JP5528310B2 - 衣料用液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、洗濯の際に抗菌剤成分が金属錯体として衣料に吸着して乾燥後も抗菌作用を発揮すると共に、当該抗菌剤成分の安定配合を可能とする衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
皮脂汚れ等がひどく付着した衣料は、洗濯した後、特に相対湿度の高い環境下で乾燥した場合に異臭が発生していることがある。この異臭の発生は、洗濯後の衣料において菌が増殖したことに起因する。
かかる菌の増殖を防止するため、従来の洗浄剤組成物においては、抗菌剤成分が配合されている。
洗浄剤組成物は洗濯時に多量の水で希釈されることから、充分な抗菌効果を発現するためには、高い抗菌性能を有する抗菌剤成分を選択し、かつ、その抗菌剤成分の有効量を配合する必要がある一方、配合した抗菌剤成分の多くは、濯ぎ等により流されてしまう。そのため、洗濯を通じて衣料に抗菌性を付与する場合、洗濯後の衣料への残留量を高めることが求められる。
なお、本発明において「抗菌効果」とは、菌の増殖を抑える効果を意味する。当該抗菌効果が高いほど、衣料を防臭する効果が高いとされている。
これまで汎用の抗菌剤成分としては、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等)などのカチオン性成分が用いられている。当該カチオン性成分は、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して高い抗菌効果を発揮する。
しかしながら、その反面、カチオン性成分は、風呂の残り湯などに存在する大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌などのグラム陰性菌に対する抗菌効果が不充分である。
これに対し、グラム陰性菌に対して抗菌性を有する金属塩が注目されている。
たとえば、特許文献1には、銅(II)イオンおよび/または亜鉛イオンの塩と、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アミド硫酸、およびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種の酸成分と、特定のアニオン性界面活性剤および/またはノニオン性界面活性剤から選択される少なくとも一種の界面活性剤成分と、水とを含んでなり、前記塩が0.001mMを超えて10mM未満含有されてなる、水を使用した洗浄等によって汚れを除去するのが困難な場所での利用に好適な洗浄剤が提案されています。
特許文献2には、洗浄剤と消臭性配合剤とからなり、該消臭性配合剤が、炭酸亜鉛及び酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種の水に難溶性の亜鉛化合物と、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、グルタミン酸塩及びサルコシンの群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸とを含有すると共に、亜鉛化合物とアミノ酸の併用割合が重量比で1:2〜1:50の範囲にある洗浄剤組成物が提案されている。
特許文献3には、ポリアルキレンオキシド部分を有する界面活性剤及び/又は1価アルコール(但し炭素数1〜4のアルコールを除く)、多価アルコール又はこれらの誘導体である溶剤を含有し、アルカリ土類金属、アルミニウム又は亜鉛のハロゲン化物及び硫酸亜鉛から選ばれた1種又は2種以上の水溶性無機金属塩を組成物中に0.1〜5重量%含有せしめ、且つ組成物のpHが4〜12であるプラスチックス製硬質表面液体洗浄剤組成物が提案されている。
特許文献4には、(a)界面活性剤1〜60質量%と、(b)少なくとも一つのカルボン酸基を有する金属捕捉剤と、(c)マンガン、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、スズから選ばれる少なくとも一つのイオン0.0001〜1質量%とを含有し、かつ(b)/(c)のモル比が1/100以上である、透明な液体洗浄剤組成物が提案されている。
また、抗菌性金属(銀、亜鉛など)を、担体(珪酸系化合物、ゼオライト等)に担持させた無機系抗菌剤を用いた洗浄剤が提案されている(たとえば、特許文献5〜7参照)。
特開2008−214621号公報 特開2006−176675号公報 特開平03−079700号公報 特開2001−172697号公報 特開2002−339243号公報 特開平06−212562号公報 特開2006−169379号公報
しかしながら、特許文献1に記載された洗浄剤は、亜鉛イオン等を配位しにくい酸成分が選択され、亜鉛イオン等の塩が硫黄系臭気の発生を、酸成分が窒素系臭気の発生をそれぞれ別個に抑制するものである。洗濯のような多量の水を使用する洗浄では、かかる亜鉛イオン等又は酸成分の衣料への吸着性が低いため、抗菌効果が充分に得られず、衣類を防臭する効果に劣るものであった。
特許文献2に記載された、亜鉛化合物として炭酸亜鉛又は酸化亜鉛を含有する洗浄剤組成物では、衣料の洗濯において抗菌効果が充分に得られず、また、亜鉛化合物に対してアミノ酸の含有量が質量比で2〜50倍と高く、特に低温保存の条件下で透明外観を安定に確保するのが困難であり、保存安定性に劣るものであった。
特許文献3に記載された液体洗浄剤組成物は、洗濯のような多量の水を使用する洗浄の場合、水溶性無機金属塩の衣料への吸着性が低いために抗菌効果が充分に得られず、また、亜鉛塩は中性からアルカリの領域で水不溶の水酸化亜鉛を生成するため、透明外観を確保するのが困難であり、保存安定性に劣るものであった。
特許文献4に記載された液体洗浄剤組成物は、カルボン酸を配位子とするアニオン性の金属錯体が形成され、洗濯の際、かかる金属錯体では衣料への吸着性が低いために抗菌効果が充分に得られず、衣類を防臭する効果に劣るものであった。
また、特許文献5〜7に記載された無機系抗菌剤を液体洗浄剤組成物に用いた場合、当該無機系抗菌剤は水への溶解性が低いため、透明外観を安定に確保するのが困難であり、保存安定性に劣るものであった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、皮脂汚れ等に対する洗浄力が高く、抗菌効果に優れ、さらに保存安定性の良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために、以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤(A)と、硫酸亜鉛(B)と、アラニン、グリシン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のアミノ酸(C)とを含有し、前記硫酸亜鉛(B)の含有量が0.5〜3質量%であり、前記アミノ酸(C)がアラニン及びグリシンからなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比は1〜7であり、前記アミノ酸(C)がアスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比は0.5〜3.5であることを特徴とする。
Figure 0005528310
[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖状又は分岐鎖状の疎水基であり、Xは酸素原子又は酸素原子を有する二価の連結基であり、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。sは3〜20であり、tは0〜6であり、sはEOの平均繰返し数を示し、tはPOの平均繰返し数を示す。]
