JP5531708B2 - 銅のエッチング液および基板の製造方法 - Google Patents

銅のエッチング液および基板の製造方法

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Description

本発明は、硫酸および過酸化水素を含む銅のエッチング液に関する、およびそれらのエッチング液を使用した基板の製造方法に関するものである。
プリント配線板の製造工程において配線を形成する方法としてセミアディティブ法がある。
このセミアディティブ法では、電気絶縁層上に0.5〜2μm程度の無電解銅めっき層からなるシード層を形成し、その上に導体を電解銅めっきにて形成した後、不要な無電解銅めっき層をエッチングによって除去して配線パターンを形成している。
このような無電解めっき層からなるシード層を除去するためのエッチング液としては、従来から硫酸および過酸化水素などのエッチング液が知られているが、例えば、過酸化水素−硫酸系エッチング液にアゾール類を添加したものなどが使用されている(特許文献1〜4参照)。
これらのエッチング液は、電解銅めっきと無電解銅めっきに対するエッチング速度に差を設け、電解銅めっきからなる導体部分をエッチングすることなく、無電解めっき層からなるシード層を選択的にエッチングするものである。
ところで、電気絶縁層と前記シード層の接着性を向上させる目的で前記電気絶縁層表面が粗化されている場合がある。このような電気絶縁層を使用するとシード層が電気絶縁層の表面の凹部に入り込んでアンカー効果によって両層の接着性は向上するが、シード層を除去する際には電気絶縁層の凹部にシード層の銅が入り込んで除去しにくくなる。
この凹部内に入り込んだ銅を除去するためには、長時間のエッチングが必要となり、前記導体の下側部分のシード層が水平方向にエッチングされる、いわゆるアンダーカットが生じてしまい、アンダーカットが大きい場合には導体が剥離するおそれがある。
あるいは長時間のエッチングによって導体までエッチングされ細るおそれもある。
また、近年前記無電解めっき層のみからなるシード層のかわりに、電解銅箔層(電解めっき層)と無電解めっき層からなるシード層として樹脂などの絶縁層表面に設けることも行われている。
この場合には、電解銅箔表面のプロファイル(凹凸形状)がそのまま樹脂表面の形状となるため、やはり、電気絶縁層表面に凹部が生じ、上記のようにシード層の銅部分が凹部内に残存するおそれがある。
加えて、前記のように電解銅箔からなる電解めっき層の上面にさらに無電解銅めっき層を形成して電解めっき層と無電解めっき層の二層からなるシード層では、導体形成後に非導体部分のシード層を除去するためには電解銅めっき層および無電解銅めっき層の両方をエッチングする必要が生じる。
この場合、電解銅めっき層と無電解銅めっき層に対するエッチング速度の差が大きい従来のエッチング液を使用すると、二層のシード層のうち無電解銅めっき層のみが水平方向に大きくエッチングされ無電解めっき層の部分において前記アンダーカットが生じ、やはりシード層を除去する前に導体が剥離するおそれがある。
特開2005−5341号公報 特開2006−9122号公報 特開2006−13340号公報 特開2009−149971号公報
上記従来の問題点に鑑み、本発明は、シード層の除去性を高めると同時にアンダーカットが生じにくいエッチング液およびそれらのエッチング液を使用した基板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明のエッチング液は、硫酸および過酸化水素を含む銅のエッチング液において、ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物および有機アミン化合物を含むことを特徴としている。
さらに、本発明のエッチング液は、前記ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物が、0.001質量%以上0.2質量%以下含まれていることが好ましい。
また、本発明の銅のエッチング液は、電解銅めっき層に対するエッチング速度ER1と、無電解銅めっき層に対するエッチング速度ER2の比がER2/ER1=0.8〜1.6であることが好ましい。
さらに、前記有機アミン化合物が、0.001質量%以上1.0質量%以下含まれていることが好ましい。
また、本発明のエッチング液は、塩化物イオン濃度が2ppm未満であることが好ましい。
さらに本発明の基板の製造方法においては、絶縁基材の上に無電解銅めっき層を含むシード層を介して電解銅めっきによって導体層を形成する基板の製造方法において、前記導体層を形成した後に、前記導体層が形成されていない部分の前記シード層を前記銅のエッチング液でエッチングすることを特徴としている。
尚、上記本発明のエッチング液は、銅をエッチングする液であるが、この「銅」には、純銅だけでなく銅合金も含まれる。
