JP3641194B2 - コンクリート構造物の構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート表面の少なくとも一部分が複数本の木材からなる化粧壁体で覆われた、擁壁やダム堤体等のコンクリート構造物を構築する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のコンクリート構造物の構築方法としては、特許第2877187号公報に記載された化粧型枠パネルを用いる方法がある。
【0003】
前記公報に記載の化粧型枠パネルは、図15に示すように、複数本の木材を上下に積み重ねて長方形状に形成されたパネル本体101の裏面に、側面視略コ字状の連結金具102,103を設けてなる。パネル本体101の両端近傍には、積み重ねられた複数本の木材を上下方向に貫通するボルト104が設けられており、このボルト104は、その上端部と下端部とをそれぞれ連結金具102に支持されている。また、連結金具102,103はそれぞれ、パネル相互の連結に用いるボルトを挿通するための孔105を有している。なお、符号106は、ボルト104の頭部(又はナット)がパネル本体101から突出しないようにするための座掘り部を示しており、この座掘り部106は、パネル本体101の上端と下端とに位置する木材の両端部にそれぞれ設けられている。
【0004】
この化粧型枠パネルは、連結金具102,103及び連結用のボルト・ナット(不図示)を用いて、複数が上下左右に連結され、コンクリート打設用の型枠を構成するとともに、打設されたコンクリートの硬化後も残置されて、コンクリート構造物表面を覆う化粧壁体を構成する。そして、これによりダム堤体や擁壁等のコンクリート構造物に有りがちな人工感を払拭し、その外観を周囲の自然景観に調和したものとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の化粧型枠パネルを用いたコンクリート構造物の構築方法には、以下のような問題点があった。
すなわち、ダム堤体のようなコンクリート構造物は、その側端部や上端部が傾斜した形状に構築される場合が多いのに対し、前記化粧型枠パネルは予め工場で所定寸法の長方形状に製作されているので、前記傾斜に合わせた現場での加工が困難であった。具体的に説明すると、例えば上端部が傾斜したダム堤体を構築する場合、その上端部に対応する部分では、いったん化粧型枠パネルから連結金具102,103を取り外して各木材の単位に分解し、この木材をダム堤体上端部の傾斜に合わせて斜めに切断(カット)した後、既に設置されている下方の化粧型枠パネルの上部に連結・固定するという作業が必要であった。また、その際、一定の高さを有している連結金具102,103を用いることができず、別途用意したボルト等を用いて木材を固定しなければならない場合もあった。こうしたことから、従来の化粧型枠パネルを用いた構築方法では、現場での施工性(作業性)が良いとは言えなかった。
【0006】
また、前記化粧型枠パネルは、各木材が上下に貫通するボルト104で保持されているために、コンクリート構造物が完成した後、比較的長期間にわたって木材のコンクリート表面からの脱落を防止できるという利点を有しているものの、コンクリートと木材との耐久性の差から、最終的には全ての木材が脱落してしまった状態となることは避けられない。そうした場合、前記化粧型枠パネルでは、コンクリート構造物の表面に連結金具102,103が露出することになるが、これらの連結金具102,103はコンクリート構造物表面積のかなりの部分を占める大きさを有しているために、木材脱落後はコンクリート構造物の外観が悪くなるという問題もあった。
【0007】
さらに、木材に座掘り部106を形成する加工が容易ではないために、加工コストが嵩むという欠点や、座掘り部106により木材に断面欠損が生じているうえに、この座掘り部106に雨水等が溜まるため、木材の腐朽による強度低下が生じやすいという欠点もあった。
【0008】
