JP2001311172A - 間伐材とジオグリッドを相互補完的に組合せた補強土擁壁 - Google Patents

間伐材とジオグリッドを相互補完的に組合せた補強土擁壁

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JP2001311172A
JP2001311172A JP2000130739A JP2000130739A JP2001311172A JP 2001311172 A JP2001311172 A JP 2001311172A JP 2000130739 A JP2000130739 A JP 2000130739A JP 2000130739 A JP2000130739 A JP 2000130739A JP 2001311172 A JP2001311172 A JP 2001311172A
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earth
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Toshio Noami
利雄 野網
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Original Assignee
Kyosei Kiko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工現場又はその周辺で得られる間伐材
及び堀削発生土砂を活用して、構造安定性が高く、低コ
ストの自然環境保全に適した擁壁構造物を提供する。 【解決手段】 補強土擁壁1は、前面及び背面のジオグ
リッド19、16と、多段に配置した水平ジオグリッド
23によって構成する偏平な篭内に土砂を詰め込んで外
部拘束する補強土壁体と、この補強土壁体を構築するた
めの、腰の支えの役目をするとともに、補強土壁体の構
築後も紫外線から上記前面ジオグリッドを守る役目をす
る間伐材壁面とによって相互補完的に構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、道路擁壁、特に山
岳道路における傾斜地盤上の擁壁、流水の少ない治山砂
防ダムの袖部、あるいは柵工等の各種の擁壁に適用され
る補強土擁壁に関する。
【0002】
【従来の技術】山岳道路における傾斜地盤上の擁壁や補
強土擁壁、流水のごく少ないような治山砂防ダムの袖
部、あるいは柵工等の各種の擁壁構造物は、従来、コン
クリートや鋼材等の工業資材を主体とした構造体が殆ど
であった。
【0003】しかし、擁壁構造物を構築する場所は、山
間部等資材の調達や運搬に不便な場所が多く、従来の工
業資材を利用した構造物では、その資材調達だけでな
く、その運搬にも費用、手間がかかる。又、擁壁構造物
を構築する際に、山腹の傾斜地盤等を掘削した際に発生
する土砂の処理、運搬等の問題も生じる。又、工場製品
を主体とした擁壁構造物は、自然景観との同化という点
では好ましくない。
【0004】一方、治山治水事業においては、山林の健
全な維持の為に、間伐することが重要であり、これによ
り生じる間伐材をいろいろな分野で有効利用することが
探られている。しかしながら、木は腐りやすいために本
格的な建設資材としては敬遠されており、抜本的回生策
はいまだ確立されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決することを目的とするもので、次のような課題を
有する。 (1)山間僻地に擁壁構造物を構築するに際して、コン
クリート、鋼材等の工業資材の使用は必要最低限とし、
間伐材や施工現場の掘削で発生する土砂を、擁壁構造物
の主体として活用する。これにより、間伐材の有効活用
を促進するとともに、工事現場からの掘削発生土砂の処
理活用を促進し、かつ山間部における工事資材の調達、
運搬の手間を極力省き、低コストの擁壁構造物を実現す
る。
【0006】(2)工業資材によらず、極力施工現場あ
るいはその周辺から得られる資材を利用しながらも、擁
壁構造物としての構造強度、安定性が確保される構造と
するとともに、仮に間伐材が朽ち果てても、ジオグリッ
ドで拘束された盛土壁面での緑化が進行し周辺自然と混
然一体となって同化し、人や自然に優しい新世代の擁壁
構造物を提供する。
【0007】(3)ジオグリッド(「敷網材」ともい
う。商品名:テンサー) を利用して土砂を詰み外部拘
