JP5522419B2 - 扁平チューブ用フィンの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、扁平チューブ用フィンの製造装置に関し、より詳細には、扁平チューブ用フィンの前駆体である製品幅の金属帯状体の移送時における変形を防止し、生産ロスのない扁平チューブ用フィンの製造装置に関する。
従来のクーラー等の熱交換器は、熱交換チューブを挿入する透孔が複数個穿設された熱交換器用フィンが複数枚積層されて構成されているものが一般的である。
かかる熱交換器用フィンは、図12に示す熱交換器用フィンの製造装置によって製造される。
熱交換器用フィンの製造装置には、アルミニウム等の金属製の薄板10がコイル状に巻かれたアンコイラー12が設けられている。アンコイラー12からピンチロール14を経て引き出された薄板10は、オイル付与装置16に挿入され、加工用オイルをその表面に付着され、プレス装置18内に設けられた金型装置20に供給される。
金型装置20は、内部に上下動可能な上型ダイセット22と、静止状態にある下型ダイセット24とが設けられている。この金型装置20によって、透孔の周囲に所定高さのカラーが形成された複数個のカラー付き透孔(図示せず)が所定の方向に所定の間隔で形成される。以下、金属製の薄板に透孔等が加工されたものを、金属帯状体11と称する。
ここで加工された金属帯状体11は、製品となる熱交換器用フィンが幅方向に複数配列されて形成されている。このため、金型装置20内には、列間スリット装置が設けられている。列間スリット装置は、間欠送りされる金属帯状体11を、噛み合わせた上刃と下刃とで切断し、搬送方向に長い帯状の製品(以下、製品幅の金属帯状体と称する場合がある)を製造する。
製品幅の金属帯状体は、カッター26によって所定長さに切断される。所定長さに切断された製品(熱交換器用フィン)は、スタッカ28に収容される。スタッカ28は、鉛直方向に立設された複数のピン27を有しており、透孔内にピン27を挿入させて製造された熱交換器用フィンを積層している。
特開平6−211394号公報
近年の熱交換器には多穴の扁平チューブを用いたものが開発されてきている。この扁平チューブを用いた熱交換器用フィン(以下、扁平チューブ用フィンと称する場合がある)が複数形成された金属帯状体11とこれを個片化して得た扁平チューブ用フィン30の平面図を図13(A),(B)に示す。
扁平チューブ用フィン30は、扁平チューブが挿入される切り欠き部34が複数箇所に形成されており、切り欠き部34と切り欠き部34との間は、ルーバー35が形成された板状部36が形成されている。
切り欠き部34は、扁平チューブ用フィン30の幅方向の一方側からのみ形成されている。したがって、切り欠き部34と切り欠き部34との間の複数の板状部36は、扁平チューブ用フィン30の長手方向に沿って伸びる連結部38によって連結されている。
ところで、扁平チューブ用フィンを製造する製造装置における、製品幅の金属帯状体を所定長さに切断して製品である熱交換器用フィンを形成するカットオフ装置では、製品の長さを任意に変更できるように、プレス装置における製品幅の金属帯状体の1回(型閉じ1回)の送り長さよりも、カットオフ1回の送り長さを長くすることができる。
このため、プレス装置とカットオフ装置との間では、カットオフ装置による1回の送り長さよりも長い長さを一時的に溜めるため、製品幅の金属帯状体を下方にたるませておくことが検討されている。
しかし、製品幅の金属帯状体は、極めて肉薄に形成されているため、たるませている箇所において製品幅の金属帯状体どうしが接触してしまうことがあった。金属製の薄板が所定の板厚を有している場合には、製品幅の金属帯状体どうしが互いに接触したとしても、特に問題が生じるようなことはなかった。しかしながら、金属製の薄板の板厚が薄くなってくると、列間スリット装置からカットオフ装置間の移送時における製品幅の金属帯状体どうしが接触することによって、特に製品幅の金属帯状体の切り欠き部34の開口側部分に変形が生じやすくなり、その結果、扁平チューブ用フィンの生産ロスが増えてしまうといった課題の所在が明らかになった。
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、列間スリット装置からカットオフ装置の間の移送時に移送を補助するための手段を設け、製品幅の金属帯状体どうしの接触をなくすことにより、生産ロスの防止を図ることが可能な扁平チューブ用フィンの製造装置を提供することである。
本願発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下の構成に想到した。
