以下、図を参照しながら、この発明による装置、方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、少なくとも無線LANデュアル端末が用いて構成される電話システムの主装置に、この発明の装置、方法の一実施の形態を適用した場合を例にして説明する。なお、上述もし、また、後述もするように、無線LANデュアル端末は、電話システムの構築エリア内(例えば会社内)においては交換制御装置の子機として接続可能であり、外出先においては、通常の携帯電話端末として用いることが可能なものであり、汎用的に利用可能な汎用端末として位置付けられるものである。
[第1の実施の形態]
[通信システムの全体構成の概要]
図1は、この発明の装置、方法の一実施の形態が適用された第1の実施の形態の交換制御装置1を中心とする電話システム10を含む通信システムの全体構成の概要を説明するための図である。図1に示すように、この実施の形態の電話システム10は、交換制御装置1と、複数のアクセスポイント(図1においては「AP」と記載)2(1)、2(2)、…と、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…とによって構成されるものである。
交換制御装置1は、いわゆるボタン電話システムにおける主装置に、あるいは、IP電話システムにおけるSIP(Session Initiation Protocol)サーバに相当するいわゆる通信制御装置である。交換制御装置1は、外線の発着信の制御、内線の発着信の制御、通信回線の交換制御等を行って、自機に収容(接続)される子機(内線端末)と電話網に接続される外線端末との間、あるいは、自機に接続される子機間における通信を制御する。
交換制御装置1に対して接続されているAP2(1)、2(2)、…のそれぞれは、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…を、交換制御装置1に対して無線LAN接続させるものである。そして、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…は、AP2(1)、2(2)、…のいずれかと通信可能な電話システム10の構成エリア内においては、近隣に位置するAP2(1)、2(2)、…のいずれかを通じて交換制御装置1に接続される。この場合、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能する。
なお、AP2(1)、2(2)、…と、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…との間において用いられる通信規格は、例えば、IEEE802.11bやIEEE802.11g、これらの後継規格などである。なお、IEEEは、「The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.」の略称である。
さらに、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、電話システム10の構成エリア外に位置するときには、携帯電話網5の基地局を通じて携帯電話網5に接続可能とされ、通常の携帯電話端末として機能する。図1においては、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、例えば、基地局5Aを通じて携帯電話網5に接続される場合を示している。
このように、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、AP2(1)、2(2)、…を通じて交換制御装置1に接続され、交換制御装置1の子機としても利用可能なものであるし、また、通常の携帯電話端末としても利用可能なものである。
そして、この実施の形態において、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、電源が投入されている間においては、定期的に無線LANのAP(アクセスポイント)と通信可能か否かを確認する。そして、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、交換制御装置1に接続されたAPと通信可能な場合には、当該APを通じて交換制御装置1に接続し、交換制御装置1の子機として機能する。逆に、AP(アクセスポイント)と通信不能な場合には、携帯電話網5の近隣の基地局に位置登録し、通常の携帯電話端末として機能する。
このように、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、ユーザーの手を煩わせることなく、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能するのか、携帯電話端末として機能するのかを切り換えることができるようにしている。なお、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれのユーザーが、無線LANデュアル端末に対して所定の操作を行うことによって、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能するのか、携帯電話端末として機能するのかを切り換えるようにすることも可能である。
そして、この第1の実施の形態の電話システム10においては、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれにおいて、着信時に作成した着信履歴を用いた発信を適切に行うことができ、しかも使い勝手が悪くしないようにするための方策を交換制御装置1が講じるようにしている。
具体的に交換制御装置1は、外線優先モードで機能し、外線からの着信については、発信元番号(発番号)をそのまま子機(内線端末)に通知する。しかし、自機に収容(接続)された子機から自機に収容(接続)された他の子機への発信である場合には、着信先の子機には、発番号に内線からの発信であることを示す識別子(発信元が属する系を識別するための識別子)を付加して通知する。
これにより、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、交換制御装置1から通知される発番号を含む着信履歴を形成し、これを保持することができる。そして、着信履歴の発信元番号(発番号)に所定の識別子が付加されているか否かに応じて、当該発信元が外線の端末か、内線の端末かを確実に区別することができる。これにより、着信履歴を用いた発信時に交換制御装置1が誤発信を行うことがないようにすることができる。
したがって、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、自機が交換制御装置1の子機(内線端末)として機能している場合であっても、また、携帯電話端末として機能している場合であっても、自機に作成した着信履歴を用いて、外線の相手先か、内線の相手先かをユーザーが意識することなく、適切に目的とする相手先に電話をかけることができるようにされる。
なお、この場合、複雑な操作は一切行うことなく、着信履歴から目的とする相手先を選択するだけで、電話網4や携帯電話網5などの公衆網に接続された端末に対して電話をかけることができる。
なお、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれが、携帯電話端末として機能している場合に、自機に作成した着信履歴を用いて、交換制御装置1に接続された他の内線端末に対して内線電話をかけることはできない。このような場合には、当該発信をしないようにし、内線発信できない旨を通知するなどのことができるようにされる。
[交換制御装置1の構成例]
次に、この第1の実施の形態の電話システム10の交換制御装置1の構成例について説明する。図2は、この実施の形態の交換制御装置1の構成例を説明するためのブロック図である。
図2に示すように、交換制御装置1は、外線インターフェース(以下外線I/Fと略称する。)11、スイッチ部(図2ではSWと記載。)12、内線インターフェース(以下内線I/Fと略称する。)13、制御部14、メモリ部15を備えたものである。制御部14は、呼制御部141、子機登録管理部142、ダイヤル解析部143を備えたものである。また、メモリ部15は、ROM151、RAM152、子機登録メモリ153を備えたものである。
図2において点線で囲んで示した制御部14とメモリ部15とは、CPUバスを通じて接続されてマイクロコンピュータの構成とされた部分である。制御部14は、図示しないCPUやその周辺回路を有し、メモリ部15のROM151からプログラムを読み込んで実行することにより、詳しくは後述もするが電話制御に用いる上記の呼制御部141等の各種の手段を実現するものである。
なお、メモリ部15のROM151は、上述のように、制御部14において実行される種々のプログラムや処理に必要になる各種のデータが予め記憶されたものである。また、RAM152は、種々の処理の実行時において、途中結果を一次記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、子機登録メモリ153は、自機に収容されることにより子機(内線端末)となる無線LANデュアル端末に関する情報を管理するものである。
そして、外線I/F11は、制御部14の制御により、PSTN、ISDN、IP網などの電話網(公衆網)4からの電話回線を終端制御することにより、電話網4からの着信通知の検出や電話網4への発信指示を行う機能を有している。また、外線I/F11は、電話網4を通じて送信されてくる信号を自機において処理可能な形式に変換して取り込んだり、逆に、自機から電話網4に送出する信号を電話網4に送出する形式に変換して送出したりする機能を有する。なお、PSTNは、「Public Switched Telephone Networks」の略称であり、ISDNは、「Integrated Services Digital Network」の略称である。また、IP網のIPは「Internet Protocol」の略称である。
