTCヒータ37は、PTC素子(正特性サーミスタ)を有し、電力を供給されることによって発熱して、室内凝縮器12通過後の空気を加熱する電気ヒータである。なお、本実施形態のPTCヒータ37は、複数本(具体的には3本)設けられており、空調制御装置50が、通電するPTCヒータ37の本数を変化させることによって、複数のPTCヒータ37全体としての加熱能力が制御される。
一方、冷風バイパス通路34は、室内蒸発器26通過後の空気を、ヒータコア36、室内凝縮器12、およびPTCヒータ37を通過させることなく、混合空間35に導くための空気通路である。従って、混合空間35にて混合された送風空気の温度は、加熱用冷風通路33を通過する空気および冷風バイパス通路34を通過する空気の風量割合によって変化する。
そこで、本実施形態では、室内蒸発器26の空気流れ下流側であって、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34の入口側に、加熱用冷風通路33および冷風バイパス通路34へ流入させる冷風の風量割合を連続的に変化させるエアミックスドア38を配置している。
従って、エアミックスドア38は、混合空間35内の空気温度(車室内へ送風される送風空気の温度)を調整する温度調整手段を構成する。より具体的には、エアミックスドア38は、エアミックスドア用の電動アクチュエータ63によって駆動され、この電動アクチュエータ63は、空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間35から冷却対象空間である車室内へ温度調整された送風空気を吹き出す吹出口(図示せず)が配置されている。この吹出口としては、具体的に、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口が設けられている。
また、フェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口の開口面積を調整するフェイスドア、フット吹出口の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ吹出口の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、吹出口モードを切替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、図示しないリンク機構を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータ64に連結されて連動して回転操作される。なお、この電動アクチュエータ64も、空調制御装置50から出力される制御信号によってその作動が制御される。
また、吹出口モードとしては、フェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモード、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出すバイレベルモード、フット吹出口を全開するとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出すフットモード、およびフット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開口して、フット吹出口およびデフロスタ吹出口の双方から空気を吹き出すフットデフロスタモードがある。
さらに、乗員が後述する操作パネル60のスイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両フロント窓ガラス内面に空気を吹き出すデフロスタモードとすることもできる。
なお、本実施形態の車両用空調装置1が適用されるハイブリッド車両は、車両用空調装置とは別に、図示しない電熱デフォッガを備えている。電熱デフォッガとは、車室内窓ガラスの内部あるいは表面に配置された電熱線であって、窓ガラスを加熱することで防曇あるいは窓曇り解消を行うものである。この電熱デフォッガについても空調制御装置50から出力される制御信号によって、その作動を制御できるようになっている。
次に、図5により、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置50は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61、冷媒回路切替手段を構成する各電磁弁13、17、20、21、24、送風ファン16a、送風機32、各種電動アクチュエータ62、63、64等の作動を制御する。
なお、空調制御装置50は、上述した各種機器を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、本実施形態では、特に、圧縮機11の吐出能力変更手段である電動モータ11bの作動(冷媒吐出能力)を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)を吐出能力制御手段50aとする。もちろん、吐出能力制御手段50aを空調制御装置50に対して別体で構成してもよい。
また、空調制御装置50の入力側には、車室内温度Trを検出する内気センサ51、外気温Tamを検出する外気センサ52(外気温検出手段)、車室内の日射量Tsを検出する日射センサ53、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdを検出する吐出温度センサ54(吐出温度検出手段)、圧縮機11の吐出側冷媒圧力(高圧側冷媒圧力)Pdを検出する吐出圧力センサ55(吐出圧力検出手段)、室内蒸発器26からの吹出空気温度(蒸発器温度)Teを検出する蒸発器温度センサ56(蒸発器温度検出手段)、第1三方継手15と低圧電磁弁17との間を流通する冷媒の温度Tsiを検出する吸入温度センサ57、エンジン冷却水温度Twを検出する冷却水温度センサ、車室内の窓ガラス近傍の車室内空気の相対湿度を検出する湿度センサ、窓ガラス近傍の車室内空気の温度を検出する窓ガラス近傍温度センサ、および窓ガラス表面温度を検出する窓ガラス表面温度センサ等のセンサ群の検出信号が入力される。
なお、本実施形態の圧縮機11の吐出側冷媒圧力(高圧側冷媒圧力)Pdは、冷房モードでは、圧縮機11の冷媒吐出口側から温度式膨張弁27の可変絞り機構部27b入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力であり、その他の運転モードでは、圧縮機11の冷媒吐出口側から固定絞り14入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力となる。なお、吐出圧力センサ55は、一般的な冷凍サイクルにおいても、高圧側冷媒圧力の異常上昇を監視するために設けられている。
また、蒸発器温度センサ56は、具体的に室内蒸発器26の熱交換フィン温度を検出している。もちろん、蒸発器温度センサ56として、室内蒸発器26のその他の部位の温度を検出する温度検出手段を採用してもよいし、室内蒸発器26を流通する冷媒自体の温度を直接検出する温度検出手段を採用してもよい。また、湿度センサ、窓ガラス近傍温度センサ、および窓ガラス表面温度センサの検出値は、窓ガラス表面の相対湿度RHWを算出するために用いられる。
さらに、空調制御装置50の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル60に設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル(図示せず)に設けられた各種空調操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の作動スイッチ、運転モードの切替スイッチ、吹出口モードの切替スイッチ、送風機32の風量設定スイッチ、車室内温度設定スイッチ、冷凍サイクルの省動力化を優先させる指令を出力するエコノミースイッチ等が設けられている。
次に、図6により、上記構成における本実施形態の作動を説明する。図6は、本実施形態の車両用空調装置1の制御処理を示すフローチャートである。この制御処理は、車両システムが停止している場合でも、バッテリから空調制御装置50に電力が供給されることによって実行される。
まず、ステップS1では、プレ空調のスタートスイッチ、あるいは操作パネル60の車両用空調装置1の作動スイッチが投入(ON)されたか否かを判定する。そして、プレ空調のスタートスイッチ、あるいは車両用空調装置の作動スイッチが投入されるとステップS2へ進む。
なお、プレ空調とは、乗員が車両に乗り込む前に車室内の空調を開始する空調制御である。プレ空調のスタートスイッチは、乗員が携帯する無線端末(リモコン)に設けられている。従って、乗員は車両から離れた場所から車両用空調装置1を始動させることができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1が適用されるハイブリッド車両では、バッテリに対して商用電源(外部電源)から電力を供給することによって、バッテリの充電を行うことができる。そこで、プレ空調は、車両が外部電源に接続されている場合は所定時間(例えば、30分間)だけ行われ、外部電源に接続されていない場合は、バッテリ残量が所定量以下となるまで行うようになっている。
ステップS2では、フラグ、タイマ、制御変数等のイニシャライズ(初期化)、および上述した電動アクチュエータを構成するステッピングモータの初期位置合わせ等が行われる。
次のステップS3では、操作パネル60の操作信号を読み込んでステップS4へ進む。具体的な操作信号としては、車室内温度設定スイッチによって設定される車室内設定温度Tset、吹出口モードの選択信号、吸込口モードの選択信号、送風機32の風量の設定信号等がある。
ステップS4では、空調制御に用いられる車両環境状態の信号、すなわち上述のセンサ群51〜57の検出信号を読み込んで、ステップS5へ進む。ステップS5では、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。さらに、暖房モードでは、暖房用熱交換器目標温度を算出する。目標吹出温度TAOは、下記数式F1により算出される。TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(F1)
ここで、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気センサ51によって検出された内気温、Tamは外気センサ52によって検出された外気温、Tsは日射センサ53によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
また、暖房用熱交換器目標温度は、基本的に上述の数式F1にて算出される値となるが、消費電力の抑制のために数式F1にて算出されTAOよりも低い値とする補正が行われる場合もある。
続くステップS6〜S16では、空調制御装置50に接続された各種機器の制御状態が決定される。まず、ステップS6では、空調環境状態に応じて、冷房モード、暖房モード、第1除湿モードおよび第2除湿モードの選択およびPTCヒータ37に対する通電有無の決定が行われる。このステップS6の詳細については、図7を用いて説明する。
まず、ステップS61では、プレ空調を行っているか否かを判定する。ステップS61にてプレ空調を行っていると判定された場合は、ステップS62へ進み、外気温Tamが−3℃よりも低いか否かを判定する。ステップS62にて外気温Tamが−3℃よりも低いと判定された場合は、ステップS63にてPTCヒータ37への通電の必要があると判定してステップS7へ進む。