すなわち、幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切り欠き部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを製造する製造装置において、未加工の金属製の薄板に切り欠き部を形成して金属帯状体とする金型装置が設けられたプレス装置と、切り欠き部が形成されてなる金属帯状体を所定幅に切断し、幅方向に複数本整列してなる製品幅の金属帯状体を形成する列間スリット装置と、製品幅の金属帯状体のそれぞれを所定長さに切断し、扁平チューブ用フィンを得るカットオフ装置と、前記列間スリット装置と前記カットオフ装置との間に配設され、前記列間スリット装置により形成された前記製品幅の金属帯状体のそれぞれを互いに離反させた状態で前記カットオフ装置に供給するための金属帯状体用ガイドと、を具備し、前記金属帯状体用ガイドは、前記製品幅の金属帯状体を前記切り欠き部の開口部側どうしを互いに離反させた状態で前記カットオフ装置に供給することを特徴とする扁平チューブ用フィンの製造装置である。これにより、列間スリット装置からカットオフ装置の間の移送時に製品幅の金属帯状体どうしの接触をなくすことができ、金属帯状体の変形による生産ロスを防ぎ、扁平チューブ用フィンの製造効率を向上させることが可能になる。また、製品幅の金属帯状体どうしが接触した際に最も変形が生じやすい切り欠き部の開口部側どうしが接触することがないため、切り欠き部の開口端側の変形を確実に防止することができる。
また、前記金属帯状体用ガイドは、前記列間スリット装置により形成された前記製品幅の金属帯状体において、前記切り欠き部が形成されている側の端縁側に頂点が設けられ、該頂点から前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの供給方向に直交する方向に互いに下りながら傾斜する傾斜面に形成され、当該傾斜面が前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの製品幅よりも幅広寸法に形成されている通路と、該通路の幅方向の端部から起立する壁部と、を有していることが好ましい。この構成を採用することにより簡易な構成で金属帯状体用ガイドを実現することができる。
また、前記壁部は、前記製品幅の金属帯状体の切り欠きが形成されていない側の端縁側に当接する位置に設けられていることが好ましい。これにより、金属帯状体のなかでも最も変形しにくい部位を壁部に当接させて金属帯状体の移送方向をガイドさせることができるため、変形しやすい切り欠き部の開口部側が他の部位に衝突することによる変形が生じるおそれを確実に防ぐことができる。また、製品幅の金属帯状体は、切り欠き部が形成されていない側の方に重心が偏っていることになるので、切り欠き部が形成されていない側が壁部側(傾斜面の下側)に位置していれば、通路である傾斜面を滑り落ちる際においても好都合である。
また、前記傾斜面の水平面に対する傾斜角は5°〜45°の範囲であることが好ましい。この構成を採用することにより、製品幅の金属帯状体を重力の作用のみにより通路の上面を滑り落とすことができ、金属帯状体のなかで最も変形しにくい部位を壁部に当接させることができる。
さらには、前記金属帯状体用ガイドは、前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの前記カットオフ装置への供給位置を、前記カットオフ装置の高さ方向と幅方向のうちの少なくとも一方向において離反させていることが好ましい。この構成を採用すれば、わずかなスペースであっても製品幅に形成された金属帯状体どうしを確実に離反させた状態でカットオフ装置に供給することができる。
また、前記金属帯状体用ガイドが、複数設けられていることが好ましい。これにより、製品幅の金属帯状体どうしの離間幅を徐々に広げることができるため、製品幅の金属帯状体を離反させる際に生じる製品幅の金属帯状体の負荷を軽減させることができる。
本発明にかかる扁平チューブ用フィンの製造装置によれば、列間スリット装置からカットオフ装置の間の移送時に製品幅の金属帯状体をそれぞれ離反させた状態でカットオフ装置に供給することが可能になるため、製品幅の金属帯状体どうしが接触することがなく、製品幅の金属帯状体の変形による生産ロスの発生を防止することができる。
また、製品幅の金属帯状体どうしが接触した際に最も変形が生じやすい切り欠き部の開口部側どうしが接触することがないため、切り欠き部の開口端側の変形を確実に防止することができる。