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、前記アミノ酸(C)が、アラニン又はグリシンであることが好ましい。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、さらに、下記の一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される陽イオン界面活性剤(D)と、SO基又はSO基を有する陰イオン界面活性剤(E)とを含有し、(D)/(E)で表される質量比が0.5〜10であることが好ましい。
Figure 0005528310
[式(II)中、R〜Rのうち、2つ以上はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それ以外はエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(III)中、Rは炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(IV)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R10は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は炭素数1〜3のアルキレン基である。Xはハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
本発明によれば、皮脂汚れ等に対する洗浄力が高く、抗菌効果に優れ、さらに保存安定性の良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方の菌の増殖を抑えることができ、防臭効果に優れる。
≪衣料用液体洗浄剤組成物≫
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、一般式(I)で表される非イオン界面活性剤(A)と、硫酸亜鉛(B)と、アラニン、グリシン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のアミノ酸(C)とを含有する。
<非イオン界面活性剤(A)>
本発明における非イオン界面活性剤(A)は、下記一般式(I)で表されるもの(以下
「(A)成分」という。)である。
Figure 0005528310
[式中、Rは炭素数8〜22の直鎖状又は分岐鎖状の疎水基であり、Xは酸素原子又は酸素原子を有する二価の連結基であり、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。sは3〜20であり、tは0〜6であり、sはEOの平均繰返し数を示し、tはPOの平均繰返し数を示す。]
前記式(I)中、Rは、炭素数8〜22の直鎖状の疎水基、又は炭素数8〜22の分岐鎖状の疎水基である。Rの炭素数は10〜18であることが、皮脂汚れに対する洗浄力が良好であることから好ましい。
の疎水基としては、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられ、具体的には、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アミノ基の1個の水素原子をアシル基で置換した基(アミド基)等が挙げられる。
は、酸素原子又は酸素原子を有する二価の連結基であり、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−が挙げられ、−O−、−C(=O)−O−が好ましい。
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基であり、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基が好ましい。
が−O−のとき、前記式(I)で表される(A)成分はアルコールアルコキシレートである。この場合において、皮脂汚れに対する洗浄力が良好であることから、Rの炭素数は10〜22が好ましく、より好ましくは10〜20、さらに好ましくは10〜18である。Rは、水素原子であることが好ましい。
が−C(=O)−O−のとき、前記式(I)で表される(A)成分は脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤である。この場合において、皮脂汚れに対する洗浄力が良好であることから、Rの炭素数は9〜21が好ましく、より好ましくは11〜21である。Rは不飽和結合を有していてもよい。Rは、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
前記式(I)中、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。
sはEOの平均繰返し数を示し、tはPOの平均繰返し数を示す。
sは3〜20であり、5〜18が好ましい。sが20以下であると、HLB値が高くなりすぎず、皮脂汚れに対する洗浄力が向上する。一方、sが3以上であると、透明外観を確保しやすくなる。また、(A)成分自体の原料臭気の劣化が防止される。
tは0〜6であり、0〜3が好ましい。tが6以下であると、衣料用液体洗浄剤組成物の高温条件下での保存安定性が向上する。
EOとPOの両方を有する場合、EOとPOとは、ランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
(A)成分において、EO又はPOの付加モル数分布は特に限定されず、(A)成分を合成する際の反応方法によって変動しやすいが、該付加モル数分布は広いものであってもよく、狭いものであってもよい。
たとえば、EO又はPOの付加モル数分布は、一般的な水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを疎水性原料(1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等)に付加させて比較的に広い分布でもよい。また、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを疎水基原料に付加させて比較的に狭い分布でもよい。
(A)成分としては、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、アルコールアルコキシレート(ポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤)が好ましく、具体的には以下に示す(i)〜(vii)が挙げられる。
(i)ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2(質量比))に対して、アルコキシル化触媒を用いて、平均15モルのエチレンオキシドを付加したメチルエステルエトキシレート。
(ii)Shell社製の商品名Neodol(C12/C13)又はSasol社製の商品名Safol23(C12/C13)等のアルコールに対して、平均12モル又は平均15モルのエチレンオキシドを付加したもの。「C12/C13」は、炭素数12の炭化水素基を有するアルコールと、炭素数13の炭化水素基を有するアルコールとの混合物であることを意味する。
(iii)P&G社製の商品名CO−1214、CO−1270等の天然アルコールに対して、平均12モル又は平均15モルのエチレンオキシドを付加したもの。
(iv)ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコールに対して、平均7モルのエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製、商品名Lutensol TO7)。
(v)ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに対して、平均7モルのエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製、商品名Lutensol XL70)。
(vi)ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10アルコールに対して、平均6モルのエチレンオキシドを付加したもの(BASF社製、商品名Lutensol XA60)。
