JP3776722B2 - リムホイール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤを取り付ける車両用のリムホイールに係り、特に、高い操縦安定性を確保しつつ車両に伝達される振動を抑制し、乗り心地の向上、車内騒音の低減等を図ることのできるリムホイールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の操縦安定性と乗り心地性、静粛性を高次元に両立する高機能化が、特に高級車領域で進められている。
【0003】
上記課題に対し、いわゆる足回りと呼ばれるタイヤ、リムホイール、サスペンションといった範疇では、サスペンションのアクティブ制御技術、防振ゴムやタイヤの構造の改良技術などが開発されてきている。
【0004】
リムホイールに関しては、乗り心地の改良に対して、実公昭38−27102号に、ホイールディスクに補助空気室を設け、更にタイヤ主気室とは通孔を介して連通するよう構成されている補助空気室付きタイヤ車輪が開示されている。
【0005】
また、実開平2−30704号では、同様の狙いから、補助空気室をホイールベース部に配置している。
【0006】
一方、車内騒音に対しては、その大きな要因であるタイヤ空洞共鳴音を抑えるべく、上記実公昭38−27102号と同様に補助空気室をリムホイール内に設け、この補助空気室と連通孔の寸法を調整することによりヘルムホルツ共鳴吸音器として作用させる技術が、実開平1−39103号、実開平1−90601号に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが検討したところ、上記公知技術は、工学基本原理を使用しているため、乗り心地の改良や車内音の低減に対して一定の効果を有しているものも有ることは確かめられた。
【0008】
しかしながら、以下に述べる問題に起因し、未だ実用化されていないのが現状である。
【0009】
実公昭38−27102号、実開平1−90601号は、ディスクあるいはスポーク内に補助気室を形成しているが、実際上はブレーキスペースを確保する必要があるために、大きな気室を形成することは不可能である。
【0010】
とりわけ、前輪部はディスクブレーキが採用されている車両が主流であり、ブレーキキャリパがリムホイールスポークの車軸方向内側にかなり接近している。
【0011】
また、リム強度面から、板厚を薄くする事には限界がある。
【0012】
タイヤバネの低減にせよ、空洞共鳴音の低減にせよ、ある程度の補助気室体積を確保しなければ、その効果は非常に小さくなってしまう。
【0013】
また、スポーク内に補助気室を形成する手法として、例えば、中子を用いた鋳造法が挙げられるが、補助気室の寸法や位置の精度を確保することが難しい事に起因して、回転バランスの悪化が懸念される。
【0014】
更に、製造コストの増大や、歩留まりの悪化もデメリットとなる。
【0015】
実開昭38−27102号のように、複数の部材を結合、あるいは溶接する手法では、重量の増大、結合部のエアシール性、回転バランスの確保が問題となってくる。
【0016】
実開平1−39103号、実開平2−30704号では、二重底を有するリムホイール形態になっているが、ビードベースラインより径の小さい、いわゆるリムボトム部が無い形状になっているために、タイヤビードがリムフランジを乗り越えることが不可能であり、実質的にリム組みできず、実用性が無い。
【0017】
また、本発明者らが検討したところ、これらに記載の円環状の連続気室を形成した場合、空洞共鳴音の低減は全く見られなかった。
【0018】
本発明は上記事実を考慮し、自動車の大きな要求性能である乗り心地や静粛性を向上させる実用的なリムホイールを提供することが目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のリムホイールは、リムホイール回転軸に沿った断面で見たときの外輪郭が両ビードシート(26)間において前記両ビードシート(26)よりも径方向内側に位置する直線状のリム底部(33)と、前記リム底部(33)の径方向外側に配置される複数の蓋部材(20)の内壁面と前記リム底部(33)の間に形成されるとともに周方向に間隔をあけて設けられた複数の隔壁(20A)により分割されて形成される空洞状とされた複数の副気室(32)と、前記ビードシート(26)よりも径方向内側に位置するように、一方の前記ビードシート(26)から前記リム底部(33)へ向けて形成されるリム側壁面(31)、前記リム底部(33)、及び前記蓋部材(20)の外壁面により形成された凹状のウエル部(30)と、タイヤ主気室(18)と前記副気室(32)と連通させる連通部(24)と、を備え、前記副気室(32)と前記連通部(24)とで、共鳴周波数を180〜300Hzの範囲に設定したヘルムホルツ共鳴吸音器を構成したことを特徴としている。