本発明のエッチング液は、硫酸および過酸化水素を含むエッチング液において、ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物および有機アミン化合物が添加されたエッチング液であるため、垂直方向へのエッチング速度が促進される。
そのため、導体以外の面に露出しているシード層をすばやく除去することができ、且つ該シード層が表面に凹凸を有する基材上に形成されている場合でも、基材の凹部内にシード層の銅を残すことなくすみやかに除去できる。
また、電解銅めっき層に対するエッチング速度と電解銅めっき層に対するエッチング速度の差が適切な範囲になるため、電解銅めっきからなる導体の下方に存在するシード層(無電解銅めっき層)のみが水平方向にエッチングされてアンダーカットが導体下部に生じることを抑制できる。さらに、短時間にシード層を除去することができるため、導体全体が細くなることも防止できる。
さらに、かかる本発明のエッチング液を使用して、無電解めっき層を備えたシード層をエッチングして基板を製造した場合には、電気絶縁層上にシード層を残すことなく除去できると同時に、導体のアンダーカットを生じることを抑制でき、歩留まりよく基板を製造することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態のエッチング液は、下記の(a)から(d)の成分を含む液である。
(a)硫酸
(b)過酸化水素
(c)ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物
(d)有機アミン化合物
(a)成分の硫酸および(b)成分の過酸化水素はベース成分である。
エッチング液中の硫酸の濃度は、0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がさらに好ましく、さらに好ましくは4〜13質量%の範囲である。
0.5質量%以上含まれている場合には、無電解銅めっき層に対する適切なエッチング速度にすることができ、50質量%以下の場合には、溶解した銅が硫酸銅として析出することを防止できる。
エッチング液中の過酸化水素の濃度は、0.1〜7質量%が好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましく、さらに好ましくは0.6〜2.5質量%である。
過酸化水素濃度が0.1質量%以上含まれている場合には、無電解銅めっき層に対するエッチング速度を適切な範囲にすることができ、過酸化水素濃度が7質量%以下の場合には反応熱による過剰なエッチング速度の上昇が抑制できる。
前記ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物を添加することで、垂直方向へ銅をエッチングする速度を促進させることができる。
特に、スプレー処理をした場合であって、シード層の面に対して上方からスプレー処理をした場合において、スプレーの噴射方向のエッチングを促進することができる。
(c)成分のニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物としては、例えば4−ニトロベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、6−ニトロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記(c)の成分がエッチング液中に含まれる濃度は、0.001質量%〜0.2質量%が好ましく、0.005質量%〜0.09質量%がさらに好ましく、さらに好ましくは質量%0.01〜0.06質量%である。
前記濃度範囲内であれば、垂直方向におけるエッチング速度を促進する効果が得られる。
前記(d)成分の有機アミン化合物を添加することで、電解銅めっき層に対するエッチング速度と、無電解銅めっき層に対するエッチング速度の差を小さくすることができる。
通常、硫酸および過酸化水素ベースのエッチング液では、無電解銅めっき層に対するエッチング速度の方が速いため、電解銅めっき層と無電解銅めっき層が混在している場合には、無電解銅めっき層を優先してエッチングすることになる。すなわちシード層が無電解銅めっき層を含む場合、導体をあまりエッチングせずに無電解銅めっき層を除去することができるが、同時に導体の側面において露出しているシード層を水平方向からエッチングして、導体下部が過剰にエッチングされるアンダーカットの原因になる。
本発明のエッチング液は前記(d)成分を含むため、電解銅めっき層に対するエッチング速度と、無電解銅めっき層に対するエッチング速度の差を小さく、すなわち導体側面から電解銅めっき層および無電解銅めっき層がともに露出していても、無電解銅めっき層のみが過剰にエッチングされてアンダーカットが生じることを抑制できる。
