上記特許文献1の包装袋によれば、背シール部の切れ目から袋体を左右に引裂くことによって、左右に大きく開封させることができる。しかしながら、この包装袋は、開封時に強い引裂き力が必要となり、大きな力で開封すると、開封した瞬間に勢い余って被包装物が外へ飛び出してしまう恐れがある。また、背シール部の切れ目から左右へ引裂いても想定した開封ラインに沿って開封させるのが極めて難しく、ランダムな開封口形状になり易くなり、そのために受け皿として使用する場合は、開封口縁が真っ直ぐに、綺麗に引裂かれずに不恰好な形状となり、見栄えが悪くデザイン性に欠けてしまうなどの課題が潜在している。
これらの包装袋のうち、包装袋20は、左右への引裂きにより、この引裂きが袋体の両端辺縁へ到達する恐れがある。袋体の両端辺縁まで引裂かれると、被包装物が液体を含んでいると、液体が外へ流れ出して周辺を汚し、また、電子レンジで加熱したものであると、熱湯によって火傷させるなどの危険性がある。これに対して、包装袋20Aは、袋の両端付近にハーフカットラインが形成されているので、上記の包装袋のように両端辺縁まで引裂かれないように見える。しかしながら、実験の結果、ハーフカットラインに沿って開口させるのが極めて難しく、左右へ引裂くと、ハーフカットラインを超えて袋体の両端辺縁まで引裂かれてしまい、上記包装袋と同様の課題が顕在化する。特に、単層フィルムで製袋したものは、ハーフカットラインに沿って開口させることができず、ハーフカットラインを超えて袋体の両端辺縁まで引裂かれてしまうことが判明した。
上記特許文献1の包装袋は電子レンジ用であるが、このような包装袋は、冷凍食品に限らず、多種様々な食品、例えば、菓子、野菜、果物、刺身、肉、惣菜など、或はキムチ、漬物などの発酵食品などにも使用されている。これらの食品を包装するには、包装袋はこれらの食品を保存などするのに適した仕様のものでなければならない。例えば、生鮮野菜などは、鮮度を保った状態で消費者へ届けなければならないので、包装袋には、所定のガスバリア性及び通気性などが必要になり、また、キムチなどの発酵食品の包装袋も同様にガスバリア性及び通気性が必要になる。
生鮮野菜は、その種類によって必要とする酸素透過量が大幅に異なっている。例えば、レタス、葉ねぎ、ニラ、エリンギ、カット野菜(ミックス)、もやし、アスパラガス、ほうれん草などでは、それらの酸素透過量が大幅に異なる。また、キムチ、白菜漬物、ラッキョウ漬物が出すガス量もそれぞれ異なり、これらのガス透過量は野菜より多くなっている。
例えば、野菜を含む青果物は、収穫した後も呼吸をしている。すなわち、収穫された青果物は、青果物自体を修復するために圃場にあるときよりもより活発な呼吸をしている。しかしながら、この呼吸が活発になると、青果物の栄養分が消耗されて、成熟・老化がより急速に進行することになる。ところが、この青果物の包装は、通常、包装袋に詰めて、袋口を密封する密封包装となっている。この密封包装は、包装時に袋内に存在していた酸素が時間と共に費消されて無くなり、そのために袋内は酸素がほとんど存在しない嫌気状態となり、呼吸ができないため、青果物を腐敗させる原因となる。この青果物の呼吸に関して、酸素と二酸化炭素の割合は、概ね包装前(開封包装)の状態で酸素20.9%、二酸化炭素0%となっているが、嫌気状態(呼吸できない)においては概ね酸素0%、二酸化炭素20%以上となり、また後述の冬眠状態においては、酸素5〜10%、二酸化炭素15〜20%が最適であると言われている。したがって、青果物の包装は、その青果物の呼吸量の違いによって袋のガス透過性をその青果物及び流通条件(特に温度)にあわせて調整する必要がある。
MA(Modified Atmosphere)包装は、袋内の空気を青果物自らが行なう呼吸とのバランスにより、高濃度の二酸化炭素で且つ低濃度の酸素の雰囲気にして青果物が冬眠状態になるようにして、青果物の成長や劣化を遅らせて品質を長持ちさせる方法である。すなわち、この呼吸量をできるだけ低く抑えることによって、品質低下のスピードを遅らせて品質を保持させる方法である。このMA包装には、一方向通気性の包装材が好ましいが、これまでの包装材にはこのような機能を持ったものがない。
また、食品によっては二重包装が行われている。この二重包装は、小型の内袋内に物品Aを詰めて密封して、このA物品を詰めた内袋を大型外袋に入れて密封する二重包装となっている。この二重包装では、大型外袋に内袋の物品Aと異なる物品Bを詰めることがある。これらの物品A、Bは、通常、以下のものが入れられて包装されている。
(i)内袋の物品Aにお菓子などの食品、外袋の物品Bにアルコール、不活性ガス、香味料などの保存・香料剤
(ii)内袋の物品Aにアルコール、香味料などの保存・香料剤、外袋の物品Bにお菓子などの食品
上記(i)の二重包装は、外袋の物品Bが内袋内へ透過して入り込み、物品Aの保存又は香り付けをし、また、上記(ii)の二重包装は、内袋の物品Aが内袋を透過して外袋内へ入り込み、物品Bの保存又は香りを付けるものとなる。これらの二重包装において、上記(i)の包装で内袋内の気体が透過して外袋へ逃げると、物品Aの品質低下を招き、また、上記(ii)の包装で外袋内の気体が透過して内袋へ逃げると、物品Bの品質低下を招くことになる。したがって、このような二重包装において物品の品質を維持するためには、フィルムシートに一方向の気体透過性が必要となる。しかしながら、これまでのフィルムは、この観点から開発されたものはない
