JP5524533B2 - 車両用サスペンションのスプリングシート - Google Patents

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この発明は、車両用サスペンションのスプリングシートに関し、特に、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングが取り付けられる車輪支持部材に装着されて、コイルスプリングの受け座となる車両用サスペンションのスプリングシートに関する。
従来、車輪を支持するアーム部材を、自動車のボデー(車体)側部材に対し所定の揺動中心軸周りに揺動可能に取り付け、揺動端側をショックアブソーバとコイルスプリングを介してボデー側と連結した自動車のサスペンション装置において、コイルスプリングの取り付け部位に介装されて、アーム部材をボデー側部材に弾性連結させるスプリングシートが知られている。
このようなものとして、例えば、自動車の後輪サスペンションに採用された車軸式懸架系のトーションビーム式サスペンション機構のトレーリングアームの座部に載置された、「スプリングシートラバー」(特許文献1参照)がある。このスプリングシートラバーに、トレーリングアームと車両ボデー側部材の間に配置されるコイルスプリングの下端部が載置され支持されることにより、トレーリングアームがボデー側部材に対して弾性的に揺動可能に連結される。
この「スプリングシートラバー」は、サスペンション機構のアーム部材とコイルスプリングとの軸方向対向面間に配置される環状板部を有し、この環状板部の外周縁部に対し少なくともアーム部材の揺動中心軸から最も遠い位置に、環状板部に当接するコイルスプリングの端面外周側に突出する規制凸部が一体形成されている。これにより、アーム部材の揺動時、スプリングシートラバーがめくれ上がる方向に変位しようとした場合、規制凸部がコイルスプリングの外周面に当接することによってスプリングシートラバーのそれ以上のめくり上がり方向への送りが阻止される。
よって、アーム部材が揺動中心軸周りに繰り返し大きく揺動変位させられたとしても、めくれ上がりによるスプリングシートラバーのアーム部材とコイルスプリングの間からの抜け出しが抑えられる。
特開2003−118341号公報
しかしながら、従来の「スプリングシートラバー」(特許文献1参照)においては、規制凸部が設けられている環状板部は、板部中央に孔が開いているリング状に形成されているので、形状が変形し易かった。つまり、アーム部材の揺動時、規制凸部を設けたことにより、環状板部の規制凸部が形成された側のめくり上がり方向への送りは阻止されるが、環状板部の延び変形によって、規制凸部が形成された側の反対側においてはめくり上がり方向への送りを阻止することができなかった。
この発明の目的は、車体側部材とコイルスプリングを介して連結される車輪側支持部材の揺動時、コイルスプリング当接面におけるめくれ上がりを阻止することができる車両用サスペンションのスプリングシートを提供することである。
上記目的を達成するため、この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、弾性体により形成されて、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングとコイルスプリングの車輪側支持部材との間に配置されており、コイルスプリングの下端面に接してコイルスプリングを受け止める円環状の受け座面部の、コイルスプリングの巻線端が位置する線端受け部と、受け座面部を外周とし中央部に突出して突出端面が形成された中央段部を挟んで対向する位置には、規制部が堤状に突設配置され、受け座面部の線端受け部側と規制部側は、中央段部を座面連結部として一体的に連結され、座面連結部は、受け座面部と一体化して受け座面部の内側空間を塞いでおり、座面連結部とその周囲の受け座面部からなる円盤状に形成されている。
また、この発明の他の態様に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、座面連結部が、受け座面部と一体化して受け座面部の内側空間を塞ぎ、座面連結部とその周囲の受け座面部からなる円盤状に形成されている。
また、この発明の他の態様に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、線端受け部が、車輪側支持部材の揺動中心に近い側に位置し、規制部が、車輪側支持部材の揺動中心から遠い側に位置する。
また、この発明の他の態様に係る車両用サスペンションのスプリングシートは、受け座面部に少なくとも一個の空隙部を設けている。
この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートによれば、弾性体により形成されて、車両用サスペンションを構成するコイルスプリングとコイルスプリングの車輪側支持部材との間に配置されており、コイルスプリングの下端面に接してコイルスプリングを受け止める円環状の受け座面部の、コイルスプリングの巻線端が位置する線端受け部と、受け座面部を外周とし中央部に突出して突出端面が形成された中央段部を挟んで対向する位置には、規制部が堤状に突設配置され、受け座面部の線端受け部側と規制部側は、中央段部を座面連結部として一体的に連結され、座面連結部は、受け座面部と一体化して受け座面部の内側空間を塞いでおり、座面連結部とその周囲の受け座面部からなる円盤状に形成されているので、車体側部材とコイルスプリングを介して連結される車輪側支持部材の揺動時、受け座面部の線端受け部側と規制部側が連動して、コイルスプリング当接面におけるめくれ上がりを阻止することができ、受け座面部の線端受け部側と規制部側が連動し、コイルスプリング当接面におけるめくれ上がりを阻止することができる。
