JP3165980U - 包装袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】野菜、果物等の青果物を密封包装して鮮度を長く保持でき、密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる包装袋を提供すること。【解決手段】第1のフィルム2に、フィルム2と異なる素材の第2のフィルム3を重ね合せ、三方辺を閉じ残りの辺から被包装物を詰込んだ後に封鎖する袋口7を有する包装袋1からなり、フィルム3の長さをフィルム2より長尺にし、フィルム3は一端辺3bの側を対向する他端辺3aの側へ向けて折り返し、折り返し片4は一端辺3bとフィルム2の一端辺2bとをいずれか一方の端辺部が表面に位置するように重ね合わせ、接合し、非接合端辺と接合した箇所23bとの間を非接合状態の自由端にし、自由端を被包装物の包装後に、接合箇所を引き剥がして開封する剥し開封片5とし、両フィルム2、3の開封片5と直交する両側の端辺縁部6a、6bを接合し、残りの端辺間を袋口7とした。【選択図】図1
Description
この考案は、包装袋に係り、さらに詳しくは、野菜、果物などの青果物を密封包装してその鮮度を長く保持できて、しかも密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる包装袋に関するものである。
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店頭では、菓子、野菜、果物、刺身、肉、惣菜などの多種様々な食品が陳列、販売されており、これらの食品は、その殆どが様々なタイプの包装袋で包装されている。これらの包装袋は、それぞれの食品を流通、保存などに適合した仕様のものとなっている。
これらの包装袋は、被包装物の種類などに応じて様々な形状に形成されたものになっている一方で、その素材は、通常、種々のフィルムを積層した複合包装材を用いて製袋したものとなっている。この複合包装材は、概ねナイロン、ポリエステルなどの延伸フィルム基材に、ポリエチレンなどのシーラント層を積層したもの(以下、延伸フィルム/シーラント層、と表現する)、アルミニウム箔とシーラント層とを積層したもの(延伸フィルム/アルミニウム箔/シーラント層)、或いは延伸フィルム/アルミニウム箔/延伸フィルム/シーラント層からなるものなどとなっている。これらの包装材は、いずれも延伸フィルム、例えば二軸延伸フィルムを使用したものとなっている。
これらの素材で製袋された包装袋は、鋏や刃物などの器具を使用せずに、被包装物を簡単に開封して取出しができるように工夫されている。例えば、下記特許文献1に記載された包装袋は、側縁のシール部分にノッチを設けたものであり、また、下記特許文献2の包装袋は、フィルム基材にミシン目状の切れ目線を入れたものである。これらの包装袋によれば、ノッチや切れ目線から開封できる。
また、このような包装袋で野菜や果物などの青果物を包装すると、その鮮度が低下し品質低下を招くことがある。すなわち、新鮮な野菜や果物などの青果物は、収穫後も呼吸しており、収穫された後でも青果物自体が自らを修復するために圃場にあるときよりも活発な呼吸活動をしている。しかしながら、この呼吸活動が収穫後にも活発に継続されると、青果物の栄養分が消費されてしまい、成熟、老化がより急速に進行することになる。青果物は、通常、包装袋に詰めて、袋口を封止した密封包装となっている。このために、包装時に袋内に存在している酸素が時間と共にこの呼吸活動により費消されて減少し、時間が経つと袋内の酸素が殆ど無くなった、いわゆる嫌気状態となる。嫌気状態になると、青果物は呼吸活動できない状態に陥って青果物の腐敗がより進行する。この呼吸量は、青果物の種類によって違っている。したがって、青果物の包装は、それぞれの青果物の種類及び流通や保管条件(特に温度)などに合わせて、包装袋は気体(ガス)透過性などを調節したものにしなければならない。
そこで、包装袋内の空気を青果物が自ら行う呼吸活動とのバランスにより、高濃度の二酸化炭素で且つ低濃度の酸素の雰囲気にして青果物がほぼ冬眠状態になるようにして、青果物の成長や劣化を遅らせて品質を長持ちさせる、すなわち、この呼吸量をできるだけ低く抑えることによって、品質低下のスピードを遅らせて品質を保持する包装技術が開発された。この包装技術は、MA(Modified Atmosphere)と呼ばれており、このMA包装技術を採用した包装袋も知られている。
その包装袋の代表的なものの一つが、例えば、下記特許文献3に紹介されている。この特許文献3の包装袋は、ポリプロピレンフィルムと、ポリエチレンフィルムとをそれらの端部を接合した単層フィルムで形成したものとなっている。また、下記特許文献4、5には、同様の包装袋を製袋する製造方法が記載されている。すなわち、前者は二軸延伸ポリプロピレンフィルムと無延伸ポリプロピレンフィルムとを用いて製袋し、後者は二軸延伸ポリプロピレンフィルムと積層フィルムとを用いて製袋したものとなっている。
上記特許文献1、2の包装袋によれば、ノッチ部分或いは切れ目線から引裂き開封操作ができるが、一方でこれらの包装袋には、以下の課題が潜在している。その一つの課題は、開封操作時に、開封箇所を探し出すのが難しく、また、被包装物の種類によってはその取出しが面倒になることがある。すなわち、ノッチ部分や切れ目線は、通常、目につき難くい箇所にあって極めて小さいことから、これらの開封箇所を探し出すのが容易でなく、探し出しても片手で簡単に開封できるものでなく、しかも引裂いた際には引裂き片が切り離されてその処理が必要となる。また、開封は、これらのノッチ部分や切れ目線となり、引裂かれた後の開封口が狭く、被包装物が例えば大型のものであると、その取出しが困難になることがある。他の課題は、開封ラインを決めてあるときに、この開封ラインに沿って正確に引裂くのが難しいことである。すなわち、包装袋は、前記のように延伸フィルムを含む複合包装材で構成されている。