本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの製造装置の全体構成図である。 扁平チューブ用フィンの前駆体である金属帯状体の平面図である。 第1の金属帯状体用ガイドの平面図(A)および正面図(B)である。 第2の金属帯状体用ガイドの平面図である。 図4内のA−A線における端面図である。 第2の金属帯状体用ガイドの他の実施形態例を示す平面図である。 第2の金属帯状体用ガイドの他の実施形態例を示す端面図である。 保持装置とスタック装置の動作を示す平面図および側面図である。 保持装置とスタック装置の動作を示す平面図および側面図である。 保持装置とスタック装置の動作を示す平面図および側面図である。 スタック装置の上昇量の変化状態を示す説明図である。 従来技術における熱交換器用フィンの製造装置の全体構成図である。 金属帯状体(A)とこれを個片化して得た扁平チューブ用フィン(B)の平面図である。
本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの製造装置200は、図1に示すように、原材料である金属製薄板41がアンコイラー40から巻き出され、ループコントローラ42およびNCフィーダ44を介してプレス装置48に供給される。金属製薄板41は扁平チューブ用フィンの金型装置46によりプレス加工されることにより、図2に示すような金属帯状体49が形成される。NCフィーダ44は、金属製薄板41の上面と下面とに接触する2つのローラから構成されており、2つのローラが回転駆動することにより、金属製薄板41を互いに挟み込んで金属製薄板41を間欠送りしている。このように供給される金属製薄板41は、ループコントローラ42によって間欠送りのばたつきが抑えられている。
本実施形態にかかる扁平チューブ用フィンの金型装置46(以下、単に金型装置46ということがある)は、少なくとも一方が他方に対して接離動することにより開閉自在に設けられた第1型である上型46Aおよび第2型である下型46Bにより構成されている。
互いに接離動する金型装置46に、金属製薄板41を通過させ、金属製薄板41をプレス加工することにより、金属製薄板41に幅方向の一方側から他方側に向けて形成され、熱交換用の扁平チューブが挿入される切り欠き部34と、金属製薄板41の一部が切り起こされて形成された切り起こし部37と、切り起こし部37を切り起こした形成痕である透孔39および、ルーバー35とが形成される。
金属帯状体49を所定寸法に切断することにより得られる扁平チューブ用フィン30については、従来技術の説明において基本構成が開示されているので、扁平チューブ用フィン30と金属帯状体49の構成のうち共通する部分についての詳細な説明は省略する。図2に示すように、本実施形態における金属帯状体49は、金属帯状体49の移送方向に直交する幅方向に4つの製品(扁平チューブ用フィン30)が並んだ状態で形成されている。
金属帯状体49は、材料である金属製薄板41に対して幅方向に扁平チューブが挿入される切り欠き部34が 金属帯状体49の移送方向に沿って所定間隔をあけて複数箇所に形成されている。切り欠き部34と切り欠き部34との間は、ルーバー35が形成された板状部36が形成されている。また、ルーバー35の幅方向の両端部側には、板状部36の一部が切り起こされてなる切り起こし部37と、透孔39が形成されている。
切り欠き部34は、金属帯状体49の幅方向の一方側からのみ一方側から他方側に向けて形成されている。したがって、切り欠き部34と切り欠き部34との間の複数の板状部36は、長手方向に沿ってのびる連結部38によって連結されているような構成となっている。
上記の1つのルーバー35に対する2つの切り起こし部37,37のうちの一つはこの連結部38の位置に形成されている。
図2の金属帯状体49は、2つの製品(扁平チューブ用フィン30)が、互いの切り欠き部34の開口側が隣接するように対峙して配置されている組が、2組形成されている。すなわち、2つの製品の切り欠き部34の開口側が対峙して配置された組が、互いの連結部38どうしが隣接するように配置されている。
このように、4つの製品を移送方向の中心線を対象軸とする配列に配置にすることによって、金型装置46の左右の荷重バランスが良くなる。
送り装置50は、水平方向に移動可能な往復動ユニット(図示せず)が、初期位置と移送位置との間を往復動して金属帯状体49を牽引する。往復動ユニットの上面には、送りピン55(図1参照)が上方に突出して配置されており、送りピン55が金属帯状体49に形成された切り欠き部34内に下方から進入し、金属帯状体49は、送りピン55により牽引されることにより初期位置から移送位置まで送り出されている。
送り装置50の下流側(金属帯状体49の移送方向における下流側)には、列間スリット装置58が設けられている(図1参照)。列間スリット装置58は、金属帯状体49の上面側に配置された上刃58Aと、金属帯状体49の下面側に配置された下刃58Bとを有する。列間スリット装置58は、プレス装置48の上下動動作を利用して動作するように設けるとよい。