このように外気温Tamが−3℃よりも低いときにPTCヒータ37への通電が必要であると判定する理由は、外気温Tamが−3℃よりも低いときに冷凍サイクル10にて暖房を行うと、サイクルの高低圧差が大きくなり、サイクル効率(COP)が低下してしまうとともに、室外熱交換器16における冷媒蒸発温度が低くなり、室外熱交換器16に着霜するおそれがあるからである。
ステップS62にて外気温Tamが−3℃よりも低くなっていないと判定された場合は、ステップS64へ進み、吹出口モードがフェイスモードであるか否かを判定する。ステップS64にて吹出口モードがフェイスモードであると判定された場合は、ステップS65へ進み、COOLサイクルを選択してステップS7へ進む。その理由は、後述するステップS9で説明するように、フェイスモードは主に夏季に選択される運転モードだからである。
ステップS64にて吹出口モードがフェイスモードでないと判定された場合は、ステップS66へ進み、吸込口モードが内気モードであるか否かを判定する。ステップS66にて吸込口モードが内気モードでないと判定された場合は、ステップS70へ進み、HOTサイクルを選択してステップS7へ進む。
ステップS66にて吸込口モードが内気モードであると判定された場合は、窓曇りが生じている可能性が高いものとしてステップS67へ進む。ステップS67では、除湿の必要度合に応じてサイクルの選択を行う。具体的には、ステップS67にて、2(℃)<2−Te(吹出し空気温度)と判定されたときは、除湿の必要性はないものとして、ステップS70へ進み、HOTサイクルを選択してステップS7へ進む。
ステップS67にて、1(℃)<2−Te≦2(℃)と判定されたときは、除湿の必要性は少ないものとして、ステップS69へ進み、除湿能力よりも暖房能力を優先させるDRY_ALLサイクルを選択してステップS7へ進む。さらに、1−Te≦1(℃)のときは、除湿の必要性があるものとして、ステップS68へ進み、暖房能力よりも除湿能力を優先させるDRY_EVAサイクルを選択してステップS7へ進む。
一方、ステップS61にてプレ空調を行っていないと判定された場合は、ステップS71へ進み、外気温Tamが−3℃よりも低いか否かを判定する。ステップS71にて外気温Tamが−3℃よりも低いと判定された場合は、ステップS72へ進み、COOLサイクルを選択してステップS7へ進む。
ステップS71にて外気温Tamが−3℃よりも低くなっていないと判定された場合は、ステップS73へ進み、吹出口モードがフェイスモードであるか否かを判定する。ステップS73にて吹出口モードがフェイスモードであると判定された場合は、ステップS74へ進み、COOLサイクルを選択してステップS7へ進む。その理由はステップS64と同様である。
ステップS73にて吹出口モードがフェイスモードでないと判定された場合は、前述のステップS66へ進む。
図6に示すステップS7では、送風機32により送風される空気の目標送風量を決定する。具体的には、電動モータに印加するブロワモータ電圧を、ステップS4で決定されたTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。
より詳細には、本実施形態では、TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)でブロワモータ電圧を最大値付近の高電圧にして、送風機32の風量を最大風量付近に制御する。また、TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇すると、TAOの上昇に応じてブロワモータ電圧を減少して、送風機32の風量を減少させる。
さらに、TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下すると、TAOの低下に応じてブロワモータ電圧を減少して、送風機32の風量を減少させる。また、TAOが所定の中間温度域内に入ると、ブロワモータ電圧を最小値にして送風機32の風量を最小値にする。
ステップS8では、吸込口モード、すなわち内外気切替箱の切替状態を決定する。この吸込口モードもTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。本実施形態では、基本的に外気を導入する外気モードが優先されるが、TAOが極低温域となって高い冷房性能を得たい場合等に内気を導入する内気モードが選択される。さらに、外気の排ガス濃度を検出する排ガス濃度検出手段を設け、排ガス濃度が予め定めた基準濃度以上となったときに、内気モードを選択するようにしてもよい。
ステップS9では、吹出口モードを決定する。この吹出口モードもTAOに基づいて、予め空調制御装置50に記憶された制御マップを参照して決定する。本実施形態では、TAOが低温域から高温域へと上昇するにつれて吹出口モードをフットモード→バイレベルモード→フェイスモードへと順次切り替える。
従って、夏季は主にフェイスモード、春秋季は主にバイレベルモード、そして冬季は主にフットモードが選択される。さらに、湿度センサ等の検出値から算出される窓ガラス表面の相対湿度RHWに基づいて、窓ガラスに曇りが発生する可能性が高いと判定された場合に、フットデフロスタモードあるいはデフロスタモードを選択するようにしてもよい。
ステップS10では、エアミックスドア38の目標開度SWを上記TAO、蒸発器温度センサ56によって検出された室内蒸発器26からの吹出空気温度Te、加熱器温度に基づいて算出する。
ここで、加熱器温度とは、加熱用冷風通路33に配置された加熱手段(ヒータコア36、室内凝縮器12、およびPTCヒータ37)の加熱能力に応じて決定される値であって、一般的には、エンジン冷却水温度Twを採用できる。従って、目標開度SWは、次の数式F2により算出できる。SW=[(TAO−Te)/(Tw−Te)]×100(%)…(F2)
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア38の最大冷房位置であり、冷風バイパス通路34を全開し、加熱用冷風通路33を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア38の最大暖房位置であり、冷風バイパス通路34を全閉し、加熱用冷風通路33を全開する。
ステップS11では、圧縮機11の冷媒吐出能力(具体的には、回転数)を決定する。ここで、圧縮機11の基本的な回転数の決定手法を説明する。例えば、冷房モードでは、ステップS4で決定したTAO等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、室内蒸発器26からの吹出空気温度Teの目標吹出温度TEOを決定する。
そして、この目標吹出温度TEOと吹出空気温度Teの偏差En(TEO−Te)を算出し、この偏差Enと、今回算出された偏差Enから前回算出された偏差En−1を減算した偏差変化率Edot(En−(En−1))とを用いて、予め空調制御装置50に記憶されたメンバシップ関数とルールとに基づいたファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fCn−1に対する回転数変化量ΔfCを求める。
また、暖房モードでは、ステップS4で決定した暖房用熱交換器目標温度等に基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている制御マップを参照して、吐出側冷媒圧力(高圧側冷媒圧力)Pdの目標高圧PDOを決定し、この目標高圧PDOと吐出側冷媒圧力Pdの偏差Pn(PDO−Pd)を算出する。さらに、この偏差Pnと、前回算出された偏差Pn−1に対する偏差変化率Pdot(Pn−(Pn−1))とを用いて、ファジー推論に基づいて、前回の圧縮機回転数fHn−1に対する回転数変化量ΔfHを求める。
本実施形態のステップS11のより詳細な制御内容については、図8を用いて説明する。まず、ステップS111では、COOLサイクル時の回転数変化量ΔfCを求める。図8のステップS111には、ルールとして用いるファジールール表を記載している。このルール表では、上述の偏差Enと偏差変化率Edotに基づいて室内蒸発器26の着霜が防止されるようにΔfCが決定される。
ステップS112では、HOTサイクル、DRY_EVAサイクルおよびDRY_ALLサイクル時の回転数変化量ΔfHを求める。図8のステップS112には、ルールとして用いるファジールール表を記載している。このルール表では、上述の偏差Pnと偏差変化率Pdotに基づいて高圧側冷媒圧力Pdの異常上昇が防止されるようにΔfHが決定される。
続くステップS113では、ステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであるか否かを判定する。ステップS113にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであると判定された場合は、ステップS114へ進み、圧縮機11の回転数変化量ΔfをΔfCに決定して、ステップS116へ進む。
一方、ステップS113にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルでないと判定された場合は、ステップS115へ進み、圧縮機11の回転数変化量ΔfをΔfHに決定してステップS116へ進む。
ステップS116では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加えた値を、仮の圧縮機回転数と決定してステップS117へ進む。なお、ステップS116における仮の圧縮機回転数の決定は、制御周期τ毎に行われるものではなく、所定の制御間隔(本実施形態では1秒)毎に行われる。
ステップS117では、ステップS6で決定された運転モード(サイクル)がDRY_ALLサイクルであるか否かを判定する。ステップS117にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がDRY_ALLサイクルであると判定された場合は、ステップS118へ進み、圧縮機11の最小回転数を2000rpmとして、ステップS120へ進む。
一方、ステップS117にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がDRY_ALLサイクルでないと判定された場合は、ステップS119へ進み、圧縮機11の最小回転数を1000rpmとして、ステップS120へ進む。
ステップS120では、ステップS116にて決定された仮の圧縮機回転数およびステップS118、S119にて決定された最小圧縮機回転数のうち大きい方の値を、今回の圧縮機回転数fnと決定してステップS12へ進む。
図6に示すステップS12では、室外熱交換器16に向けて外気を送風する送風ファン16aの稼働率(回転数)を決定する。本実施形態の基本的な送風ファン16aの稼働率(回転数)の決定手法は以下の通りである。つまり、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdの増加に伴って送風ファン16aの稼働率(回転数)が増加するように第1の仮稼働率(回転数)を決定し、エンジン冷却水温度Twの上昇に伴って送風ファン16aの稼働率(回転数)が増加するように第2の仮稼働率(回転数)を決定する。
さらに、第1、第2の仮稼働率(回転数)のうち大きい方を選択し、選択された稼働率(回転数)に対して、送風ファン16aの騒音低減や車速を考慮した補正を行った値を送風ファン16aの稼働率(回転数)に決定する。