この複合包装材を構成する延伸フィルムは、その延伸方向、つまり延伸による分子の配列方向が必ずしも直線状にならず、通常、延伸時に湾曲などした非直線状となってしまうので、開封操作時に引裂き方向がずれて引裂き方向が定まらずに正確な開封ができない。例えば、側縁シール部分にノッチを設けた包装袋は、開封開始は比較的容易であるが開封が進むにつれて、引裂き力の掛かり具合や延伸フィルムに方向性があるので引裂き破断方向が大きくずれてしまい、開封ラインに沿って引裂き開封ができないことになる。特に、袋体の表裏で延伸フィルムの分子の配列方向が異なっている場合は、開封操作方向によって、表裏の引裂き方向が相互に大きくずれてしまうことになる。また、ミシン目状の切れ目線を形成した包装袋も、その切れ目線が一直線状の単純な切れ目のミシン目状に形成されているだけなので、短い距離であれば、その切れ目線に沿って引裂き開封が正確にできるもののフィルムの方向性や力の掛かり具合によっては、切れ目端からの破れの方向が切れ目線からずれることがある。このずれは、フィルム素材などによっても異なるが、引裂き開封する距離が長く成ればなるほど大きくなる。
また、上記特許文献3〜5の包装袋は、その表面の一部がガス透過度の比較的低いフィルム及び他の部分がガス透過度の比較的大きいフィルムで形成されるので、ガス透過性が制御されて袋詰めされた青果物の鮮度を保持できる。しかしながら、この包装袋は、その構成から密封した袋口を片手で開封ができず、両手で引っ張ってもフィルム材が伸びるだけで引裂きができず、また、袋口以外の箇所でも開封が難しく、全体として開封が困難なものとなっている。すなわち、上記の包装袋と同様の課題を抱えている。また、野菜や果物などの青果物は、その種類によって必要とするガス透過量が大幅に異なっている。例えば、レタス、葉ねぎ、ニラ、エリンギ、カット野菜(ミックス)、もやし、アスパラガス、ほうれん草などでは、それらの酸素透過量が大幅に異なる。なお、キムチ、白菜漬物、ラッキョウ漬物が出すガス量もそれぞれ異なり、これらのガス透過量は野菜より多くなっている。そのために、上記特許文献3〜5の包装袋では、ガス透過量が不足することがある。
したがって、野菜や果物などの青果物の鮮度を長く保持させるためには、それらの包装材は、それぞれの青果物の種類、量及び流通や保管条件(特に温度)などに適合した特性、例えば、これらに適合した酸素、二酸化炭素を透過させるガス透過性及び水蒸気を透過させる水蒸気透過性を備え、しかも、これらの特性に加えて、他の特性、例えば製袋する際に接合を容易・堅固にするヒートシール性、包装袋から内容物を簡単に取出すことができる開封の容易性、すなわち易開封性、或いは被包装物の商品性を高めて売行きをアップさせる透明性・光沢性及び見栄え性などを備えたものを使用する必要がある。
そこで本考案は、上記の従来技術が抱える課題の解決及び必要性に基づいてなされたもので、本考案の目的は、野菜、果物などの青果物を密封包装してその鮮度を長く保持できて、しかも密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる包装袋を提供することにある。
また、本考案の他の目的は、上記目的を有し、且つ、経済性、透明性及び見栄え性がよい特性を備え幅広い用途に使用ができる包装袋を提供することにある。特に、高価となる印刷を一方のプラスチックフィルム素材に集中させて、印刷コストの低減を図り包装袋を低コストにできるものである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様の包装袋は、所定の幅長及び長さを有する第1のプラスチックフィルムに、このプラスチックフィルムと異なる素材からなる第2のプラスチックフィルムを重ね合せて、三方辺を封止し残りの一辺から被包装物を詰込んだ後に封鎖する袋口を有する包装袋において、
前記第1、第2のプラスチックフィルムは、いずれか一方のプラスチックフィルムの長さを他方のプラスチックフィルムより長くして、該長いプラスチックフィルムは、一端辺側を対向する他端辺側へ向けて所定長さ折り返して、前記折り返し片は、その端辺部と他方のプラスチックフィルムの一端辺部とをいずれか一方の端辺部が表面に位置するように所定長さに亘って重ね合わせて、前記重ね合わせた部分は、いずれか一方のプラスチックフィルムの端辺の縁辺を他方のプラスチックフィルムに接合して、非接合端辺と前記接合した箇所との間を非接合状態の自由端にして、前記自由端を被包装物の包装後に前記接合箇所を引き剥がして開封する剥し開封片とし、前記両プラスチックフィルムの前記開封片と直交する両側の端辺縁部を接合して残りの端辺間を前記袋口としたことを特徴とする。
前記第1、第2のプラスチックフィルムは、いずれか一方のプラスチックフィルムの長さを他方のプラスチックフィルムより長くして、該長いプラスチックフィルムは、一端辺側を対向する他端辺側へ向けて所定長さ折り返して、前記折り返し片は、その端辺部と他方のプラスチックフィルムの一端辺部とをいずれか一方の端辺部が表面に位置するように所定長さに亘って重ね合わせて、前記重ね合わせた部分は、いずれか一方のプラスチックフィルムの端辺の縁辺を他方のプラスチックフィルムに接合して、非接合端辺と前記接合した箇所との間を非接合状態の自由端にして、前記自由端を被包装物の包装後に前記接合箇所を引き剥がして開封する剥し開封片とし、前記両プラスチックフィルムの前記開封片と直交する両側の端辺縁部を接合して残りの端辺間を前記袋口としたことを特徴とする。
また、第2の態様の包装袋は、第1の態様の包装袋において、前記折り返し片は、その長さが非折り曲げフィルム部分の略中間位置の前後の長さになっていることを特徴とする。
また、第3の態様の包装袋は、第1の態様の包装袋において、前記剥し開封片は、非接合の前記長尺プラスチックフィルムの端辺縁から2mm以上離れた箇所で接合されていることを特徴とする。
また、第4の態様の包装袋は、第1の態様の包装袋において、前記接合箇所は、易剥離性加工により接合されていることを特徴とする。
また、第5の態様の包装袋は、第1又は4の態様の包装袋において、前記両側の端辺縁部の接合は、前記袋口の封止より弱く接合されていることを特徴とする。
また、第6の態様の包装袋は、第1〜5のいずれかの態様の包装袋において、前記第1、第2のプラスチックフィルムは、少なくともいずれか一方のプラスチックフィルムに、一方向からのガス透過度が高く逆方向からのガス透過度が低い気体透過部が形成されていることを特徴とする。
