JP5524593B2 - 土留構造体 - Google Patents

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本発明は、鉛直で安定した土留壁本体面を形成するために好適に実施することができる土留構造体に関する。
法面保護のための土留構造体の典型的な従来技術は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に示されている。特許文献1および特許文献2には、複数の鋼製縦桟部材と鋼製横桟部材とを格子状に連結固定して網状に連結し、これを側面視でL字状に折曲げ加工した壁面材を用いた土留構造体が示されている。また、特許文献3には、複数のコンクリート製ブロック体を横方向に並べるとともに、上下方向に積重して構築される土留構造体が示されている。特許文献2では、その従来技術の記載で、鋼製部材を用いた前記網状の壁面材を用いた土留構造体の場合、背面側に盛土してローラなどの重機で転圧する際、壁面材の立設部材(鉛直部)が前方に湾曲するため、立設部材の背後から1.5m以上離れた位置でなければ前記ローラによる転圧締固め作業が行えない点が指摘されている。そのため、壁面材背後の部位の締固めは人力での作業となり、充分な締固めができないことから、本特許文献2では、重機による転圧を可能とするため、壁面材の立設部材と水平部材とを、背面側で斜体材からなる補強材で繋ぐことが提案されている。
特開平9−328761号公報 特開2002−227207号公報 特開2004−197408号公報
前記特許文献2に示されるような金網状の壁面材において、立設部材と水平部材とを斜体材で繋ぐようにすると、前記のような立設部材の湾曲の防止には効果的であるが、壁面材背後の部位の締固めはやはり人力か軽転圧機で行わざるを得ない。そのため、盛土層が高くなるにつれ、前記斜体材を設けてあっても、壁面材の湾曲の発生を完全に抑えることができず、施工後、盛土全体が安定するまで、数年にわたり湾曲が続く場合がある。これに対し、特許文献3に示されるようなコンクリートのブロック体またはコンクリートパネルを用いる土留構造体の場合は、前記金網状の壁面材に比べ壁面土圧力に対し数十倍の強度があり、前記斜体材を不要とし、大型転圧ローラによって壁面背後約1m付近まで接近した締固め施工が可能である。また、施工完了後のコンクリートパネルは背後からの土圧力に対し充分な耐力があり、壁面変形のない補強土擁壁が構築される。
しかし、コンクリートパネルは、重量が大であるため、前記金網状の壁面材のように現場での人力による組立てが不可能であり、クレーンによる吊り下げ作業が必要となるとともに、現場への運搬費用も嵩み、施工性および施工コストの点で課題は大きかった。特許文献3に示される土留構造体は、コンクリートのパネル本体に一端部が連結された状態で、背後土中に埋設される複数の鎖状引張部材を有するアンカー手段を備えている。この場合は、重力式のコンクリート擁壁、L形コンクリート擁壁、あるいは逆T形コンクリート擁壁を用いる工法と比べ、アンカー手段によって土圧力に抗する工法であるため、機能・性能は同等であっても、材料コストは1/2程度に低減することができるが長い施工期間を要し、施工コストが高価になってしまうという問題がある。
本発明はかかる実情に鑑み成されたものであり、その目的は、土圧に対する強度を充分に備え、かつ、施工コストを抑えることができる土留構造体を提供することである。
本発明の土留構造体は、
長尺材からなり、水平状態で鉛直方向に積重される複数の壁面部材と、
前記複数の壁面部材を、それぞれが水平状態で積重された状態に保持する保持枠体と、
前記保持枠体に連結され、保持枠体によって保持された前記複数の壁面部材の背後の盛土に埋設されるアンカー手段とを含み、
前記保持枠体は、各壁面部材の前記盛土が収容される背面に沿って鉛直に延びる背面側支持体と、各壁面部材の前記背面とは反対側の前面に沿って鉛直に延びる前面側支持体と、背面側支持体と前面側支持体とを連結するとともに、前記アンカー手段が連結される連結手段とを含み、
