上記特許文献1の構成によれば、確かに上下方向の寸法は抑えることができるが、球流路と干渉しない後方位置にソレノイドやプランジャを配置しなければならならないため、前後方向(遊技機の奥行方向)の寸法増大が問題となる。特に、近年の遊技機では、液晶表示装置やセンター役物の大型化、或いは遊技機自体の高機能化に起因して、遊技盤裏面側に多種多様な部品(例えば、遊技球の流路や各種電気部品等)が数多く配置される傾向にあり、前後方向(遊技機の奥行方向)の小型化が重要視されている。従って、特許文献1のように前後方向に嵩張らせることは避けるべきであり、このように前後方向のサイズが増大してしまうと、遊技盤裏面側の他部品と干渉しやすく、遊技盤裏面側の各種部品の配置スペースを確保し難くなるという問題が深刻となる。
一方、入賞装置の小型化に関する技術としては、特許文献2のようなものも提供されている。この特許文献2の入賞装置では、取付板に形成した球入口の前面両側に一対の回動片(可動片)を設け、この回動片(可動片)の軸杆を揺動部材(レバー部材)によって操作している。更に、揺動部材(レバー部材)の後端部よりも前側にソレノイドを配置し、このソレノイドの後方側に突出させる構成でプランジャを配置している。この構成によれば、前後方向において、ソレノイドの配置領域と揺動部材(レバー部材)の配置領域とを重ねて配置することができるため、装置全体の前後方向(奥行方向)のサイズを効果的に抑えることができる。
しかしながら、特許文献2の構成は、プランジャの後端部(係合部)を揺動部材(レバー部材)と係合させており、このプランジャの後端部が装置後方側で露出した状態で、突出及び退避し得る構成となっている。従って、入賞装置の外部からプランジャの後端部に接触しやすく、プランジャに対する不正操作を防止し難いという懸念がある。特に、プランジャの作用部(係合部)が遊技盤とは反対側で露出することになるため、入賞装置を遊技盤から取り外さずとも後方側からプランジャ後端部(係合部)を容易に操作できることになってしまうため、針金などの不正器具による不正操作の虞を排除し得ない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、前後方向のコンパクト化を図ると共に、アクチュエータに対する不正操作を効果的に防止し得る遊技機用可変入賞装置及び遊技機を提供することを目的とする。
本発明は、遊技機の遊技盤に固定され、前記遊技盤に沿って流下する遊技球を受け入れる入賞口を備えた遊技機用可変入賞装置であって、前記遊技盤の盤面と交差する回動軸線を中心として回動可能に支持され、前記入賞口の開放状態を第1状態とする第1回動位置と、前記第1状態よりも前記遊技球が進入し易い第2状態とする第2回動位置とに変位可能な回動片と、前記回動片と接触可能な接触部を備えると共に、前記遊技盤の盤面と直交する前後方向において、前記回動片の後方に隣接した位置で揺動可能に支持され、前記回動片を前記第1回動位置に定める第1揺動位置と、前記回動片を前記第2回動位置に定める第2揺動位置とに変位可能な揺動部材と、ソレノイド本体と、前記ソレノイド本体の励磁に応じてスライドするプランジャとを備えたアクチュエータと、前記プランジャの前側先端部と連動すると共に前記揺動部材又は当該揺動部材と連動する部材と接触可能な作用部を備え、前記プランジャの前記前側先端部の位置に応じて前記作用部が変位することで、前記揺動部材を前記第1揺動位置と前記第2揺動位置とに切り替える伝達部材と、を備え、前記ソレノイド本体の前端部が前記揺動部材の後端部よりも前側となる位置関係で、前記ソレノイド本体が前記揺動部材の周囲に配置され、前記プランジャは、前記ソレノイド本体の励磁状態に応じ、前記ソレノイド本体よりも前方側に突出する突出位置と、前記突出位置よりも後退した後退位置とで変位する構成をなし、前記作用部は、前記前後方向における前記ソレノイド本体の配置領域で変位することを特徴とする。
また、本発明において、更に、前記後退位置における前記プランジャの前記前側先端部の位置が、前記揺動部材の揺動軸よりも前方位置となる構成で配置されていてもよい。
また、本発明において、更に、前記揺動部材の揺動軸が、前記ソレノイド本体の前端部よりも後方に位置していてもよい。
また、本発明において、更に、前記遊技盤の盤面に沿って配置される台板が設けられ、前記アクチュエータが、前記台板の後方側に配置され、前記プランジャの前記前側先端部が、前記ソレノイド本体と前記台板との間を前後に往復動するように構成されていてもよい。
また、本発明において、更に、前記台板から後方側に延出する構成をなし、前記遊技盤に形成された取付孔に挿入された状態で前記遊技盤に固定される保持フレームが設けられていてもよい。この場合、前記アクチュエータは、前記プランジャの前記前側先端部が前記取付孔内に収容される位置で、前記保持フレームに保持されることが望ましい。
また、本発明は、前記アクチュエータが、前記揺動部材の側方に配置された構成であってもよい。この場合、前記プランジャの前記前側先端部が移動する移動領域の、上方、下方、及び前記揺動部材とは反対側の側方を連続的に被覆する被覆部が、前記台板と前記ソレノイド本体の前端部との間に亘って設けられることが望ましい。
また、本発明は、前記ソレノイド本体が、前記揺動部材の斜め上方に配置された構成であってもよい。この場合、当該ソレノイド本体において、前記揺動部材と上下に重なる上下重畳部と、前記揺動部材と左右に重なる左右重畳部とが設けられていることが尚望ましい。
また、本発明において、更に、前記入賞口の上方に上部入賞口が設けられ、前記上部入賞口の後方に、当該上部入賞口に進入した前記遊技球を後方に誘導する上部誘導路が設けられ、前記入賞口の後方に、当該入賞口に進入した前記遊技球を後方に誘導する下部誘導路が設けられ、前記ソレノイド本体が、前記上部誘導路及び前記下部誘導路の側方に配置され、当該ソレノイド本体の一部が、前記上部誘導路と前記下部誘導路との間に入り込むように構成されていてもよい。