また、第7の態様の包装袋は、第4の態様の包装袋において、前記気体透過部は、未貫通孔のスリットからなり、前記スリットは、前記プラスチックフィルムの一面に所定長さに連続又は不連続に形成されていることを特徴とする。
また、第8の態様の包装袋は、第7の態様の包装袋において、前記スリットは、長手方向と直交した断面形状において、前記プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ突出させると共に、上方の開口部から底部に向かって肉厚が徐々に薄肉にして底部が最も肉薄にした凹み突部で形成されていることを特徴とする。
また、第9の態様の包装袋は、第1〜8のいずれかの態様の包装袋において、前記第1、第2のプラスチックフィルムは、一方のプラスチックフィルムが延伸ポリプロピレン(OPP)、CP、ポリエチレン(PE)、共押出しフィルムのいずれか、他方のプラスチックフィルムがポリエチレン(PE)、CP、共押出し、延伸ポリプロピレン(OPP)のいずれかであることを特徴とする。
また、第10の態様の包装袋は、第9の態様の包装袋において、前記ポリプロピレンフィルム(PP)の厚さが10〜40μmであり、ポリエチレンフィルム(PE)の厚さが10〜50μmであることを特徴とする。
第1又は2の態様の包装袋によれば、包装袋は、様々な種類の被包装物を密閉包装ができ一方で、包装後の開封操作が簡単になる。すなわち、第1、第2のプラスチックフィルムに、被包装物の種類、例えば生鮮青果物である場合は、その種類、量及び流通条件(特に温度)などに適合した特性、例えば、これらに適合した酸素、二酸化炭素を透過させるガス透過性及び水蒸気を透過させる水蒸気透過性を備えたものを選択して製袋することにより、それらの鮮度を長く保持できて、しかも密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる。また、これらの特性に加え、他の特性、例えば、被包装物の商品性を高め売行きをアップさせる透明性・光沢性及び見栄え性を備えたものを選択することによって、さらに印刷コストを抑えるとともに簡単に生産できて低コスト化が図れる生産性などを備えた包装袋を提供できる。
また、第3の態様の包装袋によれば、袋体の開封操作が簡単になる。すなわち、剥し開封片は、非接合の前記長尺フィルムの端辺縁から、所定の長さ、すなわち指で摘まんで剥離できる長さの2mm以上離れた箇所で接合された片となって、しかも袋体の幅方向に延設されているので、この剥し開封片を剥離方向へ引っ張ることにより、片手で簡単に接合を剥離し袋体を開封できる。
また、第4又は5の態様の包装袋によれば、剥し開封片の引き剥がしが容易になり、しかも剥し開封片を引っ張り剥離した後は、袋体の両側縁が弱く接合されているので、この部分から簡単に広く開封される。特に、被包装物が葉物野菜であると、広く開封されるので、簡単に取出しできる。
また、第6の態様の包装袋によれば、第1、第2のプラスチックフィルムは、いずれか一方のプラスチックフィルムに気体透過部を設けたので、上記包装袋の気体透過性能をさらにアップできる。その結果、広い範囲の用途、特に多種多様の物品などの包装に使用することが可能になる。なお、このフィルムは、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過性がし難くなるので、例えば二重包装に使用すると、顕著な作用効果を奏することが可能になる。また、電子レンジ用食品を包装すると気体透過部から破断されて包装袋の破裂を防止できる。
また、第7の態様の包装袋によれば、気体透過部をスリットにすることにより、簡単に形成できる。また、スリットを連続又は不連続に形成するので、気体透過の調節ができる。
また、第8の態様の包装袋によれば、凹み突部の底部は、フィルム基材の肉厚から略極限(例えば3.0μm程度)まで薄肉化が可能となり、この薄肉化により気体透過度の範囲が拡大されて、広い分野への使用が可能になる。特に、包装材として有用なものとなる。すなわち、野菜、発酵食品などの包装材並びに発酵食品用及び電子レンジ加熱用などの容器に使用して有用なものとなる。また、気体透過を一方向から良好になり、逆方向から難くなるので、MA包装、二重包装などにも効果的なものとなる。
また、第9の態様の包装袋によれば、第1、第2のプラスチックフィルムは、一方のプラスチックフィルムがOPP、CP、PE、共押出しフィルムのいずれか、他方のプラスチックフィルムがPE、CP、共押出し、OPPフィルムのいずれかであるので、これらのプラスチックフィルムに所定特性の素材フィルムが選択でき、この選択により、それぞれの青果物の種類、量及び流通条件(特に温度)などに適合した特性、例えば、これらに適合した酸素、二酸化炭素を透過させるガス透過性及び水蒸気を透過させる水蒸気透過性を備え、しかも、これらの特性に加え、他の特性、例えば製袋する際に接合を容易・堅固にするヒートシール性、包装袋から内容物を簡単に取出すことができる開封の容易性、すなわち易開封性、被包装物の商品性を高め売行きをアップさせる透明性・光沢性及び見栄え性、さらに印刷コストを抑えるとともに簡単に生産できて低コスト化が図れる生産性などを備えたものとなる。
また、第10の態様の包装袋によれば、特殊な材料を用いることなく気体透過性フィルムを安価に作成できる。
以下、図面を参照して本考案の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本考案の技術思想を具体化するための包装袋を例示するものであって、本考案をこれに特定することを意図するものではなく、実用新案登録請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
[実施形態1]
図1を参照して、本考案の実施形態1に係る包装袋の概要を説明する。なお、図1は本考案の実施形態1に係る包装袋を示し、図1Aは正面図、図1Bは図1AのIB−IB線の断面図、図1Cは変形例に係る包装袋の断面図である。
図1を参照して、本考案の実施形態1に係る包装袋の概要を説明する。なお、図1は本考案の実施形態1に係る包装袋を示し、図1Aは正面図、図1Bは図1AのIB−IB線の断面図、図1Cは変形例に係る包装袋の断面図である。