【0020】
次に、請求項1に記載のリムホイールの作用を説明する。
【0021】
請求項1に記載のリムホイールは、リムホイールの径方向外側に蓋部材を配置することによってリムホイール本体と蓋部材間に副気室が形成されており、この副気室はタイヤ主気室との連通部を有してヘルムホルツ共鳴吸音器として機能する。
【0022】
また、このリムホイールには、底部位置がビードシートよりも径方向内側に深く位置する凹状のウエル部が設けられているため、タイヤビード部をウエル部に落とし込むことができ、従来通りタイヤをリムに組み付けることができる。
【0023】
なお、リムホイール本体のウエル部は従来品より軸方向に幅広、或は、径方向内側に深い構造とすることができる。
【0024】
径方向内側に深い構造とは、ビード部とホイールベース部の径差が大きいという意味で、ブレーキスペースに余裕がある場合は、ホイールベース部の径を小さくすることで径差を大きくできるが、余裕が無い場合はビード部の径を大きくして、タイヤ高さを小さくする(タイヤ外径を同じにする)、いわゆるインチアップ手法により径差を大きくすることができる。
【0025】
ウエル部を軸方向に幅広にする事に対しては、実質的に大きな制約は無い。
【0026】
ただし、ウエル部幅広化でも必要とする副気室体積は得られるが、より大きな体積を確保できるという観点からは、径方向内側に深くした方が好ましい。
【0027】
リムホイール本体は、従来の鋳造法、あるいは鍛造法などにより製造する事が出来、従来通り安価に製造する事が出来る。
【0028】
蓋部材を備えるリムホイールの、タイヤ装着側のプロファイルは、例えば、通常のJATMA規格に従うラインとすることができる。
【0029】
蓋部材の材質は、リムホイール本体と同じ金属材料であっても良いし、同一の金属材料であれば溶接が好ましく選択されるが、異なる部材の場合はボルトや接着剤による固定方法となる。
【0030】
蓋部材の厚みは、材質に依存するが、タイヤリム組みに塑性変形せず、かつ走行中の遠心力により大きく変形しない程度の剛性を確保する範囲で出来るだけ薄くする事が重量増加を抑制するので好ましい。
【0031】
本発明においては、リムホイール本体とタイヤとの間に蓋部材を配置して、副気室を形成する形成方法になっているので、エア漏れの懸念が無い。
【0032】
また、リムホイール本体とは別に製造した蓋部材を結合するだけであるので、製造工数やコスト増が少ない。
【0033】
また、リムホイール本体と蓋部材の結合後は、従来のリムホイールと同様のプロファイルとすることが出来るために、タイヤのリム組み、リム解きを従来通りの手法で行うことが出来る。
【0034】
リムホイールにタイヤを装着する事により、タイヤ内面とリムホイール間には密閉されたタイヤ主気室が形成される。
【0035】
ここで、副気室が周方向に連続(即ち、環状)であると、副気室がヘルムホルツ共鳴吸音器として機能せず、更にその周長に応じた周波数の空洞共鳴が発生してしまうので、空洞共鳴音がむしろ大きくなってしまうが、隔壁を配置して副気室を周方向に複数に分割することにより効果的に大幅な減音効果が得られる。
【0036】
また、副気室を複数にする事により、それぞれの副気室の容積を変え、それぞれの副気室の共鳴周波数を変える事も出来る。
【0037】
タイヤ主気室における空洞共鳴音の周波数は、タイヤトレッド部内周とリム外周とによって決定されるが、同じリムであっても取り付けるタイヤの高さ(扁平率)が変わってくると、空洞共鳴音の周波数は変化する。
【0038】
したがって、汎用性を持たせるには、各副気室の共鳴周波数を、例えば、10〜30Hz程度ずらして設定する事が好ましい。
【0039】
また、あるタイヤサイズが決まっている場合でも荷重条件等により、空洞共鳴音の周波数が変化したり、ピークがブロードになったりあるいは二山となることがあるので、この点からもやはり複数の副気室の共鳴周波数はずらしておいた方が好ましい。
【0040】
隔壁の数、即ち、副気室の数は、複数であれば特に限定されるものではないが、3〜6個程度が好ましい。
【0041】
また、回転バランス上、隔壁の位置は周上等配分であることが好ましい。
【0042】