そこで、本発明は、これまでの従来技術が抱える課題を解決すると共に、上記の要求に基づいてなされたもので、本発明の目的は、予め定めた通りの開封ラインに沿って容易に開封できてこのラインを超えて引裂かれることがなく、開封後は見栄えのよい開封口形状を有する受け皿として使用できる包装袋を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の目的を有し、且つ、MA包装、キムチ、漬物類などのガス抜き包装及び電子レンジ用食品包装用などに好適な包装袋を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の包装袋は、プラスチックフィルムの両端辺部が合掌貼りされた背シール部及びこの背シール部と直交する端辺部の開口がシールされた端シール部を有する袋体の内部に被包装物を詰めて包装する包装袋において、前記袋体は、前記背シール部が袋体の中央部又はこの中央部より両端いずれかの端部寄りに位置し、該背シール部の少なくとも一方の端部付近に、その長さ方向と直交する方向に引裂き部を形成して、前記背シール部が位置する袋体面の両端付近に前記背シール部と略平行に延びて該袋体面を開封させる開封カットラインを設け、さらに前記開封カットラインから前記背シール部の前記引裂き部に向かって開封させる誘導カットラインが延設されていることを特徴とする。
また、第2の態様の包装袋においては、前記袋体は、前記一方の端部付近から他方の端部に向かって所定の間隔をあけて前記引裂き部が複数形成されて、前記開封カットラインから前記背シール部の前記複数の引裂き部に向かって前記誘導カットラインの複数本が前記引裂き部の間隔と略同じ間隔で略平行に延びて形成されていることを特徴とする。
また、第3の態様の包装袋においては、前記誘導カットラインは、前記開封カットラインから所定間隔で延出した複数本の短長な第1の誘導カットラインと、前記第1の誘導カットラインと所定距離離れて前記間隔と異なる間隔で前記背シール部側へ延びた長尺な第2の誘導カットラインとに分割されて、前記両カットラインは前記プラスチックフィルムの厚み方向の一部分のみをカットした未貫通溝で形成されていることを特徴とする。
また、第4の態様の包装袋においては、前記誘導カットラインは、前記開封カットラインから所定間隔で延出した複数本の短長な第1の誘導カットラインと、前記第1の誘導カットラインと所定距離離れて前記間隔と異なる間隔で前記背シール部側へ延びた長尺な第2の誘導カットラインとに分断されて、前記両カットラインは複数本の短長のスリットを所定の間隔をあけて配設した非連続スリット群、又は連続スリットからなり、前記スリットは、前記プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ膨出させた未貫通の凹み部を有し、前記凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚を徐々に薄肉にして底部が最も薄肉に形成されていることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第5の態様の包装袋は、矩形状のプラスチックフィルムの一面上に中間層を介して、該フィルムの両端縁から所定距離離して外側シート材を積層した包装フィルム材を用いて、前記包装フィルム材を前記外側フィルム部分から折曲させて前記プラスチックフィルムの両端縁部を合掌貼りした背シール部及びこの背シール部と直交する端辺部に形成される開口を端シール部でシールした袋体の内部に被包装物を詰めて包装する包装袋において、前記袋体は、前記背シール部が袋体の中央部又はこの中央部より両端いずれかの端部寄りに位置し、該背シール部の少なくとも一方の端部付近に、その長さ方向と直交する方向に引裂き部が形成されて、前記中間層には前記外側フィルム端縁辺から前記背シール部の前記引裂き部に向かって開封させる誘導カットラインが延設されていることを特徴とする。
また、第6の態様の包装袋においては、前記袋体は、前記外側フィルム端縁辺に開封カットラインが形成されていることを特徴とする。
また、第7の態様の包装袋においては、前記袋体は、前記一方の端部付近から他方の端部に向かって所定の間隔をあけて前記引裂き部が複数形成されて、前記外側フィルム端縁辺又は前記開封カットラインから前記背シール部の前記複数の引裂き部に向かって前記誘導カットラインの複数本が前記引裂き部の間隔と略同じ間隔で略平行に延びて形成されていることを特徴とする。
また、第8の態様の包装袋においては、前記誘導カットラインは、前記開封カットラインから所定間隔で延出した複数本の短長な第1の誘導カットラインと、前記第1の誘導カットラインと所定距離離れて前記間隔と異なる間隔で前記背シール部側へ延びた長尺な第2の誘導カットラインとに分割されて、前記両カットラインは前記プラスチックフィルムの厚み方向の一部分のみをカットした未貫通溝で形成されていることを特徴とする。
また、第9の態様の包装袋においては、前記誘導カットラインは、前記開封カットラインから所定間隔で延出した複数本の短長な第1の誘導カットラインと、前記第1の誘導カットラインと所定距離離れて前記間隔と異なる間隔で前記背シール部側へ延びた長尺な第2の誘導カットラインとに分断されて、前記両カットラインは複数本の短長のスリットを所定の間隔をあけて配設した非連続スリット群、又は連続スリットからなり、前記スリットは、前記プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ膨出させた未貫通の凹み部を有し、前記凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚を徐々に薄肉にして底部が最も薄肉に形成されていることを特徴とする。