前記連結手段は、前記背面側支持体および前面側支持体の長手方向に沿って所定の間隔を開け、かつ、前記背面側支持体および前面側支持体間に跨るように取付けられ、前記所定の間隔毎に前記壁面部材が所定本数単位で積重されるよう構成され、
前記背面側支持体および前面側支持体は、いずれも長尺棒体と、前記長尺棒体に嵌装される長尺棒体より短寸の複数のスリーブ体とからなり、前記長尺棒体に嵌装される短寸スリーブ体同士の突合わせ部分の長尺棒体に前記連結手段が取付けられるよう構成されていることを特徴とする土留構造体である。
本発明に従えば、長尺材からなる複数の壁面部材が、それぞれが水平状態で積重された状態で保持枠体によって保持され、これによって、背後の盛土による土圧、水圧、地震時の慣性力などの荷重に抗する土留壁本体が形成される。土留壁本体の背後の盛土には、前記保持枠体に連結されたアンカー手段が埋設され、これによって、土圧、水圧、地震時の慣性力などの荷重が作用する土留壁本体を支持し、これら荷重に対する土留壁本体の抗力が強化され、土留壁本体の転倒や滑動などに対する安定性が確保される。
本発明に従えば、前記保持枠体が、各壁面部材の前記盛土が収容される背面に沿って鉛直に延びる背面側支持体と、各壁面部材の前記背面とは反対側の前面に沿って鉛直に延びる前面側支持体とによって構成されるから、前記長尺材からなる複数の壁面部材は、それぞれが水平状態で、背面側支持体および前面側支持体間に鉛直方向に整然と積重され、保持される。そして、背面側支持体および前面側支持体は、連結手段によって連結されるから、前記壁面部材の積重保持状態が安定的に維持される。また、この連結手段は背後の盛土中に埋設されるアンカー手段を連結するものでもあるので、アンカー手段を連結するための専用の連結手段を不要とし、施工部品の点数を削減して施工期間を短縮し、施工コストの低減を図ることができる。
本発明に従えば、前記所定の間隔毎に、前記背面側支持体および前面側支持体間に壁面部材が所定の本数単位で積重される。そして、壁面部材はこの所定の本数毎に前記連結手段によって規制されるから、盛土中の水分による浮力が壁面部材に加わっても、壁面部材の自重および連結手段の規制作用によって、壁面部材の浮き上がりが抑制される。
本発明に従えば、前記短寸スリーブ体の長さを、前記所定本数の壁面部材の積重高さに見合う長さとしておくことによって、前記連結手段による前記規制作用が、壁面部材の所定本数毎に的確に付与される。また、連結手段には、背後の盛土に埋設される前記アンカー手段が連結されるから、盛土の鉛直方向、すなわち深さ方向におけるアンカー手段の埋設位置が短寸スリーブ体の長さによって規定され、アンカー手段によるアンカー効果の設計精度の向上を図ることができる。
さらに、本発明の土留構造体は、
前記壁面部材が、間伐丸太から成ることを特徴とする。
本発明に従えば、森林樹木を用材として育成する際に、成長期に品質管理を目的に間伐が成されるが、本発明ではこれによって生じる間伐丸太を有効利用することができ、低コスト化に繋がるとともに、外観に優れた土留壁本体が構築される。
本発明によれば、長尺材から成る壁面材を水平状態にして複数を鉛直方向に積重することによって土留壁本体が構築され、この積重状態が保持枠体によって保持されるから、構築される土留壁本体の耐土圧強度が大であり、排水性にも優れる。しかも、現場での施工性や構築部材の現場への搬入性が良く、施工コストが高騰化する懸念もない。
本発明の一実施形態の土留構造体1を示す横断面図である。 土留構造体1の土留壁本体2の第1ロット2−1の正面図である。 図1における部分IIIの拡大断面図である。 図1における部分IVの拡大断面図である。 図3の切断面線V−Vから見た拡大断面図である。 既設の土留壁本体2に次の土留壁16を増設した場合の一例を示す一部の拡大断面図である。 図7(a)〜図7(c)は本実施形態の土留構造体1に用いられる各種連結手段81〜83を示す平面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図1〜図7を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態の土留構造体1を示す横断面図であり、便宜上土留構造体1の構築過程の途中状態を示している。図2は、土留構造体1の土留壁本体2の第1ロット2−1の正面図である。