内線I/F13は、図2に示すように、AP2(1)、2(2)、…を通じて無線LAN接続される無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…を子機(内線端末)として収容する。そして、内線I/F13は、子機(内線端末)として収容された無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれとの間で、AP2(1)、2(2)、…を通じて各種信号や各種データをやり取りする機能を有する。
すなわち、内線I/F13は、子機(内線端末)として収容された無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれからの信号を自機において処理可能な形式に変換して取り込む機能を有する。また、内線I/F13は、自機から子機(内線端末)として収容された無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…に対する信号を、内線端末に対する形式に変換して送出する機能を有する。
スイッチ部12は、制御部14の制御に応じて、外線I/F11と内線I/F13との伝送路(通話路)を交換接続する機能を有している。すなわち、スイッチ部12は、制御部14からの指示に応じて、外線I/F11の電話回線用通話パスと、内線I/F13を通じて収容された無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…用の通話パスとを任意に交換接続する機能を実現している。
そして、制御部14は、上述したように、呼制御部141、子機登録管理部142、ダイヤル解析部143を備えた構成となっている。呼制御部141は、電話システム10全体の呼制御を行う手段であり、メモリ部15の所定の不揮発性メモリの呼制御情報(図示せず)に基づいて、外線I/F11及びスイッチ部12を制御する。同時に、呼制御部141は、内線I/F13及びAP2(1)、2(2)、…を介して、自機に内線端末として収容された無線LANデュアル端末と各種制御情報をやり取りする。これにより、呼制御部141は、自機に収容された当該無線LANデュアル端末による外線発着信動作や、自機に子機として収容された無線LANデュアル端末間の内線の発着信動作を制御することができるようにしている。
子機登録管理部142は、AP2(1)、2(2)、…、及び内線I/F13を通じて、定期的に無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…との間で接続確認のための通信を行うようにする。そして、子機登録管理部142は、接続が確認できた無線LANデュアル端末であって、後述する子機登録メモリ153に接続登録がされていないものについては接続登録を行う。また、子機登録管理部142は、接続確認ができていないにもかかわらず、子機登録メモリ153に接続登録がされている無線LANデュアル端末については接続登録を抹消する処理を行う。
なお、子機登録管理部142による無線LANデュアル端末の子機としての接続登録の抹消は、連続して所定回(例えば3回)、接続確認が取れなかった場合に行うようにする。これにより、電話システム10の構築エリア内に位置しているにもかかわらず、障害物などの影響によりたまたま1、2回接続できなかっただけで、接続登録の抹消をしてしまうことを防止することができる。
図3は、子機登録管理部142の機能により更新される子機登録メモリ153の管理情報(登録情報)の例について説明するための図である。図3に示すように、子機登録メモリ153には、交換制御装置1に接続可能な無線LANデュアル端末に割り当てられた内線番号と、各無線LANデュアル端末の接続登録の有無を示す情報とが記憶保持するようにされている。
この実施の形態の無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、自機に電源が投入されている間においては、自機に割り当てられた内線番号を含む、接続要求を定期的に送出している。制御部14の子機登録管理部142は、定期的に送信されてくる接続要求をAP2(1)、2(2)、…、及び内線I/F13を通じて受信する。そして、メモリ部15の子機登録メモリ153の管理情報を確認し、受信した接続要求に含まれる内線番号の無線LANデュアル端末の接続登録の有無を示す情報が、「1(有り)」の状態になっているか否かを判断する。この場合に、「1(有り)」の状態になっていれば何もしないが、「0(無し)」の状態になっている場合には、「1(有り)」の状態に更新する。
また、子機登録管理部142は、子機登録メモリ153に接続登録の有無を示す情報が、「1(有り)」の状態になっている無線LANデュアル端末については、所定回の接続要求を受信すべき期間内に、所定回の接続要求を受信しなかった場合に、接続登録の有無を示す情報を、「1(有り)」から「0(無し)」の状態に更新する。
このようにして、子機登録管理部142は、定期的に送信するようにされている無線LANデュアル端末からの接続要求の有無に基づいて、子機登録メモリ153の接続登録の有無を示す情報を更新するようにしている。そして、子機登録メモリ153において、接続登録が「1(有り)」とされた無線LANデュアル端末については、交換制御装置1は、自機に収容された子機(内線端末)として認識し、内線端末として扱うことができるようにしている。
また、制御部14のダイヤル解析部143は、自機に子機として収容された無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…から発信(通信要求)が発生した場合に、当該発信が、電話網4(外線)への発信(外線発信)か、交換制御装置1に収容された他の子機への発信(内線発信)かを解析する。
具体的に、ダイヤル解析部143は、発信元の無線LANデュアル端末からの通信要求に含まれる目的とする相手先を特定する相手先番号(外線番号や内線番号)に、所定の識別子が付加されているか否かを解析し、外線発信か内線発信かを区別する。ここで、所定の識別子は、当該相手先が属する系を識別するためのものである。
ここで、発番号に付加される所定の識別子の利用態様について説明する。この実施の形態の電話システム10において、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能することが可能な無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは、いわゆるテンキーを用いて目的とする相手先の電話番号を入力して発信することができる。この場合、当該無線LANデュアル端末においては、例えば、予め決められた所定の操作キーを押下操作することによって、目的とする相手先の内線番号に対して、当該相手先が交換制御装置1の子機(内線端末)であることを示す識別子を付加して発信することができる。
また、無線LANデュアル端末の通常の利用形態としては、自機のメモリに作成される着信履歴のデータや自機に予め登録される電話帳のデータに基づいて、目的とする相手先のデータを選択するだけで電話をかけるようにする場合が多い。このため、以下に詳述するが、子機間の通信時においては、発信元の子機の内線番号に、当該発信元が属する系を識別するための識別子(内線端末であることを示す識別子)が、交換制御装置1において自動的に付加されて着信先に通知される。したがって、着信先の子機においては、自機への着信が交換制御装置1に接続された他の子機からの発信であった場合には、所定の識別子が付加された内線番号を発信元とする着信履歴を形成することができる。
また、電話帳に交換制御装置1の子機(内線端末)の内線番号を登録する場合には、当該内線番号に対して、子機が属する系を識別するための識別子を付加して登録する。すなわち、電話帳に登録する交換制御装置1の子機の内線番号には、当該番号により特定される子機は、交換制御装置1の子機であることを示す識別子を付加して登録する。なお、通常、交換制御装置1に何台の子機が接続されるかは決まっているし、また、それぞれの子機に割り当てられる内線番号も決まっている。このため、無線LANデュアル端末を当該無線LANデュアル端末が有する例えばUSB(Universal Serial Bus)等の外部インターフェースを通じてパーソナルコンピュータなどに接続し、交換制御装置1の子機についての電話帳データを一括して無線LANデュアル端末に登録することもできるようにされる。
このように、この実施の形態においては、交換制御装置1に収容される子機間で通信を行う場合には、通信要求(発信要求)に含まれる着信先(通信の相手先)の内線番号には着信先が交換制御装置1の子機(内線端末)であることを示す所定の識別子が必ず付加されている。
このため、ダイヤル解析部143において、上述したように、自機に収容された子機(内線端末)からの通信要求に含まれる着信先の電話番号を解析することにより、内線端末からの発信が、外線への発信か内線への発信かを解析することができるのである。
このダイヤル解析部143の解析結果が、自機に収容された子機から自機に収容された他の子機への内線発信であることを示しているとする。この場合、呼制御部141は、上述もしたように、相手先(着信先)に通知すべき発信元の内線番号に、発信元が属する系を識別するための識別子を付加して着信先に通知する。すなわち、この場合、呼制御部141は、発信元の内線番号に子機からの発信であることを示す識別子を付加して、着信先に通知することになる。
逆に、ダイヤル解析部143の解析結果が、自機に収容された内線端末から外線端末への外線発信であることを示しているとする。この場合、呼制御部141は、相手先(着信先)に通知すべき発信元の電話番号に所定の識別子は付加することは無く、発信元の電話番号をそのまま通知することになる。
なお、ダイヤル解析部143は、自機に接続された内線端末からの発信が外線への発信か内線への発信かを区別するものであるので、外線から自機への着信については、何ら関与することは無い。
また、図3においては、説明を簡単にするため、子機登録メモリ153には、無線LANデュアル端末に割り当てられた内線番号と、接続登録の有無を示す情報が管理されるものとして説明した。しかしこれに限るものではない。子機登録メモリ153においては、交換制御装置1に接続可能な無線LANデュアル端末の例えば製造番号などの固有の識別情報や外線電話番号、型番、使用者名(ユーザー名)、その他の種々の情報を一括して管理するように構成することも可能である。