本発明では、下式(1)で与えられる共鳴周波数をタイヤ空洞共鳴周波数に合わせるように、副気室と連通部の寸法を設定する事により、副気室をタイヤ主気室に対するヘルムホルツ共鳴吸音器として機能させる事ができ、車内騒音を低減することができる。
【0043】
【数1】
Figure 0003776722
【0044】
0(Hz):副気室の共鳴周波数
Vn(cm3):副気室の体積
Ln(cm):連通部の長さ
Sn(cm2):連通部の断面積
nは複数の副気室のそれぞれの気室の番号。
【0045】
また、各副気室に複数(i)の連結部が存在する場合には、それぞれの連結部の断面積をSi、長さをLiとすると、
Sn=ΣSi(i=2〜i)
Ln=ΣSi・ Li/ΣSi
として計算すれば良い。
【0046】
タイヤ主気室内の空洞共鳴周波数は、タイヤとリムの周長によって決まり、通常の乗用車用タイヤでは、250Hz近傍が空洞共鳴周波数である。軽自動車用のタイヤではこの周波数が高周波になり、トラック用の大きなタイヤでは低周波になる。
【0047】
本発明者らが空洞共鳴周波数が250Hzの一般的な乗用車用タイヤを用いて検討したところ、設定が100〜500Hzの範囲内で、空洞共鳴音低減効果が確認できた。
【0048】
したがって、タイヤという閉空間においては比較的広い範囲設定が許容されるが、現在のサイズ構成からすると、おおよそ180〜300Hzの範囲にあり、各副気室の共鳴周波数をこの範囲内で適応するサイズに応じて、上記式(1)に従い各寸法を調整することで大きな減音効果が得られる。
【0049】
また、本発明においても、副気室容積の分、通常のリムホイールよりも空気の入る内部容積が大きくなるために、タイヤのバネ定数が低下する。
【0050】
このため、例えば、路面の段差や突起といった大きな入力に対してはマイルドな乗り心地となる。
【0051】
また、タイヤが変形した際に、空気が連通部を通過する抵抗により振動の減衰性が高まり、乗り心地性が向上する。
【0052】
さらに、蓋部材を複数とすることにより、リムの外周面に副気室を形成し易くなる。なお、蓋部材が単一品(環形状)である場合には、例えば、リムホイールを3ピース構造等の分解可能な構造にして取り付ける必要があり、組立が煩雑となる。
【0053】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリムホイールにおいて、蓋部材間に隙間を設け、前記隙間を前記連通部としたことを特徴としている。
【0054】
次に、請求項2に記載のリムホイールの作用を説明する。
【0055】
請求項2に記載のリムホイールでは、蓋部材を周方向に隙間を空けて配置して副気室を形成し、その隙間を連通部としているので、蓋部材に連通部としての孔等を形成する必要が無い。
【0056】
例えば、各蓋部材を周方向に一定間隔を開けながら配置することにより、スリット状の連通部を形成することができる。
【0057】
この場合、蓋部材の位置決めのためリムホイール本体と蓋部材に嵌め合わせ構造を形成する、スリットを形成するためのスペーサーを蓋部材の周方向端部に設けておく等の工夫をする事が好ましいが、工数的には最小限で、目的とする形態を得ることが出来る。
【0058】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のリムホイールにおいて、蓋部材と蓋部材、及び蓋部材とリムは各々密着しており、前記副気室は前記タイヤ主気室に対して前記蓋部材に形成された各々1乃至複数の連通部としての孔のみで連通していることを特徴としている。
【0059】
次に、請求項3に記載のリムホイールの作用を説明する。
【0060】
このように構成することで、例えば、孔の径や数を調整することだけで共鳴周波数を変えることができ、異なる空洞共鳴周波数を有するタイヤサイズに対して自由度が増す。
【0061】
また、蓋部材の寸法誤差、取り付け誤差の影響を小さくする事ができる。
【0062】
蓋部材間は溶接、あるいはシーリングを行うか、蓋部材端に段を付けておき、すり合わせ構造にする事で周方向に隙間が出来ないようにする。
【0063】
孔の数は、蓋部材1個に対して1個でも良いが、複数とする方が孔総断面積を等しく比較した際に、空気流通抵抗が増し、振動減衰性が向上するので好ましい。
【0064】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のリムホイールにおいて、前記副気室の総体積が、前記タイヤ主気室の体積の2%以上25%以下であることを特徴としている。
【0065】
次に、請求項4に記載のリムホイールの作用を説明する。
【0066】
