JP5531642B2 - 貼り合わせウェーハの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、貼り合わせウェーハの製造方法に関し、すなわち、イオン注入したウェーハを貼り合わせた後イオン注入層にて剥離して貼り合わせウェーハを製造する、いわゆるイオン注入剥離法による貼り合わせウェーハに関する。
貼り合わせウェーハの代表的なものとして、SOI(Silicon On Insulator)ウェーハがある。
イオン注入剥離法を用いた通常の貼り合わせSOIウェーハの製造方法により、SOIウェーハを製造する場合、剥離直後のSOI層(ボンドウェーハを剥離した後の薄膜)の表面(剥離面)の表面粗さ(ラフネス)が大きく、そのままではデバイス製造プロセスに適用できない。そのため、表面粗さを小さくする必要があり、その方法として、具体的には高温アニールによる表面シリコン原子のマイグレーションを利用する方法や、CMP(化学機械研磨)での微量研磨(タッチポリッシュ)を行ったりする方法が挙げられる。
抵抗加熱式熱処理炉を使用した高温アニールによるマイグレーションを利用する場合には、高温、長時間の熱処理ほど表面粗さは小さくなるが、スリップ転位が発生しやすく、また、埋め込み酸化膜(BOX)の減少量も大きくなり、ベースウェーハ中の酸素析出が過多になりやすい。
また、RTA(Rapid Thermal anneal)によるマイグレーションを利用しても高温長時間ほど小さな表面粗さになるが、同様にスリップ転位は発生しやすい傾向がある。
一方、タッチポリッシュを用いると研磨代を多くするほど表面粗さは小さくなるが、SOI層の膜厚均一性が悪化する傾向がある。
このように、剥離後のSOI層表面の表面粗さを小さくすると、他の品質を低下させることが多いという問題があった。このような問題は、イオン注入剥離法を用いる限り、SOIウェーハ以外の貼り合わせウェーハでも同様である。
ところで、例えば特許文献1及び特許文献2には、貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)においてボイドやブリスターと呼ばれる貼り合わせ界面の欠陥が発生することが記載されている。また、有機物がこのボイドやブリスターの原因になることについて開示されている。
また、特許文献3には、貼り合わせ基板のテラス部形状の改善のため、貼り合わせ前の2枚の基板のいずれかの外周部全周に有機物を塗布することが開示されている。
特開2000−30992号公報 特開2004−259970号公報 特開2007−157952号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、表面粗さの小さい貼り合わせウェーハを、他の品質を低下させることなく製造することができる貼り合わせウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入してイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入した表面とベースウェーハの表面とを直接又は絶縁膜を介して貼り合わせた後、熱処理を施して前記イオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、前記ベースウェーハ上に薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製する貼り合わせウェーハの製造方法において、前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の貼り合わせ面の外周部の一部の領域に表面処理を施した後に前記ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、前記熱処理を施すことによって、前記表面処理を施した位置に対応する位置にブリスターを形成させつつ前記剥離を行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法を提供する。
このように、意図的にブリスターを形成させつつ剥離を行って貼り合わせウェーハを製造する方法であれば、スリップ転位の発生や膜厚均一性を損なうことを抑制しつつ、剥離面の表面粗さを低減することができる。また、意図的にブリスターを発生させる領域をウェーハ外周部の一部の狭い領域のみに限定することにより、デバイス作製の有効面積の低下を最小限に抑えることができる。