束する篭状盛土構造物では、擁壁として十分な安定性と
強度を持つが、これと土砂の組み合わせだけでは壁体を
構築することが実用上難しい。そこで、間伐材で壁面を
形成することで一種の土砂盛土用の型枠とし、柔軟な土
砂補強用のジオグリッドとともに相互補完的に活用し、
粘り強い外部拘束型の補強土擁壁を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、前面及び背面のジオグリッドと、多段に配
置した水平ジオグリッドによって構成する偏平な篭内に
土砂を詰め込んで外部拘束する補強土壁体と、上記前
面、背面及び多段の水平ジオグリッドからなる柔軟な上
記偏平な篭内に上記土砂を盛立て上記補強土壁体を構築
するための、腰の支えの役目をするとともに、上記補強
土壁体の構築後も紫外線から上記前面ジオグリッドを守
る役目をする間伐材壁面と、によって相互補完的に構成
されていることを特徴とする補強土擁壁を提供する。
【0009】上記前面、背面ジオグリッドと底面の水平
ジオグリッドは1枚ものから形成されており、上記壁体
の盛立段階に応じて、上記前面ジオグリッドは上記間伐
材壁面の背面に、上記背面ジオグリッドは地山掘削面
に、それぞれたるまないように這わせて敷設され、上記
盛土を構築するための段階的な盛土施工と関連させて、
所要の鉛直間隔ごとに上記水平ジオグリッドをたるまな
いように上記前面および背面ジオグリッドと連結して敷
設する構造としてもよい。
【0010】上記間伐材壁面は、上方に継足しできるパ
イプ縦材を所定の間隔をあけて底面材と斜タイ材によっ
て地盤上に固定した後、上記間伐材を上記縦材に寄りか
からせて1列に積上げ、クランプを1本ずつ上記間伐材に
打ち込んで上記縦材に固定することを、上記縦材の継ぎ
足しに応じて繰り返して形成される構造としてもよい。
【0011】上記間伐材壁面は、2本の溝形鋼からな
り、背中合わせに長手方向にずらして組合せることで上
方に継足しできる縦材を、所定の間隔をあけて底面材と
斜タイ材によって地盤上に固定した後、上記間伐材の両
端を上記縦材の溝に沿わせて落としこむことで形成され
る構造としてもよい。
【0012】上記前面、背面および多段の水平ジオグリ
ッドで外部拘束された補強土壁体を形成するための一種
の型枠代わりとする上記間伐材壁面と上記盛土の結合
は、たるませることなくかつ簡単に連結可能なターンバ
ックルおよび複数の挿入孔が隔設された羽子板を有する
タイ材及び該タイ材の孔に差し込むアンカー鉄筋によ
り、上記縦材と上記水平ジオグリッドが連結されてなる
構造としてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る間伐材を活用した補
強土擁壁の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照し
て説明する。
【0014】(実施例1)図1は、本発明に係る間伐材
を活用した補強土擁壁の実施例1を示す全体図であり、
図1(a)は側断面図で、図1(b)は正面図である。
【0015】この間伐材を活用した補強土擁壁1は、道
路擁壁、特に山岳道路における傾斜地盤上の擁壁、流水
の少ない治山砂防ダムの袖部、あるいは柵工等の各種の
擁壁に適用される。補強土擁壁1の壁体2は、図1
(a)の掘削線Lで示される背後掘削面3と底面地盤4
上に形成される。図1に示される補強土擁壁1の構成
を、その施工方法とともに説明する。
【0016】(1)施工に際してはまず、底面地盤4上
の前部に、断面∠型の底面材5を設置する(図2
(a)、(b))。底面材5は、エキスパンドメタルや
剛性金網等が利用される。底面材5の前面折返部6に沿
って、複数本の縦材7が適宜の間隔で固定される。具体
的には、縦材7の下端部はクランプCにより前面折返部
6の前面に沿って固定されるとともに、縦材7の上部は
斜タイ材8により底面材5に連結される。この斜タイ材
8は、ターンバックル9を装備しており、その上端は縦
材7にクランプBにより、その下端は底面材5にクラン
プDにより各々固定される(図2(c)〜(f))。
【0017】(2)そして、各段における盛土(一段目
は底部盛土)を施工する際に、盛土を支える腰の役目を
する間伐材壁面14を構築する。まず暫定的に縦材7の
横方向の間隔を保持するために、横方向に水平に伸びた
間隔保持部材10を仮設材として、縦材7の上端に六角
ボルト11及び高ナット12で取り付ける(図3