次に、交換制御装置1の子機からの通信要求と、ダイヤル解析部143の解析結果とに基づいて、呼制御部141が形成する通信要求の概要(具体例)について説明する。図4は、内線端末からの通信要求(発信要求)の概要と、これに応じて交換制御装置1においてダイヤル解析部143と呼制御部141の機能により形成される通信要求の概要とについて説明するための図である。
図4に示すように、交換制御装置1の子機(内線端末)からの通信要求は、当該要求が通信要求(発信要求)であることを示すメッセージと、目的とする着信先を示す着信先番号と、発信元を示す発信元番号とを有する。
そして、内線端末からの通信要求が、例えば、図4(A1)に示すように、着信先番号が目的とする相手先の外線番号である「03−1234−5678」であり、発信元番号が発信端末の内線番号である「100」であったとする。この場合、着信先電話番号に内線を示す所定の識別子は存在しない。したがって、交換制御装置1においては、特別な処理を行うことなく、図4(A2)に示すように、着信先番号が目的とする相手先の外線番号である「03−1234−5678」であり、発信元番号が「交換制御装置1の外線番号*100」となる発信要求を形成して送出することになる。
なお、発信元番号に、交換制御装置1に割り当てられた電話番号(外線番号)が付加するようにされるのは、着信先が外線であるため、どの交換制御装置のどの子機(内線端末)かを特定できるようにするためである。なお、発信元番号に、交換制御装置1に割り当てられた電話番号(外線番号)だけを示し、内線番号は示さないようにすることも可能である。
また、内線端末からの通信要求が、例えば、図4(B1)に示すように、着信先番号が目的とする内線端末の内線番号である「ICM110」であり、発信元番号が発信端末の内線番号である「100」であったとする。ここで、着信先番号「ICM110」の文字列「ICM」は、目的とする着信先の端末が属する系を識別するための所定の識別子である。換言すれば、この実施の形態において、文字列「ICM」は、同じ交換制御装置1に接続された子機(内線端末)であることを示す識別子である。
したがって、ダイヤル解析部143における解析結果は、交換制御装置1の子機からの通信要求は交換制御装置1に接続された他の子機への通信要求であることを示したものとなる。このため、呼制御部141においては、図4(B2)に示すように、着信先番号が目的とする相手先の内線番号である「110」であり、発信元番号(発番号)が「ICM100」となる通信要求を形成して送出することになる。
なお、図4(B2)において、着信先番号から識別子が削除されているのは、正しく着信先の内線端末を特定することができるようにするためである。また、発信元番号に識別子「ICM」が付与されるのは、上述もしたように、着信先の内線端末から着信履歴を用いた発信を行う場合に、外線への誤発信を防止すると共に、無線LANデュアル端末の使い勝手が悪くならないようにするためである。
このように、この実施の形態の交換制御装置1は、自機に接続された子機から、自機に接続された他の子機への発信の場合、着信先の子機に対しては、発信元の子機の内線番号(発番号)に、所定の識別子を付与して通知するようにしている。また、この実施の形態の交換制御装置1は、自機に接続された子機に対する外線からの着信の場合には、発信元の電話番号(発番号)に対しては、所定の識別子を付与することは無い。
これにより、交換制御装置1に子機として接続された無線LANデュアル端末においても、自機への通信要求(着信要求)が交換制御装置1に接続された子機からのものか、電話網4を通じて着信した外線からのものかを明確に区別することができるようにされる。そして、当該無線LANデュアル端末において、交換制御装置1からの通信要求に応じた着信履歴を形成して記憶保持することができるようにされる。
[無線LANデュアル端末3の構成例]
次に、この第1の実施の形態の電話システム10において、交換制御装置1に対して子機として接続可能な無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…の構成例について説明する。図5は、この第1の実施の形態の電話システムにおいて、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能すると共に、携帯電話端末としても機能することが可能な無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…の構成例を説明するためのブロック図である。なお、この実施の形態において、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…のそれぞれは同様に構成されるものである。このため、ここでは、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)、…を総称して、無線LANデュアル端末3と呼ぶこととする。
図5に示すように、この実施の形態の無線LANデュアル端末3は、送受信アンテナ31、携帯電話通信部32、送受信アンテナ33、無線LAN通信部34、音声処理部35、受話器としてのスピーカ36、送話器としてのマイクロホン37を備えている。また、無線LANデュアル端末3は、図5に示すように、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ(図5ではLCDCTLと記載)38と、比較的に大きな表示画面を有するLCD39を備えると共に、着信音や警告音を発生させるリンガ40を備えている。
さらに、無線LANデュアル端末3は、図5に示すように、無線LANデュアル端末3の各部を制御する制御部50を備えている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)54が、CPUバス55を通じて接続されて構成されたマイクロコンピュータである。
ここで、CPU51は、後述するROM52に記憶保持されているプログラムを読み出して実行し、各部に供給する制御信号を形成してこれを各部に供給したり、また、各部からの情報の提供を受けて、これを処理したりする。このように、CPU51は、無線LANデュアル端末3において、制御の主体となるものである。ROM52は、上述のように、CPU51において実行される種々のプログラムや処理に必要になる種々のデータが予め記憶保持するようにされているものである。RAM53は、種々の処理の途中結果を一時記憶するなど、主に作業領域として用いられるものである。また、EEPROM54は、いわゆる不揮発性メモリであり、無線LANデュアル端末3の電源が落とされた場合であっても保持しておくべきデータ、例えば、種々の設定パラメータや、機能強化のための追加プログラムなどが記憶保持される。
そして、図5に示すように、制御部50には、CPUバス55を介して、操作部61が接続されている。操作部61は、例えば、いわゆるテンキー(数字キー)、所定の記号キー、種々のファンクションキー、回動操作が可能なダイヤルキーなどを備え、ユーザーからの操作入力を受け付けて、これに応じた電気信号を形成し、これを制御部50に供給することができるものである。これにより、制御部50は、操作部61を通じて受け付けた操作入力に応じて各部を制御し、ユーザーの指示に応じた処理を、当該無線LANデュアル端末3において実行することができるようにされる。
さらに、制御部50には、電話帳メモリ71と、着信履歴メモリ72とが接続されている。これらはいずれも不揮発性メモリである。電話帳メモリ71には、自機から電話をかけたり、電子メールを送信したりする相手先の電話番号、電子メールアドレス、氏名(名称)、住所などのいわゆる電話帳データが予め登録される。図6は、電話帳メモリ71において管理される情報の例を説明するための図である。図6に示すように、電話帳メモリ71には、電話番号、名前、メールアドレス、住所などの情報が、予め登録され、管理するようにされる。この電話帳メモリ71に登録された情報から目的とする相手先の情報を選択するだけで、電話をかけるなどのことができるようにされる。
なお、電話網4や携帯電話網5などの公衆網を通じて通信を行ういわゆる外線の相手先の電話番号は、図6に示すように、例えば「03−1234−5678」のように、外線番号をそのまま電話帳メモリ71に登録する。一方、交換制御装置1の子機として機能している場合に用いる他の子機の内線番号は、図6に示すように、例えば「ICM110」のように、相手先が内線端末であることを示す所定の識別子「ICM」を付加して電話帳メモリ71に登録することになる。なお、図6において、電話番号「ICM110」は、交換制御装置1に接続されている例えば「山田さん」の内線端末に対する内線番号である。
また、着信履歴メモリ72には、自機への着信が発生した場合に、受信した通信要求に含まれる発信元番号(発番号)、着信時刻、当該発信番号に対応する番号が電話帳メモリ71に存在する場合には対応する相手先の名前(名称)等から成る着信履歴が登録される。図7は、着信履歴メモリ72において管理される管理情報の例を説明するための図である。図7に示すように、発信元番号、発信元名、着信時刻などの情報が、自機に着信が発生した場合に、通信要求に含まれる情報に基づいて作成されて登録される。この着信履歴メモリ72に登録された情報を参照することにより、自機への過去の着信にいて確認することができると共に、着信履歴メモリ72の情報から目的とする相手先の電話番号を選択するだけで、電話をかけることができるようにされる。
なお、電話網4や携帯電話網5などの公衆網を通じて着信したいわゆる外線からの着信の場合の電話番号は、図7に示すように、例えば「03−1234−5678」のように、外線番号がそのまま登録される。一方、交換制御装置1の子機として機能している場合に、他の子機からの着信の場合の電話番号(内線番号)には、上述もしたように、交換制御装置1において所定の識別子が付加されて提供される。このため、着信履歴には、図7に示すように、例えば「ICM110」のように、相手先が内線端末であることを示す所定の識別子「ICM」が付加された状態で登録される。なお、図7において、電話番号「ICM110」は、交換制御装置1に接続されている例えば「山田さん」の内線端末に対する内線番号である。
そして、図5に示した無線LANデュアル端末3において、主に送受信アンテナ31と携帯電話通信部32とが、携帯電話網5を通じて通信を行い、携帯電話端末としての機能を実現する部分である。また、主に送受信アンテナ33と無線LAN通信部34とがアクセスポイントを通じて交換制御装置1に接続し、交換制御装置1の子機(内線端末)としての機能を実現する部分である。