た、上記車両用サスペンションのスプリングシートにおいて、受け座面部に少なくとも一個以上の空隙部を設けたことにより、受け座面に、喩え、水が入り込んだとしても排出することができ、溜まることがない。
この発明の一実施の形態に係る車両用サスペンションのスプリングシートの装着状態を示す斜視図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図1のスプリングシートの平面図である。 この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートの他の例を示す平面図である。
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る車両用サスペンションのスプリングシートの装着状態を示す斜視図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図3は、図1のスプリングシートの平面図である。
図1から図3に示すように、車両用サスペンションのスプリングシート10は、例えば、天然ゴム(Natural Rubber:NR)等の弾性材料からなる、例えば、厚さ3mmmの板状弾性体により略円盤状に形成されており、中央部に僅かに突出して突出端面が円形平坦面状に形成された中央段部11と、中央段部11の外周に形成された受け座面部12を有している。
このスプリングシート10が用いられる車両用サスペンションは、車輪を支持する車輪側支持部材(アーム部材)を、車体側部材に対し所定の揺動中心軸周りに揺動可能に取り付け、揺動端側をショックアブソーバとコイルスプリングを介して車体側と連結した構成を有しており、コイルスプリングは、ショックアブソーバとは異なる位置に独立して装着されている。
このような車両用サスペンションとしては、例えば、トレーリングアーム式サスペンション、トーションビーム式サスペンション等がある。
車両用サスペンションを構成するコイルスプリング13は、上端側(図示しない)が、弾性部材からなるアッパーシート(図示しない)を介して車体側部材(図示しない)に当接し、下端側が、弾性部材からなるロアシート、即ち、スプリングシート10を介して車輪側支持部材のブラケット14に当接しており(図2参照)、車体側部材と車輪側支持部材との間に組み込まれている。このとき、ブラケット14に当接するコイルスプリング13の下端側は、下端内部空間にブラケット14の上端凸部14aを入り込ませることにより、車輪側支持部材のブラケット14に位置決め固定される(図2参照)。
つまり、スプリングシート10は、コイルスプリング13と、コイルスプリング13の車輪側支持部材との間に配置されている。
スプリングシート10の中央段部11は、ブラケット14の上端凸部14aの外側形状に対応する内側形状を有しており、ブラケット14に載置したスプリングシート10の中央段部11には、ブラケット14の上端凸部14aが嵌合状態に入り込んでいる(図2参照)。また、スプリングシート10の受け座面部12は、コイルスプリング13の下端面形状に対応する平面視円環状に形成されており、コイルスプリング13の下端内部空間に中央段部11を入り込ませた状態(図2参照)でコイルスプリング13の下端面に接して、コイルスプリング13を受け止めている。
受け座面部12は、コイルスプリング13の巻線端(コイル端)13a、即ち、切断端面部が位置する線端受け部12aを最低部とし巻線状態に対応して徐々に上り勾配となる傾斜面により形成されており(図1参照)、線端受け部12aと対向する位置に規制部12bを有している。
そして、スプリングシート10は、ブラケット14に載置された状態で、線端受け部12aを、車輪側支持部材の揺動中心(ブラケット14に対し、例えば、車体前方側に位置)に近い側に位置させ、規制部12bを、車輪側支持部材の揺動中心から遠い側に位置させている。
規制部12bは、線端受け部12aに対し受け座面部12の略直径位置に、コイルスプリング13の外周面外側に位置して、受け座面部12上方、即ち、コイルスプリング13側に突設されており、コイルスプリング13の外周面に沿って、受け座面部12の平面中心角略90度から略180度の間に位置する長さの恰も防波堤状に、例えば、天然ゴム(NR)等の弾性材料からなる弾性体により受け座面部12と一体的に形成されている(図3参照)。
規制部12bを設けたことにより、ブラケット14を介してスプリングシート10が装着された車輪側支持部材が、車輪側支持部材より車体前方に位置する所定の揺動中心軸を中心として、中心軸周りに車体上下方向に揺動する(図2、矢印参照)際、ブラケット14に載置されたスプリングシート10の受け座面部12底面が、ブラケット14から離反するようにめくれ上がるのを阻止することができ、喩え、めくれ上がったとしてもめくれ上がりを極力少なくすることができる。
つまり、車輪側支持部材のブラケット14の車体上下方向への揺動時(図2、矢印参照)、揺動に伴ってコイルスプリング13が圧縮伸張することにより、コイルスプリング13下端面が圧接するスプリングシート10の受け座面部12にはコイルスプリング13からの押圧力が加わり、受け座面部12を内側へ送り出そうとするが、規制部12bを形成したことで剛性を高めた受け座面部12に、コイルスプリング13からの押圧力が受け止められ、めくれ上がりを生じさせるスプリングシート10の内側への送り出しに対する抵抗力が増大するからである。