ステップS13では、PTCヒータ37の作動本数の決定および電熱デフォッガの作動状態の決定が行われる。PTCヒータ37の作動本数は、例えば、ステップS6にてPTCヒータ37への通電の必要があるとされたときに、暖房モード時にエアミックスドア38の目標開度SWが100%となっても、暖房用熱交換器目標温度を得られない場合に、内気温Trと暖房用熱交換器目標温度との差に応じて決定すればよい。
また、車室内の湿度および温度から窓ガラスに曇りが発生する可能性が高い場合、あるいは窓ガラスに曇りが発生している場合は、電熱デフォッガを作動させる。
次に、ステップS14にて上述のステップS6で決定された運転モードに応じて、冷媒回路切替手段である各電磁弁13〜24の作動状態を決定する。この際、本実施形態では、サイクルに応じた冷媒回路を実現するため、基本的には冷媒が流通する冷媒流路が開となるように各電磁弁を制御し、冷媒圧力の高低圧関係によって冷媒が流通しない冷媒流路については各電磁弁を非通電状態として、消費電力の抑制を行う。
ステップS14の詳細については、図9のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS141で、ステップS6で決定された運転モードをメモリCYCLE_VALVEに読み込む。次に、ステップS142にて車両用空調装置1が停止しているか否か、すなわち車室内の空調を行わないか否かが判定される。
ステップS142にて車両用空調装置1が停止していると判定された場合は、ステップS143にてメモリCYCLE_VALVEを冷房モード(COOLサイクル)に設定してステップS144へ進む。ステップS142にて車両用空調装置1が停止していないと判定された場合は、ステップS144へ進む。
なお、ステップS142における車両用空調装置1が停止しているとは、操作パネル60の車両用空調装置1の作動スイッチがOFFされたことのみを意味するものではなく、操作パネル60の風量設定スイッチによって送風機32の送風量が0に設定されていること、および、車両システム自体が停止していることを含む意味である。
ステップS144では、各電磁弁13〜24の作動状態が決定される。具体的には、メモリCYCLE_VALVEが冷房モード(COOLサイクル)に設定されている場合は、全ての電磁弁を非通電状態とする。また、メモリCYCLE_VALVEが冷房モード(HOTサイクル)に設定されている場合は、電気式三方弁13、高圧電磁弁20、低圧電磁弁17を通電状態とし、残りの電磁弁21、24を非通電状態とする。また、メモリCYCLE_VALVEが第1除湿モード(DRY_EVAサイクル)に設定されている場合は、電気式三方弁13、低圧電磁弁17、除湿電磁弁24および熱交換器遮断電磁弁21を通電状態とし、高圧電磁弁20を非通電状態とする。また、メモリCYCLE_VALVEが第2除湿モード(DRY_ALLサイクル)に設定されている場合は、電気式三方弁13、低圧電磁弁17、除湿電磁弁24を通電状態とし、残りの電磁弁20、21を非通電状態とする。
つまり、本実施形態では、いずれの運転モードの冷媒回路に切り替えた場合であっても、各電磁弁13〜24のうち少なくとも1つの電磁弁に対する電力の供給が停止されるように構成されている。
ステップS15では、エンジンEGの作動要求有無を決定する。ここで、車両走行用の駆動力をエンジンEGのみから得る通常の車両では、常時エンジンを作動させているのでエンジン冷却水も常時高温となる。従って、通常の車両の車両用空調装置ではエンジン冷却水をヒータコア36に流通させることで充分な暖房性能を発揮することができる。
これに対して、本実施形態のようなハイブリッド車両では、バッテリ残量に余裕があれば、走行用電動モータのみから走行用の駆動力を得て走行することができる。このため、高い暖房性能が必要な場合であっても、エンジンEGが停止しているとエンジン冷却水温度が40℃程度にしか上昇せず、ヒータコア36にて充分な暖房性能が発揮できなくなる。
そこで、本実施形態では、暖房に必要な熱源を確保するため、高い暖房性能が必要な場合であってもエンジン冷却水温度Twが予め定めた基準冷却水温度よりも低いときは、空調制御装置50からエンジンEGの制御に用いられるエンジン制御装置(図示せず)に対して、エンジンEGを作動するように要求信号を出力する。
これにより、エンジン冷却水温度Twを上昇させて高い暖房性能を得るようにしている。なお、このようなエンジンEGの作動要求信号は、車両走行用の駆動源としてエンジンEGを作動させる必要の無い場合であってもエンジンEGを作動させることになるので、車両燃費を悪化させる要因となる。このため、エンジンEGの作動要求信号を出力する頻度は極力低減させることが望ましい。
ステップS16では、室外熱交換器16に着霜が生じている場合に、室外熱交換器16の除霜制御を行う。ここで、暖房モードの冷媒回路のように、室外熱交換器16にて冷媒に吸熱作用を発揮させる際に、室外熱交換器16における冷媒蒸発温度が−12℃程度まで低下すると、室外熱交換器16に着霜が生じることが知られている。
このような着霜が生じると、室外熱交換器16に車室外空気が流通できなくなり、室外熱交換器16にて冷媒と車室外空気とが熱交換できなくなってしまう。このため、室外熱交換器16に着霜が生じた際には、強制的に冷房モードとする制御処理を行う。冷房モードの冷媒回路では、後述するように室外熱交換器16にて高圧冷媒が放熱するので、室外熱交換器16に生じた霜を溶かすことができる。
ステップS17では、上述のステップS6〜S16で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置50より各種機器61、13、17、20、21、24、16a、32、62、63、64に対して制御信号および制御電圧が出力される。例えば、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61に対しては、圧縮機11の回転数がステップS11で決定された回転数となるように制御信号が出力される。
ここで、ステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力については図10のフローチャートおよび図11のタイムチャートを用いて説明する。
まず、ステップS171では、ステップS6にてサイクル(冷媒回路)の切り替えが行われたか否かを判定する。つまり、運転モードが切り替えられたか否かを判定する。ステップS171にてサイクルの切り替えが行われていないと判定された場合は、各電磁弁13〜24の切り替えは行われず、他の各種機器へ制御信号を出力するための制御フローへ戻る。
一方、ステップS171にてサイクルの切り替えが行われたと判定された場合は、ステップS172へ進み、その切り替えがCOOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替え、または、COOLサイクルからCOOLサイクル以外への切り替えであるか否かを判定する。
ステップS172にてCOOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替え、または、COOLサイクルからCOOLサイクル以外への切り替えでないと判定された場合は、ステップS180へ進み、切替後のサイクルとなるように、各電磁弁13〜24へ制御信号が出力される。
その理由は、COOLサイクル以外(すなわち、HOTサイクル、DRY_EVAサイクルおよびDRY_ALLサイクル)では、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さいので、各サイクル(冷媒回路)相互間の切り替えを行っても各電磁弁13〜24の耐久性に大きな悪影響を及ぼさないからである。
ステップS172にてCOOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替え、または、COOLサイクルからCOOLサイクル以外への切り替えであると判定された場合は、ステップS174へ進み、空調制御手段50の吐出能力制御手段50aが圧縮機11を停止させてステップS175へ進む。すなわち、圧縮機11の回転数を0rpmとしてステップS175へ進む。これにより、サイクルの高圧側冷媒圧力を低下させる。
ステップS175では、予め定めた基準圧力低下時間(具体的には20秒)の経過を待って、ステップS176へ進む。ステップS176では、外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されている基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)を決定する。
なお、この基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)は、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなって、各電磁弁13〜24の耐久性に悪影響を及ぼすことなく、さらに、各電磁弁13〜24の作動音が乗員に聞こえなくなると推定される圧縮機11吐出側の高圧側冷媒圧力である。
また、本発明者らの実験検討によれば、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が0.2MPa以下であれば、各電磁弁13〜24の耐久性に悪影響を及ぼすことなく、さらに、各電磁弁13〜24の作動音が乗員に聞こえない程度となることが判明している。
次のステップS177では、吐出側冷媒圧力PdがステップS176にて決定された基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下になっているか否かが判定される。ステップS177にて、吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下になっていると判定された場合は、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなったものとして、ステップS180へ進む。
ステップS177にて、吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下になっていないと判定された場合は、ステップS178へ進み、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっているか否かが判定される。ステップS178にて吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていると判定された場合は、ステップS180へ進む。
その理由は、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっているときは、窓ガラスの防曇あるいは窓曇り解消が必要とされているときなので、乗員の安全性(視界確保)を優先するために各電磁弁13〜24の耐久性向上あるいは作動音低減に優先して、速やかに防曇あるいは窓曇り解消を行うことができるように冷凍サイクル10を作動させなければならないからである。
ステップS178にて吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていないと判定された場合は、ステップS179へ進み、ステップS176にて基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)が決定されてから予め定めた基準停止時間(具体的には100秒)を経過したか否かを判定する。ステップS179にて圧縮機11を停止させてから基準停止時間を経過したと判定された場合は、ステップS180へ進む。