(d)成分の有機アミン化合物としては、アルキレンアミン、アルキルアミン、シクロアルキルアミン、シクロアルキレンアミンにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加したものなどが使用できる。
好ましいアルキレンアミンとしては、メチレンアミン、エチレンアミン、ブチレンアミン、プロピレンアミン、ペンチレンアミン、ヘキシレンアミン、ヘプチレンアミン、オクチレンアミン、その他のポリメチレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、デカメチルジアミン、オクタメチレンジアミン、ジヘプタメチレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、トリメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、ジトリメチレントリアミン、2−ヘプチル−3−(2−アミノプロピル)−イミダゾリン、4−メチルイミダゾリン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ビス(2−アミノエチル)イミダゾリン、1−(2−アミノプロピル)−ピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、および2−メチル−1−(2−アミノブチル)ピペラジンなどが挙げられる。
特に、好ましいアルキレンアミンとしてはエチレンジアミン、へキシレンアミン、トリメチレンジアミンなどの炭素数2〜8のアルキレンアミンである。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
特に、好ましいアルキルアミンとしてはエチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン などの炭素数2〜8のアルキルアミンである。
シクロアルキルアミンとしては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミンなどの炭素数3〜8のシクロアルキルアミンが挙げられる。
また、シクロアルキレンアミンとしてはシクロブチレンアミン、シクロペンチレンアミン、シクロへキシレンアミンなどの炭素数3〜8のシクロアルキレンアミンが挙げられる。
上記アルキレンアミンまたはアルキルアミンに、エチレンオキサイド(EO)および/またはプロピレンオキサイド(PO)を付加したものなどが使用できるが、好ましくは
エチレンオキサイド(EO)を2〜60モル、プロピレンオキサイド(PO)を2〜80モルの割合で付加したものが好ましい。
前記(d)成分がエッチング液中に含まれる濃度は、0.001質量%〜1質量%が好ましく、0.02質量%〜0.5質量%がさらに好ましく、さらに好ましくは質量%0.04〜0.26質量%である。
前記濃度範囲内であれば、電解銅めっき層および無電解銅めっき層に対するエッチング速度を適切な範囲に調整できる。
本実施形態のエッチング液の電解銅めっき層に対するエッチング速度ER1は、好ましくは0.2〜5μm/min.であり、無電解銅めっき層に対するエッチング速度ER2は好ましくは0.2〜8μm/min. の範囲である。
さらに、電解銅めっき層に対するエッチング速度ER1と、無電解銅めっき層に対するエッチング速度ER2の比がER2/ER1=0.8 〜1.6であることが好ましい。
このようなエッチング速度比にするためには、前記のように(d)成分の濃度を前記のような濃度範囲に調整で可能である。
さらに本実施形態のエッチング液中の塩素イオン濃度は、2ppm未満であることが好ましく、さらには1ppm未満であることが好ましく、さらには0.25ppm未満であることがさらに好ましい。
塩素イオン濃度が上記濃度未満である場合には、導体表面を粗化することなく平滑に維持したままシード層を除去することができる。
本実施形態のエッチング液は、前記各成分を水などの溶媒に溶解させることにより、容易に調製することができる。溶媒として水を使用する場合には、イオン性物質や不純物を除去した水が好ましく、例えばイオン交換水、純水、超純水などが好ましい。
さらに、本実施形態のエッチング液は、前記各成分を使用時に所定の濃度になるように配合してもよく、濃縮液を調製しておき使用直前に希釈して使用してもよい。
次に、本実施形態のエッチング液を用いてセミアディティブ法で基板を製造する方法について説明する。
本実施形態の基板の製造方法は、例えば、絶縁樹脂からなる基材表面に電解銅箔を積層した銅樹脂積層シートを使用して、セミアディティブ工法によって導体パターンを形成するために用いられる。
前記電解銅箔としては、通常厚さ約1.5μm〜5μmの電解銅めっき層がキャリアシート表面に電解銅めっきによって形成されてキャリアシートによって支持されている電解銅箔などが挙げられる。
このような電解銅箔を、電気絶縁層としてのプリプレグ樹脂の両面に積層し加熱しつつプレスすることで電解銅箔層と電気絶縁層とを備える銅樹脂積層シートを形成することができる。
