JP5525768B2 - 回転電機の試験方法及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の単位コイルからなるステータコイルが鉄心に巻装されて構成される回転電機の試験方法及び製造方法に関する。
従来、電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられる回転電機たる電動機としては、複数相、例えばU相、V相、W相の三相のステータコイルを鉄心(ステータコア)に巻装して構成されるインバータ駆動方式の永久磁石型の電動機(以下、永久磁石電動機という)が知られている。このような永久磁石電動機では、一般に複数の単位コイルを直列に接続したステータコイルが用いられており、特に、分担電圧を低減するために、ステータコイルを各相に複数個(例えば2回路)並列に接続することがある。図13は、そのような永久磁石電動機の一般的な製造工程を概略的に示している。
ステップ101では、ステータコアに、U相、V相、W相のステータコイル(U相コイル、V相コイル、W相コイルに相当)を、各ステータコイル間に相間絶縁紙を配置しながら装着(挿入)する工程が実施される。ステップ102では、各ステータコイルの端部をかしめ接続して各相中性点を形成する工程が実施される。ステップ103では、コイルエンドを成形するとともに、縛り糸で緊縛して固定する工程が実施される。ステップ104では、各ステータコイルを各相別に端子にかしめ接続して電源端子を形成する工程が実施される。ステップ105では、各ステータコイルの電気的健全性を調べるためのワニス処理前の電気試験工程が実施される。ステップ106では、各ステータコイルに対して、ワニス処理を行うワニス処理工程が実施される。ステップ107では、ワニス処理後の電気試験工程が実施される。
上記した各工程において実施される電気試験の中には、例えばステップ105のようにステータコイルの絶縁状態を確認するための試験がある。具体的には、対地間耐電圧試験、対地間部分放電試験などのステータコイルとステータコアとの間を対象とした絶縁試験、インパルス放電試験などの各相のステータコイル間(例えばU相コイルとV相コイルの間などの異相コイル間)を対象とした絶縁試験などが行われている。このような試験において、ステータコイルの中性点の接続を製造工程の最後に行い、中性点を接続する前に絶縁試験を行うことで、ステータコイル間の絶縁を検証する試験方法などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられるような永久磁石電動機は、高出力化のために高電圧化の傾向にあり、また、インバータ駆動方式のため立ち上がりが急峻なインバータサージ電圧により各ステータコイルの分担電圧も高くなる傾向にある。このため、各ステータコイル内(同相コイル内)においても、単位コイルの分担電圧に差が生じ、部分放電が発生する可能性が高くなる。特に、各ステータコイルの最も電源端子側に設けられている第1単位コイルと第2単位コイル間は、分担電圧の差が最も大きくなるとともに、コイルエンドにおいて隣接していることから、部分放電が発生しやすい。また、移動体である車両の場合には、走行にともなって周囲の環境(例えば天候や標高など)が変化することから、部分放電が発生するおそれが更に高くなる。
部分放電が発生するとステータコイルが短期間に劣化することから、永久磁石電動機では、各単位コイル間に絶縁紙を挿入したり、或いはコイルエンド成型時にダミー楔を挿入して単位コイル間の空間距離を取ったりすることなどにより、単位コイル間の接触を防止する措置がとられている。
特開2005−80359号公報
しかしながら、単位コイル間に絶縁紙やダミー楔などを挿入した場合には、確実に接触が防止されているか否かといった同相コイル内の絶縁状態の検証までは行われておらず、また、特許文献1のような異相間を対象とした従来の試験方法では、同相コイル内の単位コイル間の絶縁状態を検出することは困難であるという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、各ステータコイルを構成する単位コイル間の接触状態を精度よく検出するための回転電機の試験方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ステータコイルを構成する単位コイル間の接触がない、信頼性の高い回転電機の製造方法を提供することにある。
本発明の回転電機の試験方法は、鉄心に複数の単位コイルが直列に接続されてなる複数相のステータコイルが巻装されて構成される回転電機の製造工程において、前記ステータコイルの前記単位コイル間の絶縁状態を検証するための試験方法であって、前記鉄心に前記複数相の前記ステータコイルを装着し、これら各相のステータコイルを接続して中性点を形成した後に、前記中性点と前記複数相のステータコイルの電源端子との間にインパルス電圧印加装置によりインパルス電圧を印加することにより、前記複数相のステータコイル毎に、前記単位コイル間の部分放電の発生の有無を部分放電検出装置により検出するインパルス放電試験を行うことを特徴とする。
また、本発明の回転電機の製造方法は、鉄心にステータコイルを巻装して構成される回転電機の製造方法において、前記鉄心に複数相のステータコイルを装着する装着工程と、前記複数相のステータコイルを電気的に接続しての中性点を形成する中性点接続工程と、前記複数相のステータコイルを成形する成形工程と、前記ステータコイルに対する電気的な試験を行う電気的試験工程と、を含み、前記電気的試験工程において、上記したインパルス放電試験を行うことを特徴とする。