この場合、前記表面処理として、有機物を付着させること若しくはピットを形成すること又はその両方を行うことができる。
このように、表面処理として、有機物を付着させること若しくはピットを形成すること又はその両方を行えば、熱処理により、簡便に意図的にブリスターを形成することができる。
また、前記一部の領域を、ノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置、又は、その180°回転対称位置とすることが好ましい。
製造した貼り合わせウェーハの、ノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置や、その180°回転対称位置は、デバイスが作製されないデッドスペースとなることが多い。そのため、表面処理を行う一部の領域を、ノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置、又は、その180°回転対称位置とすることにより、デバイス作製のための有効面積の低下をより抑えることができる。
また、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法では、前記イオン注入のドーズ量を5×1016〜7×1016/cmの範囲とし、前記熱処理の温度を300℃〜400℃とすることができる。
ブリスターを形成させつつ剥離を行う、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法においては、剥離するための熱処理温度を低下させることもできる。上記のように、ドーズ量が5×1016〜7×1016/cmの場合には、熱処理温度を300〜400℃まで低温化することができる。
本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法に従えば、スリップ転位の発生や膜厚均一性を損なうことを抑制しながらも、表面粗さの小さい貼り合わせウェーハを製造することができる。
本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法において、ブリスターを形成させつつ剥離を行う工程におけるウェーハ断面の様子を示す模式図である。 本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法における表面処理の一例としてピットを形成する場合を説明する概略断面図である。 本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法において、ノッチを有するウェーハ表面において表面処理を行う位置の一例を示す概略図である。 本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法において、オリエンテーションフラットを有するウェーハ表面において表面処理を行う位置の一例を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述のように、イオン注入剥離法による貼り合わせウェーハの製造では、剥離後の薄膜(SOIウェーハの場合、SOI層)表面の表面粗さを小さくする処理をすると、他の品質を低下させることが多いという問題があった。特に、高温アニールによる表面シリコン原子のマイグレーションを利用する方法では、高温、長時間になるほど表面粗さは良くなるが、貼り合わせウェーハにスリップ転位が発生しやすく、タッチポリッシュによる方法では、研磨取り代を増していくと、薄膜の膜厚均一性が悪化しやすい。
薄膜の表面粗さを低減することは、デバイスの性能を向上させるために重要なパラメーターの一つである。従って、貼り合わせウェーハの他の品質項目を低下させること無く、薄膜表面の表面粗さを小さくすることが必要である。そのためには、剥離直後の薄膜の表面粗さをできる限り小さくし、その後のアニールやタッチポリッシュなどの平坦化処理の負担を軽減する事が重要である。すなわち、アニールによるマイグレーションを利用して表面粗さを小さくする場合、処理前の表面粗さが小さいほどマイグレーションによる表面粗さ低減の効果は大きい。同様にタッチポリッシュでも処理前の表面粗さが小さいほど研磨取り代が少なくても表面粗さは小さくなる。