前記電気絶縁層としては、通常厚さ約0.2mm〜0.6mmのガラスエポキシ樹脂製シートなどが挙げられる。
前記電解銅箔は、通常表面に凹凸を有しており(特にマット面)、このような電解銅箔表面を押し付けた状態でプレスされた電気絶縁層である樹脂表面にも凹凸が生じ、凹部内に銅箔の銅が食い込んだ状態で積層される。
前記銅樹脂積層シートを無電解銅めっき液に浸漬してシートの両面全面に無電解銅めっき層を形成する。
無電解銅めっき層は通常0.5〜1.5μmの厚みに形成されることが好ましい。
また、無電解銅めっき液としては、公知のめっき液を適宜選択して使用できる。
以上のように前記電解銅箔層(電解銅めっき層)と無電解銅めっき層からシード層が形成される。
次に、前記シード層にドライフィルムレジストなどのめっきレジストによってレジストパターンを形成し、その後電解銅めっきによって厚み15〜25μmの導体層を形成する。
その後、水酸化ナトリウムなどのめっきレジスト剥離液で前記めっきレジストを剥離して導体パターンが形成される。
この時、導体以外の部分には前記シード層が残っているため、前記本発明のエッチング液によってシード層をエッチングして不要なシード層を除去する。
エッチング方法としては、スプレーあるいは浸漬など公知の方法で前記シード層とエッチング液を接触させるが、例えば、スプレーによる噴霧処理を行う場合には、シード層の厚みにもよるが、一般的には液温15〜40℃、スプレー圧0.05〜0.20MPa、スプレー時間30〜180秒程度で処理することが好ましい。
本発明のエッチング液は前記のように無電解銅めっき層と電解銅めっき層に対するエッチング速度の差が小さく、さらに垂直方向へのエッチング速度が速いため、絶縁樹脂層表面にある凹部内にシード層の銅が残存することなく、且つアンダーカットが大きく生じることがなくシード層を除去して、基板を製造することができる。
尚、上記実施形態では、電気絶縁層に電解銅箔からなる電解銅めっき層および無電解銅めっき層からなるシード層を形成する場合について説明したが、シード層としては無電解銅めっき層のみからなるシード層であってもよい。
この場合は、たとえば電気絶縁層表面に無電解銅めっき層との接着性を向上させるために、薬品などによって粗化処理を施すことがあるが、前記のような本実施形態のエッチング液でシード層をエッチングすることで、導体が細くなったりあるいは導体そのものが剥離することなくシード層を完全に除去することができる。
以下に、本発明に係るエッチング液およびエッチング液を使用した基板の製造方法について、実施例と比較例を挙げて説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。
(エッチング液)
表1および表2に示す組成の各液を調製した。尚、表1および表2に示す成分を除いた残部はイオン交換水である。
また、各表中に記載した化合物名の詳細は下記のとおりである。
4N−BTA:4−ニトロベンゾトリアゾール
5N−BTA:5−ニトロベンゾトリアゾール
アデカプルロニックTR−704:(株)アデカ製 エチレンジアミンEO・PO付加物
アデカプルロニックTR−702:(株)アデカ製 エチレンジアミンEO・PO付加物
アデカプルロニックTR−913R:(株)アデカ製 エチレンジアミンEO・PO付加物
MI−002:第一工業製薬(株)製 ポリオキシアルキレン脂環式アミンEO・PO付加物
サンヒビターNo.50M:三洋化成(株)製 シクロヘキシルアミンEO・PO付加物
エソプロポミンC18/18:ライオン・アクゾ(株)製 アミンアルキレンオキサイドEO・PO16モル付加物
4A−BTA:4−アミノベンゾトリアゾール
EDA: エチレンジアミン
メチルCHA:メチルシクロヘキシルアミン
リケマールB−205:理研ビタミン(株) ポリオキシエチレンアルキルエーテルの EO5モル付加物
レオコン5030B:ライオン(株)ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン モノブチルエーテルEO・PO付加物
(電解銅めっき層に対するエッチング速度ER1の測定)
電気絶縁樹脂層の両側に電解銅箔層が積層された銅張積層板50mm×50mm(パナソニック電工社製、品名:ガラスエポキシマルチR−1766)を準備し、該銅張積層板の電解銅箔層面上に、厚み15μmの電気銅めっきを全面に施し、電解銅めっき層に対するエッチング速度ER1の測定用のテスト基板を用意した。
このテスト基板に対して、各表に記載の各エッチング液で15秒〜1分間のスプレー処理(スプレー圧:0.05MPa、温度30℃)にてエッチングを行い、処理前後のテスト基板の重量の差と処理前後のテスト基板の重量から、下式により電解銅めっきに対するエッチング速度ER1(μm/min.)を算出した。
ER1(μm/min.)=(処理前の重量(g)−処理後の重量(g))÷テスト基板面積(m2)÷ 銅の密度(g/cm3)÷処理時間(min.)