本発明の回転電機の試験方法によれば、複数相設けられているステータコイル毎に、中性点と電源端子との間にインパルス電圧を印加して部分放電の発生の有無を検出することにより、同相コイル内における単位コイル間の絶縁状態を検証することができる。
また、本発明の回転電機の製造方法によれば、製造工程内でインパルス放電試験を実施しているので、単位コイル間に絶縁異常がない、高品質な回転電機を製造することができる。
本発明の第1実施形態による永久磁石電動機の製造工程を概略的に示す図 インパルス放電試験の試験装置を概略的に示すブロック構成図 三相のステータコイルの等価回路を示す図 第1単位コイルと第2単位コイル間の接触状態を模式的に示す図 放電開始電圧を検証する予備試験結果を示す図 電磁波アンテナによるインパルス放電試験の実験結果を示す図 本発明の第2実施形態による湿度と放電開始電圧との関係を示す図 湿度が上昇した場合の放電開始電圧の変化を示す図 湿度が下降した場合の放電開始電圧の変化を示す図 本発明の第3実施形態による図2相当図 高周波電流プローブによるインパルス放電試験の実験結果を示す図 本発明の第4実施形態による放電電荷量と印加電圧との関係を示す図 従来技術による永久磁石電動機の製造工程を概略的に示す図
(第1実施形態)
以下、本発明を電気自動車やハイブリット自動車などに用いられるインバータ駆動方式の永久磁石電動機に適用した第1実施形態について、図1から図6に基づいて説明する。
図2に示すように、永久磁石電動機のステータ1は、ステータコア2に、三相のステータコイル(即ちU相コイル3、V相コイル4、W相コイル5)を巻装して構成されている。ステータコア2は、例えば電磁鋼板をプレスなどにより打ち抜いて形成された複数枚の鉄心片が積層された円環形状をなしている。ステータコア2には、その内周側に、三相のステータコイルが挿入されるスロット(図示せず)が複数個形成されている。このスロットの内周面には絶縁紙が貼付けられており、ステータコア2と各ステータコイルとの間を絶縁するスロット絶縁が施されている。
各ステータコイルは、例えばエナメル線などの素線、又はこの素線が複数本束ねられたリッツ線などを巻回することにより構成されている。ステータコア2には、径方向外側から内周側に向かって、U相コイル3、V相コイル4、W相コイル5が順に装着されている(以下、U相コイル3、V相コイル4、W相コイル5に共通の事項を説明する場合には、単に各相のステータコイルという)。各相のステータコイル間には、相間絶縁紙6が挿入されている。ステータコア2の図示上側のコイルエンドには、各相の電源端子であるU相電源端子7、V相電源端子8、W相電源端子9がそれぞれ設けられている。各ステータコイルの電源端子(7、8、9)とは反対側の端部は、互いに電気的に接続され、各相中性点Na、Nbを形成している。
図3は、各相のステータコイルの等価回路を示している。U相コイル3は、4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群3aと、同じく4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群3bとの並列回路により構成されている。同様に、V相コイル4は、4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群4aと、4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群4bとの並列回路から構成され、W相コイル5は、4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群5aと、4個の単位コイルを直列接続してなるコイル群5bとの並列回路から構成されている。
各コイル群3a、4a、5aは、各相中性点Naにおいて互いに接続され、各コイル群3b、4b、5bは、各相中性点Nbにおいて互いに接続されている。つまり、ステータコア2には、各電源端子(U相電源端子7、V相電源端子8、W相電源端子9)の間にコイル群3a、4a、5a及びコイル群3b、4b、5bが並列に接続(ダブルスター接続)されている。以下の説明では、各相のステータコイルにおいて最も電源端子に近い位置に設けられている単位コイルから順に第1単位コイル、第2単位コイル、第3単位コイル、第4単位コイルと称し、これらの単位コイルについて個別の説明をする場合には、各コイル群3a、3b、4a、4b、5a、5bに添え字(1、2、3、4)を付す。また、各コイル群3a、3b、4a、4b、5a、5bに共通の事項を説明する場合には、符号を付さず、単に各コイル群という。
次に、上述した構成の永久磁石電動機の製造工程について説明する。
図1は、永久磁石電動機の製造工程のうち、ステータ1の製造工程(但し、図13に示す従来の製造工程におけるワニス処理工程(ステップ106)の前まで)を概略的に示している。尚、以下の説明では、簡略化のために、本発明に係る試験工程(後述するステップ3のインパルス放電試験)を含めた製造工程全体の流れをまず説明し、その後、インパルス放電試験について詳細に説明する。