ところで、剥離直後の薄膜表面には、ブリスターと呼ばれる貼り合わせウェーハ特有の欠陥が発生することがある。これは、結合力が弱く貼り合わせ界面が形成されずドーム状の突起領域が発生する欠陥である。このようなブリスターは、貼り合わせ前に有機物等がウェーハに付着した場合、または、ピット(ピット型の欠陥)がある場合等に発生することが知られている(特許文献1、2参照)。
本発明者らの調査により、ブリスターが発生したSOIウェーハは、ブリスターが発生しなかったSOIウェーハと比較すると、ウェーハ表面(SOI層表面)の表面粗さが小さくなる傾向があることを見出した。また、ブリスターの大きさやその発生場所にかかわらず、ブリスターが発生したウェーハ表面全体の表面粗さは、ブリスターが発生していないウェーハに比べて小さくなる傾向があることもわかった。これらは一般の貼り合わせウェーハについても同様であった。
そこで、本発明者らは、意図的にブリスターを発生させれば、剥離面の表面粗さを低減することができると考えた。しかし、ブリスターが発生した領域はデバイス作製領域として使用することができないため、広い範囲でブリスターを発生させてしまうとデバイス作製の有効面積が小さくなってしまうという問題がある。これらを考慮し、意図的にブリスターを発生させる領域をウェーハ外周部の一部の狭い領域のみに限定すれば、デバイス作製の有効面積の低下を最小限に抑えつつ、剥離面の表面粗さを低減することができることを発想し本発明を完成させた。
意図的にブリスターを発生させる方法としては、例えば、貼り合わせウェーハの材料である、ボンドウェーハとベースウェーハの一方または両方の貼り合わせ面(貼り合わせようとする面)の外周部の一部の領域に有機物を付着させたり、ピットを形成したり、あるいはこれら両方を行う表面処理を施すことにより、それらのウェーハを貼り合わせ、熱処理を加えて剥離を行うと同時にブリスターを発生させることができる。ブリスターが発生することで、剥離面のマイクロラフネスの小さな貼り合わせウェーハを製造することができる。
なお、有機物がボイドやブリスターの原因になることについては、特許文献1、2など、多数の先行技術に記載されているが、大抵は有機物起因のボイドやブリスターを低減することを目的としているため、本発明のように、有機物を意図的に付着させることによってブリスターを発生させることについての開示はない。
一方、有機物を意図的に付着させることが記載されている先行技術として特許文献3がある。特許文献3には、貼り合わせ基板のテラス部形状の改善のため、貼り合わせ前の2枚の基板のいずれかの外周部全周に有機物を塗布することが開示されている。しかしながら、特許文献3のように、貼り合わせ前の2枚の基板のいずれかの外周部全周に有機物を塗布してしまうと、製造後の貼り合わせウェーハにおけるデバイス作製領域が著しく狭くなってしまい、歩留まりが悪化する。
以下、本発明の貼り合わせウェーハの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では特に、ボンドウェーハ及びベースウェーハとしてともにシリコン単結晶ウェーハを用い、絶縁膜を介して両ウェーハを貼り合わせ、剥離によりSOIウェーハを製造する態様を中心に説明する。
図1は、本発明に係る貼り合わせウェーハの製造方法の一例を示すフローチャートである。
具体的には、まず、図1(a)に示したように、互いを貼り合わせて貼り合わせウェーハとするための、ベースウェーハ11及びボンドウェーハ12を準備する(工程a)。
ベースウェーハ11及びボンドウェーハ12の材質としては公知のものを用いることができるが、特には、ともにシリコン単結晶ウェーハである。
次に、ベースウェーハ11とボンドウェーハ12の少なくとも一方の表面に絶縁膜13を形成する(工程b)。図1(b)では、ボンドウェーハ12の表面に絶縁膜13を形成する例を示している。絶縁膜13としては、例えば、酸化膜を形成することができるが、これに限定されず、所望の種類の絶縁膜を形成することができる。絶縁膜の形成方法も特に限定されない。
なお、絶縁膜を介さずにベースウェーハ11とボンドウェーハ12とを直接貼り合わせる場合にはこの絶縁膜を形成する必要はない。
次に、図1(c)に示したように、ボンドウェーハ12の表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入してイオン注入層14を形成する(工程c)。
なお、工程bの絶縁膜形成工程と、工程cのボンドウェーハへのイオン注入工程は、順番が逆でもよいが、その場合、絶縁膜形成時の熱処理条件次第ではイオン注入層で剥離してしまうおそれがあるので、絶縁膜形成後にイオン注入した方が好ましい。