(無電解銅めっき層に対するエッチング速度ER2の測定)
電気絶縁樹脂層の両側に電解銅箔層が積層された厚み0.2mmの銅張積層板(パナソニック電工社製、品名:ガラスエポキシマルチR−1766)を準備し、該銅張積層板を硫酸200g/L、過酸化水素50g/L、残部イオン交換水からなる銅箔除去液に浸漬して前記銅張積層板の電解銅箔層を完全に除去した。
露出したガラスエポキシ基材の一面側に、奥野製薬工業社製無電解銅めっき薬液(製品名:OPC−カッパーH)をめっき条件30℃、75分でめっき処理し、厚み1.5μmの無電解銅めっき層を全面に形成した。
これを50mm×50mmに切断したものを無電解銅めっきに対するエッチング速度測定用のテスト基板とし、各テスト基板に対して、各表に記載の各エッチング液を用いて15秒間スプレー処理(スプレー圧:0.05MPa、温度30℃)にてエッチングを行った。
処理前後のテスト基板の重量から、下式により無電解銅めっきに対するエッチング速度ER2(μm/min.)を算出した。
ER2(μm/min.)=(処理前の重量(g)−処理後の重量(g))÷基板面積(m2)÷銅の密度(g/cm3)÷処理時間(min.)
(電解銅めっき層除去性の評価)
厚み3μmの三井金属鉱業社製キャリア付銅箔(製品名:Micro Thin Ex)を厚み0.2mmのパナソニック電工社製プリプレグ(製品名:高耐熱ガラスエポキシマルチR−1661)の両面に積層し(電解銅めっき層)、キャリア箔を剥離後、100mm×100mmに切断した。
この積層板に、奥野製薬工業社製無電解めっき薬品(製品名:OPC−カッパーH)を用いてめっき条件30℃、50分でめっき処理し、厚み1μmの無電解銅めっきを全面に施した。
さらに、該無電解銅めっき層に、旭化成エレクトロニクス社製感光性ドライフィルム(製品名:サンフォートASG−254)によりめっきレジストパターンを施し、電気銅めっきによりめっき条件2.0A/dm2、55分でめっき処理し、厚み18μmの配線パターン(ライン/スペース=25μm/25μm)を形成した。
その後、3重量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーすることにより上記めっきレジストを剥離してシード層除去性評価用のテスト基板を作製した。
このテスト基板に対して、各表に記載の各エッチング液を用いてスプレー処理(スプレー圧:0.05MPa、温度30℃)によりエッチングを行い、導体間のシード層が完全に除去されるまでの除去時間を計測した(電解銅めっき層除去時間)。
尚、導体間のシード層が除去されたかどうかは金属顕微鏡(オリンパス社製 MX50)によって500倍に拡大して目視観察することにより確認した。
(無電解銅めっき層除去性の評価)
厚み0.2mmの銅張積層板(パナソニック電工社製、品名:ガラスエポキシマルチR−1766)を準備し、該銅張積層板を硫酸200g/L、過酸化水素50g/L、残部イオン交換水からなる銅箔除去液に浸漬して前記銅張積層板の電解銅箔層を完全に除去し、露出したガラスエポキシ基材の一面側に、奥野製薬工業製無電解銅めっき薬品(製品名:OPC−カッパーH)をめっき条件30℃、50分でめっき処理し、厚み1μmの無電解銅めっき層(無電解銅シード層)を全面に形成した。これを100mm×100mmに切断した基板を用意した。この基板に、旭化成エレクトロニクス社製感光性ドライフィルム(製品名:サンフォートASG−254)によりめっきレジストパターンを施し、電気銅めっきによりめっき条件2.0A/dm2、55分でめっき処理し、厚み18μmの配線パターン(ライン/スペース=15μm/15μm)を形成した。
その後、3重量%の水酸化ナトリウム水溶液をスプレーすることにより上記めっきレジストを剥離して無電解銅めっきシード層除去性評価用のテスト基板を作製した。
