JP4018003B2 - 自動車用ホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスクとリムとからなる自動車用ホイールに関し、さらに詳しくは、タイヤの空気圧を検出する空気圧検出装置を備えたエアバルブを取り付けるための自動車用ホイールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ホイールとして、タイヤを装着するリムに、該タイヤ内に空気を注入するエアバルブを装着するためのバルブ孔が設けられており、中心にハブ孔が形成されたディスクに、該ハブ孔の半径方向外側に位置し周方向に均等間隔で略円形状の飾り孔が複数配設されているものがある。ここで、ディスクに設けられた飾り孔は、ホイールの軽量化や意匠性向上と共に、ブレーキから発生する熱を放熱する作用を発揮するものとして構成されている。
【0003】
一方、自動車の走行性能、安全性、耐久性、燃費等の各性能を所望のレベルに維持するためには、タイヤの空気圧が適正な圧力に保持されている必要がある。そのため、近年、タイヤの空気圧を検出するための空気圧検出装置を配設することへの要求が高まってきた。この空気圧検出装置としては、一般的に、空気圧を感知する感圧素子と、該感圧素子による検知信号を車両側に配設された受信機に送信する送信装置とから構成されている。また、この空気圧検出装置はエアバルブと接合されて一体型の形態として構成され、該エアバルブがリムのバルブ孔に装着されることにより、該空気圧検出装置がタイヤ内に配されるようになっているものが良く知られている。
【0004】
上記のような空気圧検出装置と一体型を成すエアバルブが装着された場合、この自動車用ホイールは、該空気圧検出装置の自重によって、エアバルブ装着位置が局部的に重量増加するため、該自動車用ホイールの重量バランスが崩れることとなる。そのため、このような空気圧検出装置の装着によって生じる重量のアンバランス化を更生する方法が種々提案されている。例えば、バルブ孔とホイール中心に対して反対となる位置に、空気圧検出装置の自重に等しいバランスウェイトを取り付ける方法や、バルブ孔と反対位置のディスクに形成される飾り孔を小さくしたり、無くしたりする方法(例えば、特許文献1)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−240501号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、エアバルブと接合された空気圧検出装置にあっては、バルブ孔に装着されたエアバルブを介してリムに取り付けられた状態となる。このような空気圧検出装置には、自動車の走行中にあって、路面から受ける衝撃力等の振動が自動車用ホイールを介して断続的に伝わることとなる。そのため、この振動によって、感圧素子や送信装置の誤作動を生じたり、故障や寿命低下等の原因になるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決し、空気圧検出装置が適正に作動し得る自動車用ホイールを提案する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の自動車用ホイールにあって、ディスクの、バルブ孔とホイール中心とを結ぶ縦軸上で該バルブ孔に隣接して設けられ、当該縦軸に対して対称形状となるように、両側に拡幅された小判形状のバルブ隣接飾り孔を備え、該バルブ隣接飾り孔が、飾り孔の形成されている周方向に沿って、湾曲的に拡幅され、かつ前記空気圧検出装置のホイール周方向幅に比して、拡幅されてなるものであることを特徴とする。
【0009】
かかる構成にあっては、バルブ孔に隣接して小判形状のバルブ隣接飾り孔を形成することにより、この領域の剛性を局部的に低減し、ホイール半径方向に変形し易くしたものである。これにより、このバルブ隣接飾り孔のホイール半径方向外側の部分では、自動車の走行中に受ける振動が、このバルブ隣接飾り孔の形成された領域の変形によって緩和されることとなり得る。このようなバルブ隣接飾り孔の有する振動の緩衝作用によって、エアバルブに接合している空気圧検出装置に伝わる振動を緩和することができる。而して、本発明にあっては、空気圧検出装置の防振性を向上させることができるため、該空気圧検出装置が走行中の振動によって誤作動や故障等を発生することを防止でき、寿命を向上させることも可能となる。
【0010】