(vii)炭素数12〜14の第2級アルコールに対して、平均9モル又は平均15モルのエチレンオキシドを付加したもの(日本触媒社製、商品名ソフタノール90、ソフタノール150)。
上記のなかでも、(A)成分としては、脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤がより好ましい。(A)成分として脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤を用いると、特に、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮タイプの組成を安定に調製でき、当該濃縮タイプの組成は本発明の効果にも優れる。
(A)成分は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(A)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対して10〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜50質量%である。
(A)成分の含有量が10質量%以上であると、衣料用液体洗浄剤組成物に高い洗浄力を付与できる。(A)成分の含有量が60質量%以下であると、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上する。また、衣料用液体洗浄剤組成物のゲル化が抑制され、配合の際のハンドリングが向上する。
<硫酸亜鉛(B)>
硫酸亜鉛(B)(以下(B)成分という。)としては、硫酸亜鉛無水物、硫酸亜鉛水和物が挙げられ、なかでも水への溶解性が特に良好であることから、硫酸亜鉛水和物を用いることが好ましい。
硫酸亜鉛水和物としては、硫酸亜鉛1水和物、硫酸亜鉛6水和物、硫酸亜鉛7水和物などが挙げられる。
(B)成分の含有量(硫酸亜鉛無水物換算)は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.5〜3質量%であり、好ましくは1〜3質量%であり、より好ましくは1〜2質量%である。
(B)成分の含有量が0.5質量%以上であれば、衣料用液体洗浄剤組成物に充分な抗菌性を付与できる。特にグラム陰性菌(なかでも大腸菌)の増殖を抑制できる。(B)成分の含有量が3質量%以下であれば、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上し、特に低温条件で透明外観を安定に確保できる。
<アミノ酸(C)>
本発明におけるアミノ酸(C)は、アラニン、グリシン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のもの(以下「(C)成分」という。)である。
これらのなかでも、(C)成分としては、衣料等への吸着性が高く、抗菌効果が良好であることから、アラニン又はグリシンであることが好ましく、グリシンであることがより好ましい。
(C)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.2〜10質量%であり、好ましくは0.6〜8質量%であり、より好ましくは1.3〜5質量%である。
(C)成分の含有量が0.2質量%以上であれば、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上すると共に、良好な抗菌効果が得られる。(C)成分の含有量が10質量%以下であれば、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上し、特に低温条件で透明外観を安定に確保できる。また、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮タイプの組成において保存安定性が向上する。
本発明において、「(C)/(B)で表されるモル比」とは、衣料用液体洗浄剤組成物中の(B)成分のモル数に対する(C)成分のモル数の割合を意味する。
本発明においては、(C)成分がグリシン及びアラニンからなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比が、1〜7であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、2〜5であることがさらに好ましく、3〜4であることが特に好ましい。
(C)成分がグルタミン酸及びアスパラギン酸からなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比が、0.5〜3.5であることが好ましく、0.5〜3であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。
(C)/(B)で表されるモル比の値がいずれの場合も、下限値以上であると、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上すると共に、良好な抗菌効果が得られる。
当該モル比の値がいずれの場合も、上限値以下であると、充分な抗菌効果が得られ、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上し、特に低温条件で透明外観を安定に確保できる。また、当該モル比の値が上限値以下であると、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮タイプの組成において保存安定性が向上する。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、上述した(A)〜(C)成分に加えて、さらに、下記の一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される陽イオン界面活性剤(D)(以下「(D)成分」という。)と、SO基又はSO基を有する陰イオン界面活性剤(E)(以下「(E)成分」という。)とを含有することが好ましい。
このように特定の質量比で(D)成分と(E)成分とをさらに含有することにより、皮脂汚れに対する洗浄力を維持した上で、さらに抗菌性が付与される。特に、グラム陽性菌(なかでも黄色ブドウ球菌)の増殖が抑制されることに加えて、グラム陰性菌(なかでも大腸菌)の増殖もより抑制されるようになる。
<陽イオン界面活性剤(D)>
本発明における(D)成分は、下記の一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表されるものである。
Figure 0005528310
[式(II)中、R〜Rのうち、2つ以上はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それ以外はエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(III)中、Rは炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(IV)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R10は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は炭素数1〜3のアルキレン基である。Xはハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
前記式(II)で表される(D)成分のなかで好適なものとしては、たとえば以下に示す(D1)成分、(D2)成分が挙げられる。
(D1)成分:R〜Rの3つが、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、Rが、炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である化合物。
(D1)成分において、R〜Rは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基であることがより好ましく、いずれもメチル基であることが特に好ましい。