上刃58Aおよび下刃58Bは、金属帯状体49の搬送方向に長尺に形成されており、間欠送りされる金属帯状体49を図2の矢印位置において噛み合わされる上刃58Aと下刃58Bとにより分断して移送方向に長い帯状の製品(以下、製品幅の金属帯状体49Aと称する場合がある)を得ている。
列間スリット装置58によって製品幅に切断され、複数本の製品幅の金属帯状体49Aは、それぞれに対して個別に供給部が設けられたカットオフ装置60内に送り込まれる。製品幅の金属帯状体49Aは、いわゆるキャンチレバー構造になっている。このため、製品幅の金属帯状体49Aの自由端部分である切り欠き部34の開口側部分どうしが接触しただけであっても変形してしまうことがあり、列間スリット装置58からカットオフ装置60への移送は慎重に行わなければならない。
そこで、本実施形態においては、列間スリット装置58により製品幅に切断された製品幅の金属帯状体49Aをカットオフ装置60に移送させる際に、移送を補助するための手段である第1の金属帯状体用ガイド91を用いることにより、製品幅の金属帯状体49Aどうしを接触させないようにして移送させることで、製品幅の金属帯状体49Aどうしの接触が原因となって生じる変形の発生を防止している。
図3は、第1の金属帯状体用ガイドの平面図(A)および正面図(B)である。
図3に示すように、第1の金属帯状体用ガイド91は、複数の円錐台部92を大径部分92Aと小径部分92Bとが互いに高さ方向に隣接させてなる2本のガイド体93,93により構成されている。2本のガイド体93,93は、平面視した際に円錐台部92の高さ方向の中心軸92Z(回転軸)どうしを平行にすると共に、正面視した際に互いのガイド体93,93の中心軸92Zの高さ位置が異なるようにして配設されている。このようにして配設されたガイド体93,93は、中心軸92Zを回転の中心として製品幅の金属帯状体49Aの移送方向に沿って回転可能になっていてもよい。
ガイド体93の円錐台部92の側周面92Cが製品幅の金属帯状体49Aの通路となる傾斜面を形成している。通路である側周面92Cの幅寸法は円錐台部92の高さ寸法および母線の傾斜角度(水平面に対する傾斜面の角度αでもある)により規定されるが、側周面92Cの幅寸法は、製品幅の金属帯状体49Aの幅寸法よりも幅広寸法である。側周面92Cの水平面に対する傾斜角度αは5°〜45°の範囲であることが好ましい。
列間スリット装置58により製品幅に切断された製品幅の金属帯状体49Aは、重力の作用のみで連結部38を先頭にした状態で通路である側周面92Cの傾斜面に沿って小径部分92B側に滑り落ちることになる。製品幅の金属帯状体49Aの連結部38を通路となる円錐台部92における側周面92Cの小径部分92B側となるように配設する理由は、切り欠き部34の開口部側が壁部92Dに接触することによる変形を防止するためである。
通路である側周面92Cの端部である円錐台部92の小径部分92Bには、隣接する円錐台部92の大径部分92Aがあるため、大径部分92Aと小径部分92Bとの径寸法差により壁部92Dが形成されていることになる。側周面92Cに沿って滑り落ちてきた製品幅の金属帯状体49Aは、連結部38が壁部92Dに当接することにより、製品幅の金属帯状体49Aどうしの離反状態を所定の離間距離に維持させた状態でカットオフ装置60側に移送させることができる。
本実施形態においては、図3において移送方向の上流側となる左側のガイド体93には製品幅の金属帯状体49Aの2番目と4番目(図2に示す金属帯状体49を製品幅の金属帯状体49Aに分断した際に上側から下側に向っての順番)が供給され、図3において移送方向の下流側となる右側のガイド体93には製品幅の金属帯状体49Aの1番目と3番目が供給されている。このように互いに隣接する製品幅の金属帯状体49Aどうしを水平方向および高さ方向に千鳥配置となるように離反させることで、互いの離間距離を十分に確保した状態で製品幅の金属帯状体49Aをカットオフ装置60側に移送させることができる。
以上のようにして列間スリット装置58から送り出された複数本の製品幅の金属帯状体49Aは、後述するカットオフ装置60による1回の送り長さよりも長い長さを一時的に溜めるため、製品幅の金属帯状体49Aを下方に撓ませるようにしてバッファ部分B(図1参照)を形成させた状態になる。
本実施形態においては、図3に示した形態の第1の金属帯状体用ガイド91の下流側であって、カットオフ装置60の直前位置に第2の金属帯状体用ガイド94を配設している。