その理由は、吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下となるまでに時間がかかりすぎると、長時間にわたって冷凍サイクル10の作動が停止するため、乗員の暖房感あるいは冷房感といった空調フィーリングが悪化してしまうからである。もちろん、ステップS174にて圧縮機11を停止させてから基準停止時間を経過したか否かを判定するようにしてもよい。
ステップS179にて基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)が決定されてから基準停止時間を経過していないと判定された場合は、ステップS177へ進む。また、ステップS180では、切替後のサイクルとなるように、各電磁弁13〜24へ制御信号が出力されてステップS181へ進む。
ステップS181では、空調制御手段50の吐出能力制御手段50aが再び圧縮機11を作動させる。すなわち、圧縮機11の電動モータ11b用のインバータ61に対しては、圧縮機11の回転数がステップS11で決定された回転数となるように制御信号が出力される。
つまり、本実施形態では、COOLサイクル以外からCOOLサイクルへ切り替えられたとき、または、COOLサイクルからCOOLサイクル以外へ切り替えられたときは、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていなければ、図11のタイムチャートに示すように、吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下となったとき、および基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)が決定されてから基準停止時間経過したときのうち、早い方のタイミングに各電磁弁13〜24へ制御信号が出力される。
次に、図6に示すステップS18では、制御周期τの間待機し、制御周期τの経過を判定するとステップS3に戻るようになっている。なお、本実施形態は制御周期τを250msとしている。これは、車室内の空調制御は、エンジン制御等と比較して遅い制御周期であってもその制御性に悪影響を与えないからである。さらに、車両内における空調制御のための通信量を抑制して、エンジン制御等のように高速制御を行う必要のある制御系の通信量を充分に確保することができる。
本実施形態の車両用空調装置1は、以上の如く制御されるので、制御ステップS6にて選択された運転モードに応じて以下のように作動する。
(a)冷房モード(COOLサイクル:図1参照)
冷房モードでは、空調制御装置50が全ての電磁弁を非通電状態とするので、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と第1三方継手15の1つの冷媒流入出口との間を接続し、低圧電磁弁17が閉弁し、高圧電磁弁20が開弁し、熱交換器遮断電磁弁21が開弁し、除湿電磁弁24が閉弁する。
これにより、図1の矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→電気式三方弁13→第1三方継手15→室外熱交換器16→第2三方継手19→高圧電磁弁20→第2逆止弁22→温度式膨張弁27の可変絞り機構部27b→第4三方継手25→室内蒸発器26→温度式膨張弁27の感温部27a→第5三方継手28→アキュムレータ29→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成される。
この冷房モードの冷媒回路では、電気式三方弁13から第1三方継手15へ流入した冷媒は、低圧電磁弁17が閉弁しているので低圧電磁弁17側へ流出することはない。また、室外熱交換器16から第2三方継手19へ流入した冷媒は、除湿電磁弁24が閉弁しているので熱交換器遮断電磁弁21側へ流出することはない。また、温度式膨張弁27の可変絞り機構部27bから流出した冷媒は、除湿電磁弁24が閉弁しているので除湿電磁弁24側へ流出することはない。さらに、温度式膨張弁27の感温部27aから第5三方継手28へ流入した冷媒は、第2逆止弁22の作用によって第2逆止弁22側に流出することはない。
従って、圧縮機11にて圧縮された冷媒は、室内凝縮器12にて室内蒸発器26通過後の送風空気(冷風)と熱交換して冷却され、さらに、室外熱交換器16にて外気と熱交換して冷却され、温度式膨張弁27にて減圧膨張される。温度式膨張弁27にて減圧された低圧冷媒は室内蒸発器26へ流入し、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内蒸発器26を通過する送風空気が冷却される。
この際、前述の如くエアミックスドア38の開度が調整されるので、室内蒸発器26にて冷却された送風空気の一部(または全部)が冷風バイパス通路34から混合空間35へ流入し、室内蒸発器26にて冷却された送風空気の一部(または全部)が加熱用冷風通路33へ流入してヒータコア36、室内凝縮器12、PTCヒータ37を通過する際に再加熱されて混合空間35へ流入する。
これにより、混合空間35にて混合されて車室内へ吹き出す送風空気の温度が所望の温度に調整されて、車室内の冷房を行うことができる。なお、冷房モードでは、送風空気の除湿能力も高いが、暖房能力は殆ど発揮されない。
また、室内蒸発器26から流出した冷媒は、温度式膨張弁27の感温部61aを介して、アキュムレータ29へ流入する。アキュムレータ29にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
さらに、この冷房モードの冷媒回路では、図1の記載から明らかなように、冷凍サイクル10の冷媒流路内の異なる2箇所の部位が互いに連通している。換言すると、冷房モードの冷媒回路では、冷凍サイクル10を構成する冷媒流路内に他の部位と連通しない閉塞回路が形成されていない。
(b)暖房モード(HOTサイクル:図2参照)
暖房モードでは、空調制御装置50が電気式三方弁13、高圧電磁弁20、低圧電磁弁17を通電状態とし、残りの電磁弁21、24を非通電状態とするので、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続し、低圧電磁弁17が開弁し、高圧電磁弁20が閉弁し、熱交換器遮断電磁弁21が開弁し、除湿電磁弁24が閉弁する。
これにより、図2の矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→電気式三方弁13→固定絞り14→第3三方継手23→熱交換器遮断電磁弁21→第2三方継手19→室外熱交換器16→第1三方継手15→低圧電磁弁17→第1逆止弁18→第5三方継手28→アキュムレータ29→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成される。
この暖房モードの冷媒回路では、固定絞り14から第3三方継手23へ流入した冷媒は、除湿電磁弁24が閉弁しているので除湿電磁弁24側へ流出することはない。また、熱交換器遮断電磁弁21から第2三方継手19へ流入した冷媒は、高圧電磁弁20が閉弁しているので高圧電磁弁20側へ流出することはない。また、室外熱交換器16から第1三方継手15へ流入した冷媒は、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続しているので電気式三方弁13側へ流出することはない。第1逆止弁18から第5三方継手28へ流入した冷媒は、除湿電磁弁24が閉じているので温度式膨張弁27側へ流出することはない。
従って、圧縮機11にて圧縮された冷媒は、室内凝縮器12にて送風機32から送風された送風空気と熱交換して冷却される。これにより、室内凝縮器12を通過する送風空気が加熱される。この際、エアミックスドア38の開度が調整されるので、冷房モードと同様に、混合空間35にて混合されて車室内へ吹き出す送風空気の温度が所望の温度に調整されて、車室内の暖房を行うことができる。なお、暖房モードでは、送風空気の除湿能力は発揮されない。
また、室内凝縮器12から流出した冷媒は、固定絞り14にて減圧されて室外熱交換器16へ流入する。室外熱交換器16へ流入した冷媒は、送風ファン16aから送風された車室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器16から流出した冷媒は、低圧電磁弁17、第1逆止弁18等を介して、アキュムレータ29へ流入する。アキュムレータ29にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
(c)第1除湿モード(DRY_EVAサイクル:図3参照)
第1除湿モードでは、空調制御装置50が電気式三方弁13、低圧電磁弁17、熱交換器遮断電磁弁21および除湿電磁弁24を通電状態とし、高圧電磁弁20を非通電状態とするので、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続し、低圧電磁弁17が開弁し、高圧電磁弁20が開弁し、熱交換器遮断電磁弁21が閉弁し、除湿電磁弁24が開弁する。
これにより、図3の矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→電気式三方弁13→固定絞り14→第3三方継手23→除湿電磁弁24→第4三方継手25→室内蒸発器26→温度式膨張弁27の感温部27a→第5三方継手28→アキュムレータ29→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成される。
この第1除湿モードの冷媒回路では、固定絞り14から第3三方継手23へ流入した冷媒は、熱交換器遮断電磁弁21が閉弁しているので熱交換器遮断電磁弁21側へ流出することはない。また、除湿電磁弁24から第4三方継手25へ流入した冷媒は、第2逆止弁22の作用によって温度式膨張弁27の可変絞り機構部27b側へ流出することはない。また、温度式膨張弁27の感温部27aから第5三方継手28へ流入した冷媒は、第1逆止弁18の作用によって第1逆止弁18側へ流出することはない。
従って、圧縮機11にて圧縮された冷媒は、室内凝縮器12にて室内蒸発器26通過後の送風空気(冷風)と熱交換して冷却される。これにより、室内凝縮器12を通過する送風空気が加熱される。室内凝縮器12から流出した冷媒は、固定絞り14にて減圧されて室内蒸発器26へ流入する。
室内蒸発器26へ流入した低圧冷媒は、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内蒸発器26を通過する送風空気が冷却されて除湿される。従って、室内蒸発器26にて冷却されて除湿された送風空気は、ヒータコア36、室内凝縮器12、PTCヒータ37を通過する際に再加熱されて、混合空間35から車室内へ吹き出される。すなわち、車室内の除湿を行うことができる。なお、第1除湿モードでは、送風空気の除湿能力を発揮できるが、暖房能力は小さい。
また、室内蒸発器26から流出した冷媒は、温度式膨張弁27の感温部61aを介して、アキュムレータ29へ流入する。アキュムレータ29にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
(d)第2除湿モード(DRY_ALLサイクル:図4参照)
第2除湿モードでは、空調制御装置50が電気式三方弁13、低圧電磁弁17、除湿電磁弁24を通電状態とし、残りの電磁弁20、21を非通電状態とするので、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続し、低圧電磁弁17が開弁し、高圧電磁弁20が開弁し、熱交換器遮断電磁弁21が開弁し、除湿電磁弁24が開弁する。