ステップ1では、スロット絶縁が予め施されたステータコア2に対し、U相コイル3、V相コイル4、W相コイル5を、各相のステータコイル間(コイルエンド間)に相間絶縁紙6を配置しながら挿入(装着)するコイル装着工程が実施される。この工程では、まずU相コイル3がステータコア2のスロットに装着される。続いて、U相コイル3を覆うように相間絶縁紙6が挿入された後、この相間絶縁紙6をコイルエンドが挟むようにしてV相コイル4が先ほどとは別のスロットに装着される。これにより、U相コイル3とV相コイル4とのコイルエンド間(異相間)は、相間絶縁紙6により絶縁される。次いで、V相コイル4のコイルエンドを覆うように相間絶縁紙6が挿入された後、この相間絶縁紙6をコイルエンドが挟むようにしてW相コイル5がさらに別のスロットに装着される。尚、各相のステータコイルは、電気角が互いに120°ずれるようにして装着されている。
ステップ2では、各相のステータコイルをかしめ接続して各相中性点を形成する中性点接続工程が実施される。本実施形態では、コイル群3a、4a、5aが互いにかしめ接続されて各相中性点Naが形成され、コイル群3b、4b、5bが互いにかしめ接続されて各相中性点Nbが形成される。
ステップ3では、本発明に関連してインパルス放電試験による同相コイル内電気試験工程が実施される。このインパルス放電試験では、各相のステータコイルに対して、単位コイル間の絶縁状態(単位コイル間の接触の有無など)が検証される。尚、このインパルス放電試験の詳細は後述する。
ステップ4では、各コイル群の、各相中性点Na、Nbとは反対側の端部をかしめ接続し、各相別にU相電源端子7、V相電源端子8、W相電源端子9(以下、これらを総称して各相電源端子という)を形成する電源側リード線かしめ工程が実施される。また、ステップ4では、中性点接続部分に絶縁処理が施され、コイルエンドの所定箇所に配置される。その後、各相のステータコイルのコイルエンドを規定寸法に成形し、中性点Na、Nbのかしめ接続部分を含めて図示しない縛り糸で緊縛して固定する処理が行われる。
ステップ5では、各相のステータコイルに対して絶縁抵抗・耐圧試験等の各種の電気的試験を行うコイル電気試験工程が実施される。尚、コイル電気試験工程で実施される各試験は従来と同様の試験であるため、説明を省略する。
次に、上記したステップ3における本発明に係るインパルス放電試験について、詳細に説明する。尚、以下の説明においては主にU相コイル3を例にして説明するが、V相コイル4及びW相コイル5についても同様のインパルス放電試験が行われる。
図2は、インパルス放電試験を実施する試験装置10の全体構成を概略的に示している。試験装置10は、インパルス電圧印加装置11、部分放電検出装置12から構成されている。インパルス電圧印加装置11は、2本の出力端子を備えており、ステータコイルに印加するインパルス電圧の極性に応じて、何れかの出力端子がU相コイル3の中性点側と電源端子側に接続される(図2ではU相電源端子7−中性点Na又はNb間)。尚、上述したように、インパルス放電試験が実施されるステップ3の段階では、各相電源端子(7、8、9)はまだ形成されていないため、インパルス電圧印加装置11の出力端子は、正しくは各相中性点Na、Nbの何れか一方と、コイル群3a又はコイル群3bの何れかの端部との間に接続されることになるが、ここでは便宜的にインパルス電圧印加装置11の出力端子の接続先を中性点側、電源端子側と称する。
部分放電検出装置12は、ギガヘルツ帯の電磁波を検出可能な電磁波アンテナ12aと、この電磁波アンテナ12aに接続された放電検出器12bとを備えている。電磁波アンテナ12aは、検出対象となるステータコイル、例えばU相コイル3の近傍に配置され、部分放電が発生した場合に放出されるギガヘルツ帯の電磁波を検出する。放電検出器12bは、電磁波アンテナ12aが検出した電磁波を、例えばモニタ画面などに表示する。
さて、インパルス電圧印加装置11によりステータコイルに印加されるインパルス電圧は、各相のステータコイルを構成する各単位コイル間における素線同士の接触を検出することができる大きさとする必要がある。一方、印加する電圧が高すぎると、健全なステータコイルにまでダメージを与えてしまうおそれがある。そのため、インパルス電圧の大きさを設定するにあたっては、部分放電の検出が可能な最低限の電圧値に設定する必要がある。そこで、本実施形態では、単位コイル間に模擬的な接触状態を生じさせたテスト用コイルを用いて部分放電が発生する電圧値を予め測定した予備試験の結果に基づいて、各相のステータコイルに印加するインパルス電圧の大きさを設定するようにしている。
図4は、テスト用コイルの概略を示す図である。例えばU相のテスト用コイルの場合、コイル群3aのうち最も電源端子側に設けられている第1単位コイル3a1の巻き始めである第1ターン部Tsと、隣接する第2単位コイル3a2の巻き終わりである最終ターン部Teとの間に、模擬的な接触状態が形成されている。この第1単位コイルと第2単位コイルとの間は、実運転時(インバータ駆動時)のサージ電圧による分担電圧の電位差が最も大きくなり、部分放電が最も起きやすい部位である。インパルス放電試験では、単位コイル間の接触状態の有無の検証が行われる。
図5は、部分放電が発生する放電開始電圧を検証した予備試験の結果を示す図である。この予備試験では、ステータコア2に巻装されるステータコイルと同じ素線を用いて接触などの絶縁不良のない健全品コイル、及び上述したテスト用コイル(図4参照)を用い、それらに正電圧の単極性インパルス電圧を印加する試験が行われている。そして、この予備試験において、部分放電が発生したときの電圧を放電開始電圧としている。図5の例では、健全品コイルではVa付近で部分放電が開始しており、テスト用コイルではVb付近で部分放電が開始していることが示されている。