図4は、第2の金属帯状体用ガイドの平面図である。図5は、図4内のA−A線における端面図である。第2の金属帯状体用ガイド94は、製品幅の金属帯状体49Aにおける切り欠き部34の開口部側の端縁部分側を頂点95位置として連結部38側に向って低位になる通路としての傾斜面96と、傾斜面96の先端部である下端部分に立設された壁部97とを有している。傾斜面96の幅寸法は製品幅の金属帯状体49Aの幅寸法より幅広寸法に形成されている。本実施形態においては一枚の金属帯状体49から4条の製品幅の金属帯状体49Aが得られるため、2つの頂点95と4つの傾斜面96を有する第2の金属帯状体用ガイド94が用いられている。
このような第2の金属帯状体用ガイド94は、たとえば金属製や樹脂製の板状体を曲げ加工や押し出し成形加工等の公知の加工方法により形成することができる。
第1の金属帯状体用ガイド91から送り出された製品幅の金属帯状体49Aが傾斜面96の上に供給されると、製品幅の金属帯状体49Aは重力の作用のみにより傾斜面96に沿って傾斜面96の下端部分に向って滑り落ちる。そして製品幅の金属帯状体49Aの連結部38の長手方向の端縁(製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34が形成されていない側の端縁)が壁部97の内側面に当接した状態になる。傾斜面96の水平面に対する傾斜角度αは特に限定されるものではないが、傾斜面96の上面で製品幅の金属帯状体49Aを滑り落とす際の重力の作用と、傾斜面96を滑り落ちた後に壁部97と衝突する際に生じる衝撃の観点から、傾斜面96の傾斜角度αは水平面に対して5°〜45°の範囲であることが好ましい。
このように製品幅の金属帯状体49Aは、傾斜面96の頂点95側から連結部38を先頭にした状態で傾斜面96を滑り落とすことにより、製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34はどこにも接触することがなく、製品幅の金属帯状体49Aに変形が生じることを確実に防止することができる。また、壁部97の内側面に製品幅の金属帯状体49Aの連結部38を当接させることにより、製品幅の金属帯状体49Aの移送方向がガイドされることにもなる。
さらに、図6に示すように、第2の金属帯状体用ガイド94の傾斜面96の一方における幅寸法を製品幅の金属帯状体49Aの移送方向下流側に進むにつれて徐々に拡大する形状を採用すれば、製品幅の金属帯状体49Aがカットオフ装置60に近付くほどに製品幅の金属帯状体49Aどうしを水平方向に離反させることができる点で好都合である。
そして、本実施形態における第2の金属帯状体用ガイド94は、図5に示すように、すべての傾斜面96は移送先の高さ位置(傾斜面96と壁部97との境界部分の高さ位置)が等しくなるように形成されているが、製品幅の金属帯状体49Aの移送先における高さ位置(供給高さ位置)を異ならせるようにしてもよい。具体的には、図7(A)および(B)に示すような形状の傾斜面96を形成した第2の金属帯状体用ガイド94の構成を採用してもよい。ここで、図7は、金属帯状体用ガイドの他の実施形態の一例を示す端面図であって、端面位置は、図4中のA−A線位置に相当する位置と想定している。
扁平チューブ用フィンの製造装置200に対して以上に説明したような2種類の金属帯状体用ガイド91,94を配設することにより、列間スリット装置58によって切断された製品幅の金属帯状体49Aをカットオフ装置60に供給するまでの間に、製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34の開口部側どうしを水平方向、高さ方向のうちの少なくとも一方において互いに離反させることができる。これにより製品幅の金属帯状体49Aどうしが接触することによる切り欠き部34の開口部側における破損のおそれを確実に防止することが可能になる。すなわち、製品幅の金属帯状体49Aどうしの移送中における接触による生産ロスをなくし、扁平チューブ用フィン30の製造を効率的に行うことができ、扁平チューブ用フィン30を低コストで提供することが可能になるのである。
以上のようにして列間スリット装置58から送り出された製品幅の金属帯状体49Aは、互いに適切な間隔が設けられた状態でカットオフ装置60に移送させることができる。カットオフ装置60内には、移送方向に各製品幅の金属帯状体49Aを間欠的に移送する送り装置62が設けられている。送り装置62の構造としては、プレス装置48の下流側に設けられている送り装置50の構造よりも、1回の送り長さが長くすることができるような構成となっている。
送り装置62は、水平方向に移動可能な搬送ユニット(図示せず)が所定距離移動することにより製品幅の金属帯状体49Aをプレス装置48側から牽引し、カットオフ装置60の下流側に押し出す。搬送ユニットの上面には、製品幅の金属帯状体49Aの数だけ水平方向に並んだ複数列の送りピン65が列状に上方に突出して配置されている。送りピン65が各製品幅の金属帯状体49Aに形成された切り欠き部34内に下方から進入し、送りピン65が切り欠き部34部分を牽引することで、各製品幅の金属帯状体49Aが初期位置から移送先位置まで送り出されることになる。