また、このようにバルブ孔に隣接して小判形状のバルブ隣接飾り孔を設けることにより、ホイール全体に対してこの領域の重量が減少することとなるから、自動車用ホイールは周方向で重量アンバランスな状態となる。そして、この自動車用ホイールのバルブ孔に、空気圧検出装置と一体型を成すエアバルブを装着することにより、該空気圧検出装置による重量増加と、バルブ隣接飾り孔による重量減少とを相殺させることができる。而して、空気圧検出装置と一体型を成すエアバルブを装着した状態にあって、本自動車用ホイールは、周方向で重量バランスが適切に保たれた状態となりえ、自動車走行中において、優れた振動特性と繰安性等を発揮することが可能である。
【0011】
さらにまた、タイヤの空気圧調整時などにあって、エアバルブを開閉する場合に、小判形状に拡幅されたバルブ隣接飾り孔の存在によって、作業者は指を比較的動かし易くなるから、この開閉作業の作業効率が向上するという優れた利点もある。
【0012】
一方、上述したバルブ隣接飾り孔が、飾り孔の形成されている周方向に沿って、湾曲的に拡幅されてなるものであるとした構成としている。かかる構成にあっては、バルブ隣接飾り孔が、他の飾り孔が形成されている同心円に沿って湾曲した小判形状を成すものである。これにより、自動車用ホイールの円形状に沿って、当該バルブ隣接飾り孔の有する緩衝作用が発揮されることとなるから、走行中に生じる振動を、一層適正に緩和させることができる。
【0013】
また、バルブ孔に、タイヤの空気圧を検出する空気圧検出装置を備えたエアバルブが装着される自動車用ホイールにあって、バルブ隣接飾り孔が、前記空気圧検出装置のホイール周方向幅に比して、拡幅されてなるものであるとした構成としている。かかる構成により、バルブ隣接飾り孔の有する緩衝作用を、空気圧検出装置のホイール周方向長さ全域に亘って発揮させることができ、該空気圧検出装置の防振性をより適切なものとし得る。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態例を添付図面に従って説明する。
図1はスチール製の、リム2と、ハブ孔4をその中央に具備するディスク3とからなる、いわゆる2ピースタイプの自動車用ホイール1を表す縦断面図である。かかる自動車用ホイール1は、リム2のドロップ部16の内周面に、ディスク3のディスクフランジ部11を嵌め合わせた後、該ドロップ部16とディスクフランジ部11を、アーク溶接、スポット溶接、レーザー溶接等の様々な溶接方法によって接合されて一体化されてなる。
【0015】
このリム2には、両側の開口縁にタイヤ25のサイドウォール部26,26(図2参照)を支持するリムフランジ12、13が形成されており、自動車に取り付けた際に外側(意匠面側)となるリムフランジ12の内側に、タイヤ25のビード27(図2参照)を着座させる外ビードシート部14が連成され、内側のリムフランジ13の外側にも、タイヤ25のビード27を着座させる内ビードシート部15が連成されている。さらに、外ビードシート部14と内ビードシート部15の間には、タイヤ装着時にタイヤ25のビード27を落とすためのドロップ部16が、該ドロップ部16からホイール径方向に立ち上がったウエル部19、19を介して設けられている。ここで、ホイール外側のウエル部19には、ホイール周方向の所定位置に、リム2の内外に貫通してなる、エアバルブ20(図2参照)を装着するためのバルブ孔18が設けられている。
【0016】
図2は、かかる自動車用ホイール1のバルブ孔18に、エアバルブ20を装着した状態である。ここで、エアバルブ20には、空気圧検出装置21が接合されており、該空気圧検出装置21と一体型の形態を成している。そして、この空気圧検出装置21は、リム2のドロップ部16の外周面に沿って、かつ、該ドロップ部16と接触しないように配されている。このように、エアバルブ20を装着した後にタイヤ25を組み付ける。尚、この空気圧検出装置21にあっては、タイヤ25内の空気圧を検知する感圧素子(図示省略)と、該感圧素子の検知した検知信号を自動車に装着された受信装置に発信する送信装置(図示省略)とから構成されている。ここで、感圧素子としては、センサー部に加わる圧力によって生じた歪みを電気的に取り出すものであって、この歪みにより圧力を検知できる。そして、感圧素子には、例えば、水晶体からなる振動子を好適に用いることができる。
【0017】
次に本発明の要部について説明する。