この予備試験の結果から、第1単位コイルと第2単位コイルとの間に発生する部分放電(第1単位コイルと第2単位コイルとの間の絶縁異常)を検出したい場合には、インパルス電圧の大きさをVcにすればよいことが分かる。即ち、インパルス電圧の大きさをVcとすれば、絶縁異常がある場合には部分放電の発生を検出できる状態で、且つ、健全品コイルでは部分放電が発生しないことから誤検出を防止した状態で、インパルス放電試験を実施することが可能となる。尚、Va、Vbはコイルの仕様によりその値が変化するため、Vcもコイルの仕様に合わせて適切に設定すればよい。
図6は、このインパルス放電試験において検出される電磁波の検出結果を示す図であり、(A)は単位コイル間の絶縁が正常に行われており、単位コイル間に接触などの絶縁不良のない健全品コイルの結果を示し、(B)は単位コイル間に接触状態が生じている異常品コイルの検出結果を示している。単位コイル間の絶縁が保たれている場合には、同図(A)のように部分放電による電磁波が検出されることはない。一方、単位コイル間に絶縁異常がある場合には、同図(B)に示すように部分放電の発生に伴い電磁波が検出される。これにより、単位コイル間の絶縁異常が検証される。
尚、このインパルス放電試験では、インパルス電圧印加装置11の出力端子のうち、プラス側出力端子を例えばU相電源端子(7)側に、マイナス側出力端子を中性点側に接続して単位コイル間の放電状態の有無の検出を行った後、逆相、即ちプラス側出力端子を中性点側に、マイナス側出力端子をU相電源端子(7)側に接続してインパルス電圧が印加されている。また、V相コイル4及びW相コイル5も同様に、プラス側出力端子を電源端子(8、9)側に、マイナス側出力端子を中性点側に接続して試験をした後に、逆相での試験が実施される。これにより単位コイル間の分担電圧が極力均等化される。
このように、インパルス放電試験を各相のステータコイルに対して実施することにより、各相のステータコイル内、例えば第1単位コイルと第2単位コイルとの間の絶縁異常を、永久磁石電動機の製造工程において精度よく検証することが可能となる。
その後、ワニス処理工程などの各工程(図13のステップ105〜107に相当)を経て、ステータ1が形成される。各電気試験に合格したステータ1は、磁極として複数の永久磁石を備えた図示しない回転子とともに、組立工程などを経て、永久磁石電動機を構成する。このようにして、各相の単位コイル間(同相コイル内)、及び各相のステータコイル間(異相コイル間)に絶縁異常などがない永久磁石電動機が製造される。
以上説明した第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
インパルス放電試験の工程(ステップ3)において、中性点側と電源端子側との間にインパルス電圧を印加して部分放電の発生を検証するインパルス放電試験を実施している。これにより、絶縁異常があった場合には部分放電が発生することから、各ステータコイルを構成する単位コイル間の接触などの絶縁異常を検出することができる。
インパルス放電試験では、インパルス電圧の大きさを、予めテスト用コイルによる予備試験を行うことにより、実運転時における単位コイル間のサージ分担電圧で部分放電が発生する可能性のある部位に対して、絶縁異常がある場合には部分放電の発生を検出することができ、且つ、健全品コイルでは部分放電が発生しない値に設定している。これにより、部分放電の検出が可能な必要最低限の大きさにインパルス電圧を設定でき、インパルス放電試験によりステータコイルが損傷するおそれを低減することができる。また、必要以上に大きい電圧が印加されることがないため、インパルス放電試験時によるステータコイルの損傷を防止でき、ひいては永久磁石電動機の信頼性を高めることができる。
インパルス放電試験では、インバータサージ電圧による分担電圧が集中し、その電位差が最も大きくなる第1単位コイルと第2単位コイルとの間の絶縁異常を検出できる大きさにインパルス電圧を設定した。
コイルエンドを成形した後にインパルス放電試験を実施するので、短時間で試験を実施することができる。また、コイル装着時やコイルエンド形成時などにステータコイルに接触などの異常が生じた場合でも、その異常を検出することができる。
部分放電検出装置12を、ギガヘルツ帯の電磁波アンテナ12aを用いて、部分放電の発生に伴う電磁波の発生を検出するように構成したので、周囲のノイズの影響を受けにくくなり、部分放電の発生を精度よく、また感度よく検出することができる。
単位コイル間の分担電圧を極力均等化したので、インパルス放電試験によりステータコイルが損傷するおそれを低減することができる。
上述したインパルス放電試験を製造工程で実施することにより、単位コイル間の電気的な絶縁状態が保たれた高品質な永久磁石電動機を製造することができ、実運転時のインバータサージ電圧により損傷するおそれを低減することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態による試験方法を図7から図9に基づいて説明する。第2実施形態は、試験環境の湿度に応じてインパルス電圧の大きさを設定する点において第1実施形態と異なっている。尚、第2実施形態における試験装置及び永久磁石電動機の構成は第1実施形態の構成とほぼ同一であるので、説明を省略する。