副気室の総体積がタイヤ主気室の体積の2%未満になると、乗り心地の改良効果と空洞共鳴音低減効果が小さくなる。特に、理論上、副気室体積比率がタイヤバネ低減比率にほぼ等しいため、乗り心地への改良効果が小さくなる。
【0067】
一方、副気室の総体積が、タイヤ主気室の体積の25%を越えると、タイヤバネ定数が下がりすぎるので、振動減衰性や操縦安定性が低下して好ましくない。
【0068】
なお、副気室の総体積は、タイヤ主気室の体積の3〜15%が更に好ましい。
【0072】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のリムホイールにおいて、前記蓋部材は、前記ウエル部とは反対側の端部が、装着されるタイヤのビード部の径方向内側に位置するビードシートに溶接固定されていても良い。
【0073】
【発明の実施の形態】
本発明のリムホイールの実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
【0074】
図1に示すように、本実施形態のリムホイール10は、タイヤ14をリム16に装着することにより、タイヤ14とリム16との間には密閉されたタイヤ主気室18が形成される。
【0075】
図1及び図2に示すように、リム16の外周部には周方向に沿って複数(本実施形態では4個)の蓋部材20が配置されている。
【0076】
本実施形態の蓋部材20は、リムホイール10と同じ金属の略長方形の板材(厚さ2mmのアルミニューム板)をプレス加工することで形成されており、リム16の外周面に沿って周方向に湾曲していると共に、一部が幅方向にも湾曲している。
【0077】
蓋部材20の周方向一端部には、突起状の位置決めスペーサー22が一体的に形成されている。
【0078】
これら複数の蓋部材20は、それぞれの位置決めスペーサー22の先端が隣接する蓋部材20の他端部に突き当てられており、これにより、蓋部材20と蓋部材20との間には一定幅(本実施形態では1mm)の隙間24が形成されている。
【0079】
蓋部材20の幅方向の一端部は、リム16の裏側(矢印IN方向側)のビードシート26に形成された段部28に係合し、かつ溶接されている。
【0080】
蓋部材20の幅方向の他端部は、リム16の幅方向中央部分から若干リム表側(矢印OUT方向側)寄りの外周面に溶接されている。
【0081】
ここで、蓋部材20の他端部のリム表側には、タイヤ装着時にタイヤビード部を落とし込むための凹状のウエル部30が形成されている。図1中の符号33はリム16のリム底部であり、符号31は一方のビードシート26からリム底部33へ向けて形成されるリム側壁面である。なお、ウエル部30の底部は、ビードシート26よりもタイヤ径方向内側に位置している。この蓋部材20の外周面及びリム16の外周面(蓋部材20で覆われていない部分)の外面形状は、例えば、通常のJATMA規格に規定されている形状と同じ形状に設定されている。
【0082】
各蓋部材20の周方向中央部には、リム16の外周面と蓋部材20との間の空間部分の周方向直角断面形状と同形状の隔壁20Aが、内面側にネジ止めされている。
【0083】
これにより、リム16と蓋部材20との間には、複数(4個)の副気室32が形成され、各副気室32は、それぞれタイヤ主気室18に対して一つの隙間24を介して連通される。
【0084】
本実施形態では、この副気室32と隙間24とでヘルムホルツ共鳴吸音器が構成されており、その共鳴周波数は、本実施形態では約250Hzに設定されている。
【0085】
なお、一つのリムホイール10に対する副気室32の総内容積は、タイヤ主気室18の体積の2%以上25%以下であることが好ましく、中でも3%以上15%以下が更に好ましい。
(作用)
次に、本実施形態のリムホイール10の作用を説明する。
【0086】
タイヤ14とリムホイール10とで構成されるタイヤ主気室18は、隙間24を介して副気室32と連結されているので、少なくとも副気室32の容積の分、通常のタイヤとリムホイールとの組み合わせ品よりも空気の入る内部容積が大きくなるため、タイヤ14の主に径方向のバネ定数が低下する。
【0087】
したがって、路面の段差や突起の乗り越えといった大きな入力に対してマイルドな乗り心地を提供できる。
【0088】
また、隙間24は比較的狭いスリット形状であるので、高周波の入力に対しては、隙間24の抵抗によって内部容積をタイヤ主気室18の容積に等しい際のバネ定数に近づく特性にできる。
【0089】
したがって、高速走行中では、副気室32の設けられていない通常のタイヤとリムホイールとの組み合わせ品と同じような特性となり、操縦安定性を確保できる。
【0090】