のアルキル基又はアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、(D1)成分自体の溶解性と抗菌効果が良好であることから、炭素数8〜20であることが好ましく、炭素数10〜20であることがより好ましく、炭素数10〜18であることがさらに好ましく、16〜18であることが特に好ましい。また、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
(D1)成分のなかでも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化パルミチルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
(D2)成分:R及びRが、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、R及びRが、それぞれ独立して、エステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又はエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である化合物。
(D2)成分において、R及びRのアルキル基としては、それぞれメチル基であることが好ましい。
及びRのヒドロキシアルキル基としては、それぞれヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基であることが好ましい。
及びRのアルキル基又はアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、(D2)成分自体の溶解性と抗菌効果が良好であることから、8〜20であることが好ましく、10〜20であることがより好ましい。また、R及びRは、それぞれ直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、それぞれ直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、いずれも直鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。
また、R及びRのアルキル基又はアルケニル基は、それぞれ炭素鎖中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。
(D2)成分のなかでも、アルキル基の炭素数10〜12のジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキル基の炭素数16〜18のジアシロキシエチルアンモニウム塩が特に好ましい。
前記式(III)中、Rは、炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
のアルキル基又はアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、8〜20であることが好ましく、10〜20であることがより好ましく、10〜18であることがさらに好ましく、16〜18であることが特に好ましい。また、Rは、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
前記式(III)で表される化合物(以下この化合物を「(D3)成分」という。)のなかでも、塩化セチルピリジニウムが特に好ましい。
前記式(IV)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、それぞれメチル基であることがより好ましく、いずれもメチル基であることが特に好ましい。炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基としては、たとえばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基が挙げられる。
10は、炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R10のアルキル基又はアルケニル基において、炭素数は8〜22であり、(D)成分自体の溶解性と抗菌効果が良好であることから、炭素数10〜18であることが好ましく、炭素数12〜14であることがより好ましい。また、R10は、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
11は炭素数1〜3のアルキレン基であり、メチレン基であることが好ましい。
前記式(IV)で表される化合物(以下この化合物を「(D4)成分」という。)のなかでも、アルキル基の炭素数が12〜14の塩化ベンザルコニウムが特に好ましい。
前記の式(II)、式(III)及び式(IV)中、Xは、ハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。
ハロゲンイオンを構成するXとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
アルキル硫酸イオンを構成するXとしては、炭素数1〜3のアルキル基を有するものが好ましく、たとえばメチル硫酸が挙げられる。
上記のなかでも、(D)成分としては、抗菌効果向上の点から、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル, N−ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェート、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等が好ましい。
(D)成分は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(D)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.1〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。
(D)成分の含有量が0.1質量%以上であると、衣料用液体洗浄剤組成物にさらに抗菌性を付与できる。特にグラム陽性菌(なかでも黄色ブドウ球菌)の増殖を抑制できる。また、グラム陰性菌の増殖もより抑制できる。(D)成分の含有量が2質量%以下であると、皮脂汚れに対する洗浄力も高い性能で維持できる。
<陰イオン界面活性剤(E)>
本発明における(E)成分は、SO基又はSO基を有する陰イオン界面活性剤であり、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性向上や、皮脂汚れに対する洗浄力向上を主目的として配合される。
(E)成分は、SO基又はSO基を有するものであれば、いずれの陰イオン界面活性剤も用いることができる。
SO基を有する陰イオン界面活性剤としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
SO基を有する陰イオン界面活性剤としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。
これらの中でも、以下に示す(i)〜(vi)のものが用いられることが好ましい。
(i)直鎖状のアルキル基の炭素数が好ましくは8〜16、より好ましくは10〜14である、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩。
(ii)直鎖状のアルケニル基の炭素数が好ましくは10〜20であるα−オレフィンスルホン酸塩。
(iii)直鎖状のアルキル基の炭素数が好ましくは10〜20であるアルキル硫酸エステル塩。
(iv)炭素数が好ましくは10〜20である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、好ましくは平均1〜10モル数のエチレンオキシドを付加した、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)。
(v)炭素鎖の炭素数が好ましくは10〜20、より好ましくは14〜17であるアルカンスルホン酸塩であり、特に好ましくは2級アルカンスルホン酸塩。