図7は、健全品コイルにおける放電開始電圧と試験環境(試験装置が設置されている場所)の湿度との関係を予め測定した測定結果を示す図である。上記した第1実施形態では単位コイル間の絶縁異常を検出するための放電開始電圧をVcに設定した。しかし、図7に示すように、放電開始電圧が試験環境の湿度が増加するに従って徐々に低下するため、放電開始電圧を一定値に固定すると、試験環境の湿度によっては、健全品コイルであっても部分放電が発生するおそれがある。換言すると、インパルス電圧の大きさを一定値に固定すると、試験環境の湿度が変化した場合に単位コイル間の絶縁異常を正しく検出することが困難になるおそれがある。
そこで、本実施形態では、インパルス放電試験を開始する前に試験環境における湿度を測定し、湿度に基づいてインパルス電圧の大きさを、適切な値(単位コイル間の部分放電の発生を検出することが可能な必要最低限の大きさ)に設定するように構成されている。インパルス電圧印加装置は、試験環境の湿度が約20%の場合には、インパルス電圧の大きさを、健全品コイルでは部分放電が発生せず、且つ単位コイル間の部分放電を検出可能な電圧(例えば、第1実施形態で例示したVc)に設定する。或いは、試験環境の湿度が約95%の場合には、インパルス電圧の大きさを、湿度が20%のときに設定したインパルス電圧の大きさよりも低い値に設定する。尚、インパルス電圧の大きさを設定する方法は、例えば湿度センサなどで測定した試験環境の湿度をインパルス電圧印加装置に作業者が入力して設定するようにしてもよく、インパルス電圧印加装置に湿度センサなどを内蔵して自動で設定するようにしてもよい。
ところで、試験環境は、常に一定の湿度に保たれているとは限らず、天候などにより湿度が上下することがある。図8及び図9は、放電開始電圧と湿度の変化との関係を検証した予備試験の結果を示す図である。図8は、湿度を40%から95%に上昇させた場合の放電開始電圧の変化を示す図で、(A)は湿度の時間変化、(B)は湿度上昇時の放電開始電圧の時間変化である。また、図9は、湿度を95%から40%に下降させた場合の放電開始電圧の変化を示す図で、(A)は湿度の時間変化、(B)は湿度下降時の放電開始電圧の時間変化である。
図8に示す湿度上昇時の予備試験では、湿度は、検証開始から約10分経過した時点で95%に達している。一方、放電開始電圧は、湿度の上昇にともなって次第に低下していき、約30分経過した時点でほぼ収束している。つまり、試験環境の湿度が上昇する場合には、放電開始電圧は、湿度が安定した時点(検証開始から10分後の時点)からおよそ20分が経過した時点(検証開始から約30分後の時点)でほぼ一定値に近づくことが分かる。
一方、図9に示す湿度下降時の予備試験では、湿度は、検証開始から約30分経過した
時点で40%になっている。このとき、放電開始電圧は、湿度の下降にともなって次第に
上昇していくもののバラツキが多く、約120分経過した時点でほぼ収束している。つま
り、試験環境の湿度が下降する場合には、放電開始電圧は、湿度が安定した時点(検証開
始から30分後の時点)からおよそ90分以上が経過した時点(検証開始から約120分
後の時点)で、ほぼ一定値に近づいている。
これらの検証結果から、試験環境の湿度が変化した場合には、放電開始電圧が収束するまでに概ね30分〜2時間程度の時間が必要となることが分かる。即ち、インパルス放電試験では、試験を実施するとき(インパルス電圧の印加を開始する直前)だけでなく、試験を開始する所定期間前からの試験環境における湿度に応じて、適正値(インパルス電圧の適切な大きさ)が変化する。そのため、本実施形態では、インパルス電圧の大きさを、インパルス放電試験を開始する2時間前からの湿度の変化を測定し、測定された湿度の最高値に基づいて設定している。例えば、試験実施時の湿度が60%であり、その30分前に湿度が95%であったような場合では、インパルス電圧の大きさは、観測された湿度の最高値(95%)に基づいて、図7に示すような相関図から、適切な値に設定される。
このように、第2実施形態では、上記の手順でインパルス電圧の大きさを設定した後に、インパルス放電試験が実施されている。これにより、より適切な電圧値でインパルス放電試験を実施することが可能となり、第1実施形態と同様に、ステータコイルの絶縁異常を検証することができる。
特に、第2実施形態では、試験環境の湿度の変化を測定し、測定された湿度の最高値に基づいてインパルス電圧の大きさを設定しているので、湿度の変化によらず、健全品コイルに絶縁異常があると誤検知するおそれを低減することができる。また、インパルス試験を開始する前の所定期間における湿度を測定しているので、試験環境の湿度が変化した場合であっても、インパルス電圧を適切に設定することができ、絶縁異常の検出精度を向上させることができる。また、インパルス電圧を適正値に設定することにより、必要以上に大きい電圧が印加されることがないので、インパルス放電試験時にステータコイルに与えられるダメージが低減され、ステータコイルが損傷するおそれを低減することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態による試験方法を図10から図11に基づいて説明する。第3実施形態は、部分放電検出装置として、電磁波アンテナの代わりに高周波電流プローブを用いる点が第1実施形態と異なっている。尚、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。また、永久磁石電動機の構成は、第1実施形態と同一である。