この発明の第1の態様の包装袋によれば、予め定めた通り開封カットラインに沿って容易に開封できて、この開封カットラインを超えて引裂かれることがなく、開封後は、見栄えのよい開封口形状を有する受け皿として使用可能な包装袋を提供できる。例えば、開封カットラインと誘導カットライン、及び両カットラインを繋いだ部分に枠などを印刷して置くと、この枠を開封口として開封させることができるので、開封後は見栄えがよい開封口を持った受け皿としての使用が可能になる。
また、第2の態様の包装袋によれば、任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開封口にして開封できる。
さらに、第3の態様の包装袋によれば、任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開口で確実に開封できる。すなわち、第1の誘導カットラインの長さを所定の長さ、例えば、隣接する第1の誘導カットラインの間隔と同じか、この間隔より若干長くすることにより、第2の誘導カットラインから直接開封ラインへ引裂かれず、隣接するいずれかの第1の誘導カットラインへ誘導さるので開口が確実になる。また、誘導カットライン及び開封カットラインは製袋前のフィルムに形成できるので、袋体の製造が容易になる。
さらにまた、第4の態様の包装袋によれば、誘導カットラインが開封カットラインから略直角に延設して、両カットラインが直接接続されて、カットラインの接続部が略T字接続となるので、開封の際に、引裂きが誘導カットラインから開封カットラインへスムーズにガイドされて、従来技術のように、開封カットラインを超えて引裂かれることがなくなる。また、両カットラインは、複数本の短長のスリットを所定の間隔をあけて配設した非連続スリット群、又は連続スリットからなり、これらのスリットは、プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ膨出させた未貫通の凹み部を有し、この凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚を徐々に薄肉にして底部が最も薄肉に形成されているので、凹み部の底部は、フィルム基材の肉厚から略極限(例えば3.0μm程度)まで薄肉化が可能となり、この薄肉化により気体透過度の範囲が拡大されて、広い分野への使用が可能になる。特に、野菜、発酵食品などの包装材並びに発酵食品用及び電子レンジ加熱用などの容器に使用して有用なものとなる。また、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過がし難くなるので、MA包装、二重包装などにも効果的なものとなる。
さらにまた、第5及び第6の態様の包装袋によれば、カットライン及び外側フィルム端縁辺に沿って容易に開封できて、この外側フィルム端縁辺を超えて引裂かれることがなく、開封後は、見栄えのよい開封口形状を有する受け皿として使用可能な包装袋を提供できる。
さらにまた、第7の態様の包装袋によれば、任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開封口にして開封できる。
さらにまた、第8の態様の包装袋によれば、任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開口で確実に開封できる。すなわち、第1の誘導カットラインの長さを所定の長さ、例えば、隣接する第1の誘導カットラインの間隔と同じか、この間隔より若干長くすることにより、第2の誘導カットラインから直接開封ラインへ引裂かれず、隣接するいずれかの第1の誘導カットラインへ誘導さるので開口が確実になる。また、誘導カットライン及び開封カットラインは製袋前のフィルムに形成できるので、袋体の製造が容易になる。
さらにまた、第9の態様の包装袋によれば、誘導カットラインが外側フィルム端縁辺又は開封カットラインから略直角に延設して、誘導カットラインが外側フィルム端縁辺又は開封カットラインと直接接続されて、その接続部が略T字接続となるので、開封の際に、引裂きが誘導カットラインから開封カットラインへスムーズにガイドされて、従来技術のように、外側フィルム端縁辺又は開封カットラインを超えて引裂かれることがなくなる。また、両カットラインは、短長スリット複数本を所定の間隔をあけて配設した非連続スリット群、又は連続スリットからなり、これらのスリットは、プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ膨出させた未貫通の凹み部を有し、この凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚を徐々に薄肉にして底部が最も薄肉に形成されているので、凹み部の底部は、フィルム基材の肉厚から略極限(例えば3.0μm程度)まで薄肉化が可能となり、この薄肉化により気体透過度の範囲が拡大されて、広い分野への使用が可能になる。特に、野菜、発酵食品などの包装材並びに発酵食品用及び電子レンジ加熱用などの容器に使用して有用なものとなる。また、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過がし難くなるので、MA包装、二重包装などにも効果的なものとなる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための包装袋を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態1に係る包装袋を説明する。なお、図1は本発明の実施形態1に係る包装袋の背面図、図2A、図2Bは図1のIIA−IIA線で切断した断面図、図3は包装袋の開封を説明する背面図、図4は図1の包装袋の部分を示し、図4Aは図1のIVA部分の拡大図、図4Bは図3のIVB部分の拡大図、図5Aは包装袋を開封した状態の背面図、図5Bは包装袋を開封して取り外された状態の包装袋の一部の背面図である。