土留構造体1は、土留壁本体2およびアンカー手段3を含んで構成される。土留壁本体2は、図1の紙面垂直な予め定める計画線(図示せず)に沿って水平方向Aに隣接して配置される。この土留壁本体2は、基本的には、長尺材からなる壁面部材としての複数の間伐丸太4と、前記間伐丸太4を水平状態で鉛直方向Bに積重し、この状態に保持する保持枠体5とによって構成される。保持枠体5は積重された各間伐丸太4の、盛土20が収容される背面に沿って鉛直に延びる背面側支持体6と、各間伐丸太4の前記背面とは反対側の前面に沿って鉛直に延びる前面側支持体7と、背面側支持体6と前面側支持体7とを連結する連結手段8とを含んで構成される。連結手段8には前記アンカー手段3が連結される。
アンカー手段3は、前記各連結手段8に連結金具9を介して連結された状態で土留壁本体2の背後に収容される背後土としての盛土20中に背後方向(図1の紙面右方向)に延びるように埋設される鎖状の引張部材10と、この引張部材10に直交するように前記背後方向に間隔毎に支持された複数の丸鋼11と、各引張部材10に直交し、その終端部が連結されたアングル材12とからなる。
本実施の形態において、図1の紙面に垂直な方向を水平方向Aとし、図1の上下方向を鉛直方向Bとし、図1の左右方向を前後方向Cとする。また、1ロットの土留壁本体2の幅Wは、水平方向Aに沿った横幅方向の長さであり、1ロットの土留壁本体2の高さHは、鉛直方向Bに沿った長さである。
土留構造体1は、略水平な施工基面100上に構築される。施工基面100は、土留構造体1を構築すべき予め定める構築位置の横断面形状および縦断面形状に基づいて決定され、図示のような形状の他、特許文献3の図1に示されるような形状であってもよい。この施工基面100上に構築される土留構造体1の1ロットの土留壁本体2は、たとえば、幅Wが2m、高さHが1.5mとされる。そして、壁面部材として径が12〜15cm、長さが2mの防腐処理が施された間伐丸太4が準備される。間伐丸太4は、森林樹木を用材として育成する際に、成長期に品質管理の目的で間伐によって生じるもので、建築資材としての要求品質を満たしておらず、多くは廃棄処理されるものである。この間伐丸太4を用いて土留壁本体2が構築される。そのため、後述の図7(a)に示すような連結手段8として組立金物81が4本準備される。この組立金物81は、たとえば、幅50mm、厚さ6mmの平鋼板からなり、両端部側に2個の透孔81a,81bと、後記する棒体の挿通用長孔81cおよび円孔81dと備えている。長孔81cは、長軸が組立金物81の長手方向に沿った長円とされ、その短軸長さは円孔81dの径と同じとされ、かつ、後記する棒体61,71の外径(たとえば、16mm)よりやや大とされている。
土留壁本体2を構築するに際し、前記4本の組立金物81のそれぞれを、その長手方向が前記前後方向Cに沿うようにし、かつ水平方向Aに50cmのピッチを開けて並べる。このとき、各組立金物81は、前記透孔81bが前方向(図1の紙面左方向)に向くよう配置される。そして、両側から25cmの位置の2個所、および、これから50cmの中間位置の2個所に、合計4個のボルト挿通孔13a(図3参照)が形成された長さ2mの横連結バー13を準備し、前記透孔81bおよびボルト挿通孔13aを介し、ボルト・ナット14,15によって、4本の組立金物81を横連結バー13に直交するよう結合させる。横連結バー13は、前記水平方向Aに向くよう配置される。別途、両端に雄ねじ61a,61b,71a,71bが形成された長さが約3.0m及び約1.5mの鋼製棒体61,71を各4本と、これら棒体61,71に嵌装し得る内径で長さが約50cmの鋼管製スリーブ体62,72を各3×4本と、前記雄ねじ61a,71aのそれぞれに螺合し得る複数のナット63,73とを準備する(図3も参照)。
図3は図1における部分IIIの拡大断面図である。前記長さ約1.5mの棒体71の一方の雄ねじ71aを、前記各組立金物81の円孔81dに挿入して、2個のナット73を、組立金物81を挟むようにして雄ねじ71aに螺合することによって、棒体71を組立金物81に垂直に組み立てる。同様にして、前記長さ約3.0mの棒体61の一方の雄ねじ61aを、前記各組立金物81の長孔81cに挿入して、2個のナット63を、組立金物81を挟むようにして雄ねじ61aに螺合することによって、棒体61を組立金物81に垂直に組み立てる。このとき、ナット63は緩めに螺合しておく。