図10は、本発明の第3実施形態による試験装置20の構成を示すブロック構成図である。インパルス放電試験に用いられ部分放電検出装置21は、高周波電流プローブ21a、バンドパスフィルタ21b、放電検出器21cを備えて構成されている。そのうち高周波電流プローブ21aは、インパルス電圧印加装置11からステータコイルに印加されるインパルス電圧の電圧印加ライン11aに流れる電流を検出するように設けられている。
試験時に高周波電流プローブ21aによって検出される電流には、インパルス電圧の印加に伴う電流と、部分放電の発生に伴う高周波電流とが含まれている。バンドパスフィルタ21bは、これらの電流のうち、部分放電の発生に伴う高周波電流に起因する電流成分信号のみを通過させる。これにより、放電検出器21cは、部分放電の発生に伴う電流成分信号に基づいて、部分放電の発生の有無を検知することができる。
ところで、インパルス試験では、ステータコイルに高電圧が印加される。このとき、ステータコイルに与えられるエネルギー量が大きいと、健全なステータコイルに対しても損傷などのダメージを与えるおそれがある。この場合、ステータコイルに与えるダメージを低減させるためには、インパルス電圧(本実施形態では負極性のパルス電圧)の立ち下がり時間、即ち、電圧の印加が開始されてからピーク電圧(負の最大値)に達するまでにかかる時間を例えば1マイクロ秒以下などにすればよい。一方、インパルス電圧の立ち下がり時間が極めて短い時間(例えば数ナノ秒)にしてしまうと、インパルス電圧の印加により生じた電流と部分放電の発生による高周波電流とを分離することが困難になり、部分放電の検出精度が低下してしまう。
この場合、インパルス電圧の立ち下がり時間を例えば数10〜数100ナノ秒に設定することにより、エネルギー量が低減されてステータコイルにダメージを与えてしまうおそれが低減されるとともに、部分放電の発生に起因する電流成分を分離することが可能となる。そこで、本実施形態によるステータコイルの構成では、立ち下がり時間を約120ナノ秒に設定し、部分放電の確実な検出とダメージの低減とを両立させている。尚、立ち下がり時間は、部分放電検出装置21の性能などにもよるが、概ね100〜150ナノ秒の範囲とすれば上述した効果を両立させることができる。
図11は、インパルス放電試験において検出される電流波形を示す図で、(A)は単位コイル間の絶縁が正常に行われ、単位コイル間に接触がない健全品コイルの電流測定結果を示し、(B)は例えばU相コイル3であれば第1単位コイル3a1と第2単位コイル3a2との間のダミー楔の抜けがある等、単位コイル間に接触があるステータコイルの電流測定結果を示している。単位コイル間の絶縁が保たれている健全品コイルの場合には、インパルス電圧を印加した場合でも、同図(A)のように高周波電流が検出されることはない。一方、単位コイル間に絶縁異常があるステータコイルの場合には、インパルス電圧を印加すると、同図(B)に示すように部分放電の発生に伴い高周波電流の電流波形が観測される。
このように、部分放電の発生にともなう高周波電流を検出する部分放電検出装置21によっても、単位コイル間の絶縁紙或いはダミー楔の抜けなどのステータコイル内の絶縁異常を検出することが可能となるなど第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
特に、第3実施形態では、インパルス電圧の立ち下がり時間を約120ナノ秒に設定したことにより、絶縁異常を検出することが可能であり、且つステータコイルにダメージを与えるおそれを低減することが可能となる。これにより、実運転時のサージ分担電圧が大きい第1単位コイルと第2単位コイルの絶縁状態を検証する場合にはピーク電圧を大きく設定することができるなど、ピーク電圧の設定可能範囲が広がっている。従って、インパルス電圧を、部分放電の発生を検出することが可能な必要最低限の大きさに容易に設定することができる。
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態による試験方法を図12に基づいて説明する。第4実施形態は、インパルス電圧の大きさを低圧から高圧まで所定幅で段階的に変化させながらインパルス放電試験を行う点において第1実施形態と異なっている。尚、第4実施形態における試験装置及び永久磁石電動機の構成は第1実施形態の構成とほぼ同一であるので、説明を省略する。
第4実施形態では、複数個、例えば4個の単位コイルが直列接続されてなるステータコイルに対し、単位コイル間の絶縁状態が正常な健全品コイルと、ステータコイルを構成する単位コイル間のうち1箇所あるいは複数箇所に絶縁状態の異常を模擬的に生じさせた複数のテスト用コイルとを作製し、第1実施形態と同様のインパルス電圧発生装置を用いて、各テスト用コイルにおける放電開始電圧を測定する予備試験が行われている。この予備試験では、インパルス電圧の大きさを低電圧(例えば1kV)から高電圧(例えば20kV)まで所定幅(例えば1kV刻み)で段階的に変化させてステータコイルに印加し、部分放電が発生したときステータコイルから放出される電荷量を周知の電荷量測定装置により測定し、その電荷量と印加電圧(インパルス電圧のピーク値)との関係が検証されている。