[無線LANデュアル端末3の動作概要]
このように構成されるこの実施の形態の無線LANデュアル端末3の動作概要について説明する。まず、無線LANデュアル端末3が、携帯電話端末として機能している場合の動作について説明する。
[携帯電話端末として機能している場合の発信動作]
例えば、電話帳メモリ71の情報に基づいて発信する場合には、操作部61を通じて電話帳データをLCD39に表示する所定の操作を行うと共に、目的とする相手先の電話番号を選択し、発信する操作を行うようにする。すると、制御部50は、選択された相手先の電話番号を含む通信要求を形成し、これを携帯電話通信部32、送受信アンテナ31を通じて送信する。この通信要求は、携帯電話網5の基地局及び携帯電話網5を通じて、目的とする相手先に送信される。そして、当該通信要求に応じて目的とする通信の相手先から応答メッセージが帰ってきたら、制御部50は、携帯電話通信部32、音声処理部35を制御して通信回線を接続し、相手先との間で、受話器36、送話器37を通じた通話ができるようにされる。
[携帯電話端末として機能している場合の着信動作]
また、送受信アンテナ31、携帯電話通信部32を通じて、自機への通信要求(着信)を受信したと制御部50が検知すると、制御部50は、図7に示したような着信履歴データを形成し、これを着信履歴メモリ72に登録する。そして、LCDコントローラ38を通じて、LCD39に発信元の電話番号などの情報を表示すると共に、リンガ40を制御して、着信音を放音させる。
これに応じて、ユーザーがオフフックする操作(応答する操作)を行った場合には、制御部50は、応答メッセージを形成し、これを携帯電話通信部32、送受信アンテナ31を通じて相手先に送信する。そして、制御部50は、携帯電話通信部32、音声処理部35を制御して通信回線を接続し、相手先との間で、受話器36、送話器37を通じた通話ができるようにされる。
次に、無線LANデュアル端末3が、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能している場合の動作について説明する。この場合には、全ての通信は、交換制御装置1を介して行われることになる。このため、以下においては説明を簡単にするため、必要な範囲で交換制御装置1における動作をも含めて説明する。また、ここでも、上述した携帯電話端末として機能している場合の動作の説明と同様に、まず、電話帳メモリ71の情報に基づいて発信する場合について説明する。
[子機として機能している場合の外線への発信動作]
この場合においても、ユーザーは、操作部61を通じて電話帳データを表示する所定の操作を行うと共に、目的とする相手先の電話番号を選択し、発信する操作を行うようにする。すると、制御部50は、選択された相手先の電話番号を含む通信要求を形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて送信する。当該通信要求は、交換制御装置1に接続されたAP2(1)、2(2)、…のいずれかを通じて交換制御装置1に供給され、交換制御装置1は内線I/F13を通じてこれを受信する。
交換制御装置1においては、ダイヤル解析部143の機能により、子機からの通信要求は外線への通信要求(外線発信)か、他の子機への通信要求(内線発信)かを判断する。ここで、子機からの当該通信要求が電話網4に接続された外線端末への通信要求であったとする。この場合には、交換制御装置1の制御部14の呼制御部141は、図4(A2)に示した態様の外線端末への通信要求を形成し、これを外線I/F11を通じて電話網4に送出して、目的とする相手先に送信する。
これに応じて、相手先から応答メッセージが返信され、外線I/F11を通じてこれを受信すると、交換制御装置1の制御部14は、内線I/Fを通じて当該応答メッセージを発信元の無線LANデュアル端末3に送信する。そして、交換制御装置1の制御部14は、外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を制御することによって、発信元である自機の内線端末と、目的とする外線端末との間に通信回線を接続するようにする。
同時に、発信元の無線LANデュアル端末3においても、制御部50は、目的とする相手先からの応答メッセージを受信すると、無線LAN通信部34、音声処理部35を制御して通信回線を接続し、相手先との間で、受話器36、送話器37を通じた通話ができるようにする。
[子機として機能している場合の子機間の発着信動作]
一方、子機からの当該内線端末からの通信要求が、交換制御装置1に接続された他の子機への通信要求であったとする。この場合には、交換制御装置1の制御部14の呼制御部141は、図4(B2)に示した態様の他の子機への通信要求を形成し、これを内線I/F13、AP2(1)、2(2)、…を通じて着信先の子機に送信する。このように、この場合に送信される通信要求の発番号は、発信元が内線端末であることを示す識別子「ICM」が付加されたものとなる。これにより、着信先の子機においては、図7に示したように、発信元の内線番号に識別子「ICM」が付加された態様で着信履歴を形成することができるようにされる。
そして、着信先の子機においては、送受信アンテナ33、無線LAN通信部34を通じて、自機への通信要求(着信)を受信し、これを制御部50が検知する。この場合、着信先の子機の制御部50は、図7の2行目に示したように、識別子「ICM」が付加された内線番号を発信先番号とする着信履歴データを形成し、これを着信履歴メモリ72に登録する。この後、着信先の子機の制御部50は、LCDコントローラ38を通じて、LCD39に発信元の電話番号などの情報を表示すると共に、リンガ40を制御して、着信音を放音させる。そして、着信先の子機のユーザーが、オフフックする操作(応答する操作)を行った場合には、制御部50は、応答メッセージを形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて相手先に送信する。
この後、相手先(着信先)から応答メッセージが返信され、AP2(1)、2(2)、…、及び内線I/F13を通じてこれを受信すると、交換制御装置1の制御部14は、内線I/Fを通じて当該応答メッセージを発信元の子機に送信する。そして、交換制御装置1の制御部14は、内線I/F13を制御することによって、発信元である自機の子機と、目的とする着信先の子機との間に通信回線を接続するようにする。
同時に、発信元の無線LANデュアル端末3においても、制御部50は、目的とする相手先からの応答メッセージを受信すると、無線LAN通信部34、音声処理部35を制御して通信回線を接続するようにする。これにより、相手先である他の子機との間で、受話器36、送話器37を通じた通話(内線通話)ができるようにされる。
[子機として機能している場合の外線の着信動作]
また、交換制御装置1において、外線I/F11を通じて受信した通信要求が、自機に収容された子機に対するものである場合には、制御部14は、当該通信要求を、内線I/F13、AP2(1)、2(2)、…を通じて、目的とする子機に送信する。当該子機は、送受信アンテナ33、無線LAN通信部34を通じて、自機への通信要求(着信)を受信したと制御部50が検知すると、制御部50は、図7の1行目に示したように、発信元番号に発信先の外線端末の外線番号を有する着信履歴データを形成し、これを着信履歴メモリ72に登録する。この場合、発信元は外線端末であるので、発番号に所定の識別子が付加されることは無い。そして、LCDコントローラ38を通じて、LCD39に発信元の電話番号などの情報を表示すると共に、リンガ40を制御して、着信音を放音させる。
これに応じて、ユーザーがオフフックする操作(応答する操作)を行った場合には、制御部50は、応答メッセージを形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて相手先に送信するようにする。そして、交換制御装置1は、制御部14が当該応答メッセージを外線I/F11を通じて発信元の外線端末に送信すると共に、外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を制御して、発信元の外線端末と自機の当該子機との間に通信回線を接続するように交換制御する。同時に、着信先の子機においては、制御部50は、携帯電話通信部32、音声処理部35を制御して通信回線を接続するようにし、相手先との間で、受話器36、送話器37を通じた通話ができるようにされる。
このように、この実施の形態の通信システムにおいては、無線LANデュアル端末3が交換制御装置1の子機(内線端末)として機能している場合にも、着信履歴メモリ72には着信履歴が形成される。
外線から内線端末への着信の場合には、交換制御装置1は、発信先の電話番号をそのまま着信先の内線端末に対して通知する。したがって、図7の1行目に示したように、着信先の内線端末においては、発信元から通知される当該発信元の電話番号(外線番号)をそのまま用いた着信履歴が形成される。
これに対して、内線から内線端末への着信の場合には、交換制御装置1は、発信元の電話番号(内線番号)に対して、発信元の端末が属する系を識別するための識別子、すなわち、発信元が内線端末であることを示す識別子「ICM」を付加して着信先に通知する。したがって、内線の着信先の内線端末においては、図7の2行目に示したように、発信元から通知される当該発信元の電話番号(内線番号)に対して、識別子「ICM」が付加された内線番号を用いた着信履歴が形成される。
また、無線LANデュアル端末3が携帯電話端末として機能している場合に形成される着信履歴は、図7の1行目に示した場合と同様に、発信元から通知される当該発信元の電話番号(外線番号)をそのまま用いた着信履歴が形成される。
これにより、当該無線LANデュアル端末3が交換制御装置1の内線端末として機能している場合において、自機の着信履歴メモリ72に形成された着信履歴データを用いて発信を行う場合、通信の相手先が外線端末か、交換制御装置1に接続された交換制御装置かを交換制御装置1が確実に判別することができるので、交換制御装置1が誤発信をすることがないようにすることができる。すなわち、交換制御装置1が、内線端末からの他の内線端末への発信であるのに外線へ誤発信してしまったり、外線への発信であるのに他の内線端末に誤発信してしまったりするといった不都合を発生させないようにすることができる。