このようにして、保持枠体5の骨格を組立て、前記施工基面100の所定位置に、前記横連結バー13が水平方向Aに沿い、かつ、棒体71が前面側(図1、図3の紙面左方向)に向くよう設置される。そして、前記スリーブ体62,72を、各1本ずつそれぞれの棒体61,71に、他方の端部(雄ねじ61b,71bが形成されている部位)から嵌装し、スリーブ体62,72が嵌装された棒体61,71間に間伐丸太4を水平状態にして配置し、4本を鉛直方向Bに積重する。この段階で、棒体61,71に嵌装されたスリーブ体62,72が各間伐丸太4の両側面に密接的に当接するよう、棒体61を前記長孔81cに沿って位置調整する。この位置で緩めておいた前記ナット63を締付け、棒体61を組立金物81にしっかりと固定する。
次に、さらに組立金物81を4本準備し、各組立金物81の長孔81cおよび円孔81dに、棒体61,71をその上端より挿通させ、この組立金物81を前記積重された最上部の間伐丸太4の上に位置付ける。さらに、この組立金物81の上に突出する棒体61,71のそれぞれに別のスリーブ体62,72を1本ずつ外装する。これと並行して、前記施工基面100上に位置する各組立金物81の透孔81aに連結金具9を取付け、この連結金具9に前記鎖状の引張部材10を連結し、前記前後方向Cに沿って引張部材10を後方に引張り、その終端部(後方側端部)をアングル材12に連結する。
図4は図1における部分IVの拡大断面図であり、図5は図3の切断面線V−Vから見た拡大断面図であり、図6は既設の土留壁本体2に次の土留壁16を増設した場合の一例を示す一部の拡大断面図である。
連結金具9は、U字状のバックル9aと、このバックル9aの開口端部間を連架するようねじ部を介して着脱自在に装着されるボルト部材9bとからなり、バックル9aを前記透孔81aに挿通させて掛け止め、ボルト部材9bを前記引張部材10の始端側(前方側)輪体に挿入してバックル9aに装着することにより、組立金物81と引張部材10とを連結させるものである。引張部材10の途中には、適宜間隔を開けて、引張部材10を構成する輪体に丸鋼11を挿入して、丸鋼11を各引張部材10に直交するよう支持させ、網状のアンカー手段3を構成し、前記施工基面100の上に敷設する。この上から背後土を施与し、前記2段目の組立金物81の取付レベルになるようローラ転圧機(図示せず)によって施与された背後土を締固めて第1の盛土層20−1を構築する。
第1の盛土層20−1を施工した後、前記2段目の組立金物81に連結金具9を介して引張部材10を連結し、引張部材10に前記と同様に丸鋼11およびアングル材12を配して2段目のアンカー手段3を構成して第1の盛土層20−1の上に敷設する。前記2段目の組立金物81の取付位置の上部のスリーブ体62,72が嵌装された棒体61,71間に、4本の間伐丸太4を前記と同様に積重し、その最上部の間伐丸太4の上に乗るよう3段目の組立金物81を同様に取付ける。
さらに、この3段目の組立金物81の上部の棒体61,71のそれぞれに別のスリーブ体62,72を外装する。これと並行して、前記アンカー手段3が敷設された第1の盛土層20−1の上に背後土を施与し、前記3段目の組立金物81の取付レベルになるようローラ転圧機(図示せず)によって施与された背後土を締固めて第2の盛土層20−2を構築する。第2の盛土層20−2を施工した後、前記3段目の組立金物81に連結金具9を介して引張部材10を連結し、引張部材10に前記と同様に丸鋼11およびアングル材12を配して3段目のアンカー手段3を構築して、第2の盛土層20−2の上に敷設する。
3段目の組立金物81の上には、前記と同様に4本の間伐丸太4を積重し、その最上部の間伐丸太4の上に乗るよう、連結手段8として図7(b)に示す別の繋ぎ用組立金物82を取付ける。これと並行して、前記アンカー手段3が敷設された第2の盛土層20−2の上に背後土を搬入し、前記繋ぎ用組立金物82の取付レベルになるようローラ転圧機(図示せず)によって、搬入された背後土を締固めて第3の盛土層20−3を構築する。