カットオフ装置60の送り装置62の下流側(製品幅の金属帯状体49Aの移送方向における下流側)には、切断装置66が設けられている。
切断装置66は、各々の製品幅の金属帯状体49Aを所定長さに切断することにより、扁平チューブ用フィン30を形成するためのものである。切断装置66は、各製品幅の金属帯状体49Aの上面側に配置された上刃68と、各製品幅の金属帯状体49Aの下面側に配置された下刃69とを有する。
上刃68と下刃69とが型閉じすることによって、各製品幅の金属帯状体49Aが移送方向に沿って所定長さ毎に切断され、扁平チューブ用フィン30が製造される。
カットオフ装置60の下流側に配設された保持装置70とスタック装置80の構成および動作を図8〜図10に示す。図8〜図10においては、(A)および(B)の左側に平面図を示し、(A)および(B)の右側に平面図内の矢印X方向(カットオフ装置60側)からの側面図を示している。
カットオフ装置60の下流側には、金型装置46と列間スリット装置58を通過した製品幅の金属帯状体49Aを保持すると共に製品幅の金属帯状体49Aの移送方向をガイドし、扁平チューブ用フィン30に形成された後も保持状態を維持する保持装置70と、扁平チューブ用フィン30を板厚方向に積層するスタック装置80が設けられている。
図8に示すように保持装置70は、製品幅の金属帯状体49Aの移送方向に沿って伸びる断面コの字型をなす一対の保持体71,71と、製品幅の金属帯状体49Aの幅方向の両端縁の側方位置から製品幅の金属帯状体49Aを保持可能な位置との間で一対の保持体71,71を接離動させる接離動手段である流体シリンダ72を有している。
スタック装置80は、複数本のスタックピン81が立設されたベース部82とベース部82を保持体71の下方側位置から保持体71に保持されている製品幅の金属帯状体49Aおよび扁平チューブ用フィン30の位置との間で昇降移動する昇降手段を有している。本実施形態においてはサーボモータ84とサーボモータ84の出力軸に連結されたボールネジ85とにより昇降手段を構成している。
流体シリンダ72とサーボモータ84とは、いずれも送り装置62による製品幅の金属帯状体49Aの送り出し動作に同期して伸縮動作を行う。
具体的には、カットオフ装置60の切断装置66における上刃68および下刃69の位置を製品幅の金属帯状体49Aが通過する(送り出される)前に、図8(A)に示すように流体シリンダ72が伸長し、一対の保持体71の各々のコの字状部分の開口部によって製品幅の金属帯状体49Aの幅方向両側端縁および底面を保持可能な位置にセットする。一対の保持体71が製品幅の金属帯状体49Aの両側端縁と底面を保持するようにセットされると、図8(B)に示すように、送り装置62により製品幅の金属帯状体49Aが送り出される。製品幅の金属帯状体49Aは、互いの開口部を対向させた状態で配置された一対の保持体71により形成されたガイド空間74に沿って移送方向がガイドされることになる。
図8(B)に示すように送り装置62により製品幅の金属帯状体49Aが一対の保持体71のガイド空間74に所定長さで移送されると、送り装置62が一旦停止する。この後、図9(A)に示すようにサーボモータ84が駆動してボールネジ85を回転させ、スタックピン81が立設されているベース部82を一対の保持体71に下方側から接近させることにより、スタックピン81を製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34に挿通させる。製品幅の金属帯状体49Aの移送量(送り出し量)は予め決められているので、ベース部82はスタックピン81の位置を製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34の位置に位置合わせしておくことができる。
スタックピン81が製品幅の金属帯状体49Aの切り欠き部34に挿通すると、カットオフ装置60の切断装置66が製品幅の金属帯状体49Aを所定位置で切断処理し、製品幅の金属帯状体49Aが扁平チューブ用フィン30に個片化される(図9(B))。このように製品幅の金属帯状体49Aを切断処理する際は、スタックピン81が切り欠き部34に挿通し、製品幅の金属帯状体49Aが位置決めされた状態で保持されているので、正確な切断処理を行うことができる。すなわち、寸法精度の高い扁平チューブ用フィン30を得ることができる。