(vi)脂肪酸の炭素数が10〜20であるα−スルホ脂肪酸エステル塩。
これらの中でも、皮脂汚れに対する洗浄力や抗菌効果の維持、安定性向上の観点から、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩が用いられることが特に好ましい。
塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩が挙げられ、これらが混在していてもよい。なかでも、アルカリ金属の塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
(E)成分は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(E)成分の含有量は、衣料用液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.05〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1質量%である。
(E)成分の含有量が0.05質量%以上であると、皮脂汚れに対する洗浄力向上、及び衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性向上の効果が得られやすくなる。(E)成分の含有量が2質量%以下であると、抗菌剤成分の衣料等への吸着性に影響を与えず、抗菌効果がより安定に得られる。
本発明において、「(D)/(E)で表される質量比」とは、液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の割合(質量基準)を意味する。
かかる(D)/(E)で表される質量比は0.5〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
当該質量比が0.5以上であれば、(D)成分の抗菌性付与を(E)成分が阻害しにくくなり、抗菌性が付与されやすくなる。当該質量比が10以下であれば、過剰な(D)成分による再汚染などの不具合が起こりにくくなり、皮脂汚れに対する洗浄力が高い性能で維持できる。
<その他成分>
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、上記の(A)〜(E)成分以外に、衣料用の洗浄剤組成物に用いられている成分を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
その他成分としては、たとえば、エタノール、低級アルキルアリールスルホン酸、多価アルコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールフェニルエーテル等のハイドロトロープ剤;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリ剤;プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等の酵素;pH調整剤、蛍光増白剤、防腐剤、乳濁剤、溶剤、色素、香料、糊剤などを配合してもよい。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、水等の溶媒に、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて(D)成分及び(E)成分、又はその他成分とを溶解し、さらに必要に応じてpH調整剤によりpHを所望の値になるように調整することで得られる。各成分の配合順序については特に制限されない。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物のpHは、25℃でのpHが4〜9であることが好ましく、pHが5〜8であることがより好ましい。
衣料用液体洗浄剤組成物のpHが4以上であると、(B)成分と(C)成分との相互作用が良好に起こり、衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性が向上し、特に低温条件で透明外観を安定に確保できる。一方、pHが9以下であると、抗菌剤成分の衣料等への吸着性が向上し、抗菌効果が向上する。より好ましくはpHが5〜8であると、特に(A)成分がより安定に溶存する。また、pHが7〜9であると、(B)成分と(C)成分との金属錯体(後述)が安定に形成されやすくなる。
衣料用液体洗浄剤組成物のpHは、pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用い、各成分を混合した後、25℃に調温し、衣料用液体洗浄剤組成物に電極を浸漬して3分後のpHを、JIS K3362−1998に準拠した方法により測定した値を示す。
本発明によれば、皮脂汚れ等に対する洗浄力が高く、抗菌効果に優れ、さらに保存安定性の良好な衣料用液体洗浄剤組成物を提供することができる。
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、一般式(I)で表される特定の非イオン界面活性剤(A)を用いることにより、皮脂汚れ等に対して高い洗浄効果が発揮される。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、特定の含有量の硫酸亜鉛(B)と、特定のアミノ酸(C)とを含有し、(B)成分と(C)成分とのモル比(C)/(B)が特定の範囲である。(B)成分と(C)成分は、洗浄剤組成物中又は洗浄時、亜鉛を金属とする金属錯体を形成していると推測される。洗浄後、この金属錯体が衣料等に吸着することにより抗菌効果が発揮され、特にグラム陰性菌(なかでも大腸菌)の増殖が抑制されるため、たとえば洗濯後の衣料を防臭できると考えられる。加えて、モル比(C)/(B)を特定の範囲とすることで、金属錯体が安定に形成されることにより、低温から高温条件に渡って保存安定性の良好な衣料用液体洗浄剤組成物を調製できる。これは、(B)成分に由来する亜鉛イオンに、(C)成分中のカルボキシ基とアミノ基が配位した、安定なキレート化合物が形成するため、と考えられる。
硫酸亜鉛は中性より高pHで水酸化物を形成し、沈殿などを生じやすいため、従来、安定に配合することが困難であった。本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、亜鉛に対して適切な配位子を選択して亜鉛を錯体化したことにより、金属錯体の析出等が抑制されて透明外観が安定に確保されたものである。さらに、当該金属錯体は、亜鉛の配位子として特定のアミノ酸を選択していることから、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)塩等のカルボキシ基の多い(アニオン性の錯体を形成しやすい)配位子に比べて、衣料等への吸着性が高く、抗菌効果に優れる。
本発明によれば、界面活性剤濃度が40質量%以上の高濃度系(濃縮タイプ)の組成を安定に調製できる。
また、亜鉛と、アミノ酸のなかでグリシンは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の認可物質であることから、これらを含有する本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は環境負荷が低いものと云える。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(A)〜(C)成分に加えて、さらに、特定の陽イオン界面活性剤(D)と陰イオン界面活性剤(E)とを、特定の質量比で含有することにより抗菌スペクトルが広がり、グラム陰性菌及びグラム陽性菌の両方の菌の増殖を抑えることができ、防臭効果に優れる。