前記繋ぎ用組立金物82は、前記組立金物81より長尺で、組立金物81と同様に幅50mm、厚さ6mmの平鋼板からなり、両端部側に2個の透孔82a,82bと、棒体挿通用の2個の長孔82c,82dおよび円孔82eと備えている。長孔82c,82dは、長軸が繋ぎ用組立金物82の長手方向に沿った長円とされ、その短軸長さは円孔82eの径と同じとされ、かつ、前記棒体61,71の外径よりやや大とされている。棒体61,71に対する繋ぎ用組立金物82の取付けは、図4に示すように、棒体71を円孔82eに挿入し、棒体61を長孔82dに挿入することによってなされる。棒体71の上端の雄ねじ71bにナット73を螺合して、繋ぎ用組立金物82と棒体71とを固定する。
このように、棒体61の下半部と、スリーブ体62とにより背面側支持体6が構成され、また、棒体71と、スリーブ体72とにより前面側支持体7が構成される。背面側支持体6および前面側支持体7と、これら支持体6,7に跨るように取付けられる連結手段8としての組立金物81,82とによって、保持枠体5が構成される。そして、この保持枠体5と、これに積重された12本の間伐丸太4とにより、第1ロットの土留壁本体2−1が構成される。この状態では、繋ぎ用組立金物82の後半部分が第1ロットの土留壁本体2−1の背面側に突出するよう位置付けられる。
前記繋ぎ用組立金物82の長孔82cには、さらに前記と同様の約3mの棒体61が挿入され、2個のナット63が繋ぎ用組立金物82を挟むように緩く螺着される。したがって、この繋ぎ用組立金物82の上には、前記第1ロットの土留壁本体2−1における背面側支持体6を構成する棒体61の上半部が前面側に、新たに設けられる棒体61が背面側に位置して、鉛直方向Bに向くよう支持される。両棒体61には、それぞれ1本ずつスリーブ体62を嵌装し、前記と同様に両者の間に4本の間伐丸太4を積重する。このとき、新たに設けた背面側棒体61を長孔82cに沿って、間伐丸太4を前後よりしっかり挟むよう位置調整し、その位置で前記緩めていたナット63を締付け、背面側棒体61を繋ぎ用組立金物82に固定する。繋ぎ用組立金物82の透孔82aに連結金具9を前記と同様に取付け、さらに、この連結金具9を介してアンカー手段3を前記と同様に構成して第3の盛土層20−3の上に敷設する。
その後は、前後の棒体61,61に対する、前記と同様の組立金物81の取付け、スリーブ体62の嵌装、それぞれの間における4本の間伐丸太4の積重、アンカー手段3の敷設、盛土層20−4,20−5,20−6の施工を前記と同様に順次行い、積重された12本の間伐丸太4の上端部に前記と同様に繋ぎ用組立金物82を取付ける。そして、前面側棒体61の上端の雄ねじ61bにナット63を螺合して、第2ロットの土留壁本体2−2が構成される。この第2ロットの土留壁本体2−2においては、新たに設けられる背面側棒体61とこれに外装されるスリーブ体62とによって背面側支持体6が構成され、第1ロットの土留壁本体2−1を構成する背面側支持体6の棒体61の上半部である前面側棒体61とこれに嵌装されるスリーブ体62とによって前面側支持体7が構成される。
前記第2ロットの土留壁本体2−2には、さらに第3ロットの土留壁本体2−3が同様に構築され、施工場所の規模および設計壁高に応じてこのロット数が設定され、所定の土留壁本体2が構成されるとともに、背後土の施与および締固めがなされ、各盛土層20−7……が同様に施工され、土留壁本体2の背後に盛土層20−1,20−2,……が積層された所定の盛土20が形成される。水平方向Aに沿って同様の施工がなされて、所定数の土留壁本体2が水平方向Aに連なるよう構成され、所期の土留構造体1が完成する。この実施形態では、土留壁本体2が、各ロット2−1,2−2,……が上方に連なり構成されるが、各ロット毎に後方に略間伐丸太4の直径分ずつずれるように構成される。これによって、盛土20の耐土圧力がより強固となる。