これにより、図4の矢印に示すように、圧縮機11→室内凝縮器12→電気式三方弁13→固定絞り14→第3三方継手23→熱交換器遮断電磁弁21→第2三方継手19→室外熱交換器16→第1三方継手15→低圧電磁弁17→第1逆止弁18→第5三方継手28→アキュムレータ29→圧縮機11の順に冷媒が循環するとともに、圧縮機11→室内凝縮器12→電気式三方弁13→固定絞り14→第3三方継手23→除湿電磁弁24→第4三方継手25→室内蒸発器26→温度式膨張弁27の感温部27a→第5三方継手28→アキュムレータ29→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式冷凍サイクルが構成される。
つまり、第2除湿モードでは、固定絞り14から第3三方継手23へ流入した冷媒が熱交換器遮断電磁弁21側および除湿電磁弁24側の双方に流出して、第1逆止弁18から第5三方継手28へ流入した冷媒および温度式膨張弁27の感温部27aから第5三方継手28へ流入した冷媒の双方が第5三方継手28にて合流してアキュムレータ29側へ流出する。
なお、この第2除湿モードの冷媒回路では、室外熱交換器16から第1三方継手15へ流入した冷媒は、電気式三方弁13が室内凝縮器12の冷媒出口側と固定絞り14の冷媒入口側との間を接続しているので電気式三方弁13側へ流出することはない。また、除湿電磁弁24から第4三方継手25へ流入した冷媒は、第2逆止弁22の作用によって温度式膨張弁27の可変絞り機構部27b側へ流出することはない。
従って、圧縮機11にて圧縮された冷媒は、室内凝縮器12にて室内蒸発器26通過後の送風空気(冷風)と熱交換して冷却される。これにより、室内凝縮器12を通過する送風空気が加熱される。室内凝縮器12から流出した冷媒は、固定絞り14にて減圧された後、第3三方継手23にて分岐されて室外熱交換器16および室内蒸発器26へ流入する。
室外熱交換器16へ流入した冷媒は、送風ファン16aから送風された車室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器16から流出した冷媒は、低圧電磁弁17、第1逆止弁18等を介して、第5三方継手28へ流入する。室内蒸発器26へ流入した低圧冷媒は、送風機32から送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内蒸発器26を通過する送風空気が冷却されて除湿される。
従って、室内蒸発器26にて冷却されて除湿された送風空気は、ヒータコア36、室内凝縮器12、PTCヒータ37を通過する際に再加熱されて、混合空間35から車室内へ吹き出される。この際、第2除湿モードでは、第1除湿モードに対して、室外熱交換器16にて吸熱した熱量を室内凝縮器12にて放熱することができるので、送風空気を第1除湿モードよりも高温に加熱できる。すなわち、第2除湿モードでは、高い暖房能力を発揮させながら除湿能力も発揮させる除湿暖房を行うことができる。
また、室内蒸発器26から流出した冷媒は、第5三方継手28へ流入して室外熱交換器16から流出した冷媒と合流し、アキュムレータ29へ流入する。アキュムレータ29にて気液分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
さらに、上記の如く、冷房モードの冷媒回路、暖房モードの冷媒回路、および第1除湿モードの冷媒回路は、いずれも圧縮機11に吸入される冷媒を室外熱交換器16と室内熱交換器(具体的には、室内凝縮器12、室内蒸発器26)とのうちいずれか一方に流通させる単独熱交換器モードの冷媒回路であり、第2除湿モードの冷媒回路は、圧縮機11に吸入される冷媒を室外熱交換器16と室内熱交換器(具体的には、室内蒸発器26)との双方に流通させる複合熱交換器モードの冷媒回路となる。
本実施形態の車両用空調装置は、以上の如く構成されて作動するので、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(A)本実施形態の冷凍サイクル10では、冷媒回路切替手段である各電磁弁13〜24への電力の供給を停止することで、冷房モードの冷媒回路(COOLサイクル)に切り替えることができるので、冷房モード時に電磁弁13〜24自体の温度が上昇してコイル等の劣化を促進させてしまうことを回避できる。すなわち、冷媒回路切替手段の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
さらに、冷房モードは、主に夏季に利用されるので、各電磁弁13〜24が配置されるエンジンルーム内の温度が他の季節よりも高温になりやすい。このため、夏季に、各電磁弁13〜24に電力を供給し続けると、各電磁弁13〜24自体の温度の異常上昇を招きやすい。この点で、冷房モード時に各電磁弁13〜24自体の温度上昇を抑制できることは極めて有効である。
しかも、暖房モードの冷媒回路(HOTサイクル)よりも使用頻度が高い冷房モード時に、各電磁弁13〜24への電力の供給が停止されるので、車両用空調装置全体としての消費電力を低減できる。その結果、年間を通じた消費電力の低減を図ることもできる。
(B)制御ステップS142にて車両用空調装置1が停止している、すなわち車両用空調装置1の作動スイッチがOFFされているとき、風量設定スイッチによって送風機32の送風量が0に設定されているとき、および、車両システム自体が停止しているときのように、車室内の空調を行わないときと判定された場合は、制御ステップS143にて冷房モード(COOLサイクル)に切り替える。
従って、車室内の空調を行わないときに、車両用空調装置の冷媒回路切替手段(13〜24)が消費する消費電力を0にすることができる。
さらに、車両用空調装置を起動させた際に、速やかに冷房モードの運転を実行させることができる。このことは、一般的に、外気温と車室内の希望空調温度との乖離が、冬季の暖房モード時よりも、大きくなる夏季の冷房モード時に、速やかに冷却風を車室内に送風でき、乗員の空調フィーリングを向上できる点で有効である。
(C)制御ステップS144にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、いずれの運転モードの冷媒回路に切り替えた場合であっても、各電磁弁13〜24のうち少なくとも1つの電磁弁に対する電力の供給が停止されるように構成されている。
従って、冷房モードとは異なる冷媒回路に切り替えた際に、各電磁弁13〜24の全てに通電する場合に対して、車両用空調装置全体としての消費電力を低減できるとともに、各電磁弁13〜24の使用頻度を低下させて耐久性の悪化を抑制することができる。
換言すると、冷房モードとは異なる冷媒回路では、冷媒回路を構成するために直接関係ない電磁弁に対して電力の供給が停止されるので、各電磁弁13〜24の全てに通電する場合に対して、車両用空調装置全体としての消費電力を低減できる。
(D)本実施形態の冷凍サイクル10では、冷房モードの冷媒回路に切り替えた際に、冷凍サイクル10を構成する冷媒流路内の異なる2箇所の部位が互いに連通するように構成されている。従って、冷凍サイクル10を製造する際の冷媒の充填前に、冷房モードの冷媒回路に切り替えて真空引きを行うことで、冷凍サイクル10を構成する全ての冷媒流路内の真空引きを行うことができる。さらに、真空引きを行う際に、各電磁弁13〜24に電力を供給する必要がないので、真空引き時の消費電力を低減できる。
(E)制御ステップS117〜S119にて説明したように、本実施形態の車両用空調装置1では、運転モード(サイクル)が第2除湿モード(DRY_ALLサイクル)であるか否かによって、圧縮機11の最小回転数を変化させている。より具体的には、複合熱交換器モードである第2除湿モードにおける圧縮機11の最小回転数を、第2除湿モード以外の単独熱交換器モードにおける圧縮機11の最小回転数よりも高くしている。
つまり、複合熱交換器モードにおける圧縮機11の回転数が、単独熱交換器モードにおける圧縮機11の回転数よりも高くなりやすい。これにより、冷媒の流れを分岐して、並列的に配置された2つの熱交換器(具体的には、室外熱交換器16および室内蒸発器26)に冷媒を流通させる複合熱交換器モードであっても、2つの熱交換器を流通する冷媒流量の低下を抑制できる。
従って、室外熱交換器16および室内蒸発器26内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制できる。その結果、冷凍機油を圧縮機11および各電磁弁13〜24に適切に戻すことができ、圧縮機11および冷媒回路切替手段13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(F)制御ステップS177にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、圧縮機11の停止後であって、高圧側冷媒圧力Pdが予め定めた基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下となった際に、冷媒回路を切り替えるので、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなった後に、各電磁弁13〜24を作動させることができる。
これにより、各電磁弁13〜24に圧力差に起因する不必要な負荷がかかることを防止して、各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
さらに、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなった後に、各電磁弁13〜24を作動させることで、各電磁弁13〜24の作動音が小さくなる。従って、冷媒回路の切替時に乗員に違和感を与えることなく切り替えを行うことができる。
さらに、前述の如く、吐出圧力センサ55は、一般的な冷凍サイクルに採用されているセンサであるから、各電磁弁13〜24の耐久性の悪化抑制と各電磁弁13〜24の作動音の低減を、車両用空調装置1の製造原価を上昇させることなく、行うことができる。
(G)制御ステップS176にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)を、外気温Tamの低下に伴って低い値となるように決定している。従って、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなったことを速やかに判定して、各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができるとともに、各電磁弁13〜24の作動音を小さくすることができる。
(H)制御ステップS178にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードに切り替えている場合に、高圧側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)より高い圧力であっても強制的に冷媒回路を切り替えている。
従って、作動音を小さくすること等に優先して車室内の窓ガラスの防曇を優先することができる。すなわち、車両走行時の安全性を優先することができる。