図1A、図1Bに示すように、本考案の実施形態1に係る包装袋1は、所定の幅長及び長さを有する第1のプラスチックフィルム(以下、第1のフィルムという)2に、このプラスチックフィルムと異なる素材からなる第2のプラスチックフィルム(以下、第2のフィルムという)3を重ね合せて、三方辺を閉じ残りの一辺から被包装物を詰込んだ後に封鎖する袋口7を有する袋体からなり、これらの第1、第2のフィルム2、3は、一方のフィルム3の長さを他方のフィルム2より長尺にして、この長尺のフィルム3は、一端辺3bの側を対向する他端辺3aの側へ向けて所定長さ折り返して、この折り返し片4は、その端辺部、すなわち一端辺3bと他方のフィルム2の一端辺2bとをいずれか一方の端辺部が表面に位置するように所定長さに亘って重ね合わせて、この重ね合わせた部分は、いずれか一方のフィルムの端辺の縁辺を他方のフィルムに接合して、非接合端辺とこの接合した箇所23b(23b')との間を非接合状態の自由端にして、この自由端を被包装物の包装後に、この接合箇所を引き剥がして開封する剥し開封片5とし、両フィルム2、3の開封片5と直交する両側の端辺縁部を接合6a、6bして、残りの端辺間を袋口7とした構成となっている。図1A、図1Bの包装袋1は、第1のフィルム2の一端辺2bを第2のフィルム3の一端辺3b上に位置させて接合したものであり、図1Cの包装袋1Aはその位置を逆にしたものである。
これらの包装袋1、1Aによれば、様々な種類の被包装物を密閉包装ができるとともに、包装後の開封操作が簡単になる。すなわち、第1、第2のフィルム2、3に、被包装物の種類、例えばそれらが生鮮青果物である場合は、その種類、量及び流通条件(特に温度)などに適合した特性、例えば、これらに適合した酸素、二酸化炭素を透過させるガス透過性及び水蒸気を透過させる水蒸気透過性を備えたものを選択して製袋することにより、それらの鮮度を長く保持できて、しかも密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる。また、これらの特性に加え、他の特性、例えば、被包装物の商品性を高め売行きをアップさせる透明性・光沢性及び見栄え性を備えたものを選択することによって、さらに印刷コストを抑えるとともに簡単に生産ができて低コスト化が図れる生産性などを備えた包装袋を提供できる。
図2、図3を参照して、これらの包装袋1、1Aの詳細及びそれらの製造方法を説明する。なお、図2は図1の包装袋の製造工程ブロック図、図3Aは図1の包装袋に用いる第1、第2のプラスチックフィルムの平面図、図3Bは図3Aの第1、第2のプラスチックフィルムの側面図、図3Cは第1、第2のプラスチックフィルムを接合した平面図、図3Dは製袋した状態の正面図である。
包装袋1、1Aは、図2の製造工程で作製する。なお、以下の製造工程では、第1、第2のフィルム2、3は、一枚の包装袋フィルム分でなく複数枚分の長尺フィルムを用いて、それらを加工形成するのが好ましい。
a.フィルムの選定工程I
a−1.フィルムの選定
まず、図3に示す第1、第2のフィルム2、3を用意する。これらの第1、第2のフィルムのうち、第1のフィルム2は、製袋したときに一方の面、すなわち表面側になるもので、ガス透過性をあまり考慮せず、それ以外の特性を重視して選定する。すなわち製袋したときに、袋をよく見せ、購入者に強くアピールできる文字や絵文字などが綺麗に印刷などできる素材、すなわち、透明性・光沢性や見栄え性を備えたものを選定する。このフィルムは、ポリプロピレン(PP)、このポリプロピレンとポリエチレン(PE)とを組合せた共押出しの中から選択する。これらの中でもポリプロピレン(PP)が好ましく、このポリプロピレンは、延伸したもの(OPP)、無延伸のもの(CPP)のいずれでもよい。この第1のフィルム2は、図3Aに示すように、長さL1、幅長W1及び肉厚d1を有し、図3Aに示す状態で、上下辺を2a、2b及び両側辺を2c、2dとした矩形状をなしている。なお、符号21が表面、22が裏面となっている。フィルムの厚さd1及びガス透過度は、素材によって異なるが、以下に例示する。PPは10〜40μm、好ましくは、20〜30μmとする。OPPは厚さ8〜30μmであり、20℃におけるガス透過度1000〜3750cc/m2・day・atmとする。CPPは厚さ20〜40μmであり、20℃におけるガス透過度は1500〜6000cc/m2・day・atmとする。
a−1.フィルムの選定
まず、図3に示す第1、第2のフィルム2、3を用意する。これらの第1、第2のフィルムのうち、第1のフィルム2は、製袋したときに一方の面、すなわち表面側になるもので、ガス透過性をあまり考慮せず、それ以外の特性を重視して選定する。すなわち製袋したときに、袋をよく見せ、購入者に強くアピールできる文字や絵文字などが綺麗に印刷などできる素材、すなわち、透明性・光沢性や見栄え性を備えたものを選定する。このフィルムは、ポリプロピレン(PP)、このポリプロピレンとポリエチレン(PE)とを組合せた共押出しの中から選択する。これらの中でもポリプロピレン(PP)が好ましく、このポリプロピレンは、延伸したもの(OPP)、無延伸のもの(CPP)のいずれでもよい。この第1のフィルム2は、図3Aに示すように、長さL1、幅長W1及び肉厚d1を有し、図3Aに示す状態で、上下辺を2a、2b及び両側辺を2c、2dとした矩形状をなしている。なお、符号21が表面、22が裏面となっている。フィルムの厚さd1及びガス透過度は、素材によって異なるが、以下に例示する。PPは10〜40μm、好ましくは、20〜30μmとする。OPPは厚さ8〜30μmであり、20℃におけるガス透過度1000〜3750cc/m2・day・atmとする。CPPは厚さ20〜40μmであり、20℃におけるガス透過度は1500〜6000cc/m2・day・atmとする。