このテスト基板に対して、各表に記載の各エッチング液を用いてスプレー処理(スプレー圧:0.05MPa、温度30℃)によりエッチングを行い、導体間のシード層が完全に除去されるまでの除去時間を計測した(無電解銅めっき層除去時間)。
尚、導体間のシード層が除去されたかどうかは金属顕微鏡(オリンパス社製 MX50)によって500倍に拡大して目視観察することにより確認した。
(導体細りの測定)
上記各シード層除去評価を行ったテスト基板において、各シード層の除去を行う前後の導体頂部の幅を測定して、シード層除去後に導体がどれくらい細くなったかを測定した。
なお、導体頂部の幅は、いずれもデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX)にて計10箇所測定し、その平均値とした。
導体細り量(μm)=処理前の導体頂部幅(μm)−処理後の導体頂部幅(μm)
(アンダーカット長さ(UCL)の測定方法)
上記導体細り量の測定評価を行ったテスト基板を包埋樹脂にて包埋処理し、これを切断して断面研磨した。
続いて、研磨断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX)にて観察し、下記方法で各テスト基板のアンダーカット長さを測定した。
電解銅めっき層除去後のUCLの測定
導体と無電解銅めっき層の界面位置の幅と、該無電解銅めっき層とその下側の電解銅めっき層の界面位置の幅の差を計10箇所測定し平均を出しその1/2の平均値をUCLとした。
無電解銅めっき層除去後のUCLの測定
導体と無電解銅めっき層の界面の幅と、該無電解銅めっき層とガラスエポキシ基材との界面の幅の差を計10箇所測定し平均を出しその1/2の平均値をUCLとした。
(粗度の測定)
上記電解銅めっき層除去性を評価した後の各テスト基板の導体表面の粗度Rz(μm)をレーザー顕微鏡(オリンパス社製 OLS−1100)により測定した。
各測定結果を表に示した。
Figure 0005531708
Figure 0005531708
以上の結果より、実施例では比較例に比して電解めっき層の除去時間が短いと同時に、導体細りもアンダーカット量も少なく、導体表面も粗化されていないことが明らかである。

Claims (5)

  1. 硫酸および過酸化水素を含む銅のエッチング液において、
    ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物および有機アミン化合物を含み、
    前記有機アミン化合物は、アルキレンアミン、アルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびシクロアルキレンアミンからなる群から選択される一種以上の化合物にエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加した化合物であることを特徴とする銅のエッチング液。
  2. 前記ニトロ置換基を有するベンゾトリアゾール化合物が、0.001質量%以上0.2質量%以下含まれている請求項1に記載の銅のエッチング液。
  3. 前記有機アミン化合物が、0.001質量%以上1.0質量%以下含まれている請求項1または請求項2に記載の銅のエッチング液。
  4. 塩化物イオン濃度が2ppm未満である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の銅のエッチング液。
  5. 絶縁基材の上に無電解銅めっき層を含むシード層を介して電解銅めっきによって導体層を形成する基板の製造方法において、
    前記導体層を形成した後に、前記導体層が形成されていない部分の前記シード層を、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の銅のエッチング液でエッチングすることを特徴とする基板の製造方法。
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