さらに、高周波の振動に対しては、隔壁20Aで分割されて周方向に連続した環形状とされていない副気室32がヘルムホルツ共鳴吸音器と呼ばれる共鳴吸音構造の役目を果たすので、特定の周波数(本実施形態では250Hz付近)の振動を吸収することができ、車内騒音の低減を図ることができる。
【0091】
なお、低減させたい特定の周波数の音に対しては、副気室32の容積、形状、隙間24の断面積及び長さ(開口直角方向の)等を適宜選択することにより、副気室32にて共鳴吸音を発現させることができる。
【0092】
なお、低減させたい周波数の振動が複数ある場合(例えば、周波数特性に複数のピークがある場合)には、各副気室32の容積、形状、各隙間24の断面積及び長さ等を適宜選択することにより、複数の周波数の振動に対応することもできる。
【0094】
また、このリムホイール10には、凹状のウエル部30が設けられているため、タイヤ14のビード部をウエル部30に落とし込むことができ、従来通りタイヤ14をリム組することができる。
【0095】
また、このリムホイール10には、凹状のウエル部30が設けられているため、タイヤ14のビード部をウエル部30に落とし込むことができ、従来通りタイヤ14をリム組することができる。
[第1の参考例]
次に、第1の参考例に係るリムホイールを図3及び図4にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0096】
本参考例のリムホイール(アルミホイール)40では、リム42のリムフランジ44の内側の外周面のほぼ全体が通常のリムホイールに対して径方向内側に深く形成され、周方向に配置された5枚の蓋部材46で覆われている。
【0097】
本参考例の蓋部材46は、厚さ2mmのアルミニューム板をプレス成型したものであり、リム42に溶接にて固着している。
【0098】
また、蓋部材46には、凹状のウエル部47が形成されている。
【0099】
リム42の外周面には、一方のリムフランジ44側から他方のリムフランジ44側に向けてリム42の幅方向に沿って延びる5つの隔壁48が周上等間隔に形成されており、リム42の外周面及び隔壁48で囲まれる各凹部分がそれぞれ蓋部材46で覆われることにより5個の副気室50が形成されている。
【0100】
本参考例のリムホイール(6JJ15)40にタイヤ(185/65R15)を装着したときのタイヤ主気室52の体積は約25リットルであり、5つの副気室50の総体積は1.7(0.34リットル×5個)リットルであり、5つの副気室50の総体積はタイヤ主気室52の総体積の6.8%である。
【0101】
各蓋部材46には、3個の貫通孔54が周方向に等間隔となるように形成されている。
【0102】
本参考例では、直径4mmの貫通孔54が3個形成された蓋部材46が1枚、直径5mmの貫通孔54が3個形成された蓋部材46が3枚、直径6mmの貫通孔54が3個形成された蓋部材46が1枚使用されており、直径4mmの貫通孔54を有する副気室50の共鳴周波数が217Hz、直径5mmの貫通孔54を有する副気室50の共鳴周波数が250Hz、直径6mmの貫通孔54を有する副気室50の共鳴周波数が279Hzに設定されている。
【0103】
本参考例のリムホイール40では、上記のように共鳴周波数の異なる副気室50が複数設けられているため、広い周波数範囲の振動を吸収することができる。
【0104】
また、副気室50が周方向に連続した環形状となっていないので、副気室50での空洞共鳴の発生を防止できる。
[第2の参考例]
次に、第2の参考例に係るリムホイールを図5にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0105】
本参考例は、第1の参考例のリムホイール40の変形例である。
【0106】
貫通孔54には、電気制御により開口面積を変更可能な弁60が取りつけられている。
【0107】
弁60を制御するために用いる配線62は、リムホイール40と車軸(図示せず)との間に設けたスリップリング64を介して、車両に搭載されたコンピュータ66に接続されている。
【0108】
車両のバネ下部(例えば、サスペンションの車軸取付部分等)には、コンピュータ66に接続される振動検出センサ68を取りつける。
【0109】
本参考例では、弁60により開口面積を変更する事が出来るため、振動吸収特性を変更することができ、振動検出センサ68からの振動検出結果(周波数、振幅、加速度等)に基づいて、車室内の騒音が最も小さくなるようにコンピュータ66は弁60を制御することが可能となる。
【0110】