(a))。
【0018】互いに隣接する縦材7の前面に、間伐材1
3を当接させ、縦材7に係合したクランプAを間伐材1
3に打ち込んで固定する。このように、複数本の間伐材
13を固定しながら、縦材7に沿って一列に積み上げ
て、間伐材13から成る間伐材壁面14を構築する。間
伐材壁面14の前方は土で埋め戻す(図3(b)〜
(e))。
【0019】(3)一枚ものからなる背面ジオグリッド
16、底面ジオグリッド17及び前面ジオグリッド19
を用意する。そして、背面ジオグリッド16及び底面ジ
オグリッド17を、背後堀削面3と底面地盤4にたるま
ないように密着して全体的に敷き、背後堀削面3の上
端、中腹及び下端部等、そして底面地盤4の前縁部等の
複数の適宜箇所にとめピン18を、背後堀削面3や底面
地盤4に打ち込んで固定する(図4(a))。
【0020】そして、前面ジオグリッド19を縦材7や
間伐材壁面14の背面側に沿って上方へ伸ばし、その上
端ロール部20を間伐材壁面14の頂端を越えて谷側に
ロール状に巻かれた状態で置く(図4(a))。
【0021】そして、植生マット21を必要に応じて前
面ジオグリッド19の背面に張り付ける(図4
(a))。背面ジオグリッド16、底面ジオグリッド1
7及び前面ジオグリッド19は、上記のとおり一枚もの
を利用するが、具体的には、一枚となったジオグリッド
をロール状に巻き、その一端部を背面ジオグリッド16
として背後堀削面3にとめピン18で固定し、ロールを
巻きほぐしながら敷設する。なお、複数のジオグリッド
を連結材(隣接するジオグリッドの端縁部同士を重ねて
両者の網目内に交互に挿入して連結する周知の連結材。
後述する連結材24と同じ構成である。)によりつない
で敷設してもよい。
【0022】(4)背面ジオグリッド16、底面ジオグ
リッド17及び前面ジオグリッド19で囲まれる空所内
に、土砂を中詰めして、転圧ローラ等を利用して25c
m厚程度の薄層に締固めを行いながら、ほぼ鉛直に50
cm程度の高さまで盛り立て底部盛土構造22とする
(図4(b))。この土砂は、おもに掘削発生土砂、あ
るいは堀削土砂がとくに悪い場合には別途用意した土砂
を利用するもので、その性状は礫、礫質土、砂、砂質土
等である。
【0023】(5)底部盛土22の上面に水平ジオグリ
ッド23を敷き、この水平ジオグリッド23の後方端付
近をとめピン18で止めてから、たるませないように水
平ジオグリッド23の後方端を、背面ジオグリッド16
に連結材24で固定する。水平ジオグリッド23の前方
端25は、自由状態にしておく(図5(a)、
(b))。
【0024】(6)水平ジオグリッド23の上面に、タ
ーンバックル27及び羽子板29を有するタイ材26を
置く。タイ材26の前端はクランプEで縦材7に固定す
る。タイ材26の後方端には、アンカー鉄筋28を取り
付ける羽子板29が固定されている。羽子板29には、
その長手方向にアンカー鉄筋用の複数の挿入孔30が隔
設されている(図6(a)〜(d))。
【0025】(7)アンカー鉄筋28は、水平ジオグリ
ッド23の網目31内を上下交互に縫うようにくぐらし
て取り付けるとともに、タイ材26の後方端に取り付け
られた羽子板29の挿入孔30に挿入して横方向に設置
する。この際、アンカー鉄筋28が水平ジオグリッド2
3の網目31をくぐる場合、その網目31から見て前方
(谷側)の結節点32の近くに位置するように、羽子板
29の複数の挿入孔30を選択して挿入する(図6
(b)、(d))。以上の工程により土砂、即ち底部盛
土22が、背面ジオグリッド16、底面ジオグリッド1
7、前面ジオグリッド19及び水平ジオグリッド23に
より囲まれて成る柔軟な偏平な篭内に詰め込まれた篭状
底部盛土33が形成される。
【0026】(8)篭状底部盛土33上に、土砂34を
敷均し締固めを行うことによって中詰めする。土砂の盛
り立ては、アンカー鉄筋28及び羽子板29が土砂内に
埋まる程度の範囲まで行う。ターンバックル27が土砂
34で埋まらないように、水平ジオグリッド23の前方
上面には土砂33をかぶせないようにする(図7
(a))。
【0027】(9)ターンバックル27をまわして、タ
イ材26を短くなる方向に締めると、アンカー鉄筋28
が結節点32に当接して、さらに縦材7と水平ジオグリ
ッド23が一体にしっかりと連結される。このようにタ
ーンバックル27を締め付けても、羽子板29及びアン
カー鉄筋28は、土砂34の重量によって固定された水