本発明は従来技術が有していた以上のような問題点に鑑みてなされたものであって、施工性が良好で、しかも木材脱落後もコンクリート構造物の外観が悪くなることがない、コンクリート構造物の構築方法の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、コンクリート打設用の型枠の少なくとも一部分を化粧壁体により構成し、この型枠の内部にコンクリートを打設するコンクリート構造物の構築方法において、コンクリート構造物の構築現場に、少なくとも上端に雄ネジ部が形成された縦筋部材を複数並べて立設し、木材長手方向と直交する方向の貫通孔が形成された複数本の木材を、その貫通孔に前記縦筋部材を挿通する状態で上下に積み重ねるとともに、これらの木材の相互間及び/又は積み重ねられた木材の上方に、前記縦筋部材と係合し木材裏面側に突出する支持具を適宜に配設し、さらに、各縦筋部材上端の雄ネジ部にナットを螺合することにより積み重ねられた木材を下向きに押圧して化粧壁体となし、この化粧壁体を前記支持具に連結された鉄筋等の支持部材により裏面側から支持した状態で、化粧壁体を含んでなる型枠の内部にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後も前記化粧壁体をコンクリート表面に残置することを特徴としている。
【0010】
また、前記の構築方法において、化粧壁体を形成するための木材の一部を、貫通孔の位置を揃えて上下に積み重ねた状態に保持された適宜本数の木材からなる木材パネルとして用いることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4において、符号1は本発明に係る構築方法により構築された砂防ダムのダム堤体(コンクリート構造物の一例)を示している。
【0012】
図1,図3等からわかるように、このダム堤体1は、その一方の面(以下「前面」という)の大部分が、多数の木材10からなる化粧壁体2で覆われており、他方の面(以下「背面」という)及び上面は打設されて硬化したコンクリート3が露出した構成となっている。また、図1及び図2に示すように、ダム堤体1の中央上部には、増水時等に水路となる逆台形状の切欠部4が形成されていて、その両端部分は約45°の角度で傾斜した第1傾斜部5となっており、さらに、その外側は緩やかに傾斜した第2傾斜部6となっている。
【0013】
図1,図2において、符号7は、ダム堤体1が設けられた河川両岸の斜面を示している。ダム堤体1の上面よりも下方の部分においては、斜面7はダム堤体1の構築後に、ダム堤体1左右両端の一部を覆うように盛り土した土砂により構成されている。
【0014】
次いで、前記ダム堤体1の構築に用いる部材を、図5〜図9を参照しつつ説明する。
図5は、前記化粧壁体2を構成している木材10を示しており、図5(a)は平面図、同図(b)は正面図、同図(c)は右側面図である。
この実施形態では、木材10は杉材等の間伐材を原木として製材されたものであって、化粧壁体2を形成する際に外側に向けられる面(以下「表面11」という)だけは原木外周面の丸みを生かした断面円弧状の曲面(タイコ面)に形成され、それ以外の面は、化粧壁体2を構成した状態でコンクリート3と接する裏面12を含めて、全て平面状に製材されている。また、木材10には、木材長手方向と直交する方向(上下方向)の貫通孔13が形成されている。
貫通孔13は木材10の両端近傍部及び中央部の3箇所の所定位置に形成されていて、各貫通孔13は、一端が木材10の上面に他端が木材10の下面に、それぞれ開口している。
【0015】
図6は、木材10を間伐材等の原木から製材する際の木取りを示しており、図中の二点鎖線は原木の外周面を示している。この図からわかるように、比較的直径の小さい原木から木取りする図6(a)の場合も、比較的直径の大きい原木から木取りする図6(b)の場合も、木材10の高さH1及び裏面12から各貫通孔13の中心までの距離aは一定とし、貫通孔13中心から表面11の前端部までの距離bのみ原木直径に応じて変化するようにする。こうすることにより、直径が異なる原木も無駄なく利用でき、且つ、化粧壁体2の外観を凹凸のある変化に富んだものとすることができる。
【0016】
なお、この実施形態では、各木材10は原則として、その長さL(図5参照)が1800mmに、高さH1が75mmに、前記距離aが42mmに、貫通孔13の直径が12mmに、それぞれ形成されている。また、各木材10の幅Wは前記距離bによって異なるが、概ね70〜110mm程度の範囲内となっている。