本発明の実施形態1に係る包装袋1は、図1に示す状態において、長手方向で対向する一対の長尺辺及びこの長手方向と直交する方向で対向する一対の短辺を有する帯状フィルムシートを用い、この帯状フィルムシートを長手方向の途中で互いに両端辺が接近するように折曲し、両端辺部を合掌させて背シールして筒状体を形成し、この筒状体の下方端辺部の開口を端シールし、上方端辺部を開口させた袋体で構成されている。なお、図1の包装袋は、袋体内に被包装物が詰められる前の状態を示したものとなっている。以下、帯状フィルムシート及びこのフィルムシートで製袋した包装袋の構成を詳述する。
フィルムシートは、ポリプロピレン(PP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、一軸/二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリエチレン(PE)(低密度/中/高密度ポリエチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(PA)などの単層、若しくは多層構造のプラスチックフィルムを使用する。その厚さは特に限定しないが、15〜100μmの範囲が好ましい。なお、実施形態1の包装袋は、単層フィルムで製袋するのが好ましい。
包装袋1は、図1に示す状態で、所定の面積を有する帯状(矩形状)の底部1aと、この底部の両端辺から内側へ互いに折り畳んだ一対の折畳み片1b、1cと、それぞれの折畳み片1b、1cの両端辺部1b'、1c'を互いに合掌させて貼りせた背シール部2と、この背シールで形成された筒状体の下方端辺部の開口を接合した端シール部3aとを有し、筒状体の上方端辺部が開口4aを有し内部に所定大きさの空間Sが形成された袋体となっている。上方の開口4aは、内部へ被包装物が詰められた後にシールされて端シール部3bが形成される(図3参照)。また、被包装物が詰められた袋体は、底部1aの外表面が表面となり、この底部の外表面に被包装物の説明などが印刷される。なお、以下の説明では、包装袋と袋体とは、同じものとして説明することがある。
袋体の折り畳み部1ab、1acは、図2に示すように、湾曲又はガセットにされたものとなっている。なお、これらの折り畳み部1ab、1acを平坦にして接合してもよい。また、一対の折畳み片1b、1cは、底部と別体のシート材にして、周囲を接合してもよい。この接合は、フィルム材によって異なるが、ヒートシール(熱溶着)する。このヒートシールは、高周波或は超音波シール装置などを用いて行なう。
背シール部2は、折畳み片1b、1cの両端辺部1b'、1c'を直線状に合掌貼りして、袋体の中央又はこの中央部より両折り畳み部のいずれかの端部寄りに位置している。また、この背シール部2は、上下端付近に引裂き部21が形成されている。この引裂き部は、切り溝、ハーフカットなどで形成し、袋体の開封は、この引裂き部からの引裂きで開封する。ハーフカットにすると、後述するハーフカットラインと同一工程で形成できるので形成が容易になる。
背シール部2を端部シール部3に比べて低いシール強度で熱接着すると、電子レンジ用食品の包装に好適なものとなる。すなわち、背シール部が端部シール部に比べて剥離が容易になるので、電子レンジで食品を加熱したときに、袋内で発生した蒸気の圧力が一定以上になると、背シール部が剥離して蒸気が放出されて袋体の破裂を防止できる。
一対の折畳み片1b、1cは、それらの両端付近、すなわち、折畳み部に近い位置に、背シール部2と略平行に延びて袋体面を引裂いて開封するハーフカットラインからなる開封カットライン5a、5bがそれぞれ設けられている。また、これらの折畳み片1b、1cには、開封カットライン5a、5bから背シール部2の引裂き部21に向かって同様のハーフカットラインからなる誘導カットライン6a、6bがそれぞれ延設されている。誘導カットライン6a、6bは、背シール部2に接近又は背シール部まで延設しているのが好ましい。開封カットライン5a、5b及び誘導カットライン6a、6bと、両カットラインを繋いだ部分に枠などを印刷して置くと、この枠を開封口として開封させることができる。したがって、予め定めた枠ラインに沿って開封でき、開封後は見栄えのよい開封口形状となった受け皿としての使用が可能になる。
開封カットライン5a、5bと誘導カットライン6a、6bとは、図4Aに示すように、誘導カットライン6aが開封カットライン5aから略直角に延設されて、両カットラインが直接接続されその接続部Jは略T字状に接続されている。両カットラインがT字接続されることによって、袋体の開封の際に、引裂きが誘導カットラインから開封カットラインへスムーズにガイドされて、従来技術のように開封カットラインを超えて引裂かれることがなくなる。なお、袋体を一軸延伸フィルムで形成すると、誘導カットラインへ沿った引裂きが容易になる。開封カットライン及び誘導カットラインは、シートの厚み方向の一部分のみをカットした未貫通溝(ハーフカット)で形成する。なお、多層構造フィルムでは、基材層のみを貫通、或は基材層及び中間層を貫通して形成する。