上述したように、カチオン性成分は、黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して高い抗菌効果を発揮する反面、風呂の残り湯などに存在する大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌などのグラム陰性菌に対する抗菌効果が不充分である。しかし、本発明においては、特に(B)成分及び(C)成分と、(D)成分とを併用することにより、グラム陽性菌に対する抗菌効果が加わると共に、グラム陰性菌に対する抗菌効果もより向上する、という効果が得られる。かかる効果が得られる理由は定かではないが、炭素数8以上の長鎖の炭化水素基をもつ(D)成分の配合により、(B)成分と(C)成分とから形成される前記金属錯体の抗菌作用が増大するため、と推測される。
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(D)成分と(E)成分とを特定の質量比で含有することにより、皮脂汚れに対する高い洗浄力と、グラム陰性菌及びグラム陽性菌に対する高い抗菌性能との両立を可能としている。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<衣料用液体洗浄剤組成物の調製>
表1〜5に示す配合組成に従って、以下に示す調製方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の衣料用液体洗浄剤組成物をそれぞれ調製した。
表1〜5中の配合量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。
B−1の硫酸亜鉛・7水和物は、上段に硫酸亜鉛・7水和物としての配合量を示し、下段に「硫酸亜鉛」としての配合量(無水物換算)を示した。B’−1とB’−2は、それぞれ無水物換算の配合量を示す。
C’−1のEDTA−2Na・2水和物は「EDTA−2Na」としての配合量(無水物換算)、C’−2のNTA−3Na・1水和物は「NTA−3Na」としての配合量(無水物換算)をそれぞれ示す。
なお、各例の衣料用液体洗浄剤組成物は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように調製した。
[衣料用液体洗浄剤組成物の調製方法:実施例1〜22、比較例1〜12]
(1)500mLビーカーに、(A)成分又は(A’)成分と、下記共通成分であるエタノール、ポリエチレングリコール及びパラトルエンスルホン酸とを入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に撹拌を行った。
(2)(1)に、40℃に調整した共通成分の精製水(バランス水、所定量の98質量%分)を入れた後、残りの共通成分を加えて撹拌しながら溶解した。その後、(C)成分又は(C’)成分を加えて充分に撹拌を行った。
(3)(2)に、10質量%の(B)成分又は(B’)成分の水溶液(配合量が多いもの(1質量%超)は固体のまま添加)を加えた後、pH調整剤を適量添加することによりpHを7に調整し、残りの精製水を加えて衣料用液体洗浄剤組成物を得た。
[衣料用液体洗浄剤組成物の調製方法:実施例23〜51]
(1)500mLビーカーに、(A)成分と、(E)成分と、下記共通成分であるエタノール、ポリエチレングリコール及びパラトルエンスルホン酸とを入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に撹拌を行った。
(2)(1)に、40℃に調整した共通成分の精製水(バランス水、所定量の98質量%分)を入れた後、残りの共通成分を加えて撹拌しながら溶解した。その後、(C)成分を加えて充分に撹拌を行った。
(3)(2)に、10質量%の(B)成分水溶液(配合量が多いもの(1質量%超)は固体のまま添加)と、(D)成分若しくは(D’)成分又は(D)成分の10質量%溶液とを加えた後、pH調整剤を適量添加することによりpHを7に調整し、残りの精製水を加えて衣料用液体洗浄剤組成物を得た。なお、実施例33、34については、(D)成分又は(E)成分を除いた以外は同じ調製方法により衣料用液体洗浄剤組成物を得た。
pHの調整は、各例の衣料用液体洗浄剤組成物(原液)の25℃でのpHが7となるように、pH調整剤を適量添加することにより行った。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム(鶴見曹達(株)製)と硫酸(東邦亜鉛(株)製)を用い、濃度を0.1Nにそれぞれ調整したものを用いた。
pHの測定は、衣料用液体洗浄剤組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメータ(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用い、各成分を混合した後、25℃に調温し、衣料用液体洗浄剤組成物に電極を浸漬して3分後のpHを測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。
表中、「モル比(C)/(B)」は、衣料用液体洗浄剤組成物中の(B)成分のモル数に対する(C)成分のモル数の割合を意味する。
「質量比(D)/(E)」は、衣料用液体洗浄剤組成物中の(E)成分の含有量に対する(D)成分の含有量の割合(質量基準)を意味する。
以下に、表中に示した成分について説明する。
・非イオン界面活性剤(A)
A−1:ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2(質量比))に対して、アルコキシル化触媒を用いて、平均15モルのエチレンオキシドを付加した合成品。
[A−1の合成]
特開2000−144179号公報における実施例に記載の製造例1に準じて製造した合成品を用いた。すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:キョーワード300)を、600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280g及びミリスチン酸メチルエステル70gとを4リットルオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を3atmに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別してA−1を得た。
A−2:P&G社製の天然アルコールCO−1214に対して平均12モルのエチレンオキシドを付加した合成品。
[A−2の合成]
P&G社製の天然アルコールCO−1270を224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、当該反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを撹拌しながら、吹き込み管を使って、エチレンオキシド(ガス状)760.4gを、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応のエチレンオキシドを留去した。その後、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和してA−2を得た。
A−3:炭素数12〜14の第2級アルコールに平均9モルのエチレンオキシドを付加したもの、商品名「ソフタノール90」、(株)日本触媒社製。
・(A)成分の比較成分(以下「(A’)成分」という。)
A’−1:ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2(質量比))に対して、アルコキシル化触媒を用いて、平均25モルのエチレンオキシドを付加した合成品。
[A’−1の合成]
特開2000−144179号公報における実施例に記載の製造例1に準じて製造した合成品を用いた。すなわち、A−1の合成においてエチレンオキシド1760gを導入した以外は、A−1の合成方法と同様にして合成を行い、A’−1を得た。
A’−2:カプロン酸メチルに対して、アルコキシル化触媒を用いて、平均15モルのエチレンオキシドを付加した合成品。
[A’−2の合成]
特開2000−144179号公報における実施例に記載の製造例1に準じて製造した合成品を用いた。すなわち、A−1の合成においてラウリン酸メチルエステル280g及びミリスチン酸メチルエステル70gの代わりに、カプロン酸メチルエステル208gを用いた以外は、A−1の合成方法と同様にして合成を行い、A’−2を得た。