【0017】
図7は、3本の前記木材10を横に寝かせた状態で上下に積み重ねて形成された木材パネル20を示しており、図7(a)は正面図、同図(b)は右側面図、同図(c)は同図(a)のC−C線断面図である。
これらの図からわかるように、各木材10は、互いの両端面と裏面12とを揃えた状態で積み重ねられ、左右2箇所を紐状の結束部材21で結束することにより、その積み重ね状態を保持されて、木材パネル20を形成している。よって、木材パネル20を構成する各木材10の各貫通孔13は位置が揃っている。
この実施形態では結束部材21として、ダンボール箱の梱包をする用途等に一般的に用いられているポリプロピレン製の扁平な紐(いわゆるPP紐)が用いられている。木材パネル20の長さは各木材10と同じく1800mmであり、高さH2は約225mmである。
【0018】
図8は、別の木材パネル20aを示している。この木材パネル20aは、後述する縦筋部材接続用のナット47を収容できるように、最も下方に位置する木材10のみ、貫通孔13の直径が他の2本の木材10に比べて大きくなっている。この点以外は、結束部材21による結束状態を含め、全て前記木材パネル20と同様に構成されている。
製材された多数の木材10は、その一部が予め工場で前記木材パネル20及び20aに形成された状態で、残部は1本ずつ独立した木材10の状態で、それぞれダム構築現場まで運搬される。
【0019】
図9(a),(b),(c)は、化粧壁体2を支持するための支持具30a,30b,30cをそれぞれ示している。この実施形態では、これらの支持具30a,30b,30cは全て、厚さ2mmのステンレス鋼板を打ち抜いて形成されている。
支持具30aは長方形状をなし、その両端近傍に孔31が形成されている。
支持具30bは野球のホームベースの一部を切り欠いたような六角形状をなしており、その最も長い辺の両端近傍には孔32が、前記最も長い辺と対向する辺の近傍には孔33が、それぞれ形成されている。一対の孔32,32の間隔(ピッチ)は、図5(a)に示した木材10の両端から貫通孔13中心までの距離cの約2倍の寸法となっている。
支持具30cは、前記支持具30aよりも長い長方形状をなし、その一端側には孔34が、中間部には孔35が、他端側には孔36が、それぞれ形成されている。孔34と孔35との間隔(ピッチ)は、前記支持具30aにおける一対の孔31,31の間隔(ピッチ)と等しくなっている。
なお、前記全ての孔31〜36は、直径12mmの円形に打ち抜き形成されている。
【0020】
次いで、以上のような部材を用いたダム堤体1の構築方法を、主に図10〜図14を参照しつつ説明する。なお、図10〜図14には、ダム堤体1の構築方法を、その工程順に、図2のA−A線に沿う縦断面で示している。
【0021】
先ず、ダム堤体1を構築すべき地盤(不図示)上に基礎(不図示)を形成し、その上に1段目のコンクリート3aを打設する。この1段目のコンクリート3aの打設は、従来の鋼製等の型枠パネルを用いた一般的な工法により行うため、詳細な説明は省略する。
【0022】
打設したコンクリート3aが硬化する前に、図10のように、鋼製のJ字状の差し筋アンカー41を適宜に埋め込んでおく。そして、このコンクリート3a上面の前端近傍位置にアンカーボルト42を埋設し、このアンカーボルト42を用いて前記支持具30cを固定する。ここでは、支持具30cの一端側の孔34にアンカーボルト42上端部を挿通してナット43を螺合することにより、孔36を含む支持具30cの他端部がコンクリート3a上面の前端から前へ突出した状態に固定する。
【0023】
支持具30cは、複数が、化粧壁体2の配設方向(図10を示す紙面に垂直な方向)に並べて、前記と同様にアンカーボルト42によって固定される。ここでの各支持具30cの固定位置は、次の工程において縦筋部材45を立設すべき位置(すなわち化粧壁体2を構成する各木材10の各貫通孔13に対応した位置)に合わせておく(図2参照)。
【0024】
次いで、各支持具30cの孔36に縦筋部材45を挿通し、この縦筋部材45を図11のようにジャッキ等のサポート具44で下方から支持して立設する。縦筋部材45は、所定の長さを有する直径12mm弱の断面円形の棒鋼(丸鋼)からなり、その両端にはそれぞれ雄ネジ部46が形成されている。縦筋部材45の下側となる雄ネジ部46には、抜け止め用のナット43を予め螺合しておく。