次に、ボンドウェーハ12とベースウェーハ11の少なくとも一方の貼り合わせ面(貼り合わせようとする面)の外周部の一部の領域に表面処理を施す(工程d)。図1(d)では、ベースウェーハ11に表面処理を施した例を示している。
なお、ボンドウェーハ12の貼り合わせ面は、イオン注入を行った面となる。
ここでの表面処理は、後述する剥離熱処理の際に、該表面処理を施した位置に対応する位置にブリスターを形成することができる処理とする。例えば、図1(d)で示したように、ウェーハに有機物15を付着してもよいし、図3に示したように、ピット25をウェーハ(図3ではベースウェーハ11を示している)に形成してもよい。
有機物を付着させる具体的な方法としては、例えば、有機溶剤を必要な領域に塗布したり、表面にIPA(イソプロピルアルコール)などの有機溶剤を付着させた治具などを接触させたりすることが挙げられる。また、ピットを形成する方法としては、レーザーによるマーキングなどを挙げることができる。
また、この際、ブリスターを発生させる位置をできるだけデバイス作製領域外とするため、表面処理を行う位置をウェーハに形成されたノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置、又は、その180°対称の位置にすることが好ましい(図4、5参照)。作製するデバイスの種類にもよるが、ノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置、又は、その180°回転対称位置は、デバイスが作製されないデッドスペースとなることが多いため、この位置にブリスターを発生させることにすれば、デバイス作製のための有効面積の低下をより抑えることができる。
図4では、ノッチ42を有するウェーハ(ベースウェーハ又はボンドウェーハ)41を示している。「ノッチの位置」とはウェーハ41のうちノッチ42の近傍であり、ウェーハ上で点線で囲った領域43である。
本発明の目的を達成するためには、ブリスターが発生すればよい一方で、ブリスターの発生する領域をできるだけ小さくすることが好ましいため、上記表面処理を行うノッチの位置43を、例えば、ノッチから5mm以内、好ましくは3mm以内とすることができるが、これに限定されない。具体的には、例えば、領域44として図示したように、2箇所のそれぞれ直径約2mmの領域に表面処理を施すことができる。
また、ノッチ42の180°回転対称位置45も、同様の理由により、ウェーハエッジから5mm以内、好ましくは3mm以内とすることができるが、これに限定されない。
具体的には、直径約3mmの領域46のように表面処理を施すことができる。
図5では、オリエンテーションフラット(オリフラ)52を有するウェーハ(ベースウェーハ又はボンドウェーハ)51を示している。「オリエンテーションフラットの位置」とはウェーハ51のうちオリエンテーションフラット52の近傍であり、ウェーハ上で点線で囲った領域53である。
上記したノッチを有するウェーハの場合と同様の理由により、上記表面処理を行うオリエンテーションフラットの位置53を、例えば、オリエンテーションフラット52から5mm以内、好ましくは3mm以内とすることができるが、これに限定されない。具体的には、例えば、領域54として図示したように、2箇所のそれぞれ直径約2mmの領域に表面処理を施すことができる。
また、オリエンテーションフラット52の180°回転対称位置55も、同様の理由により、ウェーハエッジから5mm以内、好ましくは3mm以内とすることができるが、これに限定されない。
具体的には、例えば、2箇所のそれぞれ直径約2mmの領域56に表面処理を施すことができる。
次に、図1(e)に示したように、ベースウェーハ11とボンドウェーハ12とを貼り合わせる(工程e)。
各ウェーハのそれぞれの貼り合わせ面は、上記の表面処理を行ったウェーハについては、その表面処理を行った面であり、また、ボンドウェーハ12については、イオン注入面である。
次に、図1(f)に示したように、ベースウェーハ11とボンドウェーハ12とを貼り合わせたウェーハに熱処理を施し、イオン注入層14でボンドウェーハ12を剥離させることにより、ベースウェーハ11上に薄膜18を有する貼り合わせウェーハを作製する(工程f)。図1(f)では、絶縁膜13が埋め込み絶縁膜となっており、ベースウェーハ11上に埋め込み絶縁膜を介して薄膜18が形成されている。