図3は、自動車用ホイール1の外側(意匠面側)から見た平面図である。この自動車用ホイール1のディスク3には、その中央に、自動車のハブから突成された車軸に嵌入されるハブ孔4が形成され、該ハブ孔4の半径方向外側に位置し周方向に互いに均等間隔で四個のボルト孔6が形成されている。さらに、ボルト孔6の半径方向外側から、ホイール軸方向外側に向かって隆起する形状の隆起部8(図1参照)が形成されており、該隆起部8の半径方向内側の裏面には、自動車のハブと連結するハブ取付面10(図1参照)が形成されている。この隆起部8は、意匠性の向上、剛性の向上等の役割を果たしている。そして、この隆起部8の半径方向外側に、ホイール軸方向内側に向かって傾斜するディスク肩部9が形成されている。さらに、その半径方向外側には、上述したように、リム2のドロップ部16と嵌合される、ホイール軸方向と略平行のディスクフランジ部11(図1参照)が円周方向に沿って形成されている。
【0018】
ここで、ディスク3のディスク肩部9には、軽量化、意匠性の向上、ブレーキから発生する熱を放射する熱放射性等を有する略円形状の飾り孔7が、ホイール中心Aからほぼ同心円上に7個設けられている。さらに、この飾り孔7の形成される同心円上にあって、リム2に形成されたバルブ孔18とホイール中心Aとを結ぶ縦軸B上で該バルブ孔18と隣接する位置に、該縦軸Bに対して対称形状となるように両側に拡幅されてなる、小判形状のバルブ隣接飾り孔17が形成されている。ここで、このバルブ隣接飾り孔17にあっては、縦軸方向の孔幅を前記飾り孔7のホイール半径方向孔径とほぼ同じとしている。また、このバルブ隣接飾り孔17の、縦軸Bと直角方向長さは、エアバルブ20に接合される空気圧検出装置21のホイール周方向長さに比して若干長くなるようにし、かつ、当該バルブ隣接飾り孔17により減少した重量が、エアバルブ20及び空気圧検出装置21の合計重量とほぼ同じとなるように設定されている。すなわち、この自動車用ホイール1の単体では、ホイール周方向でバルブ孔18の領域が軽くなる重量アンバランスな状態となる。
【0019】
このような自動車用ホイール1のバルブ孔18に、空気圧検出装置21と一体型を成すエアバルブ20が装着されると(図2参照)、該エアバルブ20及び空気圧検出装置21の重量によって、この領域が局部的に重量増加することとなる。しかし、この重量増加は、上記のようにバルブ隣接飾り孔17による重量減少と相殺されることとなるから、自動車用ホイール1の重量バランスは適正に保たれることとなる。
【0020】
そして、この自動車用ホイール1にタイヤ25を装着し(図2参照)、自動車に取り付けられた場合に、この自動車の走行中にあって、自動車用ホイール1はタイヤ25を介して路面から振動を受ける。ここで、かかる本発明の自動車用ホイール1にあっては、バルブ隣接飾り孔17の存在する領域は局部的に剛性の低い部分となり、ホイール半径方向に変形し易くなっている。そのため、バルブ隣接飾り孔17のホイール半径方向外側の部分では、自動車の走行中に受ける振動が、該バルブ隣接飾り孔17の形成領域の変形によって緩和されることとなる。このように、バルブ隣接飾り孔17が振動を緩和する緩衝作用を有することによって、エアバルブ20を介してリム2に取り付けられた状態にある空気圧検出装置21が、自動車走行中に受ける振動を低減できる。すなわち、バルブ隣接飾り孔17によって、空気圧検出装置21の防振性を向上させることとなり得る。而して、この空気圧検出装置21を構成する感圧素子や送信装置が誤作動することを防ぎえ、適正なタイヤ25の空気圧を検知し、かつ、該空気圧が自動車側に随時適正に伝達されることとなるから、走行時における安全性が適切に保たれる。
【0021】
このように、バルブ隣接飾り孔17が形成されることにより、自動車用ホイール1の重量バランスが適正に保たれ、かつ、空気圧検出装置21の防振性が向上することから、自動車の走行時における振動特性と繰安性、及び安全性を高いレベルで発揮することが可能となる。
【0022】
さらに、タイヤ25が装着された自動車用ホイール1の空気圧を調整する場合では、作業者が指で、エアバルブ20のキャップ28を開閉する作業を行うことが一般的である。この作業にあって、上述のようにバルブ孔18の隣接してバルブ隣接飾り孔17が形成されていると、図4のように、キャップ28を指で開閉する際に、指を比較的容易に動かすことができるから、この開閉作業の作業効率が向上するという優れた利点もある。
【0023】
上述したように、本実施形態例にあっては、バルブ孔18に隣接して小判形状のバルブ隣接飾り孔17を形成するようにした構成であるが、その他の構成として、例えば図5に示す自動車用ホイール1’のように、バルブ隣接飾り孔17’を、他の飾り孔7の同心円に沿って湾曲した形状とすることもできる。かかる構成にあっては、バルブ隣接飾り孔17’がホイール円形状に沿った形状であることから、当該バルブ隣接飾り孔17’による緩衝作用が一層適切に発揮されることとなり得る。