そして、図7に示した着信履歴メモリ72の着信履歴と同様に、電話帳メモリ71に登録する電話帳データの電話番号について登録するようにしておくことにより、電話帳データについても、着信履歴データと同様に使用することができる。すなわち、無線LANデュアル端末3が交換制御装置1の内線端末として機能している場合に、電話帳データを用いた発信を行うようにしても、交換制御装置1が内線端末からの通信要求に応じて誤発信を生じさせてしまうことは無い。
なお、無線LANデュアル端末3が携帯電話端末と機能している場合に、着信履歴データや電話帳データを用いて発信を行うようにした場合であっても、識別子「ICM」が付加された電話番号は内線番号であると判断し、発信しないようにすることも可能である。
また、無線LANデュアル端末3の不揮発性メモリに、自機が内線端末として接続可能な交換制御装置1に割り当てられた電話番号(外線番号)を登録しておくようにする。そして、無線LANデュアル端末3が携帯電話端末と機能している場合に、着信履歴データや電話帳データを用いて発信を行うようにした場合であって、識別子「ICM」が付加された電話番号が着信先として指示されたとする。この場合には、制御部50が、自機の不揮発性メモリに登録されている交換制御装置1に割り当てられた電話番号(外線番号)を読み出し、当該外線番号と選択された相手先の内線番号とを用いて、携帯電話網5を通じて電話をかけるようにすることもできる。すなわち、自機が接続可能とされた交換制御装置1の目的とする内線番号の内線端末に対して携帯電話網5を通じて電話をかけるようにすることもできる。
[交換制御装置1の処理]
次に、この第1の実施の形態の電話システム10で用いられる交換制御装置1の動作について、図8のフローチャートを参照しながらまとめる。図8は、交換制御装置1において実行される呼設定受信処理ルーチンを説明するためのフローチャートである。
この図8のフローチャートに示す処理は、交換制御装置1の主に制御部14において実行される処理である。交換制御装置1においては、電源が投入されている間においては、常時、自機が呼設定を受信したか否かを監視しており、呼設定要求を受信したと判断した場合に、制御部14は、図8に示す処理を実行する。
ここで、呼設定とは、発信側と着信側の間に通話用のセッションを確立する要求を意味し、具体的には、外線I/F11を通じて受信した電話網4からの通信要求や、AP2(1)、2(2)、…、及び内線I/F13を通じて受信した内線端末からの通信要求である。
そして、呼設定を受信したことを検知した制御部14は、図8の処理を実行する。そして制御部14は、まず、受信した呼設定は、外線I/F11を通じて受信した外線からの通信要求(外線からの着信通知)か、内線I/F13を通じて受信した内線からの通信要求(内線からの発信要求)を判断する(ステップS101)。
ステップS101の判断処理において、受信した呼設定は外線からの通信要求であると判断したときには、当該通信要求は、電話網4を通じて送信されてきた自機への着信通知であるので、従来通りの外線着信処理を実行する(ステップS102)。すなわち、ステップS102においては、呼制御手段141は、外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を制御し、発信元の外線端末と自機に接続されている子機との間に通信路を接続するようにし、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図8に示す処理を終了する。
また、ステップS101の判断処理において、受信した呼設定は内線からの通信要求であると判断したときには、制御部14のダイヤル解析部143は、内線端末からの通信要求の着信先番号(着番号)を解析し、識別子「ICM」があるか否かを判断する(ステップS103)。ステップS103の判断処理において、着信先番号に識別子「ICM」があると判断したときには、通信の相手先は交換制御装置1に接続された他の子機である。このため、制御部14は呼制御部141の機能により、図4(B2)に示したように、発信元番号(発番号)に識別子「ICM」を付与(付加)した通信要求を形成する(ステップS104)。
そして、呼制御部141は、呼制御部141は、内線I/F13を制御して、内線着信処理を実行する(ステップS105)。具体的にステップS105においては、呼制御部141が、内線I/F13を制御し、形成した通信要求を目的とする他の子機に送信し、当該他の子機から送信されてくる応答メッセージを受信して発信元の子機に送信する。さらに、ステップS105においては、呼制御部141が、内線I/F13を制御し、発信元の内線端末と着信先の内線端末との間に通信路を接続して、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図8に示す処理を終了する。
また、ステップS103の判断処理において、着信先番号に識別子「ICM」は存在しないと判断したときには、通信の相手先は電話網4に接続された外線端末である。このため、制御部14は、従来通りの外線発信処理を実行する(ステップS106)。すなわち、ステップS106においては、呼制御手段141は、外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を制御し、発信元の内線端末と着信先の外線端末との間に通信路を接続し、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図8に示す処理を終了する。
このように、この実施の形態の交換制御装置1は、外線着信処理や外線発信処理については、従来の交換制御装置において行われていた処理と同様の処理が行われる。しかし、子機(内線端末)から子機(内線端末)へ発信の場合、内線端末からの当該通信要求の着信先番号(着番号)に識別子「ICM」を付加できるようにしておくことにより、交換制御装置1において内線端末への通信要求であることを認識することができるようにされる。
そして、内線端末から内線端末への通信要求の場合に、交換制御装置1において、発信元番号(発番号)に識別子「ICM」を付加して着信先に通知することによって、発信元が内線端末であることを識別可能にした着信履歴を形成することができるようにされる。これにより上述もしたように、当該着信履歴を用いた発信を行った場合に、交換制御装置1が誤発信をしてしまうことを確実に防止することができる。
[電話システム10における通信シーケンス]
次に、この第1の実施の形態の電話システム10における通信シーケンスについて図9、図10のシーケンス図を参照しながら説明する。
[子機間における通信シーケンス]
まず、この実施の形態の電話システム10において交換制御装置1の子機間で通信を行うようにする場合のシーケンス(手順)について説明する。図9は、交換制御装置1を中心にして形成されるこの実施の形態の電話システム10においての子機間の通信シーケンスについて説明するためのシーケンス図である。図9に示す例は、図1に示したように、無線LANデュアル端末3(1)、3(2)がAP2(1)、2(2)、…を通じて交換制御装置1に接続され、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能している場合であって、これら子機間で通信を行う場合を示している。
まず、子機3(2)から子機3(1)に対して内線電話をかける場合について説明する。この例の場合、子機3(1)に対して割り当てられている内線番号は「100」であり子機3(2)に対して割り当てられている内線番号は「106」であるとする。子機3(2)は、図6を用いて説明したように構成される自機の電話帳メモリ71の電話帳データから、子機3(1)の内線番号である「ICM100」を着信先の番号として発信を行うようにしたとする。
子機3(2)は、図9に示すように、着信先番号(着番号)が「ICM100」で発信元番号(発番号)が「106」である通信要求を形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて送信する。当該通信要求は、AP2(1)、2(2)、…、内線I/F13を通じて交換制御装置1において受信され、ダイヤル解析部143の解析の結果、着信先番号に識別子「ICM」が付加されているので交換制御装置1に収容された子機への発信であると認識される。
そして、交換制御装置1の呼制御部141の機能により、着信先番号が「100」で発信元番号が「ICM106」である通信要求が形成され、これが内線I/F13、AP2(1)、2(2)、…を通じて、子機3(1)に送信される。この後、当該通信要求を子機3(1)が受信して、応答メッセージを返信することにより、交換制御装置1の内線I/F13を介して通信路が接続され、通話を行うことができるようにされる。
この時、着信先の子機3(1)の制御部50においては、受信した通信要求に基づいて、発信元が「ICM106」である着信履歴データを形成し、これを自機の着信履歴メモリ72に格納する。そして、通話終了後、子機3(1)、3(2)の内のいずれかがオンフックする操作を行うことにより、接続されていた通信路が解放される。
この後、今度は子機3(1)のユーザーが子機3(2)のユーザーとの間で通話を行う必要が生じたために、子機3(1)のユーザーは、図9に示したように、自機の着信履歴メモリ72から、子機3(2)についての着信履歴データを選択し、発信を行ったとする。この場合、図9に示すように、子機3(1)の制御部50は、着信先番号(着番号)が「ICM106」で、発信元番号(発番号)が「100」である通信要求を形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて送出する。
当該通信要求は、AP2(1)、2(2)、…、内線I/F13を通じて、交換制御装置1において受信され、ダイヤル解析部143の解析の結果、着信先番号に識別子「ICM」が付加されているので内線端末への発信であると認識される。そして、交換制御装置1の呼制御部141の機能により、着信先番号が「106」で発信元番号が「ICM100」である通信要求が形成され、これが内線I/F13、AP2(1)、2(2)、…を通じて、子機3(2)に送信される。