【0025】
以上のようにして各支持具30cごとに縦筋部材45を立設し、複数の縦筋部材45が化粧壁体2の配設方向に並ぶ所定位置に立設された状態となれば、次いで、その表面11が化粧壁体2の外側を向き、各貫通孔13に各縦筋部材45が挿通される状態で、複数本の木材10を上下に積み重ねてゆく。ここでは、化粧壁体2の側端部や上端部等の、木材10を切断する必要がある箇所を除き、木材10は前記木材パネル20に形成された状態で、縦筋部材45に上端側から順次差し嵌め、縦筋部材45の下端側に移動させて、下位となる木材パネル20から順に積み上げてゆく。そして、各貫通孔13を貫通する縦筋部材45により各木材10が串刺し状に支持された状態とした後、各木材パネル20の木材10を結束していた結束部材21を木材裏面側から切断し、除去する。図11は、前記結束部材21を除去した後の状態を示している。
【0026】
また、前記で木材10(木材パネル20)を積み重ねる際、木材10相互間に介装される状態となるように、前記支持具30a,30b(図9参照)を縦筋部材45に嵌装しておく。
すなわち、各木材10の中央部の貫通孔13に挿通される縦筋部材45には、図11に示すように支持具30aを、その一端側の孔31に縦筋部材45が挿通され、支持具30aの他端側が木材10の裏面12側に突出する状態に設ける。また、積み重ねられた状態で上端に位置する木材10の上方にも、支持具30aを前記と同様に縦筋部材45に嵌装して設ける。
【0027】
他方、各木材10の両端部の貫通孔13に挿通される縦筋部材45には、前記支持具30aに代えて支持具30bを嵌装しておく。支持具30bは、対をなす孔32,32に隣接する縦筋部材45がそれぞれ挿通され(図4参照)、孔33を含む端部が木材10の裏面12側に突出する状態に設ける。また、積み重ねられた状態で上端に位置する木材10の上方にも、支持具30bを前記と同様に縦筋部材45に嵌装して設ける。これにより、隣接する1対の縦筋部材45が支持具30bを介して連結された状態となる。
【0028】
なお、前記支持具30a,30bは、積み重ねられた木材10の1本ごとに設ける必要はなく、要求される支持強度に応じ、木材10の適宜本数おきに、上下方向に適宜間隔をおいて配設すればよいことは言うまでもない。
【0029】
次いで、以上のように木材10及び支持具30a,30bを嵌装した各縦筋部材45の上側の雄ネジ部46に、図12のようにナット47を螺合する。このナット47は、軸方向の寸法(高さ)が直径方向の寸法よりも大きい六角柱状をなす、いわゆる六角高ナットであり、この実施形態では高さ70mmのものが使用されている。
【0030】
このナット47を締め付けることにより、積み重ねられた木材10群が下向き(上下方向)に押圧され、その力により上下に隣接する木材10が相互に密着させられる。縦筋部材45の中間部で支持具30a,30bが介装されている箇所においても、これらの支持具は厚みが2mmと薄いために、押圧力による木材10への食い込みにより、支持具の上下の木材10がほぼ密着した状態となる。したがって、図12のように積み重ねられた木材10群が相互に密着・一体化して、化粧壁体2(下半部)が形成される。
なお、ナット47を締め付けた状態では、縦筋部材45の雄ネジ部46がナット47内のネジ穴のほぼ下半部分と螺合し、ナット47内のネジ穴の上半部分には別の縦筋部材45の雄ネジ部46を螺入可能な状態となっている。
【0031】
また、図12のように、化粧壁体2の裏面側(後の工程で打設されるコンクリートと接する側)に突出した支持具30aと、コンクリート3aに埋設された差し筋アンカー41とを、支持部材48により接続する。
すなわち、支持部材48は適宜な直径の鉄筋からなり、その一端側には建築用の羽子板金物(ボルト挿通用の孔が形成された板状の金具)49が設けられている。この羽子板金物49と支持具30aとを、互いの孔が合致するように重ねた状態で、ボルト及びナット50により連結するとともに、支持部材48の下端部と差し筋アンカー41の上端部とを溶接により連結する。