平ジオグリッド23の結節点32に係止されているか
ら、タイ材26は前方(谷側)にずれるようなことはな
い(図7(b))。
【0028】(10)水平ジオグリッド23の前端部2
5は、上記のとおり自由状態となっているが、ここで、
水平ジオグリッド23を前方(谷側)に引っ張り、たる
ませないようにその前端を、連結材35により前面ジオ
グリッド19に連結する。連結材35は、水平ジオグリ
ッド23と前面ジオグリッド19の網目内を縫い込むよ
うに挿入して、両者を連結する(図8(a)、
(b))。
【0029】(11)篭状底部盛土33の前方上面に
も、土砂36を薄層に敷均して締固めを行い中詰めす
る。このようにして、中間盛土37が形成される。そし
て、縦材7の上端に仮設材として暫定的に取り付けられ
ていた間隔保持部材10が取り外され、その代わりに、
縦材7に、縦材継手60を差込みボルトで固定して上段
の縦材7を接続する(図8(c))。
【0030】以下、中間盛土37上に、上記工程(5)
〜(7)で説明した方法と同様に、ターンバックル及び
羽子板を有するタイ材26で縦材7と連結することで、
水平ジオグリッド23を所要の鉛直間隔毎にたるまない
ように敷設していき、その後方端を背面ジオグリッド1
6に、その前端を前面ジオグリッド19に連結して、偏
平な篭内に土砂、即ち中間盛土37が包み込まれて成る
篭状盛土構造38を多段状に形成する。さらに、縦材7
も縦材継手60で接続していく。
【0031】(12)以上の工法を繰り返して、底面地
盤4上に構築された一段目である篭状底部盛土33上
に、順次複数段の中間部の篭状盛土を構築して、壁体2
の傾斜面のほぼ上端まで盛り立てていく。そして、最上
段の篭状盛土39を盛り立ててから、前面ジオグリッド
19の上端を、前方(谷側)から折り返し、最上段の篭
状盛土39の上面に沿って後方(山側)に敷設してい
き、最上段水平ジオグリッド40となし、その後方端を
背面ジオグリッド16に連結材41により連結する。
(図9(a))。
【0032】(13)最上段ジオグリッド40の上面に
天端保護盛土42を敷均し、締固める(図9(b))。
なお、最上段の縦材に取り付けられる間隔保持材10は
仮設材として取り外すようなことはしないで取り付けた
ままとする。
【0033】以上の施工方法によって、図10にその立
体構造を示すように、背面ジオグリッド16、水平ジオ
グリッド23、前面ジオグリッド19で偏平に包み込ん
で外部拘束された盛土が多段状に積まれた補強土壁体5
9が構築される。
【0034】しかも、水平タイ26及びアンカー鉄筋2
8で緊締された縦材7によって、複数本の間伐材を支持
することで間伐材壁面14を構築し、この間伐材壁面1
4を、補強土壁体59の前面に配置し、相互補完的に組
み合わせて補強土擁壁1が構築されているから、きわめ
て粘りのある外部拘束型の補強土擁壁としての機能を発
揮する。
【0035】以上のような本発明に係る補強土擁壁1の
全体構造は、図1に示されるものであるが、その構成を
まとめると次のようになる。底面地盤4上の前部に底面
材5が配置され、その前面折返部6に沿って複数の縦材
7が横方向に一定の間隔で設置され、斜タイ材8で底面
材5に固定されている。この縦材7の上端には縦材継手
60により上段の縦材7が継ぎ足され、このようにして
次々と縦材7が継ぎ足されていく。横方向に隣接する縦
材7の間には、間伐材を積み重ねて間伐材壁面14が構
築される。
【0036】背後堀削面3と底面地盤4には、背面ジオ
グリッド16及び水平ジオグリッド23が敷設され、前
面ジオグリッドは、縦材7及び間伐材壁面体14の背面
に沿って上方へ配置される。前背面ジオグリッド16、
19と水平ジオグリッド23により囲まれた所に、土砂
が中詰めされて締め固められ、複数段の盛土が構築され
る。各段の盛土の上面には、水平ジオグリッド23が敷
設されており、さらにターンバックル付きタイ材26が
設置されている。
【0037】水平ジオグリッド23には、アンカー鉄筋
28が挿入され水平ジオグリッド23の結節点32に当
接するように設置されている。アンカー鉄筋28は、タ
ーンバックル付きタイ材26の後方端に固定された羽子
板29の複数の挿入孔30の一つに選択的に挿入されて
いる。タイ材26の前端は、クランプEにより縦材7に
固定されている。これにより、縦材7は水平ジオグリッ
ド23と互いに連結されることで、土砂盛立時の間伐材
壁面を支持する。
【0038】最上段の盛土の上面には、前面ジオグリッ