ここでは、工程dにおいて表面処理を施したので、熱処理を施すことによって、工程dの表面処理を施した位置に対応する位置にブリスターを形成させながら剥離を行うことができる。
また、図2に図示したように、ブリスター16が形成された領域の薄膜18を除去する処理を行うことにより、ブリスター16によるデバイス作製に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
ただし、広い範囲でブリスターを発生させてしまうとデバイス作製の有効面積が小さくなってしまうことを考慮すると、ブリスターを発生させる領域の範囲としては、ベースウェーハの外周に沿う方向に全外周の1/8以下程度にすることが好ましく、1/16以下程度にすることがより好ましい。
また、本発明者らの調査によれば、ブリスターを発生させつつ剥離を行う場合、剥離面の表面粗さが向上するだけでなく、剥離するための熱処理温度を低下させることができることが判明した。すなわち、例えば、ドーズ量が5×1016〜7×1016/cmの範囲の場合、ブリスターの発生なく剥離が行われるためには450℃程度以上の熱処理温度が必要であったが、ブリスターの発生があると、その温度を300〜400℃まで低温化することができることがわかった。
このことから、ブリスターが発生すると表面粗さが小さくなる理由は以下のように考えられる。図2を参照しながら、この理由を説明する。図2は図1の工程f(ブリスターを形成させつつ剥離を行う工程)におけるウェーハ断面の様子を示す模式図である。
図2(a)では、表面処理(図1の工程d)及びウェーハ貼り合わせ(図1の工程e)の後、剥離熱処理を行う前の状態を示している。
絶縁膜13が形成され、イオン注入層14が形成されたボンドウェーハ12と、ベースウェーハ11とが貼り合わされている。貼り合わせ面はイオン注入面及び表面処理を行った面とし、ここでは、ボンドウェーハ12がイオン注入した面、ベースウェーハ11に表面処理として有機物15を付着させた例を図示している。
図2(b)では、熱処理工程(図1の工程f)の初期段階を示している。
剥離熱処理が始まると、表面処理(有機物15の付着)を施した位置に対応する位置にブリスター16が形成し始める。
図2(c)では、熱処理工程(図1の工程f)の後期段階を示している。
ブリスターが発生しない場合の剥離温度に達する前にブリスター16が発生すると、その部分に応力が発生し、それが、剥離が行われるイオン注入層14に対する外力として作用するため、ブリスター16が発生しない場合の剥離温度よりも低温で剥離が発生する。
従って、剥離が発生するまでの熱負荷はブリスター16が発生しない場合に比べて小さくなるため、イオン注入層14で厚さバラツキの小さな剥離層が形成された状態(剥離面17の凹凸のバラツキが小さい状態)で、ブリスター16の発生時の強制的な応力で剥離が発生するからと考えられる。
図2(d)には、熱処理後、ボンドウェーハ12を剥離して薄膜18が形成された状態を示している。ここでは絶縁膜13が埋め込み絶縁膜となっており、ベースウェーハ11上に埋め込み絶縁膜を介して薄膜18が形成されている。ブリスター16は形成されたままである。
その後、図2(e)に示したように、前述のブリスター16が形成された領域の薄膜18を除去する処理(ブリスター処理)を行うことが好ましい。
具体的なブリスター処理としては、例えば、薄膜18の表面のブリスター形成領域及びその近傍以外の表面を保護膜でカバーした状態でエッチング液に浸漬することにより、ブリスター形成領域及びその近傍の薄膜18及び絶縁膜13を除去する方法を行うことができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
ベースウェーハ11及びボンドウェーハ12として、それぞれ、直径300mm、抵抗率10Ωcm、P型のSi単結晶ウェーハを準備した(図1の工程a)。
次に、ボンドウェーハ12に、絶縁膜13として厚さ150nmの酸化膜を、パイロジェニック酸化により成長させた(図1の工程b)。
このように絶縁膜13を形成したボンドウェーハ12に対し、その一表面から、イオン注入により、ドーズ量5.5×1016/cm、加速エネルギー50keVで水素イオンを打ち込み、イオン注入層14を形成した(図1の工程c)。
次に、ボンドウェーハ12のイオン注入面(ベースウェーハ11と貼り合わせる面)のノッチ近傍において、図4の符号44で示したような、2箇所のそれぞれ直径約2mmの領域にIPA(イソプロピルアルコール)を付着させ、乾燥させた(図1の工程d)。