また、この支持具30aの場合と同様に、化粧壁体2の裏面側に突出した支持具30bと差し筋アンカー41との間も、羽子板金物49付きの支持部材48を介して接続する(図4参照)。
以上により、化粧壁体2は、その裏面側から複数の支持部材48によって支持された状態となる。
【0032】
他方、ダム堤体1の背面及び両側面に対応する部分には、従来一般的に用いられている鋼製等の型枠パネル(不図示)を立設し、これにより前記化粧壁体2で一部分が構成されたコンクリート打設用の型枠を形成する。そして、この型枠の内側に、2段目のコンクリート3bを、図12に二点鎖線で示した程度の高さまで打設する。また、このコンクリート3bが硬化する前に、前記と同様の差し筋アンカー41を適宜に埋め込んでおく(図13参照)。
【0033】
前記したように、化粧壁体2を構成する各木材10は上下に貫通する縦筋部材45で補強されるとともに、縦筋部材45上端に螺合したナット47を締め付けることにより、各木材10は下向きに押圧されて相互に密着した状態となっており、しかも、この化粧壁体2は支持部材48により裏面側から支持されているために、コンクリートの打設圧で化粧壁体2が外向きに撓むようなことはなく、また、木材10相互の間隙からのコンクリートの漏出も極力防止される。
【0034】
コンクリート3bが硬化すると、図13に示すように、既設の(1段目の)各縦筋部材45上端のナット47に下側の雄ネジ部46をねじ込むことにより、2段目の縦筋部材45をそれぞれ立設する。ここで立設する縦筋部材45は、それぞれの位置に応じた長さとする。すなわち、例えば切欠部4に対応する位置に立設する縦筋部材45としては、他の部位に立設する縦筋部材45よりも短いものを用いる。
【0035】
2段目の縦筋部材45の立設が済むと、前記図11に示した場合と同様に木材10(木材パネル)を積み重ねてゆくのであるが、ここでは、図14に示すようにナット47を貫通孔13内に収容するために、最初に前記木材パネル20aを嵌装し、次いで前記木材パネル20を嵌装し、その上に支持具30a(30b)を嵌装する。
【0036】
その後の構成は部位によって異なるが、図14に示した部位では、前記支持具30a上に、先ず前記木材10(パネルに形成されていないもの)を2本積み重ねる。次いで、前記第1傾斜部5(図2参照)と対応するように、木材10の端部を斜めに切断してなる木材10a,10b,10cを順次積み重ね、さらに、前記第2傾斜部6と対応するように木材10を切断してなる木材10dを積み重ねる。この際、木材10b・10c間と、木材10c・10d間とには、それぞれ支持具30aを介装する。
【0037】
次いで、図14のように、縦筋部材45の上端の雄ネジ部46にナット43を螺合し、このナット43を締め付けることにより各木材10,10a〜10dを密着・一体化させて化粧壁体2(上半部)を構成するとともに、この化粧壁体2を前記と同様に裏面側から支持部材48等で支持する。そして、ダム堤体1の背面及び両側面に対応する部分に従来の型枠パネル(不図示)を配置して、この化粧壁体2を含むコンクリート打設用の型枠を形成し、この型枠の内部に3段目のコンクリート3cを、図14に二点鎖線で示す高さまで打設する。
【0038】
その後、コンクリート3cの硬化を待って、ダム堤体1の背面及び両側面を覆っていた従来の型枠パネルを撤去する一方、化粧壁体2は撤去せずにコンクリート3の表面を覆った状態で残置する。以上により、図1〜図4に示したダム堤体1が完成したことになる。
【0039】
なお、説明のために、図2には支持具30a,30bを太い実線で示しているが、実際にはこれらの支持具30a,30bが化粧壁体2の表面に現れているわけではない。また、図2では、構築過程において各木材パネル20,20aを構成していた木材10相互の境界を一点鎖線で示しているが、実際には木材パネル20,20aとして縦筋部材45に嵌装された木材10と、それ以外の木材10との間に、外観上の相違が生じているわけではない。
【0040】
以上に説明したように、この実施形態に係るコンクリート構造物の構築方法によれば、コンクリート硬化後も残置される化粧壁体2により、周囲の自然景観と調和した良好な外観のダム堤体1(コンクリート構造物)を構築できるのはもちろんのこと、端部が傾斜した形状の構造物を構築する場合でも、その傾斜に合わせるための木材10の加工を容易にできる等の理由により、現場での施工性を大幅に向上させることができる。したがって、従来の構築方法に比べて、工期の短縮やコストの低減が図れる。