また、第2のフィルム3は、製袋したときに裏面側になるもので、透明性・光沢性や見栄え性がなくても、ガス透過性が優れたものを選定する。この素材のフィルムには、ポリエチレン(PE)、このポリエチレンとポリプロピレン(PP)とで積層した積層フィルムから選択する。これらの中でも積層フィルムが好ましい。この積層フィルムは、低密度高圧ポリエチレン層を低密度高圧ポリプロピレン層でサンドイッチ状にしたものを使用する。この第2のフィルム3は、図3Aに示すように、長さL2、幅長がW2及び厚さd2を有し、長手方向の両端辺が3a、3b及び表面が31、裏面が32となっている。フィルムの厚さd2及びガス透過度は、素材によって異なるが、以下に例示する。PEは、10〜50μm、好ましくは20〜40μmとする。積層フィルムは10〜30μmの厚みを有する低密度高圧ポリエチレン層と、同低密度高圧ポリエチレン層をサンドイッチ状に挟み込む2つの1〜7μmの厚みを有するポリプロピレン層とを積層して12〜44μmの厚みとする。また、その積層フィルムの20℃における酸素透過度は2500〜20000cc/m2・day・atmとする。なお、第1、第2のフィルム2,3は、上記の素材のものに限定されるのでなく、それぞれの特性、機械的強度、ガスバリア性、ヒートシール強度などを考慮して、共押出し或いはラミネートした多層フィルムを使用してもよく、PPやPEは本考案の効果を阻害しない範囲で防曇剤、界面活性剤、ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を配合したものでもよい。
a−2.フィルム素材の組合せ
a−2.フィルム素材の組合せ
第1のフィルム(表面側)2のフィルム素材と、第2のフィルム(裏面側)3のフィルム素材と組合せる。この組合せにおいて、第1、第2のフィルム2、3は、ガス透過度の差ができるだけ大きいものが好ましい。この点から、本考案において用いられるのに特に好ましいのは、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムと低密度のポリエチレン(LDPE)フィルムとの組合せである。このように、ガス透過度の差の大きいPPフィルムとPEフィルムとを用い、そのPPフィルムとPEフィルムとの面積比を変えることにより、見栄えをよくし、且つ鮮度保持の対象となる青果物の種類に応じてガス透過性を制御した多様な包装袋を得ることができる。
a−3.フィルム素材の大きさの設定
a−3.フィルム素材の大きさの設定
第1、第2のフィルム2、3の幅長W1、W2を同じにして、長さL1、L2をL1<L2にしたが、これらの面積比で表したときに、両者の比を4:6程度にするのが好ましい。面積比を4:6程度にすると、透明性・光沢性や見栄え性を良くして、ガス透過量が適量に保持できる。なお、面積比は、これに限定されるものでなく、被包装物の種類などによって決める。後述する折り返し片4の長さL3は、この割合から算出される。
a−4.フィルムへの印刷P
a−4.フィルムへの印刷P
第1、第2のフィルム2、3のうち、小面積のフィルム2に文字や絵文字などを印刷する。印刷は、フィルム2を長尺にしたものに行う。このフィルムに印刷すると、印刷に掛かる版代が安くなり、高価な大型印刷機を使用することなく、小型のものでも効率よく印刷できる。その結果、包装袋のコストを低減できる。
b.フィルム素材の貼り合せ・剥し開封片形成工程II
b.フィルム素材の貼り合せ・剥し開封片形成工程II
この工程IIは、前記工程aで選定した第1、第2のフィルム2、3を長手方向に一部重ねて貼り合せると共に、この貼り合せ箇所に剥し開封片5を形成する工程となっている。
第1、第2のフィルム2、3は、図3Cに示すように、第2のフィルムの裏面が表面に配置し、第1のフィルムも同様に配置するとともに、第2のフィルムの端辺3bを第1のフィルムの端辺bの上位に位置するようにして所定の幅長、例えば2.0mm程度に亘って重ね合わせる。この重ね合わせた部分では、上側に位置する端辺3bを第1のフィルム2に接合し、この端辺2bと接合箇所23bとを非接合状態の自由端にして、この自由端を包装後に接合を引き剥がして開封する剥し開封片5とする。この接合は、フィルムの種類によって異なるが、引き剥がしを容易にする易剥離加工技術を用いて接合する。なお、この易剥離加工技術は、公知のものを使用するので、説明を省略する。また、第1、第2のフィルム2、3は、それらの素材の組み合わせにより、接合が困難又は弱くなることがあるので、他のフィルム材と共押し出し、すなわち積層してシーラント層を形成して接合するのが好ましい。
c.袋体形成工程III
c.袋体形成工程III
第1、第2のフィルム2、3を前記工程bで貼り合わせた後に、一方の長尺第2のフィルム3を折り返し線30から折り返して、両フィルム2、3の両側辺2c、2dと3c、3d及び上辺2a、3aをそれぞれ合わせる。その後、これらの合わせ部分のうち、両側辺2c、2dと3c、3dとをそれぞれ熱シールして袋体を形成する(図3C、図3D参照)。符号6a、6bは熱シール部を示している。これらの熱シール部は、貼り合わせた長尺フィルムを個々の袋体に切断する際に、熱溶断で行う。その熱溶断シールは、強固にならず、剥し開封片からの引き剥がしにより、この部分の開封が容易になる。
図4を参照して、包装袋1への被包装物の袋詰め及び開封を説明する。なお、図4A〜図4Cは図1の包装袋への被包装物の袋詰め及び開封を説明する斜視図である。包装袋1の袋口7を開き、この袋口から被包装物8を詰込み、袋口7を熱シールする(図4A、図4B参照)。符号7aは熱シール部を示している。これにより、被包装物8は、包装袋1内へ密封包装される。開封操作は、剥し開封片5を引っ張ることによって、簡単に開封できる(図4C参照)。
この実施形態1の包装袋によれば、様々な種類の被包装物を密閉包装ができるとともに、包装後の開封操作が簡単になる。すなわち、第1、第2のフィルムに、被包装物の種類、例えば生鮮青果物である場合は、その種類、量及び流通条件(特に温度)などに適合した特性、例えば、これらに適合した酸素、二酸化炭素を透過させるガス透過性及び水蒸気を透過させる水蒸気透過性を備えたものを選択して製袋することにより、それらの鮮度を長く保持できて、しかも密封包装された被包装物の取出し時に、簡単確実に開封操作ができる。また、これらの特性に加え、他の特性、被包装物の商品性を高め売行きをアップさせる透明性・光沢性及び見栄え性を備えたものを選択することによって、さらに印刷コストを抑えるとともに簡単に生産ができて低コスト化が図れる生産性などを備えた包装袋を提供できる。また、袋体の開封操作が簡単になる。すなわち、剥し開封片は、非接合の前記長尺フィルムの端辺縁から、所定の長さ、すなわち指で摘まんで剥離できる長さの、例えば2mm以上離れた箇所で接合された片となって、しかも袋体の幅方向に延設されているので、この剥し開封片を剥離方向へ引っ張ることにより、片手で簡単に接合を剥離し袋体を開封できる。さらに、接合箇所は、易剥離性加工により接合され、袋口の封止より接合を弱くなっているので、剥し開封片の引き剥がしが容易になり、しかも剥し開封片を引っ張り剥離した後は、袋体の両側縁が接合を弱くして、この部分から簡単に広く開封される。特に、被包装物が葉物野菜であると、広く開封されるので、簡単に取出しできる。