【0024】
また、上述した実施形態例にあっては、バルブ隣接飾り孔17の縦軸方向幅を他の飾り孔7の半径方向径と同等とした構成であるが、縦軸方向幅の寸法は、装着するエアバルブ20及び空気圧検出装置21の重量に応じて、該重量の増加分を相殺できる大きさとなるように、設定することが可能である。例えば、エアバルブ20及び空気圧検出装置21が比較的軽量であれば、縦軸方向幅を狭く設定し、空気圧検出装置21と一体型を成すエアバルブ20を装着した場合に、この自動車用ホイール1の重量バランスが保たれるようにする。一方、バルブ隣接飾り孔17のホイール周方向幅は、空気圧検出装置の幅に適するように設定されることが好適である。これは、縦軸方向に優先して、周方向の幅寸法を確保することにより、走行中に受ける振動を緩和する緩衝作用を適切に発揮させるためである。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上述したように、ディスクの、バルブ孔とホイール中心とを結ぶ縦軸上で該バルブ孔に隣接して設けられ、当該縦軸に対して対称形状となるように、両側に拡幅された小判形状のバルブ隣接飾り孔を備えるようにしたものであるから、該バルブ隣接飾り孔の形成された領域が、自動車の走行中に受ける振動により変形し、エアバルブと接合された空気圧検出装置に伝わる該振動を緩和することができる。これにより、空気圧検出装置が走行中の振動によって誤作動や故障等を生じることを防止できるため、タイヤの空気圧が適正に検出され、自動車の安全性が適正に保たれることとなる。また、この小判形状のバルブ隣接飾り孔が形成されることによって減少した重量と、空気圧検出装置と一体型を成すエアバルブの装着によって増加する重量とを相殺することができるため、ホイールの重量バランスが適切に保たれ、自動車は優れた振動特性と繰安性とを発揮できる。さらにまた、エアバルブを開閉する場合に、バルブ隣接飾り孔の存在によって、作業者は指を比較的動かし易く、この開閉作業の作業効率が向上する。
【0026】
このようなバルブ隣接飾り孔を、飾り孔の形成されている周方向に沿って、湾曲的に拡幅されてなるものとしたから、自動車用ホイールの円形状に沿って、当該バルブ隣接飾り孔の有する緩衝作用が発揮されることとなり、走行中に受ける振動を一層適正に緩和できる。
【0027】
また、上述のバルブ孔に、タイヤの空気圧を検出する空気圧検出装置を備えたエアバルブが装着される自動車用ホイールにあって、バルブ隣接飾り孔が、前記空気圧検出装置のホイール周方向幅に比して、拡幅されてなるものとしたから、バルブ隣接飾り孔の有する緩衝作用が、空気圧検出装置のホイール周方向長さ全域に亘って発揮され、該空気圧検出装置の防振性をより適切なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる自動車用ホイール1の縦断面図である。
【図2】自動車用ホイール1に、エアバルブ20とタイヤ25とを装着した状態を表す説明図である。
【図3】本発明にかかる、バルブ隣接飾り孔17を備えた自動車用ホイール1の平面図である。
【図4】自動車用ホイール1の、エアバルブ20を開閉する作業の一例を表す説明図である。
【図5】本発明にかかる、他の形状のバルブ隣接飾り孔17’を備えた自動車用ホイール1’の平面図である。
【符号の説明】
1、1’ 自動車用ホイール
2 リム
3 ディスク
7 飾り孔
17、17’ バルブ隣接飾り孔
18 バルブ孔
20 エアバルブ
21 空気圧検出装置
25 タイヤ
A ホイール中心
B 縦軸
Claims (1)
- タイヤの空気圧を検出する空気圧検出装置を備えたタイヤ内に空気を注入するためのエアバルブを装着するバルブ孔が設けられたリムと、中心にハブ孔が形成され、該ハブ孔の半径方向外側に略円形状の飾り孔が周方向に沿ってほぼ同心円状に等間隔で複数配設されたディスクとからなる自動車用ホイールにおいて、
前記ディスクの、バルブ孔とホイール中心とを結ぶ縦軸上で該バルブ孔に隣接して設けられ、当該縦軸に対して対称形状となるように、両側に拡幅された小判形状のバルブ隣接飾り孔を備え、該バルブ隣接飾り孔が、飾り孔の形成されている周方向に沿って、湾曲的に拡幅され、かつ前記空気圧検出装置のホイール周方向幅に比して、拡幅されてなるものであることを特徴とする自動車用ホイール。
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