また、本発明において、更に、2つの前記回動片が左右で対をなしてそれぞれ配置され、各回動片に対応した前記揺動部材が対をなしてそれぞれ配置され、前記入賞口の後方において、前記入賞口に進入した前記遊技球を、一対の前記揺動部材の間を通して後方に誘導する誘導路が設けられ、前記誘導路の後端側に、当該誘導路を移動する前記遊技球を通す開口部が形成され、更には、一対の前記揺動部材が、前記誘導路の上方に配置される湾曲形態の湾曲連結部によって連結されていてもよい。この場合、前記湾曲連結部は、一対の前記揺動部材の揺動に応じて前後に移動し、一対の前記揺動部材が前記第2揺動位置となった場合に、前記開口部に当接すると共に、当該開口部の湾曲形状に沿って配置されるように構成されていることが望ましい。
また、本発明に係る遊技機用可変入賞装置を前記遊技盤に配置することで、特徴的な遊技機を構成することもできる。
本発明では、ソレノイド本体の前端部が揺動部材の後端部よりも前側となる位置関係で、ソレノイド本体が揺動部材の周囲に配置されている。従って、ソレノイド本体を揺動部材よりも後方に配置する従来構成と比較して、前後方向のサイズを抑えることができ、後方側に嵩張らない構成とすることができる。
また、プランジャが、ソレノイド本体の励磁状態に応じ、ソレノイド本体よりも前方側に突出する突出位置と、この突出位置よりも後退した後退位置とで変位する構成をなしている。このように構成すると、ソレノイド本体をより前方側に配置した上で、更にその前方でプランジャを変位させることができる。従って、プランジャやプランジャヘッドが後方側から露出するような構成と比較して、後方側からプランジャに接触し、操作することが困難となり、プランジャ付近の不正操作を効果的に防止できる。
一方、上記のように、ソレノイド本体及びプランジャをより前方側に配置し、「前後方向のコンパクト化」及び「不正防止機能の向上」を共に実現しようとすると、プランジャの前側先端部の動作を揺動部材に伝達し難くなるが、本発明では、プランジャの前側先端部と連動する伝達部材が設けられ、この伝達部材に設けられた作用部が、前後方向においてソレノイド本体の配置領域で変位可能とされる。この作用部は、揺動部材又はこれと連動する部材と接触して、当該揺動部材を連動させる機能を有しているため、プランジャの駆動力を揺動部材に良好に伝達できるようになる。特に、作用部が、前後方向におけるソレノイド本体の配置領域(即ち、ソレノイド本体の前端よりも後ろの領域)で変位するため、ソレノイド本体をより前方に配置し、更にその前方側でプランジャを変位させるという特徴的な構成を採用しつつも、揺動部材に力を伝達する部分(作用部)については、それほど前側に配置せずに済み、揺動部材をより円滑に揺動させやすくなる。
更に、プランジャが後退位置となったときのプランジャ前側先端部の位置が、揺動部材の揺動軸よりも前方位置となるように構成すると、プランジャをより一層前方側で変位させることができ、不正防止効果が一層高まる。また、揺動軸をそれほど前側に配置せずに済むため、揺動軸から接触部(回動片と接触する部分)までの長さを短くし過ぎることなく適切なアーム長さを確保しやすくなる。
更に、揺動部材の揺動軸が、ソレノイド本体の前端部よりも後方に位置する構成とすると、ソレノイド本体をより前方に配置することができるため、装置全体の前後方向のサイズを一層小さくすることができる。また、揺動軸がソレノイド本体の前側先端部よりも後ろに位置するため、前後方向のサイズをコンパクト化しつつも、揺動軸から接触部(回動片と接触する部分)までの長さ(アーム長さ)については適切な長さを確保しやすくなる。
また、遊技盤の盤面に沿って台板が配置され、アクチュエータが、この台板の後方側に配置され、プランジャの前側先端部が、ソレノイド本体と台板との間を前後に往復動する構成とすると、台板の後方領域を利用してアクチュエータをより前方側に配置することができる。また、台板とソレノイド本体との間をプランジャの前側先端部が往復動する構成であるため、前側先端部の移動領域の前方が台板で覆われ、後方がソレノイド本体に覆われた格好となる。従って、プランジャの前側先端部を、後方側から接触、操作することも、前方側から接触、操作することも困難となり、当該前側先端部に対する不正操作をより一層効果的に防止することができる。
また、遊技盤に形成された取付孔に挿入された状態で台板から後方側に延出するように保持フレームが配置され、遊技盤取付時に、プランジャの前側先端部が取付孔内に収容されるような構成で、アクチュエータが保持フレームに保持されるようにすると一層良い。このようにすると、当該遊技機用可変入賞装置が遊技盤に取り付けられた際に、プランジャの前側先端部が取付孔に収容された状態において当該取付孔内で変位するようになり、プランジャの前側先端部に対する不正操作が極めて困難となる。
また、アクチュエータが、揺動部材の側方に配置され、プランジャの前側先端部が移動する移動領域の、上方、下方、及び揺動部材とは反対側の側方を連続的に被覆する被覆部が、台板とソレノイド本体の前端部との間に亘って設けられた構成とすると、より一層不正防止効果が大きくなる。このようにすると、プランジャ前側先端部の移動領域の前後がそれぞれ台板とソレノイド本体とで覆われると共に、台板からソレノイド本体の位置に至るまで、前記移動領域の外周が被覆部に覆われることとなる。従って、プランジャの前側先端部に対する前後、左右、上下いずれからの接触、操作も極めて困難となる。
また、ソレノイド本体が、揺動部材の斜め上方に配置され、更に、当該ソレノイド本体において、揺動部材と上下に重なる上下重畳部と、揺動部材と左右に重なる左右重畳部とが設けられた構成とすることで、ソレノイド本体を揺動部材の周囲に配置して前後方向のコンパクト化を図りつつ、上下方向及び左右方向の嵩張りをも極力抑えることができる。