このように構築される土留構造体1においては、土留壁本体2が、保持枠体5によって壁面部材としての複数の間伐丸太4を、水平状態にして鉛直方向Bに積重された状態で保持させることによって形成されるから、背後の盛土20による土圧、水圧、地震時の慣性力などに充分に抗することができる。特に、盛土20の転圧締固め施工時において、土留壁本体2が前面側に湾曲することがなく、従来のような斜体材を不要とし、施工後の土留壁本体2の変位も起こりにくく、即供用することが可能となる。しかも、重機による盛土20の転圧締固め施工を土留壁本体2の背後に接近して行うことができ、作業効率の向上も図ることができる。そして、積重された各間伐丸太4間には、若干の隙間が形成されるから、この隙間を通じて盛土20内の水が逐次排水され、降雨時における盛土20内の水圧の上昇を抑えることができる。
また、盛土20内には、各盛土層20−1,20−2,……間に、前記保持枠体5を構成する連結手段8に連結されたアンカー手段3が敷設されて埋設されているから、このアンカー手段3の盛土20内での摩擦抵抗によって、土圧、水圧、地震時の慣性力などの荷重が作用する土留壁本体2を支持し、これら荷重に対する土留壁本体2の抗力が一層強化される。
さらに、壁面部材として、森林樹木を用材として育成する際に、成長期に品質管理の目的で間伐される丸太4を使用しているから、安価に壁面部材を調達することができ、土留構造体1の構築工事の低コスト化を図ることができる。しかも、間伐丸太は廃棄処理されることが多いものであるから、これを用いることによって、資源の有効活用に寄与するとともに、自然木材の醸し出す独特の風合いにより、山間道路や林道などに適用すると、周囲の景観との調和を図ることができ、実益が大である。
そして、前記背面側支持体6および前面側支持体7間に間伐丸太4が所定の本数(実施形態では4本)単位で積重され、これが所定の本数毎に前記連結手段8としての組立金物81,82によって規制されるから、盛土20中の水分による浮力が間伐丸太4に加わっても、間伐丸太4の自重および連結手段8の規制作用によって、間伐丸太4の浮き上がりが抑制される。また、スリーブ体62,72の長さを、前記所定本数の間伐丸太4の積重高さに見合う長さとしておくことによって、前記連結手段8による前記規制作用が、間伐丸太4の所定本数毎に的確に付与される。また、連結手段8には、背後の盛土20に埋設される前記アンカー手段3が連結されるから、盛土20の鉛直方向B(深さ方向)におけるアンカー手段3の埋設位置がスリーブ体62,72の長さによって規定され、アンカー手段3による高いアンカー効果を実現することができる。さらに、組立金物81,82には、それぞれ長孔81c,82c,82dを設けているから、間伐丸太4の直径に応じて背面側支持体6および前面側支持体7の間隔を適宜調整することができるので、間伐丸太4を両側からしっかりと保持し、安定した積重状態を確立することができる。
図7は本実施形態の土留構造体1に用いられる各種連結手段81〜83を示す平面図である。壁面部材としての間伐丸太4は、経年的な腐食が進行することは避けられない。そのため、既設の土留壁本体2を補強する必要が生じることが予想され、本実施形態はその一方策として、既設の土留壁本体2の前面側に新たな土留壁16を増設することを示している。図6では、2段目の組立金物81が取付けられた部位の周辺部における既設の土留壁本体2と増設された土留壁16との関係を示している。組立金物81における土留壁本体2(第1ロットの土留壁本体2−1)の前面側に突出する部分には、増設用組立金物83が連結されている。この増設用組立金物83は、図7(c)に示すように、幅50mm、厚さ6mmの平鋼板からなり、一端部側に透孔83aが、他端部側に長孔83bが形成されている。この増設用組立金物83は、前記既設の土留壁本体2における組立金物81の透孔81cと、透孔83aとを介し、ボルト・ナット84,85によって、土留壁本体2−1の前方側に突出するよう組立金物81に連結される。