(I)制御ステップS179にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、基準停止時間が経過した場合には、高圧側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)より高い圧力であっても強制的に冷媒回路を切り替えるので、高圧側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)まで下がるのに時間がかかる場合、作動音を小さくすること等に優先して乗員の暖房感あるいは冷房感といった空調フィーリングの悪化の抑制を優先することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力を、図12のフローチャートおよび図13のタイムチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図12、13は、それぞれ第1実施形態の図10、11に対応する図面であって、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
具体的には、本実施形態のステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力では、第1実施形態の制御ステップS176、S177、S179を廃止している。
さらに、ステップS175にて予め定めた基準圧力低下時間(具体的には20秒)が経過したか否かを判定し、予め定めた基準圧力低下時間(具体的には20秒)が経過したと判定されたときに、直接ステップS180へ進み、基準圧力低下時間が経過していないと判定されたときに、ステップS178へ進むようにしている。
つまり、本実施形態では、COOLサイクル以外からCOOLサイクルへ切り替えられたとき、または、COOLサイクルからCOOLサイクル以外へ切り替えられたときは、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていなければ、図13のタイムチャートに示すように、圧縮機11の停止後、基準圧力低下時間経過したときに各電磁弁13〜24へ制御信号が出力される。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(E)、(H)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(J)本実施形態の冷凍サイクル10では、制御ステップS175にて予め定めた基準圧力低下時間が経過した際に冷媒回路を切り替えるので、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さくなった後に、各電磁弁13〜24を作動させることができる。
これにより、第1実施形態の(F)と同様に、各電磁弁13〜24に圧力差に起因する不必要な負荷がかかることを防止して、各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。さらに、冷媒回路の切替時に乗員に違和感を与えることなく切り替えを行うことができる。
さらに、制御ステップS171にてサイクルの切り替えが行われたと判定された場合であっても、操作パネル60の車両用空調装置1の作動スイッチが投入(ON)された直後のように、車室内の空調を開始する起動時には、基準圧力低下時間が経過する前であっても冷媒回路を切り替えるようにしてもよい。
その理由は、車室内の空調を開始する起動時は、冷凍サイクル内の冷媒圧力が均圧化しているので、基準時間の経過を待つことなく冷媒回路を切り替えても、各電磁弁13〜24の耐久性に悪影響を与えることが少ないとともに、作動音も小さいからである。これにより、車室内の速効的な暖房あるいは冷房を行うことができ、乗員の空調フィーリングを向上できる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力を、図14のフローチャートおよび図15のタイムチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図14、15は、それぞれ第1実施形態の図10、11に対応する図面である。
具体的には、本実施形態のステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力では、図14に示すように、第1実施形態の制御ステップS178、S180を廃止している。さらに、ステップS172にてCOOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替えであるか否かを判定している。
ステップS172にてCOOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替えでないと判定された場合は、ステップS1801へ進む。ステップS1801では、切替後のサイクルとなるように、高圧電磁弁20、熱交換器遮断電磁弁21および除湿電磁弁24へ制御信号が出力されてステップS181へ進む。
その理由は、HOTサイクル、DRY_EVAサイクルおよびDRY_ALLサイクルでは、各電磁弁13〜24の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さいので、各サイクル(冷媒回路)相互間の切り替えを行っても各電磁弁13〜24の耐久性に大きな悪影響を及ぼさないからである。
また、本実施形態のステップS177では、吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下になっていないと判定された場合は、ステップS179へ進む。ステップS177にて吐出側冷媒圧力Pdが基準高圧側冷媒圧力f(Tamdisp)以下になっていると判定された場合は、ステップS1802へ進む。
ステップS1802では、切替後のサイクルとなるように、低圧電磁弁17、高圧電磁弁20、熱交換器遮断電磁弁21および除湿電磁弁24へ制御信号が出力される。そして、ステップS1803にて予め定めた経過時間(具体的には、10秒)の経過を待って、ステップS1804へ進み、電気式三方弁13へ制御信号が出力されてステップS181へ進む。
なお、本発明者らの検討によれば、COOLサイクル以外からCOOLサイクルへの切り替えの際には、電気式三方弁13の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が、他の電磁弁17、20、21、24における圧力差よりも大きいことが判っている。また、他の電磁弁17、20、21、24における圧力差は、ほぼ同等であることが判っている。
つまり、本実施形態では、COOLサイクル以外からCOOLサイクルへ切り替えられたときは、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていなければ、図15のタイムチャートに示すように、その入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さい電磁弁から順に作動する。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(G)、(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(K)本実施形態の車両用空調装置1では、各電磁弁13〜24のうち、その入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さい電磁弁17〜24から順に作動して、冷媒回路を切り替えるので、まず、圧力差が小さい電磁弁17〜24については、不必要な負荷がかかることを防止して、その耐久性の悪化を抑制することができるとともに、その作動音が小さくなる。
さらに、圧力差が小さい電磁弁17〜24を作動させることによって、サイクル内の冷媒圧力の均圧化を進めることができるので、圧力差が小さい電磁弁17〜24の次に作動させる電磁弁(電気式三方弁13)の圧力差を縮小できる。これにより、次に作動させる電磁弁(電気式三方弁13)についても、不必要な負荷がかかることを防止して、その耐久性の悪化を抑制することができるとともに、その作動音が小さくなる。
従って、各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。さらに、各電磁弁13〜24の作動音を小さくすることができ、冷媒回路の切替時に乗員に違和感を与えることなく、冷媒回路を切り替えることができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、第3実施形態に対して、ステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力を、図16のフローチャートおよび図17のタイムチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図16、17は、それぞれ第1実施形態の図10、11に対応する図面である。
具体的には、本実施形態のステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力では、図16に示すように、第3実施形態に対して、ステップS172にてCOOLサイクルからCOOLサイクル以外への切り替えであるか否かを判定している。さらに、ステップS1802とステップS1804との順序を入れ替えている。
なお、本発明者らの検討によれば、COOLサイクルからCOOLサイクル以外への切り替えの際には、電気式三方弁13の入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が、他の電磁弁17、20、21、24における圧力差よりも小さいことが判っている。また、他の電磁弁17、20、21、24における圧力差は、ほぼ同等であることが判っている。
つまり、本実施形態では、COOLサイクルからCOOLサイクル以外へ切り替えられたときは、吹出口モードがデフロスタモードあるいはフットデフロスタモードとなっていなければ、図17のタイムチャートに示すように、その入口側冷媒圧力と出口側冷媒圧力との圧力差が小さい電磁弁から順に作動する。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第3実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(G)、(I)および第3実施形態の(K)と同様の効果を得ることができる。
もちろん、第3実施形態と第4実施形態におけるステップS17にて実行される各電磁弁13〜24に対する制御信号の出力を組み合わせてもよい。これにより、COOLサイクル以外からCOOLサイクルへ切り替えられたとき、およびCOOLサイクルからCOOLサイクル以外へ切り替えられたときの双方で第3実施形態の(K)と同様の効果を得ることができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS11を図18のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図18は、第1実施形態の図8の一部に対応する図面である。
具体的には、本実施形態のステップS11では、図8に対して、ステップS110を追加するとともに、ステップS121〜S124に示すように、HOTサイクル、DRY_EVAサイクルおよびDRY_ALLサイクル時における今回の圧縮機回転数fnの決定手法を変更している。
まず、ステップS110では、ステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであるか否かを判定する。ステップS110にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであると判定された場合は、第1実施形態の図8で説明した通常制御が行われる。
通常制御とは、図8のステップS111と同様にCOOLサイクル時の回転数変化量ΔfCを求め、ステップS116と同様に仮の圧縮機回転数を決定し、ステップS120と同様に仮の圧縮機回転数と最小圧縮機回転数(具体的には、1000rpm)とのうち、大きい値を今回の圧縮機回転数として決定することである。