ド19の上端部が前端より折り返されて最上段ジオグリ
ッド40として敷設され、その後方端は背面ジオグリッ
ド16に連結材41により固定されている。そして、最
上段ジオグリッド40上には、天端保護盛土42を盛り
立てる。
【0039】以上説明した実施例1では、水平ジオグリ
ッド23は、全面的に敷設された構成を説明したが、必
ずしも全面的に敷設されていなくてもよく、横方向に部
分的に、例えば、上段の篭状盛土構造物については、一
定間隔をあけてとびとびに敷設するようにしてもよい。
【0040】(実施例2)次に、本発明に係る補強土擁
壁の実施例2を図11〜12において説明する。この実
施例は、実施例1とその補強土擁壁及びその施工方法
は、ほぼ同じであるが、縦材及びその固定に関する構成
が異なる。図11(a)、(b)に示すように、縦材4
4は、互いに背中合わせにボルト45により接合され固
定される左右一対の断面凹状の溝型鋼から構成される。
【0041】この溝形鋼は、最上段と最下段のみに対し
て長い寸法の溝形鋼47と、短い寸法の溝形鋼48を用
意する(図12(b))。中間では長い寸法の溝形鋼を
互い違いに組み合わせて上方へ伸ばすことができる。そ
うすることで左右の縦材全体の長さを揃えることができ
る。
【0042】施工に際して、最下段の左右の溝形鋼は、
底面材5の前面折返部6の前面に沿ってボルト46及び
添板50により固定される。そして、最下段の左右の溝
形鋼の長い方の溝形鋼47を横方向に隣接する同士を、
実施例1同様に仮設材である間隔保持材51で暫定的に
結合する(図12(a)、(b))。
【0043】互いに横方向に相対向して隣接する縦材
は、それぞれの溝が一定間隔をおいて向き合う状態とな
る。このような隣接する縦材の間に間伐材13を複数本
落とし込み、間伐材壁面52を構築する。間伐材13
は、その端部が溝形鋼の溝に挿入されて、くさび53に
より固定される(図12(c)、(d))。
【0044】そして、実施例1の上記(4)〜(7)の
工程同様に、水平ジオグリッド23上に土砂が中詰めさ
れてから、ターンバックル付きのタイ材26により、縦
材44と水平ジオグリッド23とUボルト49で結合さ
れ、水平ジオグリッド23及びアンカー鉄筋が土砂によ
り固定されてから、ターンバックル27を回して水平ジ
オグリッドと一体に連結される(図11(b))。
【0045】
【発明の効果】以上のような構成の本発明は、次のよう
な効果を奏する。 (1)コンクリート、鋼材等の工業資材の使用は必要最
低限に止め、現地で調達可能な間伐材や、現場での施工
中発生する土砂等を、擁壁構造物の主体として利用した
ので、山間部への工事資材の調達、運搬の手間が省か
れ、間伐材の有効活用ができるとともに、工事現場から
生じる残土の自前の処理ができ、その経済的効果は極め
て大きく、又、林野事業、環境整備事業等への貢献も大
である。
【0046】(2)ジオグリッドと間伐材とを相互補完
的(相乗的)に組み合わせることにより、極めて強度及
び安定性の大きい、篭状の盛土構造を特徴とする補強土
擁壁が実現できるとともに、自然の資材を主体として利
用したので、自然環境、景観との調和を図ることがで
き、将来的にも工業資材による擁壁構造物に多々見られ
ような環境、景観破壊等の禍根を残すことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の補強土擁壁の構成及びその施
工方法を説明する図であり、(a)はその断面図であ
り、(b)は正面図とその一部破断図である。
【図2】実施例1の補強土擁壁の主に縦材の構成を示す
図である。
【図3】実施例1の補強土擁壁の主に間伐材壁面体の構
成を示す図である。
【図4】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、背面、底面及び前面ジオグリッ
ドの敷設工程等を説明する図である。
【図5】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、水平ジオグリッドの敷設工程等
を説明する図である。
【図6】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、縦材の水平ジオグリッドへ緊締
する工程等を説明する図である。
【図7】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、縦材の水平ジオグリッドへ緊締