当該通信要求は子機3(2)において受信され、応答メッセージを返信することにより、交換制御装置1の内線I/F13を介して通信路が接続され、通話を行うことができるようにされる。この時、着信先の子機3(2)の制御部50においては、受信した通信要求に基づいて、発信元が「ICM100」である着信履歴データを形成し、これを自機の着信履歴メモリ72に格納する。そして、通話終了後、子機3(1)、3(2)の内のいずれかがオンフックする操作を行うことにより、接続されていた通信路が解放される。
このように、交換制御装置1に収容された子機から子機への発信の場合には、着信先の端末に対しては、必ず識別子「ICM」が付加された発信元番号(発番号)が通知される。したがって、着信先の子機においては、識別子「ICM」が付加された発信先番号を有する着信履歴を形成することができる。当該着信履歴を用いることによって、交換制御装置1は誤発信をしないようにすることができる。
[外線端末と内線端末との間の通信シーケンス]
次に、この実施の形態の電話システム10において、電話網4に接続された外線端末と交換制御装置1に収容された子機との間で通信を行うようにする場合のシーケンス(手順)について説明する。図10は、交換制御装置1を中心にして形成されるこの実施の形態の電話システム10において外線端末と交換制御装置1の子機との間の通信シーケンスについて説明するためのシーケンス図である。
図10に示す例は、図1に示したように、少なくとも無線LANデュアル端末3(1)がAP2(1)、2(2)、…を通じて交換制御装置1に接続され、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能している場合であって、当該子機(内線端末)3(1)と、電話網4に接続された外線端末との間で通信を行う場合を示している。
まず、電話網4に接続するようにされた外線端末から子機3(1)に対して電話をかける場合について説明する。この例の場合、子機3(1)に対して割り当てられている内線番号は「100」であるとする。また、図9を用いて説明した内線通信の場合のシーケンスとの比較を容易にするため、外線端末に対して割り当てられた電話番号(外線番号)は特別に3桁の「106」であるものとして説明する。また、この実施の形態の交換制御装置1に割り当てられた電話番号(外線番号)は、例えば「031234」であるものとして説明する。
そして、図10に示すように、外線端末は、外線番号が「031234」である交換制御装置1に接続されている内線番号が「100」である子機3(1)に対して発信を行うようにしたとする。この場合、外線端末は、図10に示すように、着信先番号(着番号)が「031234*100」で発信元番号(発番号)が「106」である通信要求を形成し、これを電話網4に送出する。当該通信要求は、電話網4を通じて交換制御装置1に送信され、これを交換制御装置1は、外線I/F11を通じて受信する。したがって、交換制御装置1の制御部14の呼制御部141は、当該通信要求は外線端末からの通信要求であることを認識することができる。
そして、交換制御装置1の制御部14の呼制御部141は、着信先番号(着番号)が「031234*100」である場合、「031234」は自機に割り当てられた外線番号であり、記号「*」以下の番号が、自機に接続されている子機の内線番号であると認識する。そして、交換制御装置1の呼制御部141は、着信先番号が「100」で発信元番号が「106」である通信要求を形成し、これを内線I/F13、AP2(1)、2(2)、…を通じて、子機3(1)に送信する。ここで重要なことは、発信元が外線端末であるために、発信元番号には識別子「ICM」は付加されないことである。
この後、当該通信要求が子機3(1)において受信され、子機3(1)が応答メッセージを返信することにより、交換制御装置1の外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を介して、発信元の外線端末と着信先の子機3(1)との間に通信路が接続され、通話を行うことができるようにされる。この時、着信先の子機3(1)の制御部50においては、受信した通信要求に基づいて、発信元が「106」である着信履歴データを形成し、これを自機の着信履歴メモリ72に格納する。そして、通話終了後、外線端末と子機3(1)の内のいずれかがオンフックする操作を行うことにより、接続されていた通信路が解放される。
この後、今度は子機3(1)のユーザーが、先に電話をかけてきた外線番号が「106」の外線端末のユーザーとの間で通話を行う必要が生じたために、子機3(1)のユーザーは、図10に示したように、自機の着信履歴メモリ72から、外線番号が「106」である外線端末からの着信履歴データを選択し、発信を行ったとする。この場合、図10に示すように、子機3(1)の制御部50は、着信先番号(着番号)が「106」で、発信元番号(発番号)が「100」である通信要求を形成し、これを無線LAN通信部34、送受信アンテナ33を通じて送出する。
当該通信要求は、AP2(1)、2(2)、…、内線I/F13を通じて、交換制御装置1において受信され、ダイヤル解析部143の解析の結果、着信先番号に識別子「ICM」は付加されていないので外線端末への発信であると認識される。そして、交換制御装置1の呼制御部141の機能により、着信先番号が「106」で発信元番号が「031234*100」である通信要求が形成され、これが外線I/F11を通じて、電話網4に送出され、外線番号が「106」である外線端末に送信される。
この後、当該通信要求が外線端末において受信され、応答メッセージが返信されることにより、交換制御装置1の外線I/F11、スイッチ部12、内線I/F13を介して、当該外線端末と子機3(1)との間に通信路が接続され、通話を行うことができるようにされる。この時、着信先の外線端末において、受信した通信要求に基づいて、発信元が「031234*100」である着信履歴データが形成され、これが外線端末の着信履歴メモリに格納される。そして、通話終了後、外線端末または子機3(1)がオンフックする操作を行うことにより、接続されていた通信路が解放される。
このように、外線端末と交換制御装置1に収容された子機との間の通信の場合には、着信先の端末に対して通知される発信元番号(発番号)には、識別子「ICM」が付加されることはない。したがって、着信先の子機においては、従来通りの発信先番号を有する着信履歴を形成することができる。
そして、上述したように、図9に示した例の場合には、内線番号が「106」の内線端末と内線番号が「100」の内線端末との間の通信処理におけるシーケンスである。また、図10に示した例の場合には、外線番号が「106」の外線端末と内線番号が「100」の内線端末との間の通信処理におけるシーケンスである。
そして、図9と図10とを比較すると分かるように、発信元の番号がいずれも「106」であるが、交換制御装置1に収容された子機間における通信と、外線端末と交換制御装置1に収容された子機との間における通信とでは、着信先に通知される発信元番号(発番号)の所定の識別子「ICM」の有無が異なる。
これにより、着信履歴を用いて発信を行う場合であっても、相手先が交換制御装置1の子機か否か、すなわち、内線端末か否かを確実に判別することができるので、交換制御装置1が、内線端末との間に通信路を接続すべきところ、誤って、外線発信してしまうことを確実に防止することができる。
また、無線LANデュアル端末である子機3が、携帯電話端末として機能するようになった場合であっても、着信履歴のデータから、相手先が携帯電話網5を通じて直接に通信路を接続可能な相手先か、交換制御装置1の子機かを確実に区別することができる。したがって、無線LANデュアル端末3が着携帯電話端末として機能している場合であっても、着信履歴を用いた発信時に誤発信を行うことを防止することができる。
[第2の実施の形態]
上述した第1の実施の形態の電話システム10の場合には、交換制御装置1に接続される子機(内線端末)3は、全てが無線LANデュアル端末の構成とされたものとして説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、営業部には外出する機会の多い社員が多いため交換制御装置に収容される子機として無線LANデュアル端末を用いるようにし、総務部や経理部には外出する機会の多い社員は少ないために交換制御装置に収容される子機として固定電話機を用いるようにすることが考えられる。また、本支店間を専用線で結んで、相互にあたかも内線電話をかけることができるように電話システムを構築する場合もある。
このような場合であっても、この発明を適用することができる。このような場合について考えると、交換制御装置に接続される固定電話機や交換制御装置に専用線で接続される電話機の場合には、接続された交換制御装置の子機(内線端末)である状態は変化することは無い。したがって、これらの電話機については、相手先が内線端末か外線端末かを考慮することなく、交換制御装置が適切に交換制御を行うことが可能である。
しかし、交換制御装置に収容される子機として無線LANデュアル端末が用いられる場合には、無線LANデュアル端末には内線/外線の区別が無いため、上述した第1の実施の形態の電話システム10の場合と同様に、交換制御装置において、子機間の通信か、そうでないかに応じて、発信元番号(発番号)に子機か否かを区別するための識別子を付与する必要が生じる。なお、専用線で接続された電話機の場合、交換制御装置に直接接続された固定電話機とは異なる。このため、この第2の実施の形態の電話システムにおいては、専用線を通じて接続された電話機か否かの区別もできるようにしている。
まず、この第2の実施の形態において、電話システムを構成するために用いられる交換制御装置1Aの構成例について説明する。図11は、この第2の実施の形態の電話システムにおいて用いられる交換制御装置1Aを説明するためのブロック図である。図11に示すように、この第2の実施の形態の交換制御装置1Aは、外線I/F11A、スイッチ部(図11ではSWと記載。)12A、内線I/F13A、制御部14、メモリ部15を備えている。
ここで、内線I/F13Aは、固定電話I/F13A1と、専用線I/F13A2と、子機I/F13A3とを備えたものである。また、制御部14は、呼制御部141、子機登録管理部142、ダイヤル解析部143を備えたものである。また、メモリ部15は、ROM151、RAM152、子機登録メモリ153を備えたものである。