また、入賞口の上方に上部入賞口が設けられ、上部入賞口の後方に、当該上部入賞口に進入した遊技球を後方に誘導する上部誘導路が設けられ、入賞口の後方に、当該入賞口に進入した遊技球を後方に誘導する下部誘導路が設けられた構成とするとより一層効果的である。特に、ソレノイド本体が、上部誘導路及び下部誘導路の側方に配置され、当該ソレノイド本体の一部が、上部誘導路と下部誘導路との間に入り込むように構成されていると、ソレノイド本体を上部誘導路及び下部誘導路の側方に配置して前後方向のサイズを抑えると共に、上部誘導路と下部誘導路との間のスペースを利用してソレノイド本体の一部を配置し、左右方向の嵩張りをも抑えることができ、装置全体を一層小型化することができる。
また、入賞口の後方において、入賞口に進入した遊技球を、一対の揺動部材の間を通して後方に誘導する誘導路が設けられ、この誘導路の後端側に、当該誘導路を移動する遊技球を通す開口部が形成されていると更なる効果が期待できる。特に、一対の揺動部材が誘導路の上方に配置される湾曲形態の湾曲連結部によって連結され、この湾曲連結部が、一対の揺動部材の揺動に応じて前後に移動し、これら一対の揺動部材が第2揺動位置となったときに、開口部に当接し、当該開口部の湾曲形状に沿って配置されるように構成されていると、単一の駆動源によって一対の揺動部材を一体的に駆動でき、入賞口の開放状態が相対的に入賞しやすい状態(第2状態)となるときに、湾曲連結部を開口部に当接させて安定的に位置決めすることができる。また、湾曲連結部が開口部に当接するときには、当該湾曲連結部が開口部の湾曲形状に沿って配置されるため、湾曲連結部と開口部との形状的な連続性が高くなり、誘導路を通る遊技球をより円滑に開口部に案内しやすくなる。
また、本発明に係る遊技機用可変入賞装置を遊技盤に設けた遊技機とすることで、上述の効果を奏する遊技機を実現できる。更に、前後方向のコンパクト化が図られた遊技機用可変入賞装置が用いられるため、遊技盤裏面に各種部品をより自由度高く配置することができ、ひいては、より高機能な遊技機を実現しやすくなる。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る遊技機用可変入賞装置及び遊技機を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図1は、第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置を備えた遊技機を例示する正面図であり、まず、図1を参照して遊技機1の概要を説明する。
(遊技機の構成)
図1に示す遊技機1は、いわゆるパチンコ機として構成されるものであり、木板、アクリル板等によって構成される遊技盤2の盤面(遊技盤2の前面)2aに沿って遊技球Bの発射を誘導するガイドレール5が設けられ、このガイドレール5等によって区画された形態で遊技領域が形成されている。また、遊技盤2の中央付近には、各種表示を行い得る液晶表示部3が配置され、この液晶表示部3の下方には、横長の大入賞口を可変扉4aによって開閉し得るアタッカー4が配置されている。そして、液晶表示部3とアタッカー4との間には、本発明に係る遊技機用可変入賞装置10が配置されている。なお、遊技機1には、遊技盤2の前方において当該遊技盤2とほぼ平行に透明板(ガラス板等)が配置され、この透明板と遊技盤2との間を遊技球Bが流下するように構成されている。
(遊技機用可変入賞装置の構成)
以下、第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置10について詳述する。図2は、第1実施形態に係る遊技機用可変入賞装置10の正面図であり、(a)は、入賞口20が閉じた状態を示す図であり、(b)は、入賞口20が開いた状態を示す図である。また、図3は、この遊技機用可変入賞装置10を斜め前方から見た斜視図であり、(a)は、入賞口20が閉じた状態を示す図であり、(b)は、入賞口20が開いた状態を示す図である。
遊技機用可変入賞装置10(以下、入賞装置10ともいう)は、図1に示すように遊技機1の遊技盤2に固定され、その一部を遊技盤前方側に視認可能に露出させて用いられるものである。この入賞装置10は、図2、図3に示すように、遊技盤2に沿って流下する遊技球Bを受け入れ可能な入賞口20を備えており、更にこの入賞口20の上方にも、遊技球Bを受け入れ可能な上部入賞口40を備えた構成をなしている。このうち、一方の入賞口20は、後述する回動片21,22の回動位置に応じて、開放状態が変化する構成をなし、図2(a)、図3(a)に示す第1状態と、図2(b)、図3(b)に示す第2状態(第1状態よりも遊技球Bが進入し易い状態)とで切り替わる可変入賞口として構成されている。また、他方の入賞口(上部入賞口40)は、開放状態が変化せず、常に一定の開放状態で維持される固定入賞口として構成されている。
本明細書において、「前後方向」とは、当該遊技機用可変入賞装置10が取り付けられる遊技盤2の盤面2aと直交する方向を意味し、回動片に対し、揺動部材が配置される側(即ち遊技機奥側)を後方側、それとは反対側(即ち、遊技者が位置するべき側)を前方側とする。なお、本実施形態では、回動片21,22の回動軸線A1,A2と平行な方向が「前後方向」と一致している。
また、「上下方向」とは、当該遊技機用可変入賞装置10が遊技盤2に取り付けられたときの鉛直方向を意味し、当該遊技機用可変入賞装置10が遊技盤2に取り付けられたときの鉛直上方側を上方、鉛直下方側を下方とする。また、「左右方向」とは、上記「前後方向」及び「上下方向」と直交する方向を意味する。本実施形態では、一対の回動片21,22の並び方向(対向方向)が「左右方向」と一致しており、その並び方向及び回動軸線A1、A2の方向と直交する方向が「上下方向」と一致している。
次に、図4等を参照し、入賞装置10を構成する各部品について詳述する。図4は、入賞装置10の分解斜視図を示しており、図4に示すように、入賞装置10は、遊技盤2に固定される遊技盤固定部材70に対して前側から前側ベース部材81が組み付けられ、遊技盤固定部材70の後側には後側第1ベース部材83が組み付けられるようになっている。また、後側第1ベース部材83の更に後方には、後側第2ベース部材85が組み付けられ、これら遊技盤固定部材70、後側第1ベース部材83、及び後側第2ベース部材85によってハウジング89(図5、図6等参照)が構成されている。