・硫酸亜鉛(B)
B−1:硫酸亜鉛・7水和物(純正化学株式会社製、特級試薬)。無水物換算の分子量161.47。7水和物としての分子量287.54。
・(B)成分の比較成分(以下「(B’)成分」という。)
B’−1:酸化亜鉛(関東化学株式会社製、特級試薬)。無水物換算の分子量81.41。
B’−2:炭酸亜鉛、2ZnCO・3Zn(OH)・HO(塩基性)(関東化学株式会社製、特級試薬)。無水物換算の分子量549.11。1水和物としての分子量567.12。
・アミノ酸(C)
C−1:グリシン(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)。分子量75.07。
C−2:アラニン(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)。分子量89.09。
C−3:アスパラギン酸(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)。分子量133.1。
C−4:グルタミン酸(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)。分子量147.13。
・(C)成分の比較成分(以下「(C’)成分」という。)
C’−1:EDTA−2Na(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム)・2水和物、関東化学株式会社製、特級試薬。無水物換算の分子量336.21。
C’−2:NTA−3Na(ニトリロトリ酢酸3ナトリウム)・1水和物、商品名「キレスト3NTA」、キレスト株式会社製。無水物換算の分子量257.08。
C’−3:ロイシン(和光純薬工業株式会社制、特級試薬)。分子量131.17。
・陽イオン界面活性剤(D)
D1−1:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、商品名「アーカードT−800」、ライオンアクゾ(株)製。前記一般式(II)においてR、R、Rがいずれもメチル基、Rがオクタデシル基、Xが塩素イオンである化合物。
D4−1:塩化ベンザルコニウム。前記一般式(IV)においてRが炭素数14の直鎖状のアルキル基、R、R10がいずれもメチル基、R11がメチレン基、Xが塩素イオンである化合物。
D3−1:塩化セチルピリジニウム、東京化成工業株式会社製試薬。前記一般式(III)においてRがヘキサデシル基、Xが塩素イオンである化合物。
D2−1:N,N−ジステアロイルオキシエチル−N−メチル, N−ヒドロキシエチルアンモニウム メチルサルフェート。前記一般式(II)においてR、Rがいずれもエステル結合(−C(=O)−O−)を有する炭素数19の直鎖状のアルキル基[CH(CH16−C(=O)−O−CHCH−]、Rがメチル基、Rがヒドロキシエチル基、Xがメチル硫酸イオンである化合物。
D2−2:塩化ジデシルジメチルアンモニウム、商品名「アーカード210」、ライオンアクゾ(株)製。前記一般式(II)においてR、Rがいずれもデシル基、R、Rがいずれもメチル基、Xが塩素イオンである化合物。
・陰イオン界面活性剤(E)
E−1:直鎖アルキル(炭素数12〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS−Na)、ライオン(株)社製、商品名「ライポンLH−200」。
E−2:アルキル基の炭素数が12〜13、平均2モルのエチレンオキシドを付加したアルキルエトキシ硫酸エステルナトリウム(AES−Na)、サソール社製、商品名「サフォール23」。アルキル基の炭素数12のものとアルキル基の炭素数13のものとの混合比率が炭素数12/炭素数13=55質量%/45質量%、該アルキル基の直鎖率50質量%。
E−3:炭素鎖の炭素数が14〜17であるセカンダリーアルカンスルホン酸ナトリウム(SAS−Na)、クラリアント・ジャパン社製、商品名「HOSTAPUR ASA30A」。
(共通成分)
安息香酸ナトリウム:東亜合成製、商品名「安息香酸ナトリウム」、粉状、純分濃度100質量%。
クエン酸3ナトリウム:マイルス社(米国)製、商品名「クエン酸ソーダ」、粉状、純分濃度100質量%。
95%エタノール:日本アルコール販売(株)製、商品名「特定アルコール95度合成」、純分濃度95質量%。
パラトルエンスルホン酸:協和発酵工業(株)製、商品名「PTS酸」、純分濃度70質量%。
ポリエチレングリコール:ライオン(株)製、商品名「PEG#1000」、純分濃度60質量%。
イソチアゾロン液:ローム・アンド・ハース社製、商品名「ケーソンCG(5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン/マグネシウム塩/水混合液)」、純分濃度1.5質量%。
香料:特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
精製水。
実施例1〜51及び比較例1〜12の衣料用液体洗浄剤組成物で配合した共通成分(X)の組成(衣料用液体洗浄剤組成物100質量%当たりの各成分の配合量)は以下の通りである。たとえば95%エタノールの場合、95質量%溶液として6.0質量%、すなわち、純分換算では、エタノール5.7質量%が配合されている。
共通成分(X):
安息香酸ナトリウム 0.5質量%
クエン酸3ナトリウム 0.2質量%
95%エタノール(95質量%溶液として) 6.0質量%
パラトルエンスルホン酸(70質量%溶液として) 2.0質量%
ポリエチレングリコール(60質量%溶液として) 4.0質量%
イソチアゾロン液(1.5質量%溶液として) 0.01質量%
香料 0.2質量%
精製水(組成物全体で100質量%とするための量)バランス
<衣料用液体洗浄剤組成物の評価>
各例の衣料用液体洗浄剤組成物について、以下に示す評価方法によって各評価を行い、その結果を表1〜5に併記した。
[保存安定性の評価]
各例の衣料用液体洗浄剤組成物100mLを、透明のガラス瓶(広口規格瓶PS−No.11)に収容し、蓋を閉めて密封した(各衣料用液体洗浄剤組成物につき2サンプル用意)。
この状態で、低温条件(−5℃)と高温条件(40℃)の恒温槽中に、それぞれ1サンプルずつ置いて1ヵ月間保存した。その後、衣料用液体洗浄剤組成物の外観を目視により観察し、下記の評価基準に基づいて衣料用液体洗浄剤組成物の保存安定性(外観)を評価した。
(低温条件における評価基準)
◎:瓶底部に沈殿物を認めず、透明外観を保っていた。
○:瓶底部にごく少量のオリ又は沈殿物が認められたが、25℃に加温するとそのオリ又は沈殿物は消失(溶解)した。
△:瓶底部にオリ又は沈殿物が認められ、25℃に加温してもそのオリ又は沈殿物は完全には溶解しなかった。
×:瓶底部に多量のオリ又は沈殿物が認められ、40℃に加温してもそのオリ又は沈殿物は完全には溶解しなかった。
(高温条件における評価基準)
◎:瓶底部にオリ又は沈殿物を認めず、透明外観を保っていた。
○:瓶底部にごく少量のオリ又は沈殿物が認められたが、軽く撹拌するとそのオリ又は沈殿物は消失(溶解)した。
×:瓶底部にオリもしくは沈殿物が認められ、又は不透明な外観であった。
[抗菌効果の評価]
(洗濯条件)
全自動電気洗濯機(Haier社製、JW−Z23A)に、綿メリヤス布(日清紡CK43202、谷頭商店より購入)約100gと、綿肌シャツ(B.V.D.社製)とを合わせて約800gとした被洗布を投入した[浴比(洗濯水量/被洗布総質量)15倍]。
次に、前記全自動電気洗濯機に、表1〜5に示した衣料用液体洗浄剤組成物10mLを加え、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。その際、洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては一切調整せず、洗濯機の標準コース設定をそのまま使用した。
洗濯終了後、綿メリヤス布を取り出し、当該綿メリヤス布を、25℃、相対湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して乾燥した。乾燥後、当該綿メリヤス布を5cm×5cmの大きさに切り分け、これを試験布として抗菌効果の評価に用いた。