そして、図11に示した第2の実施の形態の交換制御装置1Aと、図2に示した第1の実施の形態の交換制御装置1とを比較すると分かるように、内線I/F13Aの構成が、内線I/F13と異なる点を除いては、ほぼ同様に構成されるものである。このため、図11に示した交換制御装置1Aにおいて、図2に示した交換制御装置1と同様に構成される部分には同じ参照符号し、それらの部分についての詳細な説明については省略することとする。
そして、図11に示したように、内線I/F13A内の固定電話I/F13A1は、交換制御装置1Aの子機(内線端末)として用いられる固定電話機6が接続されるものである。なお、図11には、固定電話機6は1台しか示していないが、固定電話I/F13A1には複数の固定電話機が接続可能にされている。なお、固定電話機6は、交換制御装置1Aの子機として接続可能な通常の機能を有するものである。
また、内線I/F13A内の専用線I/F13A2は、交換制御装置1Aの子機(内線電話)として専用線を通じて接続可能な電話機が接続されるものである。また、子機I/F13A3は、AP(アクセスポイント)2を通じて、交換制御装置1Aに対して無線LAN接続され、交換制御装置1の子機(内線端末)として機能する無線LANデュアル端末3が接続される。ここで無線LANデュアル端末3は、図5を用いて説明した第1の実施の形態の無線LANデュアル端末3と同様に構成されるものである。
そして、外線I/F11Aは、図2に示した交換制御装置1の外線I/F11と同様に、電話網(公衆網)4に接続され、制御部14の制御により、電話網4からの電話回線を終端制御することにより、電話網4からの着信通知の検出や電話網4への発信指示を行う機能を実現する。
また、内線I/F13Aは、上述したように、固定電話I/F13A1、専用線I/F13A2、子機I/F13A3を備え、これらを通じて接続される端末を子機(内線端末)として収容する。そして、内線I/F13Aは、子機(内線端末)として収容された端末との間で各種信号や各種データをやり取りする機能を有する。
そして、スイッチ部12Aは、外線I/F11Aと、内線I/F13Aの固定電話I/F13A1や子機I/F13A3との間の伝送路(通話路)を交換接続する機能を実現している。なお、この第2の実施の形態において、専用線で接続される電話機は、例えば、本社や支社などの離れた場所に設置される端末であり、専用線で接続された端末が交換制御装置1Aを通じて外線発信を行うことはしないようにされている。
そして、この第2の実施の形態の交換制御装置1Aにおいては、メモリ部15の子機登録メモリ153に、交換制御装置1Aに接続された子機(内線端末)を、各子機が属する系毎に管理することができるようにしている。図12は、交換制御装置1Aの子機登録メモリ153において管理される登録情報の例について説明するための図である。図12に示すように、この第2の実施の形態の子機登録メモリ153には、交換制御装置1Aに接続される子機(内線端末)の内線番号、子機が属する系を示す情報、接続登録の有無が登録される。
ここで、内線番号は、交換制御装置1Aに子機として接続される各端末に割り当てられた内線番号である。子機が属する系を示す情報としては、図12に示したように、固定電話I/F13A1を通じて接続される固定電話端末の場合には値「1」が、専用線I/F13A2を通じて接続される電話機の場合には値「2」が、子機I/F13A3を通じて接続される無線LANデュアル端末の場合には値「3」が用いられ、各子機の属する系が識別できるようにされる。また、接続登録の有無は、無線LANデュアル端末3が子機として収容(接続)されているか否かを示す情報である。
そして、内線電話番号と子機が属する系を示す情報とは、内線I/F13Aと子機登録管理部142との機能により、例えば、システム形成時の接続確認のときに子機登録メモリ153に登録される。これらの情報は、通常は、対応する子機が使用されなくなり、子機登録メモリ153の対応データが削除されるまで変更されることは無い。また、接続登録の有無は、上述した第1の実施の形態の交換制御装置1の場合と同様に、定期的に送受される無線LANデュアル端末3からの接続登録の有無に応じて、内線I/F13Aと子機登録管理部142の機能によって、自動更新するようにされている。
そして、この第2の実施の形態の交換制御装置1Aにおいては、外線からの着信(外線着信)の場合には、従来と変わらない外線着信処理を行い、また、外線発信(外線への発信)の場合にも従来と変わらない外線発信処理を行う。また、交換制御装置1Aの子機間の通信であって、着信先の子機が無線LANデュアル端末3以外である場合には従来と変わらない内線着信処理を行う。しかし、交換制御装置1Aの子機間の通信であって、着信先の子機が無線LANデュアル端末3である場合には、発信元番号(発番号)に、当該発信元の端末が属する系を識別するための識別子を付加して着信先に通知するようにしている。
[交換制御装置1Aの処理]
次に、この第2の実施の形態の電話システムで用いられる交換制御装置1Aの動作について、図13、図14のフローチャートを参照しながらまとめる。図13、図14は、この第2の実施の形態の交換制御装置1Aにおいて実行される呼設定受信処理ルーチンを説明するためのフローチャートである。
この図13、図14のフローチャートに示す処理は、図8に示した第1の実施の形態の交換制御装置1において実行される処理に対応する処理であり、交換制御装置1Aの主に制御部14において実行される処理である。交換制御装置1Aにおいては、電源が投入されている間においては、常時、自機が呼設定を受信したか否かを監視しており、呼設定要求を受信したと判断した場合に、制御部14は、図13、図14に示す処理を実行する。
そして、呼設定を受信したことを検知した制御部14は、図13、図14の処理を実行する。制御部14は、まず、受信した呼設定は、外線I/F11を通じて受信した外線からの通信要求(外線からの着信通知)か、内線I/F13Aを通じて受信した内線からの通信要求(内線からの発信要求)を判断する(ステップS201)。ステップS201の判断処理において、受信した呼設定は外線からの通信要求であると判断したときには、当該通信要求は、電話網4を通じて送信されてきた自機への着信通知であるので、従来通りの外線着信処理を実行する(ステップS202)。
すなわち、ステップS202においては、呼制御手段141は、外線I/F11A、スイッチ部12A、内線I/F13Aを制御し、発信元の外線端末と自機に接続されている子機との間に通信路を接続し、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
また、ステップS201の判断処理において、受信した呼設定は内線からの通信要求であると判断したときには、制御部14の呼制御部141は、受信した通信要求が、内線I/F13Aが有するどのI/Fを通じて受信したかに基づいて、固定電話I/F13A1に接続された固定電話機からの着信か否かを判断する(ステップS203)。ステップS203の判断処理において、固定電話機からの通信要求であると判断したときには、呼制御部141は、着信先番号(着番号)に基づいて子機登録メモリ153の登録情報を参照し、子機への発信(内線への発信)か外線への発信(外線への発信)かを判断する(ステップS204)。
ステップS204の判断処理において、内線への発信であると判断したときには、呼制御部141は、参照した子機登録メモリ153の登録情報に基づいて、着信先の端末は、無線LANデュアル端末3か否かを判断する(ステップS205)。ステップS205の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3であると判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、図4(B2)に示したように、通信要求の発信元番号(発番号)に識別子「ICM」を付与(付加)する(ステップS206)。
そして、呼制御部141は、内線I/F13を制御して、内線着信処理を実行する(ステップS207)。この場合、ステップS207においては、ステップS206で形成するようにした通信要求を用い、図8に示したステップS105の処理と同様にして、内線I/F13を制御し、発信元の内線端末と着信先の内線端末との間に通信路を接続して、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
また、ステップS205の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3ではないと判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、従来通りの通信要求を用いて、従来通りの内線着信処理を実行する(ステップS207)。すなわち、発信元番号(発番号)は、所定の識別子は付加しない内線番号のみを用いた通信要求により、内線着信処理を実行する。
また、ステップS204の判断処理において、外線発信であると判断したときには、呼制御部141は、従来通りの外線発信処理を実行する(ステップS208)。すなわち、ステップS208においては、呼制御手段141は、外線I/F11A、スイッチ部12A、内線I/F13Aを制御し、発信元の子機と着信先の外線端末との間に通信路を接続し、通話を行えるようにする。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
また、ステップS203の判断処理において、固定電話機からの着信ではないと判断したときには、呼制御部141は、図14のステップS209の処理に進む。そして、受信した通信要求が、内線I/F13Aが有するどのI/Fを通じて受信したかに基づいて、当該通信要求は、専用線I/F13A2に接続された電話機からのものか否かを判断する(ステップS209)。
ステップS209の判断処理において、受信した通信要求は、専用線I/F13A2に接続された電話機からのものであると判断したときには、呼制御部141は、受信した通信要求の着信先は、子機I/F13A3を通じて接続される無線LANデュアル端末3か否かを判断する(ステップS210)。このステップS210の判断処理は、呼制御部141が、通信要求の着信先番号(着番号)に基づいて子機登録メモリ153を参照することにより行われる。