[実施形態2]
図5、図6を参照して、本考案の実施形態2に係る包装袋を説明する。なお、図5は本考案の実施形態2に係る包装袋を示し、図5Aは正面図、図5Bは一側面図、図6は図5の包装袋に設けた1個のスリットを示し、図6Aは平面図、図6BはVIB−VIB線の断面図である。
図5、図6を参照して、本考案の実施形態2に係る包装袋を説明する。なお、図5は本考案の実施形態2に係る包装袋を示し、図5Aは正面図、図5Bは一側面図、図6は図5の包装袋に設けた1個のスリットを示し、図6Aは平面図、図6BはVIB−VIB線の断面図である。
本発明の実施形態2に係る包装袋1Bは、実施形態1の包装袋に、一方向からのガス透過度が高く逆方向からのガス透過度が低い気体透過部(スリット)を設けたもので、この構成が異なるのみで他の構成は同じになっている。そこで、以下、両者に共通する構成は、同一符号を付して重複説明を省き、異なる構成を詳述する。
実施形態2に係る包装袋1Bは、図5に示すように、第1のフィルム2に、一方向からのガス透過度が高く逆方向からのガス透過度が低い気体透過部、すなわち複数本のスリット9からなるスリット群9Lを形成したものとなっている。第1のフィルム2は、実施形態1のものを使用するが、その厚さは、スリット形成を考慮して、所定の厚さ、例えば15〜100μmの範囲が好ましい。その厚さが15μmより薄いとスリットの形成が難しく、しかも十分な強度が得られないことがある。また、100μm以上を超えると加工が困難となる。したがって、フィルム素材の厚さは、これらの範囲内でフィルム樹脂の種類、用途などにより適宜選択する。
スリット群9Lは、第1のフィルム2に所定長さのスリット9を複数本略等間隔又は非等間隔に配設したものからなり、これらのスリットは同じ構成となっている。このスリット9は、図6Bに示すように、第1のフィルム2の幅方向に、一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部が他表面から外方へ膨出した凹み部で構成されている。すなわち、この凹み部は、上方の開口部から底部に向かって肉厚が徐々に薄肉にして底部が最も肉薄に形成したものとなっている。
スリット9は、細溝からなる未貫通孔溝となっており、図6Bに示すように、上方の開口溝9aから底部に向かって肉厚が徐々に薄肉に山なり状に膨らませて、底部を他表面から外方へ膨出させ、しかも、この底部9cが最も肉薄なるようにし、断面形状が略U字状に形成されている。具体的には、図6A、図6Bに示すように、幅長s1、長さs2及び所定の深さを有している。幅長、長さ及び深さは、特に限定しないが、幅長は100〜500μm、長さは1.2〜2.6mmが好ましい。また、深さは、フィルム表面から計測して厚さの1.2〜2.2倍程度の深さにするのが好ましい。さらに、底部9cの最も薄い肉厚は、3μm〜70μmにするのが好ましい。また、スリット群9Lの隣接するスリット間の間隔も特に限定されないが、1.5〜3.0mm程度が好ましい。したがって、このスリットは、フィルム樹脂の種類、用途などにより適宜選択する。
スリット9は、断面形状を略U字状にしたが、これに限定するものでなく、他の形状、例えば断面形状V字状或はその他の形状にしてもよい。また、スリット群9Lは、所定長さのスリット複数本を非連続に配列したが、連続させてもよい。さらに、幅方向だけでなく、任意の個所に設けてもよい。スリット及びスリット群は、それらの形状及び底部の肉厚を変更することによって、ガス透過量を調整することができる。なお、スリットに代えて、凹み穴にしてもよい。さらに、スリットは、第1フィルム2に設けたが、第2のフィルム3に設けてもよい。すなわち、第1、第2のフィルム2、3の少なくともいずれかのフィルムに設ければよい。
次に、図7を参照して、スリットの形成方法を説明する。なお、図7Aは図5のスリット形成する加工装置の概略図、図7Bは図7AのVIIB部分の拡大図、図7Bは図7AのVIIC部分の拡大図である。
加工装置10は、図7Aに示すように、長尺にした第1のフィルム2に前処理する前処理装置11と、このフィルム2にスリット群9Lを形成するスリット形成装置12とを備えている。前処理装置11は、第1のフィルム2を該フィルム材のガラス転移点を超え且つ融点未満の温度になるように処理する温度調節装置となっている。この前処理装置11での温度調節は、第1のフィルム2にスリットを形成するのに重要になっている。第1のフィルム2は、前述したプラスチックフィルム、すなわち、高分子材料からなり、この高分子材料は、低温下において結晶部分と非結晶部分とが共存した状態にあり、分子運動が小さいガラス状態となっている。この状態から加熱されて温度が上がると分子運動が大きくなってゴム状態となり、更に加熱されると溶けた溶融状態となる。ガラス状態からゴム状態へ移行する境目がガラス転移点、ゴム状態から溶融状態になる境目が融点となっている。したがって、フィルム2のフィルム材をガラス転移点を超える温度に加熱して柔らかくすることによって、スリットを山なりにしかも底部を最も薄く圧延できる。また、この温度では、ガスバリア性を保ったままで圧延することができるので、フィルムの特性を損なわずに薄肉にしたスリットを形成できる。また、ピンホールなどがないスリットを形成できる。ガラス転移点及び融点は、フィルムの素材によって異なる。フィルム素材にPPを使用する場合、このPPのガラス転移点がマイナス18℃で融点は163℃となっているので、常温より高い温度の40〜120℃の間に調節する。以下、同様にして、PETは、ガラス転移点が81℃で融点は264℃となっているので、温度を約85〜200℃の間、LDPEは、ガラス転移点が−125℃で融点が115℃となっているので、常温より高い温度20〜100℃に調節する。また、PETとLDPEをラミネートした多層構造フィルムでは、温度85〜100℃の範囲に調節する。