図3、図4に示すように、前側ベース部材81は、遊技盤2の盤面2aと略平行に配置される前板81aと、回動片21,22の下方に配置される底部81bとを有し、底部81bから上方に前板81aが立ち上がる形態をなしている。この前側ベース部材81は、これら前板81a及び底部81bと、一対の回動片21,22と、後述する台板72とによって遊技球Bを受ける箱状の受け部を構成しており、後述する回動片21,22の間に進入した遊技球Bを底部81bで受け、この遊技球Bを、台板72に形成された開口72aを介して底部81の後方に配置される誘導路26(後述)に誘導し得る構成をなしている。
図4に示すように、前側ベース部材81には、前板81aから後方側に延びる前後方向の軸部(支軸)82a,82bが突出形態で設けられている。一方、この前側ベース部材81に取り付けられるべき一対の回動片21,22は、図7〜図9に示すように、それぞれが長手状の回動片本体21c,22cを備えており、それら回動片本体21c,22cの長手方向一方寄りの位置に、前後方向に延びる孔部21a,22aがそれぞれ形成されている(図9も参照)。各回動片21,22は、各孔部21a,22aに前側ベース部材81の各軸部82a,82bをそれぞれ挿入させた嵌合状態で、前側ベース部材81に回動可能に支持され、前板81aと台板72との間において両回動片21,22が互いに距離をあけて保持されている。なお、図4等では、回動片21,22を保持する軸として、前側ベース部材81と一体的に形成された軸部82a,82bを例示したが、回動片21,22を回動可能に保持しうる構成であればよく、前側ベース部材81とは別の軸部材として構成されていてもよい。例えば、軸部82a,82bに代えて、台板72と前側ベース部材81との間に挟み込む形態で前後方向に延びる一対の軸部材(例えば真鍮ピン等)を組み付け、これら軸部材に、回動片21、22が回動可能に支持されるようにしてもよい。
上記構成により、各回動片21,22は、図7、図8のような前後方向の軸線(回動軸線A1,A2)を中心として回動し得るようになっている。また、図7〜図9に示すように、これら一対の回動片21,22には、各回動片本体21c,22cから後方に突出する軸部21b,22bがそれぞれ形成されている。軸部21bは、長手状の回動片本体21cにおいて、回動軸線A1に対し他端側(先端とは反対側)に設けられ、同様に、軸部22bも、長手状の回動片本体22cにおいて、回動軸線A2に対し他端側(先端とは反対側)に設けられている。各回動片21,22は、これら軸部21b,22bが後述する揺動部材31,32によって操作されることにより、それぞれ回転軸線A1,A2を中心として回動動作するようになっている。
図8(a)(b)に示すように、回動片21は、回動軸線A1よりも内側(回動片22側)において、軸部21bが回動片本体21cから後方に突出しており、図9(a)のように、揺動部材31の先端側に形成された接触部31aが軸部21bを下方位置に押し下げたとき(図14(a)も参照)、回動片本体21cの先端部を内側(回動片22側)に移動させた位置(第1回動位置)に位置決めされ、図9(b)のように揺動部材31の接触部31aが軸部21bを上方位置に押し上げたとき(図14(b)も参照)、回動片本体21cの先端部を外側(回動片22とは反対側)に移動させた位置(第2回動位置)に位置決めされるようになっている。また、他方の回動片22も同様であり、図8(a)(b)に示すように、回動軸線A2よりも内側(回動片21側)において、軸部22bが回動片本体22cから後方に突出しており、図9(a)のように、揺動部材32の先端側に形成された接触部32aが軸部22bを下方位置に押し下げたとき(図7(a)も参照)に、回動片本体22cの先端部を内側(回動片21側)に移動させた位置(第1回動位置)に位置決めされ、図9(b)のように、揺動部材32の接触部32aが軸部22bを上方位置に押し上げたとき(図7(b)も参照)、回動片本体22cの先端部を外側に(回動片21とは反対側)に移動させた位置(第2回動位置)に位置決めされるようになっている。
回動片21,22を操作する揺動部材31,32は、一体的に構成されて一体的に変位する構成をなしており、これら揺動部材31,32に操作される両回動片21,22は、図2、図3に示すように、同時に第1回動位置、第2回動位置に設定されるようになっている。そして、図2(a)、図3(a)のように、両回動片21,22が第1回動位置となったときには、両回動片本体21c,22cの先端部が近接して入賞口20が閉塞され、入賞口20は、遊技球Bが進入不能な開放状態(第1状態)となり、図2(b)、図3(b)に示すように、両回動片21,22が第2回動位置になったときには、両回動片本体21c,22cの先端部が離間することで、入賞口20が開放され、遊技球Bが進入可能な開放状態(第2状態)となるように構成されている。
次に、揺動部材31,32について説明する。図7〜図9に示すように、揺動部材31,32は、回動片21,22の後方に配置され、ほぼ全体がハウジング89(図5、図6)の内部に収容された構成をなし、このハウジング89に揺動可能に保持されている。揺動部材31,32は、図8、図9に示すように、左右方向において少なくとも遊技球の直径以上の距離をあけて配置され、いずれも前後方向を長手方向とする構成で長手状に延びている。また、各揺動部材31,32の後端部付近を互いに連結する形態で、湾曲連結部38が配置されており、この湾曲連結部38の連結により、揺動部材31,32及び湾曲連結部38が一体的な揺動ユニット30として構成されている。なお、揺動部材31,32と湾曲連結部38とは、一体に成形され(例えば樹脂成形等により一体成形され)、その一体成形された全体が揺動ユニット30として機能している。