するタイ材の固定等を説明する図である。
【図8】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、中間盛土を施工する工程を説明
する図である。
【図9】実施例1の補強土擁壁の構成及び施工方法を説
明する図であり、特に、最上段の篭状盛土及び天端保護
盛土を施工する工程を説明する図である。
【図10】実施例1の補強土擁壁の構成、特にジオグリ
ッドを篭状構造を示す図である。
【図11】実施例2の補強土擁壁の構成、特に縦材の構
成及びその取り付け構造を示す図である。
【図12】実施例2の補強土擁壁の構成、特に縦材及び
間伐材壁面体の構成及びその施工方法を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 補強土擁壁 3 背後堀削面 4 底面地盤 7、44 縦材 9、27 ターンバックル材 10、51 間隔保持材 13 間伐材 14、52 間伐材壁面 16 背面ジオグリッド 17 底面ジオグリッド 19 前面ジオグリッド 22 底部盛土 23 水平ジオグリッド 26 タイ材 28 アンカー鉄筋 29 羽子板 32 結節点 33 篭状底部盛土 37 中間盛土 38 篭状盛土構造 39 最上段の篭状盛土 40 最上段ジオグリッド 42 天端保護盛土

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前面及び背面のジオグリッドと、多段
    に配置した水平ジオグリッドによって構成する偏平な篭
    内に土砂を詰め込んで外部拘束する補強土壁体と、 上記前面、背面及び多段の水平ジオグリッドからなる柔
    軟な上記偏平な篭内に上記土砂を盛立て上記補強土壁体
    を構築するための、腰の支えの役目をするとともに、上
    記補強土壁体の構築後も紫外線から上記前面ジオグリッ
    ドを守る役目をする間伐材壁面と、 によって相互補完的に構成されていることを特徴とする
    補強土擁壁。
  2. 【請求項2】 上記前面、背面ジオグリッドと底面の
    水平ジオグリッドは1枚ものから形成されており、上記
    壁体の盛立段階に応じて、上記前面ジオグリッドは上記
    間伐材壁面の背面に、上記背面ジオグリッドは地山掘削
    面に、それぞれたるまないように這わせて敷設され、上
    記盛土を構築するための段階的な盛土施工と関連させ
    て、所要の鉛直間隔ごとに上記水平ジオグリッドをたる
    まないように上記前面および背面ジオグリッドと連結し
    て敷設することを特徴とする請求項1記載の補強土擁
    壁。
  3. 【請求項3】 上記間伐材壁面は、上方に継足しでき
    るパイプ縦材を所定の間隔をあけて底面材と斜タイ材に
    よって地盤上に固定した後、上記間伐材を上記縦材に寄
    りかからせて1列に積上げ、クランプを1本ずつ上記間伐
    材に打ち込んで上記縦材に固定することを、上記縦材の
    継ぎ足しに応じて繰り返して形成される構造であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の補強土擁壁。
  4. 【請求項4】 上記間伐材壁面は、2本の溝形鋼から
    なり、背中合わせに長手方向にずらして組合せることで
    上方に継足しできる縦材を、所定の間隔をあけて底面材
    と斜タイ材によって地盤上に固定した後、上記間伐材の
    両端を上記縦材の溝に沿わせて落としこむことで形成さ
    れる構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    補強土擁壁。
  5. 【請求項5】 上記前面、背面および多段の水平ジオ
    グリッドで外部拘束された補強土壁体を形成するための
    一種の型枠代わりとする上記間伐材壁面と上記盛土の結
    合は、たるませることなくかつ簡単に連結可能なターン
    バックルおよび複数の挿入孔が隔設された羽子板を有す
    るタイ材及び該タイ材の孔に差し込むアンカー鉄筋によ
    り、上記縦材と上記水平ジオグリッドが連結されてなる
    構造であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載の補強土擁壁。
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