PP、PEは、常温では既にガラス転移点を超えているが、融点は190℃であるので、その範囲で加工の度合いを調整することとなる。同じガラス材でも、ガラス転移点を超え、融点未満の範囲で温度によってフィルムの柔らかさが異なるため、次のスリット形成装置において、軽い押圧でも温度を上げることによって容易にスリットが形成できる。
スリット形成装置12は、外周囲に所定間隔をあけて複数本のスリット形成歯14が配設された円板状の押圧ロール13Aと、この押圧ロールとの間でフィルム2を挟み込む受けロール13Bとを有している。押圧ロール13Aは所定の直径、肉厚及び硬度を有する金属性の円板状の歯車で形成されており、軸13aを中心に回転し、スリット9を形成しながら長尺のフィルム2をX方向へ送り出す。複数本のスリット形成歯14は、図7Bに示すように、所定ピッチp及び高さhを有する略鋸歯状の歯となっている。このスリット形成歯14は、頂部先端14aに所定のR1及び底部17bにR2のRが付けられている。ピッチpは、特に限定されないが本実施形態においては2.094mm、高さhは2.0mmとなっている。R2は、0.05〜1.0mmの範囲であり、この範囲でも0.1〜0.2mmが好ましい。0.1mm以下にすると、機械的摩耗が激しいとフィルム材に傷がつきピンホールがあきやすくなる。1.0mm以上にすると押圧する面積を広くできる。また、R1は、0.5mmとする。なお、ピッチを零にして連続した歯にしてもよい。この場合は、十分な押圧力を確保するために幅長を狭くする。すなわち、連続させると歯数が多くなり、その結果、単位面積が大きくなるため全体の押圧力が小さくなってしまうので、幅長を狭め、面積を小さくすることで所望の押圧力を確保する。
押圧ロール13Aは円板状の歯車にしたが、ロール状、すなわち円筒体、円柱体にしてもよい。ロール状にすることにより、長いスリット及び連続したスリットを形成できる。スリット形成歯を設けた歯車は、特に限定されないが、例えば平歯を設けた歯車を使用するのが好ましい。この平歯は、平面視で長方形をなし、長さが1.5〜2.6mm、幅長は30〜500μm、及び立面視でフィルムの厚さに対して1.2〜2.4倍のものを使用する。この平歯を使用すると、フィルム材の総厚50μmとすると、このフィルム材の底から計測して、山の頂点までは60〜120μmとなる。この度合いは透過させたいガス量によって決める。
受けロール13Bは、押圧ロール13Aと同様に、軸13bに中心に回転しながら、押圧ロール13Aによってフィルム2にスリット9が形成される際の押圧を受け、フィルム2をX方向へ送り出す。押圧ロール13Aは、その硬度を60〜63とし、受けロール13Bより低い硬度の金属材料で形成する。受けロール13Bは、所定の直及び硬度を有する金属性の円筒体、円柱体で形成されており、硬度は63〜67にする。押圧ロール13Aは、その硬度を受けロール13Bの硬度より低くすることによって、受けロール13Bが押圧ロール13Aによって押圧を受ける際に例えば100万m加工しても削られることがない。
この加工装置10は、長尺のフィルム2を前処理装置11でガラス転移点を超える温度に処理して、スリット形成装置12に送り、このスリット形成装置12で所定温度となったフィルム2を押圧ロール13Aと受けロール13Bとの間に挟み込んで、押圧ロール13Aに所定の押圧力をかけてフィルム材を圧延してスリットを形成する(図7C参照)。このスリットは、フィルム材の種類、その厚さに応じて、その素材の前処理温度及び押圧ロールの押圧力を調節して形成する。このスリットは、底部を薄くすると、薄くなった分だけ気体透過度が高くなるが、一方で、強度が低下する。その度合いは、前処理温度或は押圧力の少なくともいずれか一方で調節して決める。例えば、フィルム材のガラス転移点が50℃で融点が125℃であるとすると、前処理温度を60℃或は120℃にすると、前者より後者が柔らかくなり、一方で押圧力は前者より後者が軽い押圧力で形成ができることになる。この押圧度は、例えば0〜0.5MPaの間で調整する。0.2MPa前後が好ましい。なお、0.5Mpaは約5kg/平方センチメートルである。
この加工装置10では、用途に応じてフィルム材の前処理温度及び押圧ロールの押圧力を調節して、それぞれの用途に適合するスリットを形成する。例えば、野菜包装では、厚さ25μmのOPP防曇フィルムの単体フィルムを用い、このフィルムに凹み部を袋内側から形成する。凹み部の最低厚さを約3μmにする。野菜によってはこの押圧度合を異ならせて、例えば、小松菜では0.2MPaで押圧し、ピッチ2mmの平歯で押圧する部分の形状を長方形で長さ2mm×幅200μmにする。袋体の大きさ200mm×320mにする。
図8を参照して、スリットの気体(ガス)透過作用を説明する。なお、図8はスリットの気体透過作用を説明する図であって、図8Aはスリットの断面図、図8Bは気体透過時のスリット形状の断面図、図8Cは逆方向からの気体透過時のスリット形状の断面図である。
第1のフィルム2を用いて所定大きさの包装袋を作成し、この包装袋に物品を収納する際にこの物品から気体(蒸気など)が放出されて包装袋内に圧力が掛かる例でこの透過作用を説明する。図8Aのスリット9は、内圧が掛かっていない状態となっている。なお、この図8Aは、図6Bと同じものとなっている。このスリット9に矢印A方向から内圧が掛かると、図8Bに示すように、その圧力によりスリットの底部が延伸、膨張して風船状に膨らんでその肉厚がさらに肉薄になって、この肉薄部分9c1から気体が透過する。このスリット9は、その気体透過が従来技術に比べて、透過量の調節が容易になると共に、他の作用効果を奏するものとなる。具体的には、従来技術の凹み穴は、底部の肉厚が略均一になっているので、極限まで薄肉にできず、現在の加工技術では8μm程度が限度であるが、このスリット9は、略極限(3.0μm程度)まで薄肉にできるので、透過量の調節が容易になる。