切断装置66により個片化された扁平チューブ用フィン30は、個片化される前と同様にスタックピン81が切り欠き部34に挿通した状態でガイド空間74に保持されている。切断装置66により製品幅の金属帯状体49Aが扁平チューブ用フィン30に個片化されると、図10(A)に示すように流体シリンダ72が短縮して一対の保持体71をそれぞれ扁平チューブ用フィン30の幅方向両側端縁の側方位置に離反する。一対の保持体71が扁平チューブ用フィン30から離反すると、扁平チューブ用フィン30は切り欠き部34に挿通しているスタックピン81に沿ってベース部82上に積層される。
このとき、ベース部82の上面と保持体71の扁平チューブ用フィン30の保持面との距離はごくわずかであるため、扁平チューブ用フィン30をベース部82の上に整然と積層させることができる。
扁平チューブ用フィン30をベース部82の上面に板厚方向に積層させた後、図10(B)に示すようにサーボモータ84が駆動してボールネジ85を回転させることにより、ベース部82を一対の保持体71の下方側位置に下降させる。そして、これと同時又はベース部82が下降した後に流体シリンダ72が伸長して一対の保持体71どうしを互いに接近させて、送り装置62から送り出され、カットオフ装置60の移送方向下流側から突出した(はみ出した)製品幅の金属帯状体49Aの移送方向をガイドするガイド空間74を形成する。ガイド空間74が再び形成された後、送り装置62が動作を再開し、ガイド空間74内に製品幅の金属帯状体49Aを送り出す。以上の動作を繰り返し行うことにより、製品幅の金属帯状体49Aを個片化した扁平チューブ用フィン30を所定間隔に整然と積層させることができる。
以上に説明したスタック装置80の一連の動作は、制御部100により制御されている。このような制御部100としては、制御用プログラムが記憶手段に記憶され、制御プログラムに基づいて動作を行う中央演算手段(CPU)を有するコンピュータ等を用いることができる。
この制御部100は、図11に示すように、ベース部82に積層された扁平チューブ用フィン30の積層数が増加するに伴って(図中上側から下側に進むにつれて)ベース部82(スタック装置)の上昇ストローク(S1,Sm,Sn)が徐々に少なくなるようにサーボモータ84の駆動を制御している。なお、製品幅の金属帯状体49Aに対する保持体71が接離動する範囲は常に一定である。
そして、ベース部82に積層された扁平チューブ用フィン30の数が所定数量に到達すると、ベース部82に積層された扁平チューブ用フィン30はベース部82から図示しない受け渡し装置に受け渡される。受け渡し装置に受け渡された後においても、扁平チューブ用フィン30は切り起こし部37により一定の積層間隔を維持することができ、扁平チューブ用フィン30の取り出し処理等の扁平チューブ用フィン30のハンドリングが容易である。
ベース部82から扁平チューブ用フィン30が受け渡し装置に受け渡されると、ベース部82の上昇ストロークが初期値S1になるようにサーボモータ84の駆動量がリセットされる。
本実施形態にかかる保持装置70の構成によれば、カットオフ処理を施す前の製品幅の金属帯状体49Aはガイド空間74の内底面の上をスライド移動しながら移送されることになるので、エア吸着方式に比較して移送時の摩擦力が大幅に減少する。これにより製品幅の金属帯状体49Aが移送途中でエア吸着による摩擦力と移送方向に加わる押し出し力とにより座屈してしまうことがなく、製品の歩留まりを向上させることができる。
また、ガイド空間74による扁平チューブ用フィン30の保持位置からスタックピン81が立設されたベース部82の上面位置までの距離(高低差)が極めて少ないため、短手方向における重量バランスが異なる扁平チューブ用フィン30をベース部82に整然と積層させることができる。これによりベース部82から図示しない受け渡し装置に扁平チューブ用フィン30を受け渡しする際に、扁平チューブ用フィン30の積層状態の補正処理が不要になるので、タクトタイムが短縮し、扁平チューブ用フィン30の製造コストを低減させることができる。
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。たとえば、金属帯状体49(扁平チューブ用フィン30)としては、図2に示した構成のものに限定するものではなく、ルーバー35や切り起こし部37の位置、形状、個数などは他の構成を採用することができる。
また、本実施形態においては列間スリット装置58の直下位置に第1の金属帯状体用ガイド91を配設し、カットオフ装置60の直上位置に第2の金属帯状体用ガイド94を配設することにより、金属帯状体用ガイド90を構成している形態について説明しているが、金属帯状体用ガイド90はこの形態に限定されるものではない。例えば、第1の金属帯状体用ガイド91または第2の金属帯状体用ガイド94のいずれか一方のみにより金属帯状体用ガイド90を構成するようにしてもよいし、第1の金属帯状体用ガイド91と第2の金属帯状体用ガイド94の配設順を入れ替えた形態を採用することも可能である。