(抗菌効果の評価方法)
本評価に用いた器具、水などは、予めオートクレーブにより滅菌処理を行ったものを用いた。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)及び大腸菌(Esherichia coli)の菌母液は、TSA平板培地を用いて試験開始48時間前および24時間前に2度培養を行った菌を用い、ニュートリエント培地を40倍に希釈し、菌数が1±0.3×10個/mLとなるように調製した。
前述の洗濯処理を行った試験布(5cm×5cm)の4箇所に、前記菌母液0.1mLずつを接種し、37℃の恒温槽にて18時間培養し、試験布上で増殖または静菌させた。
その後、抽出液にて試験布から菌を抽出し、その抽出液に対して生理食塩水によって10倍希釈を繰り返し、希釈液を得た。
各希釈液から100μL採取し、標準寒天培地(株式会社アテクト製)に加え、コンラージ棒により均一にしたものを37℃恒温槽で1〜2日培養した後、コロニー数をカウントし、生菌数を求めた。
そして、未処理布における生菌数と、各例の衣料用液体洗浄剤組成物を用いて洗濯処理を行った試験布における生菌数との菌数差(菌の減少数)を、下式により、常用対数の対数差で表し、下記の評価基準に基づいて抗菌効果を評価した。
対数差=log10(未処理布における生菌数)−log10(試験布における生菌数)
(評価基準)
◎:対数差が2.2以上であった。
○:対数差が1.0以上2.2未満であった。
△:対数差が0.5以上1.0未満であった。
×:対数差が0.5未満であった。
[皮脂汚れに対する洗浄力の評価]
顔面の皮脂汚れを擦り付けた綿布(綿平織り布、100番手)を20cm角の大きさに裁断したもの10枚と、市販のTシャツ(綿100%、B.V.D.社製)4枚とを電気洗濯機(三菱電機社製、「CW−C30A1型」)に投入した。
次いで、25℃の水道水約30Lに対し、各例の衣料用液体洗浄剤組成物10mLを添加し、標準水流で洗浄(10分)、脱水(1分)、標準水流でためすすぎ(2回繰り返しを各5回)、脱水(1分)で順次行う洗浄操作を行った。
洗浄処理後の綿布を洗浄布、洗浄処理前の綿布を汚染布、皮脂汚れを擦り付けていない綿布を未汚染布とし、未汚染布、汚染布、洗浄布の反射率について、分光式色差計(日本電色工業社製、「SE2000」)にて測定し、洗浄率(%)を下式に基づいて算出した。
洗浄率(%)=[(汚染布のK/S−洗浄布のK/S)/(汚染布のK/S−未汚染布のK/S)]×100
上式において、K/Sは、(1−R/100)/(2R/100)である(ただし、Rは未汚染布、汚染布、洗浄布のそれぞれの反射率(%)を示す。)。
皮脂汚れに対する洗浄力の評価は、上記数式により算出される洗浄率(%)を用いて、下記の評価基準において、◎もしくは○であれば洗浄力が良好であると判断した。なお、洗浄率(%)は、汚染布10枚の平均値を用いた。
(評価基準)
◎:洗浄率が55%以上。
○:洗浄率が45%以上55%未満。
△:洗浄率が30%以上45%未満。
×:洗浄率が30%未満。
Figure 0005528310
Figure 0005528310
Figure 0005528310
表1〜3の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜22の衣料用液体洗浄剤組成物は、皮脂汚れに対する洗浄力が高く、抗菌効果に優れ、さらに保存安定性も良好であることが確認できた。
Figure 0005528310
表4の結果から、本発明に係る実施例23〜32の衣料用液体洗浄剤組成物は、(D)成分と(E)成分とを、(D)/(E)で表される質量比を0.5〜10の範囲で制御して含有することにより、皮脂汚れに対する洗浄力が高く、保存安定性が良好であると共に、グラム陽性菌である黄色ブドウ球菌及びグラム陰性菌である大腸菌の両方の菌の増殖を抑えることができ、抗菌効果により優れると云える。
実施例1、33、34と実施例23、27〜32との対比から、(D)成分及び(E)成分を特定の質量比(D)/(E)で併用することにより、皮脂汚れに対する洗浄力を高く維持した上で、黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果が加わると共に、大腸菌に対する抗菌効果がより向上することが分かる。
Figure 0005528310
表5の結果において、(A)成分と(B)成分と(C)成分を一定にし、(D)/(E)で表される質量比を変化させた実施例35〜43の衣料用液体洗浄剤組成物における評価結果から、(D)/(E)で表される質量比が0.5〜10の範囲であると、皮脂汚れに対する洗浄力、抗菌効果、保存安定性のいずれも優れることが分かる。
また、(C)成分がアラニン及びグリシンからなる群から選ばれる場合、(A)成分と(B)成分と(D)成分と(E)成分を一定にし、(C)/(B)で表されるモル比を変化させた実施例23、44〜51の衣料用液体洗浄剤組成物における評価結果から、(C)/(B)で表されるモル比が1〜7の範囲であると、皮脂汚れに対して高い洗浄力と、大腸菌及び黄色ブドウ球菌に対する抗菌効果とに加えて、保存安定性も良好であることが分かる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤(A)と、
    硫酸亜鉛(B)と、
    アラニン、グリシン、アスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる少なくとも一種のアミノ酸(C)とを含有し、
    前記硫酸亜鉛(B)の含有量が0.5〜3質量%であり、
    前記アミノ酸(C)がアラニン及びグリシンからなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比は1〜7であり、
    前記アミノ酸(C)がアスパラギン酸及びグルタミン酸からなる群から選ばれる場合、(C)/(B)で表されるモル比は0.5〜3.5であることを特徴とする衣料用液体洗浄剤組成物。
    Figure 0005528310
    [式中、Rは炭素数8〜22の直鎖状又は分岐鎖状の疎水基であり、Xは酸素原子又は酸素原子を有する二価の連結基であり、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表す。sは3〜20であり、tは0〜6であり、sはEOの平均繰返し数を示し、tはPOの平均繰返し数を示す。]
  2. 前記アミノ酸(C)が、アラニン又はグリシンである請求項1記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
  3. さらに、下記の一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される陽イオン界面活性剤(D)と、
    SO基又はSO基を有する陰イオン界面活性剤(E)とを含有し、
    (D)/(E)で表される質量比が0.5〜10である請求項1又は請求項2記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
    Figure 0005528310
    [式(II)中、R〜Rのうち、2つ以上はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、それ以外はエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(III)中、Rは炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。式(IV)中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R10は炭素数8〜22の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、R11は炭素数1〜3のアルキレン基である。Xはハロゲンイオン又はアルキル硫酸イオンである。]
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