次に、ボンドウェーハ12とベースウェーハ11とを貼り合わせた(図1の工程e)。
その後、剥離熱処理(500℃、1時間)を行い、水素のイオン注入層14を脆弱化しボンドウェーハ12の剥離を行った(図1の工程f)。
薄膜(SOI層)18の表面(剥離面17)を目視で観察すると、ブリスターが発生していた。
(比較例1)
実施例1のリファレンスとして、IPAの付着(工程d)を行わないこと以外は、実施例1と同様に工程a〜c、e〜fを行って貼り合わせウェーハを製造した。
この貼り合わせウェーハ薄膜(SOI層)の表面(剥離面)を目視で観察すると、ブリスターは発生していなかった。
このようにして製造した、実施例1及び比較例1の貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)に対し、結合強度を高めるための結合熱処理(酸化性雰囲気、900℃、2時間)、酸化膜除去、平坦化熱処理(100%Arガス雰囲気、1200℃、1時間)を行い、その後AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、貼り合わせウェーハ中央部の表面粗さを測定した。ここでの測定範囲は30μm×30μmとした。
両ウェーハの表面粗さの測定結果を以下に示す。
ブリスターの発生したSOIウェーハ(実施例1) Rmax:2.7nm
ブリスターの発生しなかったSOIウェーハ(比較例1) Rmax:3.4nm
(但し、Rmax=P−V(Peak−to−Valley)値)
この結果からわかるように、ブリスターの発生を伴うボンドウェーハの剥離は、剥離後の薄膜の表面粗さを小さくさせる効果がある。
(実施例2)
ベースウェーハ11及びボンドウェーハ12として、それぞれ、直径300mm、抵抗率10Ωcm、P型のSi単結晶ウェーハを準備した(図1の工程a)。
次に、ボンドウェーハ12に、絶縁膜13として厚さ150nmの酸化膜を、パイロジェニック酸化により成長させた(図1の工程b)。
このように絶縁膜13を形成したボンドウェーハ12に対し、その一表面から、イオン注入により、ドーズ量5.5×1016/cm、加速エネルギー50keVで水素イオンを打ち込み、イオン注入層14を形成した(図1の工程c)。
次に、ボンドウェーハ12のイオン注入面(ベースウェーハ11と貼り合わせる面)のノッチの180°回転対称位置、ウェーハエッジから2mmの近傍に、図4の符号46で示したような直径約3mmの領域(1箇所)にIPA(イソプロピルアルコール)を付着させ、乾燥させた(図1の工程d)。
次に、ボンドウェーハ12とベースウェーハ11とを貼り合わせた(図1の工程e)。
その後、剥離熱処理(500℃、1時間)を行い、水素のイオン注入層14を脆弱化しボンドウェーハ12の剥離を行った(図1の工程f)。
薄膜(SOI層)18の表面(剥離面17)を目視で観察すると、ブリスターが発生していた。
(比較例2)
実施例2のリファレンスとして、IPAの付着(工程d)を行わないこと以外は、実施例2と同様に工程a〜c、e〜fを行って貼り合わせウェーハを製造した。
この貼り合わせウェーハ薄膜(SOI層)の表面(剥離面)を目視で観察すると、ブリスターは発生していなかった。
このようにして製造した、実施例2及び比較例2の貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)に対し、結合強度を高めるための結合熱処理(酸化性雰囲気、900℃、2時間)、酸化膜除去、平坦化熱処理(100%Arガス雰囲気、1200℃、1時間)を行い、その後AFM(原子間力顕微鏡)を用いて、貼り合わせウェーハ中央部の表面粗さを測定した。ここでの測定範囲は30μm×30μmとした。
両ウェーハの表面粗さの測定結果を以下に示す。
ブリスターの発生したSOIウェーハ(実施例2) Rmax:2.5nm
ブリスターの発生しなかったSOIウェーハ(比較例2) Rmax:3.5nm
(但し、Rmax=P−V(Peak−to−Valley)値)
この結果からわかるように、ブリスターの発生を伴うボンドウェーハの剥離は、剥離後の薄膜の表面粗さを小さくさせる効果がある。
(実施例3)
剥離熱処理を低温で行う実施例を示す。
まず、ベースウェーハ11及びボンドウェーハ12として、それぞれ、直径300mm、抵抗率10Ωcm、P型のSi単結晶ウェーハを4組準備した(図1の工程a)。以下の工程a〜eは、4組それぞれ同様に行った。