また、空気の通過を完全に阻止することもできるため、複数の副気室50を設けて必要な副気室50のみをタイヤ主気室18と連通させることで、タイヤ14のバネ定数を変更することもできる。
【0111】
なお、振動検出センサ68の位置は、バネ下部以外の部位に設けても良い。
【0112】
これらの制御は、タイヤ単体だけでなく、自動車のアクティブサスペンションと同時に制御することもでき、これにより乗り心地改善、車室内の騒音低減等に対してより大きな効果が期待できる。
【0113】
また、ドライバーの好みに応じ、スイッチ操作等によりタイヤのバネ定数を変更することも可能である。
[その他の実施形態]
上記実施形態では、蓋部材をリムに溶接で固定したが、接着、ネジ止め等の他の方法で固定しても良い。
【0114】
上記実施形態では、蓋部材が金属(アルミニューム)であったが、合成樹脂等の他の材質であっても良い。
【0115】
また、蓋部材に貫通孔を形成する代わりに中空パイプを取り付けても良い。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のリムホイールは上記の構成としたので、従来通りにタイヤを組み付け可能であり、自動車の大きな要求性能である乗り心地や静粛性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【0117】
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は、本発明の実施形態に係るリムホイールおよびタイヤの要部を示す回転軸に沿った断面図であり、(B)は、蓋部材端部付近の拡大断面図である。
【図2】 (A)は、蓋部材の一部を示す平面図であり、(B)は、リムホイールの軸直角方向から見た側面図である。
【図3】 第1の参考例に係るリムホイールおよびタイヤの要部を示す回転軸に沿った断面図である。
【図4】 第1の参考例に係るリムホイールの軸直角断面図である。
【図5】 第2の参考例に係るリムホイールの断面図である。
【図6】 周波数解析結果の一例である。
【図7】 周波数解析結果の一例である。
【図8】 軸力解析結果の一例である。
【図9】 周波数解析結果の一例である。
【符号の説明】
10 リムホイール
16 リム
18 タイヤ主気室
20 蓋部材
20A 隔壁
24 隙間(連通部)
30 ウエル部
31 リム側壁面
32 副気室

Claims (5)

  1. リムホイール回転軸に沿った断面で見たときの外輪郭が両ビードシート(26)間において前記両ビードシート(26)よりも径方向内側に位置する直線状のリム底部(33)と、
    前記リム底部(33)の径方向外側に配置される複数の蓋部材(20)の内壁面と前記リム底部(33)の間に形成されるとともに周方向に間隔をあけて設けられた複数の隔壁(20A)により分割されて形成される空洞状とされた複数の副気室(32)と、
    前記ビードシート(26)よりも径方向内側に位置するように、一方の前記ビードシート(26)から前記リム底部(33)へ向けて形成されるリム側壁面(31)、前記リム底部(33)、及び前記蓋部材(20)の外壁面により形成された凹状のウエル部(30)と、
    タイヤ主気室(18)と前記副気室(32)と連通させる連通部(24)と、
    を備え、
    前記副気室(32)と前記連通部(24)とで、共鳴周波数を180〜300Hzの範囲に設定したヘルムホルツ共鳴吸音器を構成したことを特徴とするリムホイール。
  2. 蓋部材(20)間に隙間を設け、前記隙間を前記連通部(24)としたことを特徴とする請求項1に記載のリムホイール。
  3. 蓋部材(20)と蓋部材(20)、及び蓋部材(20)とリム(16)は各々密着しており、前記副気室(32)は前記タイヤ主気室(18)に対して前記蓋部材(20)に形成された各々1乃至複数の連通部(24)としての孔のみで連通していることを特徴とする請求項1に記載のリムホイール。
  4. 前記副気室(32)の総体積が、前記タイヤ主気室(18)の体積の2%以上25%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のリムホイール。
  5. 前記蓋部材(20)は、前記ウエル部(30)とは反対側の端部が、装着されるタイヤのビード部の径方向内側に位置するビードシート(26)に溶接固定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のリムホイール。
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