揺動ユニット30は、一対の突起部36a,36bが形成されており、これら一対の突起部36a,36bが、ハウジング89の両側部(具体的には、後側第1ベース部材83の両側壁)に形成された軸受部83a,83bに回動可能に支持されている。そして、揺動ユニット30全体がハウジング89内で、所定の中心軸(揺動軸A3)を中心として回動(揺動)し得るようになっている。
このように揺動ユニット30が形成されることで、各揺動部材31、32が揺動軸A3を中心として一体的に揺動することとなる。各揺動部材31、32の先端部に形成された接触部31a,32aがそれぞれ揺動軸A3を中心として変位し、各接触部31a,32aがそれぞれ、図9(a)に示す下方位置と、図9(b)に示す上方位置とで上下動するようになっている(図7(a)(b)、図14(a)(b)も参照)。各接触部31a,32aはそれぞれ、各回動片21,22と接触可能に構成されると共に、それぞれが、各軸部21b,22bを上下に挟みこんでおり、各接触部31a,32aの上下動と連動して各軸部21b,22bが上下動するようになっている。
このように構成される揺動部材31、32は、後述するアクチュエータ50の駆動力が伝達部材60(後述)によって伝達されて揺動動作するようになっており、各接触部31a,32aが図9(a)に示す下方位置となる揺動位置(第1揺動位置)において、各回動片21,22を第1回動位置に定め、各接触部31a,32aが図9(b)に示す下方位置となる揺動位置(第2揺動位置)において、各回動片21,22を第2回動位置に定めるように機能している。
次に、上記揺動部材31,32を収容するハウジング89等について説明する。図4〜図6に示すように、ハウジング89は、遊技盤固定部材70、後側第1ベース部材83、後側第2ベース部材85が一体的に組み付けられた構成をなしている。このうち、遊技盤固定部材70は、図12に示すように、遊技盤2の盤面2aに沿って配置される台板72を備えると共に、上部入賞口40と上部第1誘導路73とが台板72と一体的に連結された構成をなしている。なお、図12は、遊技盤2に取り付けられた入賞装置10を示す平面一部断面図であり、遊技盤2については断面を示し、入賞装置10については平面図を示している。
図4、図5、図12、図14に示すように、上部入賞口40は、一対の側壁40b,40cと、これら側壁40b,40cの前方側に連結される前壁40aと、底壁40dとを備え、上方側及び後方側が開放された箱状形態をなしており、この上部入賞口40の後方には、台板72から後方側に延出する形態で上部第1誘導路73が連結されている。この上部第1誘導路73は、上部誘導路46の一部をなすものであり、上方が開放された溝状に構成され、上部入賞口40から台板72の切欠部72bを介して送られた遊技球Bを後方側に案内する構成をなしている。
図4〜図6、図14に示すように、後側第1ベース部材83は、上部第1誘導路73の下方に配置されると共に、遊技盤固定部材70に連結された構成をなしている。この後側第1ベース部材83は、一対の側壁部84a,84bを備えると共に、底壁84cを有している。これら一対の側壁部84a,84b及び底壁84cは、上記上部第1誘導路73と共に、揺動ユニット30を収容する収容部を構成しており、一対の側壁部84a,84bによって揺動ユニット30の左右が覆われ、上部第1誘導路73によって揺動ユニット30の上方が覆われ、底壁84cによって揺動ユニット30の下方が覆われる形態で、揺動ユニット30が収容されている。
また、図4に示すように、後側第1ベース部材83は、台板72に形成された開口部72aに隣接して一対の側壁部84a,84b及び底壁84cが溝状に配置される構成をなしており、これら一対の側壁部84a,84b及び底壁84cが、入賞口20から開口部72aに送られた遊技球Bを後方側に誘導する誘導路26の一部として構成されている(図14も参照)。具体的には、各側壁部84a,84bの内側にそれぞれ隣接する構成で各揺動部材31,32が配置され、湾曲連結部38が上部第1誘導路73に隣接する形態でアーチ状に配置される構成をなしており、左右で対をなして配置される誘導部材31,32の間を通り、且つ湾曲連結部38の下方を通るように遊技球Bが誘導路26によって誘導されるようになっている。なお、誘導路26は、「下部誘導路」の一例に相当するものである。
図14に示すように、後側第1ベース部材83の後方に組み付けられる後側第2ベース部材85は、上壁86a、一対の側壁86b,86cを備え、下部に検出スイッチ90が組み付けられている。この検出スイッチ90は、後側第1ベース部材83と後側第2ベース部材85との間に挟み込まれる形態で、これら後側第1ベース部材83及び後側第2ベース部材85に保持されている。また、後側第2ベース部材85は、上壁86a及び一対の側壁86b,86cの前端部に開口部28が形成されている(図4、図6も参照)。この開口部28は、後側第1ベース部材83の側壁部84a,84b及び底壁84cに隣接しており、これらに沿って後方に移動する遊技球Bを当該開口部28内に案内する構成をなしている。
後側第2ベース部材85の上壁86a及び一対の側壁86b,86cは、遊技球Bを誘導する誘導路26の一部として構成されており、後側第1ベース部材83を通って送られてきた遊技球Bを進入させ、誘導する構成をなしている。具体的には、上壁86a及び一対の側壁86b,86cによって区画される内部空間の下方側に、検出スイッチ90の孔部91が配置されており、開口部28を通って後側第2ベース部材85の内部空間に進入した遊技球Bを、孔部91を介して下方に落とすように構成されている。なお、検出スイッチ90は、孔部91内を遊技球Bが通過したことを検出可能な公知のスイッチとして構成されている。