この包装袋1の開封は、まず、袋体を背シール部2の引裂き部21の切れ目から引裂くと、引裂きは誘導カットライン6a、6bに沿って進行し、開封カットライン5a、5bへ到達する。(図3参照)。この引裂きが開封カットライン5a、5bに到達すると、誘導カットライン6a、6bと開封カットライン5a、5bとが接続点J(図4A参照)で接続されているので、引裂きが接続点Jを経て開封カットライン5a、5bへ伝わり、一部分1bcが袋体から外れて、開封口4bが形成される(図4B、図5参照)。したがって、この包装袋によれば、予め定めた通りに、誘導カットライン及び開封カットラインに沿って開封することができるので、開封時に被包装物を外部へ飛散させることがなく、開封後は、見栄えのよい開封口形状を有する受け皿としての使用が可能になる。また、開封口の開口枠を印刷しておくことにより、その枠に従い、誘導カットライン及び開封カットラインに沿って開封させることができる。
図6を参照して、本発明の実施形態2に係る包装袋を説明する。なお、図6は本発明の実施形態2に係る包装袋の背面図である。本発明の実施形態2に係る包装袋1Aは、包装袋1の背シール部2に複数個の引裂き部21〜2nを設けると共に、これらの引裂き部に対応させて複数本の誘導カットライン6a1〜6an、6b1〜6bnを左右に形成したものである。複数本の誘導カットラインは、略等間隔にして略平行に配設形成されている。この包装袋1Aによれば、任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開口にして開封できる。
図7、図8を参照して、本発明の実施形態3に係る包装袋を説明する。なお、図7は本発明の実施形態3に係る包装袋の背面図、図8は図7の包装袋の一部を示し、図8Aは拡大背面図、図8は図8AのVIIIB部分の拡大図である。
本発明の実施形態3に係る包装袋1Bは、図7、図8Aに示すように、包装袋1Aの左右の誘導カットラインを短長な第1の誘導カットライン5a1、5b1と、長尺な第2の誘導カットライン6a1'〜6an'、6b1'〜6bn'とに所定距離d2離して分断するとともに、両カットラインの間隔d1、d3を異ならせて形成したものとなっている。これらの距離及び間隔は、例えば、距離d2は0〜10mm、d1は2〜4mm、d3は3〜10mmである。第1の誘導カットライン5a1、5b1は、左右の開封カットライン5a、5bが背シール部2に向かって略直角に所定長さ延設したものとなっている。これらの第1の誘導カットライン5a1、5b1は、その長さを短長にして、各開封カットライン5a、5bと同じ工程で形成される。
第2の誘導カットライン6a1'〜6an'、6b1'〜6bn'は、第1の誘導カットライン5a1、5b1と同じか、異なる浅溝のカットラインで形成してもよい。すなわち、袋体を一軸延伸フィルムで形成すると、第2の誘導カットラインへ沿った引裂きが容易になるので、浅溝ハーフカットでもよいことになる。第1の誘導カットライン5a1、5b1及び第2の誘導カットライン6a1'〜6an'、6b1'〜6bn'は、製袋前のフィルムに形成される。
この包装袋1Bは、包装袋1Aと同様に背シール部2の任意の引裂き部から引裂かれる。任意の第2の誘導カットライン、図8に示すように、例えば、隣接する第1の誘導カットライン5a1の間に位置する第2の誘導カットライン6a3'に誘導されて引裂かれると、この引裂きが第1の誘導カットライン5a1側へ達する。この引裂きにより、第2の誘導カットライン6a3'はその先端部aから図8Bに示す上下いずれか一方の第1の誘導カットライン5a1へ向かって引裂かれる。すなわち、先端部aからb、c方向へ引裂かれる。これらの引裂き方向b、cは、引裂き部から第2の誘導カットラインへ加わる引裂き方向及び力によって決まり、いずれの方向へ引裂かれても、第1の誘導カットライン5a1に誘導された後に開封カットライン5aに沿って引裂かれて開封される。
この引裂きに際し、d方向への引裂き、すなわち開封カットライン5aへ直接引裂かれることはなく、第2の誘導カットライン6a3'からの引裂きは,第1の誘導カットライン5a1に導かれることとなる。そのため、第1の誘導カットライン5a1の長さLを隣接する第1の誘導カットライン5a1間の間隔d1と同じか、この間隔d1より若干長めされている。
この包装袋1Bによれば、包装袋1Aと同様に任意の引裂き部から袋体を所望の大きさの開口で確実に開封でき、また、誘導カットライン及び開封カットラインは製袋前のフィルムに形成できるので、それらの形成が容易になる。
図9を参照して、本発明の実施形態4に係る包装袋を説明する。なお、図9は本発明の実施形態4に係る包装袋を示し、図9Aは背面図、図9Bは図9AのIXB−IXB線の断面図である。
実施形態4に係る包装袋1Cは、複数枚のフィルムを積層した複合フィルムシートを用いて製袋したものである。この包装袋1Cは、所定長さの帯状フィルムからなる基材層7aの一面上に中間層7bを介して、この基材層の両端縁から所定距離離して外側シート7cを積層した複合フィルムを用いて、この複合フィルムを外側シート部分から折曲させて基材層7aの両端縁部7a'を合掌貼りした背シール部2及びこの背シール部と直交する端辺部に形成される開口を端シール部3a、3bでシールした袋体となっている。この袋体は、背シール部2が袋体の中央部又はこの中央部より両端いずれかの端部寄りに位置し、この背シール部の少なくとも一方の端部付近に、その長さ方向と直交する方向に引裂き部21が形成されて、これらの引裂き部から誘導カットライン6a、6bが外側シート端辺に向かって形成されている。