ステップS210の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3であると判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、図4(B2)に示したように、通信要求の発信元番号(発番号)に識別子を付与(付加)する(ステップS211)。なお、ステップS211において付加する識別子は、専用線により接続された電話機であることを示す識別子「PBX」が用いられる。そして、呼制御部141は、内線I/F13を制御して、内線着信処理を実行する(ステップS212)。
具体的にステップS212においては、ステップS211で形成するようにした通信要求を用い、図8に示したステップS105の処理と同様にして、内線I/F13を制御し、発信元の内線端末と着信先の内線端末との間に通信路を接続して、通話を行えるようにする。
また、ステップS210の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3ではないと判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、従来通りの通信要求を用いて、従来通りの内線着信処理を実行する(ステップS212)。すなわち、発信元番号(発番号)は、所定の識別子は付加しない内線番号のみを用いた通信要求により、内線着信処理を実行する。上述したステップS212の処理の後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
また、ステップS209の判断処理において、受信した通信要求は、専用線I/F13A2に接続された電話機からのものではないと判断したときには、当該通信要求は、子機I/F13A3に接続された無線LANデュアル端末3からのものであると判断することができる。この場合、呼制御部141は、受信した通信要求の着信号先番号(着番号)に、所定の識別子として、「ICM」や「PBX」が付加されているか否かを判断する(ステップS213)。ステップS213において所定の識別子が付加されているか否かを判断するのは、通信要求が、内線への発信を要求するものか、外線への発信を要求するものかを判別するためである。
ステップS213の判断処理において、着信先番号に所定の識別子が付与されている(内線への発信である)と判断したときには、呼制御部141は、受信した通信要求の着信先は、子機I/F13A3を通じて接続される無線LANデュアル端末3か否かを判断する(ステップS214)。このステップS214の判断処理は、ステップS210の判断処理と同様に行われる処理である。すなわち、呼制御部141が、通信要求の着信先番号(着番号)に基づいて子機登録メモリ153を参照することにより行われる。
ステップS214の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3であると判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、図4(B2)に示したように、通信要求の発信元番号(発番号)に識別子「ICM」を付与(付加)する(ステップS215)。そして、呼制御部141は、内線I/F13を制御して、内線着信処理を実行する(ステップS212)。この場合、ステップS212においては、ステップS215で形成するようにした通信要求を用い、図8に示したステップS105の処理と同様にして、内線I/F13を制御し、発信元の内線端末と着信先の内線端末との間に通信路を接続して、通話を行えるようにする。
また、ステップS214の判断処理において、着信先の端末が無線LANデュアル端末3ではないと判断したときには、交換制御装置1Aの呼制御部141は、従来通りの通信要求を用いて、従来通りの内線着信処理を実行する(ステップS212)。すなわち、発信元番号(発番号)は、所定の識別子は付加しない内線番号のみを用いた通信要求により、内線着信処理を実行する。ステップS212の処理の後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
また、ステップS213の判断処理において、着信先番号に所定の識別子が付与されていない(外線への発信である)と判断したときには、呼制御部141は、呼制御部141は、通常の外線発信処理を実行する(ステップS216)。このステップS216の処理は、図13に示したステップS208と同様に行われる処理である。この後、通話終了後においては、呼制御部141は、接続した通信路を解放して、この図13、図14に示す処理を終了する。
このように、この第2の実施の形態の交換制御装置1Aにおいては、外線着信の場合には従来と変わらない外線着信処理を行う。また、外線発信の場合にも従来と変わらない外線発信処理を行う。また、交換制御装置1Aに収容された子機間の通信であって、着信先の子機が無線LANデュアル端末3以外である場合には従来と変わらない内線着信処理を行う。
しかし、内線端末間の通信であって、着信先の内線端末が無線LANデュアル端末3である場合には、発信元番号(発番号)に、当該発信元の端末が属する系を識別するための識別子を付加して着信先の無線LANデュアル端末3に通知する。
これによって、無線LANデュアル端末3に形成される着信履歴においては、発信元番号(発番号)に所定の識別子が付加されているか否かに応じて、発信元の端末が、外線端末であったのか、内線端末であったのかを確実に区別することができるようにされる。
したがって、無線LANデュアル端末3が、交換制御装置1Aに子機として接続されている場合に、着信履歴を用いて発信を行っても、交換制御装置1Aが、内線への着信を、外線への発信と間違えて誤発信してしまうことを確実に防止することができる。
しかも、外線端末が発信元であった場合の着信履歴は、無線LANデュアル端末3が交換制御装置1Aの子機として機能している場合であっても、また、携帯電話端末として機能している場合であっても同じ形式で作成される。したがって、無線LANデュアル端末3が、携帯電話端末として機能している場合であっても、着信履歴を用いて目的とする相手先に確実に発信を行うことができる。
また、内線端末を発信元とする着信履歴の場合には、発信元番号に識別子「ICM」や「PBX」が付加されるので、無線LANデュアル端末3が携帯電話端末として機能している場合に、着信履歴を用いた発信時において、発信元番号を表示して確認を促すことで、携帯電話端末として機能している場合の誤発信をも防止することができる。
また、無線LANデュアル端末3が携帯電話端末として機能している場合において、着信履歴から発信を行う場合であって、識別子「ICM」や識別子「PBX」が付加された発信元番号を用いるようにした場合には、エラーとして警告メッセージを表示したり、警告音を放音したりすることにより、携帯電話端末として機能している場合の誤発信を確実に防止することができる。
また、子機としても機能する無線LANデュアル端末3の電話帳メモリ71に対して、着信履歴メモリ72に登録するようにした着信履歴データと同様の態様で、通信の相手先となる電話番号(外線番号や内線番号)を登録しておく。これにより、無線LANデュアル端末が交換制御装置1Aに収容され子機として機能している場合に、当該電話帳メモリ71のデータを用いて発信を行っても、交換制御装置1Aが誤発信を行うことは無いようにすることができる。
[実施の形態の効果]
交換制御装置が子機からの通信要求に応じて発信する場合における誤発信を確実に防止することができる。また、従来、交換制御装置に対して特別な番号として登録する必要があった「110」、「119」といった「1XX」と言う番号についても予め特別な番号として登録する必要がなくなる。そして、内線番号として、「110」などの番号を用いても、誤発信することなくなく、正しい方路を特定して発信することができる。
[この発明の方法について]
図8のフローチャートを用いて説明した実施の形態の交換制御装置1で行われる発番号通知処理が、この発明による第1の発番号通知方法が適用されたものである。また、図13、図14のフローチャートを用いて説明した実施の形態の交換制御装置1Aで行われる発番号通知処理が、この発明による第2の発番号通知方法が適用されたものである。
[請求項の手段との対応付け]
なお、上述した実施の形態においては、外線I/F11が外線インターフェース手段を実現し、内線I/F13が内線インターフェース手段を実現し、スイッチ部12がスイッチ手段を実現している。また、制御部14のダイヤル解析部143がダイヤル解析手段を実現し、制御部14の呼制御部141が呼制御手段の機能を実現している。なお、ダイヤル解析手段や呼制御手段の機能は、制御部14において実行されるプログラムにより、制御部14の機能として実現することも可能であるし、独立したハードウエア(回路部)によって実現することも可能である。
[その他]
なお、上述した実施の形態では、無線LANデュアル端末3は、交換制御装置1、1Aに対して無線LAN接続されるものとして説明したが、これに限るものではない。交換制御装置1、1Aに対して有線によりLAN接続されるものであってももちろんよい。
また、上述した実施の形態の形態では、発信元が交換制御装置に収容された子機である場合には識別子として「ICM」を内線番号に付加し、発信元が交換制御装置に専用線を通じて接続されることにより収容するようにされる電話機の場合には識別子として「PBX」を内線番号に付加するようにしたがこれに限るものではない。予め用いる文字列を決めておけば、任意の文字列を用いることができる。例えば、「ICM」に替えて「NAISEN」と言う文字列を用い、「PBX」と言う文字列に替えて「SENYOU」と言う文字列を用いるなどのことも可能である。
また、専用線を通じて接続される電話機の場合には、相手の交換制御装置に応じて識別できるようにすることも可能である。例えば、北海道支社との間に接続された専用線に接続される電話機の場合には、識別子として「HOKKAIDO」と言う文字列を用い、関西支社との間に接続された専用線に接続される電話機の場合には、識別子として「KANSAI」という文字列を用いるなどのことが可能である。
また、上述した実施の形態の交換制御装置は、ボタン電話システムの主装置やIP電話システムのSIPサーバなど、電話交換制御を行う装置に適用することができる。