また、図12〜図14に示すように、誘導路26の一部をなす上壁86aの上方側には、この上壁86aと一体的に連結された構成で、上部第2誘導路88が設けられている。この上部第2誘導路88は、上部第1誘導路73と共に上部誘導路46を構成するものであり、図5、図12に示すように、上部第1誘導路73に隣接して配置されると共に、底壁88a、側壁88b、後壁88cを備えた構成をなしており、これらからなる左右方向の通路により、上部第1誘導路73を通って後方に移動した遊技球Bを横方向に方向転換するように誘導している。なお、この上部第2誘導路88を通って案内された遊技球Bは、例えば当該上部第2誘導路88の誘導先に設けられた図示しない検出スイッチによって検出されるようになっている。
次に、アクチュエータ50について説明する。アクチュエータ50は、図9〜図11に示すように、ソレノイド本体52と、ソレノイド本体52の励磁に応じてスライドするプランジャ56とを備えてなるものであり、図5、図6のように、ハウジング89の外側に一部を露出させた構成でハウジング89に固定されている。
ソレノイド本体52は、コイル57を有しており、当該コイル57の通電、非通電を切り替えることにより、励磁状態と非励磁状態とを切り替えうる構成をなしている。また、ソレノイド本体52の内部に一部が挿入される構成(具体的にはコイル57に形成された前後方向の孔内に一部が挿入される構成)で、金属材料などからなるプランジャ56が設けられており、ソレノイド本体52の励磁状態に応じてプランジャ56が駆動されるようになっている。
図10、図11に示すように、ソレノイド本体52は、前端部52aが揺動部材31,32の後端部31c,32c(図9も参照)よりも前側となる位置関係で、揺動部材31,32の周囲に配置されている。より具体的には、図9〜図11に示すように、ソレノイド本体52は、揺動部材31の斜め上方に配置されており、図10、図11に示すように、揺動部材31と上下に重なる上下重畳部(図11において、揺動部材31の上方を覆い隠す部分)と、揺動部材31,32)と左右に重なる左右重畳部(図10において、揺動部材32に覆い隠される部分)とを有している。
また、図13に示すように、ソレノイド本体52は、上部誘導路46及び誘導路26の側方に配置されており、当該ソレノイド本体52の一部が、上部誘導路46と誘導路26との間に入り込んだ構成をなしている(図5、図6も参照)。具体的には、上述の上部第2誘導路88を構成する底壁88aや側壁88bの下方位置であって且つ後側第2ベース部材85の上壁86a及び側壁86bの上方位置にソレノイド本体52の一部(角部)が配置されており、横方向のコンパクト化が図られている。
プランジャ56は、図10、図11に示すように、ソレノイド本体52の前方側で動作伝達部(前側先端部56a)が変位する構成をなしており、ソレノイド本体52の励磁状態に応じ、ソレノイド本体52よりも前方側に突出する突出位置(図9(a),図10(a),図11(a)参照)と、突出位置よりも後退した後退位置(図9(b),図10(b),図11(b)参照)とで切り替わるようになっている。本実施形態では、図11に示すように、プランジャ56の前側先端部56aとソレノイド本体52との間において、前側先端部56aをソレノイド本体52から離間する方向に付勢するコイルばね59(付勢部材)が設けられており、ソレノイド本体52の通電時には、コイルばね59の付勢に抗してプランジャ56が電磁石として機能するソレノイド本体52の内部側に引き込まれ、図11(b)のように後退位置に退避するようになっている。一方、ソレノイド本体52の非通電時には、コイルばね59の付勢によって前側先端部56aがソレノイド本体52から離され、図11(a)のように突出位置に位置決めされるようになっている。
また、図12に示すように、遊技盤2の盤面2aに沿って配置される台板72から所定距離隔てた後方にソレノイド本体52が配置されており、プランジャ56の前側先端部56aは、図12のように、ソレノイド本体52と台板72との間を前後に往復動する構成をなしている(図5、図6も参照)。なお、図12では、プランジャ56の前側先端部56aの位置を二点鎖線にて概念的に示しており、プランジャ56が突出位置にあるときの前側先端部56aの位置を符号56a’で示し、プランジャ56が後退位置にあるときの前側先端部56aの位置を符号56a”で示している。
また、図11(b)に示すように、プランジャ56は、後退位置における前側先端部56aの位置が、揺動部材31,32の揺動軸A3よりも前方位置となる構成で配置されている。なお、ソレノイド本体52の前端部52aも、揺動部材31,32の揺動軸A3よりも前方となるように配置されている。
また、本実施形態では、遊技盤固定部材70において、台板72から後方側に延出する保持フレーム74が形成されており、この保持フレーム74は、上述の上部第1誘導路73と後述する被覆部76とが一体的に連結されてなるものであり、図12に示すように、遊技盤2に形成された取付孔2bに挿入された状態で遊技盤2に固定されている。
アクチュエータ50は、揺動部材31の側方に配置されており、図12に示すように、プランジャ56の前側先端部56aが取付孔2b内に収容される位置で、保持フレーム74に保持されている。このプランジャ56の前側先端部56aは、被覆部76に被覆された構成で当該被覆部76と共に取付孔2b内に収容されており、被覆部76による被覆と、取付孔2b内での収容とにより二重の保護がなされている。なお、プランジャ56を覆う被覆部56は、台板72とソレノイド本体52の前端部52aとの間に亘って設けられており、プランジャ56の前側先端部56aが移動する移動領域の、上方、下方、及び揺動部材31,32とは反対側の側方を連続的に被覆している。また、当該移動領域の内側(揺動部材側)には、揺動部材31,32及びこれらを収容する後側第1ベース部材83が配置されており、これら揺動部材31,32及び後側第1ベース部材83によって当該移動領域の内側が覆われている。