基材層は、レーヨン、PET、ナイロン、OP、中間層はPP、PE、外側シート7cは、紙、発泡材などを使用する。外側シート端辺には、開封カットライン5a、5bを設けるのが好ましい。なお、外側シート7cに用いられる紙、発泡材が厚い場合は、開封カットラインは省いてもよい。この場合は、外側シートの端辺が開封カットライン5a、5bと同様に引裂きをガイドする働きを有する。この包装袋も上記の包装袋1と同様の方法で開封でき、同様の作用効果を奏する。
図10〜図13図を参照して、本発明の実施形態5に係る包装袋を説明する。実施形態5に係る包装袋1Dは、実施形態1〜4の包装袋1〜1Cと開封カットライン及び誘導カットラインが異なるのみで、他の構成は同じになっている。そこで、この包装袋1Dの全体構成の図示を省略し、その説明は、実施形態1〜4の包装袋1、1A、1B、1Cの説明を援用し、異なる構成を詳述する。
まず、図10、図11を参照して、フィルムシートに形成する開封カットライン及び誘導カットラインを説明する。なお、図10Aはフィルム基材を示し、図1は平面図、図10Bは図10AのVIIIB部分の拡大図、図11は図10AのXI−XI線の断面図である。
この包装袋は、開封カットライン及び誘導カットラインが包装袋1、1A、1Bと同様に、開封を容易に且つ正確に開封する引裂開封作用とともに、気体を透過させる気体透過作用を兼ね備えたものとなっている。これらの開封カットライン及び誘導カットラインは、複数本の短長のスリット9を所定の間隔をあけて配設したスリット群9Lで構成されている。個々のスリットは、同じ構成を有し、帯状のフィルムシート8(以下、フィルム基材8ともいう)の長手方向に、一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部が他表面から外方へ膨出した凹み部で構成されている。すなわち、この凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚が徐々に薄肉にして底部が最も肉薄に形成したものとなっている。
このフィルム基材8は、前述のフィルムシートか、或はPP/PEの共押出しフィルムシートなどを使用する。その厚さは、特に限定しないが、15〜100μmの範囲が好ましい。その厚さが15μmより薄いとスリットの形成が難しく、しかも十分な強度が得られないことがある。また、100μm以上を超えると加工が困難となる。したがって、フィルム基材の厚さは、これらの範囲内でフィルム樹脂の種類、用途などにより適宜選択される。
スリット9は、細溝からなる未貫通溝となっており、図11に示すように、上方の開口溝9aから底部に向かって側壁9bの肉厚が徐々に薄肉に山なり状に膨らませて、底部を他表面から外方へ膨出させ、しかも、この底部9cが最も肉薄となるようにし、断面形状が略U字状に形成されている。具体的には、図10B、図11に示すように、フィルム基材8の長手方向と直交する方向に幅長W、この長手方向に長さL'及び所定の深さを有している。幅長、長さ及び深さは、特に限定しないが、幅長さWは100〜500μm、長さL'は1.2〜2.6mmが好ましい。また、深さは、フィルム表面から計測して1.2〜2.2倍程度、これらの倍率でも、厚さの1.2〜2.2倍の深さにするのが好ましい。さらに、底部9cの最も薄い肉厚は、3μm〜70μmにするのが好ましい。なお、この肉厚は、単層、多層構造のフィルムのいずれも同じになっている。また、スリット群9Lの隣接するスリット間の間隔も特に限定されないが、1.5〜3.0mm程度が好ましい。したがって、このスリットは、フィルム樹脂の種類、用途などにより適宜選択される。
スリット9は、断面形状を略U字状にしたが、これに限定するものでなく、断面形状を他の形状、例えばV字状或はその他の形状にしてもよい。また、スリット群9Lは、所定長さのスリット複数本を非連続に配列したが、連続させてもよい。スリット及びスリット群は、それらの形状及び底部の肉厚を変更することによって、気体透過量を調整することができる。なお、スリットに代えて、凹み穴にしてもよい。
次に、図12を参照して、フィルム基材の製造方法を説明する。なお、図12Aは図10のフィルム基材を製造する製造装置の概略図、図12Bは図12AのXB部分の拡大図、図12Bは図12AのXII部分の拡大図である。
製造装置10は、図12Aに示すように、フィルム基材8を前処理する前処理装置11と、フィルム基材8にスリット9を形成するスリット形成装置12とを備えている。前処理装置11は、フィルム基材8を該基材のガラス転移点を超え、且つ融点未満の温度になるように処理する温度調節装置となっている。
この前処理装置11での温度調節は、フィルム基材にスリットを形成するのに重要となっている。フィルム基材8は、プラスチックフィルム、すなわち、高分子材料からなり、この高分子材料は、低温下において結晶部分と非結晶部分とが共存した状態にあり、分子運動が小さいガラス状態となっている。この状態から加熱されて温度が上がると分子運動が大きくなってゴム状態となり、更に加熱されると溶けた溶融状態となる。ガラス状態からゴム状態へ移行する境目がガラス転移点、ゴム状態から溶融状態になる境目が融点となっている。したがって、ガラス転移点を超える温度にフィルム基材を加熱して柔らかくすることによって、スリットを山なりにしかも底部を最も薄く圧延できる。また、この温度では、ガスバリア性を保ったままで圧延することができるので、フィルムの特性を損なわずに薄肉にしたスリットを形成できる。また、ピンホールなどがないスリットを形成できる。