【0041】
また、木材10を予め木材パネル20,20aに形成し、これを立設された縦筋部材45に嵌装して積み重ねることにより、化粧壁体2を構成する全ての木材10を1本ずつ積み重ねてゆく場合に比べて、作業の手間を軽減し、施工性をより一層向上させることが可能となる。
【0042】
また、前記従来技術のように木材に座掘り部を形成する必要が無く、木材そのものの加工(製材)作業を容易にできるのに加えて、座掘り部が無いために木材の断面欠損が少なく、化粧壁体2の耐久性が従来より向上するという利点も得られる。
【0043】
また、施工後長期間が経過して、化粧壁体2を構成する木材10が脱落してしまった場合でも、脱落後のコンクリート表面に現れる支持具30a,30b等は薄くて小さいものであり、これらの表面積がコンクリート構造物の表面積に占める割合も極めて小さいものとなる。したがって、前記従来技術のように木材脱落後にコンクリート構造物の外観が悪くなることはない。
【0044】
しかも、この実施形態ではステンレス鋼製の支持具を用いているために、赤茶けた錆でコンクリート表面が見苦しくなることがなく、また、支持具の耐久性も高いため、必要とあらば、木材脱落後にコンクリート表面に突出した支持具を利用して新しい木材を取り付け、化粧壁体を更新することも可能である。
【0045】
また、施工中に化粧壁体2の外側に作業用の足場(キャットウォーク)を設ける必要がある場合は、前記で用いていた支持具30aに代えて支持具30cを用いることにより、当該を支持具30cの一端側が化粧壁体の裏面側に、他端側が化粧壁体の表面側に、それぞれ突出した状態を得ることができる。そして、化粧壁体の表面側に突出した支持具30c他端側の孔36にボルト等を係止することにより、容易にキャットウォークを設けることができる。
【0046】
なお、本発明の技術的範囲が前記の実施形態により限定されないこと言うまでもなく、例えば前記ではコンクリート構造物としてダム堤体を示したが、擁壁や海岸,河岸の堤防等、種々のコンクリート構造物に本発明方法を適用することが可能である。
【0047】
また、前記ではコンクリート構造物の鉛直面を化粧壁体で覆ったが、コンクリート構造物の傾斜面(例えば前記ダム堤体1の背面)を化粧壁体で覆うことも、もちろん可能である。
また、前記では化粧壁体を構成する各木材を上下に揃えて積み重ねた場合を示したが、本発明では、木材を1本ずつ、もしくは適宜本数ずつ、正面から見て千鳥状となるように積み重ねてゆくことにより化粧壁体を形成することも考えられる。
【0048】
また、前記では縦筋部材45として丸鋼の両端に雄ネジ部46を形成したものを示したが、縦筋部材はそれに限られず、例えば、上端のみに雄ネジ部が形成された棒鋼等からなる縦筋部材を、その下端部を基礎コンクリートに埋め込んだ状態で立設して用いることも考えられる。また、その全長にわたって周面に雄ネジが形成されたネジ棒を縦筋部材として用いることも考えられる。
【0049】
同様に、前記では支持部材48として一端に羽子板金物49を有する鉄筋を示したが、支持部材は鉄筋に限られず、例えば丸鋼等の棒鋼を支持部材として用いることも考えられる。ただし、打設されるコンクリートとの付着性を良くして、コンクリート硬化後の化粧壁体2の支持状態を安定させるためには、周面に凹凸模様を有する鉄筋(異形鉄筋)を支持部材とするのが最も好ましい。
【0050】
さらに、前記では木材パネルを構成する複数本の木材を積み重ね状態に保持する手段として紐状の結束部材を用いたが、木材パネルにおける木材の保持手段がそれに限られることはなく、例えば接着剤で木材同士を接着したり、かすがい等の金具で木材同士を連結したりして、木材を積み重ね状態に保持することも考えられる。
【0051】