次に、伝達部材60について説明する。伝達部材60は、プランジャ56の前側先端部56aと連動し、プランジャ56の駆動力を揺動部材31,32に伝達するように機能するものである。この伝達部材60は、図7、図8に示すように、プランジャ56の前側先端部56aと嵌合して当該前側先端部56aに固定される固定部61と、この固定部61からプランジャ56に沿って後方に延びる板状の後方延出部62とを備えている。図9に示すように、後方延出部62は、揺動ユニット30とこの揺動ユニット30の斜め上方に配置されるソレノイド本体52との間(より詳しくは、湾曲連結部38とソレノイド本体52との間)に配置されており、プランジャ56の前側先端部56aと連動して前後動する構成をなしている。
図7、図8に示すように、後方延出部62には、前後方向に長い長孔64が形成されており、この長孔64内に、揺動ユニット30に形成された突起部39が挿入されている。本実施形態では、揺動部材31、32を連結する湾曲連結部38が、誘導路26(図14参照)の上方側において上向きに凸となる湾曲状且つアーチ状に構成されており、突起部39は、この湾曲連結部38の側部における揺動軸A3から所定距離上方に離れた位置において、ソレノイド本体52側に突出する形態で形成されている。
図9(a)(b)に示すように、揺動ユニット30は、突起部39の前後動に応じ、揺動軸A2を中心として揺動(回動)するようになっており、図9(a)、図10(a)のように、プランジャ56が突出位置となり、長孔64が前方位置に移動したとき(即ち、ソレノイド本体52に対する通電が解除されたとき)には、湾曲連結部38の上端部付近が前方位置となるように揺動ユニット30が揺動し(図14(a)も参照)、揺動部材31,32の接触部31a,32aが下方位置となる揺動位置(第1揺動位置)に位置決めされる。一方、図9(b)、図10(b)のように、プランジャ56が後退位置となり、長孔64が後方位置に移動したとき(即ち、ソレノイド本体52が通電されたとき)には、湾曲連結部38の上端部付近が後方位置となるように揺動ユニット30が揺動し(図14(b)も参照)、揺動部材31,32の接触部31a,32aが上方位置となる揺動位置(第2揺動位置)に位置決めされることとなる。
本実施形態では、伝達部材60に形成された長孔64が、前後方向におけるソレノイド本体52の配置領域(即ち、ソレノイド本体52の前端部52よりも後方側の領域)で、その一部又は全部が変位する構成をなしており、プランジャ56の駆動力を、ソレノイド本体52の配置領域内で揺動部材31,32に伝達しうるようになっている。より具体的には、図10(a)に示すように、プランジャ56が突出位置にあるときでも、長孔64のほぼ全体が、ソレノイド本体52の前端部52aよりも後方に位置しており、図10(b)に示すように、プランジャ56が後退位置となったときには、長孔64の全体が、前端部52aよりもある程度後方に位置するように変位するようになっている。
本実施形態では、上述したように、一対の揺動部材31,32が誘導路26の上方側に配置された湾曲連結部38によって連結された構成をなし、図14(a)(b)に示すように、一対の揺動部材31,32の揺動と連動して湾曲連結部38の上端部付近が前後に移動する構成をなしているが、図14(b)に示すように、一対の揺動部材31,32が第2揺動位置となったときには、湾曲連結部38が開口部28(図4も参照)に当接し、当該湾曲連結部38が当該開口部28の湾曲形状に沿って配置されるようになっている。従って、第2揺動位置となったときには(即ち、誘導路26に遊技球Bが進入可能なときには)、湾曲連結部38が開口部28に安定的に支持され、進入する遊技球Bの振動や衝突に強い構成となる。また、開口部28の上部側内壁面と湾曲連結部38の内壁面とが滑らかに連続する構成となるため、誘導路26を通る遊技球Bを開口部28側に円滑に誘導できるようになる。
(本実施形態の主な効果)
本実施形態に係る遊技機用可変入賞装置10は、ソレノイド本体52の前端部52aが揺動部材31,32の後端部31c,32cよりも前側となる位置関係で、ソレノイド本体52が揺動部材31,32の周囲に配置されている。従って、ソレノイド本体52を揺動部材31,32よりも後方に配置する従来構成と比較して、前後方向のサイズを抑えることができ、後方側に嵩張らない構成とすることができる。また、プランジャ56が、ソレノイド本体52の励磁状態に応じ、ソレノイド本体52よりも前方側に突出する突出位置と、この突出位置よりも後退した後退位置とで変位する構成をなしている。このように構成すると、ソレノイド本体52をより前方側に配置した上で、更にその前方でプランジャ56を変位させることができる。従って、プランジャやプランジャヘッドが後方側から露出するような構成と比較して、後方側からプランジャ56に接触したり、当該プランジャ56を操作することが困難となり、プランジャ56付近の不正操作を効果的に防止できる。
一方、上記のように、ソレノイド本体52及びプランジャ56をより前方側に配置すると、プランジャ56の前側先端部56aの動作を揺動部材31,32に伝達し難くなるが、本発明では、プランジャ56の前側先端部56aと連動する伝達部材60が設けられ、この伝達部材60に設けられた長孔64が、前後方向においてソレノイド本体52の配置領域で変位可能とされ、揺動部材31,32と連動する湾曲連結部38に接触可能とされている。従って、より前方で変位するプランジャ56の駆動力を、揺動部材31,32に良好に伝達することができる。特に、長孔64が、前後方向におけるソレノイド本体52の配置領域(即ち、ソレノイド本体52の前端よりも後ろの領域)で変位するため、ソレノイド本体52をより前方に配置し、その前方側でプランジャ56を変位させつつも、揺動部材31,32に力を伝達する部分(長孔64)については、それほど前側に配置せずに済み、揺動部材31,32をより円滑に揺動させやすくなる。