ガラス転移点及び融点は、フィルム基材の素材によって異なる。フィルム基材にPPを使用する場合、PPのガラス転移点はマイナス18℃で融点は163℃となっているので、前処理装置11において常温より高い温度の40〜120℃の間に調節する。以下、同様にして、PETは、ガラス転移点が81℃で融点は264℃となっているので、温度を約85〜200℃の間、LDPEは、ガラス転移点が−125℃で融点が115℃となっているので、常温より高い温度20〜100℃に調節する。また、PETとLDPEをラミネートした多層構造フィルムでは、温度85〜100℃の範囲に調節する。
PP、PEは、常温では既にガラス転移点を超えているが、融点は190℃であるので、その範囲で加工の度合いを調整することとなる。同じ基材でも、ガラス転移点を超え、融点未満の範囲で温度によってフィルムの柔らかさが異なるため、次のスリット形成装置において、軽い押圧でも温度を上げることによって容易にスリットが形成できる。
スリット形成装置12は、外周囲に所定間隔をあけて複数本のスリット形成歯13が配設された円板状の押圧ロール12Aと、この押圧ロールとの間でフィルム基材8を挟み込む受けロール12Bとを有している。押圧ロール12Aは所定の直径、肉厚及び硬度を有する金属性の円板状の歯車で形成されており、軸12aを中心に回転し、スリット9を形成しながらフィルム基材8をX方向へ送り出す。複数本のスリット形成歯13は、図12Bに示すように、所定ピッチp及び高さhを有する略鋸歯状の歯となっている。このスリット形成歯13は、底部13aに所定のR1及び頂部先端13bにR2のRが付けられている。ピッチpは特に限定されないが、本実施形態においては2.094mm、高さhは2.0mmとなっている。R2は、0.05〜1.0mmの範囲であり、この範囲でも0.1〜0.2mmが好ましい。0.1mm以下にすると、機械的摩耗が激しいとフィルム基材に傷がつきピンホールがあきやすくなる。1.0mm以上にすると押圧する面積を広くできる。また、R1は、0.5とする。なお、ピッチを零にして連続した歯にしてもよい。この場合は、十分な押圧力を確保するために幅長を狭くする。すなわち、連続させると歯数が多くなり、その結果、単位面積が大きくなるため全体の押圧力が小さくなってしまうので、幅長を狭め、面積を小さくすることで所望の押圧力を確保する。
押圧ロール12Aは円板状の歯車にしたが、ロール状、すなわち円筒体、円柱体にしてもよい。ロール状にすることにより、長いスリット及び連続したスリットを形成できる。スリット形成歯を設けた歯車は、特に限定されないが、例えば平歯を設けた歯車を使用するのが好ましい。この平歯は、平面視で長方形をなし、長さが1.5〜2.6mm、幅長は30〜500μm、及び立面視でフィルムの厚さに対して1.2〜2.4倍のものを使用する。この平歯を使用すると、フィルム基材の総厚50μmとすると、このフィルム基材の底から計測して、山の頂点までは60〜120μmとなる。この度合いは透過させたいガス量によって決める。
受けロール12Bは、押圧ロール12Aと同様に、軸12bに中心に回転しながら、押圧ロール12Aによってフィルム基材8にスリット9が形成される際の押圧を受け、フィルム基材8をX方向へ送り出す。押圧ロール12Aは、その硬度を63〜67とし、受けロール12Bより低い硬度の金属材料で形成する。受けロール12Bは、所定の直径及び硬度を有する金属性の円筒体、円柱体で形成されており、硬度は60〜63にする。押圧ロール12Aは、その硬度を受けロール12Bの硬度より低くすることによって、受けロール12Bが押圧ロール12Aによって押圧を受ける際に例えば100万m加工しても削られることがない。
この製造装置10は、フィルム基材8を前処理装置11でガラス転移点を超える温度に処理して、スリット形成装置12に送り、このスリット形成装置12で所定温度となったフィルム基材8を押圧ロール12Aと受けロール12Bとの間に挟み込んで、押圧ロール12Aに所定の押圧力をかけてフィルム基材8を圧延してスリットを形成する(図12C参照)。このスリットは、フィルム基材の種類、その厚さに応じて、その基材の前処理温度及び押圧ロールの押圧力を調節して形成する。このスリットは、底部を薄くすると、薄くなった分だけ気体透過度が高くなるが、一方で、強度が低下する。その度合いは、前処理温度或は押圧力の少なくともいずれか一方で調節して決める。例えば、フィルム基材のガラス転移点が50℃で融点が125℃であるとすると、前処理温度を600℃或は120℃にすると、前者より後者が柔らかくなり、一方で押圧力は前者より後者が軽い押圧力で形成ができることになる。この押圧度は、例えば0〜0.5MPaの間で調整され、特に0.2MPa前後が好ましい。なお、0.5Mpaは5kg/平方センチメートルである。
この製造装置10では、用途に応じてフィルム基材8の前処理温度及び押圧ロールの押圧力を調節して、それぞれの用途に適合するスリットを形成する。例えば、野菜包装では、厚さ25μmのOPP防曇フィルムの単体フィルムを用い、このフィルムに凹み部を袋内側から形成し、凹み部の最低厚さを約3μmにする。野菜によってはこの押圧度合を異ならせて、例えば、小松菜では0.2MPaで押圧し、ピッチ2mmの平歯で押圧する部分の形状を長方形で長さ2mm×幅200μmにする。袋体の大きさ200mm×320mmに対しては、スリット群は横一列だけにする。