前記2段目の組立金物81に対する増設用組立金物83の連結に先立ち、図示を省略した基礎側となる1段目の組立金物81(図3参照)にも同様に増設用組立金物83が連結されている。また、この1段目の組立金物81に連結された増設用組立金物83には、その長孔83bを介し、図示を省略するボルト・ナットによって増設用棒体17が鉛直方向Bに沿うよう固定され、かつこの増設用棒体17には増設用スリーブ体18が嵌装されている。さらに、増設用スリーブ体18が嵌装された増設用棒体17と既設の土留壁本体2−1における前面側支持体7との間に複数の間伐丸太4を積重した上で、増設用棒体17が長孔83bに沿って位置調整され、前記ボルト・ナットを締付け固定されている。この状態で、前記2段目の組立金物81に連結される増設用組立金物83は、その長孔83bに増設用棒体17を挿通し、増設用に積重された間伐丸太4の最上端部に乗るようにした状態で、前記透孔81b,83aを介し、前記ボルト・ナット84,85によって2段目の組立金物81に連結される。
前記増設用組立金物83の上方に突出する増設用棒体17には、さらに増設用スリーブ体18を嵌装し、既設の前面側支持体7との間に同様に間伐丸太4を積重する。この施工を既設の土留壁本体2の前面に沿って順次行い、これによって、既設の土留壁本体2の前面側に新たな土留壁16が増設される。したがって、既設の土留壁本体2を構成する前面側支持体7が、増設される土留壁16の背面側支持体として兼用され、増設用棒体17およびこれに嵌装される増設用スリーブ体18が土留壁16の前面側支持体とされる。これらと増設用組立金物83とが組み合わされて、増設用間伐丸太4を積重させるための保持枠体が構成される。増設用として用いられる間伐丸太4によって、既設の土留壁本体2が補強され、耐用期間が倍化し永久構造物としての活用が見込まれる。このように、新たな土留壁16を、既設の土留壁本体2の構成部材を用いて構成することができるから、補強施工が低コストで可能となり、長期的にみた場合、費用対効果に優れた土留構造体を実現することができる。
なお、前記実施形態では、壁面部材として、間伐丸太を用いた例について述べたが、本発明はこれに限らず、竹林において同様に品質管理を目的に間伐される間伐竹や、間伐丸太と同様形状の樹脂製リサイクル材や、鉄道の枕木なども用いることができ、これによっても資源の有効活用に寄与することができる。また、背面側支持体6および前面側支持体7を構成する部材として棒体61,71およびスリーブ体62,72を例示したが、これに限らず、たとえば、例示のものより短い棒体をスリーブ体によって継ぎ足すようして所定長さの支持体を構成するようにしてもよい。さらに、連結手段としての組立金物は、スリーブ体を挿通し得る形状であってもよい。加えて、連結手段8によって規制される間伐丸太4の積重本数は4本に限定されず、3本あるいは5本以上であってもよく、各ロットに積重される間伐丸太4の本数も12本に限定されるものではない。
1 土留構造体
2 土留壁本体
3 アンカー手段
4 壁面部材
5 保持枠体
6 背面側支持体
61 棒体
62 スリーブ体
7 前面側支持体
71 棒体
72 スリーブ体
8,81〜83 連結手段
20 盛土
B 鉛直方向

Claims (2)

  1. 長尺材からなり、水平状態で鉛直方向に積重される複数の壁面部材と、
    前記複数の壁面部材を、それぞれが水平状態で積重された状態に保持する保持枠体と、
    前記保持枠体に連結され、保持枠体によって保持された前記複数の壁面部材の背後の盛土に埋設されるアンカー手段とを含み、
    前記保持枠体は、各壁面部材の前記盛土が収容される背面に沿って鉛直に延びる背面側支持体と、各壁面部材の前記背面とは反対側の前面に沿って鉛直に延びる前面側支持体と、背面側支持体と前面側支持体とを連結するとともに、前記アンカー手段が連結される連結手段とを含み、
    前記連結手段は、前記背面側支持体および前面側支持体の長手方向に沿って所定の間隔を開け、かつ、前記背面側支持体および前面側支持体間に跨るように取付けられ、前記所定の間隔毎に前記壁面部材が所定本数単位で積重されるよう構成され、
    前記背面側支持体および前面側支持体は、いずれも長尺棒体と、前記長尺棒体に嵌装される長尺棒体より短寸の複数のスリーブ体とからなり、前記長尺棒体に嵌装される短寸スリーブ体同士の突合わせ部分の長尺棒体に前記連結手段が取付けられるよう構成されていることを特徴とする土留構造体。
  2. 前記壁面部材は、間伐丸太から成ることを特徴とする請求項1に記載の土留構造体。
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