さらにまた、前記では支持具として縦筋部材を挿通可能な孔を有し、この孔により縦筋部材と係合するものを示したが、縦筋部材へ係合させる手段は孔に限られず、例えば支持具に縦筋部材と係合可能なフック部を設けるような構成も考えられる。しかし、本発明に用いる支持具には、できるだけ薄く、且つ、縦筋部材との係合状態が安定していることが望まれるため、前記のように薄板状で縦筋部材挿通孔を有している支持具が好適であるのはもちろんのことである。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るコンクリート構造物の構築方法によれば、周囲の景観と調和する外観のコンクリート構造物を、施工性良好に構築することができて、工期短縮やコスト低減等の種々の利点が得られるとともに、木材脱落後も外観が見苦しくならないコンクリート構造物を構築することが可能となる。
【0053】
また、適宜本数の木材を予め木材パネルに形成しておき、この木材パネルの状態で積み重ねることにより、施工性をより一層向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構築方法で構築されたダム堤体を示す概略正面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す概略正面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う縦断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿う要部横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態で化粧壁体を構成する木材を示す図であって、図5(a)は平面図、図5(b)は正面図、図5(c)は右側面図である。
【図6】原木からの木材の製材状態を説明する断面説明図である。
【図7】本発明の一実施形態で用いられる木材パネルを示す図であって、図7(a)は正面図、図7(b)は右側面図、図7(c)は図7(a)のC−C線に沿う縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態で用いられる別の木材パネルを図7(c)に相当する切断面で示した縦断面図である。
【図9】本発明の一実施形態で用いられる支持具を示す平面図である。
【図10】ダム堤体の構築工程を、図2のA−A線に沿う縦断面で示した説明図である。
【図11】ダム堤体の構築工程を、図2のA−A線に沿う縦断面で示した説明図である。
【図12】ダム堤体の構築工程を、図2のA−A線に沿う縦断面で示した説明図である。
【図13】ダム堤体の構築工程を、図2のA−A線に沿う縦断面で示した説明図である。
【図14】ダム堤体の構築工程を、図2のA−A線に沿う縦断面で示した説明図である。
【図15】従来技術に係る化粧型枠パネルを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ダム堤体(コンクリート構造物)
2 化粧壁体
3 コンクリート
10,10a〜10d 木材
20,20a 木材パネル
30a,30b,30c 支持具
43 ナット
45 縦筋部材
46 雄ネジ部
47 ナット
48 支持部材

Claims (2)

  1. コンクリート打設用の型枠の少なくとも一部分を化粧壁体により構成し、この型枠の内部にコンクリートを打設するコンクリート構造物の構築方法において、
    コンクリート構造物の構築現場に、少なくとも上端に雄ネジ部が形成された縦筋部材を複数並べて立設し、木材長手方向と直交する方向の貫通孔が形成された複数本の木材を、その貫通孔に前記縦筋部材を挿通する状態で上下に積み重ねるとともに、これらの木材の相互間及び/又は積み重ねられた木材の上方に、前記縦筋部材と係合し木材裏面側に突出する支持具を適宜に配設し、さらに、各縦筋部材上端の雄ネジ部にナットを螺合することにより積み重ねられた木材を下向きに押圧して化粧壁体となし、この化粧壁体を前記支持具に連結された鉄筋等の支持部材により裏面側から支持した状態で、化粧壁体を含んでなる型枠の内部にコンクリートを打設し、コンクリート硬化後も前記化粧壁体をコンクリート表面に残置することを特徴とするコンクリート構造物の構築方法。
  2. 化粧壁体を形成するための木材の一部を、貫通孔の位置を揃えて上下に積み重ねた状態に保持された適宜本数の木材からなる木材パネルとして用いる請求項1に記載のコンクリート構造物の構築方法。
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