図13を参照して、スリットの気体透過作用を説明する。なお、図13はスリットの気体透過作用を説明する図であって、図13Aはスリットの断面図、図13Bは気体透過時のスリット形状の断面図、図13Cは逆方向からの気体透過時のスリット形状の断面図である。
フィルム基材8を用いて所定大きさの包装袋を作成し、この包装袋に物品を収納する際にこの物品から気体(蒸気など)が放出されて包装袋内に圧力が掛かる例でこの透過作用を説明する。図13Aのスリット9は、内圧が掛かっていない状態となっている。なお、この図13Aは、図11と同じものとなっている。このスリット9に矢印A方向から内圧が掛かると、図13Bに示すように、その圧力によりスリットの底部が延伸、膨張して風船状に膨らんでその肉厚がさらに肉薄になって、この肉薄部分9c1から気体が透過する。このスリット9は、その気体透過が従来技術のスリットに比べて、透過量の調節が容易になると共に、他の作用効果を奏するものとなる。具体的には、従来技術の凹み穴は、底部の肉厚が略均一になっているので、極限まで薄肉にできず、現在の加工技術では8μm程度が限度であるが、このスリット9は、略極限(3.0μm程度)まで薄肉にできるので、透過量の調節が容易になる。
また、図13Cに示すように、逆方向から圧力が掛かると、スリットの底部9c2が逆方向へ押圧されるが、気体透過量が図13Bの方向に比べて格段に少なくなる。この現象は、実験により確認されており、開口側からの透過量を10とすると逆方向からの透過量は1〜2程度となった。その結果、フィルム基材8は、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過性がし難くなるので、例えば、MA包装或は二重包装などに使用すると顕著な作用効果を奏する。すなわち、MA包装には、フィルム基材の開口溝が内側、底部が外側に位置するようにして包装袋を作成して使用する。また、二重包装は、詰める物品に応じて、フィルムの開口溝が内側又は外側、底部が外側又は内側になるようにして包装袋を作成して使用する。例えば、アルコールガス透過のお菓子包装は、外袋と数多くの内袋があり外袋内にアンチモールド(アルコールガスを発生させるもの)を入れ内袋に外側から押圧山なり加工する。そうするとアルコールガスが数多い内袋の中に入っていく。外袋はガスバリア性のある袋になっており、内袋はOPP単体20μmのフィルムを用い、その袋の大きさは50mm×70mmにする。
この実施形態の包装袋によれば、凹み部の底部をフィルム基材の肉厚から略極限(例えば3.0μm程度)まで薄肉化が可能となり、この薄肉化により気体透過度の範囲が拡大されて、広い分野への使用が可能になる。特に、野菜、発酵食品などの包装材並びに発酵食品用及び電子レンジ加熱用などの容器に使用して有用なものとなる。また、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過がし難くなるので、MA包装、二重包装などにも効果的なものとなる。
図14を参照して、本発明の実施形態6に係る包装袋を説明する。実施形態6に係る包装袋は、実施形態5の包装袋のフィルムシートを積層した構成が異なるのみで、他の構成は同じになっている。そこで、この包装袋の全体構成の図示を省略し、その説明は、上記実施形態の包装袋の説明を援用して異なる構成を詳述する。なお、図14は実施形態6の包装袋1Eに使用するフィルムシートを示し、図14Aは包装袋1E用フィルムシートの一部断面、図14Bは包装袋1Eの変形例に係るフィルムシートの一部断面である。実施形態3の包装袋1Dは、フィルムシートが2層構造のもので製袋したものとなっている。なお、包装袋1Eは、図示が省略されている。
フィルムシート14は、スリット9を設けたフィルム基材8のスリットの膨出側に他のフィルム16を接着剤15で接合したものである。スリットは、上方の開口溝9aから底部に向かって肉厚が徐々に薄肉に山なり状に膨らませて、底部を他表面から外方へ膨出させて、しかも、この底部9cが最も肉薄となるようにし、断面形状が略U字状或はV字状に形成されている。なお、このスリットは、スリット9と同じ構造になっている。スリット9を設けたフィルム基材8のスリットの膨出側に、他のフィルム16を接着剤15で接合する。接着するフィルムの組み合わせ例として、フィルム基材8にPE、フィルム16にPA、PATを使用する。ガスバリア性の高いPA、PETに良好なシール機能を有するPEを接着することにより、高いガスバリア性とシール性を併せもった包装袋となる。製造装置は、製造装置10にフィルム接合装置を付加したものなっている。この包装袋は、電子レンジ加熱用に好適なものとなる。すなわち、この包装袋に食品を詰めて開口をシールし、電子レンジで加熱すると、食品から蒸気が発生し袋内の内圧が上昇し、スリットから水蒸気が透過する。このとき、スリットから透過した水蒸気がフィルム8とフィルム16の間」の接着剤15を剥がしてこの隙間かに溜まり、フィルム16が裂けるか、両フィルム間の隙間を通って、外部へ放出される。これにより、包装袋の破裂を防止できる。
フィルムシート14Aは、スリット9を設けたフィルム8のスリットの凹み側に他のフィルムを接着剤で接合したものである。スリット9を設けたフィルム基材8のスリットの凹み側に、他のフィルム19を接着剤18で接合する。この包装袋も電子レンジ加熱用に好適なものとなる。これら実施形態の包装袋は、ハーフカットラインに気体透過性のスリットを設けたが、他の箇所、例えば袋体の表裏面の一方又は双方にこのようなスリットを設けてもよい。これにより、気体透過度を調節できるので、多種多様なものを包装することが可能になる。