ステップS110にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルでないと判定された場合は、ステップS112→S115→S116の順で制御処理が進む。このステップS112→S115→S116の制御処理は、第1実施形態と同様である。
続くステップS121では、ステップS116にて決定された仮の圧縮機回転数および予め定めた圧縮機11の最小回転数(本実施形態では、1000rpm)のうち大きい方の値を、暫定の圧縮機回転数と決定してステップS122へ進む。なお、この圧縮機11の最小回転数は、冷凍機油を圧縮機11に適切に戻すことができるように設定された値である。
ステップS122では、目標圧力PDOから高圧側冷媒圧力Pdを減算した値(PDO−Pd)が予め定めた基準圧力(具体的には、−0.3MPa)以下であるかを判定する。ステップS122にて、PDO−Pd≦−0.3となっていると判定された場合は、実際の高圧側冷媒圧力が目標圧力よりも0.3MPa以上高い異常高圧になっている、あるいは室内凝縮器12からの吹出空気温度が異常高温になっているものとして、ステップS123へ進む。
ステップS123では、空調制御手段50の吐出能力制御手段50aが圧縮機11の回転数を0rpmとして、すなわち、圧縮機11を停止させてステップS12へ進む。ステップS122にて、PDO−Pd≦−0.3となっていない判定された場合は、ステップS124へ進み、今回の圧縮機回転数fnをステップS121にて決定された暫定の圧縮機回転数としてステップS12へ進む。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(D)、(F)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(L)本実施形態の暖房モード(HOTサイクル)、第1除湿モード(DRY_EVAサイクル)および第2除湿モード(DRY_ALLサイクル)のように、高圧側冷媒圧力Pdが予め定めた目標圧力PDOとなるように圧縮機11の冷媒吐出能力が制御される冷凍サイクルでは、実際の吐出側冷媒圧力と目標圧力との圧力差が小さくなると、圧縮機11の回転数が小さくなって、室外熱交換器16、室内凝縮器12、室内蒸発器26を流通する冷媒流量が少なくなる。
これに対して、本実施形態では、ステップS121およびステップS124に記載されているように、予め定めた最小回転数以上の回転数で圧縮機11を作動させることができる。換言すると、予め定めた最低冷媒吐出能力以上の冷媒吐出能力を発揮するように圧縮機11を作動させることができる。従って、冷凍機油を圧縮機11に適切に戻すことができ、圧縮機11の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
一方、圧縮機11に最低冷媒吐出能力以上の冷媒吐出能力を発揮させることにより、実際の高圧側冷媒圧力Pdが目標圧力PDO以上になってしまうと、高圧側冷媒圧力Pdの異常高圧や、室内凝縮器12からの吹出空気温度の異常高温が懸念される。
これに対して、本実施形態では、 ステップS121およびステップS124に記載されているように、実際の高圧側冷媒圧力Pdが目標圧力PDOよりも基準圧力以上高くなったときに、圧縮機11の作動を停止させるので、上記の背反事項を回避できる。すなわち、高圧側冷媒圧力Pdの異常高圧や、室内凝縮器12からの吹出空気温度の異常高温を回避できる。
(第6実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS11を図19のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図19は、第1実施形態の図8に対応する図面である。具体的には、本実施形態のステップS11では、図8に対してステップS1131を追加して、ステップS114、S115、S120をステップS114’、S115’、S120’変更している。さらに、ステップS116〜S119を削除している。
まず、ステップS1131では、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdに基づいて、予め定めた制御マップを参照して、回転数変化量ΔfTを決定する。このΔfTは、樹脂材料で構成されるケーシング31や各電磁弁13〜24の弁体部の溶損を防止できるように、圧縮機11の回転数の増加を制限するための回転数変化量である。
より詳細には、この回転数変化量ΔfTは、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが所定の温度範囲内(本実施形態では、120℃以上135℃未満)において、Tdの上昇に伴って低下するように決定され、さらに、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが所定の温度範囲の最大値(本実施形態では、135℃)以上において、維持されるように決定される。
続くステップS113では、第1実施形態と同様に、ステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであるか否かを判定する。ステップS113にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであると判定された場合は、ステップS114’へ進む。ステップS114’では、圧縮機11の回転数変化量Δfを、ΔfCとΔfTとのうち小さい値に決定して、ステップS120’へ進む。
一方、ステップS113にてステップS6で決定された運転モード(サイクル)がCOOLサイクルでないと判定された場合は、ステップS115’へ進む。ステップS115’では、圧縮機11の回転数変化量Δfを、ΔfHとΔfTとのうち小さい値に決定してステップS120’へ進む。ステップS120’では、前回の圧縮機回転数fn−1に回転数変化量Δfを加えた値を、今回の圧縮機回転数と決定してステップS12へ進む。
つまり、ステップS114’、S115’にて、ΔfTが選択されていれば、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが予め定めた基準吐出冷媒温度(本実施形態では、120℃)以上になっているときに、圧縮機11の冷媒吐出能力を維持または低下させる作用を発揮させることができる。さらに、基準吐出冷媒温度の上昇に伴って、圧縮機11の冷媒吐出能力を低下させる度合を増加させることができる。
もちろん、基準冷媒吐出温度を120℃に固定して、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが基準吐出冷媒温度以上となったときに、予め定めた回転数変化量ΔfTを決定してもよい。この場合は、圧縮機回転数fnを維持するように、ΔfTを0としてもよいし、今回の圧縮機回転数fnを前回の圧縮機回転数fn−1よりも低下させるように、ΔfTを負の値としてもよい。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(D)、(F)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(M)制御ステップS114’、S115’にて説明したように、本実施形態の冷凍サイクル10では、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが予め定めた基準吐出冷媒温度以上となった際に、圧縮機11の冷媒吐出能力を維持または低下させることができる。従って、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが不必要に上昇してしまうことを回避できる。その結果、樹脂性のケーシング31および各電磁弁13〜24の弁体部の耐久性の悪化を抑制することができる。
さらに、吐出温度検出手段としての吐出温度センサ54を備えているので、例えば、高圧側冷媒圧力Pdを用いて、吐出冷媒温度Tdを演算(推定)する場合に対して、より正確に圧縮機11の吐出冷媒温度Tdを検出できる。その理由は、サイクルの冷媒が不足している時は、冷媒圧力と冷媒温度との関係が、モリエル線図上の飽和ガス線から推定される関係にならなくなってしまうからである。
従って、本実施形態の車両用空調装置1によれば、確実に、ケーシングの耐久性の悪化およびサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS11を図20のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図20は、第1実施形態の図8に対応する図面である。具体的には、本実施形態のステップS11では、図8に対して、ステップS1141およびステップS1151を追加して、ステップS117〜S119を削除している。
ステップS1141では、運転モード(サイクル)がCOOLサイクルであると判定された際に圧縮機11の最小回転数を1000rpmとし、ステップS1151では、運転モード(サイクル)がCOOLサイクルではないと判定された際に圧縮機11の最小回転数を2000rpmとして、ステップS116へ進む。
ステップS116では、第1実施形態と同様に、仮の圧縮機回転数を決定する。次のステップS120では、第1実施形態と同様に、仮の圧縮機回転数とステップS1141またはステップS1151にて決定された最小圧縮機回転数のうち、大きい値を今回の圧縮機回転数として決定してステップS12へ進む。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(D)、(F)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(N)制御ステップS1141、S1151にて説明したように、本実施形態の車両用空調装置1では、運転モード(サイクル)が冷房モード(COOLモード)であるか否かによって、圧縮機11の最小回転数を変化させている。より具体的には、冷房モード(COOLサイクル)における圧縮機11の最小回転数を、冷房モード以外における圧縮機11の最小回転数よりも高くしている。
これにより、COOLサイクル以外のサイクルに切り替えたとき、COOLサイクルよりも圧縮機11の冷媒吐出能力が増加しやすくなる。従って、外気温Tamの低下によって、COOLサイクルよりも冷凍機油の粘度が高くなりやすいCOOLサイクル以外のサイクルに切り替えた際に、室外熱交換器16内を流通する冷媒流量を増加させることができる。
その結果、室外熱交換器16内に冷凍機油が滞留してしまうことを抑制して、冷凍機油を圧縮機11および各電磁弁13〜24へ適切に戻すことができ、圧縮機11および各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(第8実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS11を図21、22のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図21、22は第1実施形態の図8に対応する図面である。具体的には、本実施形態のステップS11では、図8に対して、ステップS125〜S131を追加して、ステップS116〜S120を削除している。
図21のステップS125では、吐出圧力センサ55によって検出された高圧側冷媒圧力Pdに基づいて予測吐出冷媒温度STdを求める。本実施形態の車両用空調装置1の冷凍サイクル10のように、圧縮機11の吸入側にアキュムレータ29が設けられている冷凍サイクル10では、圧縮機11吸入冷媒が飽和気相冷媒となることから、圧縮機11の吐出冷媒温度は、高圧側冷媒圧力Pdに基づいて推定することができる。