図12は、例えば第1単位コイルと第2単位コイルとの間に絶縁異常を生じさせたテスト用コイルに対する予備試験の結果を示す図である。縦軸の放電電荷量は、電荷量測定装置により検出された電荷量を示し、横軸の印加電圧は、インパルス電圧の大きさを示している。また、放電発生閾値は、部分放電が発生したとみなす電荷量の閾値である。図12には、印加電圧の大きさが約14kVで放電電荷量が所定の放電発生閾値を越えたこと、即ち部分放電が発生した放電開始電圧は約14kVであることが示されている。尚、この予備実験では、絶縁異常部位の種類や数を変えた複数のテスト用コイルが作製され、それぞれに対して放電開始電圧の測定が行われている。また、放電発生閾値は、ステータコイルの仕様(巻数、素線の太さなど)に応じて、予め予備試験により測定された値が設定される。
さて、インパルス放電試験では、部分放電が発生したときの電圧と上記予備試験における放電開始電圧とを比較することにより、単位コイル間の絶縁異常が検証されている。また、部分放電が検出された場合(絶縁異常が生じている場合)には、予備試験で得られた各テスト用コイルの放電開始電圧と比較することにより、ステータコイルのどの部位に絶縁異常が生じているかが推定されている。
このように、部分放電が発生した電圧と事前検証の結果(予備試験における各テスト用コイルの放電開始電圧)とを比較することにより、単位コイル間の絶縁状態が正常か否かを検証することができるなど、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、第4実施形態では、インパルス電圧の大きさを所定幅で変化させながら繰り返しインパルス放電試験を実施するので、絶縁異常の有無を検出できるだけでなく、絶縁異常が生じている部位までをも検出することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、例えば以下のように変形または拡張することができる。
第1実施形態では正極性(正電圧の単極性)のインパルス電圧、第3実施形態では負極性(負電圧の単極性)のインパルス電圧を印加してインパルス試験を実施したが、インパルス電圧の極性は各実施形態に限定されない。例えば、両極性(正電圧及び負電圧にまたがる電圧)のインパルス電圧を印加してもよいし、単極正及び両極性の両方のインパルス電圧を印加してもよい。その場合、インパルス電圧の立ち上がり時間又は立ち下がり時間を100ナノ秒〜150ナノ秒にすることにより、部分放電の発生ができ、且つインパルス放電試験によるステータコイルへのダメージを低減することができる。
第1実施形態のステップ5においては、図1に示す5種類の試験の一部のみを行うようにしてもよいし、他の試験を追加してもよい。
第2実施形態において、試験環境の湿度を測定したが、この試験環境は、インパルス電圧印加装置や部分放電検出装置などの試験装置が設置されている場所だけでなく、製造ラインにおいてステータが搬送される経路を含んでもよい。これにより、試験装置の設置場所には空調設備が整っているものの、製造ラインにおける搬送中にステータが様々な湿度環境に曝されるような場合であっても、インパルス電圧の大きさを適切に設定することができる。
また、試験環境の湿度の変化状態(湿度が上昇しているか、低下しているか)によって、放電開始電圧を算出するために利用する期間を定めてもよい。これにより、試験時間を短縮することが可能となる。
試験装置を、電磁波アンテナと高周波電流プローブの両方で構成してもよい。すなわち、インパルス放電試験において、ギガヘルツ帯に感度を有する電磁波アンテナを用いた部分放電の発生に伴う電磁波の検出と、電圧印加ラインに設けた高周波電流プローブを用いた部分放電の発生に伴う高周波電流の検出とを行ってもよい。これにより、インパルス電圧の印加にともなう部分放電の発生を精度よく検出することができ、ひいては永久磁石電動機の信頼性をより向上させることができる。
インパルス放電試験において、上記した複数の試験方法を組み合せて行うようにしてもよい。例えば、第1実施形態の所定のインパルス電圧を印加する試験方法と、第4実施形態のインパルス電圧を低圧から次第に高圧に上昇させながら印加する試験方法とを組み合わせて実施してもよい。また、第2実施形態の湿度に基づいてインパルス電圧の大きさを設定する試験方法と、第3実施形態の高周波電流プローブによる試験方法とを組み合わせて実施してもよい。或いは、これらの試験方法を全て組み合わせて実施してもよい。例えば、第4実施形態において、予備試験を異なる湿度で実施し、インパルス放電試験時の湿度に応じて比較対象とする予備試験の結果を選択するようにしてもよい。
各実施形態におけるステータコイルの具体的な構成(単位コイルの個数、並列回路数、結線方法など)やインパルス電圧の大きさ、及び第4実施形態の所定幅などの具体的数値は、一例を示したにすぎない。これらは、ステータコイルの回路構成、ステータコイルを構成する素線の材質、太さ、巻回数、絶縁被膜の絶縁強度などに応じて予備試験を実施し、製造する永久磁石電動機の要求仕様に合わせて適宜設定するようにすればよい。
インバータ駆動方式の三相の永久磁石型電動機に適用した例を示したが、相数や駆動方式などはこれに限定されず、例えばアウターロータ型電動機や誘導電動機、或いは発電機など、回転電機全般に適用することができる。
図面中、1はステータ、2はステータコア(鉄心)、3、4、5はステータコイル、3a、3b、4a、4b、5a、5bは単位コイル、6は相間絶縁紙、7、8、9は電源端子、10、20は試験装置、11はインパルス電圧印加装置、12、21は部分放電検出装置、12aは電磁波アンテナ、12b、21cは放電検出器、21aは高周波電流プローブ、21bはバンドパスフィルタ、Na、Nbは各相中性点(中性点)を示す。