また、プランジャ56が後退位置となったときの前側先端部56aの位置が、揺動部材31,32の揺動軸A3よりも前方位置となる構成で配置されている。このようにすると、プランジャ56をより前方側で変位させることができ、不正防止効果が一層高まる。また、揺動軸A3をそれほど前側位置とする必要がなく、揺動軸A3から接触部31a,32a(回動片と接触する部分)までの長さを短くし過ぎることなく適切な長さに設定しやすくなる。
また、揺動部材31,32の揺動軸A3が、ソレノイド本体52の前端部52aよりも後方に位置している。このようにすると、ソレノイド本体52をより一層前方に配置することができるため、装置全体の前後方向のサイズを一層小さくすることができる。また、揺動軸A3がソレノイド本体52の前端部52aよりも後ろに位置するため、前後方向のサイズをコンパクト化しつつも、揺動軸A3から接触部31a,32a(回動片と接触する部分)までの長さについては適切な長さを確保しやすくなる。
また、遊技盤2の盤面2aに沿って配置される台板72を備えており、アクチュエータ50が、この台板72の後方側に配置されている。そして、プランジャ56の前側先端部56aが、ソレノイド本体52と台板72との間を前後に往復動する構成をなしている。このようにすると、台板72の後方領域を利用してアクチュエータ50をより前方側に配置することができる。また、台板72とソレノイド本体52との間をプランジャ56の前側先端部56aが往復動する構成であるため、前側先端部56aの移動領域の前方が台板72で覆われ、後方がソレノイド本体52に覆われた格好となる。従って、プランジャ56の前側先端部56aを、後方側から接触、操作することも、前方側から接触、操作することも困難となり、プランジャ56の前側先端部56aに対する不正操作をより一層効果的に防止することができる。
また、遊技盤2に形成された取付孔2bに挿入された状態で遊技機1に配置される保持フレーム74を備えており、この保持フレーム74が、台板72から後方側に延出する構成をなしている。そして、アクチュエータ50は、遊技機用可変入賞装置10を遊技盤2に取り付けたときに、プランジャ56の前側先端部56aが取付孔2b内に収容されるような構成で、保持フレーム74に保持されている。このようにすると、当該遊技機用可変入賞装置10が遊技盤2に取り付けられた際に、プランジャ56の前側先端部56aが取付孔2bに収容された状態で当該取付孔2b内を移動することとなり、プランジャ56の前側先端部56aに対する不正操作が極めて困難となる。
また、アクチュエータ50は、揺動部材31,32の側方に配置され、プランジャ56の前側先端部56aが移動する移動領域の、上方、下方、及び揺動部材31,32とは反対側の側方を連続的に被覆する被覆部76が、台板72とソレノイド本体52の前端部52aとの間に亘って設けられている。このようにすると、前側先端部56aの移動領域の前後がそれぞれ、台板72とソレノイド本体52とで覆われると共に、台板72からソレノイド本体52の位置に至るまで、移動領域の外周が被覆部76に覆われることとなる。従って、プランジャ56の前側先端部56aに対する前後、左右、上下いずれからの接触、操作も極めて困難となる。
また、ソレノイド本体52は、揺動部材31の斜め上方に配置され、揺動部材31と上下に重なる上下重畳部と、揺動部材31と左右に重なる左右重畳部とを有している。このようにすると、ソレノイド本体52を揺動部材31,32の周囲に配置して前後方向のコンパクト化を図りつつ、上下方向及び左右方向の嵩張りをも極力抑えることができる。
また、入賞口20の上方に上部入賞口40が設けられ、上部入賞口40の後方には、当該上部入賞口40に進入した遊技球Bを後方に誘導する上部誘導路46が設けられており、入賞口20の後方には、当該入賞口20に進入した遊技球Bを後方に誘導する誘導路26が設けられている。そして、ソレノイド本体52が、上部誘導路46及び誘導路26の側方に配置され、当該ソレノイド本体52の一部が、上部誘導路46と誘導路26との間に入り込んだ構成をなしている。このようにすると、ソレノイド本体52を上部誘導路46及び誘導路26の側方に配置して前後方向のサイズを抑えると共に、上部誘導路46と誘導路26との間のスペースを利用してソレノイド本体52の一部を配置し、左右方向の嵩張りをも抑えることができ、装置全体を一層小型化することができる。
また、入賞口20の後方において、入賞口20に進入した遊技球Bを、一対の揺動部材31,32の間を通して後方に誘導する誘導路26が設けられ、この誘導路26の後端側には、当該誘導路26を移動する遊技球Bを通す開口部28が形成されている。また、一対の揺動部材31,32が誘導路26の上方に配置される湾曲形態の湾曲連結部38によって連結され、この湾曲連結部38は、一対の揺動部材31,32の揺動に応じて上部側が前後に移動し、これら一対の揺動部材31,32が第2揺動位置となったときに、開口部28に当接し、当該開口部28の湾曲形状に沿って配置される構成をなしている。このようにすると、単一の駆動源によって一対の揺動部材31,32を一体的に駆動でき、入賞口20の開放状態が相対的に入賞しやすい状態(第2状態)となるときに、湾曲連結部38を開口部28に当接させて安定的に位置決めすることができる。また、湾曲連結部38が開口部28に当接するときには、当該湾曲連結部38が開口部28の湾曲形状に沿って配置されるため、湾曲連結部38と開口部28との形状的な連続性が高くなり、誘導路26を通る遊技球Bをより円滑に開口部28に案内しやすくなる。
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、一対の回動片21,22を備えた入賞装置10を例示したが、回動片が1つのみの構成であってもよく、3以上の回動片を備えた構成であってもよい。
上記実施形態では、上部入賞口40を備えた入賞装置10を例示したが、このような上部入賞口40が設けられない構成であってもよく、これ以外の入賞口を備えるような構成であってもよい。
上記実施形態では、図1に示すパチンコ機を例示したが、遊技球が流下する構成であれば、公知の様々な遊技機に適用することができる。