また、線端受け部12aにおいても同様に、ブラケット14の車体上下方向への揺動時、コイルスプリング13からの押圧力が加わり、スプリングシート10の受け座面部12を外側へ送り出そうとするが、線端受け部12aが設けられた受け座面部12は、中央段部11と一体化して、中央段部11と共に一つの円盤状板体からなるスプリングシート10を形成していることから、線端受け部12aと共に受け座面部12に設けられた規制部12bも、線端受け部12aの動きに追従する。
従って、線端受け部12aに、スプリングシート10の外側へと送り出そうとする(図2、矢印a参照)力が作用した場合、線端受け部12aに追随して規制部12bを線端受け部12a側へ引っ張ろうとし(図2、矢印b参照)、スプリングシート10全体に作用することになる。このため、めくれ上がりを生じさせる線端受け部12aの外側への送り出しに対する抵抗力が増大して、コイルスプリング13当接面であるスプリングシート10の線端受け部12aの底面が、ブラケット14から離反するようにめくれ上がるのを阻止することができ、喩え、めくれ上がったとしてもめくれ上がりを極力少なくすることができる。
このように、スプリングシート10を、中央段部11と受け座面部12が一体化した円盤状に形成したことにより、中央段部11は、車輪側支持部材の揺動時、線端受け部12aの動きに規制部12bが追従するように、受け座面部12の線端受け部12a側と規制部12b側を一体的に連結する座面連結部として機能する。即ち、座面連結部(中央段部11)は、受け座面部12と一体化して受け座面部12の内側空間を塞いでおり、スプリングシート10は、座面連結部とその周囲の受け座面部12からなる円盤状に形成されている。
また、受け座面部12には、受け座面部12に水が入り込んだ場合の対応として、入り込んだ水を受け座面部12の外へ排出する水抜きとして空隙部(図示しない)を、効果的な排出ができる位置、例えば、受け座面部12の最低部に、一個或いは複数個有している。これにより、受け座面部12に、喩え、水が入り込んだとしても排出することができ、受け座面部12に水が溜まることがない。
なお、スプリングシート10は、中央段部11と受け座面部12が一体化した円盤状に形成されているが、これに限るものではなく、中央段部11の代わりに架橋部を設けても良い。
図4は、この発明に係る車両用サスペンションのスプリングシートの他の例を示す平面図である。図4に示すように、サスペンションシート20は、中央段部11が設けられておらず、受け座面部12の、コイルスプリング13の下端部13aが配置される線端受け部12a側と、コイルスプリング13の外周面に沿って突設された規制部12b側を連結する、受け座面部12平面の略直径位置に架け渡された架橋部21を有しており、その他の構成及び作用は、サスペンションシート10と同様である。
サスペンションシート20は、円環状の受け座面部12の中央空間を横切って架橋部21が架け渡されており、架橋部21は、例えば、天然ゴム(NR)等の弾性材料からなる板状弾性体により形成されて、その両端が連結される線端受け部12a及び規制部12bと一体的に結合されている。これにより、線端受け部12aの動きに規制部12bが追従することになる。
つまり、架橋部21は、車輪側支持部材の揺動時、線端受け部12aの動きに規制部12bが追従するように、受け座面部12の線端受け部12a側と規制部12b側を一体的に連結する座面連結部として機能する。
このため、車輪側支持部材のブラケット14の車体上下方向への揺動時、揺動に伴ってコイルスプリング13が圧縮伸張することにより、コイルスプリング13下端面が圧接するスプリングシート10にコイルスプリング13からの押圧力が加わっても、めくれ上がりを生じさせる線端受け部12aの外側への送り出しに対する抵抗力が増大して、コイルスプリング13当接面であるスプリングシート10の線端受け部12aの底面が、ブラケット14から離反するようにめくれ上がるのを阻止することができ、喩え、めくれ上がったとしてもめくれ上がりを極力少なくすることができる。
10,20 車両用サスペンションのスプリングシート
11 中央段部
12 受け座面部
12a 線端受け部
12b 規制部
13 コイルスプリング
13a 巻線端
14 ブラケット
14a 上端凸部
21 架橋部

Claims (3)

  1. 車両用サスペンションを構成するコイルスプリングと前記コイルスプリングの車輪側支持部材との間に配置される、弾性体により形成された車両用サスペンションのスプリングシートにおいて、
    前記コイルスプリングの下端面に接して前記コイルスプリングを受け止める円環状の受け座面部と、
    前記受け座面部を外周とし中央部に突出して突出端面が形成された中央段部と、
    前記受け座面部の、前記コイルスプリングの巻線端が位置する線端受け部と前記中央段部を挟んで対向する位置に、堤状に突設配置される規制部とを有し、
    前記受け座面部の前記線端受け部側と前記規制部側は、前記中央段部を座面連結部として一体的に連結され
    前記座面連結部は、前記受け座面部と一体化して前記受け座面部の内側空間を塞いでおり、前記座面連結部とその周囲の前記受け座面部からなる円盤状に形成されている車両用サスペンションのスプリングシート。
  2. 前記線端受け部を、前記車輪側支持部材の揺動中心に近い側に位置させ、前記規制部を、前記車輪側支持部材の揺動中心から遠い側に位置させた請求項1に記載の車両用サスペンションのスプリングシート。
  3. 前記受け座面部は、少なくとも一個以上の空隙部を有する請求項1または2に記載の車両用サスペンションのスプリングシート。
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