Claims (11)

  1. 鉄心に複数の単位コイルが直列に接続されてなる複数相のステータコイルが巻装されて構成される回転電機の製造工程において、前記ステータコイルの前記単位コイル間の絶縁状態を検証するための試験方法であって、
    前記鉄心に前記複数相の前記ステータコイルを装着し、これら各相のステータコイルを接続して中性点を形成した後に、前記中性点と前記複数相のステータコイルの電源端子との間にインパルス電圧印加装置によりインパルス電圧を印加することにより、絶縁処理が施された前記複数相のステータコイル毎に、前記単位コイル間の部分放電の発生の有無を部分放電検出装置により検出するインパルス放電試験を行い、
    前記インパルス放電試験においては、予め部分放電が開始されるインパルス電圧と湿度との関係を測定しておき、前記インパルス放電試験を開始する前の湿度低下時の放電開始電圧が安定するまでの期間における試験環境の湿度を測定し、その期間に測定された湿度の最高値に基づいて前記ステータコイルに印加するインパルス電圧の大きさを設定することを特徴とする回転電機の試験方法。
  2. 前記インパルス放電試験において前記ステータコイルに印加されるインパルス電圧は、予め回転電機の運転時における各単位コイルの分担電圧を測定し、その分担電圧にて単位コイル間に接触が生じた場合に部分放電が発生する可能性のある部位を確認しておき、当該部位における部分放電の発生を検出することが可能な必要最低限の大きさに設定されることを特徴とする請求項1記載の回転電機の試験方法。
  3. 前記インパルス放電試験において前記ステータコイルに印加されるインパルス電圧は、前記複数相のステータコイルを構成する複数の前記単位コイルのうち、最も前記電源端子側に設けられている第1単位コイルと、前記第1単位コイルに隣接して設けられている第2単位コイルとの間における部分放電の発生を検出することが可能な必要最低限の大きさに設定されることを特徴とする請求項2記載の回転電機の試験方法。
  4. 前記インパルス放電試験においては、湿度低下時の放電開始電圧が安定するまでの期間を2時間に設定し、その期間に測定された湿度の最高値に基づいて前記ステータコイルに印加するインパルス電圧の大きさを設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  5. 前記インパルス放電試験において前記ステータコイルに印加されるインパルス電圧は、印加が開始されてからピーク電圧に達するまでにかかる時間が100ナノ秒から150ナノ秒の範囲内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  6. 前記部分放電検出装置は、ギガヘルツ帯の電磁波を検出可能な電磁波アンテナを用いて、部分放電の発生に伴う電磁波の発生を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  7. 前記部分放電検出装置は、前記インパルス電圧印加装置から前記ステータコイルに印加されるインパルス電圧の電圧印加ラインに設けられた高周波電流プローブにより、部分放電の発生に伴い前記電圧印加ラインに流れる高周波電流を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  8. 前記部分放電検出装置は、ギガヘルツ帯の電磁波を検出可能な電磁波アンテナを用いた部分放電の発生に伴う電磁波の発生の検出、及び前記インパルス電圧印加装置から前記ステータコイルに印加されるインパルス電圧の電圧印加ラインに設けられた高周波電流プローブを用いた部分放電の発生に伴う高周波電流の検出の両方を行うように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  9. 予めステータコイルの1箇所或いは複数箇所の単位コイル間に模擬的に非絶縁状態を生じさせた複数のテスト用コイルを作製し、これら各テスト用コイルにおいて非絶縁状態を生じさせた部位に部分放電が発生する放電発生電圧を測定しておき、
    前記インパルス放電試験においては、インパルス電圧の大きさを所定幅で変化させながら印加を繰り返し、部分放電が発生したときの電圧と前記テスト用コイルにて測定した放電発生電圧とを比較することにより、絶縁状態に異常が生じている部位を検出することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  10. 前記インパルス放電試験においては、前記ステータコイルに印加するインパルス電圧を単極性又は両極性とする、若しくはそれら両方を印加することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の回転電機の試験方法。
  11. 鉄心にステータコイルを巻装して構成される回転電機の製造方法において、
    前記鉄心に複数相のステータコイルを装着する装着工程と、
    前記複数相のステータコイルを電気的に接続しての中性点を形成する中性点接続工程と、
    前記複数相のステータコイルを成形する成形工程と、
    前記ステータコイルに対する電気的な試験を行う電気的試験工程と、を含み、
    前記電気的試験工程において、請求項1から10のいずれか一項記載のインパルス放電試験を行うことを特徴とする回転電機の製造方法。
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