また、第2の金属帯状体用ガイド94については、ソリッド体に本実施形態と同様に頂点95を有する傾斜面96や壁部97をいわゆる削り出し加工することにより形成した構成を採用してもよい。
さらには、プレス装置48、送り装置50、カットオフ装置60、保持装置70、スタック装置80の実施形態についても、以上で説明した実施形態の構成とは異なる公知の構成を採用することも可能である。
10薄板,11金属帯状体,12アンコイラー,14ピンチロール,16オイル付与装置,18プレス装置,20金型装置,22上型ダイセット,24下型ダイセット,26カッター,27ピン,28スタッカ,30扁平チューブ用フィン,34切り欠き部,35ルーバー,36板状部,37切り起こし部,38連結部,39透孔,40アンコイラー,41金属製薄板,42ループコントローラ,44NCフィーダ,46金型装置,46A上型,46B下型,48プレス装置,49金属帯状体,49A製品幅の金属帯状体,50送り装置,55送りピン,58列間スリット装置,58A上刃,58B下刃,60カットオフ装置,62送り装置,65送りピン,66切断装置,68上刃,69下刃,70保持装置,71保持体,72流体シリンダ,74ガイド空間,80スタック装置,81スタックピン,82ベース部,84サーボモータ,85ボールネジ,90金属帯状体用ガイド,91第1の金属帯状体用ガイド,92円錐台部,92A大径部分,92B小径部分,92C側周面,92D壁部,92Z中心軸,93ガイド体,94第2の金属帯状体用ガイド,95頂点,96傾斜面,壁部97,100制御部,200製造装置

Claims (6)

  1. 幅方向の一方側から他方側に向けて、熱交換器用の扁平チューブを挿入させる切り欠き部が形成されてなる扁平チューブ用フィンを製造する製造装置において、
    未加工の金属製の薄板に切り欠き部を形成して金属帯状体とする金型装置が設けられたプレス装置と、
    切り欠き部が形成されてなる金属帯状体を所定幅に切断し、幅方向に複数本整列してなる製品幅の金属帯状体を形成する列間スリット装置と、
    製品幅の金属帯状体のそれぞれを所定長さに切断し、扁平チューブ用フィンを得るカットオフ装置と、
    前記列間スリット装置と前記カットオフ装置との間に配設され、前記列間スリット装置により形成された前記製品幅の金属帯状体のそれぞれを互いに離反させた状態で前記カットオフ装置に供給するための金属帯状体用ガイドと、を具備し
    前記金属帯状体用ガイドは、
    前記製品幅の金属帯状体を前記切り欠き部の開口部側どうしを互いに離反させた状態で前記カットオフ装置に供給することを特徴とする扁平チューブ用フィンの製造装置。
  2. 前記金属帯状体用ガイドは、
    前記列間スリット装置により形成された前記製品幅の金属帯状体において、前記切り欠き部が形成されている側の端縁側に頂点が設けられ、該頂点から前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの供給方向に直交する方向に互いに下りながら傾斜する傾斜面に形成され、当該傾斜面が前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの製品幅よりも幅広寸法に形成されている通路と、
    該通路の幅方向の端部から起立する壁部と、を有していることを特徴とする請求項記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
  3. 前記壁部は、
    前記製品幅の金属帯状体の切り欠きが形成されていない側の端縁側に当接する位置に設けられていることを特徴とする請求項記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
  4. 前記傾斜面の水平面に対する傾斜角は5°〜45°の範囲であることを特徴とする請求項または記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
  5. 前記金属帯状体用ガイドは、
    前記製品幅の金属帯状体のそれぞれの前記カットオフ装置への供給位置を、前記カットオフ装置の高さ方向と幅方向のうちの少なくとも一方向において離反させていることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
  6. 前記金属帯状体用ガイドが、複数設けられていることを特徴とする請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の扁平チューブ用フィンの製造装置。
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