図1の工程aで準備したボンドウェーハ12に、絶縁膜13として厚さ150nmの酸化膜を、パイロジェニック酸化により成長させた(図1の工程b)。
このように絶縁膜13を形成したボンドウェーハ12に対し、その一表面から、イオン注入により、ドーズ量5.5×1016/cm、加速エネルギー50keVで水素イオンを打ち込み、イオン注入層14を形成した(図1の工程c)。
次に、ボンドウェーハ12のイオン注入面(ベースウェーハ11と貼り合わせる面)のノッチ近傍において、図4の符号44で示したような、2箇所のそれぞれ直径約2mmの領域にIPA(イソプロピルアルコール)を付着させ、乾燥させた(図1の工程d)。
次に、ボンドウェーハ12とベースウェーハ11とを貼り合わせた(図1の工程e)。
ボンドウェーハ12とベースウェーハ11を貼り合わせた後、剥離熱処理を行った(図1の工程f)。剥離熱処理条件は350℃で、熱処理時間を1、2、4、8時間のそれぞれで行った。
(比較例3)
実施例3のリファレンスとして、IPAの付着(工程d)を行わないこと以外は、実施例3と同様に、工程a〜c、e〜fを行って貼り合わせウェーハを4組製造した。
実施例3及び比較例3におけるボンドウェーハの剥離の結果を下記の表1に示す。
Figure 0005531642
ブリスターを発生させるためにIPAの付着工程を導入した貼り合わせウェーハ(実施例3)は、1時間の熱処理でも剥離がなされ、またブリスターの発生を確認した。しかし、リファレンスのウェーハ(比較例3)は、8時間の熱処理を行っても剥離が発生しなかった。
このように、ブリスターを発生させれば低温でウェーハ分離ができることがわかった。
このことから、低温の剥離熱処理でも貼り合わせウェーハ(SOIウェーハ)を製造することができる。例えば400℃以上の熱処理が不可能なウェーハ、例えば石英基板とシリコン基板を貼り合わせる場合等に有効である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
11…ベースウェーハ、 12…ボンドウェーハ、 13…絶縁膜、
14…イオン注入層、 15…有機物、 16…ブリスター、
17…剥離面、 18…薄膜、 25…ピット、
41…ノッチ付きウェーハ(ボンドウェーハ又はベースウエーハ)、 42…ノッチ、
43、45…表面処理を施す位置、 44、46…表面処理を施す位置の具体例、
51…オリエンテーションフラット付きウェーハ(ボンドウェーハ又はベースウエーハ)、 52…オリエンテーションフラット、
53、55…表面処理を施す位置、 54、56…表面処理を施す位置の具体例。

Claims (4)

  1. ボンドウェーハの表面から水素イオン、希ガスイオンの少なくとも一種類のガスイオンをイオン注入してイオン注入層を形成し、前記ボンドウェーハのイオン注入した表面とベースウェーハの表面とを直接又は絶縁膜を介して貼り合わせた後、熱処理を施して前記イオン注入層でボンドウェーハを剥離させることにより、前記ベースウェーハ上に薄膜を有する貼り合わせウェーハを作製する貼り合わせウェーハの製造方法において、
    前記ボンドウェーハと前記ベースウェーハの少なくとも一方の貼り合わせ面の外周部の一部の領域に表面処理として有機物を付着させることを施した後に前記ボンドウェーハとベースウェーハの貼り合わせを行い、前記熱処理を施すことによって、前記表面処理を施した位置に対応する位置にブリスターを形成させつつ前記剥離を行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
  2. 前記表面処理として、さらに、ピットを形成することを行うことを特徴とする請求項1に記載された貼り合わせウェーハの製造方法。
  3. 前記一部の領域を、ノッチ若しくはオリエンテーションフラットの位置、又は、その180°回転対称位置とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された貼り合わせウェーハの製造方法。
  4. 前記イオン注入のドーズ量を5×1016〜7×1016/cmの範囲とし、前記熱処理の温度を300℃〜400℃とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された貼り合わせウェーハの製造方法。
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