JP5527618B2 - ワイヤーソー切断装置 - Google Patents
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Description
具体的には、上述したワーク上面から切断するアッパーカットは、直径が6インチ以上のウェハーになると、図3に示すように、インゴット100の切断が進むと、その切断したウェハーが重力によって開いてしまい、当該切断したウェハーに対して十分な平坦度が得られないという欠点がある。なお、図3では、切断が進んだ段階のインゴット100をワイヤーの走行方向から見た図を示している。
そして、特許文献1に記載の技術のように、前記切削界面より上方からエアーを吹き付けても、ワイヤー列に吹き付けられたクーラント液が切削界面に達する前に重力によって滴り落ちることを防ぐことができない。すなわち、特許文献1に記載の固定砥粒ワイヤーソーは、エアーノズルの構成(設置位置、エアー吹出方向等)上、クーラント液が切削界面に達する前に重力によって滴り落ちるため、クーラント液を十分に切削界面に供給することができない。その結果、特許文献1に記載されて固定砥粒ワイヤーソーは、十分な潤滑性、冷却能力を保持できなかった。
なお、本実施形態のワイヤーソー切断装置Zは、粘性の低いクーラント液を切削部(切削界面)3に供給するために設けたエアー供給ユニット9に特徴があり、エアー供給ユニット9以外の構成は既存の技術により実願可能になっている。そのため、以下では、エアー供給ユニット9について詳細に説明し、それ以外の構成の説明は簡略化する。また、本実施形態では、ワイヤーソー切断装置Zが固定砥粒ワイヤーソーである場合を例にしている。
切断ユニット10は、加工室1の内部において、左右にそれぞれ1個づつ配置された一対のガイドローラ12A、12Bと、前記1対のガイドローラ12A、12Bに巻き掛けられたワイヤーにより形成されたワイヤー列15(ワイヤーを紙面に垂直方向に並ぶ、紙面に平行な列状に配置して形成されたワイヤー列15)と、ガイドローラ12A、12Bを回転駆動させる駆動モータ等で構成される駆動機構(図示せず)とを備えている。また、切断ユニット10は、図示しない架台により支持されている。
ワーク送りユニット20は、図示しない支持ユニットにより保持されていると共に、前記制御ユニットからの制御信号に基づいて、上下方向(図1に示すY方向)に移動可能に構成された移動コラム21と、移動コラム21の自由端(下端)に取付けられたチルチングユニット22とを備えている。そして、チルチングユニット22のワーク保持部に結晶インゴッドWが保持されるようになっている。そして、ワーク送りユニット20は、走行しているワイヤー列15に、保持している結晶インゴッドWを下降させて押し当て、さらに、その結晶インゴッドWを鉛直方向(Y方向)に上から下に向けて移動させることにより、結晶インゴッドWを多数枚のウェハーに同時切断できるようになっている。
クーラント液供給ユニット4は、ワイヤー列15の走行面の上側に配置したクーラント液ノズル4aと、水溶性クーラント液(以下、単に「クーラント液」という)8が貯留されたタンク(図示せず)と、当該タンクに貯留されたクーラント液をクーラント液ノズル4aに供給するポンプ(図示せず)とを備えている。また、クーラント液ノズル4aは、スロット状(細い長孔状)の吹出口が複数、ワイヤー列15の走行方向に直交する紙面に垂直な向きに配設されると共に、その横幅がワイヤー列15の幅より大きくなるように形成される。なお、図示する例では、2つのクーラント液ノズル4aが、結晶インゴッドWの外周部を挟んで、互いに対向して配置されている(左右対称に配置されている)。また、クーラント液ノズル4aは、切断ユニット10を支持する架台(図示せず)に、ブラケット等で固定されている。
エアー供給ユニット9は、結晶インゴッドWに向けてエアー7(図2参照)を吹き付けるエアーノズル9aと、エアーノズル9aにエアーを供給するエアーポンプ(図示せず)とを備えている。また、エアーノズル9aは、ワイヤー列15と結晶インゴッドWとが当接する切削部(切削界面)3よりも下側(鉛直方向(Y方向)において下側)に配置されており、結晶インゴッドWの切削界面3に向かって上方或いは斜め上方にエアーを噴出するようになされている。なお、前記エアーポンプは、前記制御ユニットからの制御信号にしたがい動作して、エアーノズル9aにエアーを供給するようになっている。
また、図2に示すように、前記ワイヤー列15の走行動作に連動して、クーラント液ノズル4aから「ワイヤー列15」および「ワイヤー列15に当接する結晶インゴッドWの外周面」に向かって斜め下向きにクーラント液8が噴出されると共に、エアーノズル9aから結晶インゴッドWの切削界面3に向かって上方(或いは斜め上方)にエアー7が吹き付けられる。
配置されているため、切削部(切削界面)3よりも下側からエアー7が吹き付けられる(図2参照)。そのため、本実施形態によれば、エアー7により、重力によって滴り落ちるクーラント液8(図2において波線で示したクーラント液8)を切削界面3に押し戻すことができ、その結果、切削界面3の全体にわたってクーラント液が供給されるようになる。
また、本実施形態では、エアーノズル9aが、切削界面3よりも下側において、左右対称に配置されているため、ワイヤーの走行方向を前進・後退交互に運転した場合でも、より確実に、切削界面3にクーラント液を供給することができる。
〈実施例・比較例〉
また、エアーノズル9aには、長手方向の長さが「300mm」の円筒状に形成され、且つ直径2mmの穴が5mmピッチで60個開いているものを用いた。また、エアーノズル9aは、ワイヤー列15の下部(切削界面3)から「30mm」離れた位置に、左右にそれぞれ1個ずつ設置した。
《表1》
なお、上記の加工条件と、結晶インゴットWに圧力「0.5MPa」のエアーを吹き付けたスライス加工によれば、厚さのバラツキが小さく、かつ、面内平行度の優れたウェハーを得ることができた。
Claims (1)
- 2個以上のガイドローラにワイヤーを巻き付けてワイヤー列を形成し、該ガイドローラを回転させ該ワイヤー列を双方向又は一方向に走行させながら該ワイヤー列にワークを押し当て当接させ、該ワークにクーラント液を吹き付けて該ワークを鉛直方向に上から下に移動させることにより、該ワークを多数枚のウェハーに切断するワイヤーソー切断装置において、
前記ワークに向けてエアーを吹き付けるエアーノズルを有し、
前記エアーノズルは、前記ワイヤー列と前記ワークとが当接する切削界面よりも前記鉛直方向の下側に配置され、前記切削界面に向けて上方或いは斜め上方にエアーを噴出するようになされていることを特徴とするワイヤーソー切断装置。
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