そこで、本実施形態では、高圧側冷媒圧力Pdに基づいて、予め空調制御装置50に記憶されたステップS125に示す制御マップを参照して、予測吐出冷媒温度STdを推定する。
次に、図22のステップS126にて高圧側冷媒圧力Pdが0.19MPaより大きく、2.01MPaより小さいか否かを判定する。つまり、0.19<Pd<2.01となっているか否かを判定する。ステップS126にて0.19<Pd<2.01となっていない場合は、ステップS127へ進み、圧縮機11の最大回転数を10000rpmとして、ステップS130へ進む。
ステップS126にて0.19<Pd<2.01となっている場合は、ステップS128へ進む。ステップS128では、吐出温度センサ54によって検出された吐出冷媒温度TdからステップS125にて推定された予測吐出冷媒温度STdを減算した値の絶対値が、予測吐出冷媒温度STdの3割以上となっているか否かを判定する。
これにより、冷凍サイクル10内の冷媒が不足しているか否かを判定する。前述の如く、圧縮機11の吸入側にアキュムレータ29が設けられている冷凍サイクル10では、圧縮機11吸入冷媒が飽和気相冷媒となることから、高圧側冷媒圧力Pdに基づいて推定することができる。ところが、冷凍サイクル10内の冷媒が不足すると、アキュムレータ29内に液相冷媒が蓄えられなくなる。
その結果、圧縮機11吸入冷媒の過熱度が上昇してしまい、吐出冷媒温度Tdも上昇する。そこで、本実施形態では、吐出冷媒温度Tdと予測吐出冷媒温度STdが、予測吐出冷媒温度STdの3割以上乖離している際に、冷凍サイクル10内の冷媒が不足していると判定している。なお、ステップS126における0.19<Pd<2.01という範囲は、この冷媒の不足を精度良く判定できる範囲として設定されている。
ステップS128にて吐出冷媒温度Tdから予測吐出冷媒温度STdを減算した値の絶対値が、予測吐出冷媒温度STdの3割以上になっている場合は、ステップS129へ進み、圧縮機11の最大回転数を0rpmとして、ステップS130へ進む。ステップS128にて吐出冷媒温度Tdから予測吐出冷媒温度STdを減算した値の絶対値が、予測吐出冷媒温度STdの3割以上になっていない場合は、ステップS127へ進む。
ステップS130では、第1実施形態のステップS113と同様に、仮の圧縮機回転数を決定する。次のステップS131では、仮の圧縮機回転数とステップS127またはS129にて決定された最大圧縮機回転数とのうち、小さい値を今回の圧縮機回転数として決定してステップS12へ進む。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(D)、(F)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(O)制御ステップS128にて説明したように、本実施形態の車両用空調装置1では、吐出冷媒温度Tdから予測吐出冷媒温度STdを減算した値の絶対値が、予め定めた基準温度差として設定された予測吐出冷媒温度STdの3割という値以上となったときに、冷凍サイクル10内の冷媒が不足していると判定して、圧縮機11の最大回転数を0rpmとしている。
これにより、ステップS131で圧縮機11の回転数を0rpmとして、圧縮機11を停止させることができる。従って、圧縮機11の吐出冷媒温度Tdが異常上昇してしまうことを回避して、ケーシング31や各電磁弁13〜24の弁体部の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS11を図23のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図23は第1実施形態の図8に対応する図面である。具体的には、本実施形態のステップS11では、図8に対してステップS132〜S135を追加するとともに、ステップS116〜S120を削除している。
ステップ132では、各電磁弁13〜24および吐出温度センサ54のうち、少なくとも1つが故障しているか否かを判定して故障していると判定した場合は、故障フラグ=1としてステップS133へ進む。従って、本実施形態のステップS132は、切替故障判定手段および吐出温度故障判定手段の機能を兼ね備えている。
なお、各電磁弁13〜24の故障は、例えば、各電磁弁13〜24を流れる電流値が異常上昇していれば、各電磁弁13〜24のコイルがショートして故障していると判定できる。さらに、通電状態にもかかわらず各電磁弁13〜24に電流値が流れなければ、各電磁弁13〜24が断線故障していると判定できる。
また、吐出温度センサ54の故障は、例えば、吐出温度センサ54の検出信号が最大出力で維持されている、あるいは、最小出力で維持されている場合等に故障していると判定できる。さらに、吐出温度センサ54の検出信号が0となっている場合は、吐出温度センサ54が断線故障していると判定できる。
続くステップS133では、故障フラグ=1となっているか否かを判定する。ステップS133にて故障フラグ=1となっていない場合は、ステップS134へ進み、圧縮機11の最大回転数を10000rpmとして、ステップS130へ進む。ステップS133にて故障フラグ=1となっている場合は、ステップS136へ進み、圧縮機11の最大回転数を0rpmとして、ステップS136へ進む。
ステップS136およびS137では、第8実施形態のステップS130およびS131と同様に、仮の圧縮機回転数を決定して、この仮の圧縮機回転数とステップS134またはS135にて決定された最大圧縮機回転数とのうち、小さい値を今回の圧縮機回転数として決定してステップS12へ進む。
その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(D)、(F)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(P)制御ステップS132にて説明したように、本実施形態の車両用空調装置1では、各電磁弁13〜24および吐出温度センサ54のうち、少なくとも1つが故障しているか否かを判定して故障していると判定した場合は、圧縮機11の最大回転数を0rpmとしている。
これにより、ステップS137で圧縮機11の回転数を0rpmとして、圧縮機11を停止させることができる。従って、冷媒回路切替手段を構成する各電磁弁13〜24の作動不良が生じてサイクル内の冷媒圧力が異常上昇、あるいは、サイクル内の冷媒温度が異常上昇してしまうことを抑制できる。
従って、サイクル内の冷媒圧力の異常上昇を抑制して、サイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができるとともに、サイクル構成機器の二次故障を抑制できる。さらに、サイクル内の冷媒温度の異常上昇を抑制して、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(第10実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、ステップS6を図24のフローチャートに示すように変更した例を説明する。なお、図24は第1実施形態の図7に対応する図面である。具体的には、本実施形態のステップS6では、図8のステップS71をステップS711に変更している。
このステップS711では、外気温Tamが−3℃よりも低い、あるいは30℃より高いか否かを判定する。ステップS711にて外気温Tamが−3℃よりも低い、あるいは30℃より高いと判定された場合は、ステップS72へ進み、COOLサイクルを選択してステップS7へ進む。
ステップS711にて外気温Tamが−3℃よりも低くなく、かつ30℃より高くない場合、すなわち−3≦Tam≦30となっている場合は、ステップS73へ進む。その他の車両用空調装置1の全体構成および制御については、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1は、第1実施形態の(A)〜(I)と同様の効果を得ることができるだけでなく、以下のような優れた効果を発揮することができる。
(Q)本実施形態の車両用空調装置1では、ステップS711にて説明したように、外気温Tamが−3℃よりも低いときだけでなく、予め定めた基準外気温である30℃より高いときも冷房モードの冷媒回路(COOLサイクル)に切り替えている。従って、冷凍サイクル10が搭載されているエンジンルーム内の温度が高くなりやすい外気温となっても、暖房モードや、第1、第2除湿モードに切り替えられにくくなる。
つまり、暖房モードに切り替えられる場合は、プレ空調時にステップS66にて吸込口モードが内気モードではないと判定されたときとなり、第1、第2除湿モードに切り替えられる場合は、プレ空調時にステップS66にて吸込口モードが内気モードであると判定されたときとなる。
これにより、外気温が基準外気温(30℃)より高いときに、暖房モードや、第1、第2除湿モードで運転して、圧縮機11および各電磁弁13〜24の温度が、さらに上昇してしまうことを抑制できる。その結果、圧縮機11および各電磁弁13〜24の耐久性の悪化を抑制することができる。延いては、冷凍サイクルを構成するサイクル構成機器の耐久性の悪化を抑制することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態で採用した手段は、他の実施形態に適用可能である。例えば、第5〜第9実施形態のステップS11の制御は、第2〜第4実施形態のステップS11に適用可能である。また、第10実施形態のステップS16の制御は、第2〜第9実施形態のステップS16に適用可能である。
(2)上述の第8実施形態では、ステップS128にて冷凍サイクル10内の冷媒が不足しているか否かを判定し、冷凍サイクル10内の冷媒が不足していると判定された場合に、圧縮機11の作動を停止して冷媒吐出能力を低下させている。これに加えて、ステップS128にて冷凍サイクル10内の冷媒が不足していると判定された場合に、これを乗員に警告する警告手段を設けてもよい。
また、第9実施形態においても同様に、ステップS133にて故障フラグ=1となっていると判定された場合に、冷凍サイクル10の故障を乗員に警告する警告手段を設けてもよい。なお、警告手段としては、光によって警告する警告灯や音による警告を発するブザー等を採用できる。
(3)上述の実施形態では、冷凍サイクル10の冷媒として通常のフロン系冷媒を採用した例を説明したが、冷媒の種類はこれに限定されない。例えば、炭化水素系冷媒、二酸化炭素を用いてもよい。さらに、冷凍サイクル10を、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルとして構成してもよい。
(4)上述の実施形態では、例えば、第1実施形態のステップS62、S71では、外気温Tamが−3℃よりも低いか否かを判定しているが、もちろん、外気温Tamが−3℃以下であるか否かを判定するようにしてもよい。同様に、第10実施形態のステップS711でも、外気温Tamが−3℃以下、あるいは30℃以上になっているか否かを判定するようにしてもよい。その他の判定ステップにおいても本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で同様とすることができる。
(5)上述の各実施形態で説明した本発明の車両用空調装置1に適用された冷凍サイクル10は、据置型空調装置、空調機能付き給湯装置、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。