また、図8Cに示すように、逆方向から圧力が掛かると、スリットの底部9c1が逆方向へ押圧されるが、気体透過量が図8Bの方向に比べて格段に少なくなる。この現象は、実験により確認されおり、開口側から透過量を10とすると逆方向からの透過量は1〜2程度となった。その結果、第1のフィルム2は、一方向からの気体の透過性がよく逆方向からの気体透過性がし難くなるので、例えば、MA包装或は二重包装などに使用すると顕著な作用効果を奏する。すなわち、MA包装には、第1のフィルム2の開口溝が内側、底部が外側に位置するようにして包装袋を作成して使用する。また、二重包装は、詰める物品に応じて、フィルムの開口溝が内側又は外側、底部が外側又は内側になるようにして包装袋を作成して使用する。例えば、アルコールガス透過のお菓子包装は、外袋と数多くの内袋があり外袋内にアンチモールド(アルコールガスを発生させるもの)を入れ内袋に外側から押圧山なり加工する。そうするとアルコールガスが数多い内袋の中に入っていく。外袋はガスバリア性のある袋になっており、内袋はOPP単体20μmのフィルムを用い、その袋の大きさは50mm×70mmにする。
この実施形態2の包装袋1Bによれば、凹み部の底部をフィルム材の肉厚から略極限(例えば3.0μm程度)まで薄肉化が可能となり、この薄肉化により気体透過度の範囲が拡大されて、広い分野への使用が可能になる。特に、野菜、発酵食品などの包装材並びに発酵食品用及び電子レンジ加熱用などの容器に使用して有用なものとなる。また、気体透過を一方向から良好になり、逆方向から難くなるので、MA包装、二重包装などにも効果的なものとなる。
1、1A、1B 包装袋
2 第1のプラスチックフィルム
3 第2のプラスチックフィルム
31 折り返し線23b、23b' 接合箇所
4 折り返し片
5 剥し開封片
6a、6b 接合部
7 袋口
8 被包装物
9 スリット
9L スリット群(気体透過部)
10 加工装置
11 前処理装置
12 スリット形成装置
13A 押圧ロール
13B 受けロール
14 スリット形成歯
2 第1のプラスチックフィルム
3 第2のプラスチックフィルム
31 折り返し線23b、23b' 接合箇所
4 折り返し片
5 剥し開封片
6a、6b 接合部
7 袋口
8 被包装物
9 スリット
9L スリット群(気体透過部)
10 加工装置
11 前処理装置
12 スリット形成装置
13A 押圧ロール
13B 受けロール
14 スリット形成歯
Claims (10)
- 所定の幅長及び長さを有する第1のプラスチックフィルムに、このプラスチックフィルムと異なる素材からなる第2のプラスチックフィルムを重ね合せて、三方辺を封止し残りの一辺から被包装物を詰込んだ後に封鎖する袋口を有する包装袋において、
前記第1、第2のプラスチックフィルムは、いずれか一方のプラスチックフィルムの長さを他方のプラスチックフィルムより長くして、該長いプラスチックフィルムは、一端辺側を対向する他端辺側へ向けて所定長さ折り返して、前記折り返し片は、その端辺部と他方のプラスチックフィルムの一端辺部とをいずれか一方の端辺部が表面に位置するように所定長さに亘って重ね合わせて、前記重ね合わせた部分は、いずれか一方のプラスチックフィルムの端辺の縁辺を他方のプラスチックフィルムに接合して、非接合端辺と前記接合した箇所との間を非接合状態の自由端にして、前記自由端を被包装物の包装後に前記接合箇所を引き剥がして開封する剥し開封片とし、前記両プラスチックフィルムの前記開封片と直交する両側の端辺縁部を接合して残りの端辺間を前記袋口としたことを特徴とする包装袋。 - 前記折り返し片は、その長さが非折り曲げフィルム部分の略中間位置の前後の長さになっていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
- 前記剥し開封片は、非接合の前記長尺プラスチックフィルムの端辺縁から2mm以上離れた箇所で接合されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
- 前記接合箇所は、易剥離性加工により接合されていることを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
- 前記両側の端辺縁部の接合は、前記袋口の封止より弱く接合されていることを特徴とする請求項1又は4記載の包装袋。
- 前記第1、第2のプラスチックフィルムは、少なくともいずれか一方のプラスチックフィルムに、一方向からのガス透過度が高く逆方向からのガス透過度が低い気体透過部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装袋。
- 前記気体透過部は、未貫通孔のスリットからなり、前記スリットは、前記プラスチックフィルムの一面に所定長さに連続又は不連続に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の包装袋。
- 前記スリットは、長手方向と直交した断面形状において、前記プラスチックフィルムの一面から他面に向けて所定深さ凹ませ膨らませて底部を他表面から外方へ突出させると共に、上方の開口部から底部に向かって肉厚が徐々に薄肉にして底部が最も肉薄にした凹み突部で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の包装袋。
- 前記第1、第2のプラスチックフィルムは、一方のプラスチックフィルムが延伸ポリプロピレン(OPP)、CP、ポリエチレン(PE)、共押出しフィルムのいずれか、他方のプラスチックフィルムがポリエチレン(PE)、CP、共押出し、延伸ポリプロピレン(OPP)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の包装袋。
- 前記ポリプロピレンフィルム(PP)の厚さが10〜40μmであり、ポリエチレンフィルム(PE)の厚さが10〜50μmであることを特徴とする請求項9に記載の包装袋。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2017074954A (ja) * | 2015-10-13 | 2017-04-20 | 福岡丸本株式会社 | 包装袋の袋口集束封止方法 |
TWI790347B (zh) * | 2018-02-10 | 2023-01-21 | 日商福岡丸本股份有限公司 | 帶黏膠之包裝構件及疊合體 |
-
2010
- 2010-12-02 JP JP2010007901U patent/JP3165980U/ja not_active Expired - Fee Related
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